【地獄少女】  二人ノ絆  【アイマス】 (153)


地獄少女×アイマス クロスSSです

地獄少女の作風が苦手な方はご遠慮ください


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1445867602


人の世は、えにしと申します
結んだ糸が絡みつき、脆く哀れな彼岸花
怒り、悲しみ、涙に暮れて
午前零時の帳(とばり)の向こう


晴らせぬ怨み、晴らします

― 響の部屋 ―

チッ、チッ、チッ、チッ…

響「……」

http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org578112.gif

響「……ねぇ」

響「どうしていぬ美が酷い目に合わなきゃならないんだ?」

響「……」

響「ねぇどうして?」

響「……」

響「なんで自分じゃなくていぬ美があんな目に合わなきゃならないんだッ!!」

響「きっと何か事情があるんじゃないかってッ!」

響「美希が言ってたことはきっと何かの勘違いじゃないかってッ!」

響「そう思ってたッ! 思っていたかったッ! 信じていたかったッ!!」

響「……のに」

響「うぅ…っ……たかね……」

響「自分たちはもう、出会った頃のように笑い合うことは……」カタカタ

『四条貴音』

→ 送信




カチッ




二 人 ノ 絆


【数日前】

― 961プロダクション 入口 ―

美希「……」スタスタ

響「待ってよ美希ッ!」タタタッ

美希「ひびき……」

響「み、美希ッ! 961プロを辞めるって本気なのかッ!?」

美希「……うん。ミキね、もうここにはいたくないの」

響「そんなッ……フェアリーはどうするんだッ!?」

美希「……」

響「トップアイドルになる夢は諦めt」

美希「諦めてなんかないよッ!!」

響「!?」ビクッ

美希「……」

響「そ、それじゃどうして……」

美希「……」

響「黙ってちゃわからないぞッ!!」

響「自分は……ううん、貴音だって美希の事を心配しt」

美希「貴音ならきっと今頃喜んでるの」ボソッ

響「えっ」

美希「……」

美希「ごめん。ミキ、もう行くね」

響「ちょ、ちょっと待ってッ! 貴音なら喜んでるって、それどういう意味ッ!?」ガシッ

美希「いや! 離してッ!!」

響「嫌だッ! ちゃんと説明してくれるまで絶対に離さないぞッ!」

美希「やめてッ!! 響までミキのことイジめるの!?」

響「……な、なに言ってるんだ美希」

美希「……っ…ッ」

響「いやだ……」ボソッ

美希「響も……貴音には気を付けた方がいいの……」

響「嫌だッ! お願いッ! そんな悲しい顔しないで美希ッ!」

響「自分はそんな顔を見るために追いかけて来たわk」

美希「それじゃ……」

響「ッ!」

美希「バイバイ、響」ニコッ

響「待っt」

美希「……ッ!」バッ






響「うぅ…っ……お願いさ……」

響「またねって言ってよ……みきッ…」


――――――
――――
――

― フェアリー部署 ―

響「……」

ガチャ

961P(以下:P)「はい……はい……本当に申し訳ありません……」

響(誰かと電話してる?)

P「つきましては今回のお話は美希ではなく、貴音を……って切りやがった」

響「あ、あのプロデューs」

P「クソッ!!」ドンッ!

響「!?」ビクッ

P「美希も社長もふざけるなッ!」

P「折角、フェアリーの人気も少しずつ回復してきたっていうのに……」

P「こんな身勝手な事が許されると思っt――ッ!?」

響「……」

P「響ッ!? い、いつからそこに居たんだッ!?」

響「で、電話が終わるのと同じくらいに……」

P「……そうか。すまない、変な所を見せてしまって」

響「……」

響「ねぇプロデューサー? 自分たち、これからどうなるの?」

P「今はまだ何とも言えない。ただ……」

P「とりあえず今ある仕事は全てキャンセルになった」

響「そんなッ!?」

P「で、でも心配するなッ!」

P「確かに今は黒井社長が新プロジェクトに注力している所為で……」

P「お前たちは前より仕事量が減っていることは否めない」

響「だからこそ!」

P「だからこそ、今のお前たちには俺がついているんだろ?」

響「……うん」

P「ほらほら。お前はクールキャラで通っているんだから」

P「どんな時でも凜としてなきゃダメじゃないか」ナデナデ

響「なっ!?/// こ、こんな時にからかうのは止めr」

貴音「……」

響「ッ!」ゾクッ




響も、貴音には気を付けた方がいいの……


響「……」

P「どうした? ドアの方を見つめて……」チラッ

貴音「……」スッ

P「貴音かッ!? おい、待つんだ貴音ッ!!」

響(貴音がこっちを見ていただけなのに……)

P「響、すまないが俺は貴音の様子を見てくる」

響(今の寒気はなんだったんだ?)

事務員「失礼します。例の資料をお持ちしm」

P「ちょうどいいタイミングで来てくれた!」ガシッ

事務員「えっ?」

P「すまないがタクシーを1台手配してくれ!」

事務員「か、かしこまりました」

P「頼む。響はそれに乗ってとりあえず今日は家に帰ってゆっくり休め」

響「……」

P「おい聞いているのかッ!?」

響「えっ!? あ、うん」

P「それじゃ後で必ず連絡すr」

響「プロデューサー」

P「ど、どうした?」

響「貴音の事、よろしく頼むぞ」

P「……」

P「あぁ、任せとけ」ニコッ



事務員(以下:骨女)「全く。〝人″使いが荒いったらありゃしないねぇ」ボソッ

閻魔あい(以下:あい)「……」

【閻魔あいと三藁について】※知っている方はスルーしても大丈夫です

閻魔あい(地獄少女)
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org578110.jpg
地獄通信へアクセスした依頼人の怨みを晴らす(これを地獄流しと呼ぶ)寡黙な少女
依頼を忠実に遂行する
依頼者には藁人形(三藁の1人が擬態する)を手渡す
藁人形の使い方は後ほど本文で


三藁
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org578107.jpg
閻魔あいの代表的な3人の遣い魔
主に地獄流しの依頼者やそのターゲットの身辺調査などを行う
身辺調査を行う際はその場所に似合った人物に成りすます

青年:一目連(藁人形の色は青)
女性:骨女(藁人形の色は赤) 
老人:輪入道(藁人形の色は黒)



――――――
――――
――

ねぇねぇ。美希さんが昨日事務所辞めたって話聞いた?

聞いた聞いた! 急な話でビックリしたよね!

だよね。何かメンバー内でトラブルとかあったのかなー

うーん。でもフェアリーってメンバー内の仲は凄く良いって話じゃなかったっけ?

だけどそれって所詮噂でしょ?
私たちみたいなアイドル候補生は知らないだけで、もしかしたら……

またそうやって根拠のない話をするのやめなよー

えへへ。ごめんごめん――あっ! お、お疲れ様です響さんッ!

