マミ「もう私、一人ぼっちじゃないみたい」(81)

思いつきで書いたマミなぎのSSです。


マミ「はあ…」


マミ(電車4本乗り継いで、バス乗って…)

マミ(ようやくついたわ…)



スタスタ……

マミ「はい、これ…ストレートティ」
コトッ…



マミ「また来ちゃった…お母さん、お父さん…」


~某霊園~


マミ「今日はね、学校でね…」


マミ(もう、あの事故からだいぶ時間が経つのに、私は毎週のようにこの墓地に来てた…)

マミ(そして、両親の墓前に学校であった出来事をずっと一人で話かけていた…)


マミ「…でね、それで…ぐすっ、ひくっ…」

マミ「ぐすっ…ひぐっ、お母さんっ、お父さん…っ」

マミ「私…私…ど、どうしたらっ…!」

マミ「ひぐっ…寂しいよ…っ」


マミ「…ううっ…ひくっ…」



マミ(結局、いつもここに来ては最後に泣き出して、涙が枯れるまで、墓前から動けなかった)


…………………



マミ「……」

マミ「さて、そろそろ買い物でもして、帰りましょ」


その後
 ~見滝原市内ショッピングセンター~


マミ「ええっと…後は、牛乳ね」


スタスタ…

??「あら…」

マミ「あ、あなたは…暁美さん!?」

??「…ふっ」

マミ「え、あっ…」

…スタスタ


店員「3569円になります」

マミ「はい」

店員「ありがとうございましたー」



マミ「……」

ドサッ…
ガサゴソ


マミ(あれってやっぱり暁美さんだったわよね…?)

マミ(見間違いだったかしら…)


~ショッピングセンター外~



スタスタ…

??「ねえ…」

マミ「!」

マミ「あ、暁美さん」

ほむら「…やっぱり、巴さんだったのね」

マミ「中でも声かけたのに…」

ほむら「ごめんなさい、あの時は急いでいたの」


ほむら「こんな時間に買い物かしら…」

ほむら「それにこんな町外れのショッピングセンターで…?」

マミ「え、ええ…ちょっと用事があってね…」

ほむら「そう」

マミ「……」


マミ(相変わらず、どこか怖い目をしてるわ…暁美さんって…)

マミ(なんて言っていいのかしら…例えるなら、そう…悪魔のような…)


ほむら「…どうしたの?」ギロッ

マミ「え!? あ、いやいやっ」


マミ「た、ただ…暁美さんもこんなとこで何してるのかなって…」

ほむら「…私は、別に…」

ほむら「特別用事もなければ、買い物をしにきたわけでもないわ…」

マミ「え、でもさっきは急いでるって…」

ほむら「…そんなことより、目が腫れてるわよ」

マミ「えっ、え!? 嘘…!?」

ほむら「もしかして泣いてたのかしら…?」

マミ「き、気のせいよ…」


ほむら「そう…」

マミ「……」

ほむら「…これ」
スッ…

マミ「??」

マミ「こ、これは…?」

ほむら「あら、知らないの?」

ほむら「この近くにチーズの専門店がオープンしたのよ」

ほむら「街頭で配ってたサービス券をつい、もらってしまったのよね…」


ほむら「私はチーズが嫌いなのに…」

ほむら「だから、あなたにあげるわ」

マミ「え…で、でも」

ほむら「それじゃ、私はこれで…」

マミ「あ、ちょ、ちょっと…!」

ほむら「……」

スタスタ……



マミ「……」


マミ(何のつもりかしら、暁美さん…やっぱり不思議な人だわ…)


