葉山「だから俺は君が嫌いだ、比企谷」 (190)
『失って初めて気付く大切さ』と言うと少し大仰かもしれない。
ただ、今になって思えば、奉仕部は俺にとってかけがえのないものであった。
いつまでも続けばいいと思えたあの平和な日々だったが、時間は残酷なほど正確に進んでいく。
生きとし生けるものに対し平等に課せられる時間の経過は、すべからく俺たちにも適用され。
俺たちは総武高校を卒業し、それぞれの未来へと歩み始めた。
誰かが言った。『時間が一番残酷で優しい』と。
誰かが言った。『けれども、その時間を優しくするのも残酷にするのも所詮は人間なのだ』と。
目を閉じ、奉仕部の一員として過ごしてきた高校時代を思い返す。
身体の奥底。心がじんわりと暖かくなるのを感じる。
誰かの言葉を真に受けるのであれば。
俺は時間を優しいものに変えることが出来たということだろうか。
楽しいことばかりでは無かった。楽しいこと以上に辛いことが多かった。
……それでも。
俺の高校生活は――
「ふぅー、さっぱりした。あ、お帰り比企谷。シャワー借りてたぞ。」
「……おい」
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「遅かったな。今日はバイトだったのか?」
「……そうだよ」
「そっか、お疲れさん。悪いけど今日泊まらせてくれ」
「泊まらせて『くれ』っていうことは俺に許可を求めているんだよな?俺がお前の宿泊の可否を決めていいんだよな?」
いつの間にか俺の部屋の合鍵を作り、家主が不在の部屋に上がりこみ、勝手にシャワーを使い、ジャージにTシャツという寝る気満々の格好をしてどの口がほざくか。
「まぁそう固いこと言うなって」
「ったく。せめて事前に連絡ぐらい寄越せ」
「ははは、ごめんよ。」
「……それで?今日はいったいどうしたんだ、葉山。」
海老名さんがこのスレを見つけたようです
はやはちキマシタワー
はやはちとはわかってらっしゃる
はやはちの香りがする(歓喜)
嫌よ嫌よも好きのうち…愚腐腐
高校を卒業した俺たちはそれぞれの未来へと歩み始めた。
雪ノ下と葉山はそれぞれ国内でも有数の偏差値を誇る都内の国立大学へ。
由比ヶ浜と三浦もそれぞれ都内の短大へ。
戸塚はかねてから進学を希望していた有名私大の埼玉のキャンバスへ。
川崎は千葉の国立大学に合格し、見事学問と家庭の両立を成し遂げた。
材木座は俺たち奉仕部の三人に安易な理由で進学先を決めるなと吊るし上げにあったにも関わらず、それでもなお行きたいのだと涙を流しながら進学を希望した都内のアニメ専門学校に入学を果たした。
そして俺も、まぁそこそこ名の知れた有名私大にひっかかることができた。
そして、俺の合格を心から喜んでくれた小町と両親に家を追い出され、都内のアパートにて一人暮らし始めて早一年半。
炊事家事全般をやらねばならない面倒くささと小町のいない寂しさに死んでしまうかと危惧していた入学直後のあの頃。
しかし人間の環境適応能力を侮るなかれ。
こんな俺でさえ、半年を過ぎるころには一人での生活にも慣れていき始め、
住めば都とは良く言ったものだと先人の言葉に感心していた矢先、俺は驚愕の事実を知る。
都内に進学し、一人暮らしを始めた者たち全員の生活圏がかぶっていることに。
一人暮らしを始めた者たちが皆、互いの部屋を気軽に行き来できるほどに近くに住んでいたことに。
気づいたときには手遅れなわけで。
始めに部屋に訪れてきたのは雪ノ下と由比ヶ浜なわけで。
その後材木座が来るようになったわけで。
由比ヶ浜から話を聞いた葉山が三浦を連れてくるようになったわけで。
いつの間にか雪ノ下も由比ヶ浜も葉山も、あの三浦でさえ暇さえあれば一人でくるようになったわけで。
(三浦と二人きりは正直きまずいのだがなぜか長居していくんだよなぁ……。)
二年になってからは同じく都内の大学に進学した一色も入り浸るようになったわけで。
どこからか話を聞いたのか城廻先輩も顔を出すようになったわけで。
気がつけば我が城は地域のコミュニティセンターと化していたわけで。
そんな中、とりわけ俺の部屋に来る回数が多いのが……。
「疲れてるだろ比企谷。晩飯まだか?俺が作っておくから先にシャワーでも浴びてきなよ」
こいつ、葉山隼人なわけで。
「キッチン借りるぞ。あ、あとこのパスタもらうぞ。」
いつの間にか勝手知ったる我が家のように振舞うようになったわけで。
「そろそろ油がなくなりそうだな。後で買ってくるか。あ、トイレットペーパーも買っておくか。」
俺の部屋の生活用品の在庫状況に俺よりも詳しくなっていたりするわけで。
……というか俺は早々に自炊生活ギブアップしたからな。調味料に関してはお前が使ってるだけだからな。
これは通い主夫ですわ
???「これだけの通い妻がいるにも関わらず隼人くんを選ぶなんて・・・キマシタワ-」
「……ごちそうさん。」
「ああ、お粗末さま。」
「ったく、俺の部屋は終電を逃したときのホテルじゃないぞ。」
「いやぁ、悪い悪い。」
「それにこの時間ならまだ終電が残ってるだろ。飲み会のあとで帰るのがめんどくさくなったからってうちに来るなよ。」
「ははは、だからごめんって。それよりホラ。」
「……?なんだこの箱?」
「雪乃ちゃんと結衣から聞いたよ。きみ、先週誕生日だったんだって?」
「だから、ちょっと遅いけど。誕生日おめでとう。比企谷。」
そう言いながら微笑んだやつの顔は、同姓である俺ですら見とれてしまうほど美しかった。
「お、おう……ありがとな。」
「ふふっ、どういたしまして。」
顔が熱くなっているのがわかる。
「……これ、開けていいか?」
気恥ずかしさをごまかすように話を振る。
「もちろん。」
ああ^~
葉山がゆきのんのことを「雪乃ちゃん」と言うあたり平和な未来の話なのかね
それはそうと愚腐腐腐腐…
いいゾ~これ
「これ……時計か?」
比較的小さめのシンプルな文字板に、明るい茶色の幅の細めな皮のバンド。
どちらかというと女性向けなデザインの、俺好みのシンプルな腕時計。
「君には派手なものよりそういうシンプルなものが似合うと思ってね。」
「でもいいのか?これ高かったんじゃ……?」
「決して安物ではないけどそんなに高いものでもないよ。気にしないでくれ。」
「……ありがとな、葉山。」
「……どういたしまして、比企谷」
「さて!プレゼントも渡したことだし……!!」
パンと手を叩き、立ち上がった葉山の行く先は冷蔵庫。
「比企谷八幡の成人を祝して飲むか!!」
ゴトンと、戻ってきた葉山が手にしていた二つの缶をテーブルに置く。
ちょっと高めのビールだこれ。
「へいへい。ご相伴に預かりますよっと。」
プシッという水音が二つ、室内に響く。
「……では、比企谷八幡20歳の誕生日を祝って、乾杯!」
「乾杯。」
わけでわけでうるせー
>>19
北の国からネタが通じない時代になってしまったわけで…
……。
……。
……。
「う、うぅ……。」
頭いてぇ。
なんで俺床で寝てるんだ?
