【閲覧注意】穂乃果「囚人と看守」 (418)
このSSはあるサスペンスゲームのパロディです。
鬱展開ありです
※矛盾点 誤字・脱字があれば言ってください
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1451291312
んでそのゲームは映画esのパクリと
〜部室〜
希「キャンプ行かへん?」
にこ「え?キャンプ?唐突ねぇ。」
海未「キャンプって…いついくのです
か?」
希「来週の日曜日はどう?」
真姫「というか、なんでキャンプなの
よ…」
希「折角の夏休みやし、楽しみたい
やん。」
絵里「まぁ、楽しそうではあるわね」
穂乃果「いいね!希ちゃん!キャンプ行
こ行こ!」
凛「楽しそうにゃ!」
絵里「そうね…じゃあ行きましょう
か。」
穂乃果「やった!楽しみだね。」
そうして穂乃果たちは、キャンプに行くことになった。
雪穂 亜里沙「「こんにちは!」」
絵里 穂乃果「「本当に申し訳ない」」
希「まぁまぁ、ええって」
花陽「花陽は、雪穂ちゃんと亜里沙ちゃ
んが来てくれて嬉しいけどなぁ」
にこ「しょうがないわねー。ま、人数も
多い方が楽しいしいいんじゃな
い?」
ことり「そうだねっ!」
絵里「そう?そう言ってくれるのはあり
がたいわ」
真姫「じゃあ、そろそろいきましょ」
穂乃果「くっ…案外厳しいねぇ…この
坂。」
花陽「お腹も空いてきたねぇ。」
希「スーパーはおろか、個人商店も無い
なんて予想外だったなぁ。」
にこ「涼しいのが救いね。」
ことり「この季節の山は気持ちいいね
ぇ〜」
基本穂乃果視点です
〜30分後〜
亜里沙「霧が、出てきましたね。」
それで見てみると、確かに辺りは白く煙り始めていた。
にこ「進むのに支障はあるの?」
希「んー…道はしっかりしてるし、大丈
夫やない?」
絵里「取り敢えず、早めに動いた方がよ
さそうね。」
案の定、進むにつれて霧は徐々に深くなっていった。秋の昼間に霧なんて、と思ったけど、本当に山の天気は分からないものだなぁ。
一寸先が分からない、ってわけじゃ無いけど、果たしてこの先どうなるか分からない。
穂乃果「ねー!予定だとこの先何分歩く
んだっけー?」
希「んー…晴天時は歩いて2時間ってとこ
ろやない?」
もう半分越してるのか。
ことり「キャンプ場のパンフレットだ
と、この近くにお店があるはずだ
けど…」
にこ「その手の地図は縮尺があてになら
ないわね。」
穂乃果「取り敢えず、まだ足元が危ない
ってわけじゃない!しばらく進
んで、お店で休憩しよう!」
異論はなく、進行の継続が決定される
海未「穂乃果…気づいてますか?」
穂乃果「ん?どうしたの?」
海未「静かに答えてください、他にも登
山者がいます。」
そういって海未ちゃんが指さした先には、進行方向の逆ではなく、山肌の下の方だった。
穂乃果「それがどうしたの?よそ見ばっ
かりしてると、転んじゃうよ?」
海未「いいから見てください。」
まぁ、そう言うならという事でみたみた。
…?……あぁ、あれ?
この変な改行はなんなの?謎解きに関係あるの?
穂乃果「ん?全員雨合羽でも着ているの
かな。」
霧に霞んでよく見えないけど、どうやら服の色が地味すぎるのもあるらしい。
…そんな集団が、遠くから山肌を登って来ているのが見えた。
穂乃果「気味が悪いね…」
海未「ですよね…」
穂乃果「ちょっと急ごうか!」
絵里「ん?どうしたの?」
穂乃果「あー…霧が深くなってきた!巻
かれる前にお店に着こう!」
絵里「…分かったわ、みんな!足元に気
をつけて!」
みんなが早足になる。
まぁ、普通に考えたら何もない。単に他の登山者がいるだけ。ただ、この見通しの悪い状況で、見知らぬ人に出くわすのが、あまり気分良くないってだけ。
_そう自分に言い聞かせる。言い聞かせて無言で進む。
…
……
………なんで。
何で足音が近づいてくるの?
<<10
特に意味はないです
そして私は振り返った。
…そして、あり得ないものを目の当たりにした。
合羽なんかじゃない。なんかの防護服みたいなものだ。全身を覆う、ガスとかウイルスとかを防げそうなやつ。
更に、手にはサスマタの様な長い得物を持っている。
どう考えても、そこらの平和な山道をウロウロしている訳がない、仰々しい格好をした人たち。
それが、山をあがってくる。
いや、駆け上がってくる!
海未「穂乃果!」
不意に手を引かれ海未ちゃんが指す山側を見ると_
さっきまでずっと下にいたはずの人たちが明確にこっちに向かって駆け上がってきている!
そして、この人たちも全く同じ、防護服にサスマタの格好。
はよはよ
気になる支援
2方向から真っ直ぐに私たちを目指すコース。私たちを追っているとみて間違いない!
穂乃果「みんな!変な人たちがいる!逃げた方がいい!走ろう!」
真姫「ん?何言ってんのよ。もう疲れた
し、これ以上無理_」
私達は軍隊じゃない。平和な日本の学生だ。こんなこと言われて、急に走れるわけがない。
くっ…
私は荷物を下ろすと、ざっと辺りを見回し、適当な枯れ枝を拾い上げた。
1メートルくらいある。軽く力をかけても折れない。よし!
>>1氏、ターキーと鶏肉を間違える
荒らしその1「ターキーは鶏肉の丸焼きじゃなくて七面鳥の肉なんだが・・・・」
↓
信者(荒らしその2)「じゃあターキーは鳥じゃ無いのか?
ターキーは鳥なんだから鶏肉でいいんだよ
いちいちターキー肉って言うのか?
鳥なんだから鶏肉だろ?自分が世界共通のルールだとかでも勘違いしてんのかよ」
↓
鶏肉(とりにく、けいにく)とは、キジ科のニワトリの食肉のこと。
Wikipedia「鶏肉」より一部抜粋
↓
信者「 慌ててウィキペディア先生に頼る知的障害者ちゃんマジワンパターンw
んな明確な区別はねえよご苦労様。
とりあえず鏡見てから自分の書き込み声に出して読んでみな、それでも自分の言動の異常性と矛盾が分からないならママに聞いて来いよw」
↓
>>1「 ターキー話についてはただ一言
どーーでもいいよ」
※このスレは料理上手なキャラが料理の解説をしながら作った料理を美味しくみんなで食べるssです
こんなバ可愛い信者と>>1が見れるのはこのスレだけ!
ハート「チェイス、そこのチキンを取ってくれ」 【仮面ライダードライブSS】
ハート「チェイス、そこのチキンを取ってくれ」 【仮面ライダードライブSS】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1450628050/)
>>1を守りたい信者君が取った行動
障害者は構って欲しいそうです
障害者は構って欲しいそうです - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1451265659/)
穂乃果「止まれぇ!」
枯れ枝を突きつける。女子高生の、精一杯の虚勢だ。
私の奇行にみんなは足を止めようとしたが、
海未「あなた達は止まっちゃダメで
す!」
ことり「みんな走って!」
こういう時は付き合いの長いことりちゃんと海未ちゃんは話がわかる。
…もう、半径50メートル内には入られている。何秒かで追いつかれるってことだ。
そして、止まれと言っているのに無言で走ってくる人が味方な訳がない!
穂乃果「食らえっ!」
ガラケーのゲームで昔こんな感じのあったな
頑張って完結させてくれ
ケムコのノベルゲーか
懐かしいな
さっきまで背負っていた荷物_食料品が満載されたザックを力一杯山道の下方向に押し蹴った。
勢いよく飛び出した荷物は、重力を味方につけ、1秒弱で危険な速度になった。
そのまま、山道の防護服数人にまとめて命中した!
巻き込まれて倒され、転げ落ちていくあいつらを尻目に、山肌側に目を向ける。
…!他のみんなを狙っている!
山肌を斜めに駆け上がり、海未ちゃんたちを追う防護服たちは、5〜6人いる!
私はそいつらを更に追う形で後ろに接近し…
防護服の側頭部に横薙ぎに枯れ枝の一撃を見舞った。
枝は真っ二つに折れたが、防護服にも相当な衝撃が行ったらしく、声も上げず、そいつは山側に倒れ、地面に当り、傾斜に沿って転がっていく。
他の防護服が足を止め、こっちを振り返った。
どうやら私に脅威を感じてくれた様だ。
どいつも私から一定の距離をとり、サスマタの先をこっちに向けている。
それが防護服たちの武器だということは間違いない。
刃物じゃないのがまだ救いだけど、押さえつけられたらどうにもならないな…
長物に対してこっちは棒切れ一本。
どうしようか…という時に、状況が更に悪化した。
じりじりと、海未ちゃんたちが後退してきた。
穂乃果「どうしたの!」
海未「前にも回り込まれました!」
なんだって…!
そっちを見ることはできない。取りかこみ、私に得物を向けている防護服は複数。目を逸らした瞬間に攻撃されてしまう。
しばしの沈黙の後、私の右肩に海未ちゃんの背中が当たった。
穂乃果「まずいね…」
海未「そうですね…」
一瞬だけ山道の下方向に目をやる。
さっき足止めした防護服たちが(数は減っている)猛烈に追いすがっている様だった。
前方。後方。山側。
3方向から追い込まれた。
穂乃果「こうなったら、崖を登ろう
か。」
海未「背中を向けた瞬間にやられそうで
すけどね。」
穂乃果「くっ…どうしよう」
こっちの足が止まったのを見てか、防護服たちに、余裕の表情がにじむ。
また一瞬、横目で見る。みんな蒼白な顔で突然の緊急事態に声も出せないでいる。
希「穂乃果ちゃん、まだやれる?」
希ちゃんが小さく問いかけた。
穂乃果「うん。」
希「他に動けそうなひとは?」
絵里「出来ることはやるわ。」
海未「投石程度ですが。」
凛「みんなに触れたら許さないにゃ!」
真姫「な、なんで日本の山奥でこんな連
中がいんのよ!」
雪穂 亜里沙「「お姉ちゃん…!」」
穂乃果「大丈夫。私が守ってあげるか
ら。」
絵里「大丈夫よ。」
希「OK、雪穂ちゃんたちは真ん中に、こ
とりちゃん、にこっち、花陽ちゃん
はいざって時はみんなを守って
な。」
希「正体不明のみなさん?私たち、音ノ
木坂学院のアイドル研究部で、取り
囲まれる理由はないんですけれ
ど。」
希「説明も何もないんじゃ、抵抗するし
かないですよ?」
…。
返事の代わりに防護服の1人が一歩踏み出した。
それを皮切りに、他の防護服が包囲を狭めようと、進み始めて_。
海未「行きます。」
短く言い放ち、海未ちゃんは誰よりも速く動いた。
この中で一番格闘性能が高いのは海未ちゃんだ。
でも、複数の相手に効果的に戦うような技術じゃない。
そこで、武器を奪うか、サスマタの間合いの内側に踏み込んで、関節技をかけ、他の防護服を牽制しようとしたんだと思う。
…。
しかし、海未ちゃんの試みは、最初の一歩で失敗した。
サスマタの2方向に分かれた先端を、海未ちゃんは手で掴み、跳ね除けようとしたが、
ぎゃっ、という短い悲鳴共に、海未ちゃんの体が一瞬のけ反って、そのまま後ろに倒れこんだ。
絵里「なっ…スタンガン?」
ことり「う、海未ちゃん!」
花陽「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
くっ…
現代日本で入手できる最強の携帯武器。
タバコサイズのものでも大男を倒せるってテレビで見たことある。
勝ち目?あるわけないよ!
こっちの抵抗の手立てはもうない。
でもなぜか、防護服たちはこれ以上足を進めてこない。
全員防護服で顔は見えないけど、どうも腰が引けてるように見える。
思わぬ抵抗にあい、尻込みしているのかもしれない。
相手の正体は全く不明だけど、荒事には慣れてないように思える。
…なら、一か八か。決死の覚悟で突撃して、1、2人くらい倒せれば…
ー。
その時振り返った理由は、私でも分からない。
言えるのは、何か嫌な予感がしたこと、私が最後に見たのは、崖の上からサスマタを、振りかざす防護服たちの姿だったということ。
…さっきの推定と計算は全くの無意味だったということ。
真っ先に失神させられた私は、みんなの悲鳴と怒号、苦痛の声をどこか遠くで聞いた気がした。
今日はここまでにして、もう寝ます。
明日もまた書くので、よかったら見てくださいね!
面白そうだ期待してる
待ってる乙
スタンフォード監獄実験かと思ったら違った
乙です
〜1日目〜
…
……
………
覚醒は事の是非を判断できないほどに最低だった。
スタンガンによる、失神を受けるほどの衝撃を受けた後だ。
多分死んでも気づかないほどに、全身が痺れていて、自分がまるで綿の詰まったぬいぐるみか何かになった様だった。
まず、上下感覚だけ戻ってきて、自分が地面に転がされていることに気づく。
次に触覚が戻る。そこで私は地面は硬い石畳かコンクリートだと推測した。
_目が開き、この瞬間、高坂穂乃果は目覚めた。
…。
身を起こしてみたけど、まだ痺れが抜けない。ロクに手応えのないまま視点が持ち上がる。
それで、私は状況を知る。
みんなも、ここにいた。
さっきの私の様に、みんな思い思いの格好で倒れている。
海未ちゃん。
真姫ちゃん。
雪穂。
にこちゃん。
絵里ちゃん。
花陽ちゃん。
それに、亜里沙ちゃん。
残りのみんなも探す。というかここはどこなの?
体育館の様に広い空間の様だけど、薄暗いせいで、天井や遠くの壁の様子がはっきりしない。
…花陽ちゃんがいた。
花陽ちゃんはここから一番遠い位置。コンクリートのそばに、転がされていた。
ここは古い倉庫か何かかな?
ただ広く無愛想な内装は、倉庫か体育館をみたいな施設を、急ごしらえで改装したような印象を抱かせる。
などと考えている間に、もう1人見つけた。
ことりちゃん。
灯台下暗し、私のすぐそばにいた。
…希ちゃんがいない。
もう一度見回しても倒れているのは9人。
この場には私を含め10人いた。
とはいえ、ここから見て取れる情報は限られている。私は思い切って立ち上がろうとした。
若干フラついたものの、感覚は戻りつつあり、踏ん張りはきいた。
ことり「う、うぅ…」
次に目が覚めたのはことりちゃんだった。
ことり「身体ぁ、動かないぃ。」
穂乃果「無理しないで、じきに歩けるよ
うになるから。」
ことり「みんないるの?」
穂乃果「希ちゃん以外ね。」
ことりちゃんの息を飲む音が聞こえた気がした。
私は花陽ちゃんを起こすべく、フラフラと壁の方に歩いていった。
こっちは身を縮めて、自分の身体を抱きしめるようにしている。
穂乃果「おーい。花陽ちゃん。」
呼びかけに返事はなく、
穂乃果「ねぇ、起きてよ。」
遠慮がちに触れてみて、
穂乃果「ねぇっ!」
グニャリと態勢が崩れて、半分開いた目には正気が宿っていなかった_。
くっ…脈も呼吸もない!体温はあるから、止まったのはたった今!?
ことり「どうしたの?」
穂乃果「花陽ちゃん、息してない!…蘇
生しないと…!」
ことり「!?」
背後から駆け寄る音。ことりちゃんも見ないうちに立てるようになったみたい。
ことり「ことりがやる…!」
いいながら、ほとんど転倒する様にことりちゃんは花陽ちゃんに覆い被さった。
穂乃果「できるの!?」
ことり「習ったことあるよ?大丈夫、保
健委員だし…」
言いながら、態勢を仰向けにし、馬乗りになると、ことりちゃんは花陽ちゃんの胸の真ん中に拳をあて圧迫し始めた。心臓マッサージってヤツ?
何度か繰り返していると、
花陽ちゃんは弱々しく二度ほど咳き込んだ。
_安堵で全身の力が抜ける。
ミスだと思うが凛ちゃんもおらんぞ
ことりちゃんは心音と呼吸を確認し、
ことり「花陽ちゃん!しっかりして!」
軽く頬を叩いて呼びかけた。
花陽「けほっ…けほっ…こ、ことりちゃ
ん?あれ?私…」
ことり「よ、よかったぁ〜。」
ことりちゃんの表情に混ざり気なしの安堵が宿る。
花陽「あ、あれ?この状況、もしかして
私、心肺蘇生対象者だったり…?」
穂乃果「そうだよ…びっくりしたぁ…」
穂乃果「他のみんなが心配だな。下手す
りゃまた頼むかもしれない
よ。」
ことり「え?あ、うん、そうだね…」
花陽「わ、私も手伝います!」
…。
<<34
申し訳ありません。以後気をつけます。
ご指摘ありがとうございました。
いないのは希ちゃんだけです。
全員が目覚めるまで長かった気もするし、すぐだった気もする。
海未「あの人たち…無茶苦茶しますね…
ショック死してもおかしくない電
圧量でしたよ…」
海未ちゃんの言葉を信じるなら、全員が目覚めたのは不幸中の幸いだったな…
花陽ちゃん以外は危険な状態の人はいなくて、穏便に目をさますことができたんだもん。
…。
逆に、不幸中の不幸も容易に想像できる。
…。
希ちゃん。
本当どこにいっちゃったんだろう。
全員が目を覚ます過程で、この場所の様子も少し分かってきた。
体育館くらいってのは、ちょっと言い過ぎだった。バスケのコートは2面取れないだろうけど、1面なら余裕で取れるような広さ。
倉庫っぽいという印象は同じ。建材は木とセメント。かなり古そうな建築物。
基本的に四角い部屋だけど、奥の方に一本、長い廊下が見える。『凸』という文字を縦に長くしたような構造。
で、廊下や壁の各所にいくつかドアが見える。そっちはまだ調べていない。
空間の真ん中には大きいテーブルと、イスが10個あった。私たちは今、そこに座っている。
穂乃果「状況をまとめよう。」
穂乃果「私たちは、気絶させられた後、
ここに運ばれてきた。希ちゃん
がいない。他に何かある?」
質問に対する答えはなかった。
みんな不安げに視線を落としてるし、海未ちゃんや絵里ちゃんは何か考え事をしているようだった。
ややあって答えたのは、
にこ「時計と携帯電話が無くなってるわ
ね。」
にこ「私の場合、財布もない。身の回り
の小物はあらかた、盗られたみたい
ね。」
にこちゃんの発言で全員の顔色が変わった。バタバタと自分の身体を改め始めた。
私もそれにならって、ポケットを探ってみる。
ケータイ…無い。
財布…も無い。
やばいよ〜…どうしよう…
お尻のポケットには、家の鍵が入っていた。…鍵は盗らなかったのかな?
何かピンとこないけど、私はそのまま手を抜いた。
穂乃果「私…鍵だけある。」
凛「凛、ポシェットに入れてたから、全
部無くなっちゃったよ〜。最悪。」
花陽「私もリュックに入れてたから…」
絵里「私もよ。電話も無い…」
ことり「同じだよぉ…」
亜里沙「私もケータイ無いです。」
真姫「私もないわね。」
最終的にみんな、最初から持ってなかったか、カバンごと鍵がなくなったかのどっちかだった。
鍵を身につけていたのは私だけ。盗られなかったのも私だけってことになる。
にこ「盗り忘れ?まぁともかく、連絡す
る手段も、時間を知る手段も無い
ってことね。」
穂乃果「知らない場所に連れてこられ
て、連絡する手段も無し、か」
穂乃果「つまり私たちは誘拐されたって
事?」
私の言ったことは、みんなに伝わったようだ。みんな、顔を見合わせた。
海未「失神させられて、どこかに連れて
こられたらそれだけで誘拐なのは確
実ですけど、『営利誘拐』と言いた
いのですか?」
穂乃果「うん…人質とか、身代金とか、
そういうやつ。」
海未「これは営利誘拐ではありませ
ん。」
海未「私たちが人質なら、拘束されずに
転がされていたせつめいがつきま
せん。」
海未「私たちは抵抗すると身をもって知
っているはずですし。」
海未「第一、山奥であんな人数で狙うほ
どの価値があるのは、この中で真姫
くらいです。」
真姫「そんなことないわよ…」
確かに真姫ちゃん家はとてもお金持ちだ。
海未「真姫が狙いなら、私たちは今頃、
全員あの山道に放置させられてるで
しょう。」
海未「目撃者がいちゃまずいのなら、と
っくに土の中ですし。」
穂乃果「なるほど…」
それは確かだ。これだけの人数を山奥からどこかに生きたまま運ぶなんて、相当骨の折れる仕事だし。営利目的なら全く無意味な苦労だ。
絵里「つまり、あの人たちはこの全員を
狙っていたと…」
海未「そうです。あるいは、この場所を
通る一定以上の団体を狙っていた
ってところですかね…」
海未「である以上、少なくとも営利誘拐
組織ではあり得ません。まぁ、山賊
だというのなら話は別ですが、それ
だと説明がつかない点もありま
す。」
海未「穂乃果、あの人たちの得物、覚え
ていますか?」
穂乃果「サスマタ…」
海未「それっぽいスタンガンです。あん
なもの、その辺じゃ売られてませ
んし、電圧量も明らかに規格外で
した。」
海未「おそらくは何らかの特殊な組織で
使われているか、自家製のもので
しょう。」
海未「単なる誘拐なら、あんなのではな
く、ピストルを使って脅せばいいで
すし。」
海未「ピストルじゃダメな理由があるは
ずなんです。あんな取り回しの悪
い得物を使う任務…」
凛「ひとつ仮説いいかにゃ?」
海未「はい。何でしょう。」
凛「あれは保健所のひとなんだよ!」
にこ「却下ね。」
凛「ええっ!?いやでもあの格好、ほ
ら!映画でもあるじゃん!ゾンビに
なるウイルスとかに感染した人を攻
撃するんだよ!」
花陽「じゃあ私たち感染したの?」
凛「そう!感染したの!」
絵里「何言っているのよ…」
海未「まぁゾンビは置いときましょう。
ですが、医療関係者というのも考
えない訳じゃありませんでした。」
穂乃果「あの格好?」
海未「はい。ただ、あの防護服は機密性
が高くなさそうだったので、感染
うんぬんはなさそうですけどね。そ
れと_」
言いながら海未ちゃんはジャケットの袖をまくり上げてみせた。
_海未ちゃんのシャツの左腕は
血まみれだった…
雪穂「う、うわぁぁ!海未さん!何です
かそれは!」
ことり「ケガ?大丈夫なの?」
海未「はい。大丈夫です。もう止まって
ますから。」
海未「多分、みんなこんなになってしま
っていると思います。」
…それでまた、全員自分の身体を見改めることになった。
海未ちゃんの言う通り、何人かはシャツが血まみれだった。
私はというと、さほどじゃなかったけど、腕にデカいガーゼが付けられていて、そこに薄く血が滲んでいた。
亜里沙「いや…何、これ」
海未「さっき目が覚めた時、異様に気分
が悪かったんです。」
海未「おそらく、気を失っていたのはス
タンガンだけではなく、何か薬物を
打たれたせいだと思います。」
海未「スタンガンで気を失う時間もしれ
ていますし、薬でかなり長時間眠
らされてた可能性が高いです。」
薬物を、打たれた?
その言葉の物騒さに、何人かの顔があおくなった。
花陽ちゃんの心拍が止まっていたのも、薬のせいかもしれない。
急に自分の身体に得体もしれない化学物質が混ざっているような気がして、気分が悪くなってきた。
海未「…ですが、この注射の痕、真姫は
どう思いますか?」
真姫「下手だと思うわ。いくつも針を刺
した痕があるし…」
真姫「ていうか、止血もかなりいいかげ
んね。だからガーゼが取れてこんな
に汚れたんじゃない?」
海未「そういうことです。と言うわけ
で、あの人たちは医療関係者でも
ないと考えられます。」
海未「かと言って軍人等でもないでしょ
う。それこそ重火器を使えばいいで
すし、あの人たちは穂乃果に殴られ
て、本気でビビってましたから
ね。」
にこ「そういえば、そうだったわね。」
結局、海未ちゃんはあの人たちに関する推測を、次のようにまとめた。
1.資金力、調達力をかなり高い。
2.実行部隊の練度は低い。
3.何らかの特殊な目的に基づいて行動し
ている
4.3により、私たち(または同条件の団体登山者)が最初から狙われていた。
なお、4については、
海未「あの時、山にいた全員が狩られた
可能性もありますが。」
海未「それだとここに私たち10人いる説
明がつきません。」
_とのことらしい。
穂乃果「さっすが海未ちゃん!相変わら
ず切れてるねー。」
海未「ありがとうございます…」
絵里「…で、どうするの?」
絵里ちゃんが切り出した。
海未「はい…相手の意図が分からないこ
とには、動きようがないかと…」
とはいえ、この場でじっとしているのも苦痛だなぁ。
目が慣れた私はさっきからここに複数あるドアを気にしていた。
コンクリートの壁にはまり込んだ、錆びついた鉄製らしいドア。
穂乃果「あれ、調べようよ。」
海未「外の前に、まずはこの部屋を調べ
てからにしましょう。さすがに下手
に動くと怖いので。」
絵里「まずは…あれじゃない?」
絵里ちゃんが指したのはテーブルの真ん中あたり。何かB5サイズの黒い板状の物が置かれていた。
灰皿か何かかと思ってたけど、縦長で平らな灰皿もないか。
絵里「椅子は10脚、私たちは10人。明ら
かにこの部屋は、目覚めた私たちが
ここに座ることを期待して、セッテ
ィングされているわ。」
絵里「普通に考えると、次に私たちが興
味を持のはアレね。アレを調べる
べきよ。」
雪穂「罠とかじゃないんですかね?」
真姫「ゲームじゃあるまいし…」
穂乃果「ゲームだったらどうする?」
真姫「何言ってるのよ。ここは現実でし
ょ?」
穂乃果「そういうことじゃないよ。」
そういうことじゃないけど、私が考えていることは充分バカげてる。
海未「穂乃果は言葉足らずなんですよ。
しかし、私も同じようなことを考
えてました。」
真姫「海未まで一体何を_」
海未「これがもし、私たちの注意深さや
サバイバル能力を試す遊戯で_」
海未「あちこちに罠があり、それに引っ
かかって私たちが死ぬのを誰かが
見て笑っている。」
海未「…そんなバカげた話も、さっき言
った『特殊な目的』に当てはまるか
も知れません。」
そこまで海未ちゃんが言ったところで、狙いすましたように、それはおきた。
机の上の黒い板が、ブゥンと振動した。
雪穂「うわっ!な、何!?」
にこ「タブレット端末ね。」
花陽「そうみたいですね…」
あぁ、あの、デカいケータイみたいなやつか。最近よくCMでやってたよね。
タブレットは、低く唸るようにバイブレートし続けた。
裏返しになっているようで、灰色のテーブルと接するラインから、うっすらと白い光が漏れている。
私は身を乗り出して、タブレットを掴み取った。
絵里「なっ!ちょっと軽率じゃない?」
穂乃果「大丈夫、大丈夫。」
海未「で、何が書いてあるのですか?」
穂乃果「ちょっと待ってねー。」
何となく一仕事終えた気分で、鼻歌まじりにタブレットの画面を覗き込む。
薄暗い部屋の中で明るく光る画面。
それは本当に白無地で、画面中央にそっけない文体で、小さなアルファベットが並んでいた。
【WELCOME TO PRISON】
今日はこれで、終わりたいと思います。
絵里ちゃんがすごい賢い…
乙
ちなみに安価は<<じゃなくて>>な
キャンプ誘ったののんたんだしもしかして悪役なんかな…なんか胸が痛い、でも面白い
乙です~
乙です
>>50
すみません。ありがとうございます。
監獄へ…ようこそ?
穂乃果「…だって。」
タブレットを突き出すと、海未ちゃんがスッと手を伸ばして受け取った。
他のみんなも画面を覗き込む。
海未「触ってみましょう。」
海未「全員、見えますか?」
言われたので、私もそっちに回って見ることにする。
_海未ちゃんが画面に触れると、タブレットはそれに反応して、表示を変化させた。
画面は白無地から黒無地に。
そして今度は白文字が、またもそっけなく表示される。
『ゲーム概要』
さっき私が言ったゲームという言葉がいきなり出てきたわけで。
客観的に見ても出来すぎだ。
次に表示されたのはちょっとした長文だった。
目を細め、小さい文字を追う。
『1.プリズナーゲームとは、閉鎖された監獄内における、看守と囚人の関係性と心理を再現する対話型ゲームである。』
…え?