スタスタ…

マミ「ええっと、この辺りのはずだけど…」



??「よいしょっ、よっこらしょっ」

マミ「あ、危ないわっ!」

ガシッ…

??「ほ、ほあぁっ!?」

マミ「ふう…ギリギリセーフってとこね」

??「あ、ありがとなのですっ」

??「もう大丈夫なのですよっ」

スタスタ…


マミ「あ、ちょっと!そんな前が見えないくらい一杯持ってちゃ…!」


??「ほっ、と…よっ、と…」


…グラグラ

??「うあ、あ…あ、ああっ!」

ズデーン!
ゴロゴロ…


マミ「ほーら、大丈夫??」

??「あいててて…」

??「転んじゃいました…」

マミ「私が持つわ、おうちはどこ?」

??「そ、そんな! それは申し訳ないのです!」


マミ「いいから、ほら、一人でこんなに持てないでしょ?」

??「あ、ありがと…なのです」

マミ「おうちは?」

??「この近くなのです!」


スタスタ…

マミ「それにしても、どうしてこんなにチーズを…?」

??「なぎさはチーズが大好きなのです!」

マミ「そ、そうなの…」


マミ(でもチーズが好きだからって、いくらなんでも買い過ぎじゃあ…)


マミ「それで、なぎさちゃんはどうしてチーズがそんなに好きなの??」

なぎさ「え、う、うーん…うーんっと…うーん…」

マミ「そ、そんな真剣に悩まなくても…」


なぎさ「はっ!」

なぎさ「そういえば、なぎさはどうしてチーズが好きなのでしょうか?」

マミ「え…」

マミ「ええっと…う、うーん、私に聞かれても…」


なぎさ「なぎさにもわからないのです!」

マミ「ふふっ、変わった子ね」

マミ「でも、そういう気持ちってわからなくもないわ」

マミ「ふと気付くと好きになってるものって、あるものよね」

なぎさ「お、お姉ちゃんもそう思いますか?」

マミ「ええ」

マミ「あ、ちなみに私の名前はマミ、巴マミよ」

なぎさ「おぉ~っ!」

なぎさ「な、なんだか懐かしい名前なのです!」

マミ「懐かしい…?」

なぎさ「はいっ」


なぎさ「昔、どこかで…」

マミ「そうなの…ふふっ、なぎさちゃんの仲の良い人に私と同じ名前の人がいたのね」

なぎさ「あの…マミって呼んでもいいですか…?」

マミ「えっ…!?」

マミ「え、ええ…わ、私はいいけど…」

なぎさ「やったのです! マミ!」

マミ「じゃあ、私はなぎさんちゃんって呼ぶわね」

なぎさ「はいなのです!」


なぎさ「でも、どうしてマミはなぎさの名前が『なぎさ』ってわかったんですか?」

マミ「ふふっ、なぎさちゃん、自分で自分のこと『なぎさ』って言ってるじゃない」

なぎさ「わわっ!」

なぎさ「き、気付かなかったのです~!」

マミ「気をつけなきゃダメよ?」

なぎさ「はいなのです…」


マミ「でも、私もなぎさちゃんくらいの歳までは自分のこと、名前で呼んでたわ」

なぎさ「え、マミもなのですか??」

マミ「ええ」

なぎさ「意外なのです!」

マミ「そうかしら? 結構多いものよ」

なぎさ「そうなのですかあ…」


なぎさ「あ、もうすぐお家なのです!」


スタスタ…


なぎさ「あ、ここがなぎさのお家なのです!」

マミ「まあ、立派なお家ね」

マミ「じゃあ、ここに置いておくわね」

なぎさ「はいなのです! わざわざありがとなのです!」

なぎさ「あ、それと…」
ゴソゴソ…


なぎさ「これはお礼なのです!」

なぎさ「今日買ったチーズをおすそわけするのです!」

マミ「あら、ありがとうっ」


マミ「そうだわ、もしかしてチーズケーキとか好きかしら?」

なぎさ「はい! 大好きなのですっ」

マミ「よかったわ、私、実は今度作ろうと思ってたのよ」

マミ「もしよかったら、試食しに来てくれないかしら?」

なぎさ「い、いいのですかっ!?」

マミ「ええ、もちろんよ」

なぎさ「ありがとなのです! すごく嬉しいのです!」

マミ「ええ! こちらこそ食べてくれる人がいて嬉しいわ」


マミ「ふふっ、それじゃあ改めて、私の名前は巴マミ」

マミ「見滝原中学の3年生よ」

なぎさ「なぎさの名前は百江なぎさ、見滝原小学校の6年2組なのです!」

マミ「あら、やっぱり小学生だったのね」

なぎさ「ばれてましたか…」

なぎさ「でも、マミはもっと大人かと思ってたのです!」

マミ「そ、それはありがと…」


マミ(大人の女性に見えたってことかしら…)