響「お、お疲れー!」ニコッ

― 961プロダクション 廊下 ―

響「はぁ……」

響(事務所内はフェアリーの話で持ちきりだぞ)

響(もう、みんな好き勝手な事ばかり言ってッ!)

響「……でも」ボソッ

響(みんなが噂するのも無理もないさ)

響(当事者の自分だってまだ何にも状況を把握していないんだし……)

響(美希には未だ連絡つかないし、貴音にもまだ会えていない)

響「ホント、自分たちこれからどうなっちゃうんだろ……」ボソッ

なぁ。知ってるか?

うん? 何の話だ?

響「……」

響(どうせまた自分たちのうわs)

地獄通信っていう都市伝説だよ

響「……」ピクッ

あぁあれだろ?
そのサイトにアクセスして恨んでいる奴の名前を書き込むと、地獄へ流してくれるっていう

それそれ!
噂通り深夜零時に検索かけてみたんだけどさ、やっぱ地獄通信なんて見つかんなかったわ

相当恨みが強くないとアクセスできないって話じゃん

いや俺、お前の事相当恨んでるんだけどなー

なんでだよッ!?

あははっ! 冗談冗談。なぁ今日もレッスン帰りにゲーセン寄っていこうぜ

響「地獄通信……」ボソッ

響(そういえば前に美希と貴音が自分の部屋へ泊まりに来た時、そんな話題になったっけ)



~~

美希『すぅ……』

貴音『ふふっ。美希は寝てしまったようです』

響『美希は全く信じてなかったし、そのまま寝かせといてあげよ? それより……』チラッ

― 00:00

響『時間だぞ。えーと。地獄通信……と』カタカタ

貴音『ひ、響……。ほ、本当に検索するつもりですか?』

響『もちろん! 765プロの変態プロデューサーにはもう我慢できないぞ!』

貴音『……』

響『……もう冗談だってば貴音。どうせ地獄通信なんて』カチカチ

NOT FOUND

響『ほらね?』ニコッ

~~

響(そういえば貴音はこの手の話が苦手だったっけ)

響(普段は凛としているから、そのギャップが可愛いさー)

響(それに美希は美希で翌朝、中々起きないから仕事には遅刻しそうになるし)

響「ふふっ……」ニコッ

響「あははははh」

響「……ッ」

響(あの頃みたいに、みんなで笑い合える日はもしかしてもう……)

響「……」

響「うがぁぁぁ!!」

響「ダメだダメだッ! こんな時はあそこへ行くのに限るぞッ!」


――――――
――――
――

― 屋上(夜) ―

響「う~~~んッ!」

響「……ふぅ」

響(夜風が気持ちいい……)

響「……」

響「それに今夜は……」ボソッ

響(貴音が隣に居たらきっと)

貴音「月が綺麗ですね、響」ニコッ

響「って、うがぁ!?」

響「た、貴音ッ!? どうしてこk」

貴音「あの頃と何も変わりません」

響「えっ」

貴音「私たちが出会ってまだ間もない頃、こうして月を眺めながら夢を語り明かしたではありませんか」

響「……そっか。貴音にとってもここは大切な場所なんだな」

貴音「えぇ。思い入れのある場所です」ニコッ

響「……うん。そだね」ニコッ

貴音「……」

響「……」

貴音「知っていますか響」

響「うん?」

貴音「我々が日々、目にしているあの輝かしい月の裏側がどうなっているかを?」

響「えっ? うーん。たしか地上からはほとんど同じ面しか見えないんだっけ?」

貴音「……えぇそうです」

響「そうだなー。考えたことなかったけど……」

貴音「……」

響「きっと同じように綺麗な姿をしてるんじゃないかなー」

貴音「……」



貴音「いいえ。とても醜い姿をしています」

貴音「それはまこと、目を背けたくなるような……」

響「えーそうなの? なんだ、がっかりしたぞ」

貴音「……」

響「?」

響(な、なんだろう? 貴音の様子が……)

貴音「果たして人はそんな月の裏側を知っても尚」

貴音「今までと同じように月を愛することができるのでしょうか?」

響「うがぁ!? そ、そう言われると、うーん……」

貴音「……」

貴音「……今宵」

貴音「こうして響に、ましては思い出の場所で偶然出会えた事を私は心から嬉しく思います」

響「そ、そうだね。自分も本当にビックリしたし、貴音に訊きたかったこともあっt」

貴音「だからこそ、今ならばはっきりと言えます」

響「えっ」

貴音「響、私はあなたの事が……」




嫌 い で す


響「へっ」

貴音「あなたの事が嫌いだと申したのです」

響「ちょ、ちょっと待ってよ貴音……」オロオロ

貴音「もちろん、美希の事も以前から嫌いでした」

響「た、貴音ッ!! いったいさっきから何言ってるんだッ!?」

貴音「一刻も早く私の目の前から……いえ、この事務所から立ち去りなさい」

響「じょ、冗談にしては悪ふざけが過ぎるぞッ!」

貴音「冗談ではありません」

貴音「従わない場合は、美希と同じように強行的手段を取らせていただきます」

響「なっ!」

響「美希をイジめていたっていう話は本当だったのかッ!?」ガシッ

貴音「……」

響「どうなんだ貴音ッ!! 黙ってちゃわかr」

貴音「話はこれで終わりです。私はこれで失礼します」

響「はぁ!? 自分はまだ何も訊けt」

貴音「私はもうあなたに話すことなど何もありませんッ!」バッ

響「ッ!」

貴音「それでは失礼します」スタスタ

ガチャ バタン

響「……」



えぇ。思い入れのある場所です ニコッ



響「さっきの笑顔は嘘だったのか? たかね……」

バタン

貴音「……」

???「屋上で何してたんだ貴音?」

貴音「!?」ビクッ

P「全く、探したぞ。そろそろ仕事へ向かう時間だから準備してくれ」

P「急遽入った仕事で申し訳ないが、今日は特に頑張ってくれよ」

貴音「……わかりました」

P「……」

P「ところで貴音」

P「本当に美希の事については何も心当たりはないんだな?」

貴音「……はい。私は本当に何も存じておりません」

P「……」

P「そっか。悪いな何度も同じこと訊いて」ニコッ






あい「……」


――――――
――――
――

まったくも~。貴音と美希はいったいどこで油売ってるんだ……

貴音『……』バシッ

あ、いたいた。おーい貴音。探したぞー

貴音『……』バシッ

た、貴音? いったい何してるんだ?

貴音『……』バシッ

ね、ねぇ貴音ってばッ! そこでいったい何やっt

美希『……っ…うぅ』

美希ッ!? どうしたんだその傷ッ!?

美希『ひびき……た、貴音には気を付けて……』

い、いったい何を言っt

貴音『美希など、この事務所に必要ありません』バシッ

美希『ッ!』

なっ!? 貴音ッ! どうしてこんなことをすr

貴音『そして、それは響……』

えっ




あ な た も で す 



地獄少女は二期くらいか?
までMXだったかで昔みた記憶あるな
とりま期待してます、面白いし

― 響の部屋(夕方)― 

響「やめてぇぇぇぇぇ!!」バッ!

