商業科生と吸血少女 (37)

中学の頃、成績が悪く、勉強などしたくなかった。
だけど、外部テストなどの成績は良かったため、ある程度の学校を勧められた。
だが、受験勉強をしないために偏差値低めの商業科と普通科の高校に入った。
人数の多い商業科のほうが入るのが楽だと思って入ったが、正直検定で忙しくて後悔していた。
進路も明確に決まらないまま、高校三年になったある日を境に、隣の席の子と話すようになった。

スレ立て&こんなにまじめに書くのは初めてなので、ぐだぐだになると思います。
読んでくださる方、ありがとうございます。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1446126430

二年の時に出席番号順の席になって以来、席替えなどしていない。

最前列一番前の真ん中右側の席は三年になっても変わらず、二時限目の後の休み時間、おなじみのお隣さんを眺めていた。

もう一人のセンター、羽生夏姫は黒髪ロングで身長が可愛らしい色白ギャルだ。

一人教室をきょろきょろと眺めている自分とは違い、グループの奴らに囲まれて声をあげて笑っている。

「はぁ・・・」

思わずため息をつく。

それが何に対するため息なのかわからなかった。

「あおい?」

そう呼ばれ、とっさに声のした方とは別の方を向く。

そして、声のした方にゆっくりと顔を向ける。

「あ・・・羽生さん、おはよう」

「おはよう。なんか、ため息ついけたけど大丈夫?」

「う、うん、大丈夫・・・」

大丈夫じゃない。

あまり話したことのない人に話しかけられるのは慣れない。

「いつもため息つけるけど、悩んでたりしない?ちょっと気になってて」

「悩んでは・・・癖みたいなもんだからつい」

「そうなんだ。あんまり、いい癖じゃないね」

「うぐっ・・・」

「あはは。あおいって話すと面白いよね」

「え?」

キーンコーンカーンコーン

授業開始のチャイムが鳴る。

先生がすぐ来てしまったせいで、続きは聞けなかった。




授業は数学だった。

「この公式は・・・」

初老の先生の声はゆっくりで低く、眠気を誘う。

ふと、隣を見る。

彼女が唇を噛んでいるのが見えた。

紅い色に目を奪われる。

血が出るほど強く噛んだのか。

よく見ると、何回も噛んだ跡が残っていた。

だが、さらに脳裏に焼き付いた光景があった。

ぺろっと舌を出し、血を舐めとった後、上唇で下唇を隠した。

満足そうに少し微笑んだその顔から目を離せなくなる。

横顔から見える瞳に恍惚そうな表情が見えた気がした。

視線に気づいた彼女が、こちらに目を向ける。

目と目が合った。

動けない。

そう思った。

「先生、ちょっとトイレ行ってきていいですか?」

「ああ、いいよ」

「失礼します」

そう言って彼女は席を立った。

思わず手を伸ばしかけたのを制する。

彼女の後ろ姿に普段とは違う違和感を感じる。

その違和感の正体がわからず、彼女が戻ってきても、授業が終わっても悶々としており、授業に集中できなかった。



そして、またいつもの休み時間がやってきた。

自分と彼女を除いて。

「あおい」

そう呼んだ彼女の声に今度は迷わず反応する。

「見た?」

彼女の言っていることが血を舐めていたことだとわかり、うなずく。

「私、血を飲むのが好きなの。普段は我慢してるんだけど、時々授業中とかに我慢できなくなるとああやって唇を噛んで舐めて我慢するの」

「血を飲むって・・・」

「安心して。吸血鬼じゃないわよ。人間よ」

「あ、うん」

「今のところ、誰の血も飲んだことないわよ。自分の血以外」

「そう、なんだ」

「ひいてる?」

「え?いや、別に・・・」

「初めて言ったんだけどね」

「え?」

「このこと、まだ誰にも言ってないの。パパやママにも。家族にも内緒なの」

「え・・・」

そんなこと、自分が知ってもいいんだろうか。

「もう見られちゃったし、あなたなら言わなそうだしね」

「まあ・・・」

言わないだろう。

「口止め料、払っとくね」

「え」

口に人差し指が押し付けられる。

血の味だ・・・

そう思ったころには、彼女は友達の方へと行ってしまっていた。



家に帰り、宿題を広げる。

だが、手を付ける気にならなかった。

「いたっ」

ノートの紙で指を切ってしまう。

血が出ていた。

思わず、眺めてしまう。

彼女だったら、舐めるのだろうか・・・

そんなことを考えたが、すぐにティッシュで拭き取り、絆創膏をつけると勉強を始めた。

何かしていないと、血を舐めていた彼女の幸せそうな笑みを思い出してしまいそうだったからだ。

秘密を知ってしまったことの罪悪感?

二人だけの秘密を共有している優越感?

彼女に関わると何かが壊れてしまいそうだ。

そう思ったが、惹かれてしまったことを隠すこともできなかった。




続きは翌日に書きます。

どっちも女?

