うみ「だいたい、ほのかはいつもいつも……」

ほのか「うるさいなあ！」

うみ「ほのかがしっかりしていれば、わたしが怒らなくてすむんです！」

ほのか「ほのかがわるいみたいじゃん！」

うみ「じっさいそうです！」

ほのか「ぐぬぬぬ……」

うみ「ぐぬぬぬ……」

ことり「……ぐすん」

ほのか「もぉうみちゃんとは絶交だよ！」

うみ「のぞむところです！」

ほのか「じゃあ、ほのか帰るね！」

うみ「わたしもです！」


　
ほのか・うみ「ふん！」


　
ことり「うぅ……ひぐっ……」

うみ「ことり？」

ほのか「ことりちゃん？」

ことり「……だよぉ」

ほのか「ど、どうしたの！？」

ことり「……やだよぉ」

うみ「だ、だいじょうぶ……」

ことり「二人が絶交なんて……やだよぉ！」

ほのか・うみ「！！」

ことり「ぐすっ……うわあああぁん」

ほのか「ことりちゃん泣かないで！」

うみ「そ、そうです！」

ことり「うわあああぁん！！」

うみ「ど、どうしたら……」

ほのか「うみちゃんが悪いんだ」

うみ「なっ、なにを！」

ほのか「うみちゃんが怒るからだよ！」

うみ「ですから、それはほのかが……」

ことり「そんなのどうでもいいよ……」ｸﾞｽｯ

ほのか「……」

うみ「……」

ことり「ケンカしてもねっ、なかなおりしようよっ」ｸﾞｽｯ

　　　「そしてね。また、三人で仲良くあそぼうよ」ｸﾞｽｯ

　　　「三人がバラバラなんて、やだよぉ」ｸﾞｽｯ

ほのか・うみ「！」

ことり「だから、なかなおりしてよぉ……おねがいだからぁ」ﾋｸﾞｯ

ほのか（三人……バラバラ）

ことり「ひぐっ……えぐっ」

ほのか（せっかく仲良くなれたのに……）

うみ「ことり、泣きやんでください」

ほのか（そんなの……）

ほのか「そんなの……」

うみ「ほのか？」

ほのか「そんなの……やだ」

ことり「ほのか……ちゃん？」

ほのか「そんなのやだ！　うみちゃんとことりちゃんとバラバラなんてやだ！！」

うみ「ほのか……」

ほのか「やだ、やだ、やだ……うわあああぁん！」

うみ「ほのか！」

ほのか「ごめんなさぁい、ごめんなさぁい。うみちゃん、ごめんなさぁい！」

うみ「ほのか……ほの……うえぇぇん！」

ことり「うみちゃん！」

うみ「わたしも、ごめんなさぁい！」

ほのか「うみちゃん……は、なにも……悪くないよ。ほのかが……悪いんだもん」

うみ「ですが、わたしはことりを泣かせてしまいました」

ほのか「でも、それもほのかが……」

ことり「もうだれが悪いかなんかいいよ！」

ほのか「ぐすっ」

うみ「ひぐっ」

ことり「だから……ほら、ねっ」

ほのか「……ｸﾞｽｯ、うん」

うみ「……ﾋｸﾞｯ、はい」

ことり「うん」

ほのか「うみちゃん」

うみ「ほのか」


　
ほのか・うみ「ごめんなさい！」


　
ことり「これで、なかなおりだね」

うみ「えぇ」

ほのか「うん」

ことり「もう絶交なんて言っちゃダメだよ」

ほのか「もう言わない。ぜーったい、言わない！」

うみ「おたがいにバラバラはイヤですから」

ほのか「うみちゃんとことりちゃんがいなくなって、ひとりってなったら、ほのかさびしいもん」

うみ「またケンカしたら、なかなおりできる……でしょうか？」

ことり「だいじょうぶ。きっと、だいじょうぶだよ」

ほのか「そうだね。うん、だいじょうぶだよ」

うみ「はい！」



　