私の頭の中に浮かんだ疑問符をよそに、海未ちゃんは全員読んだことを確認して、次のページに進もうとした。
表示されたものは、
『*整列せよ*』
たったこれだけの文章だった。
_疑念を抱く間も無く、凄まじい音が鳴り響いた!
亜里沙「いやぁぁぁ!うるさい!」
甲高く吠えるようなサイレン。同時に向こうの壁の真っ赤なランプが回転し、薄暗い部屋は血のような色に染まった。
穂乃果「今度は何!?」
にこ「みんな、落ち着いて。」
花陽「に、花陽ちゃん!あれ!」
不意に花陽ちゃんが私の袖を引いた。
その指差す先を見ると_。
壁が、せり上がる?
いや、赤いランプの灯っている壁は、どうやらシャッターのようだ。
私たちは全員、腰を抜かしているか、突然の事態に身をすくめているかの、どっちかだった。
シャッターの向こうから現れたのは、
>>56訂正
花陽「に、花陽ちゃん!あれ!」
花陽「ほ、穂乃果ちゃん!あれ!」
_例の、防護服たちだ。
シャッターが上がりきると、サイレンは終わった。
代わりに押し殺した悲鳴が、みんなの間から溢れる。山道での恐怖を思いだしたのかもしれない。
防護服たちは例の電気サスマタを槍のように振りかざして、じりじりとこちらに寄ってくる。
また私たちを拘束しようっていうの!?
雪穂「ひっ!な、何すんの!」
足元でサスマタの閃光が弾け、雪穂の悲鳴と共に飛び退く。
_違う。防護服たちは一定の距離を保ったまま、威嚇するようにサスマタをバチバチ言わせているだけだ。
それ以上踏み込む気は無いようで、時折、せっつくように、サスマタを突き出してくる。
穂乃果「並べってことか…」
頷く代わりに防護服の一人が、さっさとやれ、と言いたげに私の目の前でサスマタを振った。
穂乃果「…今は、言う通りにしよう。」
海未「いいのですか?」
穂乃果「今は。」
海未「…分かりました。」
海未ちゃんが私の横に立つ。
穂乃果「絵里ちゃん、大丈夫?」
絵里「…賛成よ。」
穂乃果「雪穂ー。」
雪穂「分かったよ…。」
にこ「ことり、花陽、大丈夫?」
ことり「_大丈夫、だよ。」
花陽「私も、大丈夫です。
亜里沙ちゃん、凛ちゃん。」
凛「かよちん…怖いよ…」
亜里沙「…。」
にこ「真姫ちゃん。」
真姫「…めんどくさいわね…。」
ようやく、私たちは一連に並んだ。
穂乃果「…で。」
何をすればいいの?と問う前に防護服たちから動きがあった。
奥からサスマタを持ってないやつが現れた。代わりに灰色の箱を持っている。
箱の上部には穴が開いていて、くじ引きの箱みたいだ。
いや、みたい、じゃいくて、本当にくじ引きだったみたいだ。
そして私の前に立つと、おもむろに穴に手を突っ込んで、中から取り出したものを私に突き出した。
同時に周りを取り囲んでいるサスマタ持ちが一斉に得物をこっちに向けてくる。
妙なことをするな、ってことか。
私は自分でも驚くくらい慎重に、ゆっくりと、広げた手のひらを前に突き出す。
手のひらに防護服たちのプレゼントが手の平に乗せられる。
小さな黒いビニール包装の何かだ。熱で端が封じられているようだ。
手の平に落ちた瞬間、チャリンと金属質の音がした。何が入っているんだろう。
みんな同じように次々と黒い袋を受け取っていく。
亜里沙ちゃん、雪穂にも渡された。
やがて10人全員が受け取ると、箱持ちは来た道を去っていった。
その後を追って、サスマタ持ちたちも撤収していく。全員がシャッターの中に消え、何事もなかったように静寂が戻る。
…何?この袋。
そんな顔でみんなが顔を見合わせた時、またもタイミングよくテーブルにあるタ
ブレットが振動した。
海未「全部どこかから見られているよう
ですね。」
そんなことを言いながら、海未ちゃんはテーブルに近寄る。みんなもそれに後を追い、さっきと同じような位置関係になる。
『各自、配布されたキーを確実に管理すること。必要な時に使用出来なかった場合には、ゲームに敗北する恐れがある。』
『また、看守の権限、及び、各罪種の能力は全て、本日22:00から有効になる。』
看守?罪種?え?
ことり「キーなの?これ…」
絵里「そうね。迂闊に触らないほうがい
い気がするわ。」
絵里「って穂乃果!」
絵里ちゃんが声を出した時には、既に袋を破っていた。
穂乃果「キーだね。」
絵里「何か危ないことがあったらどうす
るの!」
穂乃果「いいじゃん。話が進みやすくな
るように、リスクを冒してやっ
てるんだよ。」
黒いビニールの中には家の鍵みたいな、ありきたりなキーが入っていた。
キーには大きめの、赤いキーホルダーみたいなのが付いている。
キーホルダーには黒い活字でこう書かれていた。
『JAILER』
穂乃果「って何?」
絵里「看守、ね。」
にこ「どうやら私も看守らしいわね。」
海未「やれやれ、私は囚人のようです
ね。」
みんなの視線がそっちに動く。
海未ちゃんの手の中にあったのは青いキーホルダー。活字で『PRISONER』と書かれている。
これを皮切りに、全員が自分の小袋を破き始め、絵里ちゃんは溜息をつくと、それにならった。
結果、看守となったのは、
私、にこちゃん、真姫ちゃん、雪穂、亜里沙ちゃんだった。
囚人となったのは、
海未ちゃんの他に、花陽ちゃん、凛ちゃん、絵里ちゃん、ことりちゃん。
丁度5対5に振り分けられたことになる。
ことり「囚人、って。」
花陽「…。」
絵里「無礼極まりないわね。私たちが何
をしたっていうのよ。」
海未「あくまで、ゲーム上の役割分担で
すよ。」
亜里沙「海未さん…落ち着きすぎです
よ。何を知っているんですか?」
突然、今まで静かだった亜里沙ちゃんが、そんなことを言い始めた。
海未「私は黒幕じゃありませんよ。」
海未「とにかく分かっているのは、プリ
ズナーゲームというゲームには、囚
人と看守がいるということだけで
す。」
海未「読み進めようと思いますが、いい
ですか?」
…異論は出ず、海未ちゃんは再びタブレットを操り始めた。
『2.看守には、統制・尋問・鎮圧する権限と装備が与えられる。』
『また、1日1名、看守全員の同意により選んだ人物を_。』
『《処刑》または《釈放》する権限を有する。』
海未「…。」
海未ちゃんだけじゃない。全員が絶句している。
海未「まぁこれだけじゃ分かりません。
最後まで読みましょう。」
…
ややあって、タブレットには『以上』と表示され、どうやらルール説明が終わったようだ。
海未「みなさん。理解できましたか?」
首をかしげた人が何人か。
青い顔をした人が何人か。
海未「それでは、穂乃果、内容を話して
あげてください。」
穂乃果「え!?私?」
ことり「んー、穂乃果ちゃんはわかった
の?」
私も理解できているか怪しいけど。まぁ逆に、もう一度確認するために、やっておくべきかも。
私は次のようにせつめいした。
まず、このゲームの目的は、この監獄、と呼ばれる場所から抜け出すこと。
その為には囚人の中の殺人鬼、を見つけ出さなければならない。
殺人鬼を含め、各囚人には罪種が決められている。
自分の罪種はさっき配られたキーホルダーに折り込まれたプレートに書かれているらしい。
このプレートは自分しか見てはならない。見られた場合はゲームに負ける。
更に、囚人は常に「自分は無実だ」と言わないといけない。これに反した場合もその囚人はゲームの負けとなる。
つまり、囚人は自分の正体=罪種なんだって、簡単には表明できない。
でも、このルールには例外がある。
毎晩看守と囚人は一人ずつ、壁を隔てた隣室に入って夜を過ごす。この時、壁越しの会話には一切制限がかからないらしい。
…問題は壁越しの相手が誰かってことが分からないということ。
部屋に入る経路は、囚人と看守で違うらしい。そこを通って部屋わけがされる。
…というわけで看守は夜、囚人を尋問する。お前は誰だ。とかね。
この時看守は囚人の部屋に騒音を流し、自白を促すことができるらしい。
ところがこの夜の間、殺人鬼と同室になった看守1名を敗北させることができる。
…では看守はやられっぱなし?もちろんそうじゃない。
看守は毎日1名、看守全員の同意のもと、囚人を強制的に敗北させられる。
壁越しの会話を通して看守側に情報が集まり、看守が殺人鬼を負かせられれば、
このゲームは終わる。残ったプレイヤーの勝利となる。
注意すべきは、殺人鬼以外の全員が勝者となること。
この話は誰かが死んだりしますか?
穂乃果「大事なのは、個室での情報提供
のところだと思う。声も機械で
変換されるらしい。」
ことり「なるほど、ちょっと分かった、
かな?」
絵里「…それで終わり?やっぱり私たち
は現実を見るべきだと思うの。」
海未「それでは、私が引き継ぎます。穂
乃果、お疲れ様でした。」
海未「さっき穂乃果が、説明したのは、
一面の事実ではありますが、全体像
ではありません。」
海未「このゲームの核心は次の4つで
す。」
1つ、看守は殺人鬼を探し、1日1名囚人を処刑する。これにより、殺人鬼以外の全員が勝利できる。
海未「穂乃果が説明したのはここまでで
す。実際は勝利条件は他にもありま
す。」
>>65
はい。死にます。
今日はもう終わりたいと思います。
おもしろい 支援
>>67
無慈悲な言い草に草
でもこれからって時にその言い方だとちょっとネタバレ気味だぞ
冒頭にさらっと書いておくのがベスト
>>70
確かにそうですね。気をつけます。
2つ、殺人鬼は看守を殺害する。これにより、看守を全滅させると、自分を含む囚人全員が勝利できる。
花陽「看守と殺人鬼は勝利条件が相反し
ている。看守と囚人は一部勝利条件
が違う、ってことで合ってます
か?」
絵里「合ってるわね。」
海未「続けますよ。」
3つ、殺人鬼以外の囚人は、自分の手で勝利することはできない。看守か殺人鬼に頼るしかない。
絵里「…正直に言えば、勝利条件を自分
で選べる、っていうことでもあるわ
ね。」
海未「核心4つ目。」
海未「この説明によりますと、処刑や殺
害といった表現は、ゲーム上の用
語ではありません。」
海未「本当にそのプレイヤーの命が無く
なる、ってことです。」
海未「さっきの穂乃果の説明では退場、
とか敗北、と言われていたのは、
全部死亡と同義だそうです。」
海未ちゃんはここで言葉を切った。
雪穂「あははっ…冗談キツいですよ。」
海未「冗談だと信じたいですけどね。」
海未ちゃんが絵里ちゃんに視線を向ける。
絵里「喋っていいの?」
海未「どうぞ。」
絵里「怪しいのは当然…」
絵里ちゃんは言葉を呑んだ。
絵里「…怪しいのは当然、ここにいない
希よ。」
確かにそういう見方もあるか。
ことり「で、でも、山で襲われた時、希
ちゃんが演技をしているように
は、見えなかったよ!」
海未「私もそれは否定しません。あくま
で、可能性の1つです。」
海未「どっちかというと、悪い方を考え
た方がいいでしょう。」
ことり「つまり?」
海未「私たちが殺し合いをしないといけ
ないということでしょう。」
海未「もし、このゲームが殺し合いを目
的としたゲームなら、これはヒド
くタチの悪いゲームですね。」
にこ「ルールによると、最低でも1人死な
ないと、ゲームは終わらないわ
ね。」
にこ「というか、自分が助かるために
は、最低でも1人、殺さなくてはな
らないってわけ。」
にこ「つまり、全員が協力して、殺人鬼をみつけて[ピーーー]ってこと。」
にこ「でも、それが間違ってたら?」
にこ「誰だって死にたくない。殺人鬼は
黙ってるだろうし、ルール上、殺
人鬼か、と問いかけても、自分は
無実だ、としか返せない。」
にこ「殺人鬼以外を殺してしまうことも
充分あり得るわね。」
にこ「殺人鬼になった人はもっとひど
い。処刑されるのを待ちながら、
全員を看守全員を殺さないといけな
い。」
にこ「そんなところね、このゲームの酷
さは。」
真姫「ワケ分かんなくなってきた…」
凛「じゃあ、この中に殺人鬼とかいろい
ろ書いてあるってこと?」
凛ちゃんが差し出したのは、自分のキー、青いキーホルダーが付いている。
花陽「それ、誰にも見せちゃだめだ
よ?」
凛「かよちんにも?」
花陽「だめ!」
雪穂「ここは、日本だし、こんなおおそ
れたことができるわけないよ。」
絵里「ここ…日本なのかしら…」
…実際、私たちは、どれだけの時間眠らされて、その間にどれだけの距離を移動したか、さっぱり分からない。
誰も喋らない。動けない状況で、海未ちゃんの手の中でタブレットがぶぅんと低く唸った。
穂乃果「今度はなに?」
海未「何でしょうね。」
みたび、全員がタブレットを覗き込む態勢に入る。
海未ちゃんが画面に触ると、急に画面が切り替わった。
今回は明らかに何か違う。動画だ。画質は良くない。
ザラザラなノイズ画面は、どこかの部屋の様子を定点撮影したもののようだった。
…いや、画面の隅に『LIVE』と書かれているから中継?
部屋はあまり広くなく、天井も真っ白で、調度品もほとんど置かれていない。
でも、殺風景の部屋の真ん中には椅子があった。
そこには_誰かが座っている。
女性が_座っている。
亜里沙「あれ…希さんじゃないです
か?」
私含め、全員の見る目が変わった。
ぐったりと前かがみになった体勢なので、表情を見ることはできない。
にもかかわらず、髪型や服装で、確かにそれは希ちゃんだと分かった。
そして、希ちゃんはただ座っているだけじゃない。
拘束_されている。
海未「まずいですね…」
押し殺した声にふとタブレットから視線を外す。
海未ちゃんの表情に、普段は決して宿ることのない焦り、恐慌が滲んでいた。
穂乃果「どうしたの?」
海未「あれは_電気椅子です…」
なん、だって?
思案の鈍さを、状況は待ってくれない。
映像に動きがあった。
椅子に縛り付けられた希ちゃんが、はっと気づいたように顔を上げる。
希「離せえええええええ!!」
その荒々しさにぎょっとしたけど、それは確かに、希ちゃんの声。
希「いやだっ!いやっ!離せ!出せ!」
希「離せ離せ離せ離せ離せ離せ離せここ
から出せ!出して!出してよおおお
おおお!」
ひどくしわがれた、希ちゃんの血の滲むような叫び声と、
希「こんなの、嫌やぁ…」
ノイズの向こうで、怒りが絶望に染め直される希ちゃんの表情が、寒気のするほど、現実味を帯びている。
私はほとんど無意識に駆け出していた。
海未「穂乃果!」
穂乃果「いるんでしょおおお!」
錆びついた鉄製のドア。
思い切り、後先考えずに、思い切り蹴った。
海未「キーはどうですか!?」
穂乃果「くっ!」
自分の赤のキーをドアノブの下の穴に突っ込んだ。
回らない!
にこ「こっちも無理よ!」
真姫「こっちも!」
海未「待って下さい!反応がありました
よ!」
海未「穂乃果!もっと叩いて!」
海未ちゃんが言う前に私はドアを乱打していた。
海未「見て!」
不意に目の前に差し出されるタブレット。
希「誰か、いるの?みんな?」
またも、鮮明に聞こえる、希ちゃんの声。
私はドアに耳を押し付けた。
希「みんな、ドアの向こう?ちょっとだ
け、音が聞こえる…」
希「もう、ウチ、だめらしいから。」
ひょっとしたら、何かを叫んでいたかもしれない。
希「みんなに、言っておく。」
希「みんな、仲良くな、私の大切な友達
やから。」
その直後。
周囲の全ての照明が、一瞬消えた。
海未「_________っ!」
海未ちゃんの声にならない叫びを聞いた気がした。
そして、おそらく2 3秒後、
会場の照明が戻ると同時に、タブレットは悲鳴を伝えた。
茫然と、タブレットを持つ海未ちゃんを見守る。
海未ちゃんはタブレットを抱きしめて、可能な限り漏れる音と光を遮ろうとしていた。
それでも。
漏れ出る希ちゃんの最期の声を抑えることはできず、その悲痛が和らぐことは少しも無い。
やがて。
やがて。
やがて。
悲鳴は止んだ。
皆さん、明けましておめでとうございます。今日はこれで終わりたいと思います
なかなかいい引き
今年もよろしく
続きたのしみすぎる
メール欄にsagaっていれると文字制限されないよ
誰もが動けないでいる中で、海未ちゃんの腕の中でタブレットがぶぅんと唸った。
氷のように無表情な海未ちゃんが、タブレットを裏返した。
画面にはこう書かれていた。
『公開処刑完了。ゲーム開始』
…
……
………
どれくらい佇んでいただろう。
誰も一言も発せられず、表情もピクリとも変えることができなかった。
凛「…ねぇ。」
沈黙を破ったのは凛ちゃんだった。
凛「希ちゃん、死んじゃったの?」
穂乃果「…まだ、わかんないよ。」
当然の答え、という自分と、何て酷い誤魔化し方だ、という自分がいる。
海未「確認しましょう。」
穂乃果「どうやって。」
海未「タブレットで、ゲームルールを読
みました。」
海未「このドアは処刑室のドアらしいで
す。ゲームが開始された今なら、
看守のキーで、開くはずです。」
穂乃果「行こう。」
海未「はい。みなさんはここにいて下さ
い。」
にこ「私も、ここにいていい?」
血の気の失せた、にこちゃんの顔。
穂乃果「無茶しないで。」
にこ「ごめん。頼んだわ…」
みんなは、まだ抜け殻のようだった。
キーを挿しこむと、嘘みたいに簡単にドアが開いた。
そして、私たちは中に入り、
かつて希ちゃんだったものと、対面し
た。
私たちは海未ちゃんの発案で、ドアに繋がった隣室の死体安置室に亡骸を移すことにした。
拘束を外した後に、青いキーホルダーが床に落ちた。
希ちゃんは、囚人だった?
でも、キーは付けられていない。
ホルダー内のプレートを引っ張り出してみて、納得した。
プレートにはこう書かれていた。
『死刑囚』
『この囚人の敗北は不可避である。処刑の例示のため、ゲーム開始時の刑執行にて、処刑される。』
改めて、このゲームの本気さ、を身にしみるようだった。
隣の部屋は海未ちゃんによれば、死体安置室。
引き出し式のロッカーの扉が10枚、壁一面を埋めている。
ロッカーの扉にはガラス窓があり、中が空っぽなのがよくわかる。
2メートルくらいの奥行きがある、大きなロッカーだ。
さらに、部屋の隅には、丁度人1人入れられそうな袋が積まられていた。
私たちはそれの使い方を理解して、
希ちゃんの無残な遺体を袋に詰め、ロッカーに押し詰めて、完全に見えなくしてしまった。
…。
もう見たくも無いし、思い出したくもなかった。
薄情だと思われても仕方が無い。
ただ、あの気が抜けた明るい笑顔を、眼球がはじけて流れ出た、最低な苦痛の表情に置き換えるのを、体が拒んだだけ。
死体置き場に備え付けられた水道で可能な限り手を洗い流したけど、全身にまとわりつくような、肉の焦げた臭いはきえなかった。
…
……
………。
中央の広場に戻って、海未ちゃんが、改めて希ちゃんが死んだことをみんなに伝えた。
ことりちゃんは、悲痛な表情で、静かに涙を流した。
花陽ちゃんは、口を押さえて、嗚咽だか、吐き気を抑えようとしていた。
真姫ちゃんは冷静な表情を浮かべていたが、恐ろしいほど黙っていた。
凛ちゃんは、立ち尽くしていた。
にこちゃんは、銅像のように俯いていた。
雪穂は恐怖で何とも言えない表情になっている。
絵里ちゃんは地べたに座り込んで、焦点の合わない目で、何やらブツブツとつぶやいていた。
亜里沙ちゃんは黙っていたけど、表情には、明らかに恐怖や不満が滲んでいた。
人の死は、重い。
それが、凄く親しく、大好きな人だと、なおさらだった。
私たちは重みの受け入れ方がわからず、各々のやり方で、対処するしかない。
私は、
穂乃果「希ちゃんは、すごいよ。」
私は、
穂乃果「あんな目にあっても死に顔は笑
っていた。」
嘘を、ついた。
穂乃果「すごい、根性だよ、あれで、笑
顔を作れるなんて。」
粗悪な嘘だ。海未ちゃんが眉を吊り上げている。
穂乃果「最期に希ちゃん、言ったよ
ね。」
穂乃果「仲良くしてって、それで、笑っ
てみせたんだよ?希ちゃん。」
穂乃果「尊重してあげよう。」
絵里「仲良くしろって言われても、今は
それどころじゃないでしょう。」
穂乃果「普段通りして、ってことじゃな
い?」
海未「そういうことですね。」
海未「ゲームの主催者の意図はよくわか
りませんが、希が殺された意図は明
確です。」
海未「私たちに、このゲームが本気で殺
しにかかってるということを理解
させ、真剣にゲームをさせるこ
と。」
海未「敵の思惑に抗いたいのなら、まず
は普段の調子を、取り戻して、それ
から対策を考えよう。」
ナイスフォロー
ことり「…そう、だよね。」
ことり「訳わかんなくなって、みんなで
傷つけあったら、だめだよ
ね。」
絵里「…そうね。いたずらに不安を煽る
前に落ち着いて話すべきね。」
凛「かよちん、元気出して?」
花陽「…うっ…大丈夫っ……もう少しで
落ち着くから。」
雪穂「…で、これからどうするんで
す?」
海未「はい。これからの話が出たところ
で、ちょといいですか?」
改まった口調の海未ちゃんに、全員の視線が集まる。
海未「このタブレットには、ルール確認
の他に、看守が処刑、または釈放
する相手を選ぶ機能が備わってい
る。」
海未「処刑の逆ですね、囚人1人を強制的
に勝利させ、会場外に出すことがで
きます。」
凛「え?そんなことできるの?」
海未「できます。実際は使えたもんじゃ
ありませんが。」
ルールを理解したなら、釈放が使えたもんじゃないという理由もわかるはず。
海未「もし、殺人鬼を解放してしまうお
と、全員が死にます。」
凛「でも、全員無実っていうから、選べ
ないってことか…」
海未「そういうことです。話を戻しま
す。」
海未「今言いたいのは、もう1つの機能
です。これには、時間が表示されて
います。」
海未「今、時間は21:51。そろそろ個室移
動しないといけない時間です。」
ことり「さっき言ってた看守と囚人が隣
り合って入るって、あのこ
と?」
海未「そうです。」
凛「まだ眠くないよー。」
海未「気持ちは分かりますが、無駄話し
ている間はないので、悪いです
が、一方的に喋りますよ。」
海未「ルールによりますと、個室に移動
した後は、あまり穏やかではない時
間になりそうです。」
海未「とはいえ、何も分かっていない状
況です。各自、軽挙妄動は慎み、慎
重に行動するべきだと思うのです
が。」
穂乃果「海未ちゃんの意見を採用しよ
う。いい?」
全員が頷く。
____そこで、再び広間に赤いランプが灯った。
防護服が現れた時の強烈なサイレンではなく、映画上映開始時みたいな、長めのブザーが鳴り響く。
同時に私から見て、左側からの壁に放置された2箇所のドアが、ガチャッと大きな音を立てて、内向きに開いた。
さっきの壁穴がない扉は、どうやら自動制御だってことらしい。
海未「手前のが囚人用、奥が看守用の扉
らしいです。 」
亜里沙「…入らなかったら?」
海未「おそらく死にます。」
穂乃果「間違えて入ったら?」
海未「何も書いてませんが、時間切れ
で、ドアが閉じた時、不適切な場所
にいたら、死ぬのではないでしょう
か。」
絵里「急ぎましょう。後5分しかない
わ。」
海未「そうですね。タブレットはテーブ
ルに置いておきましょう。」
海未ちゃんがテーブルに置いて、
穂乃果「看守はあっちだね。行こう。」
にこ「ええ。」
真姫「そうね。」
雪穂「わかった。」
亜里沙「はい。」
絵里「囚人はこっちよ。海未も急い
で。」
海未「分かりました。」
凛「行こう、かよちん。」
花陽「そうだね。」
…。
ドアの中は、奥行きが短い横長の小部屋になっていた。
5つのドアが並んでいる。
穂乃果「どれに入ればいいの?」
真姫「この部屋の5つのドアは左から順
に1分間隔で開錠される。1つのド
アに入れるのは1人のみで、1人が
通過したのち、施鍵される。」
真姫「1分以内に道なりに進み、突き当た
りのドアを自分のキーで開錠し、
個室に入ること。」
真姫「って書いてあったでしょ。」
真姫ちゃんが言うなら本当だ。
実際、説明通りに一番左の扉がカチャリと音を立てて開いた。
亜里沙「急がないと。私、入ります
ね?」
亜里沙ちゃんは、手近なドアに、自分のキーを差し込み開錠し、そのまま姿を消した。
穂乃果「さて、次は誰が入る?」
真姫「私でいい?」
異論はなく、真姫ちゃんは扉の中に入っていった。
にこ「次は私でいいかしら?」
これにも異存はなく、1分後にドアが開いて、にこちゃんが入っていく。
にこ「穂乃果、何もないといいわね。」
穂乃果「だね。」
短いやり取りの後、にこちゃんが退場。
雪穂「はぁ…。」
穂乃果「雪穂も早く入ったら?」
次のドアが開いた。
穂乃果「行きなよ。」
雪穂「うん。分かった。」
雪穂退場。
一分間、何も考える間もない時間。
ドアが開いた。行くべき時だ。
…
ドアの向こうは部屋じゃなかった。
真っ暗な廊下だ。
壁も床も天井も、黒で塗装されていて、照明も落としてあるため、距離感が全くつかめない。
目をしかめてみると、道は奇妙にねじ曲がりながら左のほうへ伸びているように見えた。
慎重に、しかし早足に歩を進める。
20秒もたたずに、突き当たりに達し、そこにドアはあった。
そして、鍵を開け、部屋に入った。
随分とまた綺麗な部屋だった。
狭いことは狭いけど、ペットやデスクもちゃんと片付けられている。
なんて思っていると、後ろでガチャリと鍵のかかる音がした。案の定、ノブを回してもドアは開かない。
そういえば、朝7時にならないと、ここからは出られなくなるのか。
諦めて部屋を探索する。
冷蔵庫の中には、水やパンや、おにぎりがはいっていた。
流石に食べる気はしないけど。
トイレの横には洗面台があり、歯ブラシもあった。
あー。探索終了。
案外見るべきところもなく、ベットに身を投げ出した。
身体の節々が痛む。そういえば。硬い床に転がされて、どれだけ放置されていたんだろ。
かといって妙に目は覚めていて、
…脳裏に焼きついた映像から逃れるのに、骨が折れそうだ。
どうせ眠れないのなら考えよう。
このゲームのことを。
このゲームは、私たちに何をさせたいんだろう。
何でモチーフが囚人と看守なんだろう。
そもそも、ちゃんと囚人と看守を模しているのかな?
看守は牢屋で囚人を監視し、統制する役目だ。
でも今は監視できていない。
いや、尋問できるんだったっけ。
デスクに据え付けられたマイクが目に入り、そういうことを思う。
…看守は囚人を尋問できる。
看守は囚人を処刑できる。
看守は囚人よりも、圧倒的に優遇されている。
しかしながら、看守は常に殺人鬼に襲われるかもしれないと、恐怖を感じている。
だから、早く殺人鬼を処刑したい。
一方で、囚人は、看守を、この手で5人も殺さなくてはいけない。
いつ、自分が処刑されるか分からない状況で。
他の囚人は、殺人鬼だと名指しされ、ロクな反論もできないまま、処刑される恐怖に怯えつつ、実質、何もできない。
看守に味方し、情報を集めて殺人鬼を吊るすか。
それとも、殺人鬼をかばい、殺人鬼が看守を皆殺しにするのを期待するか。
どちらにしても、囚人は勝利できる。
待って、この状況で看守は囚人の言葉を信じられる?どうすれば、信じられる?