その通りです。どちらも女です。

書き忘れてましたが、別の端末から書き込んでます。


今日も学校か…

私は、ため息をつき、はっと気づく。

前まではため息なんてあまりつかなかったのに…

隣の席の子からの影響だろうか。

高城あおい

初めてこのクラスになったとき、名簿に書いてある名前を見て、読み方に迷ったものだ。

(たかしろ?たかぎ…?)

先生の出欠確認で"たかしろ"だったことが判明したけど。

「あおいちゃん…?」

「ん?」

いつの間にか、三年になってからは呼び捨てになったけど、あおいは相変わらず私のことを「羽生さん」と呼ぶ。

かなり仲良くなれたはずなのに、未だに名前をちゃんづけですら読んでもらえない。

あだ名なら…?

あだ名で呼んでること見たことないな…

てか、私のあだ名って…

みーちゃん?

みっきー?

みさ?

…だめだ。名前で呼ばれる方がいいし、断然そっちで呼ばれたい。

そう考えているうちに、友達と合流し、教室にたどり着いた。


もういる・・・

同じ電車で来たはずなのに、あおいはもう自分の席についていた。

私の隣の席に。

本を読んでいたあおいがふと顔を上げ、目が合う。

「おはよう」

「お、おはよう」

普段目が合ったと思ってもあおいからはしてくれないのに、今日は挨拶してくれた。

明らかに目が合い、そらしにくかったからだろうか。

私の席とあおいの席の間にはあおいのスポーツバッグがあった。

あおいが置いた隣に私のバッグを置く。

荷物もお隣さんだね。

なんて、心の中でつぶやく。

前までは、ほとんど反対側に置いていたが、こっちのほうがみんなの邪魔にならないし、荷物同士が触れるのも気にならなくなってきた。

遠慮しなくなってきたというべきか。

あおいはもとから気にしてなさそうだったけど。

















一時間目は苦手な情報処理だった。

関数が覚えられない・・・

ふと隣を見やり、手を伸ばして指先で軽く肩を叩く。

私より先に進んでいるあおいへのせめてもの配慮だ。

「ねぇ、あおい。これ、ちょっと教えて」

「ん?あぁ、いいよ。それ、覚えれば簡単だから」

「そうなんだ」

自分の問題集を閉じ、私の問題集を覗き込む。

やりづらいかな・・・

問題集を持って、あおいの席へ近づく。

あおいも気づいて少しよける。

あおいの机の上に問題集を置き、椅子を近づける。

「あ・・・」

「?」

肩が少し触れた。

だが、お互いに動かない。

触れたまま説明を始めるあおいの横顔が間近に見える。

近い・・・

囁き声がいつもより甘く感じる。

「わかる?」

「ふぇ?あ、ご、ごめん、もう一回お願い!」

「うん、何回でもいいよ。ここはね・・・」

「・・・」

ねぇ、わかる?

今、私が何を考えているか。

知らないうちに唇を噛んでいた。

一時間目が終わり、席を立つと同時に背伸びをした。

「また、唇噛んでるよ?」

「うん・・・今のは無意識だった」

「普段は意識してるの?」

「うん。我慢できないときに血を飲むために噛むんだけど、今回は本当に噛んだだけだし」

「ストレス?」

「違う、と思う」

「うーん・・・不安だなぁ」

「えっ」

見つめられると心が揺れる。

喉が渇く・・・血が欲しい。

「羽生さん」

静かに強くそう呼ばれ、はっとする。

「大丈夫?」

「うん。・・・血を飲むとこだった」

「そっか・・・」

あなたを想うと喉が渇く。

血が無性に欲しくて堪らなくなる。

なんでだろう?

