モバP「クラリスさん、お疲れ様です」 (14)

P「ふぅ……打ち合わせが思ったより早く終わった。そういえばこの辺りって……クラリスさんがたまに顔出してるらしい教会の近くだよなぁ。せっかくだし、寄ってみるか」


P「教会って入ったことないから緊張するなぁ……最近受け持ってるアイドル達がやたらと俺に懐いてくるせいで煩悩が渦巻いてるし、心を清らかにしないと……」

?「ようこそいらっしゃいました」

P「あ、はい! こんにちは! ……って、クラリスさん!?」

クラリス「まぁ。P様? 偶然ですね。こんにちは」

P「クラリスさん、今日午前中はレッスンじゃありませんでした?」

クラリス「ええ。その後シャワーを浴びて、此処に来た次第ですわ」

P「しかもその恰好……アイドルになったからシスターは辞めたものとばかり」

クラリス「やっぱり私、シスターとしてのお仕事も気に入っていまして……すみません、アイドル活動には支障のない程度にしますから」

P「いやそれは別に全然構わないんですが……忙しくありません?」

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クラリス「忙しいか忙しくないかで言えば忙しいかもしれません。ですが、それより私は一人でも多くの悩みを持った方に手を差し伸べたいのです」

P「(なんだこの人女神か)」

クラリス「……それよりP様は何故こちらに?」

P「いや、単に打ち合わせで近くまで寄ったもんで……クラリスさんがたまに顔出してる教会がこのあたりだったなとふと思ってなんとなく寄ってみたんです」

クラリス「ふふ、ではこうしてお会いできたのもなにかの奇跡かもしれませんね。私で良ければ、お悩みでもなんでも聞かせて頂きますよ」

P「エッいやちょっとそれは(煩悩が渦巻いてるなんてとても言えない言いづらい無理)」

クラリス「……私ではお力になれないお悩みですか?」ショボン

P「そういうんじゃなくて! えっと、大したことじゃないんで大丈夫です」

クラリス「そうですか……そうなら良いのですが」

P「あんまりクラリスさんを拘束して邪魔したら悪いし、少し空気に浸ったら帰りますね」

クラリス「? 別に構いませんよ?」

P「俺よりもっと悩んでそうな人に声かけてあげてください」

クラリス「ふふ、P様はお優しいのですね。分かりました。では、ごゆっくりしていってくださいね」ニコ

P「(やっぱ女神だわ)」

***

つぎのひ!

トレーナー「では、今日のレッスンはここまでにしましょう」

クラリス「お疲れ様でした」ペコリ

P「クラリスさん、お疲れ様です。これ、かな子からの差し入れです。良かったら」

クラリス「まぁ。可愛らしいクッキーですね。かな子さんのこのような細やかな心遣いは本当に素敵です」

P「(嬉しそうに頬を緩めるクラリスさん可愛いなー)」

クラリス「では、シャワーの後に頂きますね」

P「はい(そう言ってクラリスさんは、俺にぺこりと一礼してからシャワールームのほうへと消えていった)」

***

P「(あれから数週間)」

P「(クラリスさんのCDデビューが決まった)」

P「(トレーナーさんの指導にも熱が入り、クラリスさんも気合充分といった感じだ)」

P「(好調、のように見えていた)」

P「(そのはずだった)」

トレーナー「はい。では次はBメロからのステップを改めて確認しましょう」

クラリス「は、はい……」

トレーナー「あ、すみません。休憩、挟みますか?」

クラリス「いえ、大丈夫です……少し、立ち眩んだだけです……やれます」

トレーナー「ですが……」

P「お疲れ様でーす。……あれ? どうかしました?」

クラリス「……P様……」

P「!? クラリスさん、顔色真っ青ですよ!?」

クラリス「私は大丈夫です……CDデビューも決まりましたし、レッスンはしっかりやっていかないと……」

P「そんなこと言ったって! 身体が一番なんですから、無理を押してまでレッスンする必要はありません!」

クラリス「ですが……」

トレーナー「そうですね。今日のレッスンはここまでにしましょう。クラリスさんは帰ってしっかり休養を取ってください。明日からまた元気に頑張れるようにする為の、必要な休息だと思ってください」