苦痛と共に引き出した情報なら信用する?
だから、看守は囚人を尋問する?
そして、囚人は看守を憎む?
そして、看守は恐怖から囚人を次々に殺し、殺人鬼は恐怖から看守を次々に[ピーーー]。
そして、処刑の恐怖から囚人は何を始める?
私はデスクに飛びつき、粗悪な冊子をめくる。
ない、ない。
ないない。
処刑と殺人以外の傷害を禁止するルールはどこにも書かれてない。
…つまり。
1日1回しか行われない、処刑や殺人にしびれをきらした誰かが、実際に凶器を手に持って、誰かに襲いかかる可能性は、
ゼロじゃない。
…なるほど、プリズナーゲーム、よく考えられた、最悪なゲームだ。
本当の意味で勝つには、どうすれば?
…やめよう。考えるの。
…沈黙が耐えられない。目の前のマイクが気になる。
少しくらい話してもいいか。
マイクに向かい、口を開いた。
穂乃果「ねぇ、聞こえる?」
ゆっくり、はっきりと、発音してみた。返事はなかった。
穂乃果「私は、穂乃果。そっちは?」
穂乃果「言いたくなかったら言わなくて
いいよ。」
…反応はない。
穂乃果「ねぇ、何でもいいから返事して
よ。」
それでも、何も返ってこなかった。
壊れんじゃないの?これ。
マイクを軽く叩いたり、爪でこすったりしてみた。
**「やめて。」
うわっ!?案外大きいな。
どうやら壊れてはないみたい。
穂乃果「ごめん。うるさかった?」
**.「…。」
それっきり、返事はなくなった。
…凹むなぁ。
本格的に1人で暇を潰すしかないな。
穂乃果「あー、雑誌ないかなー。」
雑誌があっても気楽に見られないな。
私は机から立ち上がろうとして、
え?なんで?
体が、動かない。
いや、違う。
全く、感覚がない。
足が変に硬直し、バランスを崩して、床に倒れこんだ。
痛みは全くなかった。
なに、これ。
薬が打たれた副作用?
いや、違う。
なぜなら、私には見えた。
視界の隅で部屋の壁がせり上がるのを。
部屋というか、間仕切りが。
殺人鬼が、手を下すのに、
獲物を麻痺させるってことか。
あぁ。私はだめだ。
最悪の想像ができていない。
そうか、貧乏くじを引いたのは、
ことりちゃん、だったんだ…
今日はこれで終了です。
気になる…
面白い
はよ
すみません。時間が空かなかったので書けませんでした。明日からまた書ければと思います。
おk
エタらないなら急かさない
待ってるよ
いや、引いたのは、私か。
そして誰だって、
殺人鬼になったらそれだけで[ピーーー]理由になるんだと、
ああ、
どうせやるんなら、
そんな悲しい顔しないでよ…
どうせやるんなら、
ひと思いに、
え?
なんで、
なんで殺さないの?
さることりちゃんのひょうじょうをみることはできないまま、
やがて、かべはふたたび、おりていった。
…
……
………。
私はどうやら、このまま眠ってしまうらしい。
分かったこと。
殺人鬼はことりちゃん。
そして、それを私に知られた。
目撃者を残すというでかすぎるリスクを負っても、私を[ピーーー]のをやめたってこと。
あぁ、意識が、遠くなる。
…
……
………。
全身の痛みと共に目が覚めた。
……時が経つと共に、現実の記憶が押し寄せてきた。
なんで、なんで私は生きてる。
立ち上がって、椅子に座った。
…考えよう。
殺人鬼はことりちゃん。
それはまず、間違いない。
そして私は、殺人鬼の能力を多分正しく理解した。
同室の看守を[ピーーー]という能力には、実際は複雑で巧妙な手順が含まれている。
まず、時間になる、スイッチを押す等のきっかけで、殺人タイムが発動する。
その瞬間、看守は麻痺させられる。
看守が無抵抗な状態になったところで、間仕切りが機械的に取り払われる。
__看守と殺人鬼が対面する。
いや、この前に殺人鬼はなんらかの手段で凶器を手に入れるはず。
あんな刃物、どこで手に入れたんだろう。
saga入れるのはどうだろう?
saga入れた方がいいですかね?
敢えて[ピーーー]にしているなら入れなくてもいいけどそうでないなら入れた方が良いかと
わかりました
明らかにあれは、殺人鬼が受ける恩恵のひとつだ。殺す手段も与えられるってわけだ。
順を追って考えよう。
広間でキーを取るまでは、誰も殺人鬼じゃないから、刃物を受け取ったのは、広間から個室に移る前か、個室かのどちらかだ。
1分間の間に通らなきゃいけないから、そんな余裕はない。だから、個室に入ってから受け取ったんだろう。
どうやって受け取ったのか。
あの時、一瞬見えた囚人側の部屋。
看守側よりは、明らかに粗末で、過ごしにくそうだった。
その奥にデカいロッカーが見えたように思う。
例えばそれが、殺人鬼のキーでのみ開くものなら、中に凶器を入れるのも可能だな。
そうすれば、他の囚人用の部屋のどれに、殺人鬼が入っても、全ての部屋のロッカーに刃物を入れれば無事渡すことができる。
…逸れた思考から戻そう。
顔を見られちゃしょうがない。殺人鬼はそのナイフで看守を殺す。
んー、殺された後、看守はどうなるんだろう。
ゲームが終わるまで放置?
…いや、それはないか、翌日も部屋の振り分けは行われるから、それまでに、死体を片付けて、死体安置室まで運ぶんだろう。
そういえば、あの部屋には10人分の収容スペースがあった。処刑される囚人の分なら、そんなにいらない。
で、翌日殺人鬼は何食わぬ顔で出てくる。
看守が1人でてこず、死体安置室に変わり果てた姿になっている。
看守は誰が殺した、と言うけど、囚人は自分は無実だ、の一点張り。殺した犯人はわからずじまい。
ん?いや、待って、
例えば、殺人鬼以外が、つまり、海未ちゃん、花陽ちゃん、凛ちゃん、絵里ちゃんが、尋問の時に、自分の名を教えていたとする。
もし昨日私が殺されていたら、
翌日、私を除く9人が中央の部屋に集まり、誰が穂乃果を殺した、ってことになったら…
看守側にアリバイを証明できないのは、私を殺したことりちゃんだけだ。
各看守が、自分と話していた人は誰々と名乗っていた、という情報をまとめれば、自ずと、穂乃果と会っていたのはことりちゃんじゃない?となる。
これで、殺人鬼がバレる。
…あれ?私間違ってない?
まぁ、いいや、話は簡単だ。私は死ななかったんだから。
…これから出ていって、全員の前でことりちゃんが殺人鬼、と言ったらゲームが終わる。
…
……
…………できる、わけがないよ。
ことりちゃんはきっと、殺せなかったんだ。
ことりちゃんは、他人を殺めるなら、自分が死ぬという、決断を下したのだろう。
心のどこかで思った。
殺人鬼が自主してくれれば。
いや、ダメだ。ルール上、無実の罪と言わなければならない、というルールに反し、処刑されてしまう。
だから、間違っても、自主させちゃダメだ。
そして、ルール上殺人鬼は簡単に特定できるのかもしれない。
それも考えに入れて動かないと。
そうと決まったら、出よう。
________いま何時!?
頭から血の気が引くのを感じながら、辺りを見渡した。
あった。ベットの枕元のデジタル時計。
7時45分?
たしかリミットは9時だったよね。
いや、でも、急いだ方がいいかな。
ことりちゃんが出てきたら、2人で話すようにしないと。
私は看守のキーを持って、部屋を後にした。
広間は昨日より明るい気がした。
割と目立つところにグランドピアノが設置されていた。
まぁ、いいか、
というかみんな遅いなー、間に合わなくなっちゃうよ。
あ、別の部屋にいるのかも。
中央テーブルに歩み寄る。タブレットがケーブルにつながっていた。
昨日のバタバタした状況で、誰かがわざわざ充電したとは思えない。多分夜の間にゲーム管理者地味に片付けしているんだろうか。
タブレットを手にとって、画面を触ってみた。
・ルール閲覧
・マップ
・処刑、釈放の実行
マップを選んでみた。
なんだ、結構シンプルじゃん。
昼の会場はこの部屋を中心として、周囲にいくつかの部屋がある、くらい。
部屋のうち私が知っているのは、
3の処刑室、2の死体安置室くらいかな。
その隣の4番、雑居房は、絵に描いたような鉄格子は、ここからでも見える。なんの部屋かしらないけど。
あとは、5と7は、囚人と看守用のシェルター、6が倉庫、8がシャワー室、9は、トイレ、か。
トイレも看守用のキーでしか、開かないの!?
というか、囚人用のキーで開くのは、囚人用シェルターという部屋だけか。
シェルターとか雑居房とか、よくわからないけど、だいたいの、間取りは把握できた。
みんながこの部屋のどこかにいることを踏まえて、見られるところは、全部見ることにしよう。
看守のキーで、だいたいの部屋が見られるのはありがたい。
処刑室には清涼な空気が漂っていた。
昨日の惨状を思い出したくないけど、ここも、執行人の掃除が入ったみたい。
誰もいない。
ふむ…
隣から入れる死体安置室も誰もいない。
分かってる。人は1人いる。
だけど私は、まだ希ちゃんの酷すぎる死を受け入れればいいのか、わからなかった。
そして、死体安置室に新しい住人は来ていない。
まぁ、当然か、今日ここで死んでたはずのプレイヤーは私だったんだから。
とはいえ、他のみんなが、ミスで死んでないのは良かった。
雑居房には、鉄格子越しから誰もいないことがわかった。
看守用シェルター。
これはまた、何もない部屋だなぁ。
壁に埋め込まれた金属っぽいボックスがちょっときになるけど、とりあえず誰もいないからいいか。
次は倉庫。
積み上げられた段ボール箱の中から見えるのは、衣類かなにかかな。
一応ざっと見てみたけど、誰もいなかった。
トイレに一応行ってみよう。
入ってすぐ個室だったから、一応ノックして入った。
入ってみると、普通のトイレだった。
誰もいないなぁ。私が一番早く起きるなんて珍しいな。海未ちゃんがびっくりしそう。
最後に残った部屋を確認しようか。
キーを回してガチャッと。
真姫「!?」
おっと、これはまずい。シャワーを浴びたばかりの真姫ちゃんが立っている。
人類最速の速さでドアを閉めた。
真姫「ちょっと穂乃果!ノックくらいし
なさいよ!」
穂乃果「いいじゃん!女の子同士なんだ
からさ。」
真姫「それとこれとは別よ!」
穂乃果「いやー、もう本当申し訳な
い…」
なんとかなだめることに成功した。
穂乃果「真姫ちゃんが一番最初に起きて
たの?」
真姫「多分そうね。」
穂乃果「よく起きれたね。」
真姫「…ロクに眠れなかったわ。」
…そりゃ、そうか。
真姫「希、苦しそうだったわね。」
穂乃果「こんなことをした奴らを、後悔
させよう。」
真姫「できるなら、ね。」
…そうだ、私はまだ部屋を見回っていたんだった。
とはいえ、残る部屋は私のキーじゃ開かない囚人シェルターだけ。
とりあえず他のみんなが出てくるのを待とう。
次に出てきたのは、またも看守。
にこ「あ、早いわね。」
穂乃果「何してたのにこちゃん。遅いよ
ー。のんびりしすぎだよー。」
にこ「いや、そういうわけじゃないの
よ。」
にこ「隣室の誰かが出てくるのを待って
るの。」
え?
にこ「穂乃果は囚人の誰かを尋問し
た?」
本当のことを言えばことりちゃんを、危険にさらすことになる。
かといって、嘘をつけば、後々自分の首を絞めることになる。
穂乃果「正直昨日のことは頭がぐちゃぐ
ちゃで覚えてないよ。」
にこ「…無理もないわね。」
にこちゃんの表情に、悲しみが浮かんだ。信じてくれたようだ。
穂乃果「で、尋問がどうしたの?」
にこ「私の隣の人は自分のことを
模範囚、と名乗ったの。」
模範囚…?
にこ「なんでも、看守の質問に必ず正直
に答えなければならない、という
罪種らしいんだけど、」
穂乃果「へー。」
それ、まずくない?
にこ「だけどおかしいのよ、名前を聞い
ても一切答えてくれなかった。」
にこ「言うほど単純な理由じゃないきが
するのよ…」
__もし、看守に完全に協力的な罪種があったとしたら、
ことりちゃんが特定される可能性が、グッと高くなる。
…そうだ、殺人鬼以外の罪種もゲームに関わってくるんだよなぁ。
そっちのことを考えないと。
にこ「穂乃果、聞いてる?」
穂乃果「うん。で、にこちゃんは隣の人
と時間を合わせて出てきたって
こと?」
にこ「そ、よく分かったわね。」
よし、わりと上の空だったのを悟られずにすんだ。
穂乃果「もし、何か事情があって言えな
いだけなら、私は今から出るか
ら出てきて、と言えばいい。」
穂乃果「同時に出てきたら、言葉に出さ
なくても暗に自分が壁の向こう
の相手って示せるからね。」
にこ「ご名答、どうしたのよ一体。」
にこ「朝も粘って色々聞き出そうとした
けど無駄だったわ。」
穂乃果「で、出てくるのが遅れたんだ
ね。」
にこ「そういうことよ。」
穂乃果「にこちゃん、このゲームどうす
るつもり?」
にこ「未定、だけど考えるためには情報
は必須でしょ?」
下手に動かれても困る。
穂乃果「分からないけど、罠にはまるか
もしれないし、慎重に動いた方
がいいと思うよ。」
最近1日1レスくらいしか書けなくて本当申し訳ないです。ですが、必ず完結させたいと思いますので、長く付き合って頂ければ嬉しいです。
見てるよがんばって
ファイトだよ!!
にこ「例えば?」
穂乃果「例えば、特定の質問をされたら
その質問者を殺す、という罪種が
あるかも。」
にこ「…そうね、その場合、罪種名は何
になると思う?」
穂乃果「サイコキラー、とか。」
イマイチだったかな。
にこ「ジャンルが変わってるじゃない。
まぁ、慎重になるべきってのはもっ
ともね。」
どうやら切り返せたようだけど、2つ問題が提起された。
1つは、にこちゃんみたいに独自の考えでこのゲームを攻略しようとし始める可能性。
充分にありえるし、そのせいであらわにしたくない真実が浮き出ることもあるかもしれない。
そしてもう1つは、殺人鬼以外の罪種について。
口からでまかせだったけど、サイコキラーなみに命に関わる罪種がいてもおかしくない。
もしかしたら、共通ルールでは閲覧できない他の罪種こそ、このゲームの攻略のカギになるかもしれない…。
そんな時、囚人のドアが開いた。
凛「…おはよ。」
花陽「…おはよう。」
絵里「私としたことが、遅くなった
わ。」
3人の顔はよく眠れたとはお世辞にも言えなかった。
穂乃果「大丈夫だった?というか、何で3
人一緒なの?」
絵里「たまたまよ、私が外に出たら、外
で花陽を待ってる凛がいたから、
ついでに待ったの。」
花陽「ごめんね。出てくるタイミングが
掴めなくて…」
真姫「無事で良かったわ。」
…この中ににこちゃんと同室で、自分の名を明かさなかった人がいるのかな。
そして、にこちゃんもそんな事を考えながら、3人の顔を眺めているのか。
急に息苦しくなった気がした。
と、そこに新たな登場人物が。
亜里沙「…。」
機嫌があまり良さそうじゃない。
亜里沙「昨日、亜里沙の隣にいた人は誰
ですか?おかげで耳がまだわん
わん言ってるんですけど。」
亜里沙「凛さん?」
凛「え?あ、ちがうよ、凛は、」
真姫「凛の隣だったの私よ。」
っ…部屋が1つつながった。
亜里沙「じゃあ、お姉ちゃん?」
絵里「え?私じゃないわよ。」
亜里沙「じゃあ、海未さんかな。」
にこ「何があったのよ。」
亜里沙「マイクで大きな声出したせい
で、眠れなかったよ。」
にこ「大きな声?」
亜里沙「そうです。」
…それは、誰?
とりあえず、
穂乃果「まぁ、許してあげてよ。昨日あ
んなことがあったんだから。泣
くのも無理ないよ。」
…。
亜里沙「そうですね、すみません。皆さ
んの気持ちも知らずに。」
花陽「いいんだよ、亜里沙ちゃんも、疲
れてたもんね。」
凛「そうにゃ、そうにゃ。」
…一件落着。
それにしても、壁を隔てただけでこんなに分からなくなるなんて。
そんな時、
ドアが、開いた。
ことり「みんな、早いね。」
_動揺しちゃダメだ。
穂乃果「ことりちゃんが遅いんだよ
ー。」
軽口を叩いてみたけど、すぐ後悔した。
ことり「そうだね、寝坊はダメだよね。
希ちゃんにイジられちゃう。」
その表情に宿る悲しみは、セリフがなくても全員に伝わったと思う。
亜里沙「ことりさん、昨日私の隣でし
た?」
ことり「どうだろ、こめんね、変だと思
うけど、昨日は気がおかしくな
って、あまり覚えてないの。」
亜里沙「じゃあきっとことりさんだった
んですね。」
ことり「うん、そうかも。」
何だか、妙なことになってきたな…。
ことりちゃんは希ちゃんのことで泣き叫んだことになっていて、それが理由で亜里沙ちゃんの隣人とみなされる。
事実は違う。ことりちゃんの隣は私だったし、必然的に亜里沙ちゃんと隣なった人は別の人がいたはず。
けど、それを蒸し返すことには、何のメリットもない。
穂乃果「それより、未だにいない人が_」
切り出そうとしたその時、最後の看守が登場した。
雪穂「おはよう、ございます。」
雪穂「海未さんはどこに?」
穂乃果「相手は海未ちゃんだったの?」
雪穂「多分そう。敬語だったから。」
また、相手特定か、まずい。
絵里「その海未が最後の1人ね。珍しいこ
ともあるものだわ。」
花陽「なかなか出てこないねぇ。」
海未「全く困った人ですね。」
花陽「そうだね…って、」
花陽「うわっ!!」
穂乃果「海未ちゃん遅刻だよ!」
海未「違います。私はさっきからずっと
シェルターにいました。」
にこ「いたんかい!」
凛「囚人専用ってヤツ?」
海未「はい。大したことは分かりません
でしたが、私のキーで入れるのが
あそこだけでしたので。」
海未「知ってますか?囚人用シェルター
のドアの内側には、外の様子が見ら
れるモニターが付いています。」
ほう。
海未「シャワー室に入ろうとして凄いリ
アクションをとっている穂乃果が見
えたのですが。」
穂乃果「あぁ、あれはぁ〜、そのぉ
ー。」
絵里「まぁそれはそれとして、」
絵里「希に、全員で、挨拶をするべきだ
と思うの。」
穂乃果「よく分かんないけど、ちゃんと
全員、するべきだよね。」
…
……
………
流石に、顔を見るのはやめておいた。
あまりにも惨いし、本人も嫌がるだろうから。
だから私たちは、死体安置室に行って、眠っている希ちゃんのロッカーの前で黙祷した。
ながい黙祷だった。
ずっと目を閉じてると、やがて押し殺したみんなの嗚咽が聞こえた。
相当な時間の後、私たちは希ちゃんの死を受け入れた。
…
……
………
〜広間〜
雪穂「お腹減ってきましたね。」
真姫「冷蔵庫を開けなかったの?」
雪穂「まさか真姫さん、食べたんです
か!?」
真姫「ち、ちょっとね。」
海未「まぁ、しょうがないでしょう。こ
こにいる間、何も飲み食いしない
というわけにもいきませんし。」
海未「それより、看守側には冷蔵庫があ
ったのですね。」
穂乃果「囚人にはなかったの?」
…なかった事を、私は知っているけど。
ことり「無かったよ、ロッカーはあった
けど。」
穂乃果「ロッカー?」
ことりちゃんと目があう。
一瞬だったけど、それだけで、お互いとぼけよう。という合意が形成されたきがした。
絵里「あったわね。ロッカー。」
絵里「多分、対応するキーを持つ囚人な
ら開けられるんだと思うわ。私のじ
ゃ開かなかった。」
花陽「私のでも開きませんでした。」
ことり「んー、一緒だね。」
凛「凛は試してないにゃー。」
海未「私のも無理でした。」
これはこれでよくないな。まるで凛ちゃんがロッカーを開け忘れたように見える。
ロッカーが殺人鬼の凶器がしまわれているってことは、誰でも想像できる。
つまり、凛ちゃんが殺人鬼だという疑念が生まれかねない。
海未「この話は一旦終了しましょう。食
糧を探しませんか?腹が減っては
何もできませんし。」
今の海未ちゃんのセリフは、明らかに話題を逸らしたかったように聞こえた。
その意図まではわからなかったけど、これ以上話を続けたくなかった私は、それに同意した。
そこからは、結構なドタバタっぷりだった。
続きが気になる
さっき段ボールが山積みになってた倉庫部屋を数人で探索してみたら、思った以上に物資は充実していた。
まずは、食料品。
缶詰めの類が大量に出てきたけど、それにとどまらず、カレーや煮物のレトルト、イカやジャーキーといった乾物系もたくさんでてきた。
それどころか、奥からは生野菜や米がそのまま入った段ボールまででてきた。
更に、段ボールの陰からは冷蔵庫があり、中には肉や魚が入っていた。
しかも、電子レンジやら炊飯器やら、家電もたくさんあった。
まな板にボウル、道具もたくさんある。包丁は、見当たらない。
台所がないのに、調理用具はいっぱいあるな。
またその奥には衣類があった。
毎日着替えるべき下着や靴下など、最低限のものしか入っていない。
…で、更にその奥にはシーツや寝袋、非常時寄りの宿泊用具もあった。
要するに、衣食住全てがこの部屋にあるってこと。
凛「なんか、結局キャンプみたいだ
ね。」
散々倉庫の探索に手こずった後、取り敢えずお腹を満たそうという事で、カップ麺を食べた時には時間は正午を回っていた。
まぁ、タブレットの時計以外は、時間を感じ取れるものはないけど。
花陽「ことりちゃん、箸の持ち方綺麗だ
ねぇ。」
ことり「そう?」
にこ「立ち振る舞いが綺麗なのはいいと
ころね。」
ことり「えへへ、大和撫子には程遠いけ
どね。」
その後も他愛のない会話が続いた。
…。
海未「さて、全員お腹も膨れたところ
で、今後の方針について考えません
か?」
ー来た。
他のみんなも、やれやれみたいな表情をするけど、反対する人はいない。
海未「方向性を3つ提示しましょう。」
海未「1.本気でゲームをやる。
2.ケリをつける
3.死ぬ気で抵抗してみる。
どうしますか?」
穂乃果「ちょっと待って。」
海未「いきなりですか。」
穂乃果「話がいきなりすぎるよ!どれも
究極の選択っぽいし。」
海未「では、順を追って考えを言いま
す。」
海未ちゃんの話を端折るとこうだ。
まず、海未はこのゲームの目的について語り始めた。
このゲーム及びその管理者の目的を考えると、いくつかの可能性が排除できる。
例えば、命懸けのゲームをネタに誰かが賭博をしているという可能性。
海未ちゃんによれば、チームを分けて、その中でも役割を分け、更にその情報を伏せているという点が、賭博には不適切だという。
開始条件では公平じゃないと、賭博は成立しないというわけ。
次に、このゲームのルールを順守することで何かが生産されたり、参加者の死が何かの利益に繋がる可能性も否定した。
それこそ、営利誘拐でもなく、単なる一般市民を電気椅子で殺して、それで単純に利益が生じるビジネスがあるとは考えられない。
人身を海外に売り飛ばしたり、臓器をその筋に売るなり、もっといい方法はあるはず、ということ。
じゃあ考えられることは何か。
1つはこれが何かの実験ではないかという推測。
海未「このゲームには、いくつかの点で
意図的に葛藤や不信を引き起こそう
という要素が盛り込まれていま
す。」
海未「そういう状況下で、私たちがどう
いう反応をするかを試されている可
能性はあります。」
海未「参加者を囚人と看守に分けるとい
のは、過去にも心理実験といて行わ
れたことがありますし。」
…とのことらしい。
もう1つ考えられるのは、このゲームが純然たるエンターテイメントではないかという推測。
海未「罪種が伏せられている、という点
が、ここでも注目点になります。」
海未「これが例えば本気の心理ゲーム、
または、推理ゲームなら、罪種を
内容を全て明かした上で配役だけ
を伏せるべきです。」
海未「私たちは互いの言動から、誰がど
の罪種に当たったかを推理し、それ
で決断を行う論理ゲームが成立しま
す。」
海未「ですが、実際はそうではありませ
ん。私たちはほとんど目隠し状態
で、どんな致命的な罪種が潜んでい
るかハラハラしています。」
海未「実はこのハラハラこそが狙いだっ
たのではないのでしょうか。私たち
にそういう気分を味あわせることへ
の執念を感じます。」
絵里「つまり、参加者あるいは、観察者
の興奮の度合いを引き上げるたに、
知的ゲームとしての出来は犠牲にし
ているというわけね?」
海未「そのように思います。」
こちらも共感できなくもない話だ。
ゲームの目的から、主催者の意図がある程度読み取れる。つまり、欲しているものは金銭的利益ではない。
もしこれが実験なら、学術的利益。これが単なるエンターテイメントなら、得られるのは感情的利益。
感情的利益。つまり、私たちが苦しんだり憎んだりするのを見たい。
海未「あるいは、純粋にこのゲームを楽
しんでいるのかもしれませんね。」
だけど、だから何だって話でもある。
そこを指摘したら、こんな話が待っていた。
海未「主催者の意図は、この状況をどこ
まで維持したいか、ということに関
わってきます。」
海未「例えば、学術的目的なら、欲しい
データが取れれば満足かもしれませ
んし、実験の意味がなくなるような
状況になれば、中止するでしょ
う。」
海未「つまり、主催者が並の実験センス
を持っていれば、このゲームは調べ
たいことを必要十分に調べられる
内容になっているはずで、」
海未「ルール上ゲームが終了したら、私
たちをそれ以上拘束する理由がな
くなるはずてす。」
海未「ですが、主催者が私たちを憎んで
いて、何が何でも殺し合いをさせ
たいという場合。」
海未「ゲームがあっさり終わった時、多
少ルールを曲げてでも、ゲームを継
続したがるかもしれません。」
海未「例えば、すぐに殺人鬼が自首した
場合など。」
これを聞いた時、海未ちゃんが私たちの中の誰かをちらっと見た気がした。
ふむ…
海未「今までに会場を見回りましたが、
どんな部屋にも最低5個、この広間
には何10個かのカメラが仕掛けら
れていました。」
海未「ちょっと静かにしててください。
息もできるだけ抑えて。」
その後、海未ちゃんは、自分の青いキーホルダーを高く掲げて、裏面の金属のツメに軽く指をかけた。
__そこら中から、ジジジッというような、機械の音が聞こえた。
海未ちゃんの行動に対し、複数のカメラが反応した音だろう。
海未「このような感じで、無数のカメラ
やマイクが私たちの規律違反に目を
光らせています。」
海未「そして、私たちが規則に反する行
動をとった場合、違反者の処刑が
確定します。」
海未「長くなりましたが、私の結論を言
いましょう。」
海未「まず、ゲーム管理者がとんでもな
い大金をこんな変なゲームに使おう
という気があり、」
海未「更に、そのために一般人を拉致す
るというリスクも平気で犯す、そん
な人たちです。」
海未「更に、かなり強力な財力を有する
個人、または団体が相手でしょ
う。」
海未「反乱防止に手ぬかりがあるとは思
えません。暴動を起こしてもほぼ無
意味でしょう。」
海未「このことからやはり、何かしらの
感情的利益を得たがってる可能性
は高いです。」
海未「その場合、私たちの誰かが殺人鬼
を名乗り出て、ゲームが終わるかど
うかというところも不安です。」
海未「というわけで、一番まともと思わ
れる案は、1.本気でゲームをする、
です。」
海未「次に、リスクを否定できません
が、2.ケリをつける、」
海未「最後に、まず成功しないと思いま
すが、3.死ぬ気で抵抗する、です。」
海未「事実上、これ以外道はありませ
ん。どうしたいですか?」
全員、絶息したように無言だった。
雪穂「本気でゲームするってのは、殺し
合いをするってことですか?」
海未「そうなりますね。」
海未「一応言っておきますが、私はこの
中の誰に殺されても、誰が生き残っ
ても、絶対に憎みません。」
再び沈黙。
花陽「…私は殺し合いとか、嫌です
よ…」
にこ「私も流石に、ゲームをやろうって
いう気は出ないわ…」
にこ「ていうか、海未はゲームを楽しも
うっての?」
穂乃果「そういうことじゃないよ。」
穂乃果「海未ちゃんの言いたいことは分
かった。私からの提案。」
穂乃果「今日、誰も死ななかった。今の
ところ殺人鬼はゲームに参加する
気はないみたい。」
穂乃果「殺人鬼は立場的に一番弱いじゃ
ん?だからゲームに加担しても
おかしくないのに、耐えたんだよ。」
穂乃果「この状況で無理にゲームに駆り
立てる必要はないと思う。」
殺人鬼は誰も殺さず、この結果、正体は不明のままという状況は成立する。
つまり、殺人鬼を知っている人が1人必ずいるはずだ、と言われる心配は、まだないんだ。
元ネタのゲーム知らんのやけど
これってゲームの主催者はメンバーのうちの誰かなん?そういう謎解き?
