ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ高坂穂乃果「ホノカダヨ」 (51)

希「こ、これがハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ高坂穂乃果……」

希「なんちゅう存在感……」

バタン!

穂乃果「今日もパンが上手い!」

希「おぉ、本人の登場や」

穂乃果「? って何それっ!?」

希「ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ高坂穂乃果や」

穂乃果「ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ高坂穂乃果?」

穂乃果「何かドヤ顔してるのが気になるけど、確かに私に似ているね」

希「せやね」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1433490151

穂乃果「誰がこんなの持ってきたの?」

希「ウチが部室に来た時には、すでにいらっしゃいましたで」

穂乃果「と言うかこんなグッズあったんだ……」

希「ゲームセンターの景品で、結構有名になってきているんやで」

穂乃果「μ'sが有名になるのは良いことだけど、なんだか私がドヤ顔しているみたいで嫌だな」

希「ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ絢瀬絵里も絶賛稼働中や!」

穂乃果「……絵里ちゃんもドヤ顔しているの?」

希「せやで」

穂乃果(スクールアイドルグッズはいつも謎が多いよね。闇が深いのかな?)

穂乃果「それじゃあ、誰が持ってきたのか分からないんだ?」

希「まぁ、ええやん。和むし」

穂乃果「威圧感半端ないです」

希「?」

穂乃果「きっと希ちゃんもハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ東條希が出たら気持ちが分かるよ」

穂乃果「って言うか、この正式?名称長いなぁ! もう!」

希「可愛くてええやん」

バタン!

凛「今日もラーメンが美味しい! って、何それ!?」

希「ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ高坂穂乃果や!」ドヤッ

凛「すっごいにゃ!」

穂乃果(やっぱりフルネームで呼ぶんだ、そのぬいぐるみ)

凛「誰が持ってきたの? 穂乃果ちゃん?」

穂乃果「私は持ってきたくないよ。ドヤ顔だし、おっきいし」

凛「希ちゃん?」

希「No!」

凛「謎だね。でも可愛いから良いにゃ」

希「せやね」

穂乃果(今時の若者の流行って分かんない)

希(凛ちゃんを少しからかいたいんや!)ピコーン

穂乃果「希ちゃんが悪い顔をしている……」

希「凛ちゃん、実はな」

凛「にゃ?」

希「このハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ高坂穂乃果こそ、穂乃果ちゃんの本体なんや!」デデーン

凛「なんとにゃ!?」

穂乃果(また希ちゃんがてきとうなこ──)

穂乃果「」

希「なーんて冗談……って穂乃果ちゃん!?」

穂乃果「」バタン

凛「穂乃果ちゃん! くっ……間に合ったにゃ」

希「ナイスやで!凛ちゃん!」

凛「穂乃果ちゃん……?」

希(辛うじて倒れきる前に凛ちゃんが抱きかかえてくれたんやけど……)

希「穂乃果ちゃん! 穂乃果ちゃん!」

希(意識がない!? いったいどうしたって言うんや)
 

凛「……」

希「穂乃果ちゃん! なぁ、穂乃果ちゃん、目覚まして、や」

凛「希ちゃん。どうしたの?」

希「どうしたって──」

凛「重いからこの ぬ い ぐ る み は置いておくね」

希「はっ……?」

凛「ねぇ、穂乃果ちゃん。希ちゃんは何に驚いているのかにゃ?」

ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ高坂穂乃果「ホントダネ」

希「!?」

ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ高坂穂乃果「ノゾミチャン、ソノヌイグルミダレガモッテキタンダロウネ」

希(な、何が起こっとるんや。ぬいぐるみがしゃっべとる? ありえへん。ウチ夢でも見とるんかな?)

バタン!