気が付くと私はあおいの手を握っていた。

「行かないで」

あおいは驚いた顔をしたがすぐに笑みを浮かべた。

「どこにも行かないよ」

「うん、知ってる」

知ってる。

現に隣にいる。

どこにも行こうとしてなかった。

なのに、なぜ、そう言ってしまったんだろう。

「そばにいるよ」

「!」

あぁ、そうか。

私は不安だったんだ。

あなたの関心が別の誰かに向かうのが。

あなたの心が私から離れてしまうのが・・・

最初からそばになんていなかったのに。

苦しいね。

そう心の中で呟いた。

あおいがふと私との距離を詰めてくる。

「ずっと隣じゃん」

それが席のことだけじゃないと私は勝手に思った。

それが自意識過剰なんかじゃないと証明してほしかった。



足のつま先が触れる。

さっきも肩が触れたな、なんて考える。

どこかでつながっていたいのだ。

意識してくれなくてもいい。

さっきとは矛盾しているけど、心がここになくてもいい。

私のそばにいてくれるだけでいい。

だから、行かないで。

「・・・授業、始まっちゃうね」

あてつけのように小さくつぶやく。

「そうだよ!用意してない!そっちは?」

「奇遇だね。私もだよ」

奇遇だなんて・・・自分のせいなのに他人事みたいに・・・

「じゃあ、あの・・・」

申し訳なさそうに私を見るあおい。

「大丈夫。ごめんね、ひきとめて」

「本当に?」

まっすぐ私を見るあおい。

その視線がいつも脳の奥にまで突き刺さる。

「そんなの・・・大丈夫に決まってんじゃん」

「・・・いつでもひきとめていいから、もっと頼ってね」

「え」

そう言うとあおいはすぐにロッカーの方へ行ってしまった。

自分だけ机の中から教材を出して先に座るのも嫌で、あおいが来るまで立ち尽くしていた。

私の様子に気づいたあおいが急いで戻ってくる。

「おまたせ」

「ううん、待ってないよ。ごめん」

「やっぱり、今日の羽生さんは見ててとても心配になるよ」

本当に心配そうに、困ったように笑う。

「・・・」

じゃあ、ずっと私のそばにいてくれるの?

なんて言葉が出そうになって飲み込む。

「とりあえず、座ろうか」

「うん」

座ってからも落ち着かなかった。

喉が渇く。

血が欲しい・・・

「血が欲しい・・・」

その言葉は口に出ていた。

「羽生さ・・・」

「血が欲しいの。私、あなたといると無性に血が欲しくなる。どうして?」

「自分のせいかな・・・」

「え?」

「話してると緊張しちゃう、とか?なーんて・・・」

いたずらした少年みたいな笑顔を向けるあおい。

「・・・」

そうかもしれない・・・

なぜか、体が熱くなる。

主に、顔が。

「・・・え?」

急に無言になった私を見て焦っている。

「そうかもね」

「あの・・・」

「あおいと話してると疲れる・・・」

「あ、う・・・」

わかりやすく落ち込んだ顔をしている。

私にそう言われると落ち込むんだ。

ちょっとうれしくなった。

なんとも思われてないわけじゃない。

それが再確認できてうれしかったのかもしれない。

私のことを大事にしてくれているかもしれないという優越感かもしれない。

「あなたと話していると嫌われないようにしたい、本当の自分をもっと知ってほしい、かまってほしい、いろんな思いが出てくる」

「へ?」

「私はあなたに好かれたい。きっと一番・・・」

「・・・」

あっけにとられた表情をする。

それはそうかもしれない。

でも、今じゃないと言えない。

そう思ったのだ。

「だから緊張して喉が渇くように、血が飲みたくなるのかも」

「そっか・・・」

「そうだよ」

・・・あれ?

「あはは・・・」

顔が赤いあおい。

私もさらに赤くなる。

今のまるで告白みたいじゃないか?

