【艦これ】加賀さんは番兵 (43)



日の丸を掲げ、本日は祝日。


艦娘たちもおやすみである。


皆外出の予定を立てており、鎮守府の空気は少し浮ついていた。


ただし、運悪く当直として警備任務にあたる一部の艦娘を除いて。


楽しそうに予定を話す艦娘を尻目に恨めしい面持ちで任務の準備をしている。


深海棲艦の戦闘教義に祝日の艦娘には手を出すな、と書かれているらしいと実しやかに語られるのも納得がいく。



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加賀さんはというと、磯波さんの部屋で一日中引き篭ろうという計画は破綻した。


磯波さんは姉妹たちと遊びに行くというのだ。


磯波「ごめんなさい加賀さん……」


加賀「しょうがないわ。先約だものね」


別に一人でいるから行ってきていいわよ、という言葉が喉元まで出かかったが、


流石に図々しいと思ったのか口を噤んで加賀さんは立ち去った。



そんな加賀さんの元へ長門さんがやってきた。


長門「加賀!すまん!」


加賀「なにかしら」


長門さんは焦っている様子だ。


長門「その……大変言いにくい話だが、今日の警備変わってくれはしないだろうか!」


深々と頭を下げる。


加賀「どうしたの」


長門「そのー……提督と、だな……」


もじもじする長門さん。



加賀「なにかしら」


長門「ほら、わかるだろ?提督と、と言えば……」


加賀さんの頭には疑問符が浮かんでいる。


長門「で、デートってヤツだ!」


加賀「なるほど、それで?」


長門「それでだな……今日、行けるかもしれない、だから警備を……」


加賀さんは嫌そうな顔をする。


当然といえば当然である。


長門「そうだ、お土産を買って来てやろう」



加賀さんの持ち場は前門となった。


つまるところ番兵で、艦娘たちを見送る事になる。


そこに赤城さんと龍驤さんがやってきた。


赤城「祝日の番兵って、大変ですね加賀」


加賀「お土産が来るから」


龍驤「せっかく遊びに誘おうと思ったんやけどなー、加賀はまた今度か」


加賀「え」


赤城「それじゃ、頑張って。私たちもお土産買ってきます」


二人は門を出て街に繰り出す。


加賀「頭にきました」


もっと早く言ってくれればいいのに!と加賀さんは思った。



嬉しそうに鎮守府を出る艦娘たちを眺めるだけの退屈な時間が続く。


一応、もう一人朝潮さんがいるが彼女と話してもあまり会話に花は咲かなかった。


互いに趣味が乏しすぎるためである。


ある時、提督さんと手を組んで恥らいながら歩く長門さんが見えた。


加賀さんは益々腹が立ってくる。


お土産に釣られたとは言え、ここまでしなくちゃいけないのか、と。


