モバP「九天の一番星」 (47)
モバマスSSです。
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こんばんは。
暑いですね。
街中
P「暑いな……」
P(車で来ればよかった…)
P「まぁ、でもアイドルを送る訳じゃないし…悩みどころだよなぁ」
P「都内って駐車代結構掛かるし…」
「いらっしゃいませー。新発売のフローズンドリンクでーす。いかがでしょうかー」
P「……ちょっとなら寄り道してもいいか」
P「入ろう」
カフェ
P「涼しいな」
P「店はこれくらい冷えてると嬉しい」
P「あ、アイスコーヒー一つで」
P「えっと…席は…」キョロキョロ
P(お、あそこが空いてるか)
P「…ふぅ」
P(誰も知り合いもいないだろうしネクタイも取るか)シュル
P「はぁ…」
P「アイスコーヒー美味しいなぁ…」
P(隣の人は…お、なんか美味しそうな感じだ…)
P「……ん?」
「……」
P「えっと……」
「……」サッ
P「肇?」
「ひ、人違いじゃないですか?」
P「あ、そうでしたか。すみません…ちょっと知り合いと似ていたもので…」
肇「…ふふっ」クスクス
P「なんだやっぱり肇か」
肇「なんだってなんですか。肇です。こんにちは。奇遇ですね」
P「奇遇だな。オフだろ?」
肇「だからオフを満喫してたんじゃないですか」
P「確かにそうだな」
肇「ちなみにさっきまで暑さで倒れそうになってるPさんを中で見てました」
P「見世物かなにかか」
肇「住んでる世界が違うように感じました」
P「まぁ、外と中だと天国と地獄くらい差があるかもな」
P「いや、流石に言い過ぎか」
肇「そうですね…」クスクス
P「ま。なんにせよ乾杯」
肇「…はい。乾杯です」
P「しかし肇もこういう所に入るんだな」
肇「意外ですか?」
P「意外って訳じゃないが…」
肇「ちょっと憧れだったんですよ。こういういかにも都会的な感じのところに来るの」
P「地元にないのか?」
肇「ここまで可愛い感じのはないかなぁって」
P「確かにこっちだとよく見るけど…」
肇「ですよね」
P「ってことは、眼鏡と帽子は変装用?」
肇「に、似合いませんかね…?」
P「いや、似合ってると思うよ」
肇「だから声掛けたんですもんね」
P「そういう訳じゃ…」
肇「女の子なら誰でもいいですもんね」
P「そういう風に見えてたのか…」
肇「そんな訳ないじゃないですか。冗談ですよ。冗談」
P「冗談か」
肇「…はい。そんなことする人じゃないって信じてますし」
P「あぁ」
P「ただ、今日の格好はいいと思うよ」
肇「いい?」
P「可愛い感じだな」
肇「可愛い…ですか?」
P「あ、あぁ」
肇「……」
P(えっと…ダメだったか?)
肇「困ります…えっと嬉しくない訳じゃないんですが…困りますます…」ブツブツ
P「おーい」
肇「は、はい」
P「大丈夫か?」
肇「もう平気です」
P「ならいいけど。それじゃ、折角のオフだし邪魔しちゃ悪いな」
肇「あ…」
P「ん?」
肇「えっと…お仕事頑張って下さい」
P「ありがとう。それじゃごゆっくり」
肇「はい」
事務所
P「ただいま戻りました」
ちひろ「あ、おかえりなさい」
P「さっき肇に会いましたよ」
ちひろ「あらそうなんですか」
P「はい。そこのカフェで」
ちひろ「プロデューサーさんもカフェなんて行くんですね」
P「滅多に行かないですけどね」
P「ちひろさんは行きますか?」
ちひろ「そこまで行く訳じゃないですね。コーヒーとかはインスタントで満足できちゃいますし」
P「ですよね」
ちひろ「肇ちゃんがそういうとこに行くのはちょっと意外ですね」
P「まぁ、確かに」
ちひろ「フラッペとか頼むんですかね」
P「さっきはチョコレートのフラッペみたいなのだった気がします」
ちひろ「そうなんですねぇ」
ちひろ「そういえばプロデューサーさん」
P「なんですか?」
ちひろ「最近有給取ってますか?」
