モバP「反対になったアイドルたち」 (39)


・キャラ崩壊、コレジャナイ感多めです

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P「ん……」

P「んぅ……くぅ……」

茜「プロデューサー!!!」ユサユサ

P「ぐぅ……」

茜「起きてください。プロデューサー!!!!」ユサユサ

P「ん……んぅ……」

茜「プロデューサー。起きてくださいってば!!!!!」ペチペチ

茜「こんなところで寝てちゃだめですよ!!! ほらウェイクアーップ!!!!」

P「……ん……ふぁ……」

P「あぁ……うぅ……ふぅ」ゴシゴシ

茜「起きましたか!!!???」

P「ああ……うん」

P「悪い……寝てたのか、俺」

茜「はい、それはもうぐっすりと!!!!」

P「そっか」

P「起こしてくれてありがとう、茜」

茜「いえいえ!!!」

茜「起こしちゃ悪いかな……って、ちょっと思ったんですけど」

P「いや、助かったよ」

P「最近寝不足気味だったから、つい落ちちゃったんだろうな」

茜「最近あまり寝てないんですか!?」

P「まあ、いろいろ忙しくてな」

茜「そうですか……」

茜「無理はしないでくださいね、プロデューサー!」

P「ああ、それはもちろん」

P「しかし、最近夜更かししてるせいか、早めに寝ようとしてもなかなか寝付けないんだよな」

茜「なんと!!!」

茜「だめですよ、プロデューサー! 早寝早起きは大事です!」

P「それもそうなんだけど……」

茜「でも忙しい……ってことですね」

P「ああ」

P「……茜はぐっすり眠るときってどうしてる?」

茜「どう……?」

P「ほら、良く眠るためにホットミルクを飲むとか、そういった工夫ってあるだろ?」

P「茜は何かそういうことしてないのかなって」

茜「むむむ……そうですね……」

茜「むむむむむ……!!」

P「……いや、特にないならないでいいんだ」

P「あるなら参考にしようと思っただけだから」

茜「特にない……ない、ですけど!」

茜「でも、酷使した後は良く眠れますね!!!」

P「酷使?」

茜「はい!!」

茜「悲鳴を上げるまで、限界を迎えるまで、全力で動かすんです!!!」

茜「それで、もう限界ってなった後に布団に入るとぐっすりすやすやです!!!」

P「……なるほど、茜らしいな」

P「しかし、酷使か……確かに最近あまり動かしてなかったからな」

P「そうだな……寝る前にちょっと動かしてみるか」

茜「はい!!!」

P「体を」

茜「えっ!?」

P「えっ!?」

茜「体を動かすんですかプロデューサー!?」

P「え、いや、そのつもりだけど」

茜「なんでですか!?」

P「いや、だって今の話ってそういう話だよな?」

茜「違いますよ!!!! ぜんっぜんちがいますっ!!!!!」

P「えぇ!?」

P「だって、酷使するって言ったよな、今!?」

茜「言いましたけど、使うのは体じゃないです!!!」

茜「使うのは頭!!!! 動かすのは脳!!!!!」

茜「寝る前に頭が拒否反応を起こすぐらい全力で脳をフル稼働するんです!!!!!」

P「そっちか!」

茜「こっちです!!」

P「なるほど!」

P「……まあ、確かに難しい本とか読んでると眠くなるしな」

茜「そんな感じです!!!」

P「試してみる価値はあるかもしれないな……」

P「……でも、珍しいな」

茜「何がですか!?」

P「そんな言葉が茜から出るなんて」

茜「……プロデューサー?」ジト

P「あ、いや、違う、馬鹿にしてるんじゃなくて!」

茜「心外です!! プロデューサーひどいです!!!」

P「いや、悪かった。今のは言い方が悪かった」

P「なんていうか、茜といったらまず体を動かすっていうイメージがついていたもんだから」

茜「プロデューサー!!!!!」

P「いや、悪かった、本当に悪か――」

茜「私にそんなイメージがついているってどういうことですか!!!!!」

P「――った?」

茜「私プロデューサーの前でそんな姿一回も見せたことないのに!!!!」

茜「ひどくないですか!? ひどくないですか!!?? ひどくないですか!!!???」

P「え、いや、ちょっと待って」

P「一回も見せたことないってどういうこと?」

茜「そのままですよ!!!」

茜「私はプロデューサーの前で運動バカみたいに思われるような行動は一切してないですっ!!!!」

P「いやいや!」

P「だって、ほら、いつも走ってるじゃないか!」

茜「走るのなんて遅刻しそうな時か授業くらいです!!!」

P「いやいやいや!」

P「ほら、だってラグビー観戦が好きだって」

茜「見るのとやるのは別です!!!」

P「いつも『トラーーーーーーーイ』って言って突っ走ってたじゃないか!」

茜「……家庭教師のことですか?」

P「違う!」

P「あれ、おかしい、絶対おかしいぞこれ!?」

茜「何がおかしいって言うんですか!」

茜「プロデューサー……私のことぜんぜん見てくれてなかったんですね……」

P「いや、そうじゃなくて」

P「だって、いつもの茜は――」

茜「また!」

茜「また、いつもって!!」

茜「私はいつもそうして生きていたのに!!!」

P「だから、いや、えっと、なんていうのかな……」

P「いつものっていうのは――」

晶葉「……うるさいぞ二人とも」ガチャ

晶葉「廊下にまで響いている、もう少し声量を落としてくれ」

茜「あ、晶葉ちゃん!!! ひどいんです! プロデューサーが……プロデューサーが!!!」

P「ちょうどいいところにきてくれた、晶葉! ちょっと確認したいことが……」