今何時だ?
今日バイトあったっけか?
っていうかなんで部屋がこんな散らかってるんだ?
……ああ、頭いてぇ。
重い身体をなんとか起き上がらせる。
テーブルの上に置かれた腕時計で時間を確認する。
9時27分。
バイトのシフト表を確認する。
今日は11時30分から。
シャワーを浴びて部屋を片付けて……まぁ間に合うか。
……ん?
……この腕時計、一体誰のだ?
ガンガンと鈍痛が響く頭を押さえ、耳を澄ませると規則的な水音が聞こえる。
誰かがシャワーを使っている。
部屋に散乱したビールの空き缶。
女性向けのデザインのシンプルな腕時計。
少しずつ、昨日の出来事を思い出す。
あー。
意外と好きだわ
そうか、昨日は葉山と二人で飲んで……。
こんなベロンベロンになるまで飲んだのは久しぶりだな。
日本経済や中東の紛争問題なんかについてしょーもない激論を交わした気がする。
……あいつと酒を飲むようになって気づいたこと。
葉山隼人は、酔っ払うと人と討論をしたがる。
「……なんてめんどくさいヤツだ。」
口をついた言葉とは裏腹に、俺の口角は吊り上がっていた。
「今日はバイトは何時までなんだ?」
「20時30分だな。賄いも食べてくるつもりだから帰りは22時頃だと思う。」
「そうか。俺も午後から用事があるから昼過ぎには帰らせてもらうよ。」
「悪いな。片付け押し付けちゃって。」
「これぐらい別にかまわないさ。いつも部屋を提供してもらってるんだからね。」
「んじゃ、行ってくるわ。」
「ああ、行ってらっしゃい。」
「……あ、そうだ比企谷。」
「なんだ?」
「その時計……似合ってるぞ。」
「うるせー、ばか。」
……。
……。
……。
バイトを終え、帰路につく。
部屋の下まで来ると、誰もいないはずの部屋に明かりが灯っている。
ドアの前に立つと、部屋の中から漏れ聞こえてくるかしましい女性の声。
ふたつ……、みっつ、いや四人か。
ドアの前で肩を落としていると、俺の帰宅を察したのかドアが開かれる。
「あ、先輩お帰りなさい。お邪魔してまーす!」
……勘弁してくれ。二日連続はさすがにきつい。
明日仕事でそろそろ辛いんで寝ます。
そんなに長くならない予定です。
では。
おつ
八幡は大学でボッチだろうから高校からの繋がり残ってよかったな
奉仕部は永遠に不滅です
いいよいいよこういう平和な話すごくいいよ
頑張ってくれ、応援してる
確かに溜まりやすい部屋ってのは
存在するからな。
こういうss待ってたんだよ!期待!
同姓・・・結婚してるのか(驚愕)
海老名さんわきすぎワロタ
はちはや♂いいぞ~コレ。
俺腐ってないけど、はやはちの関係性は好きだよ
他人との距離は近いけど絶対越えられない壁を作ってる隼人が、唯一見下し、認め、嫌ってる八幡ってのがいい
俺腐ってないけど、このSSみたいな素の隼人を引き出せるのは八幡しかいないんだとおもう
俺は腐ってないけどな
スレタイがスレタイだからシリアスに行きそうな予感するけど、この日常パート最高に面白いから長らく続いてくれよなー
頼むよ頼むよー
いやこのスレタイはシリアスに行かないんじゃ……
抱かれながら涙を流し言っていると予想→はちはや
サキサキは俺と学生婚したのかな
擬態どころか分裂しているのですが
シリアスかと思ったらはやはちだった(歓喜)
いいぞもっとやれ
こんな爽やかなはやはちがあったとは…!
期待
すまない
海老名さん以外は帰ってくれないか?
AA略
素晴らしい、頑張ってくれ
断っておくが、俺は今の生活が嫌いではない。
大学やバイトから帰ってくると誰もいないはずの部屋に明かりがついていて、俺がドアを開けると誰かがおかえりと言ってくれる。
くだらない話をしながら夜を明かし、また次の一日をごきげんな気分で迎える。
恵まれていると思う。
だが、
そんな仲間に囲まれた毎日がとても愛おしいと思う反面、
同じくらいに、俺は一人でいることが好きだ。
鍵を差し込み、部屋のドアを開ける。
誰もいない部屋。
真っ暗な部屋。
静寂が支配する部屋。
なぜと聞かれてもはっきりとした答えは出せないが、
家主の帰宅を迎え入れるこの物寂しさが、たまらなく好きだった。
持っていたカバンを暗闇の世界に放り投げる。
蛍光灯のリモコンを手探りで見つけ、スイッチを入れる。
夜の帳はたちどころに雲散し、世界は金色の光に包まれる。
ただいま、俺。おかえり俺。
そしてそんな俺を迎えてくれる、
ベッドで寝息を立てている大学いちねんせい。
えー。
「前から思ってたんですけど。」
もっちゃもっちゃとクレープを食べながら口を開く小悪魔系美少女(自称)。
物を食べながら喋っちゃダメって教わらなかったのだろうか。はしたないわね。
「先輩って変わりましたよね。」
「ん?そうか?」
もっちゃもっちゃとクレープを食べながら口を開く目が腐ってる系男子(他称)。
あらやだ俺もはしたない子だったのね。
「目の濁りがなくなりました。」
どうやら俺は唯一のアイデンティティ(他称だけど)をいつの間にか失っていたらしい。
はやはちスレ……捗りますね
帰ったらベッドに美少女が寝ている……
どこのエロゲ?
音立てて食事とかキャラ崩壊させすぎ
>>53
口を閉じてても無音ではないし
そもそも小説なんかではよくある
表現方法なんだが
よりによってそこ突っ込む?
材八はないのか!?