海未「穂乃果! また仕事を放りだして!」

ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ高坂穂乃果「ウゥゴメンナサイ」

海未「ほら、行きますよ」

ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ高坂穂乃果「ダレカタスケテー」

希「う、海未ちゃん。なんでそのぬいぐるみを持っていくん……?」

海未「ぬいぐるみなら、そこに座っているじゃないですか? それにしても精巧なぬいぐるみですね」

希「海未ちゃんが持っているのがぬいぐるみやよね……?」

凛「なんか希ちゃんの様子がさっきからおかしいにゃ」

海未「希。疲れているのかもしれません。少し休んでも良いんですよ?」

希「お、おかしいやん! なんでそのぬいぐるみが穂乃果ちゃんなん!? な、なぁ、穂乃果ちゃんからも何か言って」

ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ高坂穂乃果「ツカレテイルンダヨノゾミチャン」

希「」

希(ウチは海未ちゃんたちに諭され、家へと帰った)

希(これは悪い夢だったんやと、ずっと自分に言い聞かせて)

希(……そして、翌日)

希「穂乃果ちゃん」

希(部室には人間の穂乃果ちゃんが置き去りにされていた)

希(息もしている。体温もある。そう、こっちの穂乃果ちゃんが本物なんや)

希「なぁ、穂乃果ちゃん。これは夢なんかな?」

ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ高坂穂乃果「ユメジャナイヨ」

希「ひいっ!?」

ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ高坂穂乃果「ソンナヌイグルミハホウッテオイテホノカトオハナシシヨ」

希「嘘や嘘や嘘や嘘や嘘や嘘や」

希(ウチは悪い夢から逃れるために屋上へ向かった。……初めて授業をさぼってしまった)

希(少しでも眠ればこの夢から覚めるのだろうか)

希(少し眠ってしまったんやろか。お日さんが頭の上にあった)

希(すがるような気持ちでウチは部室に向かった)

穂乃果「」

希「ひっ!?」

希(だらんと弛緩しきった穂乃果ちゃんの身体。そして)

ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ絢瀬絵里「」

希「ひぃっ!!?」

バタン

絵里「こらぁ、希。授業をさぼってここに居たの?」

希「え、えりち……?」

絵里「どうしたの!? 顔が真っ青じゃない!?」

希「なぁ、えりち。ここにおる穂乃果ちゃんはぬいぐるみなん?」

絵里「? ええ、ずいぶん大きなぬいぐるみよね。誰がもってきたのかしら?」

希(えりちもダメなんか。一体何が起こっとるんや)

絵里「あら? 随分ふてぶてしい顔をしているけど、私のぬいぐるみかしら?」

希「ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ絢瀬絵里やで……」

絵里「長いわ名前が」

希(はっ!?)ピキーン

希「えりち、先に誤っておくで」

絵里「え?」

希「実はえりちの本体はハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ絢瀬絵里なんやで」

絵里「何言って──」

絵里「」

バタン

希(き、昨日と同じや)

希「え、えりち?」

ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ絢瀬絵里「ナニノゾミ」

希(思った通りや。ウチが言った冗談が現実になってしまっている)

希(と言うことは……)

希「穂乃果ちゃんの本体はハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ高坂穂乃果ではないんや!」

穂乃果「……お腹すいたよぉ……」

希「穂乃果ちゃん!」

希「ごめんな、ごめん! 本当にごめんなぁ」

穂乃果「? よく分かんないけど、パンが食べたいなぁ……」

希「少しだけ待っとってな。えりちの本体はハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ絢瀬絵里ではないんや!」

絵里「……あら? 何か変な夢でも見たのかしら……?」

希「やったー! 成功や!!」

絵里「?」

穂乃果「お腹すいたなぁ」

希(その後、穂乃果ちゃんのクラスではぬいぐるみが穂乃果ちゃんの代わりに居たので、少し騒ぎになったんやけど、それもしばらくすると落ち着いた)

希(口は災いの元とはよく言ったものやね)

希(それ以来、ウチは小さな冗談も言わなくなった)

希(もし本当に起こってしまったら怖いやん)



