夜
理樹・真人部屋
真人「そしたら謙吾なんて言ったと思う?」
理樹「さあ…なんて言ったの?」
真人「『ヒーローインタビューは俺のものだ』だってよ!」
「「ハッハッハッハ!」」
理樹(僕は今とても久しぶりに自分の部屋に来ている。二木さんと葉留佳さんの3人で暮らしていたアパートからやっと戻ってこれたのだ)
理樹(お家の人間とはその間に和解していった。しかしその中でまだ悪巧みをしようって人には仕方がないのでしばらく冷たいご飯を食べてもらうことになった)
謙吾「おいおい、いつの話をしてるんだお前は!」
理樹(かくして無事に我が家とも言えるこの場所に荷ほどきが出来たのだった)
理樹(今さっき帰ってきたばかりなのでバスターズの残りのメンバーとは明日の朝みんなと再会することになるだろう)
恭介「にしても理樹、お前ちょっと背が高くなったんじゃないか?」
理樹「えっ、そう?」
謙吾「言われてみればそんな気もするな。まあ、小さいままの理樹のほうがかえって落ち着くんだがな」
理樹「どういう意味さ!ていうか謙吾達がデカすぎるだけだよっ」
理樹(と、その時だった)
コンコンッ
理樹「はーい?こんな時間にいったい誰が…」
ガチャ
小毬「理樹くん、お久しぶりー」
クド「お久しぶりなのです!」
理樹「クド!それに小毬さんも!」
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理樹「久しぶりだね」
小毬「本当にね~」
クド「理樹っ。挨拶はこの辺にして実は大変なことが起きたのです!」
理樹「は?」
理樹(この言葉に小毬さんも目的を思い出したのか真剣な顔になった)
小毬「そう!大変なのです!」
理樹「た、大変って?」
クド「えーと…とにかく大変なのですっ!」
理樹(なんだろう。この流れ前にもあったような…)
小毬「だから理樹くんには鈴ちゃんの部屋に来てほしいの!」
理樹「ちょっと待ってよ!あそこは男子禁制じゃないか。ねえみんな?」
理樹(3人に助けを仰いだ)
真人「流石理樹。羨ましいぜ!」
謙吾「楽しんでこいっ」
理樹(ダメだった!)
小毬「さあ、行きましょう~」
理樹「ええーっ」
恭介「行ってこいよ。みんな早くお前の顔を見たがってんだぜ?ずっと行方をくらませていた罰と思ってさ」
理樹「見つかったら冗談抜きで罰則受けるんだけど…」
理樹(しかしもはや四面楚歌。2人の女の子に従うより他はなかった)
期待
女子寮
理樹「ねえ本気で行くの…?」
小毬「えっ、そうだよ?」
理樹(なんにも考えてない顔だった。多分この人、地球最後の日でもりんごの種を巻くタイプの人だ)
理樹「じゃあさ、せめて先に行くから鈴の部屋教えてよっ。馬鹿正直に3人並んで歩いたらスティービーワンダーにさえ見つかるよ!」
クド「わ、分かりました!鈴さんの部屋は21号室ですっ」
小毬「それもそうだねぇ。それじゃあご武運をお祈りします!」
理樹「うん」
~ミッションスタート~
理樹「さささっ」
理樹(女子寮の構造は何故かなんとなく理解していた。どこに行けば人が多いかなどなど)
ガヤガヤ
女生徒「やっぱりハーディじゃダメよね~」
女生徒「うんうん。あの頃のメルは超えれないわ~」
理樹(よし、今だ!)
