健夜「夢の三巨頭対談?」(46)
恒子「じゃーん! 見てこれ!」
健夜「いきなりどうしたの」
恒子「仕事の話だよ! すこやんに凄い企画持ってきたの!」
健夜「企画?」
恒子「『天才たちの夢の共演! トッププロの素顔に迫る大座談会!!』」
健夜「……座談会?」
恒子「そう! 世界中が熱狂する三大メジャー競技の日本人トップ選手を集めた、夢の三巨頭対談だよ!」
健夜「三巨頭なんて大げさな……」
恒子「てことで! 出てくれるよね、これ!」
健夜「私、対談とか苦手だよ……」
恒子「メンツ見たらすこやんもその気になるって! ほら読んでみて!」
バッ
『出演:グレートフィンガー(プロあや)×ガッツ石川(メンバン)×小鍛治健夜(麻雀)』
恒子「うわあ……凄いよこれ……」(感動)
健夜「?」
健夜「えっとごめん、誰って?」
恒子「何言ってるの、プロあやのグレートフィンガーにメンバンチャンプのガッツ石川だよ!」
健夜「???」
恒子「この二人にすこやんなんて、スゴイ組み合わせなんだから!! 名前が揃うだけで感動ものだよ!!」
健夜「…………はあ」
恒子「世が世なら存在自体が100年違ってたと噂される、夢のスターの奇跡の共演だよ?」
健夜「…………そう」
恒子「なーにそのノリの悪さー」
健夜「いや、そう言われても……」
恒子「あー、まさか恥ずかしいのー?」
健夜「えっ?」
恒子「わかるよ! そりゃーね! グレートフィンガーとガッツに並べられちゃ、さすがのすこやんも恥ずかしいかー」
健夜「どういうことなの」
恒子「でも大丈夫! 競技の社会的地位は同格だって! すこやんの実績も!」
健夜「……そう」
恒子「もっと自信持っていいんだよ! よっ、永世七冠!!」
健夜「……うん」
恒子「…………んー…………」
健夜「?」
恒子「あー、もしかしてすこやんトリロー派?」
健夜「……何って?」
恒子「乗ってこないと思ったら、そういうことかー」
健夜「どういうこと?」
恒子「トリロー派ってそうなんだよねー。グレートフィンガーのこと誰って言っちゃうレベルに認めないの」
健夜「?」
恒子「でもね、そういうのよくないよすこやん」
健夜「??」
恒子「すこやんも、麻雀知らない人からそんな冷めた目で見られたら嫌でしょう? 異文化の理解って大事!」
健夜「???」
恒子「すこやんだって、あの時のツモかっこよかったね!って言ってもらえたら嬉しいでしょ? それと同じだよ」
健夜「ツモにかっこよかったとか言われても……」
恒子「すごいのやってる人だっているじゃない! スパーンって、ピシューって!」
健夜「私はそんな派手なの苦手だし……」
恒子「だったら尚更、トリロー派なんておかしいよ! あの人ただの川をタァーッってやる大アーティスト気質だよ!?」
健夜「知らないしそのトリロー派でもないってば」
健夜「そういうことじゃなくってさ」
恒子「ん?」
健夜「こーこちゃんの言っていることが全然分からないんだよ」
恒子「?」
健夜「誰なの? とりろうさんって?」
恒子「いやいやすこやん、何言ってるの」
健夜「だって全然聞いたことないし……」
恒子「えっ……」
恒子「いやいやいやいや、あのグレートフィンガーと名勝負を繰り広げたアヤノ・トリローだよ」
健夜「?」
恒子「『大森林』から『銀河』に至るあの伝説の!」
健夜「??」
恒子「プロあやのトッププレイヤーだよ!! プロあや!!」
健夜「?????」
恒子「えっ」
健夜「えっ」
恒子「…………」
健夜「…………」
恒子「本当……に……?」
やっと元ネタ分かったが何故それを使おうと思った
恒子「プロあや知らないの……? 全く……?」
健夜「うん」
恒子「…………メンバンも…………?」