「っていうのはまぁ冗談ですけど。いや、ほんとに濁りはなくなったんですけどね。」
ケラケラと楽しそうに笑う一色。
嫌味のひとつでも言ってやろうと思ったが、あまりにも楽しそうに語るのでそのまま喋らせてみる。
「なんというかその、雰囲気が柔らかくなった気がします。」
「あの頃の先輩は近寄りがたい雰囲気がありましたよね。」
「抜き身の刀というか、寄らば斬る!!的な感じの。孤高の存在みたいな?」
「でも話してしまえばそんなことは全然なくて、とっても意地悪で面白くて実は意外と熱血漢で、ドライなキャラ気取ってるくせにその実超ウェットとか何がしたいのかわかりませんでしたよ。」
「……でも、」
「……でも、今ならわかります。あの時の先輩の気持ちが。」
「本当は寂しかった。」
「本当は仲間が欲しかった。」
「そう、先輩は本当は本物が欲しかった。」
「でもわからなかった。」
「本物はいったいどこにあるのだろうか。」
「どれだけ求めても本物は手に入らない。そもそも本物は本当に存在するのだろうか。」
「……もしかしたら、本物なんてものはこの世に存在しないのかもしれない。」
「怖かった。」
「真実を知ることが怖かった。」
「本物が無いということを見せ付けられるのが怖かった。」
「誰よりも本物を求めていながら、誰よりも本物を求めることを恐れていた。」
「ふふっ。夢占いの得意なおじさんの有名なアレみたいですね。」
「ヤマアラシのジレンマはフロイト先生の言葉じゃないぞ。引用していただけだ。」
「まぁ言ってしまえばアレです。女性に変な幻想を抱く童貞みたいな?」
「……処女がいっちょまえに男を語るんじゃねーよ。」
「しょ、しょしょしょ処女じゃありませんー!!」
20歳超えてるし居酒屋行っても問題ないな
「……でも良かったじゃないですか。」
「先輩の苦労は報われました。先輩の努力は、苦悩は無駄なんかじゃありませんでした。」
「本物は確かにありました。」
「今の先輩こそが本物です。雪ノ下先輩や由比ヶ浜先輩、葉山先輩こそが本物です。私こそが本物です。」
「これも一重に先輩が諦めなかったからこその賜物です。」
「……本当に良かったですね、先輩。」
「って先輩私の話聞いてます?聞いてました?今私かなりいいこと言いましたよ!?なんか反応薄くないですか!?」
「ん?ああ、聞いてる聞いてる。」
「ちょー投げやりだし!!」
キーッ!!っと、髪をガシガシとかき乱す一色。
いや、実際俺もそう思ってるよ。
たださ、
そういうことをさ、面と向かって言われるとさ、なんだか恥ずかしいじゃないか。
平和な世界っていいよね(先生は結婚できたのだろうか‥
「もう寝ます!真面目な話して損した!!ベッド借りますから先輩は床で寝てくださいね!!」
「いやもう寝ますじゃねーよ。帰れよお前!!」
「寝ます!!寝ますったら寝ます!!」
ポイポイーっと、カーディガンを脱ぎ、靴下を脱ぎ、俺に投げつける。
「コラ、脱いだ服はたたみなさいっていつも言ってるでしょ。」
「おやすみなさい!!」
「おま……。」
どうやら一色さんはかなりご立腹のようだ。ごめんな。
「……しょうがない、俺も寝るか。」
一色が土産に買ってきたクレープ。その最後の一口を無理やり頬張る。
脱ぎ捨てられたカーディガンを軽くたたむ。
床に横になり、蛍光灯のリモコンをオフにする。
……ああしまった。寝る前に歯磨いてないや。
もう遅い。まぁいいやしょうがない。
身体中ににいつまでも残り続ける甘い気持ち。
果たしてそれは、クレープによるものか、一色の言葉によるものか。
「おやすみ。」
「……おやすみなさい、先輩。」
いまさらで申し訳ないですが「こんなの俺のヒッキーじゃない!!」って思う人がいるかもしれませんがお許しを。
おやすみなさい。
俺のヒッキー(意味深)
八幡に!!は要らないだろ
お許しをって書いてあんだろ
割と別ベクトルだけど材木座と同じ位の距離感には葉山置いてるよね八幡
おっつおっつ
おっつおっつ
割と別ベクトルだけど材木座と同じ位の距離感には葉山置いてるよね八幡
八幡の家にいれば隼人が来ると信じて待ち続けるあーしさんかわいい
こういう青春も嫌いじゃないよ!
「ヒッキーってさ、白鳥みたいだよね。」
「……は?」
「表向きはなんでもない風を装っているけど実は見えないところでチョー努力してるところとか。」
「急にどうした。話の脈絡がなさすぎてびびるぞ。」
「んふふー!!」
「お前……少し飲みすぎじゃないのか由比ヶ浜。」
「いいのいいの!ヒッキーと飲むのも久しぶりだし、今日はたくさん飲もー!!」
先週もウチに来てましたよね由比ヶ浜さん??
「最初のころはね、ああ、なんて不器用な人なんだろうって思ったんだけどさ。」
「んん?なんの話だ?」
「白鳥の話!ヒッキーの話!!」
「お、おう……。」
「いつも誰かのことばっかりで、自分のことなんて気にもとめない。」
「人のことに対してはいつも全力なのに、自分のことに関してはからっきし。」
「誰かのためにと……人一倍考えて、人一倍働いてるのに誰も評価してくれない。」
「すごくそんな役回りの人なんだなぁと思ってた。」
誤:「すごくそんな役回りの人なんだなぁと思ってた。」
正:「すごく損な役回りの人なんだなぁと思ってた。」
「本当は嫌な思い、つらい思いをたくさんしてるのにそれを表に出さない。」
「悩んでいることがあってもそれを誰にも相談しないで一人で苦しんでて。」
「いつだって一人ですべてを背負い込んで。」
「私ね、そんなヒッキーがちょっと嫌だったんだ。」
「……知ってた。」
「ヒッキーはもっとみんなに評価されるべきだ。認められるべきだってそう思ってた。」
「……知ってた。」
「でもまぁ、そんなヒッキーもいいかなって最近は思えるようになってきた。」
「知って……え?」
「みんながヒッキーの悩みに気づかなくても。」
「みんながヒッキーの頑張りを見てなくても。」
「みんながヒッキーの良さを知らなくても。」
「私だけは、ヒッキーのことを見ていよう。そう思うようにしたんだ。」
「そう思えるようになってから、なんだか身体がスッと軽くなった気がする。」
「だから私はね、私だけはね。」
「いつまでもいつまでも、ずっとずっとヒッキーの頑張ってるところを見ているからね。」
「えへへ。」
満面の笑みでとんでもないことをのたまう由比ヶ浜。
これは俺の思い上がりだろうか、気持ち悪い勘違いなのだろうか。
いや、そんなことはない。
由比ヶ浜は気づいているのだろうか。
そう、お前が言っていることは、まるで――
「あっ、ヒッキー!ヤバい!!」
今の今までふにゃふにゃヘラヘラと楽しそうに飲んでいた由比ヶ浜が急に立ち上がる。
「……どうしたよ。」
「私吐きそう!!」
「……トイレ行って来い。」
トイレに駆け込む由比ヶ浜。
ほどなくして聞こえてくるえずき。
オロロロロロー。
……千年の恋も冷める瞬間。
いや、俺は別にこれぐらいじゃ冷めないけどね。
なんかいいこと言ってたけどそこからのギャップでちょっとドン引きしただけだからね?
いやちょっとドン引きってなんだよ意味わかんねぇな。
そもそも千年の恋とか言っちゃったけどそれはアレだからね。違うからね。言葉のあや的なやつだからね。
……って俺はなに自分で自分に言い訳してんだ。
「……ふっ、はははっ。」
「あはははははっ!!」
「お゛ぇ゛ぇぇぇぇ。」
……。
……。
……。
「……落ち着いたか?」
「……うん、わりと。」
「飲みすぎだ。」
「……うん、だね。」
「アホかお前。」
「……うるさいし。」
「水飲むか。」
「……うん、飲む。」
「うぅ……、気持ち悪い。」
「気持ち悪いよぉヒッキー。」
「自業自得だ。仕方ない。」
「ヒッキー気持ち悪い。」
「その言い方は語弊があるからやめなさい。」
「ヒッキーマジキモい。」
「……悪意しか感じられなくなったぞオイ。」
「ふふふっ。」
「あー、楽しいなぁ」
なにげなく発した由比ヶ浜の一言が耳に残る。
「ヒッキーはさ、今の生活楽しい?」
そんなこと決まってる。
こんな素敵な女の子に想いを寄せられて。
あんなに多くの仲間に囲まれて。
休む暇もないほどの騒々しい毎日が。
「……楽しくないわけないだろう。」
「あーあ、なんでそういう言い方しかできないのかなー。」
言葉とは裏腹に嬉しそうに笑う由比ヶ浜。
ああ、こんな日々がいつまでも続けばいいのに。
とりあえず乙
乙
どうでもいいけど閉じカッコの前に句読点はいらないと思う
内容がないようww
中身スッカスカすぎワラタww
>>87
氏ね
ヒロインがゲボる作品は良作の法則
はよ
あねのんが言っていた信頼よりももっと酷い関係な件
それがこの世のほとんどなのに何いってんだろうな
嫌らなもう命を絶った方が楽だろう
なにそのピノ子みたいな口調
マダー?