晶葉「ええい、うるさい!」

晶葉「二人同時にしゃべるな!」

晶葉「とりあえず、落ち着け! 落ち着いて声量を落とせ!」

晶葉「落ち着いたか?」

P「ああ、落ち着いた」

茜「……はい」

晶葉「そうか」

晶葉「それで……まあ助手たち二人の声は廊下まで聞こえていた」

晶葉「だから、二人が私に何を聞きたいかもわかっている」

晶葉「その上で言わせてもらおう」

P「……」

茜「……」

晶葉「……助手よ」

晶葉「私も少しばかり、君に失望した」

P「」

茜「で、ですよねっ、晶葉ちゃん! プロデューサーってば!!!」

晶葉「静かに!」

茜「……」シュン…

晶葉「茜は彼女自身が言うように事務所では……いや、君の前では聡明な面しか見せて来なかったはずだ」

晶葉「少なくとも、私が茜を見る時、彼女は談笑するか、勉学に励んでいたな」

P「……」

晶葉「……信じられない、って顔をしてるな」

茜「……」ムー

晶葉「だが事実だ」

晶葉「彼女は常にそのように過ごし……そして、時には君の助けもしていた」

晶葉「だというのに」

晶葉「君は……君はいったい何を見ていたんだ?」

P「……」

茜「……」

晶葉「……」

P「俺が見ていた茜は、元気な女の子だった」

P「好きな食べ物はお茶、好きな飲み物はカレーの、走ることが、動くことが本当に好きな女の子だった」

P「それは間違いない。プロデュースしている俺が言うんだ。絶対に間違いない」

茜「……!!!!!!!」

晶葉「何か言いたそうにしてるのはわかるんだが、もうしばらくその手で口を押さえていてくれ」

晶葉「さて、それじゃあもう一つ聞こう、助手よ」

P「何だ」

晶葉「私はどういう女の子だ?」

P「晶葉はまっすぐな女の子だ」

P「興味のあることは持っている知識を総動員し、とことんまで突き詰める女の子だ。研究を手伝ったこともある……理屈はまったく理解できなかったけどな」

P「晶葉も俺がプロデュースしているアイドルだ。この認識に間違いはない」

晶葉「そうか」

晶葉「だが私は、研究というものをしたことはない」

P「!」

晶葉「私は運動が好きだ、走ることが大好きだ」

晶葉「おそらく君が思っている私とは真逆なのが私だ」

晶葉「……と、まあ。ここまで聞いてどう思う、茜?」

茜「!!!……!……!!!!……!!!!!!」

晶葉「……ああ、もう喋っていいぞ。ただし音量は小さめにな」

茜「ぷはっ!」

茜「えっと、プロデューサー。今の言葉に嘘……はないですよね?」

P「ああ」

茜「からかっているとか」

P「ない」

茜「そうですよね……うーん」

茜「でも、このプロデューサーは私たちの知ってるプロデューサーと同じですし……別人ってことは考えられないんですよね」

茜「そう考えると、パッと思いつく候補が2つ挙がります」

P「というと?」

茜「一つ。これは完全な夢だということ」

晶葉「ひどい悪夢だな」

P「……すまん」

晶葉「夢なら君が謝る必要はないだろう。この夢が悪いんだ」

茜「でも、この線は正直薄いです」

茜「夢と自覚したら何でもできる……俗に言う明晰夢というんですが。その兆候は今のところ無いようですし」

晶葉「なるほど」

P「確かに、空を飛んだりはできないな」

晶葉「空を飛ぶ……」

晶葉「!」

晶葉「助手よ!」

P「却下だ!」

晶葉「おい、まだ私は何も言ってないぞ?」

P「今の晶葉のことだ、もしかしたら空を走れるかもしれないから試したいと思ったんだろう?」

P「右足が落ちる前に左足で上る理論で」

晶葉「その通りだよ……よくわかったな」

P「人を見る目だけはあるからな」

P「怪我をされても困るし、そんな危ないことはさせないからな」

晶葉「残念だ」

茜「……続けてもいいですか?」

晶葉「ああ、すまない」

茜「……ちょっとたまってきたので叫んでもいいですか?」

晶葉「せめてもう一つの仮説は話してくれ」

茜「それじゃ、もう一つの仮説ですが」

茜「プロデューサーが別の世界から来た可能性です」

P「別の世界?」

茜「はい」

茜「この世界ととっても良く似た……だけど、まったく違う。そんな世界からプロデューサーは来たんじゃないですか?」

P「……といっても、さっき俺は茜に起こされたばっかりだしな」

茜「私もプロデューサーを起こしたことは覚えてますよ」

茜「だから、体ごとじゃなくて……心、とか」

茜「私たちの知ってるプロデューサーの体の中に何らかの理由で入り込んでしまった……いえ、プロデューサー様子を見る限り迷い込んでしまった、の方が正しいかもしれません」

P「……」

P「悪い、俺にはそんな記憶は無い」

茜「そうですか」

晶葉「……無茶苦茶な仮説だな」

茜「でも、これくらいしか考えられませんでした」

茜「それに……この世界には『あの人』がいますし」

茜「それだけでも、こんなありえない仮説でも通ると思いませんか?」

晶葉「……そうだな」

晶葉「『あの人』がいる世界なんだ。普通はありえなそうなことでもありえてしまうかもしれないな」

P「あの人って、誰だ?」

晶葉「……」

茜「……」

晶葉「……すまんが、話せない」

P「……?」

茜「さて……」

晶葉「あ、助手よ、耳をふさげ、全力でだ」

P「ん?……ああ、わかった」

茜「すぅ……」

茜「ボンンンンンンンンンンンンンンッッッッッッッッッッバアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァッァァァァッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