マミ「それじゃあ、なぎさちゃん、今週の日曜日で大丈夫かしら」

なぎさ「はいなのです!」

マミ「じゃあ、私がなぎさちゃんを迎えにくるわね」

なぎさ「了解なのです!」

マミ「それじゃあ、また日曜日に」

なぎさ「はい! 今日は本当にありがとなのです、マミっ」

日曜日

 ~マミの家~


マミ「はい、どうぞ」

なぎさ「うわああ! とってもおいしそうなのです!!」

なぎさ「ほ、ホントにこれ食べちゃってもいいんですかっ!?」

マミ「ええ、もちろんっ」

マミ「なぎさちゃんの為に腕を奮って作ったんだからっ」

なぎさ「う、うう…」

なぎさ「す、すごく嬉しいのですっ!」

なぎさ「絶対おいしいのですっ」

マミ「ふふっ、早く食べてみてちょうだい」

マミ「褒めるのはそれからよっ」


なぎさ「いただきま~すっ!」

マミ「召し上が…」

パクッパクッ!
モグモグモグ!!


マミ「って、早っ!!」

なぎさ「お、おいしいのですっ! マミ!」

マミ「あ、ありがと…」

マミ(ちょ、ちょっと早く食べすぎじゃあ…)

モグモグモグ!
ムシリムシリムシリ!!


なぎさ「おかわりなのです!!」

マミ「え、も、もう…?」



マミ(それから、なぎさちゃんは30分くらい食べ続けて)

マミ(私の用意したチーズケーキはあっという間になくなりました…)


なぎさ「げぷっ…」

マミ「あら、お行儀悪いわよ」

なぎさ「あ、あわわ…今のは!」

マミ「ふふっ、でもあれだけ食べたら仕方ないわね」

なぎさ「本当においしかったのです! こちそうさまなのです、マミ」

マミ「お粗末さまでした」

なぎさ「もう食べれないのですう…」

マミ「私もあんなにおいしそうに食べてくれると作った甲斐があるわ」


なぎさ「マミのチーズケーキはこれからもずっと食べたいのです!」

マミ「そんなに気に入ってくれたの?」

なぎさ「はいなのです!」

なぎさ「マミのチーズケーキはなんだか懐かしいような味がして、とてもおいしいのです!」

マミ「それは良かったわ、今度からたくさん作っておくわね」

なぎさ「お願いするのです!」


なぎさ「そういえば、来た時から思ってたのですが、マミは一人暮らしなのですか?」

マミ「えっ」

マミ「あ、う、うん…そうなのよ」

なぎさ「一人暮らしなんてすごいのです!料理や洗濯までマミがしてるのですか??」

マミ「ええ」

なぎさ「すごいのですー!」

なぎさ「お父さんとお母さんはどうしてるのですか?」

マミ「あ…え、ええっと、実家の方にね…」

なぎさ「なるほど、マミはすごいのです!」

マミ「そ、そんなことないわよ…」


マミ「たまに寂しくなるし…」

なぎさ「…そうなのですか?」

マミ「たま~に! だけどねっ」

なぎさ「想像できないのです、マミは強いのです!」

マミ「あら、私だって女の子よ?」

なぎさ「でもなんだかマミは立派な感じがするのですっ」

マミ「ふふっ、ありがと」

マミ「あ、片付けるわね、ここでお茶でも飲んでて」


スタスタ…
ジャー…

なぎさ「あ、なぎさも手伝うのです!」

マミ「いいのよ、なぎさちゃんはお客様なんだから」

なぎさ「でも、チーズケーキまでご馳走になって、それは悪いのです!」

マミ「いいのいいの、私こそお皿洗いまでしてもらうなんて申し訳ないわ」

なぎさ「でも、手伝うのです!」


ジャー…
ゴシゴシ…


マミ「ふふっ…あらあら、案外上手なのね」

なぎさ「こう見えてもなぎさはよくお母さんのお皿洗いを手伝ってるのですっ」

ジャー…
ゴシゴシ…

キラッ…

なぎさ「ん? あ、マミは指輪をしてるのです…」

マミ「あ!」

サッ…!