健夜「知らないってば」
恒子「…………」
健夜「…………」
恒子「はぁー…… がーんだよすこやん」
健夜「この世の終わりみたいな顔しないでよ」
恒子「すこやんが青春の思い出知らない以上にショックだよ」
健夜「そんなに!?」
恒子「あのね、すこやん」
健夜「どうしたの真剣な顔して」
恒子「すこやんってすこやんだけど、仮にも現日本麻雀界の第一人者なんだからさー」
健夜「それどういう評価なの私」
恒子「世間的には麻雀界の代表だよ? もう少しよそゆきの知識とか振る舞いとかも身につけないと」
健夜「……苦手だなあそういうの」
恒子「わかってるよ、だからつくばに移籍したみたいなところもあるんでしょ」
健夜「……まあ、それだけでじゃないけど」
恒子「でもね! プロあやとメンバン知らないなんて論外だよ! 世間知らずもいいとこだよ!」
健夜「……はあ」
恒子「一般人ならともかく、麻雀プロなんだからさ! 将棋の棋士が囲碁やチェス知らないっていうレベルだよ!」
健夜「そこまで!?」
恒子「じゃあわかったよ! 今日はプロあやとメンバンのビデオ見よう!」
健夜「いいよわざわざ」
恒子「タイトルマッチならDVDにもなってるからさ! 借りてこようよ!」
健夜「いいってば」
恒子「すこやんのためだから! この先困るよそんなんじゃ!!」
健夜「…………わかったよ」
恒子「じゃ、借りに行こう!」
健夜「……それはいいんだけどさ」
恒子「?」
健夜「だいいちにんしゃだよね? ひとりものじゃないよね?」
恒子「過敏すぎだよ」
一時間後
恒子「借りてきたー!」
健夜「随分時間かかったね」
恒子「帰る途中でコンビニに寄ったからねー」
健夜「こーこちゃんがお菓子選びで悩みすぎだよ」
恒子「ごめんごめん! やっぱこういうときはポップコーンかなってね!」
健夜「飲み物はあったかいコーヒーなのに……」
恒子「じゃ、いくよー」
健夜「うん」
恒子「再生ー」
ピッ
プロあやタイトルマッチ視聴中
リングアナ「赤のコーナー、世界チャンピオン、グレートフィンガー!」
ワァァァーーーー
リングアナ「白のコーナー、挑戦者、アヤノ・トリロー!」
ワァァァーーーー
恒子「久しぶりに見るなー。八回目の防衛戦だね」
健夜「なんでリングの上で全身タイツ……」
恒子「こういう競技なら普通じゃない」
健夜「見たことないよそんなの……」
恒子「いや私はむしろ、なんで麻雀はリングの上でやらないのって感じなんだけど」
健夜「やらないよ! やるわけないでしょ!!」
実況「さあ第一ラウンド。アヤノ、ひもを構えました!」
アヤノ「タアッ!」
恒子「ほらほら! ここのタアッってするとこ! さっき話した!」
健夜「…………うん」
実況「ご覧ください、鮮やかな指さばきを!」
パッ パパパッ
実況「できました! 『川』です!」
ワァァァーーーー
恒子「いいねー。やっぱり基礎がしっかりしてるからこそのパフォーマンスだよね」
健夜「…………」
実況「果たしてチャンピオン、これをどう受けますか……!」
パパッ パッ パパッ
実況「『富士山』! チャンピオンやりました!!」
ワァァァァーーーー
健夜「えっと……」
恒子「何?」
健夜「あやとり……だよね?」
恒子「そうだよ?」
健夜「…………リングの上で?」
恒子「そうだよ?」
実況「さあ激戦は第五ラウンド! ついにアヤノは必殺技『大森林』を繰り出しました!」
恒子「ここだよ、ここ! 伝説の!」
健夜「……うん」
実況「チャンピオン動きました! 猛然と突進します!」
恒子「いっけぇーー!!」
パッ パパパパッ
実況「やりました! 『銀河』であります!」
恒子「やったーっ!!」