晶葉「うっ……」

P「ぐっ……」

茜「日野!!!! 茜!!!! 完全復活!!!!!」

茜「今日も元気だお茶がうまい!!!!!!!!!!!」

晶葉「……お、終わったか?」

茜「はいっ!!!!」

茜「いっぱい叫んで元気満タン日野茜です!!!!」

晶葉「そうだな」

茜「おっと、小さめに小さめに……」

茜「そんなわけで、プロデューサー……いや、別のプロデューサーが入ってるかもしれないんだから……別プロデューサー……?」

茜「……まあいいや!! プロデューサー!!!!」

茜「頑張って我慢しました! 褒めて下さい!!」

P「あ、ああ」

P「えらいぞ、茜」ナデナデ

茜「えへへ……プロデューサーの手すっごく気持ちいいですね!!!」

P「あはは、ありがとう」ナデナデ

晶葉「……さて、ということで、だ」

晶葉「今のプロデューサーの現状については大体予測が立てられたわけだが」

P「これからどうするか、だよな」

晶葉「うむ」

P「ううむ……」

P「いつもなら大体晶葉や志希に会えば何とかしてくれそうなんだが……」

茜「すごいですね、晶葉ちゃん!!!」

晶葉「助手の言っている晶葉と私は別だからな、私を見られても……」

茜「すごいですね、別の世界の晶葉ちゃん!!!!」

晶葉「私を見ながら言うな……何だか複雑になる」

P「……この世界の志希はどんな感じなんだ?」

茜「疑問を持ったら即解決!」

茜「人に聞くより、自分の目で見た方がたくさんわかりますよ!!」

P「まあ、そりゃあなあ」

茜「幸い志希ちゃんは今レッスン場にいます!!」

茜「すぐそこです!!!!」

P「そうか」

晶葉「……いくか?」

P「特に当てもないし、行ってみるか」

P「別にレッスン場に志希だけがいるってわけじゃないんだろう?」

茜「もちろん!!!」

茜「みんな頑張りやさんですからね!!!!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

茜「志希ちゃんしかいませんでした!!!!!!」

茜「嘘ついてしまいました、ごめんなさいプロデューサー!!!!!」

P「いや、謝らなくても」

志希「ん?」

志希「あっ、プロデューサー、どしたの~?」

P「志希に会いに来たんだ」

志希「にゃはっ!」

志希「嬉しいこといってくれるね~♪」

志希「でももうちょっとだけ待ってて」

志希「もうちょっとでこの振り付けマスターできそうだから……よっ」

志希「んっ、こうかな~?……やっ」

P「……おお」

茜「どうしたんですか、プロデューサー?」

P「いや……」

P「……俺の知ってる志希と全然違うなぁって」

晶葉「今の会話だけでわかるものなのか?」

P「ああ」

P「いつもの志希なら俺を見た瞬間俺の匂いをかぎにくるだろうし」

P「……そもそも、自主練してる姿なんてほとんど見てないし」

晶葉「……なるほどな」

志希「んっと!」

志希「よしよし、いい感じ~♪」

志希「プロデューサー、終わったよ~♪」トテトテ

P「ん、お疲れ」

志希「そしてハグっ!」ダキッ

志希「すぅ……ん~~~っ♪」ギュッ

志希「いい匂い……にゃはっ、やっぱりプロデューサーの匂い好き~♪」

志希「練習終わりの一杯……ううん、一嗅はたまらないね」

P「……この辺りは全く変わらないんだな」

志希「ん~?」

茜「実はですね――」

志希「ふーん、あたしたちを知らないプロデューサーか~」

P「ああ。だから志希ならなんとかできないかなって」

志希「でも、それってプロデューサーの知ってる志希ちゃんの話だよね?」

P「まあな」

P「でも、もしかしたらってこともあるだろう」

茜「プロデューサーが変って仮定しましたけど、もしかしたら私たちが変なのかもしれないですしね!!」

志希「ん~……なんかダメ元で会いに来られると複雑ってカンジだね」

P「すまん」

志希「ん~ん、別に気にしてないよ~♪」

志希「それに、あたしもプロデューサーの望みに答えられないワケだし?」

P「そっか……」

志希「ごめんね、プロデューサー」

志希「お詫びに、練習終わりで汗たっぷりの志希ちゃんの匂い嗅がせてあげる!」

P「ん!?」

志希「ほらほら~♪ ハスハスしていいんだよ~♪ クンカクンカしていいんだよ~♪」ギューッ