にこ「って言う夢を昨日見たのよ」

希「夢落ちかい! って何でウチの視点やん?」

にこ「分からないわよ。見ちゃったものは仕方がないでしょ」

凛「世にも奇妙な物語にゃ」

花陽「確かにそんな感じだね」

真姫「オオカミ少年ね」

ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ園田海未「ソレハチガウキガシマス」

希「!?」

ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ南ことり「デモホノカチャンノヌイグルミダッタラホシイナァ」

希「!?」

ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ絢瀬絵里「マァノゾミダッタラアリソウナハナシヨネ」

希「」

ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ高坂穂乃果「スピリチュアルヤネ」

希(ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみって怖い。ウチはそう思いました)

                                            終


ほのぼの路線で書こうと思ったら、世にも奇妙な物語になっていました。

この物語は実際のハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみとは一切関係がありません。

実物はドヤッとしていて、場所をとるそんな可愛い奴です。

ゲームセンターで見つけたら、GETしてハイパージャンボな日々を送りましょう。

では。

誤字修正

パンが上手い→パンが美味い

誤っておく→謝っておく

面白かったよ乙




【穂乃果「フヒヒwwwサーセンwww」】



最後のがやりたいだけの一発ネタをここで消費



海未「おはようございます。穂乃果」

穂乃果「おはようwww海未ちゃんwww」

海未「相変わらず気持ち悪いですね」

穂乃果「フヒヒwwwサーセンwww」

ことり「おはよう。穂乃果ちゃん、海未ちゃん」

穂乃果「おはようでござるwwwことり殿www」

ことり「う、うん」

海未「さあ、行きますよ」

穂乃果「フヒヒwww」

学校の掲示板『生徒の減少に伴い廃校することが決定しました』


海未「え? 廃校……?」

ことり「……そっか。決まっちゃったんだね……」

海未「ことりは知っていたんですか?」

ことり「……うん。そう遠くないうちに廃校になるって聞いていたけど、思っていたより早かったね……」

穂乃果「こうなったらwwwアイドルをやるでござるwww」

海未「はぁ? 何を言っているのですか?」

穂乃果「拙者こう見えてもアケマス時代からのランカーでござるよwww」

海未「あけます?」

海未「何を言っているのか分からないのは今更ですが、あえて言いましょう。何を言っているのですか?」

穂乃果「アイドルでござるwww閣下殿に私はなるwww」

海未「さっぱり理解できません」

ことり「……ううん。穂乃果ちゃんの言うことも一理あるかも」

海未「は? ことり、あなた正気ですか?」

ことり「うん。ええとね、今はスクールアイドルって言って学生のアイドル活動が流行しているの」

穂乃果「やみのまwww」

ことり(あ、熊本弁だ)