やつらが俺の部屋に訪れるのは時間にすれば午後10時を過ぎた頃が多く、そのまま泊まっていくまでがセットになっていた。
だからだろうか、今日はバイトがあるのかと確認のメールが来て、今日はないと答えたときも、彼女が来るのはそれぐらいの時間だろうと勝手に思っていた。
なので、午後7時を過ぎた頃に呼び鈴が鳴ったときは少し驚いた。
とはいえ無碍にする理由もないので素直に部屋に招き入れる。
「こんばんは、比企谷くん。少し飲みましょう?」
クイと、荷物の入ってるであろうトートバックを掲げる女性。
彼女の名は、雪ノ下雪乃。
トートバックから顔を出していたので、ソレの存在はわかっていた。
雪ノ下が土産として持ってきたものは、日本酒一瓶とつまみとなる乾き物数点。
日本酒はあまり飲んだことがないのだが、別に嫌いというわけでもない。
せっかくのお土産だし、ありがたくご相伴に預かる。
お猪口なんて気の利いたものはないし、冷でいくのも熱燗でいくのも面倒だ。
というわけで、適当なコップに常温のまま注ぐこと2名分。
「んじゃ、乾杯。」
「ええ、乾杯。」
カツン、と部屋のなかに乾いた音が響き渡る。
コップに注いだ量はそんなに多くない。
景気づけの意味を含め、一気に中身を飲み干す。
「……美味いな、コレ」
「あら、そう?」
味の違いを語ることができるほど日本酒飲んでいないし、そもそも俺の舌も肥えてはいない。
ただ、それでも。雪ノ下が持ってきた辛口のこいつがとんでもなく美味なものであることはわかった。
「そう言ってもらえると姉さんも喜ぶわ。」
「ん?どうして陽乃さんが出てくるんだ?」
「このお酒、姉さんがくれたのよ。」
「いいお酒が手に入った。比企谷くんもきっと気に入るはずだから二人で飲みなさいって。」
そう語る雪ノ下の顔はとても嬉しそうで。
その笑顔はとても眩しくて。
そんな彼女を見ているととても幸せな気分になって。
でも、そんな気持ちを口にするのはとても野暮な気がして。
だから俺は、最低限の言葉で彼女を労う。
「そうか、良かったな。」
俺の意を汲んでくれたのだろうか。彼女も目を細め、ただ一言俺に返す。
「……えぇ。」
互いに空になったコップに二杯目を注ぎあう。
今日の雪ノ下は珍しくよく喋る。
やれ姉さんがまたくだらないいたずらをしただの、やれ大学の男連中に粉をかけられているだの。
内容こそ愚痴のようではあるが、その喋り口はとても楽しそうで。
まるで小学生の子供がその日の出来事を母に楽しそうに報告しているかのようで。
自己が確立されていなかった、姉の後追いしかできない人形のような17年の人生の空白を取り戻そうとするような勢いで。
彼女はとてもいきいきと生を謳歌していた。
19歳になり、ますます大人びて美しくなってきた容姿とは裏腹に、少女のように純真な心。
そんな彼女を肴に飲む酒だ。不味いわけがないよな。
ん?未成年が酒を飲むな?
そんな野暮なことは言うなよ。
「それでね、姉さんったらまた隼人くんに……。」
「……って、私の話を聞いているのかしら?比企谷くん。」
「……あぁ、聞いてるよ。聞いてるさ。」
「どうかしら。さっきから私の話は上の空で物思いに耽ってるみたいだったけど?」
……なんだよ気づいてたのか。っていうか気づいていながら話をしてたんですね。
ゆきのんどんだけ喋りたいのん?
「いや、少しお前のことを考えていたんだよ。」
「な、なっ……!?」
「お前、変わったなぁと思ってさ。」
「……。」
出会った頃の雪ノ下には、他人を寄せ付けない凍てついた厳かな雰囲気があった。
友など、仲間など、自分には不要だと。そう言わんばかりの張り詰めた雰囲気があった。
それが今はどうだろうか。
凛とした雰囲気こそ残っているものの、あの時のような他者への刺々しさはどこにもない。
名を表していたかのような凍てついた冬のような冷たさは微塵も感じられない。
当時の俺は、当時の雪ノ下に憧れににた感情を抱いていた。
彼女のような気高き孤高の存在を美しいと感じていた。
だが、蓋を開けてみればそんなものはただのまやかしだったわけで。
俺が抱いた身勝手な雪ノ下像こそが、彼女自身を深く苦しめていたわけで。
そんな借り物の、偽りの自分との決別ができたのだと、今の雪ノ下を見ているとそう思える。
変わるということは、悲しいことなのだろうか。
変わるということは、失うということなのだろうか。
変わるということは、裏切るということなのだろうか。
あの時の俺は、俺たちは変わることを恐れていた。
変わることのない、優しさを装った欺瞞と偽りに満ちた空虚な逃避を求めた。
そんな間違った関係を終わらせることができた今だから言える。
変わるということは、何も怖いことではないのだと。
もちろんこれからの人生の中で、変わるということに対する認識が改められるかもしらない。
願わくば未来の俺よ、どうかそのときは恐れず受け入れて欲しい。
こいつらの関係が好き
「……私、変わったかしら?」
「ああ、お前は変わったよ。雪ノ下。」
「ふふふ、そう。だとしたら、それはきっと比企谷くんのおかげ……。」
「……いえ、比企谷くんのせいね。」
「……俺の?」
「そう、あなたのせいよ。」
「私がこうなってしまったのはすべて貴方のせい。」
「……だから、責任を取って欲しいわね。」
「貴方は姉さんを、隼人くんを救ってくれた。」
「そしてなにより、私を救ってくれた。」
「アダムとイブに与えられた禁断の果実のように、パンドラが開けてしまった箱の中に残された希望のように。」
「灰色だった私の世界に、貴方は鮮やかな色彩を与えてくれた。」
「世界がこんなに美しいものだなんて知らなかったわ。」
「今はね、もう毎日がとても楽しいの。」
「こんな楽しみを知ってしまったら、もうあのころになんて戻れない。」
「由比ヶ浜さんが、一色さんが、三浦さんが、みんながいないあのころになんて戻れない。」
「そしてなにより、貴方がいないあのころになんて戻れない。」
「……好き。好きよ比企谷くん。」
「ほかの誰よりも、なによりも好きよ。」
「……なんて、少し柄にもなく喋りすぎてしまったわね。ごめんなさい。」
「謝ることなんてないさ。別に何も困ってやいない。」
「少し飲みすぎてしまったわ。だから口が軽くなってしまったのかもね。」
「なら仕方がないさ。酒に酔ってるんだからな。」
「そうね、私酔っているのかもしれないわ。」
そう、酒というのは便利な代物で。
普段は口に出来ないような言葉でも、すんなりと口に出させてしまう不思議な魔翌力がある。
そんな魔法の水に頼ることは悪いことなのだろうか。
大切に思っているからこそ、なかなか口に出来ないこともある。
身近にいるからこそ、口に出すのが憚られることもある。
そういった言葉を、想いを伝えられるようになるのだから、俺は悪いことではないんじゃないかと思っている。
そういえば、俺の彼女たちに対する酔いはいつになっても醒めることはないよな。
なんてキザなことを考えてみたりする。
アカン、これは絶対口にしちゃいけない恥ずかしいやつだ。
そんなくだらないことを考えながら、かくして夜は更けていく。
……結局、雪ノ下の持ってきた陽乃さんオススメの逸品は一晩で空になってしまった。
最初に書いておけば良かったのですが、キャラクター毎に話を区切っています。
導入、一色いろは編、由比ヶ浜結衣編、雪ノ下雪乃編といった感じに。
この八幡告られたのに随分と落ち着いてるな
乙です