>>135
すみません。ネタバレになるかも知れないので、その様な可能性もある、程度のコメントしかできません。
穂乃果「焦らなくていい。方向性で言え
ば3を狙う。」
絵里「ゲームに加担しないってこと
ね。」
絵里「…分かったわ、私は賛成。他
は?」
絵里ちゃんが言うと、全員それに賛成した。
にこ「まぁ、海未の意見もわかるけど、
さすがに無理だと思うわ。」
海未「それも自覚してます。」
…。
その後の方針。
とりあえず、疲れている人は倉庫のマットレスを使って、休む。
寝ない人は何か手を動かす。倉庫の整理やら、料理の準備、掃除など。
しばらくして、私は倉庫から一休みのためにでてきたところ。
倉庫には、いろんな家電があったけど、ブレーカーがひとつしかなく、家電を使いすぎると、照明も消える。
あ、亜里沙ちゃんが掃除してる。
穂乃果「亜里沙ちゃんお疲れー。」
亜里沙「あ、お疲れ様です。」
穂乃果「ごめんね、こんなことさせ
て。」
亜里沙「いえいえ!私も何か役に立ちた
いので。」
穂乃果「ありがとね!じゃ。」
亜里沙「あ、待ってください。」
穂乃果「え?何?」
亜里沙「嘘ついてる人、います。」
…?
亜里沙「穂乃果さんは誰も傷つけたくな
いと思ってるって言ってました
が、そう思ってない人もいると
いうことです。」
穂乃果「それはどういう、」
亜里沙「まだそれは言えません。それでは。」
…。
穂乃果「参ったな。」
とりあえず倉庫に戻ることにした。
ことり「あ、穂乃果ちゃんお疲れ。」
穂乃果「…あれ、にこちゃんと絵里ちゃ
んは?」
ことり「トイレが看守キーでしか開かな
いから、絵里ちゃんがにこちゃ
んに頼んで、2人でトイレに。」
2人きりか、話さなきゃ、ね。
穂乃果「昨日の夜の話だけど。」
ことりちゃんの表情が曇った。
言葉選びに気をつけないと。
穂乃果「とりあえず、私は何も言わない
から。」
穂乃果「ことりちゃんも自分からどうこ
うする必要はないし、するべきじ
ゃない。」
ことり「いいのかな…」
ことり「殺人鬼が[ピーーー]ば、ゲームは終わ
るんだよね?」
穂乃果「それ以上は言っちゃダメ。」
ことり「言っちゃえば、みんな__」
穂乃果「だああああ!」
自分が[ピーーー]ば皆が助かるみたいな物言いは全部危ないよ!
ことり「実は__」
穂乃果「あああ!」
ことり「殺人鬼は、」
穂乃果「おおおお!」
ことり「今日のおかずは、」
穂乃果「だーーー!」
プッ、とことりちゃんが吹き出して、
ことり「なんか、芸人さんみたい。」
ピーはわざと?
>>139 saga忘れただけです。
からかわれてたのか…。
ことり「ごめんね、ちょっと気を紛らわ
したくて。」
そう言われると、何も言えない。
穂乃果「…まぁ、作業に戻ろう。」
倉庫の段ボールの中身はまだ見終わってない。奥に行くほど生活にあまり関係ない物が出てきたけど、ここで案外、役に立つ物が出てくるかも知れないからやっぱ最後まで探すべきだよね。
意外なものが出てきた。カスタネット、ハーモニカやら、幼稚園で使う楽器が出てきた。
別の箱を開くと、リコーダーやら、アコーディオンが出てきた。
その箱をどけると、でかい箱があり、そこからは、大型の楽器ケースが入っていた。
穂乃果「すごいなぁ、軽音でもできるん
じゃない?」
ことり「楽器があったの?」
穂乃果「うん。」
悪くない物も見つけたし、探索を続けよう。
ことり「ねぇ、穂乃果ちゃん。」
ことり「そろそろみんな帰ってくるし、
早く済ませて合流しよう。」
穂乃果「そうだね。」
言うべきことは言っておこう。
穂乃果「できるかどうかわからないけ
ど、今夜も一緒の部屋にならな
い?」
ことり「それって…。」
穂乃果「絶対、壁は開くんでしょ?知っ
ている人は少ない方がいいも
ん。」
…。
ことり「考えようによっては、かなり大
胆なお誘いだね。」
ことり「できたらね。」
ことり「ちょっと出てくね。」
…。
19時頃、私たちは食事を始めた。所々話をしていて、雰囲気は悪くない。
どんなに辛い状況でも、食事をとれば、ちょっとは元気になる。
海未「ところで、ちょっと思いついたこ
とがあるんですが、いいですか?」
食事がひと段落ついたところで、海未ちゃんが切り出した。
海未「振り分け部屋には、ドアが5つあ
りましたよね。」
穂乃果「あったね。」
海未「それを左から1,2,3,4,4と名付けた
とします。」
海未「看守のドア1と囚人のドア1は繋が
っているんでしょうか。」
絵里「ないでしょう。あれは多分可動式
なんだと思うわ。1人通したら組み
替えてるんでしょう。だから、1人
しか通せないのよ。」
絵里「毎日ランダムに経路が変更される
んじゃない?」
海未「そうとは限りませんよ。単に部屋
の繋がりを分かりにくくするために
その仕掛けがあるのかもしれませ
ん。」
海未ちゃんの考えはこう。
囚人ドア1と看守ドア1みたいな単純な対応じゃないかもしれないけど、ドアの対応自体はあるんじゃないか。
海未「部屋の繋がりが毎日入れ替わるな
ら、私たちが自らドアを選ぶ必要が
なくなります。」
海未「部屋の繋がりを解明することで、
有利にゲームが進められると思いま
す。」
海未「もちろん、それを確かめるために
は情報の照合を行わなければなりま
せんが、私たちは既にヒントを得て
います。」
昨日の夜、隣の人がはっきりしている人、つまり、
真姫ー凛
雪穂ー海未のこと。
海未ちゃんによれば、囚人側では、左のドアから、凛ちゃん、花陽ちゃん、絵里ちゃん、ことりちゃん、海未ちゃんの順で入ったらしい。
看守側の順番も言った。
看守のドアを左からA.B.C.D.E、囚人のドアを左からa.b.c.d.eとすると、B(真姫ちゃん)とa(凛ちゃん)とD(雪穂)とe(海未ちゃん)が繋がっている可能性がある。
にこ「亜里沙ちゃんと、ことりは?」
海未「いや、確定したわけではありませ
ん。Aとdは一旦保留しましょ
う。」
__海未ちゃんはやっぱり切れるな。
実際はd(ことりちゃん)とA(亜里沙ちゃん)
じゃなく、E(私)と同室だったから、その慎重さは正解だ。
部屋割りが完璧に解明されると困るな。
誰がどの部屋に入ったか分かれば、顔を隠して嘘をつくことはできない。いずれ特定されるだろう。
今夜以降は気が動転していた、という言い訳は通用しないだろう。
かといって、部屋割りを調べるという試みを止める理由はない。
海未「今日はどう動きますか。」
穂乃果「とりあえず今日は、昨日と同じ
順でドアに入って昨日と同じか
どうかを試した方がいいんじゃ
ないかな。」
雪穂「ちょっとよく分かんない…。」
凛「凛もちょっとよくわかんないに
ゃ。」
花陽「ちょっと頭が混乱してて…。」
亜里沙「…。」
まぁ実際、分かりづらい話だ。
穂乃果「要するに、どのドアとどのドア
が繋がっているか確かめるってこ
と。」
雪穂「なるほど。」
穂乃果「とりあえず昨日と同じ順でドア
に部屋に入って、同じ組み合わ
せになるか確認しよう。」
穂乃果「じゃあ、これでいい?」
異論は出なかった。
時間がくるまで、交代にシャワーを浴びたて、時が流れるのを待った。
時間がきた。ブザーが鳴り響く。
穂乃果「じゃあ、昨日と同じ順で。」
海未「ですね。」
これで、ことりちゃんと一緒になれるはず。
振り分け部屋だ。
穂乃果「確認しておくけど、順番は1亜里
沙ちゃん、2真姫ちゃん、3にこ
ちゃん、4雪穂、5私でいいね?」
全員が頷く。
そして、ややあって扉が開いた。
__2番目のドア、が。
穂乃果「…え?」
雪穂「ちょっと、どういうこと!?」
にこ「そんなルールなかったはずよ。」
真姫「なかったわね。」
亜里沙「私が入る扉は…?」
そうだ。このドアは1分で閉まる。
穂乃果「亜里沙ちゃん!入って!」
咄嗟にそう叫んでいた。
亜里沙「でも、」
穂乃果「行って!時間がない。」
亜里沙ちゃんはドアに入った。この時点で昨日と同じ組み合わせはできなくなった。
でも、迷ってる暇はない。
穂乃果「次、真姫ちゃんで。」
にこ「いいの?順番が違って。」
穂乃果「迷ってる暇はないよ!」
にこ「…そうね。」
ドアが開いた。3番目のドア。
真姫「じゃあ行くわね。」
次のドアが開く。4番目のドア。
穂乃果「次、雪穂行って。」
雪穂「分かったよ。また明日。」
雪穂も退場。
残るはにこちゃんと2人。
にこ「次は穂乃果、行きなさい。」
穂乃果「いや、私が残る。」
このまま1番目のドアが開かない場合は、残った人は入る部屋がなく、時間が過ぎると処刑の対象となる。
穂乃果「行って、私の身に何かあった
ら、任せたよ。」
にこ「…分かったわ。穂乃果の望むよう
にしましょう。」
でも待って、もし囚人側が同じ順でドアに入ると、にこちゃんと鉢合わせしてしまう。それは避けたい。
穂乃果「待って、やっぱり私が行く
よ。」
にこ「…私もその方がいいと思うわ。」
穂乃果「ごめんね、じゃあ、時間ない
し、行くね。」
にこ「気にしないで。もう1つのドアも
開くかもしれないし。」
やりきれない思いだったけど、もう時間がないので、走って部屋に入った。
部屋は一見、昨日と全く同じ。よく似た部屋かもしれないけど、でも、ドアとドアが繋がってる説によると、ここは昨日と全く同じ部屋。
つまり、ことりちゃんが壁の向こうにいるはず。
マイクに向かって話しかけた。
穂乃果「ことりちゃん!?」
***「ナゼソウオモウノ?」
声で判別はできない。
…でも、ことりちゃんじゃない!
***「ナゼソウオモウノ?ネェホノカ
サン?」
私だと、バレてる。何故ばれたか?当然だ。私がこのドアを通るのは囚人側も知っている。
こうなれば、嘘で誤魔化すしかない。
穂乃果「なんだ、ことりちゃんじゃない
んだ。3分の1の確率にかけたけ
ど、残念だな。」
***「ナルホドネ」
納得してくれたようだ。
穂乃果「誰なの?」
***「ダレデモイイデショ?アナタニ
キガイハクワエナイ。」
穂乃果「花陽ちゃん?」
***「サァドウデショウ。」
囚人全員の名前を言ったけど、サァドウデショウの一点張り。
***「ショウガナイ。ヒトツダケオシ
エテアゲル。」
***「ワタシノザイシュハ密告者。」
穂乃果「密告、者?」
***「ソウ!ネームプレートニソウカ
イテアル。」
***「コノシュウジンハ、キリツノナ
イヨウニハンシテ、サツジンキガ
カンシュノナカニイルコトヲシッ
テイル。」
殺人鬼が、看守の中にいる?
殺人鬼は、ことりちゃんだ。
それは、私だけが知っている。
いや、違う。
私は別に本人から私は殺人鬼だ。という告白を受けたわけじゃない。
あの状況から、ことりちゃんは殺人鬼だと断定しだけ。
つまり、考えられるのは、
この人が嘘をついているか、
あの状況が殺人鬼によるものじゃないか、どっちか。
なんかこういうミステリーも混じってる奴って亜里沙キーパーソンなこと多い気がす
待って。
殺人鬼が看守の中にいるのなら、殺人鬼をどうやって殺す?
看守は、囚人を殺す権限しか持っていない。
…看守を殺せるのはことりちゃんだけ。
それから1人で考えたけど、全く話がまとまらなかった。
囚人側も、昨日と同じ順で入ることができなかった。
ことがちゃんはどこに入った?
__殺してないよね…?
考えているうちに、意識が遠のいていった。
…
……
………
起きるのはダルかったけど仕方ない。
時計を見ると、まだドアが開く前だった。
よく目が覚めたな、珍しい。自分でもそう思った。
目覚ましセットしなきゃいけないな。
まだドアが開くまで時間があるな。ふと机の中を開けてみた。
雑誌が、入っていた。
まさかこれ、私が呟いたから?
いや、それ以外考えられない。
監視は、完璧だなぁ。なおさら読めないよ。
しょうがないので、ドアが開くまでひたすら待った。
流石に1番乗りだった。
にこちゃんのことが気になる。
あの後、ちゃんとドアが開いたのかな?
死体安置室には、変化はない。
つまり、にこちゃんが死んで、ここに連れてこられたということはない。
…。
より確実なのは、昨日ことりちゃんが誰も殺さなかったこと。
でもそれは同時に、正体を知る人が増えたということでもある。
考えながら待つ。誰も出てこない。
今のうちに炊飯器をセットしておこう。
終えたところで、
真姫「おはよう。」
穂乃果「真姫ちゃん、おはよー。」
真姫「早いわね。」
穂乃果「自分でもびっくりだよ…あは
は。」
なんで会話してると、
にこ「おはよう。」
穂乃果「おお!にこちゃん大丈夫だった
んだね!」
にこ「ええ。あの後ちゃんと開いた
わ。」
良かった。これで心配事がひとつ減った。残ったのはことりちゃんが誰とあたったか。
…。
やがてみんな起きてきて、8時くらいになると、全員が起きていた。
誰も危害は受けなかったということ。とても安心したけど、それは逆にことりちゃんが同室の人を殺さなかったということ。
私以外の誰かが、ことりちゃんが殺人鬼だと知り、その上で平気な顔をしている。昨日の私みたいに。
みんな、好きに過ごしている中で、花陽ちゃんの顔色が悪い事に気がついた。
穂乃果「花陽ちゃん、どうしたの?」
こっそり話しかけてみた。
花陽「穂乃果ちゃん…。」
声も暗い。
花陽「あの…ちょっといいかな?」
口元を覆う仕草。内緒話のジェスチャーだ。まさか同室だったのは花陽ちゃんだったのかな。
私は耳を近づけた。
花陽ちゃんがためらいがちに言った。
花陽「キーを部屋に忘れたの。」
…。
それはつまり、夜個室が開けられなくなる。その時点で死が確定することと同じ。
穂乃果「本当…?」
花陽ちゃんは泣きそうな顔で頷いた。
穂乃果「ちょっと待ってて。」
私はそう言って、トイレに向かった。
トイレの中に入り、私は宙に向かって言った。
穂乃果「どうせ今も聞いてるんでしょ、
なら聞いて、花陽ちゃんが部屋
にキーを忘れたんだって。」
穂乃果「別に紛失したわけじゃないし、
こんなことでプレイヤーを減ら
すのは不本意じゃない?」
穂乃果「大目に見て、キーを持ってきて
よ…」
反応はない。やっぱ虫がよすぎるかな。
しょうがない。穏便に済ませたかったけど、みんなに伝えようか。
広間に戻ったら様子がおかしかった。
全員がタブレットを持つ海未ちゃんに集まっている。
穂乃果「どうしたの?」
海未ちゃんが無言でタブレットを向けた。
『監獄長より通達。囚人、小泉花陽がキーを自室に放置したことが判明した。』
『検討の結果、キーを返却することにした。今後同様のケースがあった場合、返却されないので注意せよ。』
『返却を受けるためには条件がある。』
『懲罰として、看守、高坂穂乃果は、囚人、小泉花陽にスタン警棒にて最小出力で5秒間通電せよ。』
__。
なんてこった…
ことり「なんで穂乃果ちゃんなの!?」
絵里「分からないけど、私たちのリーダ
ーとみなされたんじゃない?」
違う。私が言ったからだ。
海未「それで済んで良かったと言うべき
ですか…花陽、いいですか?」
花陽「は、い。」
さっきより増して、顔面蒼白な花陽ちゃん。
海未「穂乃果、スタン警棒を持ってきて
ください。」
穂乃果「どこにあるの?」
雪穂「あの、シェルターっていう部屋に
あったよ。」
配電ボックスみたいなもののふたを開けると、4本スタン警棒が入っていた。窪みは5つあるのに。
…今は後だ。
海未「済ませましょう。」
凛「かよちん!!」
花陽「大丈夫だよ、凛ちゃん。」
花陽「穂乃果ちゃん、頼んだよ。」
穂乃果「…」
花陽「何かやってくれたの?」
私だけに聞こえる小さい声。
穂乃果「こんなことになるはずじゃなか
った。ごめん。」
花陽「そんなことないよ、電気椅子より
はマシだもん。」
穂乃果「ごめんね。」
私は、花陽ちゃんの肩にスタン警棒の先をそっと当てて、最小出力に調整し、
そして、ボタンを押した。
花陽ちゃんの手をとって、
海未「何やっているんですか!」
5、4、3、
全身が激しく痙攣する。
2、1、0
…………………
どうやら、ことりちゃんに頬を張られて目が覚めたらしい。
ことり「なんて無茶なことをするの!」
穂乃果「ごめん。」
ことり「心配したんだよ…?」
穂乃果「…花陽ちゃんは?」
海未「だいぶ前に目が覚めましたよ。」
毛布にくるまっている花陽ちゃんがいた。手首には青いキーホルダー。
海未「あの後、執行人が来て置いていき
ました。手首に結びつけたのは私で
す。」
穂乃果「ナイスだよ、海未ちゃん。」
海未「朝からどんでもない騒ぎでした
ね。」
海未「それでは、ご飯にしましょう。切
り替えて忘れましょう。」
指先には通電した跡なのか、水ぶくれができていた。
…このくらいで済んで良かった。
傷のことも、花陽ちゃんのことも。
ご飯を食べた後は、ゲームの攻略について話し合った。
結論から言うと、何も出なかった。
囚人側も看守側と同じで、ドアが変則的に開いたようだ。
最初は左のドアが開いたらしいけど、3番目のドア(c)と4番目のドア(d)が逆に開いたらしい。
その時に看守側と同じように、ドタバタして、ことりちゃんが絵里ちゃんの前に入ったことで順番がズレた。
cもdも、接続先が不明なドアだ。一応、結果的にDを通った雪穂と、これまた結果的にeに入った海未ちゃんが同室だったということで、ドアとドアが繋がっているという仮説はまだ有効だ。
けど、他がどうもおかしい。
亜里沙ちゃんが入った部屋は前日に真姫ちゃんが凛ちゃんに会った部屋で、仮説が正しければ、亜里沙ちゃんは凛ちゃんに会うはずだった。
でも、証明はとれなかった。
亜里沙「ずっと、何言っても黙ってたん
です。殺人鬼かと思いましたよ。」
凛「凛の相手もそうだったよ!いくら話
しかけてもさ、だから、亜里沙ちゃ
んじゃないみたいだね。」
それどころか、
真姫「私と話してたの、ことりでし
ょ?」
ことり「え?相手の人、ずっと黙ってた
よ。だから、こっちからも話しか
けてないよ。」
真姫「おかしいわね。」
海未「穂乃果はどうでした?」
穂乃果「喋ったには喋ったけど、誰かは
よく分からなかったよ。」
海未「花陽はどうですか?」
花陽「あ、私の方も相手が、黙ってて、
こっちも話しかけられなかった
よ。」
にこ「私もそうね。だから私も黙って
た。」
絵里「私もそれね。」
…なに?これ。
海未「黙ってたと証言した看守はにこだ
け、黙ってたと証言した囚人は3
人、数が合いません、誰か、事実と
違う証言をしていますね。」
海未「といいますか、話しかけられなか
ったから、話さなかった、というこ
とがありえるんですか?」
海未「普通は自分から話しかけるんじゃ
ないんですか?」
穂乃果「本当のことを言えない理由があ
るんじゃない?」
海未「どういうことですか?」
穂乃果「罪種の縛り。正体がバレると死
ぬとか色々あるかもしれないよ?」
穂乃果「じゃないとあえて非協力的にな
る理由がないよ。」
海未「…」
海未「となると、部屋の繋がりを調べる
のは無理ですね。無駄足踏ませてす
みません。」
苦い顔で謝る海未ちゃん。かすかに苛立ちが見える。
でも、無駄足なんかじゃない。
沈黙している何人かは、相手に対して何らかの情報を掴んだから黙っているはず。
そんなことをしていると、もう正午を回っていた。
私には1つ気になることがあった。
穂乃果「看守ちょっと集まって。」
看守用シェルターに入って、ドアを閉じる。
穂乃果「で、集まってもらった理由だけ
ど…」
全員、表情がない。
表情が消えるほど緊張していた。
…やりにくいなぁ。
でも仕方ない。
穂乃果「スタンガン、今持ってるの
誰?」
私が取り出そうとした時にはもう取り出されていた。
互いに顔を見合わせる4人。
ややあって。
雪穂「私が取ったよ。」
穂乃果「何でそんなものもってるの、必
要ないでしょ。」
雪穂「無きゃいいけどね。」
穂乃果「どういう意味?」
雪穂「もしもの時にね、護身用ってやつ
だよ。」
にこ「雪穂ちゃんの言うことにも一理あ
るわね。」
穂乃果「にこちゃんまで…」
にこ「穂乃果の気持ちも分かるわ、でも
考えて、私たちが囚人に対して有利
な点は、毎日1人づつ処刑できるこ
と。けど、それ以外に何がある?」
にこ「このスタンガンだけ。」
穂乃果「…そもそも処刑はしないでし
ょ。」
にこ「そうね。でも囚人側はどう考えて
るかわからないわ。」
穂乃果「分けて考えないでよ、全員友達
みたいなものでしょ。」
にこ「気持ちは分かるわ。」
けど、現実を見なさい。みたいな顔をした。
知ってるよ。だから私は第四の選択肢を選んだ。
にこ「穂乃果は雪穂ちゃんにスタンガン
を戻せっていうの?」
穂乃果「そのつもり。」
にこ「雪穂ちゃん、ちょっと貸して。」
にこ「ありがと、で、」
にこ「これから全員がスタンガンを持
つ。いいわね?」
…
にこちゃんはスタンガンの先を私に向けていた。
ふむ
穂乃果「本気でやってるの?」
にこ「もちろん、本気じゃないわ。で
も、こんなってしまったとき、私
たちは抵抗する方法がないわ。」
にこ「看守間の発言力を保つためにも、
携帯するべきだと思う。これは私か
らのお願い。」
その後、私たちはスタンガンを携帯することになった。
極力、囚人を刺激せず、見えないように携行する。囚人には、看守間の発言力を保つため、と執行人に抵抗するためだ、とよく伝えること。
これを互いに確認することになった。
嘘をつかせるシステム。
嘘がある以上、疑念が生まれる。
プレイヤーを2つに分けるというルール。
これにより、他人に対する疑念が、相手チームに対する疑念に替わっていく。
相手の行動に敏感になり、尋問や密談が行われるようになる。
今の私たちのように。
………
シェルターから出て何時間経っただろうか。倉庫で探し物をしていた2人が出てきた。
雪穂「ちょっと見て欲しいものがありま
す。」
花陽「奥からこんなものが…」
珍しい組み合わせだな。なんて思っいると、なにやら2人がみんなに服を見せた。
これって…
正真正銘、音ノ木坂学院の制服だった。
海未「決まりましたね。開催者は私たち
が音ノ木坂学院の生徒だと知ってて
誘拐した。」
海未「私たちが来てからスペアを用意し
た可能性もありますが、手間を考え
ますと、ちょっとかんがえにくいで
すね。」
海未「一体どこの誰なんでしょうね…」
服が見つかってよかった、とはとても思えない状況だなぁ。
…
夜ご飯が終わり、各自自由時間になり、ことりちゃんと目があった。
話とかないといけないよね。
ことり「ちょっと…」
トイレの方を指差す。囚人と看守なら自然な退場の仕方。
…
ことり「どうしたの?」
穂乃果「昨日、誰と一緒になったの?」
ことり「…」
穂乃果「言えないの?」
ことり「ごめん…」
穂乃果「これで、ことりちゃんのことを
知りつつ、黙っている人が2人。
ばれないで済む確率は上がった
のはいいことだね。」
ことり「穂乃果ちゃん…」
ことり「今日一緒の部屋にならない?」
ことり「私は海未ちゃんが入ったドアに
入るから、穂乃果ちゃんは雪穂
ちゃんが入ったドアに入って。」
穂乃果「…分かった。」
…
トイレから出ると絵里ちゃんがいた。
絵里「感心できないわね。ちょっと長い
んじゃない?」
穂乃果「ごめん、長くなった。」
絵里「まぁいいわ。で、今日の部屋割り
はどうするつもり?」
穂乃果「やめとこう。」
絵里「というと?」
穂乃果「特定のドアは確かに繋がってい
ると思う。」
絵里「なぜ、そう思うの。」
穂乃果「昨日の部屋割りでいうと、亜里
沙ちゃんと凛ちゃんは同質なは
ずなのに、どっちも呼びかけた
のに返事が無かった。としてる。」
穂乃果「でも、看守は囚人と比べて嘘を
つく理由があまりないと思わな
い?」
中々興味深いSSだな
支援
面白い
トガビトか
続きが気になる
続きが気になって仕方ないSSナンバーワンだ
すみません>>1です。
訳あってもう少し書けない状態が
続きそうです。
来週の水曜日くらいから
書きたいと思いますので
もうしばらくお待ちください。
頑張れ。途中で終わったら消化不良すぎるから。
ええで
気長に待ってるからエタるのだけはやめてくれ
>>1です。
これから再開していきたいと思います。
絵里「罪種のことが無いから、という意
味なら賛成ね。」
辺りを見回し、声を一層低めて言った。
穂乃果「私は亜里沙ちゃんが本当のこと
を言ってて、凛ちゃんが嘘をつ
いてると思ってる。」
穂乃果「おそらく、初日に真姫ちゃんに
普通に対応したのはルールが分
かってなかったから。」
穂乃果「その後、凛ちゃんは自分の罪種
を確認し、自分の正体を隠した
方がいいと考えた。だから、嘘
をついた。」
穂乃果「でも、ここでミスをしてい
る。」
絵里「亜里沙につられて自分も呼びかけ
たが返事が無かった、と言ってしま
った。」
穂乃果「そう。」
相手も自分も黙っていた、なら、同じ主張が何件もある以上、全員黙っていた、という可能性がある。
ところが、亜里沙ちゃんも凛ちゃんも自分は呼びかけた、と言っている。
看守、囚人側どちらにも凛ちゃん、または亜里沙ちゃんの声を聞いた人がいるから、どこかに嘘があるのは間違いない。
絵里「まぁ、なくは無いわね。憶測すぎ
て信じるのは無理だけど。」
絵里「で、それがなんだっていうの?」
穂乃果「もしこの憶測が正しかったら、
少なくとも凛ちゃんは、ドア同
士が繋がっているのを確信した
事になるよね。」
穂乃果「他にも、一方的にドアの繋がり
を認識して、その上で黙ってい
る人がいてもおかしくない。」
穂乃果「喋らない方が不利、という理由
もあるけど、喋らない方が有利、
という理由もある。」
穂乃果「長くなったけど、一方的に情報
を持っている人がいる状態で部屋
割りをすると情報を悪用されか
ねない、と思う。」
絵里ちゃんは黙った後、言った。
絵里「例えば、殺人鬼が誰かを殺したい
と願っていて、その人と同室になれ
る。」
穂乃果「そういうこと。」
絵里「私は、穂乃果はゲームに参加しな
いスタンスだと思ってた。」
穂乃果「基本はね。」
絵里「…なんだ、安心した。」
穂乃果「ん?」
絵里「穂乃果もいろいろ考えてるの
ね。」
穂乃果「むー。ヒドいよ絵里ちゃん!」
絵里「正直、今まで、何も起きなかった
のは奇跡だと思う。」
絵里「私たちは、スクールアイドル、友
達として強い絆で結ばれている。で
も、逆にもろくもある。」
絵里「自覚してるんじゃない?」
穂乃果「…ノーコメント。」
絵里「まぁ、そんな折に、中心人物が平
和ボケしてるよりは、緊張感があっ
た方が、安心できるって意味よ。」
…?
