最強兄妹の、最悪兄妹仲。 (38)
人生初のSS挑戦です
色々と大目に見てください
某県某市のとある一戸建て住宅
二階建ての庭付きと、この辺りでは平均的な家だ。
表札には『鬼柳』と書いてある
鬼柳家の家族構成を紹介しよう
夫 鬼柳五兵衛(きりゅうごへえ) 身長185㎝体重80㎏(52歳) 現役の刑事
妻 鬼柳五十鈴(きりゅういすず) 身長164cm体重50kg B87・W57・H89(41歳) 専業主婦
長男 鬼柳虎松(きりゅうとらまつ) 身長210㎝体重105㎏(18歳) 高校三年生
長女 鬼柳小百合(きりゅうさゆり) 身長143cm体重32kg B73・W49・H73(17歳) 高校二年生
飼い犬 鬼柳武蔵(きりゅうむさし) 体高120㎝以上、体重120㎏以上 犬種:シェンコッタ・ドッグ
鬼柳五兵衛 柔道二段・剣道三段
鬼柳五十鈴 書道五段
鬼柳虎松 空手三段・柔道二段・剣道三段・合気道二段
鬼柳小百合 小学生から現在まで、常に全教科の成績一位。
こんなハイスペック家族を書こうと思います
タイトルにもある通り、基本的に主要人物は虎松と小百合です。
駄文になると思いますが、よろしくお願いします。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1434104283
>>1 (書き忘れ)オリジナルです
くう〜つかw
これにて終了ですw
月曜日
それは大半の学生、社会人にとって最も嫌な曜日。
休日気分が抜けず、慌ただしくなる家もあるだろう。
それは鬼柳家も例外ではない
「小百合早く起きなさい!虎松も、いつまでもトレーニングしてないで早く朝ごはん食べて!」
五十鈴は二人の子供を呼びながら、テキパキと朝食を準備していく。
「ふぁ~……お母さんおはよ……」
「おはよう小百合。ちゃっちゃと顔洗って朝ごはん食べなさいよ」
「うん……お父さんは?」
「もうとっくに行ったわよ。なんか今日中には帰ってこれないかもしれないらしいわ」
「へ~……」
小百合は眠そうに目を擦りながら、顔を洗う為に洗面所に向かった。
小百合が洗面所の扉を開けると、そこには兄の虎松がパンツ一丁で身体を拭いていた。
「なっ……なっ……」
「なんだ小百合か。顔洗うならとっとと洗え」
「朝っぱらから何汚いもん見せてんだクソ兄貴!!」
虎松は日課の早朝トレーニングを終え、シャワーを浴びていた。
そしてシャワーを浴び終えて身体を拭いている所に、偶然小百合が入って来たという形だ。
「朝っぱらからデカい声出してんじゃねえよクソが」
「テメエの地声も十分デカいんだよ。デカいのは身体だけにしろや」
「喧しいわ幼児体型」
「黙れよ世紀末体型。核戦争で滅びた世界でヒャッハーしてろや」
2人とも一歩も引かず、罵り合いが始まる。
「二人とも!早く来ないと朝ごはん片付けるわよ!」
「「今行く!」」
しかし母の一言で罵り合いは収まった
虎松は制服(特注)を着て、小百合は顔を洗ってリビングに向かった。
期待
「ごちそうさま」
「虎松。アンタ今日帰りは?」
「空手部の新入部員達を絞り上げるから遅くなる」
「ほどほどにしてあげなさいよ?アンタのペースでいくと皆部活辞めちゃうわよ」
「解ってるって。じゃあ行ってきます」
虎松は小百合よりも早く家を出る
「小百合。アンタも早く食べなさいよ」
「解ってるよ。クソ兄貴と一緒に登校したくないだけだから」
「全く……それなら何で同じ学校を受験したのよ」
「家から一番近いから」
「志望動機は兄妹で同じなのよね……」
「ごちそうさま。行ってきます」
「はい。気を付けてね」
3年6組。虎松が在籍する、男女半々の30人クラスだ。
「ウーッス」
