チノ「古い知り合いでこの街で再会したとは聞いたことあるんですが詳しくは・・・」
―――ラビットハウス・深夜
カランカラン
タカヒロ「いらっしゃい・・・おや?これはめずらしいお客だ・・・」
リゼパパ「しばらくだな」
タカヒロ「付き人もつけずに来られるとは、何かありましたか?」
リゼパパ「そんな日もある。それに・・・一人のほうが俺の性に合ってる」
タカヒロ「なるほど。ご注文は?」カタ
リゼパパ「スコッチをロックで頼む。シングルでいい」
タカヒロ「おや?のっけからウイスキーとは遊びがありませんね」
リゼパパ「そうか?なら・・・お前に任せる。何かカクテルを」
タカヒロ「かしこまりました」
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カチッ シュボッ
リゼパパ「ふー・・・。元気そうでなによりだ」
タカヒロ「わたしがですか?」カチャカチャ
リゼパパ「ああ。他に誰がいる?」
タカヒロ「ごもっともです」
ティッピー「・・・」
リゼパパ「部隊を離れてからどれくらいになる?」
タカヒロ「もう20年近くになりますね」
リゼパパ「懐かしいな。お前が部隊を抜けると言い出したときは大騒ぎだった」
タカヒロ「ええ。特に司令には何度も引き止められましたよ。貴方はそうでもありませんでしたが」
リゼパパ「それは俺の仕事じゃない。たしかにアイツはお前がいなくなった後、事あるごとに言っていた・・・お前がいればってな。実際そういった場面は何度もあった」
タカヒロ「・・・あの襲撃のときもですか?」
リゼパパ「・・・」カチッ シュボッ
タカヒロ「申し訳ありません・・・」
リゼパパ「いや・・・気にするな。お前一人いたところでどうにかなる状況じゃなかった。問題はもっと深く・・・時代を遡った先にあったんだ」
リゼパパ「それに・・・お前は銃を手放し、表の世界で全うに生きてる。家族もいる・・・あの時の俺たちとは違う。お前が気に病む必要はない」
タカヒロ「・・・ありがとうございます。“ゴッド・ファーザー”です」コト
リゼパパ「いただこう」
クイ
タカヒロ「どうでしょう?」
リゼパパ「いいセンスだ」
リゼパパ「ところで・・・アイツの様子はどうだ?うまくやれてるか?」
タカヒロ「アイツ・・・というと?」
リゼパパ「とぼけるな。ウチのやつのことだ」
タカヒロ「ふふ、ええ。リゼ君ならよく働いてくれてますよ」
リゼパパ「そうか・・・ならいいが」
リゼパパ「あまりアレと話す機会がなくてな。お前に迷惑をかけていないならいい。俺の“仕事”についてはよく聞いてくるんだが、自分のことは話そうとしない」
タカヒロ「ふふ、照れているんでしょう。店ではよく貴方のことをうちの娘たちに話してますよ」
リゼパパ「まさか。冗談はよせ」
タカヒロ「彼女が来てからもう7年ですか?」
リゼパパ「俺が目を覚まし、訪れた北欧でアイツを拾ったのがアイツが10の時だ」
タカヒロ「あの時は驚きましたよ。ここにいるはずのない貴方がこの街に来たこともですが、貴方が子供を持たれているなんてね」
リゼパパ「アイツは俺の子供じゃない。俺はただの保護者だ」
タカヒロ「ふふ、そういわずに。彼女は親父と貴方を慕っています。話を聞くにいずれは貴方の“仕事”を手伝いたいと思っているようです」
リゼパパ「・・・そんなことはさせない。アイツはこちら側に来させない。そのために、この国に・・・この街へ連れてきたんだ」
タカヒロ「心中はお察しします。ですが彼女は・・・」