絵里「ともあれ、分かったわ今日の
ところは部屋割は避ける方向で。」
穂乃果「あぁ、そうだ。」
穂乃果「絵里ちゃん、昨日私と同室だっ
た?」
…
絵里「…なぜ、そう思ったの?」
なぜ、か。
確たる答えがあったわけじゃない。
でも、とんでもなく重要な見落としがようやく明るみに出そうな気がする。
穂乃果「…いや、何でもない。鎌かけて
みただけだよ。」
絵里「疑わしいようなことがある?」
穂乃果「絵里ちゃんも呼びかけられなか
ったから、呼びかけなかった、
って言ってる1人だからね。」
絵里「へぇ…なるほど。」
絵里「そういえば、穂乃果は初日でただ1
人、動転して相手がわからなかった
と言った看守よね。」
絵里「私の主張と、中身は同じ気がする
わね。」
___言われちゃったか。
穂乃果「だから、何?」
絵里「私にはこのゲームが殺人鬼が延々
と殺人を回避できるような生易しい
ゲームではないと思うの。」
絵里「何らかの方法で、同室者を殺すこ
とを強要する仕組みがあるはずと思
うのよね。」
…!
絵里「その仕組みを、誰かが沈黙を守る
ことで、無理やり歪めているように
思えてならないの。」
絵里「もしかしたら殺人鬼を知っている
看守もいるかもしれない。誰と誰
なのかしらね、一体。」
絵里「きっと気が動転して、次の日の行
動で不審を晒したはず。」
…気付いてるの!?
穂乃果「…やめよう。」
絵里「…」
平然を装うのに、かなり苦労した。
穂乃果「現段階でこんなこと言うのもよ
くないよ。」
絵里「そうね…」
もうちょっと噛み付いてくるかと思ったのに。
絵里「…ひとつ、いいかしら?」
穂乃果「ん?」
絵里「…今のところは、誰も悪くない。
例え嘘をついている人がいたとし
ても、それは、ゲームにやらされ
ていること。」
絵里「もし、海未の第3案がうまく行く前
に、ゲームが動いてしまったら、私
は殺人鬼を告発して、できるだけ多
くの人が助かるべきだと思ってる。」
そうか、
絵里ちゃんは、殺人鬼を見つけることでゲームを終わらすという道を捨てたわけじゃないんだ。
そして、絵里ちゃんは更に正論を言う。
ゲームが最低1人の血を求めているのならば、血は1人に留めるべき。
ごもっともだ。
きっと、ことりちゃんもこう考えているに違いない。
だから、させちゃいけない。
絵里「信じてくれないかもしれないけ
ど、私は穂乃果を頼りにしてるわ。
色々言いすぎたのは不安のせい。」
絵里「…ごめんなさい。」
頼むからエタりだけはしないでくれ
応援してる
あとこれスタンフォード監獄実験以外に何か元ネタあるのか?
とがびとの旋律ににてね?
>>178
俺もスタンフォードかとスレタイで思った
スタンフォード大学の実験って学生が看守と囚人に分かれて実験したやつ?
ググッたらトガビトノセンリツだな元ネタ
まんま同じプリズナーゲーム
>>182
マジやん
元ネタってかp
穂乃果「気にしてないよ。」
絵里「良かった…」
絵里「…あと30分ないわね。」
絵里「大事が無いことを祈ってる。」
穂乃果「うん。」
…
海未「時間ですね。」
海未「部屋割りはどうします?穂乃
果。」
穂乃果「適当で。」
驚いた人もいるようだ。
穂乃果「同じ組み合わせじゃ埒があかな
い。変化を狙いたい。」
納得してくれたようだ。
その後、看守シェルターに看守全員が移動する。
忘れておかないように、警棒を返しておかないと。
戻って間もなく、ブザーが鳴った。
看守と囚人に分かれ、それぞれのドアをくぐった。
雪穂「で、適当ってどうするの?」
穂乃果「私はあとの方でいいけど…」
亜里沙「どうしたんですか?」
ちょっとばかし書き溜めました。
投下したいと思います。
穂乃果「ちょっとお手洗いが…」
真姫「行っときなさいよ…」
穂乃果「えへへ…」
真姫「本当に適当いいの?」
穂乃果「いいんじゃない?」
穂乃果「囚人側に組み合わせを知られな
いのが一番の狙いだし。」
にこ「知られると何か困るの?」
穂乃果「わかんないけどさ…」
穂乃果「呼びかけたけど返事がなかっ
た、って言った看守が複数い
て、それを聞いた囚人がいない
ってことは。」
穂乃果「聞いた上でワザと黙ってた。つ
まり囚人側の方が情報量的に優
位なんだ、今。」
穂乃果「特に何があるとかじゃないけ
ど、あまりこっちが誰かわから
なくしたほうがいい。」
にこ「じゃあ尋問時もあまり自分を明か
さないほうがいいと。」
穂乃果「状況によるけど、一方的に明か
すのはやめたほうがいいかも。」
にこ「確かにそうね。」
そんなことを話していると、ドアが開いた。左から2番目、Bのドアが。
にこ「順番に開ける気はないようね。」
にこ「入っていい?」
穂乃果「いいんじゃない?」
異論は出ない。
にこ「じゃあ、先に。」
そう言って、ドアをくぐっていった。
真姫「にこちゃん、何かあったのかし
ら。」
穂乃果「え?何で。」
真姫「あんまり一番に入る人じゃないじ
ゃない?」
穂乃果「まぁ、気にしないで大丈夫でし
ょ。」
次のドアが開いた。真ん中、Cのドア。
雪穂「じゃあ私行くね。」
これにも異論は出ない。
ドアをくぐっていった。
Dのドアが開いた。
落ち着け。
穂乃果「ごめん、ちょっと限界。」
これにも異論は、
出た。
亜里沙「あと1分くらい我慢できますよ
ね?」
待っ__
そう言って、ドアをくぐっていった。
穂乃果「っ…」
まずい…!
亜里沙ちゃんがどういうつもりか知らないけど、亜里沙ちゃんと殺人鬼が同室になってしまう…!
真姫「穂乃果、亜里沙ちゃんと何かあっ
たの?」
穂乃果「知らないよ!」
真姫「穂乃果は素直ね。みんなの為に嘘
をついているのね。」
真姫ちゃんがどこまで察しているかを考えなければいけない。
でも、
これが今一番欲しかった言葉、そして、一番貰ってはいけない言葉であり、戸惑った。
Aのドアが開いた。
穂乃果「真姫ちゃん行きなよ。」
真姫「いいの?」
穂乃果「うん…」
真姫「頑張るのよ。」
真姫ちゃん退場。
ややあってドアEが開く。
繋がっているのはdの部屋。さて誰が。
…
…なんで、
…何で私はこんな簡単なことに気づかなかったの!?
私はドアに飛び込んだ。
部屋に入っても筆記具は見当たらなかったので、ルールブックにあとをつけてメモ代わりにする。
D(雪穂)の部屋とe(海未)の部屋。
B(真姫)の部屋とa(凛)の部屋。
そして、E(私)の部屋とd(ことり)の部屋
更に、A(亜里沙)の部屋とc(絵里)の部屋を組み合わせると、
必然的に残るはC(にこ)の部屋とb(花陽)の部屋。
被りはない。
もちろん確定じゃない。
2日目を思い出す。
にこちゃんは相手が模範囚と言った。
表が正しければ模範囚=花陽となる。
雪穂と海未ちゃん。亜里沙ちゃんと凛ちゃん。真姫ちゃんと、花陽ちゃんか。
で、残りの2部屋。
私と絵里ちゃん。
密告者と名乗ったのは絵里ちゃんということになる。
あれは罪種を隠すためのものなのかな…
取り敢えず気をつけよう。
そして、
にこちゃんとことりちゃん。
にこちゃんは確か、看守で唯一、呼びかけられなかったので、呼びかけなかった、と言った人。
嘘か…
にこちゃんはことりちゃんが殺人鬼だと知りつつも言わなかった。
シェルターでの一件はにこちゃんらしくない言動だった。
…全員をゲームを進める方に誘導しているとか?
更に、さっきの一件。
にこちゃんが一番最初のドアにくぐった。
もし、考えすぎじゃないとしたら?
明確な意図を持って、Bのドアをくぐったとしたら。
…にこちゃんの身になったら、一番会いたいのは誰か。
当然ことりちゃん。
いや、ことりちゃんはeのドアをくぐると言った。
穂乃果「わけがわからないよ!」
???「ドウシタノデスカ?」
穂乃果「海未ちゃん…」
???「ホノカデスカ?」
穂乃果「うん…」
穂乃果「因みに海未ちゃんの罪種は
何?」
???「ムジツノツミデス。」
穂乃果「ごまかしてる?」
???「ゴマカシテマセン。プレートノ
ナイヨウヲヨミマショウカ?」
穂乃果「いや、いいよ。」
???「トクニナニモノウリョクハアリ
マセンネ。」
嘘を言っているとは思えない。
???「ナニヲサケンデイタノデス
カ?」
言っていいのだろうか。
穂乃果「内緒。」
その後はとめどない会話が続いた。
ようやく、少しだけ気分を紛らすことができた。
???「ソウイエバザイシュガヒトツワ
カリマシタ。」
穂乃果「誰に聞いたの!?」
???「ソレハイエマセンガ『革命家』
トイウザイシュデス。」
穂乃果「革命家?」
穂乃果「それは何ができるの?」
???「ナニモデキマセン。」
穂乃果「は?」
???「ジブンカラハナニモデキナ
イ。」
???「革命家ノノウリョクハ、シンダ
トキニハッセイシマス。」
???「革命家ガシンダトドウジニスベ
テノキーガカイシュウサレ、
ソノゴ、カンシュトシュウジン
ガイレカワッテ、キーガハイフ
サレルヨウデス。」
穂乃果「大富豪における、革命ルールみ
たいだね。」
???「イシキシテルノハマチガイナサ
ソウデスネ。」
穂乃果「そんな能力に何の意味がある
の?」
???「カンシュトシテハ、ショケイシ
ニククナリマス。」
???「カンシュガショケイスルコトジ
タイタメラウノデハナイデショ
ウカ?」
穂乃果「なるほどね。」
穂乃果「逆に、仲間である囚人から狙わ
れることにもなる。」
???「ソウデスネ。」
そうか、そういうことか。
革命家の死を望むのは誰か。
殺人鬼だ。
革命家が[ピーーー]ば、殺人鬼じゃなくなる。
待って、そうだとしたら、
>>191
革命家が死ねば、殺人鬼じゃなくなる。
saga忘れて申し訳ない。
穂乃果「海未ちゃん、何でこの情報を教
えたの?」
???「ナンデデショウネ。」
どうにせよ、この情報を使わないし、使ってはならない。
穂乃果「私、寝るね?」
穂乃果「明日は反乱の決行。それで私た
ちは外に出る。」
???「ウマクイクトイイデスネ。」
穂乃果「うん…」
それ以降、私たちは黙った。
…
……
…………
もうちょっと溜めてあるんですが、今全部投下した方がいいですか?
うん
4日目
__いけない。
また目覚ましをかけ忘れた。
8時15分。寝坊だ。
何人かは起きてるだろうな。
広間に出たけど、誰もいない。
確かめなければいけないことがある。
__死体安置室には、新しい死体は増えてなかった。
よかった…
広間のテーブルに座ったところに、誰かがドアを開けた。
雪穂「おはよう…」
雪穂「大丈夫?お姉ちゃん。あまりよく
寝られてなさそうな顔だけど。」
穂乃果「雪穂もね。」
雪穂「ちょっとね…」
そんな時、看守のドアが開いた。
亜里沙「…」
穂乃果「おはよう…」
亜里沙「おはようございます…」
雪穂「そ、それにして遅いね、囚人のみ
なさん。」
穂乃果「そうだね…」
無駄な時間過ごすのもいやだし、米でも炊こうとしたその時、
照明が落ちた。
雪穂「え!?停電!?」
亜里沙「なんなの。」
すぐに思い当たる節あった。
穂乃果「ブレーカーがおちたんでし
ょ。」
テーブルの下に常備灯が…あった。
穂乃果「行ってくるよ。」
亜里沙「待って下さい。私も行きま
す。」
雪穂「じゃあ私も。」
穂乃果「大丈夫だって。」
倉庫にて。
穂乃果「なるほどね。」
コンセントには炊飯器が刺さっていた。
誰かが炊飯器のタイマーをかけていて、それが今始まってブレーカーがおちたらしい。
雪穂「あ、もしかして、昨日ご飯食べた
時家電つなぎっぱかも。」
穂乃果「あとで見にいこう。取り敢えず
これはずすね。」
プラグを抜き、ブレーカーのスイッチを押し戻した。
灯りが戻ってきた。
それと同時に、開きっぱなしの倉庫の扉から、顔を出した人がいた。
にこ「解決した?」
穂乃果「見ての通り、にこちゃんも出て
きたの?」
にこ「ライトがなくなってたから誰かが
直しに行ってるとは思ってたけ
ど、不安だったわ。」
穂乃果「取り敢えず、広間に戻ろう。」
広間に戻ると、凛ちゃんが不安げに立っていた。
凛「あ!みんなー!」
凛「誰もいないから不安だったにゃ…」
穂乃果「もう大丈夫。」
ちょうどその時、囚人のドアが開いた。
ことり「おはよう…」
ことり「みんなちょっと遅い?」
にこ「まだ起きてないのが3人、いや、
4人ね。」
絵里ちゃん、花陽ちゃん、海未ちゃん、真姫ちゃんがまだ起きてないのか。
にこ「寝坊でアウトとか、しゃれになら
ないわよ。」
待つことしばし。
絵里「おそろいね。」
海未「だから言ったでしょう、気にしす
ぎだと。」
囚人のドアから同時に現れた。
穂乃果「遅いよー」
絵里「私はちょっと早かったけど、念の
ため誰かと一緒に出ようと思って
ね。」
ことり「念のため?」
海未「外で何かあった時にアリバイのた
めにってことでしょう。」
亜里沙「あと13分で9時ですね…」
穂乃果「花陽ちゃんと同室だった人
は?」
返事はない。
穂乃果「真姫ちゃんと同室だった人
は?」
これも返事はない。
1分2分とほぼ無言の状態が続く。
やがで、10分たったところで、
花陽「遅くなりましたぁ!」
よかった。
が、
真姫ちゃんはまだか。
穂乃果「あ…」
そういえば、これまでって、真姫ちゃんは、
穂乃果「風呂かも。」
にこ「え?」
穂乃果「これまでって大体、7時台に起
きて、風呂入ってたから。」
海未「なるほど。」
花陽「私、行きますから。」
絵里「花陽だけじゃ鍵を開けられない
わ、亜里沙、一緒に行ってやりな
さい。」
亜里沙「う、うん。」
穂乃果「何もないといいけど。」
そう言おうとした途端、
悲鳴が、響いた。
何かあった!?
穂乃果「っ…!」
何とか鍵を外し、脱衣所に飛び込んだ。
へたり込む雪穂と花陽ちゃん。
いやな予感はしていた。風呂で倒れこむとか。
こんな、
こんな、ひどい。
シャワールームの真ん中に真姫ちゃんは横たわっていた。
バスタオルを巻いただけの姿。
天井を見上げている。いや、その瞳には何も映っていない。
真姫ちゃんの
不器用で可愛らしい、我らμ'sの作曲家の命は、
傷から流れ出て、只の汚水となってしまった。
時間がかかった。
尊厳を重んじながら遺体を運び出すのに。
全員、泣き叫んで、そこら中を暴れ回っていたいだろうに。
でも、
最終的には、大泣きしながら、ことりちゃんが体を洗い、服を着せた。
そして、にこちゃんと私と海未ちゃんで担架に乗せ、運んだ。
すっかり、冷たくなっていた。
私たちは必要以上に、現場の洗浄に腐心した。
現場の保存は鉄則かもしれないが、そんな場合じゃない。
ある者は歯を食いしばって、
ある者は嗚咽しながら、
血の匂いがしなくなるまで、洗い続けた。
一通りの作業が終わったら、後は、沈黙するしかなかった。
全員、表情がなかった。
なぜ、こんなことに、
これで全て水の泡だ。
穂乃果「なんで、なんで真姫ちゃんが死
ななきゃならないの。」
海未「…」
海未「あなた達がみんな、問題に対処す
る心構えがあるのでしたら、問題
提起します。」
絵里「頼むわ…」
海未「あと、思ったより私自身のショッ
クが強く、あまり進める気になり
ません。」
海未「もう、真姫と話せないとなると、
やりきれませんね…」
再び、沈黙する。
私は、何もできなかった。
役立たずだ。
どれくらい経っただろうか。
花陽ちゃんが挙手した。
花陽「私が言うようなことじゃないかも
しれないけど、ちゃんと話したほ
うがいいと思う。」
花陽「このまま黙っていると、決定的な
破綻がおきる。そう思う。」
凛「かよちん…」
海未「異論がある人。」
海未「ことり、どう思います?」
ことり「全然そうすべきだよ。許される
ことじゃないし。」
海未「にこはどうです?」
にこ「答えられるのは1つ。」
にこ「私は真姫ちゃんを傷つけた人を絶
対に許さない。」
海未「そうですか。」
海未「亜里沙は?」
亜里沙「…」
返答に答えず、椅子から降りると、
亜里沙「はい。」
看守のキー!?
亜里沙「今日1日任せます。」
海未「穂乃果は?」
穂乃果「もう何もしたくない。」
海未「座して待っていても、時間切れが
来るだけですよ。」
穂乃果「これ以上仲間を疑うくらいなら
死んだほうがマシだよ。」
あー…
言ってしまった。
雪穂「何言ってんの?」
全員ドン引きした表情。
穂乃果「最初から思ってた。」
穂乃果「そうしたらみんなの顔を色眼鏡
で見なくてもよかったのに…!」
言いたいことを言った。
疑いたくも、憎みたくもなかった。
でも、こうなった以上、
私は殺人者を憎む。
穂乃果「海未ちゃん、初めていいよ。」
海未「穂乃果…」
海未「じゃあ始めます。」
海未「西木野真姫殺しの、検証を。」
スッゲェ面白い
ミステリー系少ないから期待してる
大分書き溜めました。今から投下します。
大分書き溜めました。今から投下します。
連投申し訳ない
海未「どうやってこんなことが起きたか、そ
こを明らかにしたいと思います。」
海未「次に、前提について話します。」
海未「真姫が死んだのはルールによるものじ
ゃありません。ルールによる死は処
刑、ですからね。」
閉鎖空間に、死体が一つ。
ルール違反がなければ、犯人は残りの9人の誰か。
そして、この瞬間、本当のプリズナーゲームが始まった。
長い長い、終わりの始まり。
海未「つまり、ルール違反により真姫が死ぬ
ことになったら、執行方法は電気椅子
になってたはずです。」
海未「以上から、必然的に殺人鬼ではなく、
殺人者は私たちのなかにいます。」
海未「さっきの片付けの間、亜里沙に協力し
てもらって、ざっと全ての部屋を回ら
せて頂きました。」
いつの間に…
海未「その結果、犯行現場は勿論、どの部屋
にも凶器が転がっているようなことは
ありませんでした。」
海未「つまり、どこかに隠されているか、殺
人者が未だに身につけているかどっち
かということになります。」
その後、軽く身体検査をした。結論を言えば、それで何かが出てくるということはなかった。
海未「…やはり、凶器の正体と所在は最大の
懸案事項ですね。」
絵里「台所の包丁じゃないの?たくさんある
から、混ぜればバレないんじゃない?」
花陽「それはどうかなぁ…」
絵里「…なにかあるの?」
花陽「ここの刃物は切れ味の悪いものしかな
いの。」
花陽「あとはフードプロセッサーとか、人
を…その、殺せるようなものは見当た
らないよ。」
海未「真姫の命を奪ったものは、それなりに
刃渡の長い、鋭利な刃物だと思いま
す。」
海未「まぁ、倉庫かどこかを探せばある、と
も考えられますね。」
海未「一番ありそうなのは、殺人鬼か、その
他の罪種の持ち物、っていう仮説です
が、憶測に過ぎません。」
海未「今は凶器の入手経路から、誰かを特定
するのは無理なので、放置しておきま
しょう。」
海未「現場に残っていた雨合羽は、倉庫に同
じものがありました。」
海未「しかし、どこから取ってきたかははっ
きりしません。」
海未「おそらく、殺人者はこれを着て、濡れ
たり返り血を浴びたりするのを防いだ
と思われます。」
海未「どうやって真姫に近づき、殺し、何食
わぬ顔で合流したか、そこが大事でし
ょう。」
そこから、今朝あったことをまとめた。
まず大体8時15分、私が広間に入った。
次、5分後くらいに、雪穂が出て、私と会ってる。次、すぐに亜里沙ちゃんが出てきた。喋っているとブレーカーが落ちた。
原因は炊飯器のタイマーがオンになったから。確認したところ、この時間は8時半。
ブレーカーを戻したところで、にこちゃんに会った。
にこちゃんが部屋から出てきたのは8時半過ぎ、広間に入ったら真っ暗だったというから、辻褄が合う。
…で、私たちが戻ると、凛ちゃんが1人でいた。凛ちゃんが出てきたのは、8時40分くはいだったらしい。
そして、ことりちゃんが出てきた。
次に出てきたのは、絵里ちゃんと海未ちゃん。8時45分に出ようとしたけど、絵里ちゃんが出るのが先になり、海未ちゃんは1分間、通路が空くまで待った。
で、最後に花陽ちゃん。出てきたのが8時55分。ギリギリだったなぁ〜。
真姫ちゃんが出てきたのは、おそらく前と同じ7時ちょうど〜7時15分くらいの間。
更に、シャワー時間は長くて1時間くらいのものだろう。よって、犯行時間は7時〜8時15分あたりとなる。
これらをまとめると、数人は確実に容疑から外れる。
海未「それは私とことり、花陽です。この4
人は、囚人のドアから出てくる姿を複数
人からみられています。」
海未「囚人ドア、看守ドア、どちらも、一度
出たら夜まで入れない。」
海未「真姫が昨日の夜に殺されたはずがない
ので、この4人に犯行は不可能です。」
穂乃果「ドアから出てきたところを見られた
ならOKなら、私も雪穂と亜里沙ちゃ
んを見てるよ。」
海未「これが単独犯って決まっていれば、そ
れを証拠にしてもいいんですけどね。」
そういうことか…
穂乃果「それにしても、亜里沙ちゃんは外し
ていいんじゃない?」
雪穂「そうですよ。私も出てくるのを見てま
すし。」
海未「確定とは言えませんが、私も亜里沙は
リストから外していいと思います。」
現状、容疑者は4人。
私、雪穂、にこちゃん、凛ちゃん。
選択肢は5つ。
全体的に遅れてきた凛ちゃん以外の囚人が容疑から逃れて、先行して出てきた看守に疑いがかかる形になった。
更に、私は自分と雪穂が犯人ではないと知っているから、実質は、にこちゃん、凛ちゃん、そして真姫ちゃん自身。
ことり「ねぇ、この件、殺人鬼が殺人者って
いう可能性はないの?」
ことり「殺人鬼は夜の間、安全に相手を害せ
るから、わざわざ外で殺す意味はな
いよね。」
つまり、唯一の囚人側容疑者の凛ちゃんを擁護したいんだ。
海未「いくらでも可能性は考えられます
よ。」
海未「どうやってやったかに話を戻しましょ
う。」
海未「まず、シャワー室と広間を繋ぐ廊下は1
本。」
海未「シャワー室は倉庫の向かいなので、倉
庫と広間を行き来するのも、基本的に
同じ廊下を使うことになります。」
海未「この廊下はこの広間から丸見えで
す。」
海未「廊下を移動すると広間に人がいる場
合、まず見つかります。」
海未「シャワー室のドアは、開閉すると、そ
れなりに音がします。」
海未「ですので、もし倉庫に人がいて、ドア
が開いていたら、シャワー室から誰か
出てきたところで気づく可能性が高い
です。」
海未「シャワー室で殺人した人が、気づかれ
ずに廊下で広間に戻るのは、広間も倉
庫も無人でないと無理です。」
海未「…」
海未「結論で言えば、現時点で一番怪しいの
は穂乃果、あなたです。」
穂乃果「私が、真姫ちゃんの次に起きたか
ら?」
海未「そうです。」
ことり「で、でも穂乃果ちゃんは違うんでし
ょう!?」
絵里「そもそも看守が看守を殺す意味がない
わ。」
穂乃果「どうやってやったか、の話だから
ね。」
穂乃果「海未ちゃんは、私が一番殺人に有利
な条件にいた、って言っただけで、
私はそれを認めただけだよ。」
海未「そういうことです。そして、穂乃果以
外が犯人なら、面倒な手順を踏む必要
があります。」
海未「まず、雪穂、亜里沙…これは、登場時
に広間にいた全員が共犯でなければな
りませんので、一旦置いておきます。」
海未「問題なのが、凛とにこ。この2人は看
守のドア、囚人のドアから出てくるの
を見られていない。」
海未「犯行時間は7時〜8時15分。この2人が
みんなと会うよりだいぶ前です。」
海未「もしこの2人が殺人者であれば、」
海未「犯行後どこかに潜み、その後、皆に見
えないように広間に出て、合流する必
要があります。」
花陽「でも、廊下は使えない。」
海未「そういうことです。潜伏場所として最
適なのが、シェルターですね。」
海未「どちらのシェルターも、モニター付き
で外の様子を見て、いいタイミング
で、外に出られますし。」
海未「ドアが廊下側と広間側にあるので、広
間側に出れば、普通に個室から出てき
たみたいに振る舞えます。」
凛「そ、そんな、凛、ちゃんと部屋から出た
よ!」
花陽「海未ちゃんはただ、情報を整理してる
だけだから大丈夫。」
にこ「その通りね。」
海未「とにかく、方法論的な観点から言え
ば、結論はこうです。」
海未「犯行が可能だったのは、
1.穂乃果(及び共犯者)、
2.にこ、
3凛、
4真姫自身、
という事になります。」
絵里「ちょっといい?」
続きは明日で
はよ
それでは投下します。
海未「何ですか?」
絵里「ブレーカーが落ちた原因についてだけ
ど、昨晩、夕飯の時に放置されてた電
気ポットと、広間の仮眠所で電源入り
っぱなしだった電気毛布が原因だった。」
絵里「今回ブレーカーが落ちることで、一時
的に広間が無人な状態が作られている。」
絵里「8時半に炊飯器をセットしたのは
誰?」
花陽「私、です。」
絵里「となると、一層穂乃果が不利な状況に
なるわね。」
穂乃果「…何で?」
絵里「計画的犯行だから、逃げるとこまで計
画に入っていたはず。」
絵里「つまり、凛やにこが殺人者なら、自分
で設定してないと話が合わない。」
絵里「花陽がタイマーをかけている以上、ふ
が落ちたのは偶然で凛、にこは殺人者
じゃない。」
絵里「だから、シェルターに隠れなくて済む
穂乃果が有利。」
穂乃果「私が殺人者だとしても、計画がずさ
んすぎるよ。」
穂乃果「いくら私がバカでも、アリバイ工作
くらい考えるし、こんな明らかに疑
わしい状況になるわけないよ。」
海未「アリバイがある人の方が怪しい、って
こともありますしね。」
海未「一旦この辺で切りましょう。私はもう
少し調べたい事があります。」
海未「しばらく、3人組に分かれての集団行
動をしましょう。」
反論は出ず、グループ分けが決まる。
私、海未ちゃん、ことりちゃん。
雪穂、凛ちゃん、花陽ちゃん。
亜里沙ちゃん、絵里ちゃん、にこちゃん。
ー囚人シェルター
海未「…で、穂乃果、あなたがやったのです
か?」
穂乃果「やるわけないでしょ!」
ことり「だ、だよね。動機もないし…」
海未「動機ありますよ、穂乃果は。」
穂乃果「…ん?」
海未「本気で全滅したいって思ってるでしょ
う?」
穂乃果「悪い?」
海未「どうです、ことり。」
ことり「…本気?」
穂乃果「理想論だけどね。」
ことり「どういうこと?全滅するなんて、理
想に置く意味がわからないよ…」
穂乃果「こんなゲームに付き合わなきゃ、10
日で全滅するでしょ。」
穂乃果「逆に言えば、全員死ぬ代わりに、誰
も憎まなくていい、殺さなくていい!」
穂乃果「それを求めて、何が悪いの?」
ことり「それは、逃げだと思うよ。」
穂乃果「逃げ…?」
ことり「ゲーム主催者はそんなの何とも思わ
ないよ。」
穂乃果「分からないでしょ。」
ことり「違うよ、穂乃果ちゃん、命をかけて
抵抗するって言ったじゃん、悪い人
をやっつけないと、戦ったことにな
らないよ。」
…
…言いたいことは痛いほどわかる。
ことり「…ごめん。」
穂乃果「謝らないでよ。」
海未「穂乃果がそういう主義を持っている以
上、結論が無理心中に変わってもあり
得ると思えます。」
海未「容疑から外れたければ、何か別の証拠
が必要ですよ。」
海未「…だめですね。やっぱり私は探偵には
なれませんね。」
穂乃果「海未ちゃん、しょっちゅう抜けてる
しね。」
海未「何ですか!だいたい穂乃果は…」ガミガミ
ことり「あはは…」
いつもの風景。
やっぱり海未ちゃんはこうでないと。
ことり「ところでさ。」
ことり「みんな、殺人鬼って誰だと思う?」
穂乃果「!?」
何を言い出すの!?
