P「凛と昼ご飯」 (14)
凛「プロデューサー...これ」
そう言って私は事務所に大量にあるチョコレートを指す。
P「ん?ああ、ちひろさんが昨日配ってたんだ。先方からもらったとかなんとか」
凛「ふーん、そうなんだ」
P「ああ、凛は昨日仕事で事務所来なかったからな。そこにあるの適当に持ってっていいぞ」
凛「...ありがと」
P「お礼はちひろさんに言っといてくれ、アドレス知ってるだろ?」
凛「うん」
P「凛の今日予定は午後からだったよな?どうしてまたこんな早く来たんだ?」
凛「別に、なんとなくだよ」
P「そうか、まぁゆっくりしてていいぞ」
凛「うん」
適当な返事をしてお菓子の箱を開ける。
あーあ、昨日来てたらなぁ...。なんて思う。
プロデューサーは私に声をかけた後はまたパソコンに向かって忙しそうになにやら打ち込んでいる。
私がチョコをかじる音とプロデューサーのキーボードの音だけが響いてた。
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凛が退屈そうにスマートフォンをいじりながら
菓子を食べているのをよそに俺は仕事を進める。
ちひろさんにお礼のメールでもしてるんだろうか。
そういえばアイツ、チョコ好きだったよな。もう2袋目だし。なんて考えていた。
しばらくして仕事にキリをつけると俺はパソコンを閉じて凛に声をかける。
P「今日は撮影だけだったよな。送っていこうか」
凛「でもまだ撮影まで結構時間あるよ?」
P「ああ、だから軽くご飯食べに行こうかな。と思ってさ」
凛「嬉しいけど...」
P「今日の衣装は冬物だしいいだろ、プロ意識は流石だけどな」
凛「...普通だよ」
少し間を置いて照れ臭そうに呟いた。素直に褒めてもらって喜べばいいのに。
こういうところが可愛いんだけれど。
P「じゃあ、先に車乗ってて」
凛にキーを手渡す。
凛「わかった」
簡単に凛を送っていくという旨を伝える手紙をちひろさんのデスクに置いておいた。
お昼は何にしようかなぁ。
凛「それで、何食べに行くの?」
俺が車に乗り込むや否や、凛に質問される。
P「うーん、何がいい?」
凛「私はプロデューサーに任せるよ。あ、でもにんにくとかはナシね」
P「この後、仕事だもんな。じゃあスタジオの近くで適当に探そうか」
凛「そうだね」
そうして他愛のない会話をしながら車を走らせてスタジオの駐車場に車を停める。
駐車場の警備員さんにこの辺でおいしいご飯屋さんある?と聞くと
中華の店とイタリアンの店で美味しい店が近くにあるよ。と言うので
イタリアンに行くことにした。理由はもちろん前述の通り。
P「というわけで、近くのイタリアンに行きます」
凛「楽しみだね」
P「あ、このことは他の子に言うなよ?みんな連れて行くことになったら俺の財布が危ない」
凛「言わないから安心してよ」
P「ありがとう凛!大好き!」
凛「そういうのいいから!そんなことよりプロデューサーはどんなピザが好き?」
凛は頬を朱に染めながら無理やり話題を変える。
これ以上からかうのもかわいそうなので乗ってやることにする。
P「うーん、ペスカトーレかビスマルク!凛は?」
凛「私はあのチーズと蜂蜜の甘いやつが好きかな」
P「ああ、あれ美味しいよな!俺も名前出てこないけど!」
なんてくだらない会話をしていると件のイタリア料理店に辿り着く。
凛「ホントに近いね。それにお昼にはちょっと早いからすいてるみたい」
P「いいタイミングだったな。それじゃ、入ろうか」
カランコロンと小気味の良い鈴の音をたてながらドアを開く。
店内の雰囲気も良く、当たりだな。と思った。
店員さんに個室は空いているか尋ねたところ幸運にも空いているようなのでそこに通してもらった。
P「運がいいな。個室が空いててよかったよ」
凛「私のため。でしょ?別にいいのに」
P「でも、ご飯の時くらい眼鏡も帽子も外したいだろ?」
凛「まぁね。ありがと」
P「はい、メニュー」
卓上にあるメニューを凛の方に向けてテーブルの中央に置く。
「「クワトロフォルマッジ」」
二人して声が揃う。
P「ぷっ...ははは」
思わず吹き出してしまった。
凛「ふふっ、プロデューサーも名前でなくてもやもやしてたんだ」
P「そりゃあなぁ、よし。ピザはこれにしようか」
凛「そうだね、私はもう決めたよ」
くるり、とメニューを俺の方に向けてくれる。気が利く子だ。
P「うーん...よし!俺も決めた!」
凛「じゃあ店員さん呼ぶね。すいませーん!」
P「あっ」
凛「あっ」
気が付いたときには既に遅く。店員さんは凛がアイドルの渋谷凛だと気付いたみたいでサインを頼まれる。
