ずっとあなたと居たかった(15)
あなたと初めて出会ったのは、僕が小さかった頃連れて行ってもらった水族館だったね
あなたが微笑んでいるように感じて、僕はあなたの前まで駆けて行ったんだ
まだはとっても美しくて
あなたはとっても美しくて遠い存在のように思えた、
あなたは、まだ小さい僕に気づいてうなずくように首を縦に振った
それからすぐにあなたは行ってしまったけれど僕はあなたの姿を忘れられなくなった
小さな僕は家路についても君のことが忘れられなかった、それからすぐにまたあなたのいる水族館へ足を運んだ
あなたはまたそこにいた、僕の姿に気がついた様子であなたはゆったりとした動きでこちらに近づいてきた
僕は水族館が閉まる時間まであなたと話をしていたね
僕の話を聞いているときのあなたは笑っているように見えた、僕はあなたを楽しませようと一生懸命話しかけたよ
周りから見れば微笑ましい光景だったんだろうね
僕はまた少し大きくなって小学校の遠足の頃また足にいったんだ
またそこに行ったんだ
いつもと同じところにあなたは居たね
友達が引っ張っていくまでずっと話をしていたのを覚えているかい?
引っ張られていく僕を見る君の姿はとても寂しそうに見えたよ、だから僕は一生懸命手を振ったんだ
またしばらくして、僕はあなたに会いに行った
あなたは周りの人なんて気にしない風だったけど僕を見てすーっと僕の方へと近づいてきてくれたんだ
僕はうれしくなってあなたの名前を何度も呼んだ
あなたはうなずいて、くるりといっかいてんしてみせた
覚えているかい、あの時ははしゃぎすぎて飼育員さんに怒られちゃったね
ちょっとしゅんとしたあなたの表情が僕には印象に残っているよ
あなたがあまりにいたずらっぽく笑うから僕はあなたと一緒にガラスの向こうへいけるんじゃないかと思って一緒に走ったんだ
覚えているかい
水槽の向こう側は僕にとってどこか夢のような世界に感じていた、多分あなたもそう感じていたんだと思う、
僕の声が少し太くなってきた時もあなたはそこにいて変わらず水槽のガラスの前で一緒に語りあったね
私のおじいさんがくれた初めてのキャンディ
それはヴェルタースオリジナルで私は四歳でした
その味は甘くてクリーミィで
こんな素晴らしいキャンディをもらえる私は
きっと特別な存在なのだと感じました
今では私がおじいさん
孫にあげるのはもちろんヴェルタースオリジナル
なぜなら彼もまた特別な存在だからです
その時から僕があなたと会う回数が増えていったんだ、気づいていたかい
僕はあなたを望んだ、そしてあなたも受け入れてくれてるような気がして、僕はまたあの水槽の前に立つんだ
そうしたらすぐにあなたは来て僕たちは時間のある限り一緒に語り合ったね
こんな日々を繰り返すのが、
僕にとっての幸せで、あなたもとても幸せそうに見えた
10と少しの人生の中ではそれは永遠とも思える時間だった、そのちっぽけな永遠がまるでガラスが割れるように崩れてしまうなんてあの時の僕たちは想像もしていなかったね
それは突然にあなたには絶対にわからないような理由であなたの向こう側にはいなくなってしまった
あなたは悲しかっただろう、僕も同じように悲しかったのだから
私は窓のガラスをぼんやりと眺めたが、あなたの姿は見えずただ半透明の僕の姿が映るだけだった
それから僕はあなたとは違うところで新しい毎日を過ごさなければいけなくなったんだ
あなたのいない毎日はくぐもった灰色の冬だった
最初は僕に連中は物珍しさで寄ってきた、ジロジロ見られるのは嫌だったが少しだけあなたの気持ちがわかったような気がして嬉しかった
でもそんな日々は長くは続かなかった。灰色の日々が続く中で僕は何度もあなたに会いたいと思ったがそれはかなわないほどの距離になってしまったんだ
でも僕はあなたとまた一緒にいたいと思って
あのガラスの前に戻れるように、そこにいく術を探した
僕はあなたのことをもっと知りたくなった
またの水族館で一緒に、今度は僕も同じ方を見てあなたと一緒にいる術を探した。僕の頭の中に君がいる時だけ僕の気持ちは安らいだ、僕がいない時あなたはどんな気持ちだっただろうねでもあなたが思うほど私はそのことをあまり気にしていなかった
僕は君に会いたい一心でそのことだけを考えていたんだ
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