もちろん交代してしまった以上、もうどうしようもないことなのだが。


そこで加賀さんは妙案を思いつく。


通行料をせしめることにした。



加賀「止まりなさい」


サングラスをかけた加賀さんと朝潮さんが霞さんの前に立ちはだかる。


霞「何?加賀に朝潮に、二人してサングラス似合ってないわよ」


二人は内心ショックを受けたが、続ける。


朝潮「いいご身分ね、霞」


霞「は?」


加賀「お宅さん、結構おめかしして羽振り良さそうね」


確かに霞さんはお出かけ用の服で着飾っている。


いつものイメージとはまるで違ったものだ。



しかし霞さんは露骨に機嫌を悪そうにする。


霞「それほどでも」


加賀「何も起きなければいいですが」


霞「はい?」


朝潮「彼女が言いたいのは、万が一妙なことが起きなければって事よ」


霞さんは意味がわからない、という表情だ。


霞「で、何の用?」


朝潮「何の用ですって」


「「アハーハーハーハーハーハー」」


二人は不気味な笑みを見せた。



加賀「お宅面白い人ね」


朝潮「ジョークが上手くなったわね霞」


霞さんは益々機嫌を悪くする。


加賀「説明して上げて、姉貴」


霞「あ、そっちが姉って設定なのね」


朝潮「ふぅ……私たちが言いたいのは挨拶なしじゃここは通せないって事」


加賀「出すものあるでしょ」


霞「はぁ……阿漕な商売考えたものね。いくらよ」


加賀「10円」


霞さんの拳が二つのサングラスをへし折った。



陸奥「あら、二人共ひどい顔ね」


加賀「そうかしら……」


朝潮「かもしれません……」


二人の顔はベッコベコであった。


陸奥「じゃ、私も出るから。頑張ってね警備」


加賀「待ちなさい」


陸奥「何?」


加賀「10円」


陸奥「行くわ」


二人は通行料を諦めることにした。



加賀さんが朝潮さんとキャッチボールをしていると、何やら壮年の女性がやってきた。


「ここがホテルかしら」


朝潮「ここは鎮守府です」


「何?」


朝潮「ここは鎮守府です」


「意味がわからないわ」


朝潮「ここは海軍の軍事施設です」


「風呂付きで眺めのいい部屋を」


朝潮「はぁ?」


「聞こえないの?風呂付きで眺めのいい部屋よ」


朝潮さんは困っている。



この神経質そうなおばさんはどうも鎮守府をホテルと思っているようだ。


加賀「関係者以外立ち入り禁止です」


「ホテルでしょ?ちょっと通しなさいよ」


加賀「鎮守府です」


「何?」


加賀「鎮守府、海軍の基地です」


「予約してないけどいいでしょ」


加賀「頭にきました」


「頭にきたのはこっちよ」


加賀「そういうのは聞こえるのね」


「何?」


加賀「いえなんでも」


加賀さんは苛立っている。

この10円は現代価値?
それとも戦時当時?



