時子「豚と」亜里沙「ウサコと」モバP「ブライダル」 (35)

――ブライダル。

時子「ブライダル……か」

亜里沙「時子ちゃんも着たい?」

時子「ちゃんは辞めなさい」

時子「フン、私に必要な者は、私を讃える下僕よ」

亜里沙「つまり、かかあ天下ってやつね」

時子「は?」

P「時子お母様」スッ

時子「急に近寄るな豚ァ!」

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P「お気に召しませんでしたか」

時子「貴方、もう少しゆっくり近づいてきなさいよ」

P「かしこまりました。それでは、お仕事ですが」

亜里沙「あっ、もしかしてブライダル?」

P「いえ、エプロンの……」

時子「だから、私にあった仕事を持って来なさいと言っているでしょう!」ビシッ

P「ありがとうございます!」

時子(眉一つ動かしてない……)

P「いえ、エプロンで料理をつくるぞ、『父の日感謝デー』イベントに」

亜里沙「まあ」

時子「いや、あのね?」

P「時子様の料理の腕前と、対象となるお子さんの対応が得意な亜里沙さんを見込んでのイベントですが」

亜里沙「あらぁ、お父さんイベントってそういうことですか」

時子「フン、私の料理に目をつけたことは評価に値するわ」

P「ありがとうございます」

時子「褒めてないわよ!」

時子「けど、分かっているでしょう? 私に似合うのはそんなほんわかした雰囲気のイベントではなくて」

P「お二人のお父さんからもメッセージを預かっております」

時子「!?!?!?!?」

亜里沙「やだ、恥ずかしい~」

時子「ちょちょちょ、ま」

P「カチ 『時子……親不孝な地下の仕事をしているのかと思っていたら』」

時子「あああああああああ!!!!」ビシイッ

P「ありがとうございますッ!」

時子「褒めてない!」

亜里沙「続きはステージで!」

時子「流さない!!」

P「コンセプトは『お父さん、今までどうもありがとう』」

亜里沙「あっ、もしかしてブライダルフェアも兼ねて?」

時子「」

――ドレス。

時子「し、死ぬほど疲れた」

亜里沙「時子ちゃん」

時子「ちゃんは辞めなさい」

亜里沙「お疲れ様、父の日楽しかったですねぇ」

亜里沙「小学生のアイドル達の肩たたき券と時子ちゃんの豚料理でお父さんを労う感動のステージ……」ジーン

時子「……」

時子「……そういえば、別会場で亜里沙はウェディング着たのよね?」

亜里沙「えっ、あっ、はぁ、いえ」ガタタン

時子「どうしたのよ」ニヤリ

時子「なぁに、着たんでしょ?」

亜里沙「こ、今回は最初から企画で選出が決まってたしぃ~」

亜里沙「せ、先生は呼ばれてなかったからぁ、子どもたちのところで別のお仕事を」

時子「ははぁん、ウェディングで婚期が遅れるのを気にしたわけね」

亜里沙「!」

時子「貴女もそういうジンクスを信じる人?」

亜里沙「せ、先生は、相手もいないし」

時子「ふっ、アイドルとして活躍していれば男と会う機会も増えるでしょう」

亜里沙「……。はい、この話題禁止ー! ウサコバリアー!」ダッ

時子「ちょっ、待ちなさい!」

時子「確か今回は大人枠があったわよねぇ!?」

時子「その選出に手を挙げれば良かったんじゃないの?」

亜里沙「せ、先生はぁ、まだ小娘だからぁ~」

時子「それとも気になる相手の前で着るのが怖かったってわけ?」

亜里沙「え、気になる相手?」

時子「あの、アレよ、あいつ、プロデューサー」

亜里沙「あっ、それはないない」

時子「え……」

亜里沙「ありえないウサ!」

亜里沙「正直、お仕事のパートナーと人生のパートナーは別物っていうか」

亜里沙「的確にウサコ用の端布を探してきてくれるのはいいけども」