P「取ってないですね」
ちひろ「流石に一日二日は取って下さいね」
P「分かりました。落ち着いたら取ります」
ちひろ「お願いしますよー」
P「休みか……」
周子「なに?Pさん休むの?」
杏「杏にそのお休みくれてもいいよ?」
P「お、お疲れ様」
P「いや、どうしたものかなと」
杏「杏なら有意義に使ってあげるのに」
P「どう使うんだ?」
杏「寝る」
P「有意義かそれ」
周子「そう言えばカレンダーに岡山って書いてあったけどロケか何か?」
P「まぁ、そんな感じだな」
周子「肇ちゃんとだっけ」
P「そうそう。流石に一人で行かせるのは怖くてさ」
周子「まだ16歳だもんね」
P「そうだな」
周子「18歳は一人で平気だと思う?」
P「周子なら何歳でも平気だと思うけど」
周子「そういうこと言ってると帰ってこないかもよ?」
P「悪い悪い」
周子「分かればよろしい」
杏「杏は一人にするとずっと家にいるよ」
P「平常運転だな」
杏「有意義だよ」
数日後
肇「おはようございます」
P「おはよう。それじゃ行くか」
肇「はいっ!お願いします」
P「新幹線でいいか」
肇「大丈夫です」
車内
肇「こんな形で地元に帰るとは思いませんでした」
P「そうだな。俺も行くとは思わなかった」
肇「お仕事に感謝ですね」
P「そうだな。折角だから実家に帰るか?」
肇「はい?」
P「いや、折角近くまで行くんだから」
肇「あぁ、そういうことですね」
P「そうそう。そういうこと」
肇「てっきり私の家にPさんが来るのかと思いました」
P「俺が?」
肇「はい」
P「流石に水入らずの場面に割って入るほど野暮じゃないさ」
肇「まぁ、そう言うとは思ってましたけどね」
P「そうか」
肇「はい。折角だから来てくれてもいいですけどね」
P「俺がか?」
肇「はい。大したおもてなしは出来ないかもしれませんけど」
P「考えとくな」
肇「考えておいてください」
肇「ま、まだ帰るかも決めた訳じゃないですけどね」
駅
P「さっ!頑張るか」
肇「そうですね」
ピリリリ
P「あ、ちょっと待っててな」
肇「はい。どうぞ」
P「あ、もしもし――」
P「――了解しました。それじゃ」
P「お、悪い悪い」
肇「……」
P「肇?」
肇「あ、平気ですよ」
P「ならいいけど」
肇「はい」
P「何かあったか?」チラ
肇「いえ、なにかあった訳じゃなくて…久々に地元の空を見た気がして…」
P「やっぱり東京のとは違うか?」
肇「そうですね…なんというか落ち着きます」
P「そうなのか」
肇「はい。あ、別に都会のがどうって訳じゃないんですけどね」
肇「ただ、空が高いなぁ…とは思ったことがありますけど」
P「なるほどなぁ」
肇「こっちの空は手を伸ばせば届きそうです」
P「なにに?」
肇「天にです」
P「詩人だな」
肇「買い被りすぎですよ」
P「そうかな」
肇「そうに決まってます」
現場
肇「今日はよろしくお願いします」ペコリ
P「お願いします」ペコリ
監督「あ、よろしくね。えっと以前した打ち合わせ通りに進めていこうと思うから」
P「はい。了解しました」
肇「はいっ!今私は――」
P(肇、頑張ってるなぁ)
P「俺も頑張らないとなぁ…」
P「しかし、空が近い…か」
P「ずっと東京にいたし分からない感覚だなぁ」
P「さて、出来ることでもするか」カタカタ
肇「Pさんっ!」
P「お、どうした」
肇「休憩いただきました。あとこれお茶です」
P「悪いな」
肇「いえいえ。隣失礼します」ストン
P「撮影順調そうだな」
肇「そうですね。問題ないと思います」
肇「そういえばPさんはこれからどうするんですか?」
P「これから?」
肇「事務所に書いたスケジュールだと確か二日間くらい予定取ってたと思いますけど」
P「流石にトンボ帰り出来るか分からないからな」
肇「宿とかどうするんですか?」
P「そこら辺のホテルにでも」
肇「そうなんですね」