いぬ美「!?」ビクッ

響「はぁ……はぁ……ゆ、夢?」

いぬ美「くぅ~ん」

響「だ、大丈夫だぞ。ちょっと疲れて居眠りしちゃっただけだから」ナデナデ

響(ううん。あんな夢を見るなんて全然大丈夫じゃないぞ……)

いぬ美「……」ペロペロ

響(屋上の一件からろくに眠れないし……)

響「……ッ!」

響(このままじゃ絶対にダメだぞッ!)

響「ね、ねぇいぬ美。今から散歩に行かない?」

いぬ美「ッ!」

響(事務所へ行けば貴音に会えるかもしれない)

響「今日はお仕事お休みなんだ。だからいつもより遠くまで行こうよ」ニコッ

いぬ美「ばぅ! ばぅ!」

響「ふふっ。でも晩御飯までには帰ってこような」ナデナデ

響(きっと何か……何か事情があるに違いないんだ)

響(そう信じていなきゃ)

響(心が壊れてしまいそうだぞ……)


――――――
――――
――

― 961プロダクション 入口―

響「いいかいぬ美。ここから先はお行儀よくしてなきゃダメだぞ?」

いぬ美「ばぅ!」

響「よし。それじゃ行くぞー」

警備員「大きな犬ですね。お名前はなんて言うんですか?」

響「えっ? あ、この子はいぬ美っていうんだ。自分の大切な家族さー」

警備員「へぇ。家族、ですか」

響「うん!」ニコッ

警備員「……」

警備員(嘘偽りのない目をしているな)

警備員「きっと、あなたの傍にいられてこの子も幸せでしょうね」サッ

いぬ美「……」ビクッ

警備員「あらら。嫌われてしまったかな?」

響「い、いぬ美?」

いぬ美「くぅ~ん」

響「どうしたんだろ。こんなに怯えているいぬ美は初めて見たぞ……」

いぬ美「………………ッ!?」バッ!

響「あ、こらいぬ美ッ! 一人で勝手に行っちゃダメだってばッ!」タタタッ

警備員「……」



警備員(以下:一目連)「ははっ。賢い犬っころじゃないか」

― 廊下 ―

響「おーい! いぬ美ー!」

響(いったいどうしたんだいぬ美のやつ)

響「……でも」

響(怖いから逃げたっていうより、何か他の目的で走り出した感じd)

―― ぎゃわぁん!!

響「い、いぬ美ッ!?」

響(あの部屋から聞こえt――って、あそこはッ!)

ガチャ

P「はぁ……はぁ……ッ!」

貴音「な、なんということを……」

響「プロデューサーに貴音ッ!? そ、それより今いぬ美の悲鳴が聞こえt」

いぬ美「  」

響「いぬ美ッ!!」

― フェアリー部署 ―

響「おい返事をするんだいぬ美ッ!!」ガシッ

いぬ美「  」

貴音「流石にこれはあんまりですッ! 酷すぎますッ!!」

P「……」

P「酷いじゃないか貴音ッ!? どうしていきなりいぬ美を蹴ったりしたんだッ!?」

貴音「なっ!?」 

響「えっ」

貴音「そんな……」

響「ほ、本当に貴音がやったのか?」

貴音「わ、私は……」オロオロ

響「……」

貴音「……ッ!」






貴音「私に危害を加えようとした、その犬が悪いのです」

響「!?」 P「……」

響「う、嘘でしょ……な、なんで?」

貴音「誤解されては困ります。私はあくまで自衛をしたまで」

響「そ、そんなッ!? いぬ美は人を傷つけるようなこt」

貴音「この駄犬は飼い主に似て、躾がなっていないようですね」

響「たかねぇぇぇぇぇ!!」ガシッ

P「響ッ!? 落ち着けッ!!」

貴音「……これはいったいどういうつもりですか?」

響「自分のことが大嫌いでも別に構わないさッ!!」

響「でもいぬ美は……いぬ美は関係ないじゃないかッ!?」

貴音「ッ!」

ガチャ

骨女「いったい何の騒ぎですかッ!?」

P「き、君ッ! ちょうどいいところに来てくれたッ!」

骨女「……」

P「すまないが今すぐタクシーを手配してくれッ!」

骨女「既に手配してあります」

P「はぁ?」

骨女「担架を持っているそこの警備員さん」

一目連「私のことですか?」キョトン

P「……やけにタイミングがいいな」

一目連「……お嬢の頼みなもんでね」ボソッ

P「よし。それを使って俺とお前で慎重に運びd」

~~♪ ~~♪

P「……」チラッ

一目連「どうかしましたか?」

P「……すまないがそこにいる事務員と一緒に運んでくれ」ピッ

骨女「はぁ?」

P「もしもし? あーいつもお世話になっております」ニコッ

骨女「ッ!」

一目連「……構うな。行くぞ、骨女」ボソッ

骨女「くっ! ほら、あなたも何してるのッ!? この犬の飼い主なんでしょ!?」

響「……ッ!」

貴音「……」

響「信じてたのに……」ボソッ

響「屋上の話もきっとッ! 何か事情があるに違いないってそう信じていたのにッ!」

貴音「……」

響「この……」ギロッ

このPの仕業か…




裏切者ッ!


貴音「ッ!」

骨女「……いいから。早く行くわよ」

ガチャ バタン

P「えぇ……えぇ……」

P「ははっ、そうですか! それは貴音もきっと喜ぶと思います!」

P「はい……はい……本人には後で伝えておきます」

P「……」

P「えっ!? 次はひびk」

P「不味いッ!」ボソッ チラッ

貴音「……裏切者」ボソッ

貴音(これで良いのです。これで……)

P「……あぁすみません。今しがた飲んだコーヒーが不味くって。あはは!」

P「それよりも……」

P「詳しい内容をお聞きしたいので、この後お時間よろしいですか?」ニヤッ



あい「……」


――――――
――――
――

― 動物病院 ―

医者「迅速に行動してくれたおかげで、命に別条はありません」

響「……」

医者「しかし、暫くはこちらで入院して頂くことになりますので……」

響(いぬ美は絶対人に危害を加えたりなんかしないッ!)

医者「つきましては……」

響(それなのに貴音はいぬ美に暴力を振るったッ!)

響(侮辱までしたッ! 自分の大切な家族の事をッ!!)

響(絶対に、絶対に許さない……ッ!)