「オッス虎松」
「おはよう虎松君」
「今日もデカいな虎松」
虎松が教室に入って挨拶をすると、ほぼ全員が挨拶を返してくる。
クラス長は虎松ではないが、実際一番人望があるのは虎松だ。
「お兄ちゃん!」
虎松が席に座り友達と喋っていると、突然教室のドアが開かれて小百合が入って来た。
「お兄ちゃんちょっと来て!」
「あ?っておい……」
小百合は有無を言わさず虎松の手を引いて教室を出ていく
「いいよな~虎松は。あんな可愛い妹がいてよぉ」
「小百合ちゃん可愛いよぉ!」
虎松と高校からの付き合いの友人は、虎松と小百合の仲を知らない。
小百合と虎松は屋上にいた
教室に入って来た時とは打って変わって、小百合は虎松を思いっきり睨んでいた。
「屋上まで連れてきて何の用だよ。それと、お前の猫かぶりマジでキモイからそろそろやめろ。」
「何の用?テメエが弁当忘れたから届けに来てやったんだよ。泣いて感謝しやがれ」
「は?どうせ母さんに頼まれて逆らえずに嫌々持ってきただけだろ。感謝ならするぜ母さんにな」
そう言って虎松は小百合の鞄から弁当を取る
その速度は、一般人に視認できない速度だった。
「アッ!?この人外野郎が!」
「どうせ『渡してほしかったら跪け』とか言いたかったんだろ。甘いんだよお前は」
「チッ……クソ童貞野郎」
「喧しいぞクソビッチ」
「あ゛?」
「お?」
キーンコーンカーンコーンキーンチャーンラーメーン
兄妹喧嘩が始まろうとした瞬間、予冷が鳴り響いた。
「チッ」
小百合は仮面優等生なため、予冷が鳴ったら必ず教室に戻る。
虎松を睨み、舌打ちしながら教室に戻って行った。
「舌打ちしてえのはこっちだぜ」
おもしろい。でも32kgは多分病気
小百合の体重を32㎏から、36㎏に変更します。
ご指摘ありがとうございます
授業が終わった。これから部活動の時間だ
虎松はいつも通り、空手部が活動している道場へと向かった。
虎松は空手部の主将で段違いの実力者のため、練習メニューや練習試合の申し込み等の全てをやっている。
なので当然、新入部員の面倒を見るのも虎松の役目と言うわ訳だ。
男子5名、女子3名。合計8名が今年の新入部員だ。
「よし、皆集まってるな。各自道着に着替えて準備体操!」
「「「「押忍!」」」」
「新入生は体操服に着替えて準備体操。その後は隅で正座しとけ」
部員達は素早く道着に着替え、各々準備体操を始める。
「大会近いから、怪我しないように念入りにやれよー」
大体3分ほどで準備体操が終わり、部員達が整列した。
虎松は師範の立ち位置なので、部員達の正面に向かい合って立っている。
「これより、本日の稽古を始めます。先生に礼!」
「「「「「押忍!」」」」」
「お互いに礼!」
「「「「「押忍!」」」」」
「三戦立ち用意……構えて!」
「「「「「セイッ!」」」」」
「両拳水月。右拳引いて……正拳中段突き!」
「「「「「押忍!」」」」」
「30本気合入れて!」
こんな感じで始まった部活動
平日は3時間。休日は6時間ほどやるみたいです
小百合は学校が終わると、すぐに家に帰っていた。
そして私服に着替え、すぐに出かける準備をしている。
「あら、今日も出かけるの?」
「うん。なんか元カレから呼び出された。」
「1人で大丈夫?危なくない?」
「大丈夫大丈夫。この辺で父さんとクソ兄貴に目を付けられるような事する奴はいないよ」
「あら、虎松とは仲悪いでしょう?」
「私が、周囲にクソ兄貴は超が付くほどのシスコンってデマを流してるからね。あの人外クソ兄貴も、使い方しだいじゃあ役に立つんだよ。」
「全く……お兄ちゃんを使うだなんて。誰に似たのかしらね?」
「知らない。いってきま~す」
今日はここまでです
乙!