俺も変な噂が立たないように念のために名刺を渡す。
店員「ロケか何かでいらっしゃったんですか?」
P「ええ、詳しいことはお伝えできませんが近くのスタジオで撮影がありまして」
店員「なるほど。サインありがとうございました。無理を言ってすみません。お料理すぐにお持ち致しますね」
そう言って店員は個室から去って行った。
凛「...ごめん」
P「いいよ、別に幸い店員の人に気付かれただけで済んだし」
凛「...うん」
見るからに落ち込んでいる凛であった。
ここは話題を変えて気を紛らわやろうと思い適当な質問をする。
P「そういえば凛のパスタは何だっけ?」
凛「えっ、ああ。カルボナーラだよ。プロデューサはジェノベーゼだっけ」
P「うん。後でちょっとあげるよ」
凛「じゃあ私のもあげるね」
P「二人で来ると色んなのが食べれてお得だな」
凛「ふふっ、そうだね」
どうやら気は紛れたらしい。よかったよかった。
間もなくしてパスタとピザが来た。凄く美味しそうだ。
凛はスマートフォンで写真を撮ったりなんてしてる。女の子って料理の写真撮るよなぁ。
P「写真撮ってどうするんだ?」
凛「ツイッターに載せようと思って」
P「ああ、いいかもな...ん?いや、ダメダメ。そんなことしたら他の子にバレるだろ」
凛「あっ、そっか。秘密なんだっけ。でもプロデューサーと行ったなんて書かないし大丈夫だよ」
P「まぁそれもそうか、よし!とりあえず食べよう!」
凛「そうだね。いただきます」
P「いただきます」
P「よし、ピザ切るぞー。その切るやつ取ってくれ」
凛「はい」
P「何等分くらいにする?六等分くらいか?」
凛「それくらいかな。あ、私蜂蜜かけたい」
P「いいよ。ほい蜂蜜」
凛が目をキラキラさせて蜂蜜をかける。本当に好きなんだろうなぁ。
蜂蜜をかけ終わり一切れ目を手に取り口に運ぶ。
チーズと蜂蜜がマッチしていて凄く美味しい。
P「美味しいなこれ」
凛「うん、あ。プロデューサー垂れてるよ」
P「ん?あっ!やっちゃった」
スーツに蜂蜜を垂らしてしまった。
凛「あーあ、もう。動いちゃだめだよ」
そう言って凛が席を立ちおしぼりで拭いてくれる。
P「不甲斐ないプロデューサーですまない」
凛「ホントだよ。なんてね。ふふっ」
P「もう垂らさないから大丈夫!」
凛「最初から垂らさないでよ」
P「返す言葉もない」
凛「あ、そういえばパスタ交換するために取り皿もらおうか」
P「凛があーんしてくれれば取り皿いらないぞ」
凛「何言ってんの...ばか」
P「冗談だよ。半分くらい食べたら皿ごと取り替えちゃえばいいんじゃないか?」
凛「それもそうだね」
終始こんな感じで楽しく談笑しながら食べたのだった。
P「じゃあ、ぼちぼちスタジオ行くか」
凛「そうだね」
P「入ったところにレジなかったしテーブルチェックだよな。たぶん。」
すいませーん。と声をかけるとただ今お伺いいたします。と声が返ってきた後すぐに店員さんが来てくれた。
そうして支払いを済ませ店を出ようとしたときに声をかけられた。
店員「先程はサインの方、ありがとうございました。つまらないものですがよかったら召し上がってください」
店員さんから箱の入った袋を手渡された。
P「こちらは?」
店員「うちで出してるケーキでございます。お口に合えば幸いです」
P「ありがとうございます。また来ますね」
凛「美味しかったです。ごちそうさまでした」
店員「またのご来店お待ちいたしております」
俺たちも軽く頭を下げて店を出た。
P「ラッキーだったな!ケーキもらっちゃったぞ」
凛「ふふっ、私のサインのおかげでしょ?」
P「そうだな!さすが凛!」
凛「もう。本当に調子いいんだから」
P「いやー、それにしても美味しかったな」
凛「そうだね。ご馳走してくれてありがとね」
P「ああ、また来ような」
凛「うん。次はプロデューサーの好きなピザにしようか」
P「またクアトロフォルマッジでもいいぞ?」
凛「あれはプロデューサーこぼすでしょ?」
P「もうこぼさないって!」
凛「ふふっ、どうだろうね」
P「ま、まぁ!とりあえずイタリアンパワーで撮影頑張ってくれ」
凛「イタリアンパワーって何...まぁ頑張るけど」
P「じゃあ撮影終わったら連絡してくれ。迎えに来るよ」
凛「わかった。それじゃあまたね」
P「ああ、また後で」
そう言って凛と別れた。楽しい昼食だった。
おわり
乙!
あっさりすぎる
これは何かありますね(願望)
おつ、ほっこり
もっと書けるだろ
ケーキに盗聴器でも入ってるのかと
おつ
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