なぁ。知ってるか?
地獄通信っていう都市伝説だよ

響「ッ!」バッ

響「……」

医者「あの……我那覇さん。私の話を聞いていますか?」

響「……先生。いぬ美の事、よろしく頼むぞ」

医者「はい?」

響「お金や他に必要なものは後で必ず持ってくるから!」

医者「あのちょっと! まだ話は終わっt」


――――――
――――
――

― 響の部屋 ―

チッ、チッ、チッ、チッ…

響「……」

http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org578112.gif

響「……ねぇ」

響「どうしていぬ美が酷い目に合わなきゃならないんだ?」

響「……」

響「ねぇどうして?」

響「……」

響「なんで自分じゃなくていぬ美があんな目に合わなきゃならないんだッ!!」

響「きっと何か事情があるんじゃないかってッ!」

響「美希が言ってたことはきっと勘違いじゃないかってッ!」

響「そう思ってたッ! 思っていたかったッ! 信じていたかったッ!!」

響「……のに」ボソッ

響「うぅ…っ……たかね……」

響「自分たちはもう、出会った頃のように笑い合うことは……」カタカタ

『四条貴音』

→ 送信

カチッ






???「呼んだ?」 

響「!?」ビクッ

響「だ、誰ッ!?」

あい「私は閻魔あい」

響「い、いったいどうやって入って来たんだッ……」オロオロ

あい「あなたが私を此処へ呼んだのよ?」

響「えっ」

あい「……」

響「もしかして……」

あい「……」

あい「受け取りなさい」

響「な、何これ……赤い藁人形?」

あい「あなたが本当に恨みを晴らしたいと思うなら、この糸を解けば良い」

あい「糸を解けば私と正式に契約を交わした事になる」

あい「恨みの相手は速やかに地獄へ流されるわ」

響「この糸を解けば貴音を……」

あい「ただし」

響「!?」ビクッ

あい「恨みを晴らしたら、あなた自身にも代償を払ってもらう」

響「はぁ!? ちょ、ちょっと待ってよ! そんな話聞いt」

あい「人を呪わば穴二つ」

響「ッ!」ゾクッ

あい「あなたが死んだら、その魂は地獄へ落ちることになる」

響「……うそ、でしょ?」

あい「本当よ」

あい「極楽浄土には行けず、あなたの魂は痛みと苦しみを味わいながら永遠に彷徨うことになるわ」

響「そんな……」

あい「後はあなたが決めることよ」

響「……ッ!」

響は家族が関わると冷静さを失うからなぁ…
これは糸をほどいてほしくないな…


自分も死んだら地獄に落ちるって……
天国にいるたーりーや
他のみんながいつか死んじゃった時に
あの世でもう一度、会うことはできないってことなのか


それって凄く……




寂しいことだぞ……


~~♪ ~~♪

響「!?」ビクッ

【着信:プロデューサー】

響「……」ピッ

響「も、もしもし……」

P『こんな時間に電話して悪いな。今、大丈夫か?』

響「……たぶん」チラッ

あい「おいで」サッ ねこ吉「にぁ~」

P『たぶん? まぁいい。いぬ美の容体はどうだった?』

響「……命に別条はないって」

P『そうか、とりあえず良かった!』

響「うん。そ、それじゃまた後で連絡すr」

P『あぁちょっと待て響ッ!』 

P『実はさっきお前に、新しい仕事をゲットしてきたんだ』

響「えっ本当ッ!?」

響「これからいろいろとお金が必要になるところだったから助かるぞッ!!」

響「どんなお仕事なのッ!?」

P『うーん。それが電話で説明するはちょっと難しくてな……』

P『すまないが響、今から事務所まで来られないか?』

響「今からッ!? べ、別にこんな夜中じゃなくても……」

P『……』

P『実は今、事務所には貴音も来てるんだ』

響「えっ!? 今、プロデューサーは貴音と一緒にいるの!?」

P『……あぁ一緒にいるぞ』

P『今すぐお前に会って、謝りたいって言っている』

響「……」

P『だから、すまんが今から事務所まで来てくれないか?』

響「……」




後はあなたが決めることよ


もう内容覚えてないがこれってキャンセルできるっけ?

響「……」

響「わかったぞ。今からそっちへ行くよ」

P『あぁ頼む。それじゃ部署で待っているから』ピッ

響「……」

響「今からもう一度貴音に会ってくるぞ。そこでこの糸を引くかどうk」

ねこ吉「にゃ~」

響「……」



響「そっか。よかったな、遊んでもらえて」ニコッ ナデナデ


――――――
――――
――

― 961プロダクション フェアリー部署 ―

貴音「……」カチ

貴音「20XX年○月×日。フェアリー部署にて…」ボソッ

ガチャ

貴音「!?」ビクッ サッ

P「おいおい。そんなに慌てることないだろ? なに警戒してるんだよ」ニコッ

貴音「……こんな時間に呼び出されたからには当然の事です」

P「仕方がないだろ? さっきはいろいろと〝邪魔″が入って話ができなかったんだから」

貴音「いぬ美を貶すことは許しませんッ! 彼女は私を守っt」

P「貶したのはお前だろ? 人の所為にするなよ」

貴音「……ッ!」

P「それより昨日は頑張ってくれたみたいだな! 先方が褒めてたぞー」

P「貴音によろしく伝えておいてくれっt」

貴音「やめてくださいッ!!」

P「……なんだよ。人が折角誉めてやろうとしているのに」

貴音「……それより大事な話というのはいったい」

P「あーそうだったな。悪い悪い」

P「話っていうのは美希がいなくなったことによる今後の対応についてだ」

貴音「今後の対応を話し合うのであれば、響も交えた方がよいのではありませんか?」

P「うん? あーそうか。そういえばまだ貴音に話していなかったな」

貴音「な、何の事ですかッ…」ゾクッ

P「いやだから先方が褒めてたって言う昨日の仕事。実はあれさ……」



P「本当は美希にやらせるはずの〝お仕事″だったんだよ」ニヤッ

貴音「なっ!?」

貴音「は、話しが違うではありませんかッ!!」

P「お前がそれを言える立場かッ!?」バシッ!

貴音「ッ!」

P「お前が美希に何かしらの手立てを講じたのはわかってんだぞこらッ!!」

P「じゃなきゃ、あいつがいきなり事務所を辞めるなんて言うはずがねぇんだよッ!!」ガシッ

貴音「は、離して下さいッ!!」

P「なんだ? 強引に押し倒されるのは嫌いだったか?」

貴音「このっ、痴れ者がッ!!」

P「別に逆らっても構わないが、これからは響が〝忙しく″なるかもな」ニヤッ

貴音「そ、それだけはやめて下さいッ! 響だけは、響だけは……」

貴音「決して〝裏側″には引きずり込まn」

響「ふ、二人とも……、そこで何してるの?」

貴音「なっ!?」 P「……ふっ」ニヤリ

貴音「何故、響が此処に……」オロオロ

響「そ、それはさっきプロd」

貴音「早く此処から立ち去りなさいッ!!」

響「!?」ビクッ

貴音「私と……プロデューサーとの関係を邪魔する事は許しませんッ!!」

P(ほほ~う)

響「た、貴音は……プロデューサーが好きだからこんなことしてたのか?」

貴音「そうでなければこのようなことするはずがありませんッ!!」

響「いやでもッ!」

貴音「何度も同じこと言わせるつもりですかッ!?」

響「それじゃ、なんで貴音は……」



響「そんなに泣いてるの?」

貴音「えっ」ポロポロ

貴音「こ、これは……」

響「……」

貴音「ち、違うのです……これは……」

響「た、たかね……」

貴音「つ、つべこべ言わずにあなたは早くこの事務所から立ち去れば良いのですッ!!」

P(ふ~ん。そういうことか)

P「いや~悪かったな響。こんな時間に呼び出したりして」ニコッ

貴音「なっ!?」

P「新しい〝お仕事″の件について、どうしても早くお前に説明したくてな」

貴音「い、いま……、なんと仰いm」

P「いいから少し黙ってろって」バシッ!