実況「ご覧ください、見事な出来栄え!」
解説の糸山さん「すばらしい完成度!」
ワァァァァーーーー
恒子「ね? ね! 凄いでしょ!!」
健夜「……うん」
恒子「あらあらー、こーこちゃん悲しいなーそんな反応」
健夜「どう受け止めたらいいのかわかんないんだよ」
恒子「んー、まあ、一度でわかんなくてもね! そのうちじっくりわかってくれればいいよ!」
健夜「…………はい」
恒子「じゃあ次メンバンね」
メンバンタイトルマッチ視聴中
リングアナ「挑戦者・ガッツ石川!」
ワァァァーーーー
健夜「これもリングでやるの……」
恒子「そりゃそうだって」
健夜「しかも……、海水パンツ……?」
恒子「レスリングパンツって言ってほしいなー」
健夜「レスリングじゃないんでしょ……」
リングアナ「世界メンバンチャンピオン・死に神アリー!」
ワァァァーーーー
恒子「こっちが当時のチャンピオン。ガッツは挑戦者だね」
健夜「変な覆面してる……」
恒子「変なって言わないの! 母国じゃ国民的英雄なんだよ!」
健夜「そうなの?」
恒子「サカルトヴェロのメンバンチャンプ、死に神アリー。本名アリー・ヴィルサラーゼ」
健夜「サカルト?」
恒子「グルジアの現地語名だよ。最近は英語名でジョージア表記になったよね」
健夜「こ、こーこちゃんがマジメなことを……?」
恒子「一応アナウンサーだよ?」
恒子「でも非情な世界だよねー」
健夜「?」
恒子「このタイトルマッチから、その後の人生にまで明暗が分かれたんだよ」
恒子「負けたアリーは、その一戦がトラウマになって病を患い、翌年に引退……」
恒子「稼ぎの無くなった家庭は借金まみれ。娘さんは高校生なのに日本に出稼ぎに来てるらしいよ」
健夜「出稼ぎって……」
恒子「詳しい事はわからないけどねー。噂じゃ、ヤクザに売られて働かされてるなんて話もあるけど」
健夜「そんなの大問題じゃない!」
恒子「まあ、あくまで噂だよ。表向きはただの留学生でスポンサーもついてるって話だし、大丈夫大丈夫!」
健夜「それならいいけど……」
恒子「さあさあ! 試合開始だよ!」
実況「さあリング上、チャンピオンがメンバンを配置します……!」
健夜「何あの……でっかい板みたいなの……?」
恒子「メンバンね」
健夜「それを床にばら撒いて……どうするの……?」
恒子「見てればわかるよ」
実況「さあ、石川先攻で第一投です! メンバンをふりかぶった!」
バズン
実況「やりました! 8枚もひっくり返しました!!」
健夜「…………」
実況「続いてチャンピオン……」
ズバン
実況「9枚であります! おそるべし、チャンピオンの"じごくあらし"!!」
健夜「……これ、メンコじゃないの……?」
恒子「メンバンだよ」
健夜「いや、大きなメンコだよね……?」
恒子「メンコはトランプくらいのちっちゃいやつのことでしょ。これは抱えるくらい大きいんだからメンバンだよ」
健夜「それをリングの上でやる必要って……?」
恒子「舞台装丁に必要とか言い出したらおしまいだよすこやん。駅伝だって公道でやる必要性とか言いっこなしでしょ?」
健夜「そういう話なの……?」
実況「さあ、ついに最終ラウンドに突入! ここまではチャンピオン・アリーがリード!」
解説のヒョーロクさん「まだわかりませんよ!」
実況「現在その差は10枚以上! 石川、追い込まれています」
解説のヒョーロクさん「大丈夫です、石川ならやってくれます」
ガッツ「…………」
実況「場内が静まり返っています……。ここは集中したい石川!」
恒子「緊迫してきた……。手に汗握るね!」ドキドキ
健夜「…………」
ガッツ「ここで……決める……!!」
実況「石川、投げる体勢に入りました!」
スゥッ
バ ズ ン !!