結構面白い
期待
部活動が終わり、虎松は帰り支度を済ませて道場の鍵を職員室まで届けに行った。
この時間になるとほとんどの生徒は帰宅しており、まだ活動しているのは野球部と吹奏楽部ぐらいである。
「……ん?」
職員室に鍵を届け下駄箱に向かう途中、一つの教室から声が聞えた。
1年3組。電気は点いていないが、誰かいるのは間違いない。
虎松の聴力はかなり優れており教室内の人数、性別、会話内容は全て聞き取れている。
「や、やめて!」
「おら騒ぐんじゃねえ。おい、口抑えてろ」
「へへっ……良い身体してやがるぜ」
「この学校はレベル高い女が多いよな」
男子生徒が3人と女子生徒が1人
ナニをしようとしているかは容易に想像できた
ガラッ
虎松は躊躇なく教室の扉を開けた
鍵がかかっていた気がしたが、虎松の腕力にかかれば鍵なんて無いも同然だ。
「な、何だテメエ!」
男子生徒達は突然の来訪者と、その来訪者の外見に動揺しまくっている。
鍵がかかっている扉を無理矢理こじ開けて、身長210㎝の筋骨隆々な男が入ってきたのだから当然だ。
「3年6組の鬼柳虎松だ。テメエ等此処で何してんだ1年坊。とっくに下校時刻は過ぎてるぜ」
「き、鬼柳!?」
虎松が名乗ると、男子生徒達は一気に怯え始めた。
「あ、あの一人で100人規模の族を壊滅させたっていう……」
「その名前を言えば、巨大な極道組織の組長でもビビるっていう……」
「警察や自衛隊からも恐れられているっていう……」
「おい待て。誰だそんな噂流しやがったの」
虎松は男子生徒達に近付く
「ヒッ!?す、すいませんでしたああああああ!!」
男子生徒3人は半泣きになりながら教室(1階)の窓から飛び出し、全速力で走って行った。
「ったく……俺は化け物かよ。大丈夫かお前」
「え?あ、はい……。あ、ありがとうございます。」
「名前は?」
「あ、えっと、1年3組の川島涼子(かわしまりょうこ)です。た、助けていただき、ありがとうございます。」
涼子はそう言って頭を下げる
「おう。もう暗いから家まで送るぜ」
「え!?い、いいです!先輩の帰りが遅くなっちゃいますし……」
「構わねえよ。元々部活で遅くなるとは言ってるし、この状況で川島を一人で帰したりしたら男が廃るってもんだ。」
虎松の言葉は、身長と体格も相まって途轍もなく頼もしく聞こえる。
「……お願いします」
涼子は顔を赤くして俯きながら、小声でそう言った。
「おう」
【悲報】今回小百合の出番無し
期待
ただ悲報とか今回はここまでとか感想に対するレスとかは没入感が損なわれるので、本文のレスとは別にしてくれることを希望する
日が落ち、辺りはすっかり暗くなった。
川島の家は学校から10㎞ほど離れており、川島は自転車で通っているらしい。
「あの~先輩……」
「なんだ?」
「なにも自転車と並んで走らなくても……。私自転車下りて押しますから……」
「それだと川島が帰る時間が遅くなるだろ」
「い、いえ、もう既に遅いですし、両親にも電話で伝えましたし…」
「ふむ、それもそうだな。じゃあ晩飯食っていくか?腹減っただろ」
「え、でも迷惑じゃあ……」
「気にすんな。丁度部活終わりで腹減ってたし」
「で、ではお言葉に甘えて……」
小百合はとあるゲームセンターに来ていた
つい最近まで付き合っていた男に呼び出されたのだ
その男はこの辺りでは少々名の知れた不良だ
「で、何か用?」
「だから、俺んとこに戻ってこいっつってんだよ!」
「嫌だ」
「俺の何が不満なんだよ!?」
「短小、早漏、下手糞、乱暴、自己中、煙草臭い。それと、私犯罪者の彼女とか絶対嫌だから。」
「犯罪者ぁ!?俺がいつ犯罪犯したってんだよ!」
「まず未成年で煙草吸ってる時点で違法だし、無免許運転もしてるよな?それから今までの彼女は皆子供できたって知ったら捨ててきたそうじゃない。」