海未「え、そうなのですか?」

ことり「うん。それでね、人気のあるアイドルグループの居る学校は入学希望者もすごく多くなるんだぁ」

海未「ふむ……ことりが言うのでしたら間違いないのでしょう」

穂乃果「流石はミナリンスキー殿www」

ことり「え……!?」

海未「……いつも通り穂乃果はほっときましょう。まともに相手をしていたら頭が痛くなります」

穂乃果「フヒヒwwwサーセンwww」

ことり「う、うん……」

海未「どうしてこんな変人になってしまったのやら」

ことり「でも、学年一位だよ」

海未「余計に頭が痛くなることを言わないでください!」

ことり「ご、ごめんね」

穂乃果「デュフフwww」

放課後『音楽室』


真姫「ららら、らっら~♪」ジャーン

パチパチパチ

真姫「!?」

穂乃果「やあ、真姫ちゃん。前よりもさらにピアノが上手くなったんじゃないかな?」

真姫「こ、高坂さん……。びっくりしました」カミノケクルクル

穂乃果「はははっ、ごめんごめん」

真姫「それで、今日はどうしたんですか?」

穂乃果「理由がないと君のところに来ては駄目かな?」

真姫「そ、そんなことはないですけど……」カアッ

穂乃果「ふふふ、照れてる真姫ちゃんも可愛いね」

真姫「高坂さん!」

穂乃果「冗談冗談」ハハハッ

穂乃果「実は君に頼みたいことがあってね」

真姫「……良いですよ、高坂さんのお願いだったら」

穂乃果「嬉しいね。そう言う真姫ちゃんも大好きだ」

真姫「もうっ! からかわないでください!」

穂乃果「あらら。本格的に怒られる前にお願いを言ってしまおうか」

真姫「そうして下さい」

穂乃果「実は──」

深夜『高坂穂乃果の目覚めは早い』

ほのルーム『日課のアニメ鑑賞を午前三時まで行い、その後九十分睡眠をとる』

ほのベッド『午前四時半にはランニングの準備を始め、終わったら筋肉トレーニングに入る』

早朝『もちろん、勉学は昨夜のうちに終わらせている』

浴室『これは文武両道を満たすための当然の努力である』

シャワー『だが、穂乃果のこの特殊な日常を知るのは今のところ彼女の家族だけであった』

翌日『生徒会室』


穂乃果「と言うわけでwwwwアイドル活動の許可をいただきたいでござるwww」

絵里「……え? この人何? 気持ち悪いわ」

穂乃果「フヒヒwww」

絵里「の、希!」ドウニカシテ!

希「……音ノ木坂のメス豚が何の用なん?」

穂乃果「あらっ、嫌な愛称をご存じで」

希「裏の世界では有名なんやで、高坂さん?」

穂乃果「せめてプレイガールとでも呼んでもらいたいなぁ」ニコッ

希「無理やで」ニコッ


絵里「え? なに、この置いてけぼり感」

希「そろそろ本題に行かん?」

穂乃果「フヒヒwwwそうでしたwww」

希「アイドル活動で廃校を防ごうと考えているん?」

穂乃果「察しの通りでござるwww」

希「四人以上集めたら許可するで」

絵里「ちょっと希! 勝手に決めないで!」

希「いや、この人、ぱっと見は変やけど、凄い人なんやで」

穂乃果「照れるでござるwww」

絵里「え、これが!?」

希「あー、うん」

絵里「とても信じられないわ」

穂乃果「フヒヒwww」

希「ウチもちょっと自信なくなってきたんやけど」

絵里「それよりも昨日話し合ったように、音ノ木坂掲示板にXYZって書き込んで噂のシティーハンターに助けてもらった方が良いんじゃない?」

希「……あちゃー」

穂乃果「ほう、お嬢さん、私にご依頼でしたか」

絵里「はぁ?」

希「エリち、この人やで」

絵里「?」

希「この人が、そのシティーハンターなんやで」



絵里「……はぁッ!?」



https://www.youtube.com/watch?v=9QvKVF87PV8

エリちの驚き顔と穂乃果ちゃんのキメ顔のシーンで、止めて引く

                                      終

以前妙な電波を受信して書いていたものです。

この穂乃果ちゃん気持ち悪い。


口直しに最近書いたもの↓

穂乃果「恋愛チェッカー」(コンマスレ)
穂乃果「恋愛チェッカー?」(コンマスレ) - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1433330976/)




【ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ高坂穂乃果「コトリチャンファイトダヨ!」】



ことり(私の名前は南ことり。μ'sというスクールアイドルの一員……のはずだった)

ことり(音ノ木坂学院に通う私はとてもキラキラしていて、大切な友達の穂乃果ちゃんと海未ちゃんが居て)

ことり(そんな輝かしい光景が、そんなかけがえのない日常が、今の私にはない)



ことり(だって、『ラブライブ!』はアニメの中のお話だから)


ことり(私にはμ'sとして活動していた確かな記憶がある)

ことり(通っている学校だって音ノ木坂学院だ)

