佐倉「私、花も描けるようになりたい!!」御子柴「なんだよ急に」 (17)

佐倉「あのね、今までずーっとベタだけやってたけど……野崎くんに好かれるにはそれ以外のものもできるようにしないといけないと思うの」

御子柴「それで花も描けるようになりたいって思ったのかよ?」

佐倉「うん!! 私のイメージとしては……」











佐倉『野崎くん、花描いたよ!!』

野崎『ありがとう佐倉!!』

佐倉『背景描いたよ!!』

野崎『頼りになる!!』

佐倉『トーン貼ったよ!!』

野崎『完璧じゃないか!!』

野崎『佐倉!! なんでもできるお前なしでは俺は生きていけない!! よし! 御礼に膝枕だ!! うちに泊まってもいいぞ!! そうだ、一緒に風呂入るか!? 新居は!? 新居はどうする!?』









御子柴「すげーなお前の妄想」

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佐倉「というわけでみこりんお願い!! これから花の描き方を教わりたいんだけど……」

御子柴(今日、溜めたギャルゲー一気に消化したいんだよなぁ)

御子柴「あー……悪い、今日はm佐倉「お願いします御子柴先生!」

御子柴「せ、先生!?」

佐倉「……うん、だって私は教えられる側でみこりんは教える側だから先生でしょ?」

御子柴「先生……」

御子柴(悪くない響きだ……)