クラリス「は、はい……」

P「でもその前に少し仮眠室で休んでから帰ったほうが良いですよ。本当に顔色が悪い……」

クラリス「ごめんなさい、不甲斐なくて……そうさせて頂きます」

P「(クラリスさんはどことなく覚束ない足取りで、レッスンルームから出て行った)」


***


ちひろ「Pさん」

P「はい?」

ちひろ「クラリスさんの調子が悪そうだと聞いたので、スタミナドリンクを買ってきました。まだ仮眠室にいらっしゃいますから、届けてきてあげてください」

P「え? なんで俺g「私は事務仕事がありますので。お願いしますね」

P「(寝てるところに男の俺が行くのはまずいんじゃなかろうか)」

P「(とはいえちひろさんに半ば無理やりスタドリ押し付けられちゃったしなぁ。クラリスさんも心配だし、様子見も兼ねて行ってくるか)」

***

P(クラリスさん、起きてますかー?)コゴエ

クラリス「P様……はい、起きています」

P「あっ起きてるって身を起してって意味じゃなくて! 目が覚めてるかって意味で訊いただけなんで! 横になったままでいいんで!」

クラリス「は、はい……」ヘナヘナ

P「無理させちゃったみたいですみません。俺のスケジュール管理不足でした」

クラリス「いえ、私が……私が悪いんです……」

P「そんなに自分を責めなくても……」

クラリス「違うんです、私、私……『あの日』からずっと……アイドル活動には支障のない程度に、って、言ったのに……」ギュッ

P「『あの日』?」

クラリス「あの日、教会にP様がいらっしゃった日から……また来てくださるんじゃないかって……毎日、教会に……」

P「……って、毎日教会に!? え、俺のことを待って……?」

クラリス「はい……」

P「(ってそれ、俺のせいってことじゃんよ!)」

クラリス「本当にすみません、アイドル活動には支障をきたさない程度に留めると言ったのに、こんな醜態を晒してしまって……」

P「いえそんな、そんなの俺が悪いようなもんですし、とりあえず、これ……ちひろさんから、スタミナドリンクです。飲んで、落ち着いてください」

クラリス「P様……」

P「(そう言って俺を見上げるクラリスさんの目元には、微かに涙が滲んでいた)」

P「(俺が泣かせたようなもんか……)」

クラリス「P様は悪くありませんわ、私のわがままですもの……」

P「わがまま?」

クラリス「事務所での私とP様は、あくまでアイドルとプロデューサー……でも、教会で会えば、お互い一人の人間として、対等に向き合えるような、そんな気がしたんです……」

クラリス「子どもじみていますよね。他のアイドルの皆とP様が……仲が良さそうにしていると、胸の奥がぎゅぅって、するんです」

クラリス「ですが、あの日……P様が教会にいらっしゃった日は、普段と違う目線で話すことができたように思ったんです……」

P「クラリスさん……」

P「俺も、クラリスさんともっといろんな話がしたいです」

P「話したいし、色んな所に連れて行ってあげたいし、色んな景色を見せたい」

P「俺とクラリスさんなら、絶対にトップを目指せると思うんです」

P「それで、クラリスさんがトップアイドルになれたら……」





P「俺と、付き合ってください」


クラリス「P様……!?」

P「ああ起きなくていいですってば! えーと、あのー、いざ言葉にすると照れるな……」

クラリス「そんな……嬉しいです、あぁ、夢みたいです」カァァ

P「嬉しい……ってことは、クラリスさん……」

クラリス「はい。私で良ければ……!」

P「! じゃあ……トップアイドル、目指しましょう!」

クラリス「はい!」

P「その前にしっかり休んでくださいね。……教会じゃなくても、いつでも電話してくれていいんですよ?」

クラリス「はっ、はい……では、声が聴きたくなったら、電話させて頂きますね」モジモジ

P「(もじもじしてるクラリスさん可愛い)」

***


P「(あれから一年)」

P「(デビューCDは発売初週にオリコン1位を掻っ攫い、瞬く間にブレイクした)」

P「(大ブレイク中のアイドルに恋人が居るというのは問題だろう)」

P「(だから周りには隠して、ちひろさんだけが知っている秘密の関係になった)」

クラリス「P様」

P「どうした?」

クラリス「もし、私達が結婚することになったら……私、あの教会で式を挙げたいですわ」

P「はは、そうだな。……でも」

クラリス「大丈夫です。トップアイドルクラリスとして、ファンの皆様の夢を裏切るわけにはいきませんものね」

P「(そう言ってサングラス越しに笑ったクラリスは、俺の手をそっと取って握った)」

クラリス「私が輝き続けていられるのは、P様のおかげですわ……本当に、ありがとうございます」

P「感謝されるようなことじゃないさ。クラリスの実力だよ」

クラリス「ふふ、P様のお力添えがあったからですわ。これからもプロデュース、よろしくお願いしますね?」


おわり

SS書くの初めてなので読みづらいところあったらすみません。
ここまで読んでくださってありがとうございました。

クラリスは聖女かわいい! いいもの見させてもらった。乙乙

乙です

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