「・・・そろそろいいかな?お二人さん」

気が付くと先生が苦笑いをして立っていた。

「あ、あの・・・どこから?」

もっと別のことを訊こうと思ったが、忘れてしまった。

「私はあなたに好かれたいから・・・」

困ったように笑いながら答える先生。

さっきのあおいと同じ表情だ。



「そうですか・・・じゃないっ!」

ガンッ

思いっきり顔を伏せ、机にぶつかる。

わざとだ。

そうでもしないとやってられない。



昼休み、私はみんなに囲まれていた。

「なぁなぁ、みさき、あいつのこと好きだったん?」

関西から越してきたらしいクラスメイトの、青葉光里がそう訊いてきた。

「いや、さっきのはそういうのじゃなくて・・・」

「じゃあなんだよ?」

そうつっかかるように訊いてきたのは、一年の時から一緒のクラスの坊主頭の古賀雄一だ。

そうつまり私は今みんなから質問攻めにされている。

あおいは五時間目の移動教室でさっさといなくなっている。

いつものことだから、逃げたわけではないだろう。

「あれは・・・」

なんだろう。

「・・・我儘かな」

自信なさげにそう呟く。

「?」

唯一、光里だけが聞き取ったみたいだったが、何も言わなかった。

察してくれたのかな。

理由まではわからなくても。

都合のいい解釈をして、次の授業の準備を始める。

私はいつも自分で勝手に解釈してるなぁ・・・

思わず苦笑する。

あおいの気持ちなんてわからない。

でも・・・

「あおいは優しいよ」

「そうやね」

今度は光里は反応してくれた。





友達とどうでもいいことを話しながら教室に向かう。

私の隣の席にはほかのクラスの人がいた。

移動教室ではあおいとクラスが違う。

私のレベルではあおいと同じクラスにはなれないのだ。

でも、同じ学校、同じ学年。同じ科で同じクラスになれたことに運命を感じている。

どちらかが年上か年下だったら、こんなに仲良くなれなかっただろう。

当たり前だと思っていることが、実はすごい確率の上で存在してることは奇跡だと思う。

もしかしたら、違う県、違う国でだったかもしれない。

でも、今、隣の席に座っているのだ。

巡り合わせとか神様とかあまり信じたことなかったけど、少しくらいは信じてあげてもいいかもしれない。

運命の女神さまよ、このままでいさせてよ。

席替えしたいと騒いでいたのが嘘みたいだ。

最初は、席替えは当たり前で楽しみの一つだったから、よく席替えしたいと騒いでいた。

でも、三年になってから、あおいと親しくなって、周りの風景が当たり前になってから、席替えしたいと思わなくなった。

当たり前になってきたんだ。

あおいの隣にいることが。

もっと隣に居たいって思ったから。

だから、逆に席替えがないことに感謝している。

あおいの横顔をよく眺めるようになった。

授業中でも暇になったら、真剣な顔して勉強してるあおいを見て少し幸せを感じたり。

なんて考えてるうちに授業開始のチャイムが鳴った。



「どうしてそこでいかなかったんだ!」

「いやいや、別にそういう関係じゃないから!」

「もったいねーなー」

「いい加減黙れよ。ほら、着いたぞ」

がやがやと廊下がうるさくなる。

他の教室の人たちだ。

「どうした、お前ら」

「いや、別の学年が俺らの教室使ってたんで、今日はこっちのクラスと合同で」

「しょうがないな。適当な場所に座れ。騒ぐなよ、自習してろ」

「はーい」

合同?

じゃあ、さっきの声はやっぱり・・・

教室を見渡す。

あおいがいる。

なにかくだらない話をしているのが雰囲気でわかる。

さっきの話・・・

もしかして、私の話?