貴音「くッ!!」 

響「貴音ッ!?」

P「今から俺は響に事情を説明しようとしてるんだからさー」

響「なんてことするんだプロデューサー!!」

P「うん? あぁ大丈夫だ響」



P「貴音はあれくらいじゃ壊れない」ニコッ

響「!?」ゾクッ

P「いいか、よーく聞くんだ響」

貴音「聞いてはなりませんッ!!」

響「た、貴音……」オロオロ

P「いいから俺の話を聞けッ!!」

響「!?」ビクッ

P「最近、お前や美希がこなしていた仕事なんだが」

貴音「お願いです……これからはよりいっそう精進しますから……」

P「実はあれな。貴音が先方と……」

貴音「やめてくださいぃぃぃぃ!!」






響「えっ」

P「~~~~、~~~~~~っ!」

響(いったい、プロデューサーは何を言ってるんだ?)

P「~~~~~~っ!」

響(自分たちの仕事のために、貴音が? 偉い人たちと?)

P「~~~~~~!!」

響(しかも……)




自分や美希の〝分″まで、全てを受けおっていた?


響(うそだ……)

P「おーい響?」

響(うそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだ)

P「あれ? 響には刺激が強すぎたか? まぁいいか」

貴音「……うぅ」

P「おいおい。柄にもなく何泣いているんだ?」グイッ

貴音「ッ…」

P「お前の口からちゃんと答え合わせをしてもらわないと、気になって今夜は眠れなくなるだろ?」

貴音「もう、ゆるしてください……」

P「お前さ……」

P「わざと響たちに悪態を吐いて、この事務所から追い出そうと企んでいただろ」

響「えっ!?」バッ

貴音「……」

P「やっぱりな。これで響に対するあの態度も、美希が突然事務所を辞めた理由も全て説明が付く」

響「ちょ、ちょっと待って……」オロオロ

P「お前はそこまでしてこいつらの事を守りたかったのか? なぁ?」グイッ

貴音「……ッ!」

P「自分が嫌われることになってもッ!」

P「憎まれることになってもッ!」

P「それでもこいつらの事を守りたかったのかって訊いてるんだよッ!!」

貴音「……ふふっ」

貴音「話したところで貴方には一生理解し得ない事でしょう」ニヤリ

P「……」

P「あぁ。そんなくだらんこと知りたくもない」ドガッ!