期待しています
「……好き。好きよ比企谷くん。」(友達として)
おつおつ
いい雰囲気書くなぁ
じゃんけんぽんの掛け声とともに、皆が一斉に腕を突き出す。
数回のあいこを経たのち、勝敗は決する。
多くの人がグーを出す中、チョキを出している者が二人。
そう、俺と三浦由美子である。
「やったー!じゃあ二人とも買い出しよろしくねっ!」
「買い出しに行くぐらいならやぶさかでもなかったのだけれど、勝負事だものね。」
歓声を上げて勝利を喜ぶ由比ヶ浜に、ドヤ顔で勝利を誇る雪ノ下。
「あ、じゃあ先輩。私ハーゲンダッツのイチゴお願いしまーす。」
「あ、私は抹茶味が食べたいなぁ。」
酒を買い足すという話だったのに、早速脱線した注文を始める一色と城廻先輩。
「悪いな比企谷。家主なのにこんな役お願いしちゃって。」
いやもう本当だよ。
「あ、ありがとうございましたー……。」
ピロリロリローンという電子音と、店員のお姉さんの疲れきった声に見送られコンビニを後にする。
右手には酒類の入ったビニール袋、左手にはアイスや重めのつまみが入ったビニール袋。
そして三浦の右手には乾き物などの比較的軽めなつまみの入ったビニール袋。
「……今のお姉さんさ、絶対ドン引きしてたよね、」
「そりゃこんだけ買えばな……。」
「つーかみんな飲みすぎじゃない?」
「いや、それよりも俺の部屋に集まりすぎだからねお前ら。」
六畳半の1Kだぞ俺の部屋。そんな狭い空間に何人集まってんだよ。
「仕方ないじゃん。店飲みは最近年齢確認が厳しいんだからさ。」
「だからと言ってもなぁ……。」
「まぁ別にいいじゃん。」
「こうやってヒキオの部屋でみんなで飲むの、すごく楽しいしさ。」
「……。」
そんないい顔でそう言われてしまうと返す言葉が出ない。卑怯なヤツめ。
「こりゃ明日はお隣さんに謝りにいかないとだな……。」
あまり騒がないようにはしているものの、それでもやっぱり騒々しくしてしまっているのだろう。
「お隣さんってあのおかっぱで眼鏡かけた地味っぽい女の子?」
幸い俺の部屋は角部屋で、隣接する部屋が一つしかないことが救いではある。
加えて隣人の女性は比較的落ち着いた方で、こちらのお祭り騒ぎにも理解を示してくれ……。
……っておい。
「なんでお前がお隣さんのこと知ってんの?」
「……は?知ってるに決まってるじゃん。なに?ヒキオってご近所付き合いとか大切にしないタイプなの?」
ジトリとした――言外に「ひくわー」とでも言ってるかのような目で睨まれる。違う、そうじゃない。
「いや挨拶とかめっちゃするっつーの。普通近所付き合いしてるっつーの。」
「そ。なら別にいいんだけどさ。」
いやいやだからそうじゃなくてだな……。
「……なんでお前が俺の部屋のお隣さんのことを知ってるんだって。」
あ、さっきと同じこと言ってる。なんだか馬鹿っぽいぞ俺。
「……は?」
それに対し三浦は、俺の言っていることに意味がわからないといった様子で答える。
「いやだってヒキオの知り合いじゃん?ヒキオの部屋に入り浸ってるあーし達だって挨拶しとかないと失礼でしょ。」
……うーん。やっぱりこいつは変なところでしっかりしてるなぁ。
「ヒキオの部屋訪ねたときに結構すれ違ったりするしね。」
「マジか。」
「挨拶がてら軽い世間話もするわよそりゃ。」
「マジか。」
「私たちの名前も覚えてくれてるっぽいし。」
「おいマジかよ。」
「でさ、これはあーしの想像……というか勘なんだけど。」
「ん?」
「あの人、多分ヒキオに惚れてるっぽいよ。」
「はぁ?まさかぁ。」
「いや割とマジで。」
「……おいマジかよ。」
聞きたくなかった真実。
毎朝顔を合わせて挨拶してるんだぞ。バイトから帰ってきたらお帰りなさいって言ってくれるんだぞ。
……これからどんな顔して付き合っていけばいいんだよこの野郎。
「とは言っても、まだあんまりガチな感じじゃなくてなんとなくいいなーって思ってるレベルだと思うけど。」
「お、おう……。」
「まぁまだそんな段階だし。ヒキオも普段どおり接してあげればいいと思う。」
「逆に変に意識するのも自意識過剰っぽくてキモいし。」
それが出来たら苦労しない。さらっと難しいことを言ってくれるなコイツ。
「……ただ、さ。」
「もしあの人がヒキオに本気になって、本気でアプローチをかけてきたならさ。」
「……そのときは逃げたりはぐらかしたりせずに、正面から受け止めてあげて欲しい。」
ああ、そうだ。これが三浦由美子という人間だ。
その派手な外見とは裏腹に、まるで母親であるかのような世話したがりの性格。
高飛車で棘のある物言いをしつつも、あまり敵を作らない理由。
彼女は誰に対しても平等に評価する。それが十年来の親友であっても、出会ったばかりの見知らぬ人であっても。
フィルタをかけることなく、己の心情に従い正直にその人を評する。それが三浦由美子たる所以。
そんな人から友人だと認められている自分が、ただひたすらに誇らしい。
故に、裏切りは許されない。
彼女は俺に逃げるなと言った。
それはとりもなおさず、俺が逃げるような人間ではないと評価してくれたからこそだ。
言うなれば、三浦由美子から比企谷八幡への信頼の証。
その信頼を裏切るわけにはいかないのだ。
「……ああ、わかった。努力するよ。」
「フンッ!!」
「アッ!!」
三浦のローキックが俺の脛に決まる。痛い、ちょっとマジで痛い。
「努力するじゃなくて絶対にするんだよバーカ。」
頑張りましたけど駄目でしたでは許されない。過程ではなく結果が全て。
いやぁなかなか無茶をおっしゃることで。
「……わかったよ。そのときが来たら逃げずに受け止める。それでいいだろ?」
「最初からそう言えっつーの。バーカ。」
ケタケタと楽しそうに笑う三浦。
「だいたいさ、ヒキオあんたちょっと自覚した方がいいよ?」
「ん?なにをだ?」
「……それマジで言ってんの?」
「マジに決まってんだろ。」
「……。」
左手を額に当て、深くため息をつく三浦。
いやいいから。そういう私今呆れてますアピールいいから。
「んで、いったい何の話だよ。」
「あーコレマジなやつか。めんどくさっ。」
チッと舌打ちの音が聞こえる。素敵な女性だとは思いますがやっぱり怖いです三浦さん……。
「……あんたさ、結構モテてんの知ってる?」
「え?誰が?」
「だからあんただって。ヒキオ。比企谷八幡がモテてるっていってんの。」
ははは、またまた。コイツ抜かしおる。
「あーしさ、大学の友達からよく男紹介してくれって言われるんだけどさ。」
「その七割から八割ぐらいは隼人のことなんだけど、残りの二、三割はあんたのことなんだよね。」
「すげーな葉山。モテモテじゃん。」
「トゥス!!」
「あんっ!!」
左手人差し指でわき腹を突かれる。変な声が出ちゃうから止めて。
「そういう冗談はいいから。」
「はい……。」
「あんたもともとの顔は悪くないし、昔みたいな目つきの悪さや根暗な雰囲気もなくなったしね。」
「今のヒキオ、結構いい感じだと思うよマジで。」
「たまにさ、都内であんたと鉢合わせてお茶したりするじゃん?多分そこを見られてたんだと思う。」
「そういうわけだから、あんたにはあーしに感謝して欲しいくらいだわ。」
「え?俺全然紹介してもらってないんですけど?」
「あんたが本気で紹介して欲しいって言うならいくらでも紹介するわよ。あーしの友達みんないい娘だし。」
「でもさ、あんたそんなつもり全くないでしょ?だからあーしが断ってあげてるわけ。」