P「え、いや、それは……」

志希「にゃはっ、どう、プロデューサー? いい匂い? 好きな匂い~?」

P「……と」

P「年頃の娘がそんなはしたない真似しちゃだめだ!」

晶葉「父親か」

茜「じゃあじゃあ!! この状況を何とかしてくれそうな人知りませんか!!!???」

志希「ん~……あ」

志希「ちひろさんとか?」

P「ちひろさん?」

志希「うん」

志希「何でも叶えてくれるってよく言ってるよ~♪」

茜「確かにいつも言ってますね!!!!!」

晶葉「誰も試してないけどな……対価が対価だし」

P「対価って?」

晶葉「エナドリかスタドリだな」

茜「願いに対してそれぞれ個数が決まってるみたいで、その分だけ買うと願いを叶えてくれるそうですよ!!」

晶葉「もっとも、さすがに信憑性が薄くて、誰も試してないけどな」

P「なるほど……なぁ、志希」

志希「なに~?」

P「ちひろさんって、今どこにいるか知ってるか?」

志希「ううん、残念ながら知らない、ごめんね」

志希「お詫びに――」

P「それはもういいから」

志希「え~……」

志希「……ま、いいや。それじゃ他の人にも聞いてみようよ」

茜「そうですね!」

茜「それじゃ早速次の場所に行きましょう!!!!」

志希「そんなことしなくても、ここにまだいるよ~♪」

P「……どこに?」

志希「あーきちゃん! でーておーいでーっ!」

晶葉「……」

茜「……」

P「……」

志希「あれ、出てこないな~?」

志希「まったくー……ええっと、この壁だったかな?」

志希「ここがこうやって開いて――」

亜季「はっ!?」

志希「やっほ、亜季ちゃん!」

亜季「ばれたであります!」

P「な、なんでそんなところに……」

亜季「ぷ、プロデューサー殿まで!」

亜季「くっ……こうまでして私を働かせたいんですか!」

P「えっ?」

亜季「ですが、私はあきらめません、負けません!」

亜季「徹底抗戦であります!」

亜季「私は働かないであります! 絶対に働かないであります!」

P「」

茜「あれ、どうしたんですかプロデューサー!!!???」

P「」

茜「プロデューサー!? しっかりしてください、プロデューサー!!」

晶葉「……助手の知ってる亜季とだいぶ違ったようだな」

志希「んにゃ、今日はそんな用事じゃないよ~♪」

志希「ちょっと亜季ちゃんに聞きたいことがあるだけ」

亜季「聞きたいこと……でありますか?」

志希「そそ」

留美「……騙されちゃだめよ、大和さん」

晶葉「あ、留美もいたんだな」

P「」

茜「プロデューサー!!!!!!」

亜季「留美殿……?」

留美「話を聞こうと連れ出す……そう、この要塞から出されてしまうの」

留美「そうなると私達を守るものは無い……後はわかるわね?」

亜季「……あっ!」

亜季「だ、騙したんですね!」

志希「や、そんな気はないんだけど……」

留美「いい、大和さん?」

留美「この世界で信じられるものは己と同士だけよ」

留美「どんな言葉にも必ず裏があるの」

亜季「なるほど……さすが留美殿!」

亜季「伊達に私より長い年月生きて――」

留美「その話は止めなさい」

亜季「はっ!」

志希「じゃさ、そこから出なくていいから。教えてほしいことがあるんだけど~」

留美「何?」

志希「ちひろさんをどこかで見かけなかった?」

亜季「私たちは今日はほとんどここから出てないであります」

亜季「ですから姿は見てません」

志希「そっかー……」

留美「……でも、ここに来る人の声は聞こえるわ」

留美「ちひろさんは会議室にいるみたいよ」

留美「もういないかもしれないけど」

志希「そかそかー、ありがと、二人とも~♪」

留美「いえいえ」

亜季「さ、早くここを閉めるであります!」

亜季「ハリ-ハリーハリー!!」

志希「ん~」

志希「っと、プロデューサー。ちひろさんは会議室に――」

志希「――ありゃ?」

P「」

茜「プロデューサー!! しっかり、しっかりしてください!!!!」

茜「どうしよう……反応がないから……えっと、人工、人工呼吸しないと!!!」

茜「……じ、じじじじじ、人工呼吸!?」

茜「や、えっ、えっと……でも、プロデューサーが死んじゃうかもしれませんし……しないと、しないとなんですよね……?」