私には喧嘩をしても笑顔で仲直り出来合える、大切な友達がいる。

海未ちゃん、ことりちゃん。
あの時は心配させてごめんね。

**********


　
穂乃果「今日はことりちゃん、お休みだね」

海未「一昨日の土曜日に発熱したそうです」

穂乃果「心配だなぁ」

海未「今朝貰ったメールだと、熱も引いてきているみたいですし大丈夫だと思いますよ」

穂乃果「じゃあ、お見舞い行く？」

海未「行きたいのは山々ですが、かえって迷惑になるのでは？」

穂乃果「そっかなぁ」

海未「きっと明日には元気に登校して来ますよ」

穂乃果「だといいんだけど……」

穂乃果（ことりちゃん。今、ひとり……なんだよね）

海未「穂乃果。そろそろ授業が」

穂乃果「よし！」

海未「な、なんですかいきなり！」

穂乃果「海未ちゃん。放課後、ことりちゃんの家に行こう！」

海未「えぇー！！」

穂乃果「穂乃果達が行って、ことりちゃんを元気付けよう！」

海未「ですが、いいのでしょうか……」

穂乃果「大丈夫。穂乃果に任せて！」

◇

　
海未「なるほど、理事長にことりのお見舞いの許可を」

穂乃果「そしたら快くＯＫしてくれたね」

海未「はい。理事長も『二人がお見舞いに行けば、ことりも喜ぶわ』と、おっしゃってましたし」

穂乃果「それと、ことりちゃんが大好きなチーズケーキも買ったし」

海未「ことり。喜んでくれると思いますよ」

穂乃果「あっ、着いたよ」

海未「理事長の話だと、ことりはかなり回復してるそうですよ」

穂乃果「それに、理事長がことりちゃんに連絡してるはずだから……」

ピーンポーン♪

ことり『はぁ～い』

穂乃果「ことりちゃん。穂乃果だよ」

海未「私もいますよ」

ことり『あっ、お母さんから連絡あったよ。今ドア開けるね』

海未「声からして元気そうですね」

穂乃果「そうだね」

ｶﾞﾁｬ

ことり「穂乃果ちゃん、海未ちゃん。いらっしゃい」

穂乃果「ことりちゃん。元気そうで何よりだよぉ」

海未「もう熱はいいのですか？」

ことり「うん。ばっちしだよ」

穂乃果「良かった、良かった」

ことり「心配かけてごめんね」

海未「いえいえ」

穂乃果「はい、ことりちゃん。お見舞いのチーズケーキだよ」

ことり「あ、ありがとぉ！」

海未「やっぱり元気ですね」

穂乃果「うん」

海未「あと、積もる話もアレですし、中に入りましょうか？」

穂乃果「そうだね」

　
穂乃果・海未「おじゃまします」

ことり「はーい。どうぞー」

◆

　
穂乃果「ことりちゃん。汗で濡れたシャツや下着、洗濯機にいれといたよ」

ことり「ありがとう穂乃果ちゃん」

海未「ことり。動くと汗が上手く拭けません」

ことり「ごめんね海未ちゃん」

穂乃果「よーし。この際だから、ことりちゃんの家を綺麗にするぞぉ」

海未「穂乃果。他人様の家で勝手な真似しない」

穂乃果「それもそうだね。えへへ」

ことり「気持ちは嬉しいなっ」

海未「はい。着替え終了」

ことり「もう海未ちゃん。着替えくらい自分で出来るのにぃ」

穂乃果「んー。でも、穂乃果が風邪ひいてお見舞いに来た時、ことりちゃん着替えさせてくれたよね」

ことり「そ、そうだっけ？」

海未「はい、そうです。その時ことりは『病人は甘えていいんだよ』って言ってました」

穂乃果「だから今は、ことりちゃんが穂乃果達に甘える番だよ」

ことり「はぅぅ」

穂乃果「ことりちゃん。気を取り直して、はいチーズケーキ」