「あんたの本命はあの三人のうちの誰かなんでしょ?」
「これはあーしの勝手な意見だけど、あの三人なら誰と付き合ってもヒキオは幸せになれると思う。」
「ただ、誰かを選んだのなら、残された二人にはちゃんと引導を渡してあげて欲しい。」
「……それがあんたの、あの三人から想いを寄せられているあんたの人として最低限の礼儀だと思うからさ。」
「もしまかり間違って三人全員に振られるようなことがあったらあーしに言ってよ。」
「あーしがあの三人に負けないようないい娘を紹介してあげるからさ。」
「……三浦。」
「ん?」
「お前の気持ちはすごく嬉しいんだけどさ、俺もう付き合ってるぞ?」
「えっ。」
「えっ。」
「マジで?」
「マジで。」
「だ、誰と?」
「ちょっと耳貸せ。」
「う、うん……。」
ゴショゴショゴショ……。
「……え、そうなんだ。」
「……他の二人はこのことは?」
「知ってるに決まってるだろ。お前が言ったとおり、それが最低限の礼儀だと思ったからな。」
「ふーん、そっか。それでも今の関係を続けてるんだ。」
「三人が望んだことだ。もちろん俺も。それとこれとは別の話だってな。」
「……そっか。そっかぁ。」
「……ヒキオさ、あのときのこと、修学旅行のこと覚えてる?」
「戸部と海老名さんのことか。」
「そう。」
「ヒキオもわかってたと思うけどさ、あのときのあーしは怖かったんだ。」
「戸部が姫菜に告って、振られて、そのせいであの関係が壊れてしまうことがさ。」
「だって言うのに、あんたたちはそれを平然と乗り越えてるわけだ。」
「そりゃあ残された二人からすれば色々と思うところはあるかもしれない。それでもあの娘たちは逃げなかった。」
「なんていうか、あのときのあーし達が馬鹿みたいだね。」
「……いや、そんなことは無いさ。そう考えるのが普通だ。」
「実際あのときの俺はお前らのことを心底軽蔑していたよ。そんな薄っぺらい上辺だけの関係にこだわってなんになるってさ。」
「でも、自分が同じ立場に立たされたとき、俺はお前らを馬鹿にすることができなくなった。」
「そういった矛盾を孕んだ偽りの関係をバレンタインのイベントで陽乃さんに馬鹿にされたとき、俺は反論することが出来なかった。」
「間違っていることは自覚していた。でも俺はその間違いを正すことが怖かった。」
「……でも、今なら言える。」
「あのときのあの関係は間違いなんかじゃなかった。俺が、俺たちが本物の関係になるために必要なものだったんだって。」
「あれは本物を得るために必要な過程のひとつだったんだよ。」
「生まれながらに完璧な人間なんていない。本物が欲しいと願ってすぐに手に入るものじゃない。」
「俺や陽乃さんは、そこを履き違えていた。答えを急ぎ過ぎていたんだ。」
「楽しいこと、面白いことばかりじゃない。」
「そういったことの何倍も辛い事、悲しいことがあった。」
「でもそれらを乗り越えてきたからこそ、今の俺たちがある。」
「……言葉にしないと伝わらないことがある。言葉にしても上手く伝わらないこともある。」
「互いの想いが上手く伝わらず、歯がゆい思いをしたことがあった。争いになったこともあった。」
「それでいいんだ。みんな自分の意思を持った人間なんだ。誰かの言うことを反芻するだけの人形じゃないんだ。」
「そういう全部をひっくるめて、今の俺たちの関係があると思うんだ。」
だ、誰?
気になる
雪乃じゃないの?
少なくとも俺はそう感じた
ヘドが出るほどの偽善ですね^ ^;
ヒッキーが一番嫌いそうな
結衣だろ
戸塚だよ
これは相模ですわ
サキサキに決まってんだろ!
いろはもうメインヒロインなのか
「だからいいんだ。争いがあって当然なんだ。すれ違いがあって当然なんだ。」
「変わってしまうことを、失うことを恐れるのは間違いじゃないんだ。」
「いずれ変化や別れは必ず訪れる。望まれなくともやつらは必ずやってくる。」
「問題とすべきはそっちなんだ。」
「変わってしまったものを受け入れろなんて言えない、失ってしまったものを忘れろなんて言えない。」
「それでも、俺たちは今を生きていかないといけない。」
「過去に思いを馳せても何も戻ってこない。未来に希望を持ってもそれは不確かなものだ。」
「受け入れられないならいつまでも捨てずに持ち続けろ。忘れられないならいつまでも覚え続けろ。」
「すぐには答えが出ないかもしれない。でもいつかは答えを出さなければならない。」
「時間は俺たちを待ってはくれない。俺たちの都合なんかお構いなしに次から次へと荷物を押し付けてくるだろう。」
「それでも、俺たちは逃げることが許されない。荷物を受け入れて下ろすことは許されても、荷物を持つことを放棄して捨てることは許されない。」
「考えて、考えて、考え抜く。結局俺たちに許されているのはそれだけなんだ。」
「それこそが、今を生きる自分の、自分と共に今を生きる仲間たちに対するただひとつの誠実さなんだと思う。」
「三浦、お前はそれから逃げることはしなかった。」
「悩んで悩んで悩みぬいて、涙で顔をぐしゃぐしゃにしながらもお前は自分の恐れと向き合い続けた。」
「その結果が今なんだよ。」
「だから……いいんだ。お前の悩みはとても尊いものだったんだ。それだけは誰にも否定することができない。」
「今のお前を構成する立派な過去のひとつなんだよ。」
「……俺はそう思う。」
「……。」
三浦のぽかんとした顔で我に帰る。
……やってしまった。
平塚先生の説教癖がうつってしまったのだろうか。少し喋りすぎた。
「……ふぅん。」
「悪いな。少し喋りすぎた、調子に乗っちまった。」
「なんで?別に謝るようなことじゃないっしょ?」
「そう言ってもらえると……まぁ助かる。」
「むしろ良かったよ。あんたの考えが聞けて。」
「ヒキオ、あんたもけっこうイイ男じゃん。」
「だろ?」
「ハッ、調子に乗んなバーカ。」
「さて、喋ってたせいで時間くっちゃったし、さっさとヒキオの部屋に戻りますかー。」
「ああ、だな。」
二人で並んで夜道を歩く。
高校時代からすれば考えられない光景だろうが、間違いなくこれは現実だ。
幾千、幾億の人々の中からこいつらと出会えた奇跡に感謝を。
安っぽいJ-POPの歌詞のような言葉が自然と頭に浮かび上がる。
ゆらり揺れる夏の陽炎。そういった手にすることの出来ない空虚なものだと思っていた本物の関係。
それは今、確かに俺の手の内にあり、
俺が両の手に持つ荷物の重みを殊更際立てていた。
深夜、ふと目が覚める。
まどろむ頭を抑えて身体を起き上がらせると、そこには惨憺たる光景が広がっている。
あれだけの大宴会の後だ。雪ノ下と三浦が寝る前にゴミを片付けろとがなっていた記憶があるが、この様子だと二人とも志半ばで力尽きてしまったのだろう。
明日の片付けが面倒だと気分を沈ませていると、横たわっている人間の数が一人少ないことに気付く。
なぜだろうか。
俺が目を覚ましたのは本当にただの偶然だ。それまでは死んだように眠っていたはずだ。
だというのに、変な確信がある。
あいつが俺を呼んでいると。
抜き足差し足。
眠っている連中を踏みつけないように歩を進め、眠っている連中を起こさないように玄関のドアを開ける。
外に出て、そいつがいるであろうアパートの正門の方へ。
果たしてそいつは俺の予想通りそこにいて。
予想通りに俺を待っていた。
「お、起きたか。ちょっとここで飲みなおさないか、比企谷。」
まさか葉山と付き合っ……突き合ってるのか!?