タタタッ
女子寮2F
理解「着いた!」
理樹(よし、ミッションコンプリー……)
ガシャンッ
理樹「………えっ?」
理樹(一瞬理解出来なかった。ドアに手をかけた瞬間、鉄の輪が僕の手首を掴んだ)
理樹「こ…これって……」
「手錠よ」
理樹(輪に繋がれている鎖の先へ視線を流すとやはり同じ状態になっている綺麗な手がそこにあった。流石二木さんは手入れが行き届いてるなあ)
理樹「二木さん…また会ったね……」
佳奈多「帰ってそうそう違反行為を起こすなんてね。もはや何か賞をあげた方がいいわね」
理樹「ぼ、僕の記憶だと風紀委員としての責務は終わったような気がするんだけど」
佳奈多「残念だったわね。名誉OBとしてたまにこうして見回ることにしてるの。こうやって変態を捕まえるためにね」
理樹(なるほど確かに昔のように取り巻きの風紀委員は連れていなかった。さて、こうなったからには…)
理樹「ねえ二木さん。同じ屋根の下に暮らした吉見として…」
佳奈多「ダメ」
理樹「はい…」
佳奈多「……………」
理樹「……………」
理樹(『ついてきなさい』と言われて二木さんの後ろを歩くことになった。こうしてる間にも鈴たちは僕の到着を待ってるんだろうなーと思っていると後から来たクドと小毬さんに出会った)
小毬「あ……」
クド「り、リキ!」
佳奈多「あら、偶然ね。見たらわかると思うけどここに進入してきたバカをさっき見つけたの。それじゃあまた明日」
理樹(二木さんは出来る限り会話を最低限に抑えてしまった。おかげで事情を話す暇も与えられずに別れることになった)
佳奈多「着いたわ」
理樹(女子寮の最上階、一番奥の部屋に連れてこられた。ここだけ電気が薄暗い)
理樹「こ、ここって…」
理樹(聞いたことがある。確か女子寮には僕みたいにドジを踏んだ男たちのための拷問部屋があると…)
佳奈多「さあ、お楽しみはこれからよ」
ギィ……
理樹(部屋はいかにもといった感じの部屋だった)
理樹(中央には質素なイスが置かれ、その周りには木で作られたお馬さんや鉄で作られた等身大サイズの女の子の(中に入れる)人形があった。この雰囲気まさに匠の技)
理樹「ち、ち、ち、ちょっと待ってよ!これはどうせ来ヶ谷さんの差し金なんだよ!僕はわ悪くないっ!!」
佳奈多「でも単独で行動してニヤニヤしながら女子の部屋に入ろうとしたでしょあなた?」
理樹「あ……う…」
佳奈多「ふっ…この私に口喧嘩で勝てるとでも思ったのかしら……」
理樹(そういいながらポケットをごそごそし始めた)
佳奈多「…………あら…」
理樹「えっ?」
佳奈多「………………」
理樹(何を探しているんだろう)
5分後
佳奈多「………ない…」
理樹「………まさか…」
理樹(2人が手錠で繋がれてる今、この台詞を聞いて思い浮かぶものは一つしかなかった)
理樹「二木さん……鍵、なくしたの?」
佳奈多「くっ!」
理樹(僕の言葉がスタートの合図になった)
佳奈多「さっきのところまで戻るわよ!」
理樹「ええーーっ!!」
女子寮2F
佳奈多「ない…ない…ないっ!」
理樹(いくら探しても見つからなかった。落し物が拾われていないか一階のロビーにもいったが成果は上がらず……)
廊下
佳奈多「か、完全に無くした……」
理樹「そ、そうだ!合鍵!合鍵はないの!?」
佳奈多「無いわ……」
理樹(今繋がれている手錠は鉄製で、たとえ真人でも素手で壊せそうになかった)
理樹「じゃあどうするのさ…」
佳奈多「い、今から学校へ戻って工芸室へ進入…は無理そうよね…」
理樹「うん…」
理樹(時刻は9時。消灯まであと1時間)
ガヤガヤ
「ウフフ…」
「アハハ…っ」
佳奈多「まずいわ。人が来る!」
理樹「ちょっ」
バタンッ
佳奈多部屋
佳奈多「とりあえずここにいればなんとかなるわ…」
理樹「どうするのさ!このままじゃそういうプレイのカップルみたいじゃないかっっ!」
佳奈多「カ、カップ……変なこと言わないでちょうだい!」
バチンッ
理樹「痛い!」
10分後
佳奈多「……仕方がないわ…離れられない以上今日はここで泊まりなさい。幸いクドリャフカはあちらで泊まるらしいから」
理樹(心底嫌そうな顔で言った。僕だってこんな恐ろしいこと望んでなかったよ)