茜「勇気を持って、すぅ、はぁ、すぅ、はぁ、すぅ、はぁ……」

茜「こ、心の準備がぜんぜんできません!!!!! どうしましょうプロデューサー!!!!」

志希「……どしたの、これ?」

晶葉「どうやら彼の記憶の二人とあの二人が一致していなかったようでな」

志希「驚いちゃった?」

晶葉「みたいだ」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

P「……ふぅ」

晶葉「落ち着いたか?」

P「ああ……なんとかな」

P「……二人のあんな姿を見るとは思わなかった……見たくなかった」

晶葉「まあ、言ってしまえば夢みたいなもんだ」

晶葉「忘れるのがいいだろう」

P「忘れられそうにないけどな……」

茜「……うぅ」

茜「プロデューサー……私は悪い子です……」

茜「プロデューサーを助けられませんでした……」

P「別に息が止まってたわけじゃないんだから」

P「そんなに気を落とさなくていいって」

茜「それなのに人工呼吸しようとしてた私って……」

茜「どうしましょう、プロデューサー!! プロデューサーに顔向けできません!!!」

P「落ち着け、茜」

志希「さてさて、プロデューサー」

志希「ちひろさんは会議室にいるって~♪」

P「そうか、ありがとう志希」

志希「お礼ならあそこの二人にだねー」

志希「有給でも渡したら喜ぶと思うよ」

P「それはここの本来のプロデューサーに言ってやってくれ」

志希「んじゃ、私はあの二人を連れ出すためにがんばろっかな~」

志希「だからバイバイ、プロデューサー♪」

P「ああ、ありがとう」

P「じゃあ行こうか、二人とも」

晶葉「ああ」

茜「うぅ……はい……」

志希「バイバーイ♪」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

P「しかし、内装とかも俺が知っているまんまなんだな」

茜「話を聞く限り、プロデューサーの記憶との違いは私たちアイドルだけみたいですからね!!」

晶葉「まったく……不思議な話だ」

P「本当にな」

茜「でも、それしか考えられないです!!」

P「別に茜の考えを否定したわけじゃないって」

P「……現実は小説より奇なりって本当のことなんだな」

晶葉「だな――ん?」

ほたる「あ……プロデューサーさん……それに晶葉さんに茜さんも」

茄子「おはようございますー♪」

P「おう、おはよう」

茜「おはようございますっ!!!!」

晶葉「おはよう……二人はこれから昼飯か?」

茄子「はい!」

茄子「ほたるちゃんが誘ってくれたんです」

ほたる「茄子さんにはいつもお世話になってるので……」

茄子「私だってお世話になってますよー? ねー?」

ほたる「そ、そんなこと……」

茄子「むー……、そこは『ねー?』って返してほしかったです」

ほたる「あ……ご、ごめんなさい……」

茄子「謝らない、謝らないー」

P「……二人は変わらないな」

晶葉「ん、そうなのか?」

P「ああ、俺の知っている二人もこんな感じだ」

茜「……なら変わっているのは特定のアイドルだけなんでしょうか!?」

茄子「変わる変わらないって何の話ですかー?」

晶葉「ああ、いや、実は――」

ほたる「そう……ですか、別の世界から……」

茜「かもしれない、ですけどね!!」

茄子「それで変わらないっていってたんですねー」

P「……なんか安心した」

ほたる「安心、ですか……?」

P「ああ……!」

ほたる「……?」

晶葉「さっき亜季と留美の姿を見てな」

晶葉「どうやら助手の知っている二人とかけ離れていたようでショックを受けてたんだ」

P「……ここではそれが普通なんだろうけどな」

ほたる「あの二人っていうと……働かないって言ってる姿、ですよね?」

茄子「私たちにとっては普通ですけど……」

茜「だから今からちひろさんに会いに行こうと思ってるんです!!」

茄子「ああ、ちひろさんにお願いを叶えてもらうんですね!」

晶葉「そういうことだ」

ほたる「……でも、本当に叶えてくれるんでしょうか?」

茄子「私も試したことはないんですよねー」

茜「やらないよりはやってから、です!!!!」

ほたる「それに、ちひろさんは対価が――」

P「ドリンクくらいなら買えるさ」

晶葉「このまま助手がここにいたらいつか倒れてしまうだろうしな」