貴音「ッ!」

響「貴音ッ!!」

P「用は済んだから少し寝てろ。邪魔になる」

貴音「  」

P「さてと。すまない、待たせたな響」ニコッ

響「!?」ビクッ

P「そろそろ〝お仕事″の話をしよう」

響「いやだ……聞きたくない……」

P「本当は美希にしてもらうはずの仕事だったんだがな」

P「でもほら? 美希、いなくなっちゃっただろ?」

響「こっちに来ないで……」

P「そしたら先方が、響ちゃんでも構わないっていうからさ」

P「さっき話をまとめてきちゃったわけよ」

響「だ、誰か……」

P「だけど響。こういうの、初めてだよな?」

響「助けて……」

P「だからといって、先方の前で粗相をするのは失礼だと思うし」

P「今から俺が……」



P「い ろ い ろ と 教 え て や る よ」ガバッ

ああ…この屑Pにより貴音は美希や響の分も枕してたのか

響「いやだぁぁぁぁ! 離してぇぇぇ!!」

P「安心しろ。優しく教えてやるからッ!」

響「どうして……どうしてこんなことするの!?」

P「それは勿論、お前たちのために決まっているじゃないかッ!」

響「プロデューサーのこと……信じてたのに……」

P「あぁいいぞその顔ッ!!」ニヤッ

響「ひぃ!」ビクッ

P「もっと見たいからお前にもう一つ良いことを教えてやるよッ!!」

響「やだ、やめて……」

P「お前の大切ないぬ美ちゃんを蹴っ飛ばしたのはな……」




こ の 俺 だ よ


響「そ、んな……」

P「あははっ! お前が傷つくようなことを貴音がするわけないだろッ!?」

響「う、うぅ……たかねぇ……」

P「あいつの献身さを語るなら、恐らくこの俺が一番よく知ってるッ!」

響「どう、して……じぶんは……」

P「貴音は事あるごとに、俺にこう言うんだ……」

響「ごめんね……」

P「美希を、響を決して巻き込まないでください……ってなッ!!」

響「ごめんね たかねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

P「あはははははっ!!」



貴音「……っ」ピクッ

貴音「うぅ……」

P「なぁ、おしゃべりはこれくらいでいいだろ? 流石にもう我慢できない」ガバッ

響「いやだぁぁぁぁ! お願い離してぇぇぇ!!」

貴音「ッ!」

P「チッ…。だから静かにしろって、なぁ?」サッ

響「ひっ! ナ、ナイh」

貴音「響ッ!!」ガシッ

P「なっ貴音ッ!? は、離せッ! くそッ!!」

貴音「い、今のうちに早く逃げなさいッ!!」

響「たかねぇ……ダ、ダメ…危n」

貴音「早くッ!!」

P「離せって言ってんだろうがァァァ!!」

ドスッ

貴音「ッ!」

貴音「……」

P「……」

P「俺は悪くない。俺は何も悪くないぞ」

貴音「……っ…くッ…」

響「た、たかね?」

パタン…

響「……うそ、でしょ?」

響「たかねぇぇぇぇぇぇ!!」

P「こいつが勝手に飛びついてきたのが悪いんだ」

P「そうだッ! そうに決まってるッ!! なぁそうだろ響ッ!?」ガシッ

響「ひぃ!」

P「お前も見てたよなッ! だったらわかるだろッ!」ユサユサ

貴音「……地獄へ落ちろ」ボソッ

P「あっ?」チラッ

貴音「この外道がぁぁぁぁぁぁ!!」シュルリ

藁人形(黒)「……」




輪入道「恨み、聞き届けたり……」



――――――
――――
――

― フェアリー部署(?) ―

P「なんだ……今の声は……」

響『プロデューサー』

P「響……って、おいッ!? 貴音はどこ行ったッ!? まさか、逃げやがったかッ!?」

響『自分にもよくわからないぞ。そんなことより……』ギュゥ

P「えっ」

響『さっきの続き……してほしいぞ……』

P「い、今はそれどころじゃn」

美希『ハニー。ミキにもちょうだい?』

P「美希ッ!? どうしてお前までここにッ!?」

美希『そんなことはどうでもいいの。ミキね、もう我慢できないの……』

P「えっ? ちょ、ちょっと待っ――んん!」

美希『っはぁ……んっ……はにー……もっと……』

響『美希にばっかキスしてないで……自分にもちょうだい?』

美希『本当はもっと早く、こうしたかったんだよ?』

響『だからお願い……』ギュゥ

P「あぁわかったわかった。お望み通りめちゃくちゃにしt」ニヤリ

骸「ほ゛ね゛が゛き゛し゛む゛ほ゛ど゛だ゛き゛し゛め゛て゛」

P「うわぁぁぁぁぁぁ!!」ドンッ

ガシャン

骸「あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛」

一目連「あーあ、酷いことしやがる。バラバラになっちまったじゃないか」

ガチャ バタン

輪入道「逃げたって無駄だ」

― ??? ―

P「何処だここはッ!?」

骸「あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛」

P「ひぃ! お、俺は961プロダクションにいたんじゃなかったのかッ!?」

骸「く゛び゛と゛れ゛た゛い゛た゛い゛よ゛―」

P「それに何なんだあの化け物ッ!? そ、そこら中から湧いてきやがるッ!!」

一目連「骨女はあの役をやらずに済んで、今頃ホッとしてるだろうな」

輪入道「あぁ。違いねぇ」

骸「ば゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛」

P「ひぃぃぃぃ!!」

輪入道「……」 一目連「……」

P「お、おいッ! そこの二人ッ!」

輪入道「……」 一目連「……」

P「なぁおいッ! 頼むッ! 助けてくれッ!!」

輪入道「助ける?」 一目連「何から?」

P「何って、あれだよあれッ!!」

骸「ま゛っ゛て゛よ゛ぷ゛ろ゛で゛ゅ゛ーさ゛ー」

輪入道「はて? 〝上玉″を用意したつもりだったが、お気に召さなかったかい?」

P「はぁ?」

一目連「あんた、知らないのかい? こっちじゃ結構有名だぜ、彼女たち」ニコッ

P「ふざけんなぁ!! あんな化け物知らないし、抱けるわけないだろッ!?」

輪入道「銀髪の娘はあれより、もっと醜い輩の相手をしていたと思うがね」

P「銀髪?」

一目連「あんたの道具にされていた女のことだよ」

P「……あぁ、貴音の事か」

輪入道「助かりたいと思うならあの娘に詫びるんだな」

P「詫びる? ははっ、馬鹿馬鹿しい!」

一目連「素直に従った方がいいぜ」ニコッ

一目連「ここのところずっと藁人形だったから輪入道の奴、ストレス溜まってるんだ」

P「だから何を詫びれって言うんだッ!?」

輪入道「お前さんはあの娘の優しさを利用するだけ利用して、そして踏みにじった」

一目連「あの子が一体どんな思いで身をささげてきたと思う?」

P「何言ってやがるッ! 俺はむしろあいつらから感謝される立場だッ!」

輪入道「……ほう」

P「社長に見捨てられたあいつらを俺が拾ってやらなければとっくに干されていただろうよッ!」

輪入道「違うな。あの娘たちは皆、魅力に満ち溢れていた」

一目連「それをあんたが台無しにしたんだよ」

P「違うッ! この業界は……いや、この世の中はそんなに甘くねぇんだよッ!」

輪入道「己の無能さを棚に上げ、他の所為にして生きるのはさぞかし楽だろう」

P「ふざけんなぁ!! なんで俺だけこんな目に!!」

一目連「はぁ、やれやれ」

P「何も知らずに甘い蜜だけ吸っていたあの二人の方がよっぽど太刀が悪いだろッ!?」

輪入道「だから彼女たちも巻き込もうとしたわけか?」

一目連「救いようがないな、こいつは」

P「俺は何も悪くない……」

輪入道「……」

P「俺は何も悪くないんだぁぁぁ!!」

一目連「だってさ、お嬢」

P「えっ」バッ



あい「……」

あい「闇に惑いし哀れな影よ」

P「おい、何だお前……」

あい「人を傷つけ貶めて」

P「やめろ、それ以上こっちへ来るな……」

あい「罪に溺れし業の魂(たま)」

P「やめてくれぇぇぇぇぇ!!」

あい「……」




いっぺん、死んでみる?





うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!



――――――
――――
――

― フェアリー部署 ―

響「貴音ッ!? しっかりするんだ貴音ッ!!」

貴音「げほっ……ぅ…」

響「あぁどうしようッ……血がこんなにたくさんッ!」

響「と、とりあえず救急車を呼ばないと」オロオロ

貴音「ま、待って下さい」ガシッ

響「ッ!」

貴音「私は……もう、大丈夫……です……」ニコッ

響「そんなわけないだろッ!!」

貴音「それより……これを……」サッ

響「な、何これ。ボイスレコーダー?」

貴音「あの者を……地獄に流した今……」

貴音「きっとこれが……必要になってくるはずです……」

響「ちょ、ちょっと待ってッ!」

響「地獄に流したって……それってまさかッ!」

貴音「……」

響「地獄……通信……」ボソッ

貴音「こんな事になるのであれば……もっと早くに糸を引いておくべきでした……」

貴音「しかし……あの者がいなくなったとしても恐らくまた……」

貴音「だから私はあなたがtっ…ッ!」

響「貴音ッ!!」

貴音「ひ、ひびき……本当に申し訳ありません……」

響「なんで貴音が謝るんだよッ!」

響「あ、あやまるのは……ひっぐ…っ…じ、自分のほうだぞッ!」

響「貴音があんな辛い目に合っていたのに、全然気づいてあげられなかったッ!!」

響「それなのに自分は……たかねを……」ポトッ

藁人形(赤)「……」

貴音「……ふふ」ニコッ

貴音「当然の報い……ではありませんか……」

響「そんなことないッ! そんなこと、あってたまるかッ……うぅ…ッ!」

響「どうして……どうして自分に話してくれなかったんだッ!」

貴音「月の裏側など……知ってほしくなk――げほっ…ッ!」

響「ダメだッ……は、早く救急車を呼ばないとッ……」

響「それから美希にもちゃんと事情を説明して、貴音の誤解をとk」

貴音「なりませんッ!!」

響「ッ!」ビクッ

貴音「どうか……美希には何も話さないで下さい……」

響「ど、どうして……」

響「このままだと貴音は美希に一生恨まれたままだぞッ!?」

貴音「……良いのです」

貴音「美希が、美希のままでいてくれるのであれば……」ニコッ

響「何だよそれ…ッ…うぅ……」

響「全然……意味わかんないぞ……ッ!」

貴音「……ひびきも」ナデナデ

響「うぅ……ひっぐ……っ…」

貴音「いつまでも……そのままでいてください……」

貴音「あいどるが大好きな……我那覇響のままでいてください……」

貴音「私からの……おねがいです……」

響「わ、わかったからッ! だから早く救k」

貴音「ありがとう……」ニコッ

響「えっ」




どうかお元気で


貴音「…………」

響「待つんだ貴音。自分はそんな笑顔を見るために約束したわけじゃないぞ」

貴音「…………」

響「おい、ダメだ貴音。ダメだぞ」ユサユサ

貴音「………」

響「そんな、お元気でだなんて絶対に認めないぞ自分」ユサユサ

貴音「………」

響「なぁおいッ! 貴音ッ! いい加減にしないとさすがに自分も怒るぞッ!!」ユサユサ

貴音「……」

響「たかねぇぇぇぇ!! いやだよッ……お願いだから返事してッ……」ユサユサ

貴音「…」

響「うぅ……ッ!」


死んだら貴音は地獄へ落ちるんだぞ
きっと辛くて、苦しくて、寂しくて
そんな場所でこれからずっと……


ひとりぼっちで過ごしていくつもりかッ!