佳奈多「最悪…これじゃ服も脱げないから制服のまま寝るしかないじゃない…シャワー浴びてて本当に良かった……」
理樹「あ、そうだ。僕はシャワー浴びてないんだけど…!」
佳奈多「あなた男の子でしょう?1日くらい我慢しなさい」
理樹「ええー…」
佳奈多「じゃあ消すわよ?」
理樹「はい……」
理樹(手錠によって繋がれているせいで二木さんのベッドの横でごろ寝するしかなかった。クドのベッドを近づける案はもちろん却下された)
理樹(こうして夜は今日も更けていく……)
……………………………
……………
…
朝
チュンチュン
理樹「ふああ……」
理樹(熟睡から解き放たれた瞬間、鎖がぶつかり合う音で今の状況を思い出した)
理樹「そ、そうだった…」
佳奈多「すぅ……」
理樹「おーい二木さーん。朝だよ、起きて」
ジャラジャラ
佳奈多「う…ん……」
理樹「二木さん?」
佳奈多「………う…」
理樹「?」
佳奈多「うわぁーーっ!!」
ドガッ
理樹「ったぁ!?」
理樹(グーで殴られた。避けようにも手錠が邪魔したのでむしろ悪い方向へいき、その拳は顔面へヒット)
佳奈多「ハァ…ハァ……あ、ああ…そうだったわね。ごめんなさい、少しボケてたわ」
理樹「まったくだよ…」
佳奈多「髪は……よし…」
理樹(僕の言葉を無視して鏡で髪をチェックするとさっそくこう言い放った)
佳奈多「直枝、さっそく学校へ行って工芸室でこの手錠を切るわよ」
理樹「あ、やっぱりそういう方法で行くんだ…」
佳奈多「当たり前だわ!あなたとずっと2人きりでいたらどんな噂されるかっ!そうじゃなくともこんな手錠を引っさげてまとも学校生活は送れないし」
理樹(至極まっとうな言葉だ)
理樹「でも切ったところで手首の輪のほうはどうするの?」
佳奈多「それはまだこれからよ。つけてるだけならパンクな趣味って思われるだけで済むでしょう?」
理樹(それはそれで嫌なんだけど…)
理樹「分かったよ…ちょうど学校も開いたばかりだから人も少ないだろうし行くなら今ってことだね?」
佳奈多「そういうこと。それじゃあ支度しなさい。出来たらの話だけど」
理樹(職員室の前に来た)
佳奈多「よかった…ちょうど先生はいないようね」
理樹「えっ、なんで問題があるの?普通に借りればいいんじゃ…」
佳奈多「だってこういうことが噂になったら恥ずかしいでしょ?それにこんな理由で工具を借りるなんてバカバカしくて言えないじゃない」
理樹「噂にうるさいね」
佳奈多「うるさいに決まってるじゃない。人は恥のためなら死ねるわ」
理樹(そういいながら二木さんはドアを開けた)
工芸室前
カチャカチャ
佳奈多「片手だと開けにくいわね…」
理樹「ねえ二木さん」
佳奈多「なに?」
理樹「興味本位に聞くんだけど工具って何を使うの?」
佳奈多「大型ペンチとかマサカリかしら?」
理樹「それでも切れなかったらどうする?」
佳奈多「流石に肉と骨なら切断出来るわ」
理樹「!?」
佳奈多「冗談よ………っと開いたわ!」
理樹(二木さんも冗談を言うんだ。そう感心しているのもつかの間、右の方から大声が聞こえた)
「コラーーッ!!お前ら何をやっている!」
理樹「や、やばい!見つかった!」
佳奈多「しょうがない、逃げるわよ!」
理樹(グイッと乱暴に手を引かれ、学校の廊下を逃げる様はまさに葉留佳さんと風紀委員から逃げ回った場面を思い出さずにはいられない)
焼却炉
ガンッガンッ
理樹(今度は焼却炉に転がってある鉄の塊での破壊を試みた)
佳奈多「もっと力強く叩けないの!?」
理樹「いやぁ、だってこれ以上振りかぶったら手にぶつけかねないし」
佳奈多「はあ、これも失敗ね」
理樹「やっぱり壊すには道具が必要だよ」
佳奈多「そうね…これだけはしたくなかったけど街へ行ってホームセンターに寄るしかないわ」
理樹「大丈夫、お金なら僕もバイトで貯めたのが少し残ってるから!」
佳奈多「う、うん……」
理樹「どうしたの?」
佳奈多「……なんでもない…!」
理樹「とてもそうには見えないんだけど!?」
理樹(様子がおかしい。体を左右に振って何がしたいんだろう)
佳奈多「……て…い…」
理樹「えっ?」
理樹(気付けば二木さんは顔を真っ赤にしていた。そしてボソリと呟いた)
佳奈多「お…お手洗い………」
理樹(な、なんだってぇーーっ!!?)