P「さっきも言ったけど肇は実家でもいいと思うぞ。待ち合わせ場所決めれば」
肇「明日って早いんでしたっけ?」
P「そこまでだと思うけど8時くらいには現場かもなぁ」
肇「……あのですね」
P「ん?」
肇「多分、私の家からだと結構朝早い気がします…」
P「そうなのか」
肇「……」プー
P「ん?」
肇「むー…」
P「俺と同じホテルでもいいならいいけど」
肇「はい。大丈夫です。そうしましょう」
P「二人か。じゃあそこら辺の宿取っちゃうか」
肇「我儘言ってすみません」
P「いや、遠いならしょうがない。地理を把握してない俺が悪かった」
肇「いえいえ。そんな」
キューケーオワリマース
肇「あ、行ってきますね」
P「行ってらっしゃい。…さて」
P「あ、もしもし。すみません予約をお願いしたいんですが――」
P「お疲れ様」
肇「お疲れ様でした」
P「とりあえず宿は取ったから荷物置きにいくか」
肇「そうですね」
P「疲れたならそのまま休んでもいいけどどうする?」
肇「折角だったらご飯でも食べたいです」
P「そうか。荷物置いたらロビーに集合で」
肇「分かりました」
ホテル
P「えっと明日の予定は朝から撮影して午後に帰る感じか…」
肇「お待たせしました」
P「お、早いな」
肇「荷物置いてくるだけですから」
P「それじゃ行くか。なにかおすすめの店とかある?」
肇「うーん…そういうのは私苦手でして…」
P「それじゃ、そこらへんのファミレスにでも入るか」
肇「そうですね」
ファミレス
P「決まったか?」
肇「ちょっと待って下さいね」ムー
P「とりあえず呼ぶな」ピンポーン
肇「あ、はい。決めました」
「お呼びでしょうか」
P「あ、はい。えっと…なに?」
肇「え、えっと、ハンバーグで」
P「えっと俺は、これで」
「畏まりました」
肇「ハンバーグって子供っぽいですかね…?」
P「いや、俺も好きだからいいと思うけど」
肇「それは良かったです」ホッ
P「うん。とりあえず今日はお疲れ様」
肇「こちらこそです」
P「この仕事終わったら一日くらい休みあるけど俺と一緒に帰るか?」
肇「そうですね。今回はやっぱり実家に帰らなくてもいいかなって思います」
P「そうか。分かった」
肇「はい」
P「しかしまぁ、あれだな」
肇「はい?」
P「いや、ちょっと入ってきた時の話を思い出してさ」
肇「あぁ懐かしいお話ですね」
P「陶芸の道を継がずに憧れの世界に挑戦します。だっけか?」
肇「他人に言われるとなんというか恥ずかしいですね」ポリポリ
P「いいと思うけど。自分でやりたい!って言う気持ちがストレートに出てて」
肇「単純に頑固なだけだと思いますけど…」
P「意外に譲らない所あるよな」
肇「すみません…」
P「そっちの方が俺はいいと思うけどな。何というか芯があって。別に意固地じゃなくて納得出来なかったら色々聞いてきたりするしな」
肇「そりゃ、間違ってることは直さないとですし」
P「流石だな」
肇「誰かさんに感化されてますね」
P「誰か?」
肇「えぇ。誰かです」チラッ
P「そうか」ポリポリ
P「自分の描いたアイドル像には少しは近づけたか?」
肇「それも誰かに言われると恥ずかしいですね…」
肇「ただ、少しは近づいてきていると思いますよ」
肇「私はそこまで歩くのが早い方ではありませんけど」
肇「これからもお願いしますね」
P「こちらこそ」
肇「それに事務所に入る前にイメージしてたアイドルってお仕事は想像していたものよりもっともっと楽しかったです」
P「それは良かった」
肇「お仕事もそうですが、事務所に恵まれたのだと想います」ニコ
P「ちひろさんにも言っておくな」
肇「恥ずかしいのであんまり言いふらさないで下さいね」
P「いただきます」
肇「いただきます」
P「ハンバーグもやっぱり美味しそうだな」
肇「食べますか?」
P「いや、流石に悪いからいいよ」
肇「そうですか」
P「悪いな。ありがとう」
肇「別に私は何もしてませんから」