海未「ノーコメントですね。」
穂乃果「右に同じ。」
ことり「そ、そう?」
海未ちゃんも、やっぱり気付いてるのかな。
穂乃果「外、行こう。」
ことり「そうだね。」
海未「実を言えばですね。」
そんな言葉に引き止められる。
海未「穂乃果を擁護するような事は言えなく
もなんですよ。」
ことり「そうなの?」
海未「はい。しかしそうすると、残り2人の
うちどちらかから、犯人を選ぶ流れに
なるかもしれません。」
海未「それも、どうなんでしょう。」
犯人を見つけたら、その後、どうするのか。
海未「参りましたね。こんなロクでもない展
開になるとは…」
ー倉庫ー
海未「お邪魔しますね。」
雪穂「あぁ、海未さん。」
倉庫には雪穂、凛ちゃん、花陽ちゃんの3人がいた。
雪穂は硬い表情。
凛ちゃんは怯えた表情。
花陽ちゃんは1人、おにぎりを握ってはお盆に並べていた。
穂乃果「炊き出し?」
花陽「はい!こんな状況だからこそ脳に糖分
を補給しないとね!」
あ、そういえばお腹すいてきた。
穂乃果「ごめん、一個だけ…」
花陽「あ、いいよ。」
ことり「ずるい〜。」
穂乃果「ありがと_」
雪穂「待って。」
雪穂の手にはスタン警棒。
雪穂「悪く思わないでほしいけど、疑いが晴
れてない人はみんなの食べるものに触
ってほしくない。」
雪穂「…例え、お姉ちゃんだとしても。」
穂乃果「じゃあ雪穂、提案がある。」
穂乃果「私と凛ちゃんとにこちゃんを雑居房
に入れて。」
海未「…穂乃果…」
雑居房。処刑室の隣の、鉄格子付きの部屋。
穂乃果「こんなことで、揉め事を起こしたく
ない。」
穂乃果「安心でしょ?」
雪穂「…別にそんなつもりじゃ。」
穂乃果「じゃあ亜里沙ちゃんに頼む。」
穂乃果「ご飯くらいは差し入れてよね。」
花陽「え?あ、もちろんだよ。」
穂乃果「行こう、海未ちゃん。」
海未「っ…!」
ことり「待って!」
ギスギスしてきちゃったよ…
ー広間ー
絵里「…」
亜里沙「…」
にこ「…」
広間にいた3人は、険悪なムードだった。
穂乃果「にこちゃん、提案がある。」
にこ「何?」
穂乃果「私達、脅威になってるみたい。海未
ちゃんの調べが終わるまで雑居房に
入っておかない?」
にこ「…」
穂乃果「凛ちゃん、いい?」
凛「凛は言うとうりにするよ…」
穂乃果「ありがと、にこちゃん、どう?」
断る理由は、にこちゃんには無いと思ってた。
だから
にこ「私は今、警棒を亜里沙ちゃんに預けた
上で、亜里沙ちゃんと絵里に監視され
ながらここに座っている。」
にこ「これ以上何かをすべきだとは思わな
い。」
拒否されるとは思ってなかった。
穂乃果「…だけど。」
にこ「深く考えなさい。私達を雑居房に閉じ
込めるということは、私達のキーを外
の看守に預けるってことでしょ。」
そう、なるね。
にこ「悪いけど、亜里沙ちゃんと、雪穂ちゃ
んなら、警棒を持っていても5対2にな
ると抑え込まれてしまうわ。」
ことり「そんなことしないよ!」
にこ「そう言ってて、真姫ちゃんは殺され
た。」
絶句するしかない。
にこ「気持ちは分かる。でも今はバランスが
大事なの。」
絵里「私もそう思うわ。」
絵里「居心地は悪いけど、新しい事実が分か
るまで、この状況を維持した方がい
い。」
穂乃果「…」
穂乃果「…亜里沙ちゃん、これは返す。あ
と、これも預かってて。」
亜里沙「…穂乃果さん。」
にこ「分かってくれないのね。」
穂乃果「こうしてギスギスし続けて、事態が
好転するとは思えない。」
穂乃果「そもそも海未ちゃんに何を期待して
るの?殺人犯を見つけてくれるって?」
穂乃果「その人を処刑して、ついでにゲーム
に勝って、それでハッピーエンド?」
穂乃果「私は、そんな事には絶対加担しな
い。」
穂乃果「後は煮るなり焼くなり好きにし
て。」
海未「穂乃果、こっちを向いて下さい。」
穂乃果「え?」
振り返った途端、
頬に思い切り、ビンタが入った。
思い切りのいい、鋭い一撃だった。
花陽「っ!!」
海未「貴女ねぇ…」
海未「こんな目にあって、頭に来るのは分か
りますがいじけるのはやめにして下さ
い。」
海未「穂乃果のやろうとしたことは、純然た
る逃げ、ですよ。」
海未「それをやったところで誰に勝てる?今
頭に来てる相手、貴女の仲間に精神的
ダメージが行くだけです。」
…
海未「仲間を殺すくらいなら自分が死ぬ?立
派じゃないですか、一貫して下さい。」
海未「仲間割れを、最後まで邪魔し続けなさ
い。それが貴女の勝利条件です。」
何も、言えなかった。
不思議と苛立ちは綺麗に消え去った。
海未「貴女たちも聞いてください。」
海未「私も今、相当頭に来てます。」
海未「穂乃果が裏工作を打ちまくって、それ
もこれも全部貴女たちのためなのに、
貴女たちは全く尊重しない。」
海未「穂乃果が、真姫を殺すわけないでしょ
う。」
絵里「でも、さっき穂乃果が第一容疑者だっ
て言ったのは貴女よ。」
海未「私は、穂乃果にとって有利な証拠が一
つもないだけで、穂乃果が殺人者なん
て一言も言ってません。」
海未「さらに言いますと、私はその時で最も
誠実な答えを言いました。憶測と状況
証拠で、別の誰かに不利な事だって言
えたのに。」
海未「にも関わらず、貴女たちは自分から何
かしようとはしていない。考えすらせ
ずに、この中で最も無害な人を非難す
る。」
海未「…私達の勝敗は、既にゲームの勝敗と
は別次元のところにあります。」
海未「ゲームを、単にクリアしただけで勝利
できるものじゃなくなってきています。」
海未「勝利条件は、各々で探すべきです。肝
に銘じて、穂乃果を疑うという宇宙一
無駄な行為より、ましな事に頭を使う
べきだと、私は提言します。」
その言葉に答える人はいなかった。
海未ちゃんがここまでの剣幕を見せた事は、これまでに一度もなかった。」
亜里沙「よく分かりませんが、穂乃果さん、
やっぱりこれは預かってください。」
無理矢理、ポケットの中にキーを2本ねじ込んできた。
にこ「そう、言われてもね。」
にこ「別に穂乃果を疑ってる訳じゃないけど
口で無害とか言われても信用は得られ
ないんじゃない?」
海未「状況証拠で良かったら聞かせてあげま
しょう。」
にこ「構わないわ。」
海未「昨晩、私は穂乃果と同室でした。」
海未「私は穂乃果が8時15分に部屋を出よう
とするのを、マイクで聞きました。」
にこ「何ですぐに言わないのよ。」
海未「私の証言に証拠能力はありません。」
海未「ですが、あまりに他の誰も信じないか
ら言う事にしました。」
海未「状況をまとめますと、私は穂乃果を殺
人者だとは思えませんし、根拠となる
理由もあります。」
海未「これを信用するかどうかは、貴女たち
次第ですが。」
返事はない。
海未「因みに、穂乃果が容疑者から外れれ
ば、共犯でしか成り立たない雪穂と亜
里沙も自動的に容疑から外れます。」
海未「望み通り、あと2人にまで絞り込めま
したよ…」
海未「お望みなら、もう一歩踏み込んでもい
いですが。」
凛「そんな必要、ないよ。」
誰も、予想してなかった。
凛「私が、真姫ちゃんを殺したから。」
こんな事を言うなんて_
いいね
支援
海未「待ってくだ_」
凛「待たないよ。」
花陽「凛ちゃん!?」
凛「牢に入るべきは、海未ちゃんの言う通
り、穂乃果ちゃんではなく凛。」
凛「方法については言えない。言ったら凛
は処刑になるかもだから。」
それは、つまり_
凛「悪いけど私は生きたい。私は殺人鬼じ
ゃないから死でみんなに貢献できるこ
ともできない。」
凛「それでも報復したいなら、」
凛「死刑にすればいいだろう。」
まるで別人のような声。今にも飛びかかってきそうな、危険な声。
凛ちゃんが突然向いた牙にみんなが戸惑う。
凛「…」
いつもの可愛らしい目とはまるで似つかないこちらを丸呑みするような目で私を睨む。
穂乃果「じゃあ、」
穂乃果「なんで、真姫ちゃんを殺したの。」
凛「言ったよね。」
無表情になる花陽ちゃん。
凛「凛は死にたくないし、死んでも意味の
ない囚人。」
凛「だから殺人鬼が動くのを待った。で
も、殺人鬼には殺す気はないらしい。」
凛「あぁするしかなかった。」
凛ちゃんは一歩踏み出した。
私の方に。
私は気押され、一歩引く。
呑まれる。
穂乃果「…看守を、全滅させるの?」
凛「分かりやすく言ってくれてどうも。」
また、一歩。
次は耐えた。
穂乃果「私も、殺す?」
凛「可能なら勿論だよ。」
穂乃果「にこちゃんも、雪穂も、亜里沙ちゃ
んも殺すの?」
凛「1人目で、とっくに覚悟は済んでる
よ。」
穂乃果「じゃあ聞くけど。」
凛「何?」
穂乃果「何であんな酷い殺し方をしたの!」
穂乃果「海未ちゃんと間近で傷を見たから知
ってるの!」
穂乃果「死んでからも何度も何度も切りつけ
て!!」
穂乃果「何であんな事をやったの!?」
凛「…」
凛ちゃんは一歩も引かない。
凛「あぁなるほど。」
凛「納得がしたいだけか。」
_え?
凛「凛の動機を知って何になるの?」
凛「あぁ、こいつはそんな事で殺したのか
って勝手に納得して悦に入る?」
凛「憎かったんだよ!!」
怒号、絶叫。どう呼ぶべきか。聴く者の心を切り裂くような声。
にこ「あんたねぇ…」
海未「やめないさい!にこ!」
凛「来るの?来いよ!どいつもこいつも
来て凛を殺せばいい!」
凛「見下してみたら?」
凛「ねぇ、こうさかほのかぁ!」
穂乃果「その辺にして。」
凛「…」
凛ちゃんの表情が一瞬だけ消えた。
もう、後ろには引かない。
凛「ーーーーー!!!」
叫びとともに、飛びかかってきた。
穂乃果「海未ちゃん、ことりちゃん、そっち
押さえて!」
海未「え、は、はい!」
ことり「分かったよ!」
凛「離せ!」
穂乃果「雪穂!雑居房開けて!」
雪穂「う、うん!」
凛「離せ!離せ!」
暴れる凛ちゃんの耳元で、
穂乃果「後で話を聞くよ。」
小さく囁いた。
凛「…」
凛ちゃんが暴れるのを止める。
穂乃果「頭冷やしてて。」
凛ちゃんを雑居房に入れた。
あぁ、先が見えない。
穂乃果「ちょっと様子見てて。」
にこ「どこに行く気?」
穂乃果「私も、頭を冷やしてくる。」
絵里「3人組よ。」
海未「ことり、行きましょう。」
ことり「うん…」
ーシャワー室ー
海未「で、何だったんですか?さっきの
は。」
穂乃果「ん?」
海未「とぼけないでください。さっきの、最
後に穂乃果が凛にブツブツ言って急に
凛が黙ったでしょう。」
穂乃果「私がわかったのは、凛ちゃんは真姫
ちゃんを殺してないってこと。」
ことり「え?」
海未「待ってください。何であの状況からそ
んな回答に至ったのですか?」
穂乃果「全然気づいてないんだ。」
海未「っ…で何でですか?」
穂乃果「ことりちゃんも気づいていいはずだ
よ。」
ことり「ごめんね…分からないよ。」
穂乃果「…」
穂乃果「死んでからも、何度も何度も切りつ
けて」
海未「…!」
ことり「あっ…!」
真姫ちゃんの遺体を間近で見た私たちは知っている。
あの傷は何度も切りつけてはいない。
凛ちゃんは、そこを指摘しなかった。
穂乃果「凛ちゃんは、あの傷をつけてない。
話したことはデタラメってこと。」
穂乃果「何か訳があると思った。だから、こ
の場は凛ちゃんが望んだ結果、殺人
犯として隔離するところまでやっ
た。」
海未「不覚、です。」
ことり「でも、これからどうする?」
ことり「凛ちゃんをずっと牢に入れておく
の?」
考えないとな…
穂乃果「あんまりこっちにいても怪しまれ
る。戻ろうか。」
穂乃果「とにかく刺激を避ける。いい?」
海未「ですね。」
見通しは、甘かった。
にこ「だから本人が言ってんだから間違いな
いでしょ!」
絵里「待って!殺人者と殺人鬼は必ずしも一
致しないのよ!」
にこ「でも、一致する可能性はあるわ!凶器
を手に入れられたことの説明にもなる!」
絵里「にこ!そんな無責任なこと言わない
で。」
穂乃果「なんの騒ぎ!?」
亜里沙「…凛さんを処刑するかどうかを話し
ているらしいです。」
…えぇ!?
穂乃果「どういこと!?様子見ててって言っ
ただけで何でそんな話になるの!」
雪穂「だ、だって凛さん、真姫さんを殺した
んでしょ?」
海未「いやいや、待ってください。まだ決ま
ったわけじゃありませんし、ここで手
を出したら監獄長の思うつぼですよ。」
穂乃果「にこちゃんもそういう事言わないで
よ!」
にこ「言ったわよね。私は真姫ちゃんを殺し
た人を許さない。」
にこ「聞くけど、凛を擁護する正当な理由は
あるの?」
あってもまだ言えない….
にこ「擁護しているのは囚人ばかり。」
にこ「自分たちの都合で庇ってるだけじゃな
いとどうして言えるの?」
穂乃果「にこちゃん…」
まずい。
亜里沙「ちょっと待ってください!私もそん
なのよくないと思います。」
亜里沙「花陽さんだっているのに。」
振り向くと、花陽ちゃんは雑居房の格子戸の前にいた。
これまでだね。
考える余裕はもうない。
穂乃果「私に免じて、処刑はやめて。」
雪穂「え?」
穂乃果「この上で凛ちゃんを傷付けるような
事になったら、死ぬ。」
雪穂「…は?」
穂乃果「死ぬって言ってんの。」
絵里「穂乃果…」
にこ「負けた。あんたが少しでも腹積りがあ
ってそう言ってくれてる事を願うわ。」
綱渡りだけど、取り敢えず先の予定は立った。
私は次の言葉を選びながら回りを見渡して、
花陽「ねぇ、亜里沙ちゃん。凛ちゃんを出し
てあげて?」
亜里沙「今はこうしておくのがお互いに良い
と思いますよ。」
あ、花陽ちゃんの説得もしないとだね。
その時、こちらに背を向けていた亜里沙ちゃんが、ふっとしゃがんだ。
…?
何でしゃがむ?
一歩近づいて、その時見えた。
床に滴る何か液状のものが落ちるのを。
赤い、液状の物が床に落ちて、丸く跡を残す。
花陽「…」
花陽「だから、素直にキーを渡せばいいの
に。」
亜里沙「ぁ…あぅ…」
何か、起きちゃいけない事が起きている。
穂乃果「何し_」
花陽「こないで。」
花陽ちゃんが手を引いて亜利 里沙ちゃんの体が引きずられる。
さっきのはしゃがんだんじゃなく、腹を手で押さえてた!?
その手の隙間から、血が溢れている!
穂乃果「亜里沙ちゃん!」
花陽「もう喋らなくていいよ。」
握られているのは、カッターナイフ?それも大型の。
穂乃果「やめて!」
花陽「あ、亜里沙ちゃんを使えばほ乃果ちゃ
んにお願いできる。」
既に全員、異変に気付いていた。でも、状況の異常さに、全員石になったように動けない。
花陽「穂乃果ちゃん、亜里沙ちゃんがキーを
穂乃果ちゃんに渡したらしいね。」
花陽「…ちょうだい?」
花陽「あ、みんな、あの警棒、捨ててくれ
る?」
花陽ちゃんを侮ってた。
花陽「穂乃果ちゃん以外、みんな持ってたよ
ね。」
穂乃果「みんな、頼むよ。」
雪穂「な、なんで…」
穂乃果「こんなところで死者を出すわけには
いかないよ。」
にこ「…」
にこちゃんは両手の平を上に向けて見せ、
にこ「言ったでしょ、私は警棒を持ってな
い。亜里沙ちゃんに預けたから。」
そう答えた。
花陽「絵里ちゃん。」
絵里「…何?」
花陽「囚人シェルターのドアを開けて。」
どこまで抜け目がないの。
シェルターに警棒を投げ入れさせられた。
ドアを閉めれば、看守は警棒を取り返せなくなる。
花陽「亜里沙ちゃんのは私がもらうね。」
花陽「出して。」
亜里沙「…離して……」
花陽「出したら離してあげるよ。」
震える手で、服の中のポケットから警棒を抜く。
亜里沙ちゃんがスタン警棒を差し出し、花陽ちゃんがそれを受け取る。
更にもう一本、花陽ちゃんは一本をポケットに、一本を左手で握りしめた。
花陽「じゃあ、穂乃果ちゃん。」
凛「かよちん!」
凛「何やってるの!?」
花陽「穂乃果ちゃん、ドア開けてよ。」
穂乃果「…うん。」
鍵を外す。
花陽「凛ちゃん、あはっ。」
亜里沙ちゃんを投げ出し、凛ちゃんの方へ駈け出す。
ことり「亜里沙ちゃん!」
ことり「お腹じゃなくて手か…大丈夫、安心
してね、誰か救急箱を_」
そっちは任せた。
花陽「入ってこないで。」
格子戸を開こうとした私を牽制する。
あろうことか、カッターの切り先を凛ちゃんに向けて。
花陽ちゃんが、刃を振るった。
穂乃果「馬鹿!」
花陽「うるさいな、殺しちゃうよ?凛ちゃん
を。」
完全に、狂ってる…
花陽「ずっとここにいようか、あぁ、でも夜
にはここを戻らなきゃダメだよね。ど
うしよう。」
花陽(いつから、私はこんなにおかしくなっち
ゃったんだろ)
一か八か、飛びかかって取り押えるしかない。
そう、思ったところで、
意識が途切れた。
はよ
支援
気がついたら物凄く話進んでるな
佳境には入ってるのか
保守
…
……
………
頭がいたい。
1度めを開けたら、その光景について考えざるを得なくなった。
どこなの?
粗末なベットに、粗末な机、粗末な便器。
ここは…囚人の部屋?
初日に見たのが、確かこんな感じの部屋だったはず。
いや待って。
なんで、ここにいるの?
というか、なんで記憶がとんでんの?
完全に記憶がない。
???「起キタノ、穂乃果チャン。」
穂乃果「ことりちゃん!?」
穂乃果「一体何があったの?なんで私、ここ
にいるの!?」
???「…」
穂乃果「ねぇ!」
???「花陽チャンガ、死ンダンダ…」
穂乃果「………え。」
言葉が継なげない。花陽ちゃんが死んだ?
???「ソノ後、執行人ガ出テ来テ、ミンナ
ヲスタンガンデ気絶サセテキーヲ奪
ッテイッタノ。」
???「気付イタラ、看守ノ部屋ニイタヨ。
役割ガ入レ替ワッタミタイダネ。」
それは、
革命家の能力。
革命家が死亡した時、看守と囚人の役割が入れ替わる…!
でも、花陽ちゃんは模範囚のはず…何か理由でもあるのかな。
いや、それよりも
穂乃果「なんで、花陽ちゃんが死んだの…」
装備で圧倒的優位に立っていた。もし、抑え込んだとしても、反撃を食らって大けがする可能性が高い。
いや、押さえこんだなら、死んだということにつながらない。
しかも、私が気を失った理由と結びつかない。
???「看守ノ権限デ、処刑サレタ。」
穂乃果「……は?」
あり得ない。
そんなことに同意してない_
いや、処刑をするには、タブレットに看守全員の5つのキーを差し込んで執行許可を行う必要がある。
そうか…
穂乃果「…私は、キーを奪われた。」
穂乃果「誰かわかんないけど、もう一本スタ
ンガンを隠し持っていて、気絶させ
てキーを奪った。」
穂乃果「真姫ちゃんのぶんか。」
おそらく、脱ぎ捨てられてた服とかに入っていたのを、誰かが拾った。そして、スタンガンを取り出す。
現場検証の時間は、割と自由に動けたから、こっそりシェルターに入って、スタンガンを2本確保した。
あの場にあったのは、捨てさせられた雪穂の1本と、花陽ちゃんの手に渡った2本の他に、もう一本あったということ。
それを使って、私を失神させて、キーを奪った…
穂乃果「違う?」
???「ソノ通リダヨ。」
穂乃果「誰だったの!?それは!」
???「明日、自分デ聞イタ方ガイイヨ。」
???「アノ場ノミンナ、思ッタト思ウヨ。
他ニ方法ハ無イッテ。」
???「花陽チャンが殺人者ッテ分カッタ後
ダッタシ、ホットケバ、危ナカッタ。」
???「デモ、穂乃果チャンハキット反対シ
タヨネ。」
穂乃果「私の方が少数派だから、文句言うな
ってことなんだね。」
???「違ウ!」
???「囚人ハ皆、アノ決断ヲ黙認シタカ
ラ…手を下シタ人を責メラレナイ。」
…
殺人者であり、危険分子である花陽ちゃんを取り除くため、そして、あの時点で1番身の危険に晒されてた凛ちゃんを助けるため。
ルールを使って、排除した。
なんてこった。
こんなの自滅じゃない…
なぜ豹変したかわからない。
結果として、仲間割れをした。
しかも、花陽ちゃんは殺人鬼ではなく、革命家だった。
役割が入れ替わったことで、ゲームはリセットされたようなもの。
しかも、以前より、仲間に対する警戒心を抱いている。
はっと気付く。
私の罪種は?
キーはデスクの上にあった。
プレートを引っ張り出す。
もし、私が殺人鬼だったなら、私が死ねばゲームは終わる。
でも
よりによってこれか。
『無実の罪』
『この囚人は無実の罪である。この囚人に与えられる制限や能力は一切無い。』
今日はもう寝よう。明日、海未ちゃんと話すのが先決だ。
…
……
…………
ー5日目ー
目が覚めた。
7時ちょうどだ。
部屋から出た。
…
囚人側の通路も、看守と似たつくりだった。
私が出てきたのはdのドアだ。
…一応。
広間に座って、誰かが来るのを待とうとした。
…待とうと、思った。
異変を見つけてしまった。
処刑室のドアが、開いている。
処刑室。
二人目の血を吸った、電気椅子がある。
夜の間に、執行人が、いたいをかたづけたのかな。凄く綺麗。
_死体安置室のドアも、開いてる。
誰か先に来てる?ゲーム運営者に誘われてるのかな?
ま、どっちでもいいや、死体安置室に行こう。
…
……
…………ロッカーは
死体袋が入ったロッカーは
希ちゃん、真姫ちゃん、花陽ちゃん。3つのはずだった。
どうして。
4つあるの。
ひどく頭が痛むけど、それでも、確認した。
1つ目のロッカーは、希ちゃん。袋を開いて、目で見て確認した。ひどく焦げていて、吐きそうになった。
2つ目は真姫ちゃんだった。袋を開いて、目で見て確認した。血の匂いがした。
3つ目は…花陽ちゃんだった。
目で見て確認した。
希ちゃんほど、原型を留めない状態じゃなかった。
逆に、狂気まみれの苦悶の表情がよく分って、最悪だった。
どんな声をかければいいかわからない。
もう、逃げ出したい。
でも、
ロッカーはあと1つある。
全員の顔が脳裏をよぎった。
袋を開いて、目で確認した。
…
……
…………ああ…
ああ…
ああ…ああ…
ああああ
ああ
ああ
今度こそ、言葉を失った。
叫んだかもしれない。
袋を開いて目で確認した。
4人目は、最高の親友、海未ちゃんの死体だった。
…
遅れてしまって申し訳ない
おつ
乙乙
一気に謎になってきたな
読んでて本当に辛いのに、なぜか続きが気になる
…
平和な朝が遠い昔に思える5日目の朝。
私は、出てきた人たちを片っ端から広間で待たせ、全員が出てくるのを待った。
にこ「おはよ、ひどい朝ね…」
疲れ切ったにこちゃんの顔。
宇宙No.1アイドルとはかけ離れた顔だ。
絵里「おはよう。」
雪穂「おはよ…」
亜里沙「おはようございます…」
ゲガの様子を見て驚いた。手のひらをザックリ横切る傷は、きちんと縫合されていた。
執行人が治療したのかな。
ことり「おはよ、みんな。」
凛「…」
私含め、7人。
穂乃果「これで…全員。」
ことり「何言ってるの?穂乃果ちゃん。海未
ちゃんがまだだよ?」
穂乃果「これで、全員なの…」
みんなの顔色が変わるのがわかった。
穂乃果「海未ちゃんとは、もう話せなくなっ
た。」
ことり「う…………そ」
穂乃果「嘘じゃない。見に行きたい人は見に
行って。」
穂乃果「誰!?海未ちゃんを殺した殺人鬼
は!!」
にこちゃん、雪穂、亜里沙ちゃん。
間違いなく、この3人の中…!