「なっ!?な、何でそれを知ってんだ!」
「私の情報網嘗めないでくれる?ま、そう言う訳でサヨナラ。あ、警察には言わないであげるから安心しな。」
小百合はそう言って店を出る
しかし不良やヤクザと言った輩は、自分の顔に泥を塗られるのが一番嫌いな連中だ。
それは小百合の元カレも同じで、怒り狂う彼が小百合をそのまま返す訳はない。
「ふっざけんなこのクソアマ!テメエ無事に帰れると思うなよ!!」
男は小百合の後を追って店を出て、後ろから小百合の肩を掴む。
「触んな」
瞬間、男の身体は宙を舞う。
男は何が何だか理解できず、何もわからぬまま地面と盛大にキスをした。
「護身ぐらいできないと思った?父さんとクソ兄貴の後ろ盾しか無いと思った?残念」
小百合はそう言って、倒れた男の後頭部を踏みつける。
「正式に習ってないだけで、私も武道は一通り習得してるんだよ。」
小百合は男の鳩尾と股間に蹴りを入れ、痛みで気絶した男を放置して家に帰った。
何故に付き合う前に調べなかったのか…
「せ、先輩。」
「なんだ?」
「夕食を食べに行くとは言いましたが……何故焼肉なんですか?」
虎松と涼子は、現在帰路から少し外れた焼肉屋に来ていた。
「ん?もしかして肉は嫌いだったか?」
「い、いえ!そう言う訳じゃないんですが……お財布が……」
「あぁ、気にすんな。俺の奢りだから」
「ふぇ!?そ、それは駄目です!こんな高いお店で奢ってもらうなんて!」
「だから気にするなって。俺、こう見えても結構稼いでるんだぜ?」
「で、でも……」
「それに、学校帰りに後輩に飯奢るってやってみたかったんだよ。」
「……解りました。危ないとこを助けてくれた先輩にそこまで言われたら断れません。ごちそうになります」
涼子は笑顔で一礼する
「おう」
「私、結構食べますよ?」
「ハッハッハッ!安心しろ、確実に俺の方が食う。」
「フフフ……そうですね」
2人は笑いながら店に入った
「いらっしゃい!って虎松じゃねえか。」
「ようオッチャン。二人な」
「虎松……お前彼女作るなら170㎝以上の子にしろって言っただろ。その身長差は彼女が可哀想だぜ?」
「かっ……彼女!?」
涼子は顔を真っ赤にして動揺する
「彼女じゃねえ、後輩だ。ちょっと訳有りで家まで送る途中なんだよ」
「なんだ、ビックリしたじゃねえか。で、その後輩ちゃんに晩飯奢ってやるのか?」
「まあな。席開いてるか?」
「開いてるぜ、もう晩飯時は過ぎたからな。嬢ちゃん、虎松の財布は心配しねえで好きなだけ食ってけよ。コイツ学生の癖にとんでもねえ額稼いでるからな。」
「はい。先輩にも散々気にするなと言われたので、気にしない事にします。」
2人は店員に案内され、他とは外観が違う個室に案内された。
「あの、先輩。何故個室なんですか?」
「この個室は大食い御用達の専用個室なんだ。テーブルの広さが他のとこの3倍で、肉を焼く網が4つ付いてる。」
「そ、そうなんですか……。」
「取り敢えず注文するぞ?何か頼んどくものはあるか?」
「あ……ご飯の中とコーラをお願いします」
「解った」
虎松は店員を呼ぶボタンを押す
この時間帯は客が少ないので、押してからすぐに店員が来た。
「ご注文を」
「豚とんとろ5人前、牛ミノ5人前、牛カルビ5人前、牛ホルモン5人前、国産牛上タン塩5人前、大トロタンステーキ5人前、ネギ塩上タン5人前、和牛ロース5人前、国産牛ハラミ5人前、和牛特選カルビ5人前、ご飯特大を15、ご飯中を1、コーラ1、麦茶をピッチャーで3。以上で」
「はい。ご注文繰り返します。いつものメニュー+ご飯中1つとコーラが1つですね。少々お待ちください」
店員は慣れた感じでサッサと戻って行った
「せ、先輩!?どれだけ頼んでるんですか!?」
「ん?いつもの量だが?」
「い、いつも……?」
乙!