の、残された2人って言ってたし…
はやはちキター!
残されたふたりは戸部と材木座だよ
いやここで唐突に出現する静ちゃんの可能性
もまだ微粒子レベルで……
い、いや、だから三人...
あーしさんは優美子ですよ
「乾杯。」
「乾杯。」
「それにしても今日は飲んだな。みんな酔いつぶれるなんて初めてじゃないか?」
「少しハメを外しすぎだ。ありゃみんな明日が辛いぞ。」
「いいじゃないか。俺たちも来年は三年生だ。後ろ倒しになったとはいえ就職活動が見えてくる。みんなわかってるんだよ、こんな日々がそう長く続かないってことに。」
「そう長く続かない、か……。」
「そうさ、だからみんな今を精一杯生きている。未来になって、今の生活が遠い過去の話になったとき、悔いを残さないために。」
人の印象は日々更新され続けている。
一緒の時間を生きて、一緒に成長し続けていればわかっていく。
いつだったか、平塚先生からそんな言葉を贈られた記憶がある。
大学に進学し、友人と呼べるものが出来た。アルバイト先でも、友人と呼べるものが出来た。
あの頃の俺から比べれば随分社交的になったものだと感心する。
それでも、いや、だからこそ。
あの頃の、俺たち三人だけの奉仕部を思い返すと、なんとも言えない暖かい気持ちとわずかながらの寂寥感が胸に込みあがってくる。
己の胸に問おう。
あの頃の毎日に悔いはあっただろうか。
己の問いに答えよう。
そんなもの、あろうはずがないと。
今の俺にとって、あの頃の思い出は何者にも変え難い大切な宝物だと。
>>145
ごめん
脳内変換お願いします
「そういえば、買い出しから帰ってきてから優美子の機嫌がいやに良くってさ。比企谷なにかしたのか?」
「いや、別に?」
「本当か?怪しいな。」
「なんだ葉山、お前もしかして嫉妬でもしてんのか?」
「あぁ、そうだよ。」
「ぶふっ!!」
「……マジで?」
「ああ、大マジさ。」
やっぱり!(歓喜
「比企谷、一本吸ってみないか?」
そう言うと、葉山はジーンズの尻ポケットから小さな箱を出す。
「お前……、いつから煙草なんて吸うようになったんだ?」
「いや、俺は吸ってないよ。この前総武高に顔を出したとき、平塚先生からもらったんだ。」
「男同士のかっこつけた話し合いをしたいときに相手と一緒に吸いなさいってさ。」
なるほど、だからセブンスターか。まったくあの人らしい。
「俺も吸うのは初めてさ。お前も付き合えよ。」
「へいへい。」
未開封のビニールをちぎり、煙草を咥え火をつける。
大きく息を吸い込み、煙を肺の中に満たす。
「ゴホッゴホッ。うーん、おいしくないなぁ。」
「まぁいいさ、ホラ、比企谷も。」
煙草の箱を投げてよこす。
俺も葉山に倣い、煙草を一本加えるが……。
「……おい、ライターもよこせって。」
「悪いな、さっきのでガスが無くなっちゃったみたいだ。」
「はぁ?何言ってんだ。それじゃあ吸えないじゃないか。」
「ばーか、火はここにもあるじゃないか。」
トントンと、葉山は自分が咥えている煙草を人差し指でつつく。
……おいおいマジかよ。
「かっこつけて話したい気分なんだよ。付き合えって。」
顔を近づけあい、互いに咥えた煙草で口付けをする。
大きく息を吸い込み、葉山の煙草から火種をもらう。
「シガーキス、シガレットキスって言うらしいな。」
「少し気取りすぎだ。俺には似合わない。」
「そうか?結構似合ってると思うけどな?」
そんなことを言われても全然嬉しくない。
「比企谷……、お前煙草吸ったことあるのか?」
「いいや、ないけど。お前と同じで今日が初めてだ。」
「そっか、なんだか様になってるからさ。なんだか平塚先生を見ているみたいだ。」
やっぱりこれは…ぐ腐腐
「で?何の話だったっけか。ああそうだ、俺が君のことをどれだけ嫌いかっていう話だったな。」
「そんな話だったか?」
葉山にしてはらしくない冗談だ。
だが、そんな俺の考えはすぐに間違っていると気付かされる。
「ああ、そういう話だったはずさ。」
まったく、自分の学習能力の無さには呆れさせられる。
葉山らしいとは、いったいどういうことなのだろうかと。
アニメ最終回までには終わらせたかったけど無理っぽい。
ごめんなさい、おやすみなさい。
乙です
この雰囲気好き
海老名さんがホモの臭いに釣られて発生します
海老名さん、もう始まってるよ!
はやくはやく‼︎
ホモホモする→海老名さん出現→捕まえて2人で食べる(性的に)
これが丘でする海老釣りである
雰囲気が良くて面白いんだけど読んでて悲しくなってくるのはなんでだろう
リア充どもめ…
>>160
平塚「まあまあ、飲んで忘れようじゃないか…………忘れようじゃないか……………………クソッ、クソッ!」
BLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBLBLBLBLBBLBLBLBL
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呼んだ?
こういうのは誰が彼女でもいいと思える
好き
ぐ腐腐腐腐……やっぱりはや×はちが一番イイネ!