ひそかに期待する。

だが、あおいは反対側の2列後ろに座ったため声は聞こえない。

ただ、隣の短髪の男子が時々肘で小突いたり、にやけたりするのを見て、盛り上がってそうなことだけはわかった。

たしか、あおいの幼馴染だっけ・・・

藤川翔・・・あおいが名前で呼んでいる数少ない友達の一人。

うらやましい。

あんなふうに、名前を呼んでもらえて、くだらないことをしゃべりあって、冗談言って・・・

羨望から嫉妬に変わりつつある自分の心を抑え、授業に集中する。

振り向くな。

前だけ見てればいい・・・


「お前、ほんとにもったいないよなー」

「なにが?」

「そこでなんで何も言わないんだよ」

「いえるわけないだろ」

「まぁ、たしかに・・・」

「むしろ、先生がいたのに気づかなかったからな。へたなこと言わないで良かったよ・・・」

「ははっ・・・」

「なぁなぁ、うちもま~ぜてっ♪」

二人の後ろから話しかける光里。

「光里」

「青葉さん」

「違和感感じるなぁ~。光里でええよ」

「えっと、光里さん」

「さんいらんて」

「じゃあ・・・光里ちゃん」

「かたくなに・・・まぁ、ええけど・・・」

「お前、そんなこと話に入ってきたんか?」

「ちゃうちゃう。ほんまは光里、呼んでほしいんけど・・・」ちらっ

「・・・光里」

呆れたように呼ぶあおい。

「よっしゃ!ほな、話しましょ」

本当にうれしそうにする光里。

「なんや、こいつ・・・」

「はは・・・」

「二人って、逆タイプやな」

「ん?」

「そう?」

「まぁ、見てておもろいからええけど」

「なんじゃそりゃ」

「あはは」

「あぁ、そうそう、あおい」

「ん?」

「みさきのことやけど、あれ言うまでもなく本気やからな?」

「!」

「ほらやっぱり・・・」

「そういうんちゃう」

浮足立った翔を一刀両断する光里。

「なんか、好きとか嫌いとかそういうもんでもなくて、なんか恋より愛とかそういう・・・なんかそういうのとちゃうんやろな」

光里に問いかけられたような気がした。

「よくわからんけど、ふっくざつやなぁ~」

「お前にしかわかんねぇ発言やめい!」

「あんたも少し大人になった方がええんとちゃう?」

「俺がガキだってんのか!」

「そうやろ」

「こいつ・・・」

腕まくりする翔。

翔に言ったのだろうが、自分にも突き刺さる。

「こら、そこ!騒ぐな!」

「「すみません」」

「息ぴったりだな、お前ら・・・」

呆れたように先生が言うと、教室に笑いが起きた。

翌日

「今日はハロウィーンやで、ハロウィーン!」

「あはは、そうだね」

私は今光里と一緒にデパートにいる。

土曜日なので、仮装する服を買って光里の家で着替える気だ。

「なーんか、それだけなのも物足りないなー」

本当に不満そうに光里が言う。

「しょうがないよ」

「そりゃそうやけど・・・」

むしろ、このデパートは知り合いとの遭遇率が高く、できればばれたくない。

「こういうときに誰かお目当ての人と会えたらええのにな」

「お目当ての人・・・」

「なになに、もしかして今誰か想像したん?」

調子に乗って聞いてくる光里。

「別に・・・」

「そっけない顔もかわええなぁ」

「からかわないでよ」

「赤くなっとるで」

「もう・・」

「あかん。もっと赤くなるかも」

「え?」

「お目当ての奴おったんちゃう?」

「?」

光里の視線の先を追う。

「あおい・・・?」

ほかのくらすの女の子と歩くあおいがいた。

「というか、むしろ最悪なパターンか?」

「・・・」

「えっと・・・見たとこ、二人だけみたいやし、誘ってみるか?」

「いいよ」

「でも、うちらも二人だけやし、あっちも二人だけみたいやし、ちょうどええちゃうん?」

「でも・・・」

「・・・ちょっとそこで待っててな」

そう言って二人のところへ歩いていく光里。

私は止めることもせず、ただ立ち尽くしていた。

本当は一緒に歩きたかったのかもしれない。

でも、二人の邪魔にならないだろうか・・・

数分後、二人を引き連れて光里が戻ってきた。

「おまたせしたな。かんにんな、ねぇちゃん」

おどけたように言う光里。

光里なりの気づかいかもしれない。

「ううん、待ってないよ」

「おはよう、羽生さん」

「おはよう、あおい」

「おはよう、みさきちゃん」

「こうして話すのは久しぶりだね、晴夏ちゃん」

「高校になってからしゃべってないもんね。でも、何回かあおいの話に出てたけどね、みさきちゃん」

「え?」

「何の話で?」

あおいがごまかすようにそう訊く。

「忘れたの?」

呆れたような顔をする晴夏。

「って、あんた、襟が」

あおいの薄いジャンバーの襟が中に入ってしまっている。

「あー、ごめん。ありがとう」

あおいの襟を直す晴夏。

近い・・・

ていうか、慣れてるっぽい。

いつもこんなことしてるのだろうか。

ワイシャツの襟を直して・・・

「二人はいつもこんなんなん?」

「こんなって?」

「今みたいの」

「・・・そうだよ」

晴夏が答える。

「ふぅん・・・」

と、光里が私の手を引っ張る。

「?」

二人から少し離れる。

「ええか?ずばり、あの子より先に襟を直すんやで」

「は?」

「あの子とおんなじことを、あの子より先に、さらに良くやるんや」

「はぁ?」

「・・・あおい」

「ん?」

「あんた、気の利く女の子は好きか?」

「え?」

その言葉に反応する晴夏。

きっと私もそうだろう。

「そりゃどっちかったらそっちの方がいいけど」

「あー、じゃあ、質問変えるわ。みさきのこと、気ぃ利く女やと思うか?」

「え・・・うん」

真面目に答えるあおい。

思わず恥ずかしくなって目をそらす。

「どうして?」

「普段がそうだから」

「ほぉ?よかったな、みさき」

「・・・なにがよ」

「褒められてうれしいやろ?照れんなて」

「誰のせいよ・・」

「あおいのせいちゃうん?」

「え?自分!?」

驚くあおい。

別の方を見る晴夏。

あぁ、晴夏ちゃんも嫉妬してのかな・・・

私の嫉妬とはまた違うんだろうけど。

「あおいって、なんだかんだでかなりモテるんとちゃう?」

「そんなことないよ、ほんとに」

「へー」

にやにやしながら私を見る光里。

「なによ・・・」

「チャンスあるっぽいで、よかったな」

「!・・・余計なお世話よ」

「・・・」

ますます機嫌が悪くなる晴夏。

嫉妬されてるな・・・

私の好きは、普通の好きと違う。

ただの独占欲の塊だ。

ぎりっ

「!」

あおいがこちらを見る。

そして一言、

「羽生さん」

あの時と同じように、強く静かに私を呼んだ。

「?」

「?」

光里は疑問に、晴夏は怪訝な顔をしている。

「大丈夫だよ、あおい」

強くほほ笑む。

「そう?無理しないで」

「え?え?みさき、どこか悪いん?ぽんぽん痛むん?」

「ぽんぽんって・・私は子供じゃないし、別にどこか痛いわけじゃないから大丈夫よ」

「そ、そっか・・・ほんならよかった」

「本当に?」

晴夏が刺すような視線でまっすぐ私を見つめながらそう言った。

「うん」

「ならよかった・・・」

どういう意味で?

そう問いかけそうになったのをすんでで抑える。

私の考えすぎだろう。

いくらなんでも今のでほかの意味などあるわけない。

私のことを、私とあおいの関係がわかるわけない。


服を買おうにも何を買うか迷う。

というより、何のかっこをするか。

魔女?小悪魔?ゾンビ?

あおいの方を見るとまだ迷っていた。

と、ふとあおいと目が合う。

「迷ってるの?」

「うん・・・」

「じゃあさ、羽生さんの選んでもいい?」

「え?あ、うん・・・」

どういうの選ぶんだろう?