「お会計70960円になります」
「なっ七万!?」
「ほい」
「70960円丁度お預かりします。レシートはよろしいですか?」
「あぁ。オッサンごちそうさま」
「おう、また来いよ!嬢ちゃんもまた来てくれよな!」
「は、はい!ごちそうさまでした!」
2人は店を出た
「せ、先輩……7万って大丈夫なんですか?」
「全く問題ない」
「そ、そうですか……。」
「よし。腹いっぱいになったし、そろそろ帰るか。」
「そ、そうですね。もうそろそろ10時ですし……」
「ただいま~」
「あ、お帰り小百合。晩御飯もうできてるわよ」
「クソ兄貴は?」
「虎松はまだ帰ってきてないわよ」
「そう。クソ兄貴の顔見ないで晩御飯が食べれるなんて、今日は良い日ね。」
「またそんな事言って。お父さんが聞いたらまた怒られるわよ?」
「いくら父さんに怒られても、嫌いなもんは嫌いなんだから仕方ないじゃん。それより今日の晩御飯は何?」
「焼きそばよ」
「やった。じゃ、早く食べよ!」
2人は涼子の家に到着していた
事情も全て話した
「虎松君!涼子を救ってくれて……本当にありがとう!」
「頭を上げてくださいよ川島さん」
「いや、しかし……」
「後輩を助けるのは先輩として当然ですよ。ではそろそろ帰りますので」
虎松はそう言って走り去って行った
「先輩……」
「涼子!虎松君なら父さんは許すぞ!」
「ふぇ!?」
「母さんも賛成よ。虎松君なら涼子を任せられるわ」
「ちょ、ちょっと待ってよ!虎松先輩の事が好きだなんて、私一言も言ってないじゃん!」
「あら、そんなに顔真っ赤なのに?」
「お母さん!」
乙!
「ただいま」
「あ、お帰り虎松。今日は結構遅かったわね」
「まあ、色々あってな。武蔵の散歩言って来る」
「は~い。行ってらっしゃい」
現在の時刻は午後10時30分
辺りは真っ暗で、田んぼや畑から聞えて来る虫や蛙の鳴き声が騒がしい。
何故こんな時間に犬の散歩に行くのか。その理由は鬼柳家の飼い犬、鬼柳武蔵の犬種にある。
シェンコッタ・ドッグ
インドのシェンコッタ原産の猟犬種のひとつ
トラ猟を専門として作られた犬種で、虎の成獣を仕留めるのに、シェンコッタ・ドッグ二匹で十分だったと言う。
虎が保護動物に指定されると、仕事が無くなり需要が激減。現在では絶滅したのではないかと言われている。
性格は主人に忠実で従順だが、勇猛果敢で攻撃的。主人以外にはまずなれないし、主人以外のしつけも受け付けない。
筋骨隆々で巨体。運動量が非常に多く状況判断力に富み、力が非常に強い。
鬼柳家は一応特別な許可を得て飼っているが、流石にこんな犬を昼間に散歩させるのは危険だという事で、日が落ちた夜中に散歩することにしている。
犬に限らず、動物と言うのは基本的に自分より強い者に本能的に従うようになっている。
武蔵は初めて見た時から、自分を虎松より下に位置付け、絶対に逆らわないようにしている。
「よし、行くぞ武蔵!」
ちなみに、武蔵の散歩にはリードは必要無い。
虎松が走り、その後ろを武蔵が全力で追いかけるという形だ。
しかしスタミナも速度も虎松の方が遥かに上なため、いつも帰りは虎松が疲れ切った武蔵を担いで帰る事になる。
「あれ、お母さん……武蔵は?」
「虎松が散歩に連れてったわよ」
「え、もうクソ兄貴帰って来たの?」
「帰って来たわよ。って小百合?その恰好……また出かけるの?」
「たまには私だって武蔵と散歩したいもん。でも、クソ兄貴が行ったんだったらいーや。ゲーセン行ってくるー」
「いいけど、明日も学校なんだから日付変わるまでには帰ってくるのよ?」
「は~い」
「ウィーッス」
「あ、虎松!」
「どうした?いつもよりテンション高いじゃねえか」
虎松と話している男子生徒だけでなく、クラス全員のテンションが高かった。
「お前知らねえのか?今日は転校生が来るんだぜ!しかも3人も!」
「一気に3人も転校生が来るなんて、珍しい事もあるんだな。」
「お前反応薄いな……だがこれを知ればお前もテンション上がるぜ!」
「なんだ?」
「なんと!転校生3人は全員超絶美少女という噂がある!!」
「転校生3人が全員?お前……ラノベと現実の区別はつけろよ」
「別にラノベと現実を混同してねえよ!お前こそ刃牙の登場キャラみてえな身体しやがって!」
そんな感じで虎松も騒がしいクラスの一員となったところで、教室の扉が開いて担任が入って来る。
「お前等席に着けー」
いつもより遥かに速いスピードでクラス全員が着席する
「もう既に知ってると思うが、今日はウチのクラスに転校生が3人来る。」
「先生!その転校生の男女比率は!?」
「全員女子だ」
「可愛いですか!?」
「それはお前等で判断しろ。じゃあ入ってきてくれ」
担任がそう言うと、扉が開いて3人の女子生徒が入って来る。
乙!