P「まぁ確かにそうだけど」
P「ごちそうさまでした」
肇「ごちそうさまでした」
P「さ、明日も早いしホテル戻るか?」
肇「うーん…ちょっと我儘を言ってもいいですか?」
P「ん?」
P「ちょっと散歩したいなんてな」
肇「折角こっちに来たんで星とか見たいじゃないですか」
P「まぁ、向こうじゃあんまり見えないからな」
肇「そうですよね」
P「あぁ、俺も久々に見た」
肇「星は好きですか?」
P「綺麗だし、ロマンチックだから結構好きだな」
肇「私も同じです」
肇「比較する訳じゃないんですが」
P「ん?」
肇「やっぱり同じ夜でも見え方が違いますね」
肇「どこか優しい気がします。この夜は」
P「独特な表現だな」
肇「そうですかね?」
P「あぁ。ただ、さっきも言っていたようにこっちは天が近いな」
肇「天が近いということは目標までも近いってことですよね」
肇「もしかしたら目標が低いということですかね」
P「さぁな」
肇「ここにいた私は、アイドルの世界に入ることが夢でした」
肇「都会に行ってからはそこで一番になることが、自分の理想のアイドルになることが目標です」
肇「その空はここよりも全然高いものでした」
肇「そういうことなんでしょうか?」
P「そうかもしれないな。俺も出来ることは手伝うぞ」
肇「そうですか。ありがとうございます。きっと私の夢はPさんと一緒じゃないと叶えらないことです」
P「そうなのか」
肇「えぇ…星にしてください。夜空に鮮明に浮かぶ」
P「星か?」
肇「はい。遥か遠くの地球まで光を届けることが出来る一番星に」
P「やれるだけのことはしよう」
肇「その為にはまずもっとお互いを知りあわないとですね」フフ
肇「知り合えば知り合うほど私の魅力を引き出してくれるかもしれませんし」
肇「これからもアイドルとしての幅を増やす為に一つよろしくお願いしますね」
翌日
P「おはよう」
肇「おはよう…ございます」
P「眠いか」
肇「流石に眠いですね…」
P「今日も頑張るぞ」
肇「そうですね。シャキッとします」
P「流石だ」
ロケ地
肇「それじゃ頑張ってきますね!」
P「あぁ、頑張ってな」
P「一番星か…俺も頑張らないとな」
ピリリリ
P「はい。もしもし、あ、お世話になっております――」
P「――ということですので、はい。よろしくお願いします」
P「…ふぅ」
P「やっぱりこっちは向こうより雰囲気がゆったりしてる気がするな。いい気分転換になる」
肇「お疲れ様です。なんかいいことでもありましたか?」
P「お疲れ様。いや、なんとなく雰囲気が気に入ってさ」
肇「雰囲気ですか?」
P「ここの雰囲気な」
肇「でしたら…また、今度機会を作って…」ゴニョゴニョ
P「そうだな。悪くない」
肇「その時は田んぼに行ったりとか川で釣りとかしませんか?」
P「どっちも子供の頃にしたきりだからなぁ…出来るかな?」
肇「私が教えますから…!」
P「まぁ、それならいいか」
肇「はい。いいと思います」
肇「~~♪」
P「やけに上機嫌だな」
肇「自分の故郷を気に入ったって言って貰って嬉しくない人はいないと思いますよ」
P「まぁ、確かにな」
肇「また来れることを期待してます」
P「そうだな」
肇「昨日、今日で色々地元の方と触れ合うことが出来てとても充実した二日でした」
P「それは良かった」
肇「はい。いつかPさんとも実りある日々を過ごせたら。と思います」
P「そうだな。とりあえず帰るか」
肇「そうですね。また来ましょうね」
車内
肇「……」スゥ
P「…お疲れ様」
P(まだ16歳だもんな…)
P「これからも頼むな」
肇「ふにゃ…?」パチリ
P「あ、悪い起こしちゃったか」
肇「んふふー」
肇「Pさん…?」
肇「Pさんはね、私の…大切な…ぷろ、でゅーさーだから…」
肇「ずっと……」
P「肇?」
肇「…すぅ」
P「寝ぼけてたのか」
肇「…私寝てましたか」
P「寝てたな」
肇「夢を見た気がするんです」
