「じーんーたんっ！」
ベッドから、成仏したはずのめんまがいきなり現れた。
俺は驚いて、ベッドから床に倒れこんだ。
それを見てるはずだが、めんまは話し続ける。
「じんたん、めんままだね、お願い事叶えきれてなかったみたい。」
願い事…もしかして。
「ゆきあつのことか？」
「せいかーい！！」
めんまは手をVサインして、笑顔でこっちを見る。
「めんまね、じんたんを泣かせることだけが願い事だと思ってたの。
　でもね、成仏しようとしたら、神様が『ゆきあつのこともよろしくね』って言ってたから、
　ゆきあつを学校に行かせることも叶えなきゃいけなくなっちゃったんだ。」
「マジかよ…。」
俺達に、またあの時の日常が始まった―――。

一方、安城 鳴子ことあなるは、忙しい日々を送っていた。
「あーもうっ！！！明日期末とか最悪なんだけどー！！！！」
私は馬鹿だから、テストは大の苦手だ。
「鳴子、何か明日、用事でもあるの？」
春子は、私をよく心配してくれる。
「あ…うん、昔よく遊んでた友達と会うことになってて。」
「マジかー。じゃあ、明後日遊ぼうよ！」
「…うん！」
でも、ついこの間まで仲がギクシャクしてた友達とも、復縁することができて良かった。
…これも、めんまのおかげかもね。
「鳴子、バイバイ！」
「うん、また明日ー！」
そして、また皆に会える日も作ってくれた。
「ありがと、めんま…。」
私、やっぱりめんまには敵わないな…。

ｍｓ。春子ではなく、春菜でした。

「うーん…まだまだね。」
私、鶴見 知利子は、今日もキャンバスに向かって何かと呟いている。
私がどんな絵を描いているかというと…超平和バスターズの皆。
ゆきあつは不登校になってしまったけれど、この絵の中では皆と仲良く笑っている。
…あのことから、ゆきあつは学校に来なくなってしまった。
学校中の女子は凄く心配していたけれど、彼は結局ニートになってしまった。
そんな彼を心配している私は、時々彼の家に訪れている。

私がゆきあつが女装した翌日にゆきあつの部屋に入った時、
ゆきあつはあなるの格好をしていた。
「どうだぁ…むふふ、宿海ぃ、これで宿海に復讐するんだあ！！」
私は、最初は彼が何を言ってるのかわからなかった。
けど…。

「なぁ、仁太はめんまのことが好きなんだろ？」
ゆきあつは、心なしに仁太に問いかける。
それを見ていためんまは、
「めんまのこと、好きなの…？」
と言い、顔を少し赤らめていた。
仁太は、皆の前でめんまが好きだと言われたのが恥ずかしかったらしく、
「誰がこんなブス…！」
と、心に無いことを言ってしまい、恥ずかしさのあまり、走り去ってしまった。
仁太は、めんまの前で、いや、皆の前でも酷いことを言ってしまったと、
心の中では後悔していた。
…それでも。
めんまの前で好きだと言って、からかわれたら？
もし、ゆきあつが傷ついてしまったら？
そう考えると、これで良かったんじゃないかとも思った。
…なのに、胸の奥が『キュッ』とするのは何故だろう。

――あの頃を思い出し、ゆきあつがめんまと両思いの仁太に嫉妬していることがわかった。
「だから…。」
こんなにも、醜くなっているんだね。
じんたんがあなると結ばれて、ゆきあつがめんまと結ばれるように――――
そうするために、あなるの格好をしたゆきあつが、じんたんに告白しに行こうとしていたんだ。
「そんなの、ダメよ……！」
あんなに好きだっためんまの気持ちが、もうわからなくなってしまったの？
「ゆきあつ…。」
「何だよ…！お前、出てけよ！！！俺がどうしようと、俺の勝手だろ！！？」
私は、ひたすら八つ当たりをしてくるゆきあつにとても腹が立ったので、
「好きな子の気持ちも考えられないなんて、最低ね。」
と言って、思いっきりドアを開け、家に帰っていった。
馬鹿、馬鹿、馬鹿、馬鹿ぁ…！！私、何やってるのよ……、
こんな言い方じゃ、駄目だったんだ。
初恋の相手に、私は何を言ってるんだろう。
「もっと、めんまみたいに素直になりたかった…。」
私が泣き崩れても、家族でさえも気づかなかった。

…明日は、ちゃんと来てくれるのかな。
そう、明日はまた、超平和バスターズの皆と会える日。
「明日こそは、ゆきあつに告白したいな…。」
とりあえず帰って、あなるにでも連絡してみよう。

必ずぽっぽ回も書くので、私がしばらく来なくても、過去ログ送りにはしないでくださいね。