一番目に入って来たのは、黒髪で長髪の大人しそうな女子。背が高く、スラッとしたモデル体型の美少女。
二番目に入って来たのは、金髪でツインテールの気が強そうな女子。背が低くて童顔。
三番目に入って来たのは、茶髪でふわっとした髪型の天然そうな女子。背はそんなに高くないが、胸がデカい。
「じゃあ入って来た順に自己紹介をしてくれ」
「秋風小雪(あきかぜこゆき)です。皆さんよろしくお願いします」
「木下八重(きのしたやえ)。別によろしくしてくれなくても結構よ」
「九頭竜菫(くずりゅうすみれ)です。よ、よろしくお願いします!」
「よし。じゃあ3人共席に座ってくれ。授業を始めるぞ」
「え、転校生?」
「うん!3年6組と、私達2年8組に転校生が来るんだって!」
「へ~そうなんだ」
「どしたの小百合ちゃん?テンション低くない?」
「ちょっと寝不足でね……。でもどんな人なんだろうね?」
「噂だと超イケメンらしいよ!」
「イケメン……ねぇ。私、顔だけの男には興味ないんだよね~」
「もう!小百合ちゃんはいっつもハードル高いんだから!」
3年6組と同じように騒がしくなっている教室に、担任が入ってきて一気に静かになる。
「席座れー」
全員が席に座る
「もう知ってると思うけど、今日は転校生がいる。早速だが入ってこい!」
担任に言われて教室に入って来たのは、長身で細身の爽やかな雰囲気のイケメンだった。
「柊伊織(ひいらぎいおり)っていいます!皆、これからよろしく!」
昼休み
虎松は屋上でトレーニングをしていた
ちなみに本来なら屋上は立ち入り禁止なので、他に生徒が来る事はない。
はずだったのだが……
「鬼柳君。お弁当作って来たから……食べて?」
「つ、作り過ぎて余っちゃっただけなんだからね!」
「わ、私のお弁当も食べてください!」
何故か転校生3人が屋上に弁当を持ってきて、虎松に渡そうとしていた。
「お前等どこの回し者だ?」
虎松は呆れたような口調でそう言う
「え?」
「何言ってるの?」
「回し者って……」
「いやいや、こんなん俺じゃなくても怪しいと思うだろ。何で今日転校してきたばっかの奴等が、3人揃って1人に弁当作ってきてんだよ。それからな、俺の嗅覚嘗めてんじゃねえぞ?」
虎松の眼光が鋭くなる
「お前等から硝煙の臭いがプンプンする。普通の学生から……いや、堅気からそんな臭いがするなんて有り得ねえんだよ。それからその弁当」
虎松は放心している3人の手から弁当を奪い取る
「『非合法な薬』の臭いがプンプンするぜ?この臭いは最近開発された新種か?これを持ってるって事は……中国マフィアか。あれ、そういやあ中国マフィアの日本支部長で、日本人の中高生を男女問わず侍らせてる変態野郎がいたよな……お前等そこの刺客だろ。」
虎松が喋り終わると、3人の雰囲気が豹変する。
「チッ……まさか硝煙と薬の臭いが解るなんて……」
「仕方ないわね。そこまで知られてるなら、生かしておけないわ。」
「覚悟しろ……」
3人はスカートの中からナイフを取り出し、一斉に虎松に襲い掛かる。
「そ、そんな……」
「なんで……?」
「うそ……よね?」
ナイフを持った3人の攻撃を、虎松は避けなかった。
しかしナイフは虎松に刺さる事は無かった
何故なら、ナイフが虎松に触れた瞬間へし折れたからだ。
虎松の肉体は鋼鉄のように鍛え上げられており、ナイフはおろか弾丸すら通さない。
「無駄無駄。俺にそんな玩具は効かねえよ」
虎松はそう言いながら三つの弁当を開ける
「おぉ、かなり大量に薬混ぜ込んだなぁ。じゃ、いただきます。」
そう言って虎松は物凄い勢いで弁当を食べ始めた
「え!?」
「ちょ!?」
「なにを!?」
3人が驚くのも無理はない
先程、虎松自身が見破ったのだ。