マミ「こ、これは!」

なぎさ「もしかして結婚指輪なのですか!?」

マミ「え、えっ」

なぎさ「ズバリ! マミには彼氏さんがいるのです!」

マミ「あ、違う違うっ」


マミ「こ、これはそういうのじゃなくて…!」

なぎさ「違うのですか?」

マミ「そ、そう…こ、これは…」

マミ「これはオシャレの一つよ!」

なぎさ「ほええ…そ、そうなのですか?」

なぎさ「すごく綺麗なのです」

マミ「ありがと、高いものじゃないんだけどね…」

なぎさ「ちぇーっ」

なぎさ「なぎさの予想が外れたのですう…」

マミ「ふふっ、からかうんじゃありませんっ」


………

なぎさ「今日はホントにありがとなのです!」

マミ「いえいえ、こちらこそ」

マミ「帰りは一人で大丈夫?」

なぎさ「大丈夫なのです!」

マミ「じゃあ、またいつでもいらっしゃいね」

なぎさ「はいなのです!」


なぎさ「今度は泊まりに来たいのです!」

マミ「ふふっ、その時もたくさんチーズケーキ用意しておくわ」

なぎさ「やったのです!」

なぎさ「それじゃあ、そろそろばいばいなのです~!」

マミ「ええ、またね」

…バタン



マミ「……」


マミ(なんて素直な子なのかしら)

マミ(それに、私は前にどこかであの子と…)

マミ(まさかね、そんなわけないわね)


数日後

 ~早朝~


マミ「はあっ!」

ドドドドーン!


魔獣「ギャアアア…」

ゴゴゴゴゴ…



マミ「ふう…」


スタスタ…

??「ああ、一歩遅かったかあ~」

マミ「?」


マミ「佐倉さん!?」

杏子「ん? あ、マミだったのか?」

マミ「ええ」

杏子「んだよ、後一匹で今日は終わりって思ってたのに」

杏子「最後の一匹をマミにとられちまうとはね」

マミ「あら、それは悪いことをしたわね…ごめんなさい…」

杏子「あーあ、せっかく学校休みの日に朝早くから出てきたってのに…」

マミ「あ…」シュン…

杏子「まあケーキと紅茶があれば許すけど~」チラッ


マミ「…ふえっ!? 何もそう怒ったふりしなくても、素直に言ってくれれば良かったのに!」

マミ「真面目に謝って損しちゃったわ」プンスカ

杏子「へへっ、こうでもしないと食わせてくれないかと思ってな」

その後

 ~マミの家~


マミ「はい」
カチャ…

杏子「うひょー!」

杏子「うまそう!」

杏子「いっただっきま~すっ!」

マミ「召し上がれ」


パクパクモグモグ!