というか、どういうのが好みなんだろう。

モンスター娘のなかで・・・

「やっぱ、これだよ!」

そう言いながら黒いシンプルなゴスロリドレスを突き渡される。

「は?」

「あとこれ」

仮装グッズの中から吸血鬼の牙を選ぶ。

「ああ・・・」

「ヴァンパイアガール。羽生さんにピッタリでしょ?」

「私が吸血鬼みたいってこと?」

「うん」

「まぁ、反論はできないけどさ・・・」

たしかに私は血を飲むし、吸血鬼みたいなものだろう。

「それに、かわいいからこういうの着ても違和感ないよ、大丈夫!」

「大丈夫、大丈夫ってあんたねぇ・・・」

よく考えれば、いつもそれに救われてきた。

私をいつもそういいながら助けてくれたあおいが言うなら、きっと”大丈夫”。

「わかった。私、それにする」

「やった!」

ふと値札を見る。

思わず固まる。

「半分出すよ」

「え?でも・・・」

「いいよ。自分の仮装安いし」

「え?」

「ゾンビだから、血のりメイクして終わり」

「あぁ、そう・・・」

「気になるなら見返りになんかくれてもいいし」

「なんかって・・・」

「いや、なんか・・・してくれてもいいよ?」

ニヤッと笑うあおい。

その表情が私よりも吸血鬼らしく感じた。

・・・あおいも結構吸血鬼似合うんじゃないだろうか。

・・・それだとお揃いになっちゃうな。

吸血鬼が二人もいるのなんか変だし。

「みさきは決まったん?うちは、魔女やでー」

「私は・・・」

言い淀む晴夏。

「?」

「こ、小悪魔だよ」

照れる晴夏。

「あ、あざとい、あざといで!さすが小悪魔」

「そういうわけじゃ・・・ないんだけど」

「あー、うちも小悪魔にすればよかった」

「うーん・・・なんか、光里に小悪魔は似合わないよ」

「なんやて?」

「ごめんごめん」

「そういうみさきはなんや?ゴスロリ?コスプレか?」

「吸血鬼だよ」

「ふぅん?ええんちゃう?」

「そう?」

「ほんまや。ええと思うで?」

「吸血鬼だもんな」

軽く肩を組んでくるあおい。

「ちょ、あおい!?」

「照れてるん?」

にやにやする光里。

「べ、べつに、照れてなんか・・・!」

「じゃあ、さっそく会計しよう!」

「なんか、あおい、いつにもまして精力的やな」

「なにそれ・・・」


先にあおいが会計し、次に私の番が来る。

「合計、一万三千円でーす」

高っ・・・

「お願いしまーす」

「え・・・」

横から八千円を出すあおい。

「言ったろ?半分は出すって」

「半分って・・・」

「まぁ、いいからいいから」

笑う店員さんと光里。

不機嫌になる晴夏。

やたらと上機嫌なあおい。




「はぁ・・・」

私はため息をついた。




「ほな、あおいが勧めたんや?」

「そう。吸血鬼似合うし、あのドレスも似合うと思って」

「あおいもそういうセンスはあるんやな」

「そりゃ、かわいい女の子に変なの勧めるほどおかしくなってはいないぜ」

「褒められてるで」

「う、うん」

「・・・」

晴夏ちゃん、めっちゃ不機嫌になってる・・・

時々こちらをにらむのに気付き、冷や汗が垂れる。

すみません・・・

心の中でそう何回も唱えた。



今日はここまでにして、明日書きます。
見てくださる方、本当にありがとうございます

読んでくださる方いるんですね!ありがとうございます!レスがないと少し不安になりますね。


続き

しばらく他の物を見たりして、光里の家に着く。

「ようこそ、我が家へ。Happy Hallowween♪」

「ほ、本格的だね・・・」

ごく普通の一軒家が、ハロウィーン仕様となっていた。

玄関の左右にはパンプキンの雪だるまみたいなのが置いてあり、木にはこうもりやキャンディーなどが飾り付けられていた。

ドアには、ハロウィーンのプレートが飾られている。

「いいね、家族みんなでやるのも」

ほほえましそうに晴夏が言った。

「そうやろ?うちらの家族みんな行事とか好きやもん」

「何人家族なの?」

あおいが訊いた。

そういえば、私光里の家族全員と会ったことないな。

お母さんとは会ったことあるけど。

「うちは・・・姉と妹とママとパパ、やな」

「女ばっかで大変じゃん」

茶化すあおい。

「そうやなー。いつも肩身狭そうやな、パパ」

「そこにさらに私たちが加わるのか・・・」

感慨深げに晴夏が言う。

・・・ちょっと遠慮がちに行こうかな。

「まぁまぁ、今日は妹しかおらんよ」

「え?」

「ママはママ友の食事会、パパは仕事や。姉ちゃんは部活やし」

「そうなんだ・・・って妹さんだけのところに、こんなに大人数で来て大丈夫なの?」

少し不安になる。

そもそも妹は何歳なんだ?