『非合法な薬』が入っていると
しかし、虎松は何の躊躇も無くその弁当を食べ始めた。
「ごちそうさま」
そして数十秒で完食した
「ん?お前等何驚いてんだ?」
「い、いやいやいやいや!アンタ馬鹿なの!?なんで薬入ってるって解ってて食べちゃうの!?」
「食い物を粗末にする奴は屑。俺の持論だ」
「だ、だからって薬が入ってるのを解ってて食べるなんて……」
「別に問題ない」
「へ?」
虎松は腕を組み、自信満々な表情をする。
「俺にとっちゃあ『非合法な薬』なんて何の効果もありゃしねえ。俺は癌細胞より強いんだぜ」
「「「む、無茶苦茶だ……」」」
強すぎワロタ
見た目は子供、筋力は人外になったりしてな
「さて、飯も食ったし……残りの授業サボって寝るか。」
「「「はぁ!?」」」
虎松は3人の刺客を気にも留めずにその場に寝転がった
「き、貴様……どういう状況か解っているのか!?」
「解ってるぜ。マフィアに雇われた刺客3人が目の前にいる」
「そんな状況で寝る?嘗めてるのか!?」
「嘗める?いやいやまさかそんな。お前等を敵として認識してないだけだ。」
「それを嘗めてるって言うんだよ!!」
虎松の言葉に激昂した3人はナイフよりも遥かに刃渡りが長い短刀を取り出し、全力で斬りかかった。
しかし、結果はナイフの時と変わらなかった。
「だから無駄だって。お前等はガキが振り回す紙の剣で死ぬか?死なねえだろ」
「紙の……剣?」
3人は絶望した表情を浮かべて項垂れる
「まあ、寝る時に横でギャーギャー騒がれたら気持ちよく寝れんわな。」
虎松は立ち上がり、項垂れている3人の前まで行く。
「中国マフィアのことだ『鬼柳虎松の抹殺に失敗しました』だなんて言ったら、想像もつかねえような厳しい罰を受けるんだろうな。」
虎松の言葉に、3人はビクッと怯える。
「俺はお人好しじゃねえからな。お前等がどんな目に合おうが知った事じゃねえ……とっとと失せろ!」
「「「ヒッ!?」」」
虎松の威嚇に3人は本気でビビり、下の階まで全速力で逃げて行った。
効果が無いと言っていた虎松だが、薬の影響で身体に変化が起きていた。
髪と目の色が血の様な赤に変色した
しかし本人は気付いていない
「チッ……まさか鬼柳虎松があれほど規格外な化け物だったなんて!」
「完全に想定外だわ!薬も刃物も効果がないんじゃあ、私達で太刀打ち出来る訳ないじゃない!」
「で、でもどうする?鬼柳虎松が言ってた通り、このままだとボスに何て言えば……」
3人が階段を下りていると、踊り場である人物と遭遇して立ち止まる。
「お困りのようね……先輩方?」
「鬼柳小百合……?」
「嘘……アンタは鬼柳虎松に対する人質として、柊が捕えに行ったはず!」
「あのイケメン?中々だったわよ彼……」
「中々……?」
「何か私を人気のない教室に連れてって、口説いてくるもんだから(性的に)食べちゃった。顔に似合わず中々良いモノ持ってたわよ。まあ、張り切り過ぎちゃって腹上死しちゃったけどね」
小百合はそう言って微笑む
「それから、私を人質にしても何の意味もないわよ?」
「なに!?」
「私達、お互いに大っ嫌いなんだもん。いつも喧嘩していて、殺し合った事だってあるのよ?」
「じ、実の兄妹で殺し合いを……?」
「何か変かしら?よくアニメや恋愛小説なんかで『好きなったら性別も歳も、血のつながりも関係ない。』って言うじゃない?だったら、嫌いになったら血のつながりなんて関係ないんじゃないかしら?」
「く、狂ってる……」
楽しそうに笑う小百合に、3人は完全に恐怖している。
「恐がらなくてもいいのよ?貴女達を助けてあげるわ。マフィアからも警察からも、クソ兄貴からも。」
小百合は3人に手を差し伸べ、ニヤリと笑う。
乙!