亜里沙「あの人、子ども苦手らしいのよぉ」

亜里沙「先生子ども好きなのに、そういうところで合わないとちょっとキツイでしょ?」

亜里沙「それになんか時子ちゃんの相手の仕方とか見ていると陰湿そうで」ハハハ

時子「貴女、陰湿そうだと思いながら加担してたわけ?」

亜里沙「はっ」

……お仕置きされました。

――男性のタイプ。

亜里沙「うう、お尻からいろんなものが漏れちゃいそうウサ……」

時子「そんなに強くはやってないでしょう」

亜里沙「強弱じゃないウサ」

時子「で、どんな男ならいいのよ」

亜里沙「う~ん、やっぱり、優しくて、子どもが好きで」

時子「フン」

亜里沙「背が高くて力持ちで、イケメンで高収入な男性がいいウサねぇ」

時子「……現金過ぎて何も言えないわね」

亜里沙「ついでに言うと、性欲強そうで大家族作れそうな人がいいウサ」

時子「そういうのサラっと言うのやめてくれる?」

亜里沙「そういう時子ちゃんは」

時子「前に言ったでしょう」

時子「私はパートナーなど必要としないわ」

時子「私に身も心も命も捧げられる下僕を欲しているだけよ」

亜里沙「……」

亜里沙「つまり、自分にメロンメロンでイチャイチャラブラブ出来る人がいいウサ?」

時子「ブホッ」

時子「ど、どうしてそうなるのよっ」

亜里沙「だって自分の要求になんでも応えてくれる人ってことでしょう?」

亜里沙「別に年収とか容姿とか性格じゃなくって~」

時子「あのね!」

亜里沙「徹底して自分に尽くしてくれてるオトコの人が」

P「お呼びになりましたか」スタッ

時子「呼んでないわよ!」

P「失礼いたしました」サッ


時子「そういや、あの男は言うほど尽くしてないわね……」

亜里沙「でしょう!?」

その後、ひとしきり男の悪口で盛り上がる21歳の会。

――式。

亜里沙「ああ~、でもウェディングのイベント綺麗でしたねぇ~」

時子「フン」

亜里沙「やっぱり先生は、ゆかりちゃんみたいなピンク色のドレスがいいなぁ~」

時子「やっぱり願望があるんじゃない」

亜里沙「えへへ……」

亜里沙「実はPくんが『亜里沙さんのバースデーの夏に向けてドレス風衣装を』って言っててね」

時子「へぇ、サマードレスってわけ」

亜里沙「まあ、ちょっと、嬉しい、かな?」

亜里沙「時子ちゃんはどういうのがいい?」

亜里沙「ほら、カタログもあるし~」パラパラ

時子「フン、まあ、私には必要ないけれども」

時子「黒、赤系のクイーンな衣装はずいぶん着たし、イメージとしては外したくはないわね」

時子「つまり、お色直しで情熱の赤を披露するというわけよ」

亜里沙「ほほう、純白の式から一転、バラの花が舞うステージへと」

時子「あーっはっはっは! 分かってるじゃない!」


P(なるほど……)メモメモ

時子「そして、私の晴れ舞台にふさわしく、豚どもに全力で肉汁滴るフルコースを振る舞ってあげるわ!」

亜里沙「花嫁自ら宴席料理を……!」

時子「その通りよ!」

時子「視覚、嗅覚、味覚を私が支配する、そして聴覚……アイドルとして、歌も外さない……!」

亜里沙「となると最後に」

時子「フフフ、触覚の支配よ。席を回って、ドレスに触れることを許すわ」

亜里沙「バンザーイ!! バンザーイ!!」

時子「完璧ね」


P(全体のプランまで考えているんですねっと……)メモメモ

時子「さ、さあ、亜里沙ももう少し考えているでしょう」

時子「式で、どうやって下僕どもを支配するのか……!」

亜里沙「えっ、さすがにそこまでは考えていないわ」

時子「え」

亜里沙「ドレスは着たいけどどんな式にするとかまでは……」

亜里沙「まあ時子ちゃんが結婚願望が強いことは分かったウサ」