P「夢?」
肇「Pさんに会ってる夢です」
肇「結構恥ずかしいことを言ってた気がします…」
P「気のせいだろ?」
肇「そうですかね…」
P「そうだと思うぞ」
肇「ならいいですけど…あ、もうこんな所まで来たんですね」
P「結構しっかり寝てたからな」
肇「寝顔見られるのは少し恥ずかしいですね」
P「それだけ疲れてたんだろ」
肇「そうだとしても…恥ずかしいものは恥ずかしいです」
駅
P「俺は事務所に戻るけど肇は帰るか?」
肇「折角だから顔を出そうかなと思います。お土産も買ってきましたし」
P「了解」
肇「Pさんはお土産何買いましたか?」
P「皆でつまめるお菓子だな。個包装の」
肇「あ、いいですね」
P「肇は?」
肇「私も似たようなものですね」
P「杏に飴でも買ってやろうかと思って桃太郎飴とかないか探したけど見つけられなかった」
肇「なんかありそうなのに」
P「それくらいかな」
肇「そうなんですね」
P「誰か個人向けに買ったりはしてないのか?」
肇「そうですね。特には」
P「しかし、日延びたよなぁ」
肇「そうですね。まだ明るいですもんね」
P「七時くらいかな暗くなるの」
肇「それくらいかと」
P「まだまだだな」
肇「そうですね。夕焼けが長く見ることが出来て嬉しいです」
P「好きなのか?」
肇「どこが好きって訳じゃないですけどね。なんだか雰囲気が好きです」
P「ちょっとだけ分かる気がする」
事務所
P「ただいま戻りましたー」
肇「戻りましたー」
ちひろ「おかえりなさい」
杏「お土産とかある?」
P「ほれ」
杏「流石だね」
肇「あ、これ私が買ってきたおみやげです」
ちひろ「ありがとうございますー」
P「他の連中はレッスンですか?」
ちひろ「だと思いますよ」
P「杏は?」
杏「杏はきゅーけー中」
P「ならいいが」
杏「流石に皆いるから簡単にはサボれないよね」
P「まぁ、そうかもな」
杏「そうなのだ」
P「誘ってくれる内が華だよな」
杏「流石にそこらへんはしっかりやるつもりだよ」
P「まぁ、最悪俺が引っ張ってくけどな」
杏「……」チラ
P「どうした?」
杏「別に。特になんでもないよ。あーもー杏は寝るから事務所閉める時に起こして」ボフッ
P「分かった」
肇「何かお手伝いすることはありますか?」
P「ん?大丈夫だよ」
肇「そうですか」
P「疲れてはいないのか?」
肇「新幹線の中で寝たんで大丈夫です」
P「ならいいけど」
肇「ありがとうございます」
事務所
ちひろ「そろそろ帰りますか」
P「そうですね。杏起こしてきます」
肇「あ、私行ってきますね」
P「お、悪い」
肇「いえいえ」バタン
ちひろ「肇ちゃん結局最後までいましたね」
P「まぁ、事務所にいたかったんじゃないですかね」
ちひろ「プロデューサーさんはそういう気分になることありますか?」
P「出来るなら早く帰りたい気もしますけど、誰かいるなら一緒に帰ろうかなぁと思いますね」
ちひろ「確かに私もプロデューサーさんも杏ちゃんも最後までいましたもんね」
P「ってことかなと思いますけど」
ちひろ「ちゃんと送っていってくださいよ?」
P「分かってますって」
ちひろ「ならいいですけど」
P「ちひろさんも送っていきましょうか?」
ちひろ「いいんですか?」
P「えぇ、近くまでなら」
ちひろ「それじゃ、お願いしますね」
車内
杏「気づいたら外が暗かったよ」
P「結構寝てたよな」
杏「空調が気持ちいいからね。肇が起こしてくれなかったら朝まで寝てたかも」
P「流石に俺が起こすぞ」
ちひろ「アイドルが事務所に泊まっちゃだめですから」
杏「分かってるってー」
肇「あはは…」
P「肇はこうはなっちゃダメだぞ」
杏「ダメだぞ。杏が二人になったらPさんが過労で倒れる」
P「自覚あるのか…」
杏「まぁね」
肇「私は…こうはなれないと思います」アハハ
P「あはは」
ちひろ「あ、私、この駅で大丈夫です」
P「分かりました」