「……本当に放課後まで寝ちまった」
虎松は授業が終わり、部活動が始まる時間帯に目が覚めた。
今日は虎松が主将を務める空手部は休みである
「帰るか」
虎松は屋上から出て、階段を下りる。
しかし、その行く手を阻む者がいる。
「お前等……折角見逃してやったのに懲りねえな」
それは先程虎松に威嚇されて萎縮し、一目散に逃げて行った3人の刺客だった。
「マフィアのボスにもう一度チャンスを貰ったのか?それとも、何が何でも俺を[ピーーー]か?」
「貴様とお喋りをするつもりはない!」
3人は懐から拳銃を取り出す
「ほぉ……いいのか?いくら授業が終わってるとは言え、まだ部活中の生徒がかなりいるぞ?」
「心配ない。発砲、1人の殺人程度なら揉み消せる程の強大な後ろ盾を私達は得た。」
「後ろ盾……アイツか」
「覚悟しろ!」
3人は一斉に発砲する
が、虎松は全ての銃弾を指で挟み取り、指の力で捻り潰した。
「よし解った……。お前等全員ぶちのめす」
『えー次のニュースです。本日未明、指定暴力団天道組との手を組んでいたとされる、所謂中国マフィアの事務所が襲撃され、構成員全員が死亡しました。また、駆け付けた指定暴力団天道組の組員5人も死亡しており、警察は内部抗争の可能性があるとして捜査を進めています。』
テレビのチャンネルが変わる
「チッ……やっぱマフィア如きじゃあクソ兄貴は殺せないか」
小百合はバスタオルで身体を拭きながら、自室に設置されているテレビのチャンネルを次々と変えている。
「どうするかな~……世界中の軍隊と特殊部隊と警察組織が手を組んで、全力で殺しにかかったら殺せるだろうけど、マフィア操るのとは次元が違う。実現不可能よね……」
小百合は身体を拭き終わり、パジャマに着替えてベッドにダイブする。
「邪魔するぜ小百合」
「なんだよクソ兄貴入ってくんなよ。なに?妹に欲情して夜這いでもしにきた?キッモーイ」
「んなわけねえだろクソビッチ。テメエの発想の方がキモイわ」
「なにマジになってんの?そういうとこがキモイんだよ童貞」
「喧しいわ。テメエの初めての援交はいつだ?小3だろうがこのヤリ●ンマセガキクソビッチが」
2人は自然と近づき、超至近距離で睨み合う。
その迫力は凄まじく、この場に居合わせたらどんなに精神力が強い人間でも逃げ出すだろう。
「ってこんな事言いに来たんじゃなかった」
「なによ?」
「マフィアの刺客を丸め込んで、銃持たせて襲撃させるたぁ中々面白い事してくれんじゃねえか。」
「ハッ!次こそは殺してやるから覚悟しけよ」
「そのセリフは69753回目だぜ。ま、期待しないで待っとくわ。」
虎松はそう言って自室に戻った
小3はワロタ
乙!
最強兄妹の、最悪兄妹仲。
いつも読んでくださってありがとうございます
えーと、誠に申し訳ない事なのですが作者体調不良により、少しの間更新停止させていただきます。
楽しみにしてくださってる方々。本当に申し訳ありません。
治り次第更新再開します
お大事に!
日曜日
休日で部活が無いのにも関わらず、虎松は相変わらず早朝からトレーニングをしていた。
「997……998……999……1000」
虎松がやっているのは『腕立て』ではなく『指立て』
100㎏の鉄塊が入った巨大な鞄を背負い、両手の親指だけでやっている。
「虎松。ちょっといいか?」
虎松がトレーニングをしている途中に、父親である鬼柳五兵衛が部屋に入って来た。
「なんだ親父?俺の部屋に来るなんて珍しいな」
「あぁ……実はお前に頼みたい事があってな」
乙!
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