響「そんな悲しい事……」パッ

藁人形(赤)「……」

響「言わないでよぉぉぉぉ!!」シュルリ




骨女「恨み、聞き届けたり……」



――――――
――――
――

― 地獄へ続く川 ―

貴音「……此処は」

あい「……」

貴音「渡り船、ですか……」

あい「……」

貴音「あなたが私を地獄まで導いてくれるのですか? 閻魔あい」

あい「そう」

貴音「ふふっ。可愛らしい船頭さんですね」

あい「……」

貴音「どうやら私は……」

貴音「自らの所業にけじめを付けることができたようですね」

あい「いいえ」

貴音「えっ」

あい「あなたは〝流されて″此処へ来たの」

貴音「……」

あい「……」

貴音「ま、まさかッ!?」

あい「……」

貴音「待って下さいッ!!」

あい「……」

貴音「私が此処へ来ることは既に決まっていたではありませんかッ!?」

あい「……」

貴音「全てを受け入れた上で、自ら終止符を打ったのですッ!」

あい「……」

貴音「にも拘わらず何故……ッ!」

貴音「何故、今さら響の恨みを聞き届けたのですかッ!!」

あい「それは」



あい「彼女が決めたことだから」

貴音「そんな……」

あい「……」

貴音「ひびき……どうしてこのような事を……」

あい「見なさい」パッ

響『うぅ……ひっぐ……っ…』

貴音「これは……」

あい「現世に取り残された、彼女の姿」

響『また会おうね。たかねぇ……ッ!』

貴音「ッ!」

あい「……」




ひとりぼっちは寂しいものよ?


貴音「うぅ……うぅ……っ!!」



骨女「やり切れないねぇ……」

一目連「あぁ……」

輪入道「……だが、どんなことがあろうとも」チラッ

響『…ひっぐ……っ……うわぁぁぁぁぁん!!』

輪入道「最期まで生きようとする意志を無くしちゃならねぇんだ」

骨女「わかってる。そいつはわかってるんだけど……」チラッ

貴音「ひびき……ゆるしてくださいッ……」

骨女「……どうしていつの時代も」

骨女「純粋な人ほど、悲しい思いをしなきゃいけないんだろうねぇ……」

貴音「……」

あい「……」

貴音「私は……いつか……」

あい「……」

貴音「彼女に謝罪できる日が来るのでしょうか……」

あい「……」



あい「地獄も案外狭いから……」




この恨み、地獄へ流します



――――――
――――
――

良さげなクロス今から読みます

貴音が消えた後も
ずっと、ずっとその場で泣いていたのを覚えている。
離れたくなかった。まだそこに貴音がいる気がしたから。

だけど、途中から記憶が全くない……
気が付いた時は朝になってた。自分の部屋のベッドの上で。
貴音に渡されたボイスレコーダーもなくなっていた。

だからあの日の出来事は全て夢だったんだって思ったのさッ!
いぬ美に起こされる前に見ていた悪夢がずっと続いていただけだって
でも、違ったんだ……

自分の胸の所にはっきりと……



〝証″が刻まれてあったから……


――――――
――――
――


なぁ聞いたか?
フェアリーを担当していたあいつと四条貴音が一緒に失踪したって言う話

あ、あぁ……

上からオフレコの御達しが来た。これで事実上フェアリーは解散ってわけだ
黒井社長は完全にこの事をもみ消すつもりだな。あはは

……

うん? どうした? さっきから顔色が悪いぞ

じ、実は俺さ。あいつが失踪する前の深夜、あいつが一人事務所へ入っていく姿をみたんだ。
だから今朝、防犯カメラに何か映ってるんじゃないかと思って警備室へ行ったんだが……

そ、それで……どうだったんだ?

何も映っていなかった。普段通り、オフィス内の映像が映っているだけだったよ……

はい、かいさーん。ほら、仕事に戻るぞ。
そういえば今日は新しく入社した事務員の姉ちゃんまだ見てないなー

いやだからッ! 〝何も映っていなかった″んだよッ!

どうせいつものように向かいの雀荘で徹マンしてたときにあいつを見たって言うんだろ?

それはそうだけど……
で、でもッ! その日の当直が誰だったのか思い出せないって警備員の奴らが言うんだぞッ!

はいはい。お前も、警備員の奴らも寝ぼけt

そもそもお前だって、新しく入社した事務員っていったい……




誰の事を言ってるんだ?



はぁ?
な、何言ってんだよ。
ほら、ここ毎日俺たちにお茶を持ってきてくれたあの色っぽい……



あ、あれ?






誰の事を言ってるんだ俺……


――――――
――――
――

【エピローグ】

― コンビニ ―

響「ありがとうございましたー!」

店長「あぁ~響ちゃんは働き者でホント助かるわ~」

響「みんなの食費を稼がなきゃいけないからね!」

響「最近のいぬ美は昔以上にご飯食べるから食費が大変だぞ!」

店長「いぬ美ちゃんも退院できてよかったわね」ニコッ

店長「あっ、ねぇ響ちゃん。トイレ点検終わった?」

響「うがぁ! わ、忘れてたぞッ!」

店長「うんもー。響ちゃんったら……」

響「い、今すぐやっt」

~~♪

響「あ、いらっしゃいm」

美希「……」

響「ッ!」

店長(……あら?)