雪穂「わ、私じゃないよ!」
亜里沙「私も、何のことか…」
にこ「私でもない。逆に言えば、穂乃果じゃ
ないっていう証拠もない。」
穂乃果「私が殺すわけないじゃん!」
絵里「穂乃果、落ち着いて。」
絵里「私たちから見れば、囚人全員、同等
よ、勢いに任せて他人を責めない方が
いいわ。」
穂乃果「何なの!?」
絵里「いい?落ち着いて。あなたがそんなに
不安定だと、引きずられてしまうわ。」
絵里ちゃんの目には、強い意志が宿っていた。
穂乃果「…」
絵里「残り7人。入れ替わって初めて、夜の
死者が出た。」
絵里「だから、私たち看守も、見ているわけ
にはいかない。」
絵里「殺人鬼を探して、処刑する。雪穂ち
ゃん、凛、それでいい?」
しかし返事は無かった。
ことり「焦りすぎじゃないかな。」
ことり「まずは話を聞かないと、凛ちゃん
の。」
凛「…」
さっきから一言も発していない、凛ちゃん。
穂乃果「昨日のことは気にしてないよ。」
凛ちゃんが顔を上げた。
途端、凛ちゃんが地に膝をついた。
手もついた。
雪穂「ど、どうしました!」
凛「み、みんな…」
声がひどく震えている。
凛「昨日は、そ、その、心にもない事言っ、
て。」
嗚咽を、抑えている…
凛ちゃん……
ほ
海未が逝ったか……
一番頼れる子を失って一気に詰んだ感あるな……
まとめ
看守
・ことり(囚人/殺人鬼→看守)
・絵里(囚人→看守)
・凛(囚人→看守)
囚人
・穂乃果(看守→囚人/無実の罪)
・にこ(看守→囚人)
・亜里沙(看守→囚人)
・雪穂(看守→囚人)
死者
・希(囚人/死刑囚)
・真姫(看守)
・花陽(囚人/革命家)
・海未(囚人/無実の罪→看守)
>>276
このSSだと他のメンバーも賢いから大丈夫…
穂乃果がやたらと知的すぎるな
穂乃果は最初はクレバーだったけど、なんか自滅願望見えはじめてからはヘタレ感でてきた感じする
真姫をやったのはにこ…?
>>不自然ですかね?
ミスりましたすみません。
>>278不自然ですかね?
SSってそういうもんだと受け入れてる人が大半じゃねーの
俺は気にしてないけど
>>282
そのあたりを言い出すと一年組とか違和感バリバリなので気にしない気にしない
SSなんてそんなもん。むしろそういうとこを楽しもう
もう書かないの?
>>285
もちろん書きます。
申し訳ないですが、もう少し待って頂けると嬉しいです。
まあエタらなければ文句は言わないよ
期待してる
>>286
すまんな
期待してる
待ってますからね!
矛盾が生じるかと思います。それは大目にみてください。
穂乃果「昨日のことは気にしてないよ。」
凛ちゃんが顔を上げた。
途端、凛ちゃんが地に膝をついた。
手もついた。
雪穂「ど、どうしました!」
凛「み、みんな…」
声がひどく震えている。
凛「昨日は、そ、その、心にもない事言っ、
て。」
嗚咽を、抑えている…
凛「真姫ちゃんにも、ひ、酷いこと、言っち
ゃって。」
穂乃果「も、もういい_」
止めようとした私の肩を掴む手があった。
にこちゃんだ。
にこ「詳しい話は後で聞くけど、これはけじ
めよ。」
絵里「確かにそうね。」
穂乃果「そんな_」
凛「そう、だよ。みんなの、言う、通りだ
よ。」
私は、役立たずか_
凛「みんな、ごめんなさい…」
凛「みんな…」
空っぽの気持ちで、凛ちゃんの土下座を見つめていた。
…
騒動が終わった後、みんなでテーブルで話し合った。
亜里沙「結局、花陽さんは真姫さんを殺した
けど、殺人鬼じゃ無かったってこと
ですか?」
それは、
絵里「多分、そうね。」
凛「かよちんは、どこから持ってきたのか凶
器も持ってたし。」
凛「花陽ちゃんが死んでもゲームが続
いてるわけだもんね。」
絵里「動機も分からないままね。」
絵里「とりあえず、昨日までのことは、これ
で決着がついた。」
絵里「改めて、殺人鬼探しを始めたい。看守
のみならず、囚人にも同意してほし
いの。」
にこ「いいんじゃない…?」
亜里沙「亜里沙も…」
雪穂「どうかと、思います。」
異論が入る。
絵里「何で?」
雪穂「何というか、ちゃんと根拠があって、
全員納得しないと嫌だな…」
絵里「まぁ、そうね。」
絵里「どう?穂乃果。」
穂乃果「条件がある。」
絵里「なに?」
穂乃果「処刑を行うのは、殺人鬼が自白した
時だけ。」
数人が、眉をしかめた。
亜里沙「それは、おかしくないですか?殺人
鬼が自白したら執行人に殺されるか
ら、処刑にならないんじゃ。」
にこ「つまり、看守による処刑は認めずに、
殺人鬼に自滅を待てってこと?」
穂乃果「違う。」
穂乃果「自白した殺人鬼は、看守が自分で首
絞めて殺して。」
雪穂「え!?」
ことり「ちょっと、それは…」
絵里「何の意味があるの?」
穂乃果「殺される人は仲間。そのひとをた
だ、ゲームルールの上で殺してお終い?」
穂乃果「殺す側も覚悟して。その人を自分の
手で殺す。その覚悟がないから、花
陽ちゃんも殺しても顔色1つかえて
ないんだよ!」
亜里沙「でも、執行人が来るまでの間にでき
るんですか?」
穂乃果「多分できる。」
にこ「…どういうこと。」
穂乃果「監獄長!」
天井に向かって叫ぶ。
穂乃果「聞いてるんでしょ!1つ提案があ
るの!」
穂乃果「殺人鬼だと自白した人がいた時、執
行人が出てくるまで5分間の猶予をち
ょうだい!」
絵里「ちょっと、穂乃果!何言ってるの?」
穂乃果「ここの運営はこの手の話には寛大な
んだよね。」
テーブルの上でタブレットが唸った。
亜里沙「私が行きますっ。」
亜里沙「はい。」
穂乃果「ありがと。」
画面にはメッセージが記載されていた。
『ルール改変の提案』
『改変内容
規律 囚人第2条に、以下の文章を追加す
る。』
『無実の罪であるという以外の主張を行い、敗北が確定した囚人は、望むのであれば、5分の執行猶予時間を得ることができる。』
『この改変に同意する場合、看守は各自のキーをタブレットに挿入し、承認すること。』
『補足 看守が3人になったことで残り2つのキーは回収され、以後会場内に存在するキーは3つのみとなる。』
穂乃果「ね。通ったでしょ。」
絵里「…」
絵里「これを通せば、協力してくれるの
ね?」
穂乃果「違うでしょ。看守が殺人鬼を自分手
で殺せるなら、だよ。」
絵里「ちょっと相談してくるわ。警棒も取り
に行かないといけないし。」
絵里「凛、ことり、行きましょう。」
ことり「う、うん。」
凛「分かった…」
看守シェルターへと姿を消す。
にこ「私たちも話し合う必要があるわね。」
にこ「シェルターへ行きましょう。」
穂乃果「うん。」
看守と囚人に分かれての相談タイムになった。
…
にこ「さっきの、処刑を遅らせようってアイ
デア?」
穂乃果「いや、全員、処刑に対してあまりに
も軽く見てるから。」
穂乃果「本気でやる気なのか試したくて聞い
たの。」
にこ「気持ちは分かるわ。」
にこ「でも、どうなのかしらね。友人に殺さ
れるのがいいのか、見知らぬ執行人に
殺されるのがいいのか。」
雪穂「私は、やだな…みなさんに殺されるの
は…」
亜里沙「亜里沙も…」
亜里沙「でも、知らない人に殺されるのを知
ってる人が見てるのはもっと嫌ですね。」
にこ「何で?」
亜里沙「分からないですけど、その人がどんな顔をしても納得できそうにないんです。」
私と亜里沙ちゃんは同意見だ。
雪穂「それは、分かるかも。」
にこ「ま、それはいいとして。」
にこ「とりあえず、私たちはどう動くべきな
の?」
穂乃果「どう動く?」
にこ「看守に協力するのはいいけど、そのた
めにどうするかってこと。」
雪穂「それですけど、ほんとに看守に協力す
るんですか?」
穂乃果「どういうこと?」
雪穂「看守は、間違うかも知れないじゃない
ですか。」
それは確かだけども。
穂乃果「じゃあ、看守を皆殺しにするの?」
雪穂「それは…」
穂乃果「看守を殺すなんて認めないよ。」
亜里沙「亜里沙も嫌です。」
にこ「同じく。」
雪穂「私だってそれが一番いいとは思う
よ。」
にこ「決定ね。」
それでいいのかな。
処刑する人を選ぶような場合は止めなきゃいけないんじゃ?
その時止めればいいか。
にこ「間違いを無くすには夜の尋問で、間違
いなく本当の事を告げるべきね。」
にこ「自分が誰で、罪種がなんであるか。」
にこ「そうすれば、絞り込めるから。」
穂乃果「罪種の縛りがあるかもよ?」
亜里沙「嘘をつかないといけない罪種がある
かもってことですよね。」
穂乃果「うん。」
雪穂「誰か、自首しないのかな…」
にこ「一応、手はあるのよ。」
にこ「夜、看守には自分が誰か言ってもら
う。」
にこ「それ以外はお互いに口を聞かない。」
にこ「この同意をしておけば、基本的に嘘は
つかなくていいから。」
穂乃果「なるほど。それでも喋る囚人は、罪
種の縛りからしょうがなく嘘をつい
ているんだと分かる。」
穂乃果「そして、翌朝集まって誰が誰と当た
ったか調べれば…」
雪穂「…!殺人鬼は相手を言えないってわけ
か。」
雪穂「あれ?それでいいんじゃ。」
亜里沙「よくないよ。」
雪穂「え?」
亜里沙「それを試すにはあと一晩待たないと
いけない。」
亜里沙「それを看守にお願いするには結構大
変だと思うよ。」
穂乃果「ということは、今日中に決着つけな
いといけないのかな?」
にこ「それが理想ね。」
穂乃果「ねぇ、昨日の夜の相手って誰だっ
た?」
亜里沙「多分…凛さんだと思います。」
穂乃果「何で?」
亜里沙「ずっと、泣き声がしてたので…」
なるほど。
にこ「私は、相手が誰か分からなかった。」
穂乃果「分からなかった?」
にこ「一方的に正体を名乗らないまま凄い音
をえんえん流された。」
にこ「途中で気を失って、あとは覚えてない
のよ。」
穂乃果「本当に?」
にこ「残念ながらね…あの3人の誰かがそうだ
とは考えたくないけどね…」
穂乃果「雪穂は?」
雪穂「私のとこはマイクが壊れてた。」
ん?
雪穂「なにも聞こえなかったし、音も届いて
なかったみたいで…」
そんな、と思って1つ思い当たる。
穂乃果「…そうか、看守も囚人も1人ずつ減っ
てるから、空き部屋が1人ずつできて
るのか…」
穂乃果「そこに入ったなら、相手がいないこ
とも、考えられるね。」
いや、待って。
穂乃果「そしたら、4人とも海未ちゃんとは
当たらなかったってことだよね。」
にこ「その前に、穂乃果は誰だったのよ。」
穂乃果「…ことりちゃんだった。」
にこ「えっ。」
にこ「相手が名乗ったの?」
穂乃果「んー…」
話し方的に間違いないと思うんだけど。
穂乃果「ことりちゃん以外の人間が絶対言わ
ないことを言われたから…」
全員納得したようなしてないような顔をした。
にこ「ま、この結果を看守に伝えましょ。」
にこ「…もう、待ってるみたいだし。」
と、ドアのモニターを指差す。
…
〜広間〜
絵里「こっちは2つのことを決めた。」
絵里「まず、基本的に殺人鬼の自首を待ちた
いと思う。」
絵里「今日のギリギリ、21時45分まで待っ
て、自首があれば、そこで終了。」
絵里「ない場合は、相談の上、1人を処刑する
方を選ばせてもらう。」
穂乃果「それで、確定?」
絵里「ええ。少なくとも1人は選ぶというとこ
ろまでは全員一致したわ。」
絵里「確定した話について、囚人側のみんな
の異論は、申し訳ないけど断らせても
らう。」
絵里「間違いなく、まとまらないと思うし、
まとまらない事は、いたずらに死人を増
やすことにつながると思うの。」
絵里「もう1つ、穂乃果の提案だけど、これ
は受けられない。」
絵里「これは単純に看守側が非力なせい。そ
して問題の本質は、亡くなった方々を
軽視すべきじゃない、ということよね?」
穂乃果「うん。」
絵里「だから、そういう形式じゃなくて、改
めて亡くなった方のことも考えるとい
うことで納得してくれる?」
正論だな。
絵里「ただ、監獄長の提案は受けたいと思
う。」
絵里「自首してくれた人には、言い分を語る
時間がいると思うから。」
絵里「いい?」
反対の声は上がらない。
絵里「以上よ。そっちでは何か進展はあっ
た?」
穂乃果「昨日の夜のあいてについてまとめた
んだ。」
穂乃果「そっちで、誰の言い分が正しいか判
断して。」
絵里「分かった。」
穂乃果「まず、にこちゃんが当たったのは誰
か分からなかった。」
にこ「凄い音を鳴らされたわ…」
とりあえずここまでで。
矛盾が生じるって今回の更新のことか
この先に起きるって予告なのか果たして
>>304
ここから先ややこしいのでミスするかもっていうことです
乙
穂乃果「次に、雪穂は相手不在の部屋、また
はマイクが壊れていて、結果的に相
手と話はなかった。」
穂乃果「で、亜里沙ちゃんが会ったのはおそ
らく凛ちゃん。」
絵里「本当?」
亜里沙「嘘だよ。」
_え?
絵里「嘘なの?」
亜里沙「本当はお姉ちゃんでしょ?」
絵里「いや、違うって…」
亜里沙「…じゃあもう黙っておきます。」
んー…頭が痛くなってきた。
絵里「もういいわ。」
絵里ちゃんは何かに気がついたふうだ。
私も1つ、思いついた。
亜里沙ちゃんの不自然な態度には、明確なルールがある。
穂乃果「亜里沙ちゃん、ちょっと来て。」
亜里沙「…はい。」
小言で話しかけた。
穂乃果「本当は、凛ちゃんだと思うんだよ
ね?」
亜里沙「はい。」
穂乃果「で、さっき絵里ちゃんに言ったのは
嘘?」
亜里沙「そうです。」
穂乃果「OK。じゃあ今後この話はしなきこと
にしよう。」
亜里沙「はい。」
看守に正しい情報を伝えてはいけないという罪種。
穂乃果「今のは気にしないで。」
絵里「分かったわ。」
穂乃果「最後、私だけど、話した相手はこと
りちゃんだと思う。」
穂乃果「だよね、ことりちゃん。」
ことり「ごめんね。ちょっと分からない。」
は?
絵里「ちょっと時間くれる?」
にこ「どうしたのよ。」
雪穂「雲行きが怪しいね。」
穂乃果「分かんないよ。」
絵里「ちょっと判断が割れてる。」
絵里「今は、一旦休憩にしましょう。」
絵里「あと1つ、伝えたいことがある。」
青い、キーホルダー。
絵里「看守シェルターに置いてあった。これ
は、花陽のよ。」
こっちに差し出す。
プレートには、こう書かれていた。
『革命家』
『この囚人には、ゲームに変革をもたらす機会が与えられる。』
『この囚人が敗北した時、すべてのキーが一旦没取され、その後、囚人だった者は看守となり、看守だった者は囚人となる。』
正しかった。
亜里沙「このせいで、入れ替わった…?」
ことり「そうみたいだね。」
絵里「あの時、執行人に委ねることは、あの
場の総意だった…。」
絵里「穂乃果以外。」
絵里「正直、あれでゲームが終わるかと思っ
てたけど、結果はこの有様。」
絵里「あの時私たちが死を認めてしまったの
は揺るぎない事実。」
絵里「その点は謝るべきね。」
絵里「凛、ごめんなさい。」
凛「仕方、ないよ。」
痛々しい微笑。
穂乃果「終わりならちょっといいかな?」
絵里「何?」
穂乃果「死体安置室、開けてくれない?」
…海未ちゃんと話がしたい。
虚しい願いだな…
凛「凛が開けるよ。」
絵里「私たちも行きましょう。」
全員が、花陽ちゃんの遺体と、海未ちゃんの遺体に向き合った。
苦痛の果てに感電死した花陽ちゃん。胸を滅多刺しにされた海未ちゃん。
みんな、ただ黙して、俯いた。
…疑いなく、私は疲れていた。
ゲームが終わって欲しい。でも、終わらない気がする。
…気がつくと、みんながいなくなった。凛ちゃんが、花陽ちゃんの瞼を閉じさせる。
穂乃果「私も。」
海未ちゃんの遺体に向き合う。
半開きの目を閉じさせた。
_じゃあね。
…
絵里「随分遅かったわね。」
穂乃果「ごめんごめん。」
絵里「気持ちは痛いほど分かる。でも、今は
非常事態だということも忘れないで。」
穂乃果「気をつけるよ。」
そういえば昼過ぎだということに気づく。
穂乃果「そろそろご飯にしない?」
絵里「それについてだけど。」
絵里「穂乃果、協力してくれる?」
〜シャワー室脱衣所〜
穂乃果「なんで私?」
私はなぜか、本日の昼飯作り担当にされていた。
穂乃果「にこちゃんの方が適任でしょ!」
絵里「まぁまぁいいじゃない。たまには。」
穂乃果「分かったよ…」
ご飯はグラタン。
みんな無言で食べ終わる。
皆やることごなくなったので、各々自由に過ごしている。
それじゃあ、私は寝ようか。マットレスを敷き、仮眠をとることにした。
…
_____きて、
________おきて!
雪穂「起きて!お姉ちゃん!」
穂乃果「まだ夜だよぅ…」
雪穂「何寝ぼけてんの!もう個室に入る時間
だよ!」
にこ「穂乃果、立てる?」
穂乃果「うん…」
絵里「そっちは大丈夫!?」
にこ「問題ないわ!もう入って!」
私たちは囚人のドアをくぐった。
相当疲れていたらしい。うまく歩けない。
にこ「いい?ここからはなんとか自力で歩く
のよ。」
穂乃果「うん。」
…
粗末な寝台に倒れこむ。
今は何時なんだろう。
このまま寝ちゃおうか。
そういえば隣室は誰もいないのかな。
もういいや、寝よう。今日は寝てばっかだな…
〜6日目〜
…
……
…………
時計は結構危ない時間を示している。
鍵を開け、振り分け部屋に辿り着く。
亜里沙「穂乃果さん…」
穂乃果「あぁ、おはよ。」
亜里沙「聞いて下さい!外でお姉ちゃんが暴
れてて。」
穂乃果「絵里ちゃん…が?」
亜里沙「そうです!ことりさんが死んじゃっ
たから!」
……………今、何て言った?
穂乃果「ことりちゃんが、死んだ?」
無言で頷く亜里沙ちゃん。
やめてよ。
それは、それはないでしょ。
今日はここまでです。
オチってやっぱり難しいですね。
乙です…真綿で首を絞められるようなSSですね…
思ったより展開早いな
更新乙
なんで死人がでたのかわからん
ことりが殺さないんだからずっと平和に暮らしとけばいいのに
あと電話の相手が誰とかどうでもいいじゃん 特定してなんかいいことあんの? 話したいことなら昼間に二人でこっそりいえばいいじゃん
>>318
革命家の花陽が死んで役職が入れ替わったからもうことりは殺人鬼じゃない
それにことりが[ピーーー]気がなくても穂乃果以外の面子はそんなことわからない。殺人鬼が何かする前に他の勝利条件を満たすことを考えるヤツがいるかもだ
まぁかよちんが真姫ちゃんをコロ助な世界だしみんなが何を考えてるかなんか分からんよな
人間信じることがいかに大事かわかるね 小学生の道徳の授業にこういうの取り入れたいね
罪種の縛りもあるから、今まで起きたこともどこまで本人の意思かわかんねーんだよなあ……
穂乃果「行ってくるよ。」
亜里沙「駄目です!今行ったらスタンガン
で…」
亜里沙「雪穂もにこさんも捕まっちゃって
て…」
…っ
亜里沙「無茶しないで下さい。」
私は、ドアを開けた。
瞬間に凄まじい電撃を食らって、失神した。
…
目が覚めたら、身体の自由が効かなかった。
雪穂「お姉ちゃん…大丈夫?」
どうやら、私も雪穂も雑居房の入り口に立たされているみたい。
両腕は後ろの格子戸に通され、その上で手錠がかけられている。
そして、看守全員がくくられている。
穂乃果「手錠なんかどこにあったの?」
にこ「知らない。絵里がリクエストしたんじ
ゃないの?」
穂乃果「ことりちゃんが死んだって。」
にこ「知ってる…」
にこ「信じられない?」
穂乃果「そりゃあね。」
にこ「…もうすぐ会えるわ。」
穂乃果「え?」
にこ「スタンガンのことを考えても、数で押
せる状況。」
にこ「1人倒せばあと1人だから、押さえつけ
てプレートを開けば、囚人の勝利。そ
う考えたのよ。」
にこ「私は起きて、処刑室のドアが開いて
て、それを見に行ってことりの遺体
を、見た。」
にこ「ショックを受けて広間に戻ると、雪穂
ちゃんが倒れてた。駆け寄ったとこを
やられたってわけ。」
にこ「で、あんたたちも捕まった。」
にこ「亜里沙ちゃんはすぐに振り分け部屋に
立てこもったみたいだけど。」
にこ「正直、シェルターに飛び込む前にこうなると、全く打つ手がなくなってしまう。」
にこ「このまま身体チェックされてキーを奪
われれば命が終わるっわけ。」
そういう意味か。
こんだけ足掻いても、結局生き残るのは2人
か。仮定の話だけど、初日に殺人鬼を暴露していたら9人出られたのかもしれない。
__間違いなく、天国に行けないな…
穂乃果「そういえば絵里ちゃんはどこ?」
にこ「体調が悪いのか分かんないけど、さっ
きトイレの方に行ったわよ。」
穂乃果「凛ちゃんは?」
にこ「…見てないわね。」
凛「ここにいるよ。」
穂乃果「どうして…?」
疑問を口にしながら気付く。死体安置室は雑居房と近い。処理室をまたいで、広間に出ずに移動できる。
にこ「でも私が朝行ったときはいなかったで
しょ。」
凛「遺体を入れるロッカーに潜り込んで
た。」
穂乃果「え?何で。」
凛「絵里ちゃんより先に外に出たことをバラ
すわけにはいかなかったから…」
凛「それより、今から、助けるよ。」
え?
穂乃果「どうやって。」
凛「手錠の鍵を持ってるんだ。1つだけだけ
ど。」
凛ちゃんの説明はこう。
今日朝、真っ先に起きたところ、看守用のシェルターに5人分の手錠と、それぞれ個別の鍵が置いてあったらしい。
凛「絵里ちゃんが監獄長にリクエストしたら
しい。タブレットに表示されてたから…」
5人分、囚人を拘束するには1人分多い。
凛「こうすれば、手錠のどれかを開けられる
ことになる。」
賭けに出たわけか。
凛ちゃんはまず、私の手錠に手をかけた。
凛「うーん、駄目だ。」
次は亜里沙ちゃんを試す。__駄目だ。
雪穂を試す。__これも違う。
凛「じゃあ_開いた!」
にこちゃんの手錠が、外れた。
にこ「ありがと、どうする?」
凛「このまま外れてないフリをするか、どこ
かに隠れるかだね。」
にこ「不意打ちね。」
にこ「ところで、だけど。」
にこ「不意打ちっていうのは、こういうこと
じゃない?」
にこちゃんが、凛ちゃんの腹を殴った。
穂乃果「にこちゃ_」
何か、おかしい。
このタイミングで暴力を使ってまでそれをやろうとすることに違和感を感じる。
穂乃果「何考えて_」
私の言葉はぶつ切りになる。
にこ「穂乃果、用があるのはあんたよ。」
絵里「そこまでよ。」
絵里ちゃんがにこちゃんの後頭部にスタンガンを押し付ける。
穂乃果「待って、絵里ちゃん、何がしたい
の?」
絵里「死んでもらうわ。」
絵里「昨日結局、看守は処刑する人を1人に決
めることが出来なかった。」
絵里「このやり方では埒があかない。そう分
かったから私が全部決める。」
穂乃果「待って!」
にこ「絵里。」
絵里「何?」
にこ「取引しましょう。」
いきなり何を…
にこ「穂乃果と2人で話がしたいの。」
にこ「5分でいい。」
にこ「手錠を外してもらえる?」
絵里「それをやって私に何の得が?」
にこ「2人が組んで反抗するのが怖かった
ら、穂乃果のキーを預かっておけばい
いわ。」
絵里「にこのは?」
にこ「隠してある。」
絵里「情報が、にこに有利すぎるわ。」
にこ「あんたに危害が加わることはない。」
にこ「早くして。」
絵里「…」
絵里「5分だけ、妙なマネをしたら実力を行
使するわ。」
にこちゃんの言葉には、妙な説得力がある。
絵里ちゃんは、それに呑まれたんだ。
〜囚人用シェルター〜
にこ「私は2日目と3日目、ことりと同室だっ
た。」
穂乃果「そうだと思ったよ。」
あの日、亜里沙ちゃんが私の入るはずだった部屋に入った時。
あの部屋にはことりちゃんはいなかった。約束自体、嘘だった。
理由は?簡単。にこちゃんに会うため。
穂乃果「言ってみて、どうやって、私を殺す
のか。」
にこ「そうやって急かすから。」
にこ「最後の手を打つのが、早まったわ!」
同時に駆け出す。
お互いに向かってではない。
頭より高い位置の壁面に埋め込まれたでかいスピーカー。
その、上!
にこ「__!?」
ガチャンと音を立て、落下した!