時子「……」

亜里沙「後でPくんに」

時子「ああああああああああ!!!!!!」

亜里沙「……」

時子「はい、紙とペン」

亜里沙「分かったウサ」

亜里沙「えーと、やっぱりみんな赤ちゃんを産んだりして、子どもたちが会場にやってくることも考えて」

亜里沙「式自体は普通にやるとしても、子ども達も楽しめる披露宴を作るウサ!」

亜里沙「まず会場におっきなバルーンを用意して、そこで遊べるウサ!」

時子「フン」

亜里沙「ウサコ型のバルーンで股間から入るやつ」

時子「なぜわざわざ股間の話を付け加えたのよ?」

亜里沙「それから騒いでも気にならないように、自由に移動できて」

亜里沙「食べ物も全部手づかみできるものにするウサ!」

亜里沙「お菓子もつかみどりが出来て――」

時子「待ちなさい」

亜里沙「はい?」

時子「まずコンセプトを提案しなさい、コンセプトを」

亜里沙「結婚式のプレゼンなんて聞いたことがないウサ……」


P(ふむ、おにぎり、サンドイッチと……立食で動きやすいように……)メモメモ

サービス精神旺盛っすね時子様

亜里沙「じゃーん! 子どもたちが楽しめる、おうたとダンスを取り入れたまったく新しい披露宴ウサー!」

亜里沙「お色直しは3種類の着ぐるみに、新郎が体操のお兄さん風に変身してみんなをリード!」

時子「……この衣装の量は?」

亜里沙「みんなビシッとキメすぎてくるに違いないウサ! ジャージを全員分用意するの」

亜里沙「式が終わったらのびのびフットサルとブーケトスが出来るように!」

時子「なんか最後に胴上げしそうね」

亜里沙「それはいいアイデアね!」

時子(アルコールで酔っ払って吐きそうな気がする)


P(吐くな、これ。いや吐いたわ、これ)メモメモ

亜里沙「と、と、というわけウサ」

時子「フン。ま、いいでしょう」

時子「わかったわね、アイドルは人生のすべてがステージになるのよ」

時子「常にどんな場面でも、アイデアを温めておく必要があるということね」

亜里沙「……とかなんとか言って、時子ちゃんが結婚願望が強いのは変わらないウサ」

時子「アァン!?」

亜里沙「何も言ってません」プイッ

P「私もまだあまり聞けておりませんね」スーッ

時子「……」

亜里沙「……」

時子「貴方、何しているの」

P「急に近寄るなとのご命令通り、ゆっくり気配を悟られないように近寄らせていただきました」

時子「……」

亜里沙「えっと、じゃあ、その、話を聞いて……」

P「今までのところはとりあえず」

P「それで、時子様と亜里沙さんの結婚式の日取りですが」

グイ。

P「おふたりとも」

P「というわけで、歌う花嫁シリーズと走る花嫁シリーズが次回のウェディング案です」

ちひろ「その顔の傷は突っ込んだ方がいいんでしょうか」

P「大丈夫です」

P「それぞれシリーズでは、すでにウェディングを着た日野茜さんなど」

P「イメージにふさわしい花嫁をチョイスしてガチャオーディションを」

ちひろ「なぜか、赤とピンクの花嫁が決まっているようですが」

P「ネジ込みます」

ちひろ「本人たちは否定しているそうですが」

P「私が責任取ります」

ちひろ「それはどういう意味で」

私の中では亜里沙さんと時子様はこんな感じデス!
以下小ネタ。

――うまドル。

亜里沙「最近、智絵里ちゃんがバラエティの仕事が多くて大変って言ってたわ」

P「そうでしょうか」

亜里沙「もう、人に合わせたプロデュースをしなくちゃダメでしょう?」

P「そうですね……」

P「では、先生はブライダルフェアと馬とどっちをやりたいんです?」

亜里沙「おうまさん!」

――時子様は意外とジャンプとチャンピオン読んでそう。

時子「あーっはっはっは!」ビシィ!