続く(∵)
乙
いいところで終わるな
期待だ
乙(∵)
女子トイレ
理樹「……………」
理樹(そこは無の世界だった。聴覚、視覚、嗅覚、そして息さえも遮られている。)
5分前
佳奈多「直枝。これとこれをつけなさい」
理樹(女子トイレの前で僕はコルクとアイマスクを貰った)
理樹「これは?」
佳奈多「決まってるでしょ!それで目と耳を塞ぐのっ!!」
理樹「ひゃ、ひゃい…」
佳奈多「それから個室に入る時はちゃんと鼻も塞ぐのよ?いいえ、このさい口も閉じておきなさい」
理樹「じゃあ僕はどうやって呼吸するの!?」
佳奈多「別にそれぐらい出来るでしょう?男の子なんだし」
理樹「あのねえ…」
現在
理樹(呼吸がそろそろ苦しくなってきた。二木さんは片手で全ての動作を行うわけだから余計に長くかかるんだろう)
………………
カンカンッ
理樹(あと数秒で意識を失うというところで手錠が2度引っ張られた。終わったという合図だ)
理樹「ぶはぁっ」
佳奈多「……気持ち悪い。何をそんな息遣い荒くしているの?」
理樹「君がそうしろって言ったんだろ!?」
佳奈多「それじゃ、人が来ないうちに出るわよ」
理樹「あっ、ちょっと待って…」
佳奈多「なに?」
理樹「ぼ、僕もちょっと催してきたんだけど…」
佳奈多「嘘でしょ……」
更に3分後
廊下
理樹「ふう…誰も来なくて本当に良かったね」
佳奈多「もうお嫁に行けないわ……」
理樹「まったく同じこと僕もされてるんだけど」
佳奈多部屋
佳奈多「もはやあなたの部屋に戻って財布を取る時間はないわ。そんなことしてたらみんな起きてくるもの」
理樹「うん。工具のお金はこれが外れたら返すよ」
佳奈多「別にいいわよそんなこと。私のミスでこうなったんだからすべての責任を負うのは当然よ」
理樹「いやいや、そういう訳にはいかないよ。僕だって寮へ向かわなければこんなことにはならなかったんだから」
佳奈多「……ふんっ、勝手にするといいわ」
理樹(二木さんはこういうところは律儀だった)
校門
ザッ
佳奈多「うっ……」
理樹(校門を出たところで二木さんが急に手錠の方を見て嫌な顔をした)
理樹「どうしたの?」
佳奈多「よく考えたらこれからホームセンターに行くまでずっと手錠つけてる所を他の人に見られるのよね…」
理樹(なるほど。そういうことか)
理樹「それなら僕にいい考えがあるよ」
佳奈多「えっ?」
ギュッ
佳奈多「な、な、な!!」
理樹「こうやって鎖を中に入れて手を握っておけば遠目から見ると分からないよっ」
佳奈多「嫌よ!恥ずかしいっ!!」
理樹「でも手錠をかけて出かけてる方が恥ずかしくない?」
佳奈多「そ、それは……」
理樹「ね?」
佳奈多「う、うう……」
理樹(握り返してくれた)
街
理樹(電車を降りて商店街に着いた。いよいよ人の目がそれなりにある場所へ来てしまった)
佳奈多「本当にバレないかしら…」
理樹「大丈夫だって」
理樹(実際すれ違う人はたまに僕らの方をちらりと見てはまた自分の歩く方向に目を向けるのみだった)
佳奈多「…………」
理樹(二木さんは出来るだけ早く着きたいんだろう。自然と足が早歩きになっていた)
理樹(握っている手はどんどん暖かくなってきた。女の子の手はみんなこんなに柔らかいのだろうか)
佳奈多「確かこの辺りだったはずよ」
理樹「えーっと…ああ、あそこに看板があるよ」
佳奈多「よしっ」
理樹(その時、聞き慣れた声がした)
「おっ、理樹か?」
理樹「き、恭介……どうしてここに?」
恭介「やっぱり理樹か!俺はまた就活に行くための資金をおろそうと思ってな」
恭介「そういえば昨日はどうだった?さぞかし楽しん………だ?」
理樹(考えられる最悪のケースがやってきてしまった)
佳奈多「……っ!」
理樹(二木さんはとっさに顔を隠すがもう遅い。というか手錠で逃げ切ることすら最初から不可能だった)
恭介「……こいつは面白いな、元風紀委員長とデートか!」
理樹「いや、その…」
チャリ…
恭介「ん?………お、お前ら……!!」