アリー「……ぐぅっ!」
実況「ついに出ました! 石川の決め手"恐竜投げ"!」
解説のヒョーロクさん「やった、やった!」
実況「メンバン12枚とアリーまでもひっくり返す大技でした! 石川の逆転勝利です!」
恒子「ぃよっしゃー! さっすがー!!」
健夜「…………」
恒子「今の一撃、いかがですか小鍛治プロ!」
健夜「実況解説風に聞かれても……。……すごいね」
恒子「あらー、メンバンの方もそんなリアクションー?」
健夜「…………」
恒子「伝わらないかなー。凡人にできないことをやってのける感動っていうかさー」
健夜「……なんかごめんね」
恒子「…………まあしょうがないか、すこやんも天才肌だし」
健夜「?」
恒子「やる側の人に見る側の気持ちはなかなか分からないって言うもんねー」
健夜「なんかバカにされてるような言い方だなあ……」
恒子「でもね、これだけは覚えておいてほしいな」
健夜「?」
恒子「知らない人が見たらなんだこれって思うかもしれないけど、そこにシビれて憧れる人たちもいるの」
健夜「…………」
恒子「ちょっと世界観が違うだけ。プロあやもメンバンも麻雀も一緒だよ」
健夜「うーん……」
恒子「すこやんが麻雀で凄いの和了った時だって、これくらい熱狂するんだからね?」
健夜「……そうなの?」
視聴終了
恒子「さて! じゃあ何か質問ある?」
健夜「色々言いたいことはあるけどさ」
恒子「何? なんでも答えるよ!」
健夜「なんであやとりやメンコやるのに全身タイツと海パン姿なの!?」
恒子「こういう競技の定番の正装だってば」
健夜「そんなわけないでしょ! 初めて見たよ!!」
恒子「いや逆に聞きたいんだけど、すこやんはなんで全身タイツか海パンいっちょで麻雀打たないの?」
健夜「打たないよ!! 打つわけないでしょ!!」
恒子「はぁー……。やれやれだよすこやん」
健夜「そんなに呆れられる事?」
恒子「トップのすこやんがそんなんだから、いつまで経っても麻雀が全身タイツや海パンで打つ風潮にならないんだよ」
健夜「私のせいなの!?」
恒子「それじゃどうかな、対談する気になった? 大体理解できたでしょ?」
健夜「競技はわかったけど……。この人たちとどんな話すればいいの……」
恒子「話題は司会の人が振ってくれると思うから、聞かれたことに答えたらいいよ」
健夜「うーん……」
恒子「その中で興味ある話が出たら、食いついて話広げていけばいいし」
健夜「そういうの、言われてすぐできる人ばっかりじゃないよ……」
恒子「会ってみたら、話は弾むと思うよー? 三人とも似たとこあるしさ」
健夜「似たところ?」
恒子「そうだよ。じゃあ見比べてみる? すこやんの動画も持ってるから!」
ピッ
【競技の見せ場】
グレートフィンガー「オレの両手は宇宙だ……! 『銀河』!!」パパパパッ
実況「チャンピオン逆転勝利ー! まさに掌の中の芸術です!!」
ワァァァーーーー
……
ガッツ「一投……入魂……! はぁっ!」バズン
実況「出ました、"みねおうし"! 脅威の8枚返しであります!!」
ワァァァーーーー
……
健夜「ツモ。メンタンピン一発ツモイーペードラ2、8000オールです」タンッ
実況「決まったー、神速の親倍ツモ! 怒涛の三連続和了で勝負を決めました!!」
ワァァァーーーー
恒子「ほら! 似たようなもんじゃない!」
健夜「えぇー」
【強敵を語る】
グレートフィンガー「アヤノさんは紐組みが独特なので、見た目以上に取り難いんです。正に大森林の様な難解さでした」
ガッツ「アリーの読みの深さにはいつも驚かされます。彼の投げは無造作に見えて数十手先まで考えてるんですよ」
健夜「私もかつて高校時代、跳満以上の直撃を一度だけ受けたことがあります。あれは今でも心に残っています」
恒子「ほらほら! 大体おんなじだって!」
健夜「そうかなあ……」
【競技への姿勢を語る】
グレートフィンガー「無限大の長さの紐をくれ、世界のすべてをここに見せよう」
ガッツ「一日一万回、感謝のメンバン打ちを繰り返した結果、今の僕があると思います」
健夜「水着と ネコミミが 似合う アラサー 実家暮らし だよ!」
恒子「ねっ! このわけわかんない天才肌っぽいとことかそっくり!」
