【オリジナル童話】 『おわりの花』 (15)
むかし、ある山おくの村にエリックという少年がいました。
エリックは、やさしいお母さんと、たのもしいお父さんといっしょにしあわせにくらしていました。
山には、ベリーやナッツがみのり、きれいな水がわき、村人はなにもふじゆうのないくらしをしていました。
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ある日、街からえらい人がやってきました。
えらい人は、村の若いおとこたちを街へ連れ帰ってしまいました。
エリックのお父さんは、それっきり帰ってきませんでした。
その年の冬、村にびょうきがはやりました。
エリックのお母さんは、天国へ行ってしまいました。
春になるころ、村にはエリックしか残っていませんでした。
たった一人村にのこされたエリックは、さびしくてしかたがありませんでした。
やがてエリックは、こんなつらいせかいなんて、無くなってしまえばいいと思うようになりました。
ある日、森から魔女がやってきました。
魔女は言いました。
「おまえは、このせかいがきらいなのかい」
エリックはうなずきました。
「じゃあ、おまえにこの種をあげよう。これは“おわりの花の種”。毎日かかさず水をやれば来年の春には、花がさく」
エリックは聞きました。
「花がさいたら、どうなるの?」
「おまえのきらいな、このせかいが“おわる”のさ」
エリックはそれを聞くと、いっしょうけんめい畑を作り、種をうえました。
そして毎日かかさず水をやりました。
秋になり、冬になってもエリックはいっしょうけんめい水をやりました。
雑草が生えたときはぬきました。
冬のある日、みしらぬ少女がエリックに話しかけてきました。
「いつも、いっしょけんめい何をそだてているの」
「花さ」
「わたしもいっしょに、おせわをしていい」
「すきにすれば」
冬がおわり、春になり、花のつぼみがふくらんだころ、少女が言いました。
「わたしの村も、みんな病気で死んでしまったの。あなたがいやでなければ、わたしはこれからずっと、あなたといっしょにお花をそだてて生きていきたいの」
エリックは気づきました。
少女が、エリックにとってだいじな人であることに。
花がさきました。
おわり
乙。無慈悲だな
だが文字通り、自分で蒔いた種なんだよな
これってもしかして、主人公にとってつらい世界が終わった=幸せな世界になった
てこと?
二通りに解釈できるわけか
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