テスト (6)
起
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朝起きたら雨の音がした。
ザアアアと部屋に居ても雨音が聞こえるほど激しく降っているようだった。
男「今日は休もう。」
そう声に出して意思を固め、もう一度布団をかぶり直した。
最近観たアニメ映画に雨の朝は地下鉄に乗れなくなる病にかかる主人公がいたな。
それをリスペクトして雨の日は学校に行けない病にかかる人になろう。うん、今決めた。
そんなことを思いながら重くなるまぶたを閉じた。
次目を覚めたときにはもう、時計の針は12時を回っているようだった。
流石に寝すぎたな。なんて思いながら重たい体を起こす。カーテンを開けると朝と同じく雨が降り続いていた。
高校には連絡を入れていないので無断欠席ということになっているだろう。
でも、まあよくあることなので担任もいちいち家に連絡をしてこなくなっていた。
「風呂でも入ってさっぱりするか。」
いちいち声を出していうことではないのかもしれないが実質一人暮らしの身としては家の中の音というのはどうしても必要なのかもしれない。
高校三年になって両親が海外出張で家を空け、2ヶ月が経過し、暦は6月になろうとしていた。
最近は日本は四季ではなく五季だという学者もいるようで、春、梅雨、夏、秋、冬といった感じらしい。
ならちょうどいま季節は梅雨であろう。
風呂から上がり冷蔵庫から取り出した麦茶を飲みながら昼のサスペンス観ようとテレビをつけようとした時だった。
ピンポーンと家のチャイムが鳴った。
高三になり学校をサボることが多くなった俺を、ついに担任が家にまで怒りに来たのかなんて思ってしっかり確認もせずに玄関を開けたのが間違いだった。
俺の担任は屈強な体育教師で俺より10センチばかり身長が高いはずだ。
玄関を開けた俺は担任だと思い込んでおり、上を見上げる形で扉を開けた。
しかし、そこには屈強な体育教師である担任は存在せず、目線を下げると俺より身長の低い、同い年くらい?の女の子が立っていた。
その子はいわゆるカッパと言われる服を着用しており、カッパのフードを深くかぶり顔までは見えなかった。
俺は驚きのあまり声を出せず、たぶん鏡で見るとすごい変な顔をしていたと思う。
女「こんにちは、男さん。つゆと申します…」
唐突に自己紹介をされた。てかなんで俺の名前を知ってるんだ。どっかで会ったことあったっけ…
てか名前がつゆ?そうめんとかに付けるあれか。露?汁?
「あの、申し訳ないんですがどこかでお会いしたことありましたっけ?」
なんて質問を投げかける。もしかしたら同じ学校の生徒かもしれない。
「ご、ごめんなさい。去年一度だけお会いしました。つゆといってもわかりませんよね。梅に雨と書いて梅雨と読むあれです。」
梅雨?ますます訳がわからなくなってきた。しかも去年会った。記憶を掘り出してみてもそんな記憶は残っていなかった。
話をしている時も雨は激しく降り続き、家の屋根に激しい音を響かせていた。
「まあ、なんというかとりあえず家入る?雨すごいし…」
いつもなら家に知らない人を入れるなんてまずありえないが、なぜだろうか。この時はその子を家に入れてしまった。
「あ、ありがとうございます。」
梅雨と名乗るその子は失礼しますと礼儀よく頭を下げるとカッパを脱ぎ、大きな水色の長靴を履き揃えた。
カッパを脱いだその子の姿に俺は心がときめいた。長くツヤのある黒い髪、大きな目に長いまつげ、小さい口に色白の肌。
美少女という言葉がまるでその子のために作られたのではないかというほどの少女がそこには存在していた。
だがそれと同じくらいその子からは雨の匂いが漂っていた。
「適当にその辺のソファに腰掛けてくれていいから。なにか飲み物持ってくるよ。」
そういって台所に向かい、冷蔵庫から出しっぱなしになっていた麦茶をコップに注いだ。
リビングに戻るとこの子はソファの端っこにちょんと座っていた。なんとも不思議な雰囲気をしているなと思った。
「はい、麦茶。そんな端っこに座ってないでもっと真ん中に座りなよ。」
麦茶をテーブルに置き、自分も向かいに座る。
「あ、ありがとうございます。では失礼します。」
そう言って、その子はソファの真ん中に座り直し、出された麦茶に口をつけた。
その途端、今までも激しく降り続いていた雨がまた一段と強くなりだした。ああ、やっぱ学校行かなくて正解だったわ。なんて間抜けなことを思うくらいには余裕が出てきてらしい。
「それで、結局君は梅雨さん?でいいのかな?」
麦茶を飲み干した梅雨と名乗るその子は姿勢を正し口を開く。
「はい、私は梅雨といいます。というか梅雨自身といったほうが正しいかもしれません。わたしはこの世に存在しないいわゆる妖精と呼ばれる類のものです。」
突拍子もない話に俺の余裕ゲージはまたカンストしそうなくらいに上昇した。妖精?なにそれ現実?
俺は目を丸くしていたと思う。だって信じられないじゃん。一分ほどの沈黙のあと梅雨と名乗る少女が続ける。
「わたしは梅雨の時期しか存在できない妖精です。人間の姿をしているのも妖精であるとバレないようにするためです。梅雨の妖精は春の妖精や夏の妖精、秋の妖精、冬の妖精と比べるとまだまだ力が未熟なため一人ではその季節の仕事を全うすることができないんです。ですから…」
「ちょ、ちょっと待ってもらっていい。一個ずつ確認していいかな?君は妖精であり人ではないと。」
「はい、その通りです。」
「それで、君は梅雨の妖精であると…」
「はいっ。」
元気よく返事をされたが俺は頭が痛くなってきた。流石に信じられない…
「そ、それで、結局君はなんで俺の家に来たの?」
やけくそに最も気になっていた質問をしてみることにした。もうどうにでもなれ…
「それはですね。男さんに梅雨の仕事を手伝ってほしんですよっ。」
向かいに座っていた梅雨の妖精?が前のめりになりながらそう言い放った。
あ
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