晶葉「記憶と現実のギャップで」

ほたる「……」

ほたる「それじゃあ……えっと、うまくいくように祈っておきますね」

ほたる「プロデューサーさんが無事に帰れますように……」

茄子「私も祈りますー!」

茄子「んー……!」

P「はは、ありがとう二人とも」

茄子「いえいえー」

P「二人の祈りがあるなら百人力だ」

ほたる「そ、そんな……」

茄子「ふふ、ありがとうございます♪」

茄子「じゃ、私たちはそろそろ行きますね」

ほたる「えっと……が、頑張ってください」

P「ああ」

P「……茄子もほたるもいい子だよなぁ」

茜「どうしたんですか、急に!!!」

P「いや……なんていうか、再確認した」

P「もちろん二人もいい子だぞ」

茜「ありがとうございます!!!」

晶葉「ふふ、ありがとう」

晶葉「だが、確かにほたるも茄子も自分の境遇を他人に押し付けたりしないからな」

P「ああ」

P「茄子は自分のその幸運を不必要に自慢したりしないし」

P「ほたるはその不運に負けないよう努力している」

茜「えっ!?」

P「どうした?」

晶葉「いや、なるほど」

茜「プロデューサー、やっぱり二人はプロデューサーの知っている二人と違うみたいですよ!!」

P「えっ」

晶葉「ああ」

晶葉「ほたるは強運を持っている」

晶葉「そして、茄子は不運を持っている」

P「……そうだったのか」

晶葉「この世界では、だがな」

茜「それでも、二人ともプロデューサーの記憶と変わらないなら、やっぱり二人はいい子なんですよ!!」

P「……そうだな」

P「っと、ついたか」

茜「ですね!!」

茜「それじゃ、おじゃましま――」

卯月「あ、プロデューサーさん!」

茜「!!!???」

晶葉「しまっ――」

P「ん、卯月か。おはよう」

卯月「えへへ、おはようございますっ!」

茜「晶葉ちゃん、頼みました!」

晶葉「ああ」

茜「プロデューサーさん、ちょっと耳貸してください!」

P「どうしたんだ、いきなり」

茜「お願いします、耳を貸してください!」

P「あ、ああ……」

晶葉「今日はどうしたんだ?」

晶葉「確か休みじゃなかったか?」

卯月「なんだか暇で……ちょっと退屈だったから――」

P「なぁ、茜」

茜「えっとですね、プロデューサー」

茜「プロデューサーの世界での卯月ちゃんはどんな子でした?」

P「え……あ、ああ」

P「そうだな……可愛くて頑張りやだった」

茜「それだけですか?」

P「……」

P「普通だったな」

茜「そうですか」

茜「プロデューサーの記憶と照らし合わせると。運動が好きな子は勉強が好きに、科学が好きな子は運動が好きに」

茜「適当な子は真面目に、真面目な子は不真面目に」

茜「幸運な子は不幸に、不幸な子は幸運に」

茜「みんながみんな対照的に、反対になっています」

P「あ、ああ」

P「なら、普通の反対は普通じゃ……」

茜「違います」

茜「『あの人』は特異中の特異中の特異なんです」

P「……どういうことだ?」

茜「端的に言うと、『あの人』はこの世界の創造主なんです」

P「……は?」

卯月「――二人とも、長いこしょこしょ話ですね?」

茜「え、あ、いや、別になんでもないですよ!!!!!!」

卯月「むー……そういわれると余計気になっちゃいます……!」

茜「あはは、まあ大した話じゃないですから!!!!」

卯月「大した話なら話してくれても――」

晶葉「――そうだ、卯月! 聞きたいことがあったんだ!」

卯月「ふぇっ、何ですか!?」

茜「……信じられないかもしれませんが、事実なんです」

茜「私はプロデューサーに……そう教えられました」

P「だけど……」

茜「簡単に信じられないのはわかってます」

茜「ですが、私たちはその証拠になる現場を何度も見てきました」

茜「だからこそ、今のプロデューサーの状況を受け入れられるわけですし」

P「……」

茜「ですからプロデューサー。卯月ちゃんの機嫌を損ねないようにしてください」

茜「もし、しちゃったら――」

卯月「――プロデューサーさん!」

P「うおっ!」

卯月「茜ちゃんとばっかり話しててずるいです!」

卯月「私ともお話しましょう?」

P「あ……ああそうだな」

卯月「……」

P「……」

卯月「……」

P「……」