理樹(ああ、神様!最初は恭介も冗談半分で言っていたんだろう。しかし今の状態を見てそうとも思えなくなってしまったようだ。かなり狼狽している)
恭介「手を握って……い、一体いつからそんな仲になったんだ!?」
佳奈多「行くわよ直枝っ!!!」
グンッ
理樹「うわっ!ちょっとっ!!」
理樹(二木さんは全力でホームセンターへ走った。当然僕もそれについていかなくてはならない)
タッタッタッ
理樹「ねえ待ってよ!せめて誤解を解いたりとかは!?」
佳奈多「そんなことしたらもっとややこしい事になるでしょう!今はもうこの鎖を切ることだけ考えるのよ!」
理樹「わ、分かったよ…」
ホームセンター
佳奈多「これください」
店員「2688円となります」
理樹(店員はまるで「やれやれ微笑ましいカップルが来たぞ」といった感じの顔で僕らを交互に見た)
佳奈多「くっ……」
理樹(ひったくるように工具とお釣りを受け取った。そしてそのまま人気のない場所へ向かった)
理樹「行くよ…っ」
ガキンッ
理樹(遂に鎖が切れた。この長い闘いに終止符が打たれたのだ)
佳奈多「はぁ……終わった…」
理樹(二木さんは嬉しいのか寂しいのかよく分からない顔でため息をついた)
理樹「さあこれからこの輪っかの方をどうする?この工具じゃ流石に壊せそうにないけど」
佳奈多「ええ、それに関しては私も考えていたわ」
理樹(髪の毛をいじりながら言った)
佳奈多「直枝、ちょっと合鍵屋に行ってくれない?もしかしたらこの手錠に合う鍵を売ってるかも」
理樹「なんで僕だけ?」
佳奈多「だって恥ずかしいじゃない。もし売ってあればあとで渡してくれればいい話だし」
理樹「責任があるって言ったのは誰なのさ…」
佳奈多「なにか言った?」
理樹「なにも言ってないよ」
合鍵屋
理樹(確かに入っていきなり「この手錠を外せる鍵ってありますか?」と聞くのは恥ずかしかった)
店員「なんでこんなことになったのか分からないけどこれなら簡単に開けられるよ」
理樹「えっ?」
店員「ほら、警察の本格的な手錠ならまだしも市販の物ならこんな風にクリップを少し曲げてやれば…」
理樹(そう言ってポケットにあったクリップを鍵穴に差し込んでくるりと回すと今までうんともすんとも言わなかった手錠がいとも簡単に開いてしまった)
理樹「そ、そんなバカな……」
理樹(僕らは今までこんなものに手こずっていたのか……!?)
理樹「……すいません。そのクリップ貰っていいですか?」
店員「え?うん…」
カチャリ
理樹「……と、言うわけで開いたよ…二木さん……」
佳奈多「………………」
理樹(身体を震わせていた)
理樹「二木さん…?」
佳奈多「う、うわぁぁん!!」
ポコポコッ
理樹「痛い!痛いって!」
理樹(二木さんは僕を殴った。きっと理由はないだろう。でも何故そういう気分になったかならなんとなく分かる気がする…)
……………………………………
…………………
…
後日
女子寮
理樹「うう…僕の女装姿を人質に取るなんて卑怯だよ来ヶ谷さん…」
理樹(僕は何故かまた女子寮に進入することになってしまった。どうしてもお泊まりをさせたいらしい)
パシッ
佳奈多「止まりなさい」
理樹「なっ!?」
理樹(そしてまた捕まってしまった)
理樹「ま、また手錠…?」
佳奈多「いいえ…」
ギュッ
理樹「へっ?」
佳奈多「て、手錠は切らしたから……今はこれよ…」
理樹(頬をほのかに赤らめながら二木さんは僕の手を握った。どうやら手錠の代わりらしい)
佳奈多「……ほら、おとなしくついてきなさい」
理樹(どうやらこの手錠はどんな鉄よりも僕を逃さないようだ)
終わり
乙
乙
かなたんSSもっと増えろ
はいかなたん可愛い~~
乙
かなたん可愛い
あ、それでは皆さん御唱和下さい。
『かなたんカワイイ!!』
乙
かなたんポンコツかわいい
ダメだー思いつかねーもうダメだー
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