リゼパパ「64年の被爆・・・あの時、子供を持つことはなくなった。彼女とその定めもともにするものだと悟った。彼女と同じく子供を持ち、安らぎを得る資格など俺にはない」
タカヒロ「・・・」
リゼパパ「そうだ・・・俺に子供はいない。いずれ邂逅するであろう息子達とも銃を向け合うことになるだろう」カラン
タカヒロ「・・・おかわりは?」
リゼパパ「いや・・・いい。お前がアイツの事を気にかけてくれるのはありがたい。だが、アイツが俺の背を追うというなら煽るようなことやめてくれ・・・。たとえ・・・アイツがどれだけ俺を慕ってくれていたとしてもだ」
タカヒロ「貴方には支えになるものがなさ過ぎる」
リゼパパ「もうそんなものは必要ない。多くの犠牲を払ってきた。・・・こうしてこの街で機会を待ち、力を蓄えられるのも仲間の犠牲があってこそだ。仲間の死を無駄にしないためにも自身を省みることはしない。支えなどもういらない・・・」
タカヒロ「仲間の犠牲・・・」
リゼパパ「彼のことはしっているだろう?」
タカヒロ「ええ、もちろん。貴方に誘われ隊に入ったのは同時期でした」
リゼパパ「お前と並んで優秀な隊員だった」
リゼパパ「彼にはこの7年間負担を強いてきた。だが、もうあと数年で準備は整う。俺は彼となり、また彼は俺となり、時代を変えることになる」
リゼパパ「そうなればもうこの街を出ることになる。それまでの間にアイツには一人で全うに生きられるようになってもらいたい」
タカヒロ「それは親心では?」
リゼパパ「自責の念だ。この時代を作ってしまったとこへのせめてものな。長くなったな、もう帰ろう」
タカヒロ「外は雨です。迎えを呼びましょう」
リゼパパ「頼む」
タカヒロ「迎えが来るまでコーヒーでも?」
リゼパパ「ああ、いただこう」
カチャカチャ コポコポ
リゼパパ「いい香りだ。豆は?」
タカヒロ「コロンビアです。私が彼の地で惚れ込んだ豆です」コポコポ
カチャ
タカヒロ「どうぞ」
リゼパパ「ほう・・・こちらもいい腕だな」
タカヒロ「これに関しては私の親父譲りです。いずれ娘にも・・・そしてリゼ君にも受け継いでもらいますよ?」
リゼパパ「それを聞いて安心したよ」
タカヒロ「ええ、なんと言っても彼女は・・・おっと、もう迎えが来たようです」
リゼパパ「ん?エンジン音なんてしなかったが・・・」
カランカラン
リゼ「お、親父っ///迎えにきたぞ」
リゼパパ「・・・」
タカヒロ「・・・」
リゼパパ「タカ・・・」
タカヒロ「今日の御代は結構です。お気をつけて・・・」
リゼ「あ、歩きでっ・・・かさ一本しか見つかんなかったんだけどいいか?///」
リゼパパ「・・・」
リゼ「おっ、親父?」
リゼパパ「ああ、かまわない。今行く、待たせたな」
カランカラン
タカヒロ「ふふ・・・」
FIN
これリゼパパってビッグボスか?
素晴らしい。ほっこりした。
作者さんの他の作品もあったら知りたい
乙です。
乙
乙
こういうの好き
乙乙
男メインとは珍しい
乙
これってやっぱリゼパパ=BIGBOSSなのか
タカヒロ「・・・ありがとうございます。“ゴッド・ファーザー”です」コト←ボスのカクテル?
リゼパパ「64年の被爆・・・←バーチャスミッション
リゼパパ「そうだ・・・俺に子供はいない。いずれ邂逅するであろう息子達とも銃を向け合うことになるだろう」カラン ←恐るべき子供たち
乙
スネークなのか
とても良かったで
乙
リゼ父のCVは大塚さんだといいな
ココア達が平和な日々を楽しんでいる裏ではいろんなことが……
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