響「ど、どうしてここが……」

美希「小鳥が元フェアリーのメンバーに似ている店員さんがここで働いてるって」

美希「ネット掲示板?に書かれてたって言ってたから……」

響「……」

美希「……」

響「……ごめん美希。自分、今仕事中だから」バッ

美希「お願い響ッ! ちょっとだけでいいの! ミキの話を聞いてッ!」

店長「あら~! 響ちゃんごめんなさ~い!」

響「うがぁ!?」ビクッ

店長「響ちゃんのシフト、今日は早あがりだったわ! 後は私がやっておくわよ♪」

響「い、いや自分は今日、遅番……」

店長「大丈夫よ響ちゃん」

響「えっ」

店長「きっと大丈夫。だから……」ナデナデ

響「あ…」

店長「いってらっしゃい」ニコッ


――――――
――――
――

― 公園(夜) ―

美希「……」

響「……」

美希「……」

響「……」

美希「あ、あのね響」

響「……」

美希「あの時……」

美希「響からの連絡、無視しちゃってごめんなの……」

響「……ううん」

響「もう気にしてないから大丈夫だぞ」ニコッ

響(今なら美希の気持ち、わかるから……)

響「それより美希、最近どう? 元気にやってるか?」

美希「……じ、実はミキね」

美希「ちょっと前に……765プロダクションへ戻ったの」ボソッ

響「えっ!? それホントッ!?」ガシッ

美希「ッ!」ビクッ

美希「街で、偶然765プロのプロデューサーに出会って。それでその……」オロオロ

響「よかったじゃないか美希ッ!」ギュゥ

美希「きゃっ!」

響「自分、ホントに嬉しいぞッ!」ニコッ

響(聞いたか貴音! 美希はまたアイドル続けてるって!)

美希「……ホント?」

響「ホントにホントだってばッ!」ニコッ

美希「……っ…ッ…」

美希「ひ、ひびきは優しすぎるの……」

響「うがぁ!? ど、どうしてこのタイミングで泣くんだ美希!」オロオロ

美希「だって、響に絶対嫌われてるって思ってたからッ!」

美希「すごく、怖かったの……ッ…」

響「ど、どうして自分が美希の事を嫌うんだよ」

美希「……ねぇ響」



美希「どうして貴音とプロデューサーは消えちゃったのッ!?」

響「ッ!」

美希「やっぱりミキのせいッ!?」

響(違う)

美希「ミキが突然辞めたりなんかしたからッ!?」

響(違うんだ美希……)

美希「どうして響までアイドルを辞めなきゃいけないのッ!?」

響(美希が負い目を感じる必要なんてないんだよ。でもね……)

美希「やっぱり貴音がおかしくなっちゃったのと何か関係あるのッ!?」

響(貴音はいつもの優しい貴音のままだったんだ……)

美希「もしかして響も貴音にイジめられて、それが問題になって……」

響(だからお願いだよ美希。それ以上貴音の事を悪く言うのはやめて……)

美希「そうに違いないのッ! 貴音が全部悪いんj」

響「美希ッ!!」

美希「!?」ビクッ


どうか、美希には何も話さないで下さい

どうして……
このままだと貴音は美希に一生恨まれたままだぞッ!?

良いのです




美希が、美希のままでいてくれるのであれば 



響「……」

美希「ひ、ひびき?」オロオロ

響「……貴音の話はこれでおしまい」

美希「えっ」

響「確かに……」

響「美希が辞めた後、いろいろあってアイドルを辞めることになったけど」

響「今は全然気にしていないから大丈夫だぞ」

響「だからほら、もう泣かないで。この話はこれでおしまい、ね?」ニコッ

美希「……」コクン

響「それに貴音の……ううん」



響「〝あんな奴″の話なんかしてもつまんないでしょ?」

響「それよりも美希。765プロの話もっと聞かせてほしいぞ!」

美希「……」

美希「そ、そうだよね。久しぶりに会ったのに嫌な事思い出させてごめんなの」

響「ううん。それより小鳥?って誰? どんな人なんだ?」

美希「えーとね。一言で言うと……ダメな大人、なの」

響「なにそれ! あはは!」

美希「でもね、とっても優しい事務員のお姉さんなの! それでそれで真クンっt」

響「……」

響(これでいいんだよね? 貴音)

――――
――

美希「でね、その律子のレッスンがホントに大変なの!」

響「あはは! 頑張ってるな美希」

美希「うん! ミキ、アイドルが大好きだから!」ニコッ

響「ッ!」

美希「今よりもっともっっっとキラキラして」

美希「これからもずっっっとアイドルでいたいの!」

響「……」

美希「だから律子のすぱるた?も、別にへっちゃらn」

響「……」ポロポロ

美希「えぇ!? 響、どうしたの!?」

響「えっ? あ、あれ? なんで自分泣いてるんだろ。あはは……」

美希「お腹痛いの?」オロオロ

響「ううん。大丈夫、だぞ……」

美希「それともミキ、また何か変なこと言った?」

響「ち、違う……ちがうんだ…っ…」

響「美希は……な、なにも悪くない、さ……」

響「むしろ……美希のね、顔を見てたらね……う、嬉しくてさ……」

響「…ひっぐ……っ……うぅ…」


美希が、美希のままでいてくれるのであれば


響「〝救われた″って、思ってさ…ッ!」

美希「ひびき……」

響「う、うぅ……うわぁぁぁぁぁぁぁん!!」

美希「響ッ!」ギュゥ

響「うわぁぁぁぁぁん!!」

美希「ごめん、ね…ッ!……ホントにごめんね響ッ!」


――――――
――――
――

美希「それじゃこれ、事務所の電話番号なの」

響「うん」

美希「ミキからも響のことは話しておくから、いつでも電話してきて大丈夫だよ」

響「わかったぞ」

美希「事務所のみんなもとっても優しいから安心していいの。……あ、でも!」

美希「……律子はとっても怖いの」ボソボソ

響「いやだからそれは美希がちゃんとしないからでしょ?」ニコッ

美希「……」

美希「むぅ、そんなことないもん! ミキはいつでも真面目だよー。あはっ☆」ニコッ

響「あははっ!」

美希「……」

美希「ねぇ響」

美希「今度は必ず連絡するから」

響「……うんわかった。待ってるぞ」

美希「うん! それじゃ……」

響「ッ!」ビクッ



バイバイ、響……


どうかお元気で……

美希「またね、響」ニコッ

響「……」

響「うん」



響「またね、美希」ニコッ


――――――
――――
――

響「う~~~んッ」

響(夜風が気持ちいいぞ)

響「……ふぅ」

響「さて、そろそろ自分の家へ帰ろう」

響(ごめんね美希)

響「……」チラッ

響(自分の胸にこの刻印がある限り、水着を着るのは難しいぞ…)

響「……あはは」

響「それにしても今夜は月がきr」


果たして人はそんな月の裏側を知っても尚
今までと同じように月を愛することができるのでしょうか?


響「……」

響「なぁ貴音」


貴音はもう月を見ることができないのに
自分は月が綺麗だって本当に思っていいのか


たかね……


【二人ノ絆】 終


ED曲:かりぬい / 能登麻美子
https://youtu.be/QXHj9wjLIRY

以上となります
最後まで本当にありがとうございました

面白かったけど切なかった乙!

>>149
ずっと追って読んでくれてホントありがとう


因みに>>65
確か一期に地獄流しをキャンセルする話があったけど
もれなく後味が悪い話になってる…

マジかよ…ちょっと久しぶりに地獄少女見てくる


悲しいけど良いひびたかだった


とても良かった

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