ことり(でも、穂乃果ちゃんが居ない。海未ちゃんが居ない)

ことり(絵里ちゃんが居ない。希ちゃんが居ない。にこちゃんが居ない)

ことり(凛ちゃんが居ない。花陽ちゃんが居ない)

ことり(皆が居ない)

ことり(夢だったら覚めてほしい。だけど、嫌と言うほど今が現実に満ちている)

ことり(音ノ木坂学院は廃校することが決まっているし、私もあと少ししたら海外へ留学する)

ことり(アニメで見た『ラブライブ!』のバッドエンドの可能性を私は歩んでいる)

ことり(私は精神がおかしいのだろうか? アニメと現実の区別がつかないのだろうか?)

ことり(たぶんそうなのだろう。『ラブライブ!』で穂乃果ちゃんを見る度にそれを思い知らされる)

ことり(なんでこんなにもアニメに似た境遇なのに、こんなにも現実とは遠い)

ことり(私はいつものように結論の出ない悩みを抱きながら、秋葉原の街を歩いている)

ことり(ミナリンスキーは居ない。声をかけられたけど、私は逃げてしまった)

ことり(自分自身が可能性を潰してしまっていたのだ)

ことり「はぁ……」

ことり(嫌なため息が出てくる。こんな気分は嫌だ。今だけでも全てを忘れてしまいたい)

ことり(気が付けば、私は騒がしい機械音のするゲームセンターに来ていた)

ことり(行先を決めずにフラフラと歩き回って、ここに着いた。ただそれだけだった)

ことり「あっ」

ことり(思わず声が出た。目の前には大きな穂乃果ちゃんのぬいぐるみ)

ことり(『ラブライブ!』は人気で、こういったプライズもよく見かける)

ことり「ふふっ」

ことり(ふてぶてしい顔をした穂乃果ちゃんが私を見ている。それが何故か笑えた)

ことり(獲れるかな?)

ことり(私は財布を開けて、小銭を確認する。どうしても、この穂乃果ちゃんが欲しかった)

ことり(だって、久しぶりに私を笑わせてくれたから)

ことり(よし! 頑張る!)

ガチャ

ことり(100円を入れ、クレーンを動かす。ここだ!)

ことり(思惑通りアームは穂乃果ちゃんを掴んだ。でも)

ことり(力が足りない!?)

ことり(クレーンはぬいぐるみを持ち上げるには全然力が足りなかったのだ)

ことり(これは無理なのかな。また諦めないといけないのかな?)

ことり(前向きな気持ちはどっかに行ってしまった。こんなことさえ上手くいかない)

ことり(私の人生ってこんな風に諦めばかりが続いていくのだろうか?)

ことり「……穂乃果ちゃん……」

ことり(ポツリと私は妄想の中の親友の名前を呼んでいた)



??「はぁ。穂乃果ちゃんじゃなくて悪かったわね」

ことり「え……?」

ことり(顔を上げるとそこにはアニメの中で見慣れた赤毛の女の子のツンとした顔が見えた)

ことり(あれ……?)

??「全く、お互い変なことになったものよね」

ことり(はぁ、とため息をつくその人は)

??「良い、ことりちゃん? こういうタイプのクレーンゲームはね、アームで少しずつ押していって景品を獲るのよ。分かった?」

ことり「真姫ちゃん!!」

真姫「はぁ。やっと呼んでくれたわね」

ことり「え? あれ、真姫ちゃん? なんで?」

真姫「なんでって言われても、居るもの居るんだから仕方がないでしょう?」

ことり「だって……『ラブライブ!』はアニメで……μ'sも居ないはずで……」

真姫「私だってそのくらい知っているわよ。でも、目の前にことりが居る。それが現実でしょ?」

ことり「分からない。分からないよぅ……」

真姫「ことりちゃんは現実から目を背けていた。だから、ずっと傍に居た私に気付けなかったのよ」

ことり「ずっと傍に……」

真姫「メソメソしているのを見ていたわよ?」

ことり「うぅ……」

ことり(恥ずかしい。でも、ずっと傍にいたならなんで気付けなかったの?)