健夜「最後明らかにおかしいよね!? こーこちゃんが作ったやつだよね!?」
【プライベートの過ごし方】
グレートフィンガー「旅行ですかね。新しい景色との出会いはあやとりのイメージを高めます」
ガッツ「もっぱらトレーニングですね。メンバンは体力勝負ですから」
健夜「実家で寝てるかなぁ……」
恒子「…………」
健夜「…………」
恒子「…………」
健夜「…………」
恒子「…………ごめん」
恒子「まあとにかく! 対談はやろうよ! めったにできない経験だよ?」
健夜「うーん」
恒子「すこやんの今後のためにもさ! 将来こういう仕事だって増えると思うよ?」
健夜「…………わかったよ」
恒子「大丈夫! 一緒に色々考えてあげるからさ! あの二人と並んでも引けを取らないように!」
健夜「……ありがとう」
恒子「まっかせといて!」
対談当日
司会「本日はお集まりいただきありがとうございます」
グレートフィンガー「光栄です」
ガッツ「よろしくお願いします」
司会「えっと、小鍛治プロがまだ来てないですか……?」
グレートフィンガー「ははっ、レディーは身支度に時間がかかるものです」
ガッツ「我々が早すぎたかもしれませんね」
スタッフ「失礼します! 小鍛治プロ入られまーす!」
司会「あっ、揃いましたね」
ガチャッ
健夜「お、遅くなりました……」
健夜「き、今日はよろしくお願いします」ペッコリン
司会「えっ」
グレートフィンガー「えっ」
ガッツ「えっ」
健夜「…………あれっ」
司会「こ、小鍛治プロ……その服装は……」
健夜「えっ」
グレートフィンガー「…………」
ガッツ「…………」
司会「……全身タイツの上から水着と……ネコ耳ネコ手袋……?」
健夜「え…………? みんな普通の…………」
司会「…………」(スーツ)
グレートフィンガー「…………」(スーツ)
ガッツ「…………」(スーツ)
健夜「…………」(ネコ耳ネコ手袋全身タイツ)
健夜「……あ……れ……?」
司会「あ、あの……?」
健夜「あっ……しっ……」
司会「?」
健夜「失礼しましたぁーーー!!!」
ダダダダッ
グレートフィンガー「…………」
ガッツ「…………」
司会「……なんでしょうあの服」
グレートフィンガー「……い、衣装さんが間違えちゃったのかな……」
司会「そ、そうですよね。率先してあんなことする方じゃないはずですから……」
ガッツ(…………かわいい)ポッ
楽屋
ガチャッ
健夜「こーこちゃん! どういうこと!!」
恒子「お? どうかした?」
健夜「どうかしたじゃないよ! みんな普通にスーツだったじゃない!!」
恒子「えっ、ウソっ!?」
健夜「とぼけないで! 知ってたんでしょ!!」
恒子「や、やだなーすこやん! そんなわけないって!」
健夜「…………」ゴゴゴゴゴ
恒子(やっべー間違えた……)
健夜「…………こーこちゃん…………」
恒子(や、やべー……。なんとか場を和まさないと……)
健夜「…………」ゴゴゴゴゴ
恒子「ま、まあ、そりゃ試合じゃあるまいしー、対談だもんねー。てへっ☆ うっかりっ☆」
健夜「…………」
恒子「…………」
健夜「…………」
恒子(…………逃亡っ!!)
ダダダッ
健夜「こーーーこちゃーーーん!!!!!」
※撮影前だったので、その後は気のせいってことで済みました☆
数日後
えり「小鍛治プロの記事、出てますね。三巨頭対談ですって」
咏「出てるねー」
えり「珍しいですね、小鍛治プロがこんな仕事」
咏「ま、あの二人と同格で話せるってったら小鍛治プロくらいなんじゃねー? 知らんけど」
えり「それはそうかもですけど……。この写真、笑顔引きつってますよ」
咏「緊張したんじゃねーの? なんたってグレートフィンガーとガッツだもんねー」
えり「…………そうでしょうか」
えり「……そういえば三尋木プロも、今度対談するって言ってましたよね」
咏「おー、オフシーズンはそーゆー仕事も増えるよねっ」
えり「……誰でしたっけ、相手」
咏「将棋のハニューさんと囲碁のイイヤマさんだけど?」
えり「…………そっちですよね、普通は」
咏「?」
カン
オツ
やっぱ三尋木プロが一番可愛いよな。知らんけど
健夜「夢の巨頭オ対談?」
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