マミ「よく朝からそんなに食べれるわね…」


杏子「はっ、こんなのアタシからすりゃ朝飯前さ」

マミ「文字通り、これを食べた後にまだ朝ごはんを食べるつもり…!?」

杏子「朝飯はさやかんとこに帰って食う!」

マミ「そういえば今日は美樹さんは一緒じゃないのね」

杏子「朝とか深夜はいつもアタシは一人でやるって決めてんだ」

マミ「そう…」

杏子「まあ別に抜けがけしようとか、そんなんじゃないけど」

杏子「なんとなく一人で魔獣退治したくてな…」


マミ「……」

マミ「ねえ、佐倉さん」

杏子「?」

マミ「あなたは寂しいと思ったこと…ある?」

杏子「…寂しいねえ」

杏子「アタシは今、さやかと一緒だから…最近は何とも思わねーけど」

杏子「昔は、よく思ってたさ…」

マミ「そう…」

杏子「……」


杏子「なんだ…?」

杏子「マミ、もしかして寂しいのか…?」

マミ「え、えっ」

マミ「あ、い、いや、そういうことじゃなくて…!」

マミ「た、ただ…佐倉さんでも寂しいってことあるのか気になって」

杏子「アタシだって、そんなことぐらいあるさ」

マミ「そ、そうよね…」

杏子「ただな…アタシは思うんだ」

マミ「?」


杏子「今のこういう生活を手に入れたからこそ”寂しい”って気持ちはさ…」

杏子「なくしちゃいけないもんだと思うんだ」

マミ「えっ」

杏子「それを大事とは言わねえよ…でも、だからってなくしちゃいけない気もするんだ」

杏子「今じゃさ、アタシはさやかと一緒に住んでて、寂しいって思うことも減っちまったけど」

杏子「寂しいって気持ちを知ってるからこそ、誰かと一緒にいたくなって」

杏子「誰かのために生きようって思えんじゃないか?」

マミ「佐倉さん…」

杏子「だからさ、マミも寂しかったらさ、いつでも言いなよ、無理せずに」

杏子「アタシなんかでよかったらさ、いつでも付き合うぜ」

マミ「…ありがと」


杏子「ふっ…なんか辛気臭くなっちまったな…」

マミ「ふふっ、そうね」


杏子「あっ、わりい! そろそろさやかんとこに帰んないと!」

マミ「あら、もうそんな時間?」

杏子「わりいな、マミ、ごちそうさま!」

杏子「じゃあ、またな!」


バタン…


マミ「……」

マミ(私は、寂しいのかしら…)

マミ(そりゃあ、佐倉さんみたいに誰かと一緒に暮らせたりなんかしたら、すごく嬉しいわ…)

マミ(でも、私にはそんな人誰も…)



マミ「はっ!」


マミ(なぎさちゃん…)

マミ(そうね…あの子と一緒に過ごせたら、私は嬉しい…)

マミ(でも、それは寂しいの…? それとも、ただあの子が…)


ある日の夜

 ~見滝原市内~


ゴゴゴゴゴ…!