真姫「はぁ、また悩みこんじゃってるのね。良いわ、まずは目の前の穂乃果ちゃんを獲りましょう」

ことり「え?」

真姫「ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ高坂穂乃果だって、ひどい名前よね」

ことり「えー、私は可愛いと思うけど」

真姫「なんでも良いわ。とにかく、目の前の穂乃果を手に入れるわよ」

ことり「う、うん」

ことり(よく分からない。全然分からないことばかりだけど、それはすごく大切なことだと思った)

ことり(100円を入れる。アームの開く力で少し穂乃果ちゃんのぬいぐるみがずれた)

ことり(また100円を入れる。あぁ、今度はかすりもしなかった)

ことり(あきらめず100円を入れる。今度は少し動いた)

ことり(呆れるくらいの100円玉を使ってしまった気がする。真姫ちゃんが要領が悪いわねとか微妙な野次を飛ばしてくる)

ことり(だって、難しいんだよ。でも、隣に真姫ちゃんが居て、私はとても嬉しかった)

ことり(この穂乃果ちゃんが獲れれば何かが変わるのかな?)

ことり(現実的にはありえない。でも、ありえない何かを求めて私は今あがいている)

ことり(あと少し、あと少しだ)

真姫「ことりちゃん。次で獲れるわよ。きっと」

ことり「うん!」

ことり(私は最後の100円を入れた。アームの操作は慣れたものだ。ここだ!)

ことり(アームは狙い通りの位置に降り、そして、その力で穂乃果ちゃんのぬいぐるみは──)

ゴトッ

ことり(ぬいぐるみの落ちる音とは思えないくらい大きな音を立てて、ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ高坂穂乃果が取り出し口に落ちてきた)

ことり「やったー! やったよ、真姫ちゃん!」

真姫「この真姫ちゃんがついていたのだから、当たり前よ」

ことり「えー」

真姫「何よ?」

ことり(あまり役に立っていなかったのはここだけの秘密かな?)

真姫「それよりも、それ、早く取り出しなさいよ」

ことり「……うん!」

ことり(分かってはいたけど、穂乃果ちゃんのぬいぐるみはとっても大きかった)

ことり(私はふわふわのハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ高坂穂乃果を抱きしめた)

ことり(穂乃果ちゃんと久しぶりに再会したような気分だった)

ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ高坂穂乃果「コトリチャンガンバッタネ」

ことり「え!?」

ことり(なんとぬいぐるみがしゃべった!?)

真姫「エーソンナノアリエナイ」

ことり「えー!?」

ことり(真姫ちゃん、こうなるのが分かっていたんじゃないの!?)

真姫「それで、穂乃果ちゃん。この世界は何なのよ?」

ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ高坂穂乃果「コトリチャンノユメノナカダヨ」

ことり「え、夢、なの?」

ことり(現実に失望していた私にとっては喜ぶべきことだったけど、急過ぎて何が何やら理解できない)

真姫「私はことりちゃんの夢の登場人物なの?」

ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ高坂穂乃果「ウウンマキチャンハホンモノダヨ」

真姫「イミワカンナイ」

ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ高坂穂乃果「ソレデイインダヨ」

真姫「ふーん。ってさっきからハイパージャンボ何とかってうるさいわね!」

ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ高坂穂乃果「セイシキメイショウダカラシカタガナイヨ」

ことり「ねぇ、穂乃果ちゃん。ここが私の見ている夢ってことは、私はどうすれば夢から覚めれるの?」

ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ高坂穂乃果「……」

真姫「どうしたの?」

ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ高坂穂乃果「コトリチャンファイトダヨ」

ことり「え?」

ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ高坂穂乃果「」

ことり「穂乃果ちゃん?」

ことり(穂乃果ちゃんのぬいぐるみはそれっきり一言もしゃべらなくなってしまった)