卯月「……話してくれないんですか?」

P「いや、こういうときって話題があまり浮かんでこなかったりしないか?」

卯月「なんとなくわかりますけどぉ……」

卯月「でも、私はプロデューサーさんとならどんな話でもいいですよ?」

卯月「天気でも成績でも、全然大丈夫です!」

P「……」

P「今日は天気がいいですね」

卯月「はいっ!」

P「……」

卯月「……」

P「……」

卯月「……終わり、ですか?」

P「いや、えっと……」

卯月「もう、今日のプロデューサーさんおかしいですよ?」

P「あー……えっと」

P「実はさ、卯月」

卯月「はい!」

茜「!」

晶葉「駄目だ、プロデューサー!」

P「俺は卯月の知っているプロデューサーじゃないんだ」

卯月「……?」

卯月「どういうことですか?」

茜「あ、あははは!!! やだなぁ、プロデューサー!!!」

茜「冗談にしてもひどすぎますよ!!!!」

晶葉「そうだぞ、助手よ!!!」

晶葉「まったく……!!」

卯月「二人とも」

卯月「私はプロデューサーさんに聞いてるんですよ?」

茜「……」

晶葉「……」

卯月「ねぇ、プロデューサーさん。どういうことなんですか?」

P「実は――」

P「――というわけなんだ」

卯月「……」

卯月「……じゃあ、私の知ってるプロデューサーさんは……?」

P「……」

晶葉「おそらく、このPの精神が戻れば帰ってくるだろう」

卯月「おそらく、ですか」

卯月「確実じゃないんですね」

茜「……いや、絶対、絶対ですよ!!!!!」

茜「すぐ帰ってきます!!!! 今からちひろさんに頼みにいくので、すぐに戻ってきますからちょっとだけ待っててください!!!」

卯月「……」

晶葉「ああ、ここの会議室にいるからな!」

茜「ほら、プロデューサーさん、早く!」

P「あ、ああ!」ガチャ

卯月「……」

P「失礼します……っと」

ちひろ「あら、プロデューサーさん」

P「ちひろさん、ちょっとお願いがあるんですけど……?」

ちひろ「お願い、ですか?」

ちひろ「それはどっちの意味でですか?」

P「どっちの……?」

ちひろ「普通に私にしてほしいことがあるのか」

ちひろ「それとも、叶えてほしい願いがあるのか」

P「……」

ちひろ「今のプロデューサーさんの状況は理解しています」

P「えっ」

ちひろ「本来の貴方はソファーで眠っています」

ちひろ「けれど、精神だけがこちらの世界に来ています」

P「な、なんで知ってるんですか!?」

ちひろ「だって、連れてきたのは私ですから」

P「!?」

ちひろ「創造主である卯月ちゃんの精神を揺らし、この世界を壊すためにプロデューサーさんを連れてきたんです」

P「どうしてそんなことを……!」

ちひろ「だって私は悪魔ですから」

P「はい!?」

ちひろ「悪魔である私がこんなことをしてもおかしくはないでしょう?」

P「いや、まあ、そうですけど……いや、そうじゃなくて!?」

P「悪魔ってどういうことですか!?」

ちひろ「そのままの意味です」

ちひろ「別に創造主がいる世界なんですから、悪魔がいたっておかしくはないでしょう?」

P「いや、それはそうかもしれませんけど……」

ちひろ「納得してください、私は悪魔です」

ちひろ「悪魔ったら悪魔なのです」

P「……はい」

ちひろ「と、まあ。先ほど言ったとおり、私はこの世界を壊すために貴方を呼びました」

ちひろ「なので、貴方を帰すわけには行きません」

P「ええっ!?」

ちひろ「だって、このまま帰したら呼んだ意味がないじゃないですか」

P「……っ」

晶葉「大変だ、助手よ!」

茜「卯月ちゃんの心が不安定で……不安定になっちゃったから世界も不安定に……!」

P「何っ!?」

晶葉「早くしないとこの世界が崩れる……!」

茜「ほら、ひ、ヒビが入り始めちゃってます……!」

P「ちょ、ち、ちひろさん! こんなことになってますよ!」

ちひろ「そうですね、思惑通りです」

P「このままじゃ世界が潰れちゃうんですよ!!」

ちひろ「理解してます」

P「アイドルたちも消えちゃうかもしれないんですよ」

ちひろ「ええ」

P「……」

ちひろ「……」

P「どうしてもとめないつもりですか?」

ちひろ「いえ、そんなことはありませんよ?」

ちひろ「どうしてもというのなら止めます」