マミ「今日はやけに瘴気が濃いわね…」


魔獣「ウウウウ…!」

ゴゴゴゴゴ…


マミ「これで終わりよ!」
シュルルル!
ドガーン

………

マミ「ふう…」


…スタスタ

??「こんな時間まで、大変なことね…」


マミ「あ、暁美さん…?」

ほむら「もっと、いい方法とかないのかしらね…」

ほむら「こんな石ころを集めるなんて不便でならないでしょう…?」
ヒョイッ…

マミ「そ、そうね…で、でも私たちは魔法少女なわけだし…」

マミ「グリーフキューブは絶対に…」

ほむら「ふふふっ…」

ほむら「最近よく笑うみたいね、貴女…」


マミ「…えっ」

ほむら「そういえば、この間のチーズのお店どうだったかしら…」

ほむら「巴さんに気に入っていただけたかしら…?」

マミ「あ、あそこのお店ね! とってもいいお店だったわ!」

マミ「チーズもおいしかったし…」

ほむら「そう……喜んでもらえたなら良かったわ」

マミ「う、うん…」

ほむら「それじゃあ、私はこの辺で…」

マミ「あ…」

ほむら「そうそう、本来の目的を忘れていたわ…」


ほむら「あなたの家をこの子に聞かれてね…」

スッ…

なぎさ「マミ!」

マミ「なぎさちゃん!」

ほむら「迷子になってたみたいだから、交番にでもと思ってたのだけれど…」

ほむら「ちょうどあなたに会えてね…それじゃあ、私はこれで…」

マミ「あ、暁美さん、ちょっと!」

…スタスタ


マミ「いっちゃった…」


マミ「それにしてもこんな夜にどこに行こうとしてたの? なぎさちゃん」

なぎさ「あ、それは…」

マミ「こんな荷物も持って…」

なぎさ「じ、実はマミの家に内緒でお泊りに行こうと思ってたのです…」

マミ「そうなの!?」

なぎさ「マミをびっくりさせたかったのです…」

なぎさ「ごめんなさい…」

マミ「何も謝ることなんて…とっても嬉しいわ…!」


その後

 ~マミの家~


………


マミ「はい、ダージリンティーよ」

ズズ…
なぎさ「おいしいのです!」

マミ「泊まりたいなら、泊まりたいって素直に言ってくれたらよかったのに…」

なぎさ「マミを驚かせたかったのです!」

マミ「ふふっ…」

マミ「じゃあ今日はゆっくりしてってね」

マミ「それとお風呂沸いてるから先に入っていいわよ」

なぎさ「あ、ありがとなのです」


なぎさ「あ、あの…」
モジモジ…

マミ「ん?」

なぎさ「い、いや、なんでもないのです…」

マミ「隠し事はダメよ?」

マミ「はっきり言いなさい」

なぎさ「う、うう…」
モジモジ…

なぎさ「ま、マミの背中流したいのです!」

マミ「え!」

マミ「え…えっ」

なぎさ「や、やっぱりダメですか…」


マミ「あ、ダメってことじゃないけど…」

マミ「そ、それって私とお風呂に入りたいってことかしら」

なぎさ「はいなのです!」

マミ「あ、え、えっと…」

なぎさ「?」

マミ「だ、ダメです…!」

マミ「もう子どもじゃないんだから、一人で入りなさい」

なぎさ「は、はいなのです…」
ションボリ…


スタスタ…


マミ「はあ…」


マミ(ちょっと言い過ぎちゃったかしら…)

マミ(で、でも…いきなり一緒にお風呂だなんて)

マミ(あ、わ、私ったら何考えてるのかしら)

マミ(一緒にお風呂ね…)

マミ(昔、お母さんと一緒に入ったとき以来かしら)

マミ(誰かと一緒にお風呂に入るなんて…)