朝潮「ちょっと他の人呼んできます」


加賀「あっ」


朝潮さんは体良く逃げ出した。


「困るわね、ホテルなんでしょ?客を門前払いだなんて」


加賀「ホテルではありません、軍事基地です」


「うんち? まァー!下品な子!!」


加賀「違います、軍事基地です。ぐ・ん・じ・き・ち」


「こんな下品な子を雇うだなんてどうかしてるわ」


加賀「じゃあ帰って」


「不満だけど泊まるわ」


加賀「クソババア、補聴器は持ってますか?」



「え?」


加賀「補聴器!!!!!!!」


「怒鳴らないでよ。持ってるわ」


加賀「修理いたします!!!」


「壊れてないわ。電池切れ」


加賀「このクソババアが」


そこへ朝潮さんが最上さんを連れて戻ってくる。


朝潮「ババアどうですか?」


加賀「全然話が通じないわ」


「何こそこそ話してるのよ」


加賀「普通の声量ですよクソババア」



最上「おばちゃん、ちょっと事務所行こうか」


「何?」


最上「事務所」


「聞こえないわ」


最上「じ!!む!!しょ!!」


「事務所がどうかしたの?」


最上「事務所に行こうね!!!おばちゃん!!!」


「まぁーーー!!おばちゃんなんて歳じゃないわよ!!!」


最上「はいはい」


クソババアは鎮守府の中へと無理やり連れて行かれた。


加賀「はぁ……疲れた……」


朝潮「ですねぇ」


加賀「あなた最上呼んできただけじゃない」



二人が消える魔球を開発していると、巨大殺人ロボットジェノサイド秋津洲さんが鎮守府から出てきた。


加賀「秋津洲」


巨大殺人ロボットジェノサイド秋津洲「加賀 聞イテ」


加賀「何かしら」


巨大殺人ロボットジェノサイド秋津洲さんは恥ずかしそうに、しかし得意げに言った。


巨大殺人ロボットジェノサイド秋津洲「コレカラ でぇと 彼氏ト」


加賀「えっ」


朝潮「えっ!?」


二人には衝撃であった。


まさか彼女に恋人がいるとは誰が想像できただろうか。



加賀「どんな人」


朝潮「私も気になります……」


巨大殺人ロボットジェノサイド秋津洲さんは超次元転送ユニットから写真を取り出した。


大層なハンサムが写っている。


朝潮「うわぁ~……カッコイイ……」


加賀「そうね」


巨大殺人ロボットジェノサイド秋津洲「秋津洲ニハ モッタイナイ!」


上機嫌なのかエネルギーユニットからはいつもよりも蒸気が漏れていた。



彼女が立ち去った後、猫がやってきた。


朝潮「あ!ねこねこねこねこ来たねこ!」


しかし加賀さんを見るとサッと逃げてしまった。


朝潮「あー、ねこねこ行っちゃったねこ」


加賀さんには見覚えがある。


以前石を投げつけた猫であった。


加賀「頭にきました」


しばらくすると、猫の集団現れた。


朝潮「すごい!にゃんにゃんパーティーだ!」


加賀「何を言ってるの」



だが、どうにも猫たちは加賀さんを睨んでいる。


朝潮「なんか様子が変ですねこ」


加賀「まずいわ……」


加賀さんは身の危険を感じる。


すると次の瞬間、猫たちは一斉に加賀さんに襲いかかった!


加賀「ごめんなさいごめんなさい」


加賀さんは猫に噛まれたり引っ掻かれたりともみくちゃにされてしまった。


朝潮「わー!わー!加賀がねこさんを!違う、ねこが加賀さんを!」


朝潮さんにはどうすることもできない。



加賀「すみませんでした」


加賀さんは土下座の体勢に移行するが、それでも猫の怒りは収まらない。


結局、10分ほどされるがままになっていた加賀さんは全身ボロボロとなってしまった。


加賀「ひどい」


朝潮「何かしたんですか?」


加賀「した」


朝潮「じゃ、加賀さんが悪いですね」


加賀「でもひどくない」


朝潮「ジゴージトクですね」


朝潮さんにも呆れられてしまう加賀さんであった。



そんなこんなで、日没となる。


交代の人員がやってきた。


陽炎「うわ!加賀さんひっどい顔!」


加賀「頭にきました」


陽炎「あ、ごめんなさい、何があったの?」


朝潮「霞に殴られたり猫に襲われたり……」


陽炎「本当に何があったのよ……」


加賀さんは、番兵なんてもう勘弁して欲しいものだと思った。


だがこれでおしまい。


あとは長門さんのお土産を待つだけだ。



しかし。






長門「すまん、忘れてた……ちょっと熱が入ってしまって、だな……」


加賀「頭にきました」


加賀さんはおもむろに長門さんの腹を殴りつけたが、逆に加賀さんの手首の骨が折れてしまった。


長門「ふっ、効かぬわ……じゃない!大丈夫か加賀!?」


加賀「ありえないわ……」


ついに加賀さんは気を失ってしまった。


おしまい

いつも通りよくわからない感じになった。でもいつもの通り。10円は10円っぽい!
いつも通りおまけがあとであるかも。


いつも通り貼っておくぽっぽっぽぽぽぽぽぽィィィィィィィィイァゥッ!!

【艦これ】加賀さんの冒険
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加賀さんが前回よりも皆と打ち解けていて、ほっこりしたww