ちひろ「プロデューサーも元に戻し、今のこの現状も何とかしましょう」

P「じゃあ、してくださいよ!!」

ちひろ「プロデューサーさん」

ちひろ「願いを叶えるには対価が必要なんです」

P「ああ!」

P「何本!? 何本ドリンクを買えばいいんですか?」

ちひろ「……」スッ

P「5……5本ですね、わかりました、買います!」

ちひろ「あ、いえ、二進数です」

P「えーっと……31本か、わかりました、買います!」

ちひろ「ダースです」

P「31ダースですね、わかりました、買います!!」

ちひろ「毎度あり~♪」

ちひろ「それじゃ、Pさん、首を出してください」

P「へ?」

ちひろ「えいっ!」ブスリ

P「あひぃん!?」

P(ちひろさんに注射を射されたと思ったら急速に意識が遠のいていった)

P(薄れ行く意識の中最後に思ったのは……)

P(この世界のちひろさんがこんなにも悪魔なんだから俺の世界のちひろさんはきっと女神なんじゃね?)

P(ということだった)

P「……ん」

P「ここは……?」

P「ソファー……」

P「……」

P「帰ってきたのか……?」

卯月「おはようございまーすっ!」

P「卯月!」

卯月「え、は、はいっ!?」

P「……」

卯月「な、なんですか……?」

P「……」

卯月「あの、そんなにじっと見つめられると恥ずかしいんですけど……」

P「……よかった」

P「創造主だった卯月じゃないんだな……」

卯月「なんですか、それ!?」

P「いや、なんでもない」

卯月「なんでもありますよ!?」

卯月「プロデューサーさんってば、どんな夢見てたんですか!?」

P「夢……そうか、夢だったのかもしれないな」

卯月「夢ですっ!」

卯月「私が……創造主だなんて、夢でもない限りありえないです!」

卯月「……というか、創造主って何ですか!?」

P「この世界を構築した人かな」

卯月「私がそんなすごい人なわけないじゃないですか!」

卯月「私は普通の人間です!」

P「ああ、知ってるよ」

P「……まあ、そうかそうだよな」

P「あんなの夢に決まってるよな」

P「……ん?」

P「ポケットに何か――」

『31ダース分のエナドリとスタドリ、そちらの私からちゃんと買ってくださいね』

P「……」

卯月「プロデューサーさん?」

P「夢だけど夢じゃなかった!」

卯月「プロデューサーさん!?」

P「鬼!悪魔!ちひろ!」





おわり

おまけ


晶葉「助手が目覚めだみたいだぞ」

茜「それじゃ、ネタバラシに行きましょう!!!」

晶葉「しかし、助手への悪戯か……」

晶葉「たまには悪くないな、こういうのも」

茜「でも、ちょっと心苦しかったです……」

茜「プロデューサーを騙してるみたいで――」

晶葉「範囲は広かったとはいえ騙し方としては遊びみたいなものだ」

晶葉「きっと笑って許してくれるさ」

茜「そうでしょうか……」

晶葉「そうだとも」

晶葉「さあ行こう。先に行っている卯月が困ってるぞ」

ちひろ「あの、それなんですけど……」

晶葉「ん、どうしたちひろさん?」

ちひろ「もうちょっと、もうちょっとだけネタバラシ待ちませんか?」

茜「えっ、どうしてですか!!??」

ちひろ「このまま放置すれば31ダース分の――じゃなくて」

ちひろ「ほら、茄子ちゃんや亜季ちゃんと合わせたら面白い反応してくれそうだと思いません?」

ちひろ「だからそれを確かめるまで待ちませんか、ね、ね?」

晶葉「……悪魔だな、この人」

ドタバタギャグを書こうとしたのですが、迷走しました。難しいですね。

ちひろさんはしゅーこあんたんさせてくれたので女神


読んでくださった方、ありがとうございました。

卯月の反対はハルヒみたいな感じ?

どの世界線でも茜ちゃんは可愛いってハッキリわかんだね
おっつし

乙パラレル
純情乙女な拓海やハピハピした凛がいる世界か…
ちょっと次元跳躍してくる

完全に乙女な晴ちんの居る世界とな

ワーホリな杏か…

ガーハーさん、どーなってんのかしらね

「わからないわ」を連呼し色気たっぷりオトナの女路線を突き進むkwwsmさん・・・?

いいssだった、かけ値なしに

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