「いつだって君はそうだった。」
「君の言うこと、君のやることはすべて正しかった。」
「君が立ち上がるたびに、俺は俺を否定された。」
「いつだって君は正しく、いつだって俺は間違っていた。」
「……わかるか?俺の気持ちが?俺という人間のあり方を、人生のすべてを否定された俺の気持ちが?」
「そんなつもりはない、そんなことはない。君はそう言うだろう。」
「わかっているさそんなこと。俺のこの考えがただの独りよがりだってことぐらい。」
「それでもさ、ダメなんだよ。頭と気持ちがリンクしないんだ。理屈ではわかっていても、心がそれを受け付けない。」
「君が誰かを救うたびに、君が誰かを変えるたびに、君自身が傷つくたびに、俺は否定され続けてきた。」
「……だから俺は君が嫌いだ、比企谷。」
……なんて。とんでもないことをとんでもない笑顔で言われてしまった。
雪ノ下雪乃が闇を抱えていたように、雪ノ下陽乃が闇を抱えていたように。
葉山隼人という男もまた、大きな闇を抱えていた。
絶対に相容れることがないと思っていたその男とその思想。
だがその実、俺とやつのそれは同じところから端を発しているのではなかろうか。
本物を求めているからこそ偽りを嫌悪する男。
本物が手に入らないならと偽りを求める男。
起点だけを見れば、当人たちが思っているほど違いはないのかもしれない。
だが、互いの胸の内ですくすくと育っていったそれは、出逢ったときにはもはや完全な別の思想となっていた。
二つの思想が出遭ったとき。それは即ち葉山隼人という人間が俺の存在に気づいたとき、俺が葉山隼人という人間のあり方の片鱗に触れたとき。
あのとき、葉山はもしかしたら俺に対してわずかながら共感を持ったのかもしれない。仲間意識を感じたのかもしれない。
無意識なのだろうが、それはきっと俺も同じだったはずだ。
誰にも理解されない、わかりあえないと諦めていた己の理想。
その道を共にする人間が現れたのだと互いに興味を持ったのかもしれない。
だが、いざ相手の思想に触れてみればそれはまったくの別ものだったわけで。
それはなんと残酷なことなのだろうか。
期待をしたからこそ、夢を見てしまったからこそ、それが裏切られたときの喪失感は計り知れないものとなり。
可愛さ余って憎さ百倍。淡い夢想は漆黒の炎へと変わってしまった。
ああ、なんて滑稽なことだ。
俺と葉山隼人があそこまでいがみ合い、互いを嫌悪した理由。
なんてことはない。
それはただの同属嫌悪だったのだ。
雰囲気もいいし話の内容も原作っぽい
いい…
自然と笑いがこみ上げる。
「クッ、ククッ、クックック……。」
だ、駄目だ。まだ笑うな……こらえるんだ……し、しかし……。
我慢しているのに我慢しきれないためか、変な笑い声が口の隙間から漏れ出る。
これにはさすがの葉山くんもドン引き。
いや違うそうじゃない。そんな場合じゃないんだ。
大きく一度深呼吸をし、気持ちをリセットさせる。
「そうか、お前は俺のことが嫌いか。」
「思えば前にも同じことを言われた気がするな。」
「だがな、葉山……。」
「俺の方がもっとお前のことを嫌いだ。」
言い切ると、二人の間に広がる静寂の世界。
数瞬遅れて、葉山が意を理解する。
「……プッ。」
「ハッ、ハハハッ。」
「あははははははっ。」
葉山の笑いにつられ、耐え切れず俺も噴き出してしまう。
「あはっ、ははははははははっ!!」
深夜の住宅街に響き渡る野郎二人の笑い声。
なんて近所迷惑なんざましょ。
「……なんだ、きみも気づいていたのか。」
「まぁな。」
「くだらない理由でいがみあってたんだな、俺たちって。」
「くだらなくなんてないさ、そういう出来事があったからこそ今の俺たちがある。」
「……そういういつも上から目線なところも比企谷の嫌いなところだ。」
「……そういういつも気取ったところも葉山の嫌いなところだ。」
再び噴き出す俺たち。
「……比企谷。俺は君と出遭えてよかったよ。」
「……俺も、お前と出遭えてよかったと思ってるよ。葉山。」
と、不意に葉山が握りこぶしを突き出す。
「……これからもよろしくな、相棒。」
「……え、それ俺も付き合わなきゃダメ?」
「言っただろう。今日はかっこつけたい気分なんだって。」
そういうのは葉山がやるから様になるわけであって、俺がやったらただの痛い子になっちゃうというのに。
だがまぁ、付き合うのもやぶさかではない。
なぜなら、俺も今猛烈にかっこつけたい気分だからな。
「……ああ、こちらこそ。相棒。」
拳と拳の、男同士の無骨なキス。
俺の拳の初めての経験だった。
おしまい
相変わらず誤字脱字がひどいですがそこは脳内で補完してください。
一点修正するとしたら>>106の魔翌翌翌力→魔翌力ですね。
あとはもう疲れてチェックしきれない。
長い間お付き合いいただきどうもありがとうございました。
過去に書いた作品も良かったら読んでください。時間の経過がおかしかったりと今じゃ黒歴史ですが。
結衣「由比ヶ浜結衣の決意」
以上、失礼いたします。
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ぐふふ。続けてもいいのよ
修正の書き込みすらも間違ってるし!!!
魔翌翌翌力→魔翌力です……。
あと既に指摘されてるけど由美子→優美子も。
>>173
仕事の合間に書くのはしんどいっす……。
また今度別のお話作ります。
では今度こそ。
なんなのこれ……。
なんかフィルタでもかかってるの?
「まりょく」なんで念のため。
なんか最後の最後で締まらない感じになっちゃったけど今度こそ本当に失礼します。
どうもありがとうございました。
メール欄にsagaを入れると魔翌力も魔力になるよ
おつ
結局相手は葉山だったか…
乙
すごく良かった
ヒッキーが誰と付き合ってるのかは想像に任せる系なのね
終わったなら依頼出しときな
■ HTML化依頼スレッド Part32
■ HTML化依頼スレッド Part32 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1434928982/)
唐翌揚げ
お疲れ様です
この物語好き
めっちゃ良かった
なかなか良かった
ハッピーエンドは良いね
ただ恋人はご想像におまかせか…ゆきのんか、ガハマさんか、いろはすか………葉山もありうると(白目)
作者です。
といってもトリップつけてないので証明しようがありませんが。
皆様乙ありがとうございます。
>>177
フィルタの件、私も調べました。
先に確認しておけばよかったですね。
ありがとうございます。
>>180
こちらも知りませんでした。
どうもありがとうございます。
ただ、せっかくなのでこのスレを再利用して別のお話をまた書こうと思います。
スレ立て直すのが面倒なので……。
それが終わったら依頼を出すことにします。
では。
次のお話を書く前に。
解説というのもおこがましいですが、葉山某のお話について。
既におわかりかもしれませんが、もし全ての問題が都合よく解決されたのならというIFのお話です。
原作にて逃げることは悪いことではないと考えていたヒッキーが逃げることを否定したら、
依頼を受けて立ち上がるという受動的なスタンスから、仲間のためにと自ら立ち上がる能動的なスタンスになったらと考えて書きました。
結果、完璧超人ヒッキー、ヒッキーハーレムとなってしまいましたがそれは私の性癖なのでご容赦ください。
ご都合主義であったとしても、すべての人たちが救われるお話が大好きなんです。
お話として八材、八海老も書きたかったのですが体力的に諦めました。
ヒッキーが誰と結ばれたかはどうとでもとれるように書きたかったのですが、
三ヒロインのうち私が一番好きなキャラが誰なのかが露骨にわかってしまうような書き方になってしまったのが心残りです。
おおー、この事を聞いて嬉しいです
次作も期待しています
八…材…?
期待の唐翌揚げ
戸塚と小町がそんなに出てなくて悲しい
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