「大丈夫、大丈夫。妹はちゃんとしてるし、うちもいるから大丈夫やで~」

「ほんとに?光里の大丈夫はあてにならないなぁ」

あおいと違って。

「なんやて?うちが今までにだいじょぶゆうて、だめだったことあるか?」

「あるよ。光里が遅刻して電車が出そうなのに、電話でだいじょぶ、だいじょぶ言って結局電車に間に合わなかったことあるし」

「あー、それは、一時の過ちとゆうか・・・」

「ほかにも授業に間に合わなかったとき、お金が足りなかったとき・・・」

「やめい!あんた、うちに恨みでもあるんか!」

「あるけど」

「うぐっ・・・」

ここぞとばかりに今までのうっ憤を晴らす。

・・・少し、すっきりした。

「まぁまぁ、落ち着いて。玄関でけんかはやめようよ」

やんわりと晴夏がたしなめる。

「そうやな、すまんすまん」

「ごめんね、二人とも」

「うちには?」

「むしろ逆だと思いますけど?」

「そりゃそうやな・・・すまんな」

「別に」

今に始まったことではない。

正直慣れた。

それくらい日常的だし、そうでもないと付き合ってられない。

「まぁ、家の人が大丈夫って言うんなら大丈夫なんだろ?早く入ろうよ」

「そうだね。光里、早く」

「なんやこの差は・・・。あおいのだいじょぶとうちのだいじょぶ、何が違うんや・・・」

「誠意じゃない?」

「うちかて、誠意はあるんやで!?」

「あはは・・・」

後ろで晴夏が苦笑している。

「ほんま、みさきのあおい好きにはかなわんな」

「そういうわけじゃないけど・・・」

「!・・・」

晴夏が俯く。

あぁ、またこのパターンですわ・・・

勘弁してよ。


前のレスでHallowweenのwwが一つ多くなってたことに気づきました。すみません。


続き

晴夏ちゃんのあおい好きも相当ですよ・・・

「ほな、さっそく中に・・・」

「おねぇちゃああぁあん!!?」

バタンッ

玄関のドアが素早く開く。

と思ったら、光里に激突していた。

「ぐほっ!?」

倒れこむ光里に馬乗りになる少女。

「うちのパンツ、お姉ちゃんの部屋に持っていったやろ!これで今月何回目や!?」

「ちょっ、誤解を生む発言やめぇ!」

「誤解やないやろ!今月で三回目や!今月でやで!?」

「それは悪かった!謝るから、落ち着けや!」

「お姉ちゃんの言葉に誠意はないんやろ!」

先ほどまで言ってたことを繰り返す少女に、親しみを覚える。

その通りだよ・・・

おそらく妹である少女が、パンツを持ったままの右手で光里を殴り始める。

「痛くない!けど、パンツで殴るのは勘弁せい!」

「光里ちゃん、変態だったの・・・?」

信じられないというように光里を見下ろす晴夏。

「あぁ・・・まさか、自分の妹のパンツを盗むなんて・・・」

あおいも悪乗りする。

「あほ、んなわけあるか!間違えただけや!」

「まぁ、そうだよね」

「なんだ、つまらん」

「あおいって意外とひどいよな」







つまんなすぎてもうね・・・
脳内では面白いつもりなんだろうけどさ

「あれ?そちらは・・・」

「うちの友達や。変なとこ見せてしまって申し訳ないなあ」

「誰のせいやと思うてるん?」

ギロッと光里をにらむ少女。

「はじめまして、私はこの不肖の姉の妹、青葉鈴音です。この変態ともども、これからもよろしくお願いします」

「自己紹介するんはええけど、お姉ちゃんの上に乗ったままはやめてくれへん?」

「なにゆうてんの?お姉ちゃんはうちの馬やろ?ほら、四つん這いになってうちを乗せい」

「あんたの方が変態やんけ!さっさとどきぃや!」

「なんだこれ、カオス?」

困惑したようにあおいがつぶやく。

「お、面白い家族だね・・・」

苦しいフォローに回る晴夏。

「安心して、二人とも。お母さんはまともだったわ・・・」


数分後、飲み物とお菓子を用意され、私たちはリビングにいた。

「ほな、ゆっくりしてってなー♪」

「じゃあ、うちも・・・」

「お姉ちゃんはこっちで説教や。じゃあみなさん、その間着替えるなり、くつろぐなり、ゆっくりしてくださいね♡」

きゃるんっという言葉が似合いそうな表情をした後、光里を半ば引きずるようにして連れていく。

「なんでやー!うちもみんなとウキウキしたい―!」

そんなことを叫びながら消えていった。

「・・・」

「・・・」

「・・・」

「・・・着替えようか」

あおいがつぶやく。

「うん・・・」

「だね・・・」

私たちもそれに賛同した。

<<30
そういう率直な意見ください。
あんまり、オリジナルの小説とか書いたことないのでどう書いたらいいとかよくわからないし、意見もあまりもらったことないのでぜひもっと知りたいです。
できれば、もっと具体的に書いてくださると助かります。
では、いったん、抜けますので・・・

なんか話にいまいちついていけない
キャラの相関関係もよくわからんし

相関関係と話をまとめます。


あおいとみさきと光里と翔はクラスメイト。

みさきと光里は仲がいい。

あおいと翔は小学校からの幼馴染。

あおいとみさきは三年になってから話すようになった。
今みたいに仲良くなったのは、あおいがみさきが血を飲むことを知ったことから。

今のところ、みさきはあおいに対しての自分の思いが秘密を知ってる仲間意識や独占欲みたいなものだと思っている。

光里と翔は二人のことを応援?

