天使「話せないでしょうから、一方的に話しますね?」
男「…」
天使「近く、世界に危機が訪れます。悪魔とか災害とか、そんな感じのものです」
天使「それらからこの世界を守って欲しいんです。このまま餓死するよりはましでしょう?」
天使「全く不運な人ですねー、親族には借金を押し付け捨てられ、友人にも同様の仕打ちを受け……。山の中で死にかけとは」
天使「しかもあなた、地獄行きが決まってるんですよ。まぁ、ほとんどの人間は地獄に送られるんですけど」
天使「でもでも、ヒーローになっていただければ天国にお迎え致しますよ? どうです? いい取り引きでしょう?」
男「…」
天使「いい心がけです♪ じゃあちょっと失礼しますね?」グイッ
天使「よいしょー」ザグッ
ブシャァァァァァ!
男「――ッ! ッは……」
天使「今からあなたをヒーローにするために、心臓にある物を埋め込みます。直接切り開いちゃいましたから痛いでしょうけど、我慢してくださいね」
天使「うん……馴染みそうですね。あなたの幸福はこの時のためにとっておかれたんでしょうか。馴染まず死ぬ確率がほとんどでしたから」
男「……」
天使「…次に目覚めたら、何か危機が目の前にあるはずです。それをどうにかしてください」
天使「見事危機から世界を守れば、あなたは天国行きになりますよ」ニコッ
男「…」
………
男「……?」
男(どこだ……)
ガヤガヤ
男(町……?)
男は人ごみの中で目を覚ました。
姿勢は直立した状態で、一緒前に気を失っていたような感覚だった。
男(服が……)
傷んだシャツとズボンは、清潔なものに変わっている。
男(……)
男(夢じゃなかったのか…)
ぎぃやぁぁああああああ!!
男「!?」
耳を覆いたくなるほどの悲痛な声が響いた。
飛び散る血飛沫。
痩せた男「…へへ」
「助けてぇぇぇ!」
別の方向から悲鳴が聞こえた。
太った男「……」ヘラヘラ
何か直感的な悟りが男の脳に告げた。
人が狂っていく災害。
そこかしこで殺し合いが始まっている。
~
陰気な男「クク…」
陰気な男「面白い力だ……」
陰気な男「俺を馬鹿にした奴ら……みんな殺してやる」
~
男(しばらくここに隠れるか……)
路地の裏に男は隠れる。
男(……あれが危機? …確かに狂ってる)
男(…でもどうしようもないんじゃ…)
目覚める前と比べて、気付けた自身の変化点がある。
まず、幼い頃からろくに食わず、骨から痩せこけた体は、別人のようにしっかりした体格になっている。
加えて髪が白く、肌は少し浅黒く健康的な色になっていた。
男(……これだけなのかな)
ガタガタッ!
おっさん「見ぃつけたぁ」ギラッ
男「!」
おっさん「ひゃへぁあ!」グワッ
バキッ
男「……このナイフ、借りるよ」
おっさん「 」
dqn「ほひょーwみんなおかしくなってるわww」
dqn2「……」
dqn「なぁ、俺らもここにいたらやばくねぇ?」
dqn2「クワァァア!」
dqn「お前もかw」バッ
ゴォォッ!
dqn「ま、炎をだせるようになった俺の敵じゃないっしょww」
dqn「まじおもしれーw何かクラスの奴らも変な能力が出たっつってたなww」
dqn「…っつーことは、この騒ぎはそういう奴の仕業か? 俺って冴えてるww」
陰気な男「死ね……皆死ね……!」
陰気な男「あはははははは!!」
dqn「ん? あれ? お前こんなとこで何してんの?」
陰気な男「!!」
dqn「今外にいちゃあぶねーっぺ? つかなんで学校来なくなったのww?」
陰気な男「…殺す!」
ワラワラ
狂った人達「……」
dqn「…お前の仕業か!」
dqn、勘よすぎ
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