絵里「それ…!!」
穂乃果「うん。それはことりちゃんの部屋か
らにこちゃんの手に渡って、真姫ち
ゃんを切った殺人鬼のナイフでしょ!?」
にこ「そうよ。ことりから聞いたの?」
ナイフに飛びつこうとする、にこちゃん。
取っ組み合いになる。
にこ「あんたは…自分で決めたことは貪欲に
固執するくせに。」
にこ「実際は、他人の事を考えてない、偽善
者なんでしょ!?」
穂乃果「悪い…の?」
にこ「ハナから生きることを諦めて、他人に
もその視点を強要する。悪以外の何物
でもない。」
穂乃果「分かってもらおうなんて思ってない
よ!」
にこ「私は…あんたみたいに…他人のためを…
装わない。」
にこ「だから、自己満足のために…だから、
後悔はしない。」
穂乃果「なら。」
これを聞くまでは、死なせない。
穂乃果「真姫ちゃんを殺したことも、後悔し
てないの!?」
にこちゃんはナイフを手に入れる。
にこ「あんたに…」
にこ「あんたなんかに…」
にこ「あんたなんかに真姫ちゃんの何が分か
るの!!??」
その時、
不意に、照明が薄暗くなる。
直後、けたたましいサイレンが鳴り響いた。
絵里ちゃんが処刑したんだ。
にこ「…」
にこ「…………」
穂乃果「にこちゃん。」
にこ「終わりね…」
穂乃果「にこちゃん、何を__」
にこ「言ったでしょ?真姫ちゃんを傷付けた
人を、絶対に許さないって。」
にこちゃんは。
ナイフを自分の胸の真ん中に突き立てた。
私はどうしても、一個だけ賛同できない。
たとえ絶対に嫌いにならないって約束してくれた相手でも、
親友に痛い思いをさせちゃダメだよ。
執行人は去ったようだ。
死による敗北が、上回ったようだ。
にごぉ…
なんだかんだでもう五人しか残ってないのな……
ことりとにこ、にこと真姫ちゃんの間になにがあったのか
状況が飲み込めん
というか日にちが空くと誰が看守側で誰が囚人側かも忘れるな
絵里「にこが、真姫を殺したの?」
穂乃果「そう言ってたでしょ。」
絵里「真相を教えて。」
穂乃果「さーね。」
単なる推論、というか可能性。
絵里「雑居房まで戻って。」
穂乃果「わかった。」
振り向いた、その瞬間。
雪穂「っ!!」
雪穂が、絵のちゃんにタックルした。
穂乃果「…え?」
絵里ちゃんの手から、キーが刺さったままのタブレットが放り出される。
亜里沙「よっ…と。」
絵里「な__」
亜里沙「動かないで、プレート出すよ!」
絵里「何で…手錠は?」
雪穂「無理矢理引き抜いたよ。」
亜里沙ちゃんの両手首は、真っ赤に腫れ上がっている。
雪穂は、左手首に手錠がついたままだ。右手首は…
穂乃果「ねぇ、それ…」
雪穂「ん?あぁ、こんなの全然大丈夫だ
よ。」
大きく皮が裂け、肉が抉れた傷から、血が滴っていた。
2人とも、無理矢理手錠から手を引き抜いたんだ…
絵里「…」
絵里「負けたわ…ゲームオーバーね。」
看守2人分のキーを、囚人側が手に入れた。それを開けば、看守2人は死に、囚人4人、いや、残る3人が助かる。
雪穂「亜里沙、終わらせよう。」
亜里沙「…」
囚人 看守
穂乃果 絵里
亜里沙 凛
雪穂
です。
亜里沙ちゃんは、キーを片方、絵里ちゃんに投げた。
雪穂「ええ!?何やってんの?」
亜里沙「流石に…お姉ちゃんを自分の手では
殺せないよ…」
雪穂「そういう場合じゃ…」
絵里「私をあくまで殺人鬼に殺させるってこ
と?」
亜里沙「お姉ちゃんはお姉ちゃんで頑張っ
て、もう片方のキーは凛さんに返す
けど。」
亜里沙「亜里沙は、殺人鬼が自滅するのを望
みます。」
絵里「また私が暴れれば、みんなまた牢に繋
ぐことはできるわよ?」
亜里沙「その時は、このキーを凛さんに開い
てもらう。」
絵里「え、えぇ!?」
亜里沙「どっちがどっちか、亜里沙にも分か
らないよ。」
穂乃果「分からないの!?」
亜里沙「だって、その方が開こうって気が失
せます。部屋のドアが開けば、取り
敢えずは困りませんし。」
核兵器外交みたいなことするなぁ…
お手上げだよ。
絵里「…敵わないわね。」
絵里ちゃんと亜里沙ちゃんが部屋に戻っていく。
穂乃果「ほら、その腕、手当てしてあげる
よ。」
もう目覚めない仲間との別れを惜しむのに費やした。
今日その列に加わったのは、にこちゃんに、ことりちゃん。
今まで、ありがとう。と言って、死体袋のファスナーを閉めた。
…
一通りのことが済んだ後、私たちは広間のテーブルで、これからのことについて話していた。
凛「囚人のみんなは殺人鬼に対立しつつ、基
本は何もしないんだね。」
そんなこと言われると、身も蓋もないね。
凛「看守はもう今日指名したからね。」
絵里「勝手な真似してごめんなさい。」
凛「凛に、文句言う資格ないよ。」
絵里「後5人…か。」
絵里「どうしよう、凛。」
凛「そうだなぁ〜」
やたらと、のどかだな。
残り5人。紛れもなく、プリズナーゲームの最終局面なのに。
亜里沙「おいしいもの食べたいなぁ〜」
亜里沙ちゃんが素朴な欲望を口にする。
絵里「ちょっとまっててね。」
雪穂「無理しないで下さいね。」
絵里「大丈夫よ。」
亜里沙「じゃあ、私が作ります!」
…
亜里沙「どう?」
見た目は…うん…
穂乃果「美味いじゃん!」
全員、美味いという感想だった。
…
主催者は、明らかにゲーム時間をながくしすぎた。
いつの間にか、私たちは仮眠ゾーンのマットレスに移動し、思い思いの格好で、ひたすら時が過ぎるのを待っていた。
穂乃果「雪穂〜。」
雪穂「何?」
穂乃果「おまんじゅう食べたいねぇ〜。」
雪穂「っ…そうだね。」
何だかな、この空気。
穂乃果「死んじゃったみんなの話しよう
よ。」
凛「そうだね。」
絵里「構わないわ。」
私達は、語り合った。
永遠の話を。
私たちが語らなきゃ、みんなはきっと、忘れ去られる。
希ちゃんがどれだけみんなの事を考えて行動してたか、とか。
真姫ちゃんがどれだけ不器用で、そして可愛らしかったか、とか。
花陽ちゃんがどれだけ臆病で、それを乗り越えるために頑張ってきたか、とか。
海未ちゃんがどれだけ機転が効いて、かっこよかったか、とか。
ことりちゃんがどれだけ可愛いくて、優しかったか、とか。
にこちゃんがどれだけアイドルが好きで、芯が通っていたか、とか。
凛「いいグループだったね。μ's。」
凛ちゃんの声には、湿り気が混ざっていた。
亜里沙「亜里沙も入りたかったな…」
雪穂「私も…」
2人の声には、よそよそしさが無かった。
絵里「もうちょっとだけ、みんなと一緒にい
たかったわね…」
絵里ちゃんの声には、緊張が抜けていた。
凛「ごめん、穂乃果ちゃん。」
凛「思いっきり泣きたいから、胸貸して…」
穂乃果「うん…」
凛ちゃんは大声で泣いた。
きっとそれは、いろいろな思いが混ざった涙だった。
雪穂「お姉ちゃん、私も…」
言いながら、雪穂は私の膝に頭を寄せて泣いた。
穂乃果「そんな目しないで、絵里ちゃん。き
ていいよ。」
絵里「あ…失礼するわね…」
私と背中合わせにする。
亜里沙「お姉ちゃん…」
絵里「亜里沙、来なさい…」
亜里沙ちゃんは絵里ちゃんに抱かれていた。
その時間は長く、永遠に感じられた。
…
絵里「じゃあ、私たちはこれで。」
凛「お疲れ。」
部屋に引っ込む前、2人は平坦な声で別れの言葉を口にした。
穂乃果「待って。」
穂乃果「部屋割りとか、大丈夫?」
絵里「無駄よ。別れた後で、互いに組み替え
られるから。」
そんなこと、させないよ。
絵里「明日までに、いい案を考えてくるわ。
みんなが納得するような。」
絵里「じゃ。」
凛「おやすみ。」
雪穂「行こう、お姉ちゃん。」
広間を去った。
部屋は、ジャンケンで決めた。
そして、亜里沙ちゃん、雪穂、私の順にドアに入った。
穂乃果「誰か、いる?」
返事はない。
一人ぼっちか…寂しいな。
絵里ちゃん、凛ちゃんとも話したい事があったのにな…
しょうがない。寝よ。
意識が…途切れた。
運命の7日目ですね
〜7日目〜
目覚めた。
とうとう今まで、一度も目覚ましをかけてなかったなー。よく起きられたもんだよ。
部屋を出よう。
〜広間〜
広間の真ん中で、凛ちゃんが死んでいた。
ぐちゃぐちゃになって死んでいた。
叫んだ。
絶叫した。
…
雪穂「__」
亜里沙「__」
絵里「__」
後から来た3人は、持ち出した何枚ものシーツを目の当たりにすることになった。
そして看守が1人いない。
何が起きたかは、明らかだった。
甘かった。
私は。
昨日、あの5人で過ごした時間に、少しくらいは、通じ合えたと思ってしまった。
違った!
殺人鬼はそんなこと考えていなかった!
絵里ちゃんが状況を理解した瞬間、看守シェルターに走った。
亜里沙ちゃんと雪穂は、蒼白な顔で私から離れていく。
1番怪しいのは第一発見者の私。
雪穂「お姉ちゃん…」
亜里沙「うそ…」
私は、自分の怒りに、驚いていた。
絵里「立って。」
スタンガンを私に突き立てて言う。
穂乃果「閉じこもるかと思ったよ。」
絵里「もう無駄よ。」
穂乃果「私を、処刑するの?」
絵里「立ってと言っているの。」
ここで罰が与えられるのは当然か。
そして、目を閉じた。
__。
絵里ちゃんが抱きついてきた。
絵里「よく考えて。真姫の時とも違って、死
体を隠していない。今の状況は全く里
に敵わないのよ。」
絵里「もし殺人鬼が朝一で出てきて、凛を殺
したなら、その人はナイフを持って真
っ先に私のところに来ないとおかしい。」
絵里「あんな殺し方をしたのに、血がそこら
中に散ってない。明らかにここではな
いところで殺されてるの。」
絵里「どう考えても運営の仕業。」
絵里ちゃん。
雪穂。
亜里沙ちゃん。
全員の真顔は私を責めているようにも、すがるようにも見えた。
穂乃果「ごめん。」
穂乃果「ちょっとだけ、待って。」
絵里「1分よ。」
絵里「最終局面。誰が誰に飛びかかるかわか
らないから。」
本当にどうしようもないゲームだよ。
穂乃果「戻ってきた。」
絵里「…よかった。」
絵里「私の考えを言うわ。第一発見者である
穂乃果が殺人鬼だという可能性はほぼ
ないと考えてる。」
絵里「である以上、凛が殺されたのはさっき
じゃなくて、ここでもない。いい?」
みんなが頷く。
絵里「私は、殺人鬼を止めるべきだと思って
る。状況から、殺人鬼は止まりたくても
止まれない事情があるかもしれないから。」
絵里「その時は、とめてあげるべき。」
もっともだ。
絵里「あと、これは穂乃果に預ける。」
絵里ちゃんが差し出したのは、自分のキー。
穂乃果「それは__」
絵里「この一本で処刑の承認が可能にな
る。」
絵里「また、別の案として、そのプレートをめくってみればいいと思う。」
絵里「私は死に、みんなは自由。」
絵里ちゃんがキーを放り投げる。
キャッチ。
絵里「私は、あなたが決めた方法をどんな結
末であれ支持するわ。」
絵里「だから…穂乃果がどうするか、決め
て。」
穂乃果「看守の責任を放棄するの?」
絵里「どうも、穂乃果もゲームに毒されてる
みたいね。」
絵里「私はあくまで私の意志で、穂乃果に委
ねたいの。」
これが、私の望んだことなのか。
テーブルに向かい、タブレットを手に取った。
そして、3人の元に戻った。
穂乃果「恨んでいいよ。」
タブレットにキーを挿して。
承認した。
鳴り響くサイレン。
シャッターが開いて。
執行人が、現れる。
2人だけ。
執行人は急ぐことなく歩いてきた。
亜里沙ちゃんの元へ。
最後に解説つけて
>>357
解説というより、今のところ皆さんから解説して欲しいところを聞いて、そこを解説しようと思っています。
例、1日目の振り分け部屋の様子
解説以上に別の人物の視点でもちょろっと書いて欲しいかな
現状は特にことり。他は真姫ちゃんとか?
結構こんがらがってきたから読み返そうと思うんだが、やっぱり辛くて読み返す気にならない。
漫画だと面白そうだな
情景描写少なくて想像しにくい
だが面白い
それでは、いきます
亜里沙「そう…ですか。」
2人の執行人は、亜里沙ちゃんの両腕をつかむ。
亜里沙「じゃ、みなさん。」
笑顔で別れを告げる少女。
間違ってる。
生きるべきだよ。
亜里沙「えっ。」
執行人はゆっくりと、亜里沙ちゃんを引きずるように向かう。
元来たシャッターの方へ。
絵里「釈放…したの!?」
亜里沙「嘘…」
穂乃果「そんな顔しないで。」
亜里沙「亜里沙だけ助かるなんてできません
よ!」
穂乃果「助かるんだから、喜んでよ。」
亜里沙「さいごまで一緒にいたい。」
穂乃果「こんな悪い夢、早く忘れて。」
亜里沙「そんな…」
穂乃果「じゃあね。」
亜里沙「あっ__」
シャッターが閉じられた。
広間に、静寂が満ちる。
絵里「…どれだけカッコつけるのよ。」
穂乃果「えへへ…」
絵里「さて。」
絵里「どうやら、処刑されないみたいね。」
残るプレイヤーは、看守である絵里ちゃんと無実の罪である私と。
雪穂。
雪穂「…」
絵里「まぁ、いいわね。」
穂乃果「うん。」
雪穂「何ですか。それ。」
穂乃果「手伝って、凛ちゃんがあのままだと
可哀想だよ。」
絵里「構わないわ。」
雪穂「もう、わかってるでしょ。」
穂乃果「え?」
穂乃果「勘違いしないでよ。」
絵里「まぁ、今日の執行権は使われちゃった
から。」
絵里「今日の晩に私が死んで、それで終了で
しょう。」
絵里「仇とってよ、穂乃果。」
穂乃果「任せて。」
雪穂「そんなの、許されるわけないよ。」
雪穂「__」
穂乃果「雪穂。」
雪穂「私。」
穂乃果「止めて!」
絵里「雪穂ちゃん!これ以上は…!」
雪穂「私が。」
違う。
それでも私は。
雪穂「私が、殺人鬼だったんだよ。」
そんな告白、聞きたくなかった。
タブレットが震える。
『囚人の自白を検知確認。あと4分42秒で処刑執行』
残された時間は、4分ちょっと。
雪穂が手にしたものを、放り捨てた。
凶器だ。
穂乃果「ひとつ、聞いていい?」
雪穂「何?」
穂乃果「好きで殺したの?死ぬのが嫌で殺し
たの?」
雪穂「死ぬのが嫌で殺した。」
雪穂「けど、なんだか分かんないよ。も
う。」
穂乃果「じゃあ。」
雪穂「質問はひとつのはずだよ。」
絵里「じゃあ私から。」
絵里「もしこれが夢だったら、どうした
い?」
雪穂「やなこと聞きますね。」
雪穂「家族と、のんびり過ごしたいです
ね。」
絵里「そう…」
雪穂「もうあまり時間がないね。」
雪穂「お姉ちゃん、頼むよ。」
そうか、
絵里「穂乃果、そこまでしなくても。」
雪穂「いや、頼むよ。」
雪穂「お姉ちゃんに罰をもらうのが最後のお
願いってことで。」
私の両手が、雪穂の首すじをとらえた。
もう雪穂の言葉を直に聞けない。
雪穂の笑顔を見てられなかった。
せめて苦痛に歪んでくれれば。
力を込めた。
それでも、雪穂は笑っていた。
顔が紫になっても。その後、蒼白になっても。
雪穂は笑顔を保った。
正直、私の精神がどうにかなってしまいそうだ。
当然だよね。
雪穂は動かなくなった。
…
……
…………
穂乃果『雪穂ー、お茶ー。』
雪穂『えー、なんで私が…』
…………
……
…
そうか。
もう、この掛け合いも出来なくなるのか。
そして、それを自らの手で壊してしまった。
こんな辛い事はないな…
ごめん…雪穂…
…
笑顔のまま、雪穂は死んだ。
絵里「監獄長から通達よ。」
穂乃果「…」
絵里「勝利プレイヤーに祝辞を述べるために
ここへ向かうそうよ。」
穂乃果「はっ。」
穂乃果「遅いじゃん。監獄長。」
穂乃果「改め、希ちゃん。」
絵里「嘘…」
希「気付いとったん?」
希ちゃんの手には、一丁の拳銃が握られている。
絵里「希!嘘よね…!」
希ちゃんの肩を掴む絵里ちゃん。
希「うるさいなぁ。今からやん?楽しくなる
のは。」
絵里「嘘よ…こんなの信じない!希が監獄長
だなんて…」
絵里「みんなを返してよ…」
絵里ちゃんが地面に膝をついた。
穂乃果「絵里ちゃん!」
希「動かんとってな。」
穂乃果「っ…」
希「どこまで分かってたん?」
穂乃果「え?」
穂乃果「別に、そもそも、身近な人が怪しい
ってのは初めから分かってたことだ
よ。」
穂乃果「電気椅子が使われて照明が落ちるん
じゃあ、ゲーム監視に隙ができてる
んじゃない?と思ってたし。」
希「やっぱりあの入れ替えは不自然だった
か。反省やね。」
希「それから…」
希「ゲームは楽しかった?」
最低。
何を言ってもこの人にダメージを与えることはできそうにない。
希「黙秘?つまらんなぁ。」
希「じゃあ何か聞きたいことない?」
穂乃果「じゃあ。」
穂乃果「このゲームの目的は?」
希「みんなを、もてなすため。」
絵里「あなたね…」
もてなす、か。
どうでもよくなってきた。
希「楽しかったでしょ?」
答えられなかった。
この試練で、私たちはこれまでにないくらい近づいて、泣いて、笑って。
きっと感動していた。
希「改めて、おめでと。」
希「あ、そういえば。」
穂乃果「まだ何かあるの?」
希「2人を日常に返してあげんとね。」
本気なのか。
この人は本当に狂っている。
希ちゃんは捕まらないという絶対的な自信があるのか。
じゃあ、仇を討つチャンスは今しかない。
くるりと回り、シャッターへと歩いていく希ちゃん。
ならば__
希ちゃんに聞こえないくらいの音量で絵里ちゃんに話しかける。
穂乃果「絵里ちゃん、これで終わったつも
り?」
絵里「…え?」
穂乃果「まだ、みんなの為にやることはある
はずだよ。」
絵里「…勝機は?」
穂乃果「勝機?そんなものないよ。」
穂乃果「でも、こんな結果で帰れても、結局
はみんなに会いたくなるだろうしね。」
絵里「穂乃果…」
絵里「…そうね。」
ここで仇を討つしかない!
雪穂が使ってたナイフを手に取り、
希の背中に目掛け__
希「無駄やって。」
そう言って。
希ちゃんは拳銃を私の眉間に当て__
私たちの最後の抵抗が、終わった。
意識が遠のいていく中、どこかで銃声が聞こえ、短い悲鳴が聞こえた。
絵里ちゃんも、撃たれたのか。
こんなことに、なるなんてな。
結局、全滅か。希ちゃんにも何か理由があったんだ。そう願うしかない。
ゲームセットだね。
希「よし、探しに行こか。」
えぇ…
なんか糞
〜エピローグ〜
あの後、私は防護服に連れて行かれた。
頂上の店で眠ってたって、助けてくれたおじさんが言っていた。
警察に電話してくれたおじさん。本当に優しかった。
茂みに隠れる。
服に、札束7個が入っていた。
私の罪種は、詐欺師。
そしてこのお金が、プレイヤーが減った分だけ増えるお金らしい。
悔しかった。
パトカーが来て、私は保護された。
私は、警察の人にあの事を説明したけど、なんか言ってる、程度でしか聞いてもらえなかった。
…
次の日、私は入院させられた。
ベットに寝てて思った。
学校に行かなくていいのかな?このまま忘れて過ごそうか、とか。
そんなのいいはずがない。
取り敢えずここから逃げ出して、あの会場に戻らないと。
ナースコールを押す。
ドアノブが回る。
看護師さんたちを驚かすことに、罪悪感はあったけど、仕方がない。
緊張してきた。
とびきりの演技を見せよ__
入ってきたのは防護服だった。
プリズナーゲームは、終わってなかった…
これで、終わりです。
年末から今までと、遅筆で本当に迷惑をかけてしまいました。
ありがとうございました。
どこから解説していきましょうか。
一応、真姫ちゃんが殺されたところを、にこちゃん視点でやりたいと思ってます。
絵里とかどうなったんだ?
7ってことは生きてるんだろうけど
分からないことだらけだ…
最後が意味分からん。ゲームはクリア出来てるはずなのになんでまた防御服が来るんだ
誰かこれで漫画書いてくれ
>>383
ゲーム終了時点での勝者は
・亜里沙(解放による勝ち確)
・穂乃果(殺人鬼死亡まで生き残り)
・絵里(殺人鬼死亡まで生き残り)
この時点での脱落者が希、真姫、花陽海未、ことり、にこ、凛、雪穂の8人
札束七束はゲーム終了時点での死亡者の数で、ゲーム外で勝手に死んだほのえりの分は含まれないってことじゃない?くそったれだけど
死亡者8人なのに7束なのは希か雪穂のどっちかが抜かれてるんだと思う。
これが希だった場合、「ゲームマスターなので参加者には含まれませんよwww」もしくは「実は生きてますwww」って暗に示してることになりさらに胸糞
>>385
「今回の」プリズナーゲームは終わりました。
乙乙。面白かった。けど凛が真姫を殺したって言ったり花陽が豹変した理由がわからない……。解説頼む。
パロディって何の?
トガビトっていうアプリゲーじゃないかな
ガラケーの時にしたっきりだから詳細はほぼ覚えてなかったけど
なんか面白い雰囲気はあるのに分かりにくかった
心理描写が少ないから「何故こんな言動が?」みたいの多すぎ
読みにくいから読み返す気にはなれないのもなぁ…
乙
その調子で海猫のやつもたててくら
3日目の夜
↓
にこがことりを殺せば皆助かると思い、ことりからナイフを貰う
↓
4日目
↓
にこが油断している隙に、凛がにこからナイフを奪う。
↓
にこが殺人鬼が誰か言わないため、囚人の勝利のために凛が真姫を殺す
↓
にこ、凛から逃げるため、シェルターにこもる。
↓
凛、誰かが出てくるのを待つために囚人シェルターで待機。
↓
穂乃果が出てくるも、殺すチャンスがなく、しばらく待つ。
↓
雪穂、亜里沙が出て来て、更に、停電になり、凛は殺害を断念。凶器はスピーカの上に置いた。
↓
自分が犯人だとバレるのは時間の問題だと思った凛は、自分が殺したと言う。
↓
凛が、穂乃果が何度も切りつけてと言ったことに興奮のあまり気付かず、そのまま話を進める。
↓
花陽がこのままだと凛ちゃんが処刑されると思い、守らなければ、という感情が爆発し、狂う。
↓
処刑され、花陽退場。
↓
5日目
↓
看守と囚人の役割が完全に入れ替わったので、凛の計画は失敗に終わる。
↓
真姫を殺してしまったこと、無駄死にさせてしまったことを申し訳ないと思い、表向きでは、酷いことを言ったということを理由に謝る。
↓
にこ、ことりが死んでしまったことを知る。
↓
にこが運良く手錠が外れたので、穂乃果と話をする。
↓
実際は、凛が真姫を殺したが、ほとんど、私の責任だと思い、私が殺したと穂乃果に言う。
↓
にこ、凛を殴ると同時に、自分のキーを凛に託す。
↓
にこの罪種は脱獄囚で、嘘をつかずにいると、脱獄できる、しかし、嘘をついて脱獄してしまうと、殺される、というものだった。
↓
言ったでしょ、私は真姫ちゃんを殺した人を絶対に許さないって。の意味は、
元凶になった私を殺すのと、実際殺した凛に対しても込められていた。
↓
自殺で、にこ退場。
↓
その夜、脱獄を試みた凛。しかし、にこが嘘をついていたので、ルールによって処刑されてしまう。
↓
凛退場。
>>394
なるほど…この解説でどれがどんなけ本編を勘違いで読んでたかよく分かったわ
にこと凛の退場の仕方がようやく分かった。でもこれは読むのキツいわ……。
海未の死の周りがよくわかんなかった
なんか予兆あった?
凛が脱獄を試みたってのは脱獄囚のキーに従って嘘をつかないようにしたってことだよな?
でも元の持ち主であるにこが嘘をついてたから処刑されたと
この処刑するしないの判定はいつされるんだ?
嘘をつかなければ脱獄可、嘘をつけば脱獄不可或いは処刑なら分かるんだが
嘘をついて脱獄すると処刑とはどういうことだ、脱獄って言葉は何を指してる?
あと海未とことりの死んだ理由や状況が不明、希が何をしたくて何者だったのか
ラストの次のゲームって誰が何のためのものなのか、疑問だらけだな
とりあえず殺人鬼の雪帆視点やってくれ
4日目の夜
なんで私が_
なんで私が殺人鬼なの…
投げたキーには酷い文章が書かれていた。
あと何分かで、壁が開く。
その向こうの人を殺せって。
でも、私が死ねばみんな助かるんだよね。
私はロッカーに行って中の物を取り出した。
ピカピカのナイフ。
私の顔が映ってる。
真っ青に怯えた顔が。
無理、だ。
こんな事できない…
…死にたくない。
海未『それは、自然な事ですよ。』
雪穂「え?」
海未『無理しないでください。』
海未、さん?
海未『私を殺して。』
雪穂「そんな事できませんよ!」
海未『それ以外に、私はあなたを助ける方法
がありません。』
雪穂「だったら、私を殺せば_』
海未『絶対に嫌です。』
雪穂「何でですか!?」
海未『親友の妹を殺せるわけないでしょう。
もちろんあなたを助けたいのもありま
すが、穂乃果に死ぬより辛い思いを味
あわせたくないんです。』
雪穂「待って下さい!私も同じですよ!」
海未『これは自己満足です。』
海未『前にも言いましたが、仲間に殺される
なら本望なんです。』
海未『あの執行人たちに電気椅子掛けられる
くらいなら、あなたの手で殺してくれ
た方がいい。』
海未『お願いします。雪穂。』
そんな、
壁が開いた。
ベットには、ぐったりした海未さんが横たわってて、
海未「ちゃんと、合羽を着て下さい。」
そんなこと、死にそうな声で言って、笑って、
わた、しは。
海未「そうです。」
わたしは。
海未「真ん中を狙って。」
わたし、は。
海未「ちが__もっ____と下。」
言われるがままに、海未さんを刺した。
何度も間違えて。
4回も刺した。
動かなくなった海未さんの笑顔を見て。
本当に大事にすべき人を、自分の手で殺してしまったって思った。
5日目夜
ことり(……)
ことり(………………)
ことり(…………………………!!)
ことり(あぁ。)
ことり(麻酔って、こんなに怖いのか。)
ことり(指一本動かない恐怖。)
ことり(床に転がっている人形のような状
態。)
雪穂「…」
雪穂「ごめん、なさい。ことりさん。」
ことり(どうせ殺すなら、そんな顔しないで
よ。)
ごめんなさい。ごめんなさい。
ことりさんはただ涙を流している。
私は、刃の切っ先をことりさんの胸に当て、
全体重を乗せた…
6日目の夜
今日も、この時が来てしまった。
雪穂「誰かいますか?」
誰もいない事を祈った。
しかし、
凛『あ、雪穂ちゃん?』
そんな声がした。おそらく凛さんだろう。
雪穂「そうです。凛さんですか?」
凛『そうだよ。』
雪穂「そうですか…」
雪穂「すみません。私、殺人鬼です。」
隠す気は、もう無い。
凛『そう、なんだ。』
ここでやめたら、海未さんとことりさんの死が無駄になってしまう。
凛視点
死んだら、かよちんに会えるかな…
話したいな。
そういえば、最近お風呂入ってないから、
臭いとか気になるな…
せめて、体くらい拭いとこうか。上着脱ご。
カラン!
ん?なんだこれ。
これは、囚人のキー!?
凛のキーじゃ無い…
意を決してプレートを見てみる。
これは、脱獄囚のキー!?
なんでこんなものが。
あの時かな?
…
にこ「不意打ちってのはこういうことじゃな
い?」
…
にこちゃんが、凛にこっそり渡した?
でも、その時しか無いよね。
まさか。
ドアの鍵穴に、差し込んでみよう
ガチャ
開いた…
ここで、出ていいのかな。逃げたみたいでいやだな
雪穂『そろそろ、時間ですね。』
凛「え?」
雪穂『23時に、この壁が開いて、そっちに行
けるようになるんですよ。』
どくん。
雪穂『その時、凛さんはもう麻酔で動けませ
ん。』
雪穂『ベットで寝てたら、楽だと思います
よ。』
雪穂『苦しく無いように、一発で仕留めま
す。』
死から逃れようとする本能が、体、心、あらゆる方向に走る。
早く逃げろ。
そもそも、凛が死んで何になる?雪穂ちゃんの手が汚れるだけだよ。
そんな悪い感情が沸き上がる。
その時、軽いめまいを感じた。
ガスだ!
後先考えずに、部屋から飛び出した。
雪穂視点
雪穂「何で。」
雪穂「何で、いないの。」
逃げたんだ、どうにかして。
何なの。
雪穂「…るい。」
雪穂「ずるい。」
雪穂「何で逃げるの?」
私、終わってるな。
人殺しの方が絶対悪いのに。
自分が狂ってしまったことを知った。
海未さん。
海未さんが示した道は私には無理でした。
http://imgur.com/ztjrMEE.png
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何がなんだがわからん 取り敢えず[ピーーー]や
>>408
グロ
続き待ってるよ
どこを書けばいいですか
大体は書いたんじゃないかなと思ってるんですけど
>>412
プリズナーゲーム 第2章(続編) 頼むぜ
いや、才能ないから書かなくていい
[ピーーー]や
第2弾は時間があれば書きます。
取り敢えずこのSSは終わりです。
今までありがとうございました。
http://imgur.com/cbLGsPy.png
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http://imgur.com/w8Va6Qf.png
http://imgur.com/LtFeHbJ.png
>>417
グロ
このSSまとめへのコメント
これのもとネタはあのゲームかな?なら、黒幕は…。
元になったゲーム好きだった