御子柴「な、なぁ佐倉……俺は先生か?」

佐倉「う、うん。 先生だよ」

御子柴「本当か!? 本当に先生か!?///」

佐倉「うん! 大先生だよ!!」

御子柴「も、もう一度俺を呼んでくれ!!」

佐倉「え、ええと……御子柴先生?」

御子柴「おお!!/// もう一回頼む!!///」

佐倉「御子柴先生!!」

御子柴「次は大先生をつけてくれ!!///」

佐倉「御子柴大先生!!!」

御子柴「おし!! 今日は特別に教えてやる!! 今から近所のカフェに行くぞ!!」

佐倉「は、はい!! ……そういえばさっき、何か言おうとしてたけど……」

御子柴「なんでもねぇ!! 気にすんな!!」

カフェ

御子柴「とりあえずこれを参考にして花描いてみろ」

佐倉「ええっ!? いきなり!?」

御子柴「おう、まずはどれぐらい上手く描けるかみたいからな」

佐倉「わ、分かった!! やってみる!!」

カキカキ……

御子柴「……」

カキカキ……

佐倉「……」

御子柴「……って、線一本描くのに何分時間費やしてんだよ……」

佐倉「ご、ごめん……」

御子柴「頑張れよ、描けるようになれば野崎もきっと喜ぶぜ?」

佐倉「野崎くん!!!!」スラスラスラスラ

御子柴「すげーな野崎の力……」

数十分後

佐倉「とりあえずいくつか描いてみたよ!!」

御子柴「おお!! すげえな!! やっぱ美術部だけあるぜ!!」

佐倉「ほ、本当!? ……でも、みこりんにはまだ及ばないなぁ」

御子柴「そ、そうか?///」

御子柴「……よし、佐倉。 次のステップだ」

佐倉「つ、次のステップ!?」

御子柴「俺という名の……花を描いてみな☆」

佐倉「あ、もしもし結月?」

御子柴「おい!!///」

都「……あら? 千代ちゃんに御子柴くん?」

御子柴「都さん!?」

佐倉「こ、こんにちは!!」

都「野崎くんとここで会う約束をしていたんだけど……千代ちゃん達も?」

御子柴「い、いや……俺達はたまたまここにいるだけで……」

佐倉「じ、実はみこり……御子柴くんに花の描き方を教わってて……」

都「そういえば私、この間うっかり穴二つを大きく描いちゃったのよねー」

御子柴「あ、そっちの鼻じゃないです」

野崎「確か都さんと会う約束をしていたカフェはこのあたりだったはずだが……」

野崎「……ここか」

野崎「都さんは……ん?」

野崎「都さんと一緒に……佐倉と御子柴がいる」

野崎「……っは!! ま、まさか……」







都『私の方が給料多いわよ? 野崎くんのところはやめて私のところに来ない?』

佐倉・御子柴『行きます!!』








野崎「待ってくれ!!! 給料は増やす!!!」

御子柴「うおおっ!?」

佐倉「野崎くん!!?」

野崎「……すまない、俺の勘違いだったみたいだ」

御子柴「都さんがそんなこと言うわけねぇだろ……」

野崎「……ん? なんでこんなに花の絵が?」

佐倉「え、ええと!! これは……その……」

御子柴「……別に誤魔化さなくても普通に言えばいいんじゃねえか?」

佐倉「う、うん。 そうだね」

野崎「?」

佐倉「わ、私ね……ベタだけしかできないから……みこりんに花の描き方を教わろうと思ったの」

野崎「何!?」

野崎(佐倉が花……それに小物や効果も描けるようになってしまうと……みこりんの立場が……)

野崎「……御子柴、お前もトーンを貼れるようになれ」

御子柴「はぁ!?」

野崎「それで佐倉、花は描けるようになったのか?」

佐倉「!! え、ええと……そんなに上手くはないけど……」

野崎「……ん? ここにある花の絵は佐倉か?」

佐倉「う、うん」

野崎「凄いじゃないか!! ……どんな風に描いてるか見してくれないか!?」

佐倉「え、ええっ!?」

御子柴「試しに描いてみろよ」

都「私も千代ちゃんが描いた花が見てみたいわー」

佐倉「都さんまで……」

野崎「佐倉、描いてくれないか?」

佐倉「わ、分かった!!」

佐倉「……」スラスラ

佐倉(の、野崎くんの目の前で描く……ベタと違って何か緊張するなぁ……)

御子柴(こいつ相当緊張してんな……)

佐倉「……」スラスラ

佐倉(お、落ち着いて千代……平常心、平常心)

佐倉「……で、できた!!」

野崎「待て佐倉!! それは花じゃなくて鼻だ!!」

御子柴「緊張し過ぎにも程あるぞお前!!」

佐倉「ご、ごめんなさい!!」

遼介(ああくそ、バイトめんどくせえ……)

ワイワイガヤガヤ……

遼介(……ん? この声……)

遼介「……あっ!!! み、都!!?」

都「!! りょ、遼介くん!? 働く場所変えたの!?」

遼介「あ、ああ……」

佐倉「遼介さん!!」

遼介(千代ちゃん!?)

野崎「遼介さん……」

遼介(都の彼氏!?)

御子柴「……」

遼介(お前は誰だ!?)

佐倉「え……都さんと遼介さんって顔見知りなんですか?」

都「ええ、同じ大学なの……」

遼介「千代ちゃんと都は一体どういう繋がりが……?」

都「え、ええと……遠い知り合いなの」

佐倉「都さん……?」

都「三人とも、訳ありで私が漫画家だってことは秘密にしてほしいの」ヒソヒソ

野崎「なるほど……分かりました」

都「そういえば千代ちゃんと遼介くんはどこで知り合ったの?」

佐倉「あ、遼介さんは私の友達のお兄さんなんです」

野崎(佐倉の友達か……美術部の人だろうか)

遼介「いやーこんな繋がりがあるなんて思わなかったなー」

都「そうねー」

御子柴「……」ボーッ

野崎「……!!!」

野崎(孤立するマミコ……いいネタになる!!)

御子柴(野崎の野郎……俺が話に入れないのをニヤニヤ見てやがる……)

遼介「そういや……そこにいる赤髪のやつは誰なんだ?」

御子柴「!!」

遼介「……いや待て、当ててみせる」

御子柴「……?」

遼介(ここで俺が直感で関係を当てれば……『何も言ってないのに分かるなんて遼介くんすごい///』と都は言うに違いない!!)