相変わらず短気な加賀さん面白い

おつ
長門さんかわいい

最近はスレタイに題名を加賀さんとおまけと二つ書くべきか書かざるべきかと悩んでいる

いつも通り加賀さんとは関係ないおまけ



木曾の野望


前々回、意外な性癖が暴露してしまった木曾であったが、開き直りやがった。


執務室


木曾「提督よ、馬飼えよ」


提督「馬?」


木曾「乗馬とか出来たら、かっこいいだろ」


提督「かっこいいけども……」


木曾「頼む!馬を飼ってくれ!ちゃんと世話するから!」


提督「君が乗りたいのかい……いや、給金で買う分には問題ないけどさ」


木曾「給金で買えるか!バカ高いんだぞ!」


提督「ほんだらば、公費でも買えないのよ」



木曾「クソ……どうしてもダメか」


提督「なぜそんなに馬が欲しいの」


木曾「馬……そうだな、可愛いし」


提督「猫とか犬とか」


木曾「ダメだな。馬じゃなきゃ。それに乗れたらかっこいいだろ」


提督「ああ、さっきも聞いたよ」


木曾「それから………………とにかく欲しいんだ」


提督「そんだけ?うーん……」


木曾「もういい!提督のバカ!アホ!茄子のヘタ!!」


トテテテー


提督「茄子のヘタって……みなさんどう思います?茄子のヘタって……」



球磨型部屋


木曾「くっそぉ……」シクシク


北上「どったの木曾っち」


木曾「提督が馬買ってくれないんだ」


北上「じゃあね、用事があるから」


木曾「北上姉のアホー!偽磯波!」


北上「あたしのが竣工先なんだけど」


大井「……木曾ちゃん、そういう、馬とだなんて良くないわ」


木曾「だったら大井姉さんだって、北上姉と」


大井「都合を思い出したからそろそろ行くわね」


木曾「バーカ!ボケ!デカ乳!」



多摩「木曾、馬なんかどうでもいいにゃ。目を覚ますにゃ」


木曾「マーキングと称して野外で放尿している多摩姉さんこそ目を覚ませ」


多摩「……いくら欲しいにゃ?」


木曾「いらない、馬買って」


球磨「どうしたクマ。また変な趣味こじらせてるクマ?」


木曾「変な趣味って言うな!」


大井「どうにかならないものかしら……」


多摩「ちっこいポニーなら多分値段も安いにゃ」


木曾「やだ!でっかいのがいい!」


大井「ポニーにしましょうよ」


球磨「ちっちゃいのなら可愛いもんクマ」



ピンキーパイ「そうだよ!ポニーの方が絶対カワイイに決まってるもん!ね!北上!」


北上「そうだねー。それにさ、でっかいとそれだけ世話も大変だよ」


多摩「え、今、ピンクの馬が」


木曾「クソー……ポニーと大型の馬じゃサイズも倍違うんだぞ!」


球磨「え、それは体躯の話クマ?」


木曾「違う!ちn」




※参考※

馬(ポニー)およそ35cm

馬(中型)およそ56cm

馬(大型)およそ71cm

何がとは言わない。



後日...


木曾「……」ムッスー


提督「まだ拗ねてるのかね」


木曾「ケッ」


提督「いや、同僚に聞いてみたんだ。鎮守府でペットを飼う事について」


木曾「え?」


提督「どうも、士気に良い影響を与えるようでさ。世話していればみんなの仲も深まるんじゃないかな」


木曾「と、言うことは……?」


提督「こっち」



ヒヒーン


提督「どうよ、ご立派なもんねぇ」


木曾「おおおおおおおおおおおおお!!!」


提督「確かに、こうして見ると馬も可愛いもんだね」


木曾「だろ!?だろ!?」


提督「お前さんを世話の責任者ってことにするけど」


木曾「いいぜ!もちろんだ!詳しいしな!」


提督「なんで詳しいの……まぁとにかく、しっかりやってちょーだい。私も気がついたら何か手伝うからさ」


木曾「提督……ありがとよ!」



その夜。


コソコソ


木曾「まぁ、早速チェックだな。当然だろ?」


ヒヒーン


木曾「シー。ちょっとアソコのサイズを……アソコの……あれ?」


















木曾「お前……メスだったのか」







多摩「うーん……ピンクの馬が……」


ピンキーパイ「もう、多摩ったら。それを言うならピンクの象さんだよ!」


多摩「ぎにゃああ!また出たにゃああああああああ!!」


完これ!

いつも通り今度こそ終わり

乙乙

乙です
まあ、そうなるな


次も楽しみにしてるよ

これは長門が一番悪い

この木曾、自分とメス馬の産道を棒で繋いでレズセックスしそう

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