佐久間まゆ「アゲハチョウが壊れるとき」 (11)

 手のひらを広げ、虚空を握りつぶす。

 それに何の意味はあるのかは私自身も知らないままに。

 

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 プロデューサーさんの体を手に入れるのは造作もないことだった。

 ただ合鍵で部屋の鍵を開けて、そのまま驚きの表情を浮かべるプロデューサーさんをスタンガンで気絶させて、結束バンドで手足を縛っただけ。

 それから私は彼の体を貪って、そして私は「繭」から「蛹」になった。

 10月10日の間の蛹になった。

 私たちはいつも一緒にその部屋にいる。

 私たちの巣に。

 私もプロデューサーさんも天国にいる。

 

 私は蛹。私は蛹。

 二度と「繭」には戻れない。

 私は蛹。

 

 私は蛹。


 

 私は蛹…………。

 「繭」は「蛹」になって、そして「蝶」になるのだ。

 「蛹」は「蝶」になくてはならないのだ。

 「蝶」にならなくてはいけない。

 「蝶」にならなくてはいけない。

 「蝶」にならなくてはいけない。

 「佐久間まゆ」は「蝶」にならなくてはいけない。

 「まゆ」の中で「蛹」がうごめく。

 10月10日の歳月を惜しむように。

 「まゆ」はその歳月を少しでも長引かせるように、「まゆ」の子宮を腹膜越しに撫でる。

 アゲハチョウが壊れるとき…………。

 なんてことものでした。





FIN

なんてことものでしたってどゆ意味?謎

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