遼介「ズバリお前は……千代ちゃんの兄貴だな!!」

御子柴「いや……佐倉のクラスメイトっす」

遼介「」

佐倉「そんなわけないじゃないですかー。 遼介さん、ドヤ顔で言ったけど思いっきり外れてますよー」

遼介「うっ!!!!」グサッ

遼介(千代ちゃん、やっぱり鬼だ)

遼介「そうか……千代ちゃんの友達か」

遼介「……」

遼介(いや待て、まさかこいつも……都の彼氏の一人じゃないのか?)

御子柴「……」ペラペラ

都「……」ペラペラ

遼介(なんか仲よさそうに話してるし……)

遼介(……てことは都は……色んな男と遊んで……?)

遼介(……いや! 都に限ってそんなことはしねえ!!)

遼介「……都!!」

都「りょ、遼介くん?」

遼介「ここはやっぱり……はっきりすべきだぜ」

野崎「そうですね、線画は太めに分かりやすく……」

遼介「なんの話だよ」

店長「おい! いつまで喋ってんだ!! 働け!!」

遼介「す、すいません!! ……都、また後でな」

都「え、ええ」

遼介(結局聞けなかった……)

遼介(……)チラッ

都「千代ちゃん、綺麗に花描くわねー。 本物みたいだわー」

佐倉「そ、そんなことないですよー///」

遼介(……)

遼介(都が花を見て喜んでる……)

遼介(……ここは俺があの高校生二人より一歩先を行ってるってところを見せてやるぜ)








都「この絵みたいにこれだけ花がいっぱいあったら幸せよねー」

野崎「そうですね」

都「私も包まれてみたいわー」

佐倉「私も!!」

遼介「……お客様」

都「! 遼介くん」

遼介「こちら、花のサービスとなります」

都「まあ!! ありがとう遼介くん!!」

御子柴「すげえ……なんかかっけえな」

遼介(見たか高校生ども!! 俺はお前らとは違ってこんなサプライズもできるんだぜ!!)

店長「何勝手に店の花壇の花抜いてんだ!!」

遼介「す、すいません!!」

佐倉「遼介さんかっこ悪いなぁ……」

遼介「お会計は……○○円になります」

都「じゃあ全員分私が払うわね」

佐倉「ええっ!?」

御子柴「いや、都さん……流石にそれは……」

都「いいのよ。 私が一番歳上だし、たまには奢らせて?」

野崎「すいません……ありがとうございます」

遼介「……おい男共!!!」

野崎・御子柴「!!!!」

遼介「すぐに引き下がってんじゃねぇ!! こういうのは意地でも男が払うもんだろ!!」

都「遼介くん……」

遼介(ふっ……高校生に説教してやったぜ。 これで都も『遼介くん、男らしい///』とか思ってるはず……)

都「……声が大きくて周りの人に迷惑がかかるからもう少し静かにした方がいいの思うの」

遼介「」

佐倉「遼介さんかっこ悪いなぁ……」

別の日

佐倉「夢野先生!! 花描けました!!」

野崎「ありがとう佐倉。 完璧だな」

佐倉「えへへー///」

野崎「……そうだ佐倉、試しに効果描いてみるか?」

佐倉「こ、効果!?」

野崎「ああ、花を描けるようになったから次は効果はどうだろうか?」

佐倉「う、うん!! 描いてみる!!」

佐倉(野崎くんが私を必要としている!!)

野崎「……」ジーッ

佐倉「!!!!」

佐倉(の、野崎くん近い!!!)

佐倉(へ、平常心よ千代……普通に……普通に描くの……)

佐倉「……できた!!」

野崎「待て佐倉!! これは効果じゃなくて硬貨だ!!」

佐倉「ご、ごめんなさい!!」

〜終わり〜

おつ

乙、和んだ

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