マミ「……」

ガチャ…


なぎさ「マミ」

マミ「……」

なぎさ「マミ、マミ!」

マミ「あ、なぎさちゃん…」

なぎさ「お風呂上がったのです…」


マミ「あ、あの、なぎさちゃん…」

なぎさ「?」

マミ「さっきは強く言ってごめんなさい…」

マミ「そ、それで…私の背中流してくれないかしら?」

なぎさ「え、でも…」

マミ「本当はね、私もなぎさちゃんと一緒に…」


ギュッ…
なぎさ「すごく嬉しいのです!」

なぎさ「さあ、それじゃ早速入るのです!」

マミ「え、え、でもなぎさちゃん今上がったばっかりじゃあ…」

なぎさ「大丈夫なのです!」

なぎさ「さあ、マミも早く服を脱ぐのです!」

マミ「あ、ちょ、ちょっと…!」

ゴシゴシ…

マミ「ふふっ、上手ね」

なぎさ「背中流しには自信あるのです!」

マミ「すごく気持ちいいわ」

なぎさ「それは良かったのです!」

なぎさ「マミの髪も洗うのですー」

マミ「ありがと、じゃあお願いしようかしら」


ゴシゴシ…
アワアワ…


なぎさ「マミの髪、長くてキレイなのです…」

マミ「なぎさちゃんだって、髪長いじゃない」

なぎさ「なぎさの髪は癖っ毛なのです!」

なぎさ「洗うのも大変なのです」

マミ「私も癖っ毛よ?」

マミ「ちょっと手入れに手間がかかるのはあるけど」

マミ「でも、きちんとしておけば、なぎさちゃんも可愛い髪になるわ」

マミ「あがったら、整えてあげるわね」

なぎさ「はいなのです!」


なぎさ「それじゃあ、背中は終わったので前向いてください、マミ」

マミ「え、えっ」

マミ「前は自分で…」

なぎさ「ダメなのです!私が洗うのです!」


ゴシゴシ…


マミ「ひゃんっ」

マミ「ちょ、ちょっと、くすぐった…」

なぎさ「ん~」
ジロジロ…

マミ「あ、え…」

なぎさ「それにしても、どうやったらおっぱいこんなになるんですか…?」

マミ「え、ええ?」


なぎさ「羨ましいのです…」

マミ「ふふっ、なぎさちゃんだって私くらいの歳になったら、ちゃんと大きくなるわ」

なぎさ「う~ん…心配なのです」

マミ「大丈夫よ」

マミ「さあさあ、次は私がなぎさちゃんを洗ってあげる番よ?」

なぎさ「ふえっ? わ、私はいいのですっ」

マミ「ふふ~ん、私にだけあんな恥ずかしい声出させといて」

マミ「自分だけ逃げようって魂胆ね…?」

マミ「そうはいかないわ…」ニヤニヤ

なぎさ「ま、マミの目が怖いのです…」


………

マミ「ふう…なんだか久しぶりにいい湯だったわ」

なぎさ「な、なんかとても疲れたのです~」フラフラ~

マミ「そりゃあ、あんなに抵抗したら疲れるはずよ」

なぎさ「ま、マミがなぎさのおっぱいとか触ってくるからです!」

マミ「先にしてきたのはなぎさちゃんなんだから」

マミ「お・あ・い・こ でしょ?」

なぎさ「うう…すごく恥ずかしかったのです」


マミ「さあ、なぎさちゃんも髪乾かさないと…」

マミ「ここに、座って」

なぎさ「はいなのです~!」


マミ「まずは、トリートメントをつけて…」


マミ「……」

なぎさ「……」

なぎさ「なんだか、美容室に来てるみたいです…」

マミ「ふふっ、緊張する?」

なぎさ「少しだけ…でもなんだか小さい頃にママにしてもらってたことを思い出すのです」

マミ「そうね、私も小さいころ…」

マミ「……」


マミ(私も小さい頃、お母さんにこうしてもらったことあったんだっけ…)


