提督「叢雲、か」 (8)

提督「我が艦隊にようこそ、我々は君を歓迎するよ」

叢雲「アンタが私の提督ね、まあよろしく」

提督「ああ。さて、まずは初めてうちに来た駆逐艦は訓練艦隊に入ってもらってある程度練度を上げてもらうんだ、君も例外ではない。明日から訓練に励んでもらうよ」

叢雲「あら、動きが早いわね。私としても喜ばしいことだけど」

提督「こちらも兵を余らせておく程余裕がないものでね…ああ、それと寮まで案内しよう」

叢雲「よろしくお願いするわ」





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提督「どうだ叢雲、訓練の方は?」

叢雲「アンタか…ええ、練度は順調に上がって行ってるわね」

提督「そうか、よかった。寮の同室の奴らには慣れたか?」

叢雲「そこそこね。霞の奴とはたまにぶつかるけど」

提督「はは、喧嘩できるほど仲良くなったなら良かった」

叢雲「ふふ、何よそれ」

提督「うまく馴染めてるみたいでよかったよ…おっと、執務に戻らないと。じゃあ、また」

叢雲「ええ」

コンコン

「どうぞ」

叢雲「失礼するわ」ガチャ

提督「ああ、来てくれたか」

叢雲「何の用かしら?」

提督「しばらくの期間お前の訓練を見ていたが、そろそろ練度も丁度良い頃だし、別の艦隊に異動してもらう」

叢雲「そう、どこの艦隊?」

提督「第1艦隊、主力艦隊だな」

叢雲「なっ…!?どういうこと!?いくら練度が上がったとは言えまだ…」

提督「力不足だと?」

叢雲「そうよ!一体何を考えてるの?」

提督「実戦経験を積んでもらいたくてな」

叢雲「なら、第2艦隊でも、第4艦隊ででもできるでしょう、なんで私を主力艦隊に配備するのよ」

提督「お前ならやれる、と思ったからとしか」

叢雲「バッカじゃないの?アンタ、司令官としては相当無能なようね。一体何を根拠に…」

提督「お前の、陰ながら頑張ってる姿を見てつい、な」

叢雲「!?何を…」

提督「いつもの訓練が終わった後にもまだ訓練して、頑張ってたろう」

叢雲「!…………見られてたのね」

提督「何がお前をそれ程突き動かすのかは分からんが、あれ程努力しているお前ならウチの主力でも通用するようになるはずだ」

叢雲「………何を言っても無駄みたいね。わかった、やらせてもらうわ」

提督「引き受けてくれてありがとう」




叢雲の提督の呼び方間違えたな

叢雲「……………」ボロッ

提督「よく帰ってきてくれた」

叢雲「ええ、何も出来なかった上、第1艦隊の先輩方の足を引っ張って更に大破での帰還だけど」

提督「そう睨むな。これに関しては本当に済まなかったと思っている。私の指揮が悪かった」

叢雲「とはいえこれが、アンタの勝手に信じてた"駆逐艦叢雲"の実力よ。さっさと第1艦隊から外すなり何なりしてくれて構わないわ」

提督「いや、第1艦隊への配備は継続して行う。早く入渠してきたまえ」

叢雲「………なんでよ」

提督「まだ初陣だ、他の艦娘たちも初めはこんなもんだったさ」

叢雲「そう言われても、納得できないわ」

提督「今でこそ主力艦隊旗艦の川内だが、奴は初めての出撃で魚雷を暴発させてしまってな。泣きながら大破して帰還して、その後2週間くらいふさぎ込んでたぞ」

叢雲「そんな、今の川内さんからは想像もつかないわね」

提督「ああ…そんなあいつも、お前みたいに人の倍の努力でここまで上り詰めた。お前にも可能性はあるってことだよ」

叢雲「そこまで言うなら…もう少しだけ頑張ってみることにしようかしら」

提督「ああ、期待してる」

叢雲「…………」ザザーン

提督「こんな所にいたのか」

叢雲「アンタ………どうしてここにいるって分かったの?」

提督「なんとなくかな」

叢雲「そう」

提督「元気がないな」

叢雲「そう見えるかしら」

提督「ああ、とても。何かあったか?」

叢雲「………私、役立たずだなと思ってね」

提督「どうして?」

叢雲「分かるでしょ、ここの所何も成果をあげてないし、たまに中破か大破して帰還してくる」

提督「いや、成果をあげてないというのは違うだろう。お前のサポートが結果として成果に繋がった事も何度かあった」

提督「この間の作戦なんて、お前が雷撃で気を引いてなかったら加賀は戦艦ル級の砲弾に直撃していただろう。そしてル級の砲撃を受けずにすんだ加賀はすぐさまル級を討ち取った」

叢雲「そういう、間接的なものじゃなくて…直接的な成果が欲しいのよ。敵旗艦の撃破とかね」

提督「そうか…それは確かに扱える砲の種類から考えると少し難しい部分もあるだろうが」

叢雲「でしょうね」

提督「だがな、それぞれの艦には役割って物がある。今のお前はサポートに回るのが正解だ」

叢雲「今の…ね」

提督「ああ。頑張れよ」

叢雲「ありがとう」

超雲に見えた

マダー?

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