晴夏はあおいの別のクラスの友達。
あおいの結構仲のいい友達。

鈴音は光里の妹で、中二。
姉にいつも迷惑をかけられていてそのたびに説教したりする。

ちなみに、鈴音の姉は、大学生。

今、ハロウィーンの仮装パーティを光里の家で開くところ。



他にもわからないところはじゃんじゃん聞いてください。 

ちなみに、新しい話を書こうとしてる、もともとハロウィーンに合わせたので今日中にこの話が終わります。
話についていけないと思います、すみません。


続き

仮装中、あおいと距離が近くなる。

ちょうど、晴夏ちゃんとは離れている。

「・・・あおいはさ、なんで私と仲良くしてくれたの?」

「え?」

ドレスに着替え終わる。

「知ってるでしょ?私が吸血鬼ってこと・・」

「!別に、今更知ったって・・・」

「むしろ、知ってから仲良くなったし・・・同情?」

「違うよ」

「じゃあ何?ほんとに吸血鬼みたいで珍しかったの?」

「違うよ!」

「あおい・・・?」

晴夏ちゃんがこちらを振り向く。

でもそんなの今はどうでもいい。

「教えて。どうして、私なんかに優しくしてくれるの?」

「!」

「みさきちゃん・・・?」

「ごめん。今、大事な話し中なの」

「・・・大事にしたいって思うのはだめですか」

「え?」

「いつも隣にいる人のことあまり知らなくて・・・悩んでるのに気づいて、助けたいって・・・もっと仲良くなりたいって思うのはおかしいか!?」

「なにそれ、支離滅裂・・・」

「わかってる。でも・・」

「あおい」

ぎゅっ

「え」

手を握る。

今度は、独占欲とかじゃない。

「私も同じだよ」

「・・・」

「大事な人が隣にいる」

「!」

安心して。

私も同じ気持ちだから。

きっと恋じゃないけど、大事だから・・・

「ハロウィーンって特別な気分になっちゃうね」

吸血鬼の歯をはめる。

「そうだね」

「二人だけの世界でつまんないのー」

「「ごめん」」

「おまたせー!」

「あ、光里」

「仮装終わったんやな、みんな」

「あれ?光里はまだなの?」

「あー、うちはな・・・」

「うちが魔女やで!お姉ちゃんなんて馬で十分や!」

魔女の格好をしている鈴音。

「というわけで、うちは仮装できんのや・・・」

「トリックオアトリート!」

鈴音が杖を振るう。

「はぁ・・・」

「どんまい」

「みさき・・・」

「で、お姉ちゃん、お菓子は?」

「ほい」

「あるの!?」

自分が言ったのに驚く鈴音。

ポケットから何かを取り出す光里。

「って、これ、駅前のチョコレート店の超高いやつやん!」

「だめ?」

「むしろじゅぶんすぎるで!どしたん!?」

「えー・・・せめて、いつもの感謝を込めてこういう時くらい・・ねぇ?」

「お姉ちゃん・・・ありがとな」

早速開ける鈴音。

「・・・なぁ、お姉ちゃん」

「ん?」

「これ、いつから持ってたん?」

「え?なんで?」

「これ、溶けてるやん!」

「ええ!?」

「なんでいつもこうなんや、お姉ちゃんは!」

「そんなこと言われても~」

「ほんっとだめやな、お姉ちゃんは」

「うう・・・面目ない・・・」

「そういうだめなとこもええけどな」

「え?」

「なんでもないで」

「・・・二人ともシスコンかな?」コソコソ

「そうかもしれない・・・」コソコソ

「みさきちゃんまで・・・」コソコソ

「まぁ、ええか。ハロウィーンやもん、楽しまなあかん」

「さすが、妹様!よくわかってらっしゃる!」

「うちは女王様かなんかか・・・?」

「・・・そうだ、みさき」

「ん?」

「今も自分の血なめたりしてる?」

「!ううん・・・なんかこの頃落ち着いてきた、かな?」

「よかった。ストレスでそうなってるんじゃないかと思ってたんだ」

「あおい・・」

「それとも・・・吸血鬼になったから、人のがいいか?」

にいっと笑うあおい。

血のりがついてるせいでちょっと怖い。

「全然。ありがとね、心配してくれて」

「・・・みさきちゃん」

「ん?」

晴夏ちゃん?

「お幸せに!」

「は?」

「あおいと付き合ってるんでしょ?」

「いやいやいやいや!付き合ってないからね!?」

「そうだよ!」

慌ててあおいも否定する。

「え?ほんとに?」

「ほんとに!」

「なーんだ。じゃあ・・・」

あおいに近づく晴夏。

「私が狙ってもいいってことだよね?」にっ

「ちょっ、晴夏!?」

腕を組む。

「!」

小悪魔や・・・

「じゃあ、さっそくなんかしようや!」

「「空気読め!」」

晴夏とみさきに一喝される光里。

「え?なんなん、理不尽や!」

「じゃあ、とりあえず、みんな・・」

あおいがコップを持ち上げる。

みんなもそれにならう。

「「「Happy Hallowween!!!」」」




おわり

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