ことり「わあぁ」

海未「それ食べて更に元気を出して下さいね」

ことり「はーい……もぐもぐ……おいひぃ」

穂乃果「ふふっ、良かったね」

海未「ことりの笑顔も見れて安心です」

ことり「ひとりで退屈してたから、お母さんから穂乃果ちゃん達が来るって連絡貰った時は嬉しくなっちゃった」

海未「穂乃果の提案が良い方向へ行きましたね」

穂乃果「そうだね。それに、ほら」

海未「？」

穂乃果「さっきも言ったけど、穂乃果が風邪ひいた時に二人ともお見舞いに来てくれたよね」

ことり「うん」

穂乃果「あの時ね、すっごーく嬉しかったんだ」

海未「嬉しかった？」

穂乃果「ひとりで退屈してたってのもあるけどね。本当は、ひとりでいるのって物凄く寂しいから」

　　　「穂乃果は家にお母さんやお父さんいるからいいけど、ことりちゃんがひとりなの考えたら……ねっ」

　　　「それより何より、友達の笑顔が見れるのが何よりの薬なんだよ！」

海未「穂乃果。あなたはそこまでことりの事を」

ことり「穂乃果ちゃんの言う通り……だね。うん、なんか元気出てきた！」

穂乃果「えへへ」

海未「なるほど、笑顔にはそのような効果があるのですね」

ことり「海未ちゃんはあんまり風邪ひかないよね」

海未「常に規則正しく健康的な毎日を送っていますので」

穂乃果「さっすが海未ちゃん」

海未「あっ、でも。もしも私が風邪をひいた時はその……お見舞いに、来てくれますか？」

ことり「もちろん行くよ」

穂乃果「海未ちゃんが大好きなウチのお饅頭持って行くね」

海未「ふふっ、やはり持つべきものは友達ですね」

ことり「そしたらことりは、海未ちゃんの汗を拭こっかな」

穂乃果「じゃあ穂乃果は海未ちゃんを着替えさせて」

海未「な、何を破廉恥なことを言ってるんですかぁ！？」

ことり「えぇー、病人は甘えていいんだよっ」

穂乃果「そうだよ。穂乃果も甘えたんだからね」

ことり「ついでに、あーんなことやこーんなことも」

海未「ぜ、ぜーったいに風邪なんかひきません！」

穂乃果・ことり「ぷっ、あははははは」



　
私には笑顔で励ましたり、励ましてもらえる大切な友達がいる。

ちなみに海未ちゃんはアレからすぐ風邪をひいて、穂乃果とことりちゃんにお世話された。
甘える海未ちゃん、可愛かったなぁ。

**********


　
母「穂乃果、ちょっといい？」

穂乃果「なぁに？」

母「はい、これ。穂乃果の誕生日プレゼント」

穂乃果「わぁー、ケーキだぁ！」

母「穂乃果の大好きなイチゴのショートケーキよ」

穂乃果「お母さん、ありがとう」

母「いえいえ。それと、お誕生日おめでとうね」

穂乃果「うん！」

雪穂「お姉ちゃんいるー？」

穂乃果「いるよー」

雪穂「はい、これ。誕生日プレゼント」

穂乃果「あっ、ブローチ」

雪穂「お姉ちゃんに似合うかなって思ったんだけど……」

穂乃果「うん。ありがとう。雪穂が選んだんだから、絶対似合うに決まってるって」

雪穂「えへへ、良かった」

穂乃果「雪穂……だぁーいすき！」ｷﾞｭﾂ

雪穂「ちょっ、お姉ちゃん！」



　
雪穂「それじゃあ、ちょっと出かけてくるね」

穂乃果「いってらっしゃーい」

穂乃果（それじゃあ）

穂乃果「いっただきまーす」

　　　「モグモグ……おいしい！」

穂乃果（いやー。やっぱりケーキはイチゴのショートに限るよねぇ）

穂乃果「……」

穂乃果（誕生日、かぁ）


　