ちひろ「すみません。私まで送って貰って」
P「いえいえ。お気になさらず」
杏「また明日ー」
肇「お疲れ様です」
*
杏「あ、それじゃここで」
肇「私もここで。ありがとうございました」
P「あぁ、二人共お疲れ様」
P「さて、俺も…帰るか」
コンコン
P「……ん?」
肇「もしもし…」
P「どうかしたか?忘れ物?」
肇「いえ、そういう訳じゃなくてですね」
P「うん?」
肇「今少しだけ時間ありますか?」
P「少しなら」
肇「それだったらちょっとお時間を頂けたらと思うんですけど」
P「いいけど…」
夜道
肇「すみません。お疲れなのに」
P「それは大丈夫だけど、急にどうしたんだ?」
肇「いえ、ちょっと夜道を歩きたいなって」
P「こっちの空は星はあんまりよく見えないぞ?」
肇「一等星は見えますね」
P「そら一番目立つ星たちだからな」
肇「ですね」
P「普段は散歩とかするのか?」
肇「夜はあんまり…」
P「なるほどな」
肇「でも、静かで好きです。夜は」
P「そうだな。なんとなく昼とは違う」
肇「はい」
肇「…あ」ピタ
P「ん?」
肇「あ、いや、大したことじゃないんですけど」スッ
P「お、葉桜か」
肇「つい最近まで綺麗な花弁が舞ってた気がしますけど時が経つのは早いですね」
P「言われてみればそうだな」
肇「桜は儚く散るから綺麗なんでしょうか」
P「どうだろうな?」
肇「Pさんはどう思いますか?枯れない桜があったとしたら」
P「枯れない桜?」
肇「えぇ。枯れない桜。常に花弁をつけている桜です」
P「幻想的だな。それもそれでいいと思う」
肇「ふふっ、そうですか」
P「どういう意図があったんだ…?」
肇「深い意味はないですよ。ただ、私の夢が一つ増えただけです」
P「夢が?」
肇「…枯れない桜になりたいです」
肇「いつでもどんな時でもステージ立ち続けて美しく輝きたいです」
肇「こんな夢…笑っちゃいますか?」
P「そんなことはないさ」
肇「Pさんならきっとそう言ってくれると思ってました」ニコ
P「頑張ろうな」
肇「そろそろ引き返しましょうか」
P「そうだな。あんまり遅くなってもあれだし」
肇「はい。ありがとうございます」
肇「さっきの話ですけどちょっと不安でした」
P「不安?」
肇「もし、儚い方がいいと言われたらちょっとだけ嫉妬してしまいます」
P「嫉妬?」
肇「はい。私も桜と同じように人のPさんの心を奪いたいです」
P「えっ」
肇「えっ、あ、アイドルとしてですからねっ」アセアセ
P「そ、そうか」
肇「も、勿論ですっ!そこの自覚はあります」
肇(…多分)
肇「わざわざ、私の我儘に付き合って頂いてありがとうございました」ペコリ
P「いやいや、気にしなくていいぞ」
肇「月とPさんしか見ていませんでしたから色々話してしまいましたが、言葉に嘘偽りはありません」
P「分かった。俺も頑張るからな」
肇「はい。こちらこそお願いしますね」
肇「あ、そう言えば…」
P「どうした?」
肇「地元に来てくれる話忘れないで下さいよ」
P「それは構わないが、田植えはともかく釣りなんて上手く出来る気がしないけどな」
肇「私が頑張って教えますから」アハハ
肇「それにPさんは意外とお上手だと思いますよ?」
P「素質がありそうか?」
肇「えぇ。だって、私はいつも釣られてしまいますから」
肇「Pさんが垂らす餌に」ニコッ
P「えっ…」
肇「楽しみにしてますねっ♪」
終わりです。
読んで下さった方ありがとうございました。
藤原肇のカードにもあります『九天の玄女』は中国の神様のことを表している言葉だそうですね。
戦術と兵法を司る神様で水滸伝とかに出ていたりします。
ちなみに九天とは天に一番近いことを表す言葉だそうです。
失礼いたしました。
乙乙!
相変わらず味のある会話よ
いつか地の文がついたらいいのう
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