なぎさ「?」

なぎさ「…マミ?」

マミ「はっ」

マミ「あ、う、ううんっ」

マミ「そ、そうよね、誰でも小さい時は親にしてもらったりするわよね」

なぎさ「でも、マミはとっても上手なのです!」

なぎさ「なぎさのママくらい上手なのです!」

マミ「ふふっ、ありがと」

………

マミ「はい、できあがり」

なぎさ「おお~、いつもよりさらさらなのです!」

マミ「トリートメントまで塗ると、毎日さらさらになるわよ?」

なぎさ「でも朝からいつもぼさぼさになるのです」

マミ「朝は軽く櫛で梳いてあげると、すぐに今みたいになるわ」

マミ「どうしてもならないときは髪だけ洗ったり、お湯で整えたりすると大丈夫よ」

なぎさ「はいなのです!」

なぎさ「でも今日だけはさらさらで寝れるので、満足なのです!」


マミ「ふふっ」

マミ「それじゃあ、そろそろ寝ましょうか」

なぎさ「マミと一緒に寝るのです!」

マミ「はいはい、仕方ないわね」



マミ「じゃあ、電気消すわよ?」

…プツ


マミ「……」

なぎさ「……」


なぎさ「あ、あの…? マミ?」

マミ「ん?」

なぎさ「あの…もっと、そっちに寄ってもいいですか…?」

マミ「あらあら、なぎさちゃんはそんなに子どもなのかしら?」

なぎさ「ち、違うのです!」

マミ「ふふっ、冗談よ、冗談」

マミ「さあ、おいで」


ズリズリ…

なぎさ「…マミの傍は暖かいのです」

マミ「ふふ…」


マミ「……」

マミ「…ぐすっ、ひくっ…」

なぎさ「ま、マミ…?」

なぎさ「な、泣いてるのですかっ!?」

マミ「う、ううん…ごめんね…」

マミ「こうやって、誰かと一緒に寝るの、久しぶりで…」

マミ「誰かといると、こんなにも楽しくて、嬉しいんだなって…」

マミ「…ねえ、なぎさちゃん」

マミ「これからも、こうして私のそばにいてくれる…?」


なぎさ「なぎさなんかで良ければ、もちろんなのです」

なぎさ「なぎさは、マミのことが大好きなのです!」

マミ「…ううっ、ひくっ、ぐすっ…ありがと」


マミ「なぎさちゃん…」

マミ「ごめんね…私ね、なぎさちゃんに嘘ついてた事があるの…」

マミ「私のパパとママはね、もういないの…」

マミ「交通事故で…2人とも死んじゃって…」

なぎさ「そ、そうだったのですか…!」

なぎさ「じゃあ、マミはずっと一人だったのですか…」

マミ「うん…」

なぎさ「マミにはなぎさがついてるのです…」
ギュッ…


なぎさ「マミはもう一人じゃないのです」

なぎさ「なぎさが今日からマミの家族になるのです!」

_______________________

~次の日~

ガタンゴトンガタンゴトン…


マミ「ごめんね、付きあわせちゃって…」

なぎさ「そんなことないのです! なぎさが無理に頼んだのですから」

なぎさ「あ、そういえば花を買ってないのです!」

マミ「あら、そうね…」

マミ「確か、いつも行く途中に…」


~花屋~


マミ「あ、あったあった、ここよ」

なぎさ「わあ、綺麗な花がたくさん並んでるのですー!」

マミ「ええっと…」
キョロキョロ…

マミ「あら…? あの黒髪は…」

??「あら、巴さん、奇遇ね」

マミ「あ、やっぱり、暁美さん」

なぎさ「昨日はありがとなのです!」ペコッ

ほむら「気にしないでちょうだい、当然の事よ」

ほむら「ところで、お2人揃って、こんなところで何をしてるのかしら…?」


マミ「あ、う、うん…ちょっと」

なぎさ「花を買いに来たのですー」

ほむら「誰かに送るのかしら…」

マミ「ま、まあ…大事な人に」

マミ「暁美さんも花屋さんに用事?」

ほむら「ええ、ちょっと玄関に映える花でも買っていこうかと思って…」

マミ「それなら百合とかは、どうかしら…」

ほむら「あら、いいセンスね」

ほむら「私もちょうど百合にしようか迷っていたところよ」


マミ「そ、それは良かったわ…」

ほむら「助かったわ、ありがとう…巴さん」

ほむら「…それじゃあ、私はこの辺で」

マミ「あ、暁美さんっ」

ほむら「何かしら」

マミ「ありがとう…」

ほむら「?」

ほむら「貴女にお礼を言われるような事をした覚えはないのだけれど…」

マミ「昨日の事も、チーズのお店紹介してもらった事も」

マミ「前に会ったとき、きちんとお礼言えなかったから…」

ほむら「…そう」


ほむら「別にお礼なんていいわ…」


ほむら「貴女が笑顔になってくれたら…」ボソ…


マミ「え…」

ほむら「それじゃあ…」
スタスタ…

マミ「あ…」

スタスタ…

なぎさ「マミのお友達は変わってるのです…」

マミ「…暁美さんは、不思議な人なのよ」

なぎさ「でも、すごくいい人なのです!」

マミ「ふふっ、そうね」


マミ(よく考えてみたら、暁美さんにあの日、あのチーズのお店を教えてもらわなければ)

マミ(なぎさちゃんとこうして仲良くなる事もなかったのよね…)

マミ(暁美さん、もしかして…)




なぎさ「あと、どれくらいなのですかー?」

マミ「あ、うん、もうすぐよ」


~某霊園~


マミ「さあ、ついたわ…」


なぎさ「こんにちはなのです! マミのパパ、ママ」

マミ「ふふっ、なぎさちゃんったら…」



マミ(お父さん、お母さん、今日はとっても素敵な事を報告しに来ました)

マミ(私には、こんな素敵な家族ができました!)

マミ(もう私、一人ぼっちじゃないみたい)


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マミ「…さて、そろそろ行きましょうか」

なぎさ「はいなのですっ」

なぎさ「今度はマミに私のパパとママを紹介するのです!」

なぎさ「マミに泊まりに来てほしいのです!」

マミ「わ、私なんかがいいのかしら…」

なぎさ「大丈夫なのです!」

なぎさ「マミは私の家族ですからっ」

なぎさ「パパとママもきっと喜ぶのです」

マミ「そうかしら、それじゃあ、お邪魔しようかしら」

なぎさ「やったー! すごく嬉しいのです!」

マミ「ふふっ、なぎさちゃんったら」


マミ(なぎさちゃんと出会って、私は両親のとこに来る機会も減りました)

マミ(それに自分でも最近、笑う機会がすごく増えたなって思います)

マミ(ありがとう、なぎさちゃん)

マミ(それに…)


マミ(ありがとう)


マミ(暁美さん)

以上で終わりです

おつ

おつ

おつ
珍しいな

乙!
こういう話大好きだ

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