ことり『明日は家の用事で』

海未『申し訳ありません』


　
穂乃果（毎年、二人にお祝いして貰ってたのに）

　　　（今年に限って二人とも用事だなんて……ついてないなぁ）

　　　（まっ、こればっかりは仕方ないよね）

穂乃果「……」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

穂乃果（なんか、ひとりだと大好きなケーキも味気ないなぁ）

母「穂乃果ー、お友達よ！」

穂乃果（えっ、お友達？）

　　　（誰だろ？　海未ちゃんとことりちゃんは用事だから……絵里ちゃん達かな）

穂乃果「はーい。今行くー」

◇

　
穂乃果「はーい、いらっしゃ……みんな！」

凛「穂乃果ちゃん、こんにちはー」

花陽「こんにちはです」

穂乃果「どうしたの？」

真姫「どうしたもないでしょ」

希「今日は穂乃果ちゃんの誕生日やん？」

穂乃果「そうだけどみんなに言ったっけ？」

絵里「言ってないわよ」

にこ「だけどね。この二人から聞いたのよ」

穂乃果「えっ？」


海未「こんにちは、穂乃果」

ことり「こんにちは穂乃果ちゃん」

穂乃果「海未ちゃん！　ことりちゃん！」

　　　「えっ、これって……」

海未「８月３日は穂乃果の誕生日だから、みんなでお祝いしましょうと誘ったのです」

穂乃果「よ、用事は？」

ことり「あれは嘘。穂乃果ちゃんを驚かせたくって」

穂乃果「ひ、酷いよぉ」

ことり「ごめんねっ」

海未「まぁ、ちょっとしたサプライズですよ」

にこ「サプライズってねぇ……穂乃果の誕生日を知ったの昨日なんだけど」

絵里「おかげでこっちは焦りまくりよ」

希「プレゼントとか、なんにも決めてなかったし」

海未「す、すいません……」

真姫「まっ、みんなプレゼント買って来たんだし、いいんじゃない？」

凛「そうにゃ、そうにゃ」

花陽「だから穂乃果ちゃん。受け取って下さい」

　
「私達からのプレゼントを」

　
穂乃果（みんな、穂乃果のことを……）

穂乃果「うん……うん……」

海未「ほ、穂乃果。何を泣い……」

にこ「そりゃ嬉しいからに決まってるでしょ」

穂乃果「うん！　嬉しい……嬉しいよ！」

　　　「だから涙が出ちゃ……」

絵里「ほらほら、涙を拭って」

希「主役がそんなんやと盛り上がらないよ」

穂乃果「うん！」

真姫「で、急だったから誕生日ケーキの予約取れなかったんだけど」

花陽「なんとか人数分は見つけたよ」

凛「穂乃果ちゃんのだぁーいすきなイチゴのケーキ！」

穂乃果「ありがとぉ」ﾌﾞﾜｯ

ことり「穂乃果ちゃん、また泣いちゃったよぉ」

海未「ど、どうしましょう」ｱﾀﾌﾀ

凛「真姫ちゃんなんとかするにゃー」

真姫「意味わかんない！？」

にこ・絵里・希「あははははは」



　
私には自分の誕生日を祝ってくれる大切な友達がいる。

いつも三人の誕生日会だったのが、今年は九人と盛り上がった。

みんなみんな、大切な大切な友達。
明日も明後日も……これからもずっと仲良くいたい大切な友達。

８月３日－－

青空が広がる今日という日は私にとって、最高の誕生日になるだろう。



　
「穂乃果（ちゃん）。誕生日、おめでとう」

「ありがとう、みんな！」


　
おしまい

【参考曲】

あしたも▽ともだち（歌：西脇唯）

　
【備考】

ドラえもんＥＤテーマ

以上、おしまい

乙、良かったよ！

幸せや

優しい気持ちになれました