ことり「……なんで、なの?」

真姫「はぁ、そう言うことなのね」

ことり「真姫ちゃん?」

真姫「穂乃果の役割が終わると私の記憶がよみがえる、そういう仕組みなのね」

ことり「どういうこと?」

真姫「残念ながら、もうしばらくは夢を見ていないといけないらしいわ」

ことり「え? そんな……」

真姫「しょぼくれないでよ。夢はいつかきっと覚めるから」

ことり「……どうすれば良いの?」

真姫「ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみシリーズを全種集めることね」

ことり「……どらごんぼーる?」

真姫「そんなところ。その間、私はことりちゃんのフォローをするから」

ことり「やっぱり意味が分からないよ。真姫ちゃん」

真姫(これは私が提唱した新しい医療技術。夢の中で治療を行う画期的な方法)

真姫(この方法に辿り着くまでに私は何十年の日付を重ねたのだろう?)

真姫(きっかけは唐突に訪れたことりの意識不明。原因不明の病気だった)

真姫(身体機能を必要最低限に維持し、私は遂にこの時を迎えた)

真姫(まぁ、つまりは現実には残酷な真実が待ち構えているということになる)

真姫(でも)

真姫(そう、フィクションだって笑ってもらっても良いわ。この治療が上手くいけばことりちゃんはあの頃の(音ノ木坂学院に戻れる)

真姫(我ながら本当に笑えるほら話だ)

真姫「さて、次は絵里ちゃんかしら?」

ことり「えー。真姫ちゃん、ことりにも分かるように説明して」

真姫「どらごんぼーる、それで良いじゃない」

ことり「?」

真姫「フィクションだと思って気軽に行いましょう」

ことり「ことり的には今現在お金が大変なことになっています」

真姫「ミナリンスキーの出番ね」

ことり「えー、アルバイト!?」

真姫「絵里ちゃんが終わっても、ことりちゃんがすぐ後に控えているわ」

ことり「え!? 私のハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみも居るの!?」

真姫「当たり前よ」

真姫(SFが廃れた世界でSFめいた治療が行われている)

真姫(馬鹿げたことかもしれない。上手くいかないかもしれない。でもね、ことりちゃん)

真姫(私があなたに見えるようになったこと。穂乃果ちゃんと話ができたこと。確実に前進しているのよ)

真姫(だから、フィクションめいた結末がその先にあっても良いんじゃない?)

真姫(きっと、私があなたの傍で助けるから)

真姫(行きましょう。あなたを待っている幸せな現実へ)

真姫(穂乃果ちゃんも言っていたでしょ?)

真姫「ことりちゃん、ファイトだよ! ってね」

ことり「? うん、よく分からないけど頑張れば良いんだよね?」

真姫「そう、よく分かっているじゃないの」


ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ高坂穂乃果「ことりちゃん、ファイトだよ!」

真姫(ことりちゃんの腕の中で穂乃果ちゃんがもう一度そう告げたような気がした)

真姫(大丈夫よ。ことりちゃんなら)

真姫(だって、私はハッピーエンドが大好きなんだから)

真姫(ことりちゃんが嫌だって言ってもハッピーエンドにしてあげる)

ことり「真姫ちゃん?」

真姫「このマッキーに任せなさい!」

ことり「??」

真姫「明日からまた、ことりちゃんのハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ狩りが始まる」

ことり「えー!? だから、お金がないよぅ」

真姫「アルバイトも始まる!」

ことり「えー!?」

                            終

即興で書いたのでよく分からないお話に。

何か変な話が続きましたが、お付き合いいただいた方はありがとうございました。

良い気分転換になりました。

またどこかで。

乙!おもしろかった!

不思議な空気感がよかったわ
乙です

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