亜里沙「Pくん……! 背中がボロボロじゃない」

時子「ふっ、自分で望んだことでしょう?」

P「う、うう」バッ

亜里沙「まだやるの!?」

P「背中の傷は、ドMの誇りだ」

時子「見事」ビシーッ

亜里沙「Pくー―――ん!!」

――芸名。

P「……」カキカキ

ちひろ「なにしてるんですか?」

P「いえ、こないだ亜里沙さんにうさみみがついたでしょう」


×バニー亜里沙 → △バニサ ◯バニラ


ちひろ「……ついたので、なんですか?」

P「芸名変更を」

ちひろ「余計なことはしなくていいです」


亜里沙「(亜空間にバラまいてやるウサ!)」

――4月18日。

P「誕生日プレゼントでございます」

時子「フン」ガサゴソ

時子「……帽子?」

P「左様で」

時子「……」

時子「ポークパイハットって別に豚は関係ないわよ」

P「では亜里沙さん、豚の被り物を」

亜里沙「心得たウサ!」サッ

時子「貴方たちバカなの!?」

――プリン。

ちひろ「もらいものですー」

P「食べましょう」

亜里沙「わーいウサ!(手を洗ってから食べましょうねぇ)」

亜里沙「あっ、賞味期限ギリギリ」

ちひろ「……そういえば、時子さんが風邪でお休みでしたね」

P「トキ子……病んでさえいなければ」

ちひろ「ぶふーっ」


ちひろ「ちょっと、これ読んでもらえませんか?」

時子「アァン」? ……『せめて痛みを知らずに安らかに死ぬがよい』?」

時子「私、痛みを与える方だけど」

ちひろ「ブフウッ」

――ファッション。

時子「亜里沙、買い物に付き合いなさい」

亜里沙「いいですけど、どうしたの?」

時子「貴女のファッションセンスを鍛えなおしてと言われたのよ」

亜里沙「はあ」

時子「普段着で来てイイって言ったら、ジャージにエプロンで来たそうね」

亜里沙「ふ、普段着だから」

時子「少し苦言されたらダッサイ綿パンで来たそうね」

亜里沙「ほ、他に持ってなかったから」

時子「シャーッ!」

亜里沙「きゃ~!」

――談義。

愛海「だからぁっ! 二人分のおっぱいがあるでしょ!?」

愛海「大きいのとちっさいの! そのどっちを揉むかって話を聞いてるの!!」

P「棟方さん。私はプロデューサーです」

P「もちろん、揉まずにスカウトできるか見極めるにきまっているでしょう」

愛海「があああああ!!!」

P「いいですか? 貴女のおっしゃるように、大きい派と小さい派がいるとしてね」

P「それ以前に、保存派、鑑賞派、布教派がいてもおかしくないでしょう」

P「私は布教を行うだけに過ぎません」

愛海「誰であれ揉むでしょ、揉めるなら!?」

P「ははは、触れれば指紋がつくのと同様、揉めば細胞が傷つくのですよ」

愛海「訳分かんないよおおおおおこの人おおおおおおお!!!」

――トレード。

P「100万マニーで成立しました」

「……はい」

P「私のプロダクションに、あなたは要りません」

「……っ!」

P「次の職場で頑張りなさい」

ダッ


ちひろ「……どうしてあんな厳しい言葉をかけるんです?」

P「親愛度が残っていると、次の職場でやりづらいでしょう」

P「まあ、私が築く信頼なんて脆いものだということでもありますね」ハハハ

ちひろ「バカですねぇ」

P「プロデューサー辞めたら地獄に落ちそうですわ」

――耐久値とかあったら。

ちひろ「Pさん、大変です!」

P「どうしました」

ちひろ「連続ライブ243回目でとうとう未央ちゃんが限界に達しました!」

P「エナチャでも限界が来たか……」

P「分かりました、至急救急車の手配を頼みます」

ちひろ「はい!」

P「私はフロントメンバーの再編成にかかります」

P「ええと、攻撃値からすると……今井さんですか」

加奈「は、はいっ」

P「ここにエナチャが3ケース分あります、あとは分かりますね?」

加奈「さ、30回ライブ……ですね?」

P「はい」ニッコリ

P「……申し訳ありません、とりあえず一人補充します」

時子「ゼェゼェ、コ、コンボが切れるわよ」

亜里沙「はぁはぁ、大丈夫なの!? 未央ちゃんは」

P「ええ、今ちひろさんが医務室へ」

P「救急車の手配も済みました」

亜里沙「そう、良かったわ」

P「今井さんが入ります、リーダー、行けますね? フロントのみなさんも」

亜里沙「もっちろん! サバイバルで何回腹パンされたと思っているんだか!」

時子「早くドリンク寄越しなさい!」

P「よろしくお願いします!!」

亜里沙「行きますよぉ! こんな短時間なんてヘーキウサよ!!」

『おー!!!』

フェスおつかれさまでした。次のイベントもどうぞ頑張ってください。

おつおつ

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