輿水幸子「カワイイボクの足をなめろ」 (25)
……
-事務所
幸子「おはようございます!!」ドアバァーン!
幸子「今日も!」クルッ
幸子「カワイイボクと!」キラン
幸子「一緒に仕事ができて幸せですね!」ドヤッ
幸子「ね! プロデューサーさん!!」ビシッ
P「おはよう。今日はラジオのゲスト出演。時間なったら迎え行くからそれまでレッスン。解散」
幸子「」
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幸子「ちょっと!」
P「何か分からないか?」
幸子「えぇ分かりませんね。どうしてこのカワイイボクに対して、そんなにうっすいリアクションがとれるのか」
P「すまんな。俺はお前と違って芸人じゃないんだ」
幸子「アイドル!! ボクは! アイドル!!」
P「このキレだもんな。かなわんかなわん。じゃ、俺は営業行ってくるから」
幸子「待って下さい! あぁっ」
バタン
幸子「ぬぐぐぅ……おのれプロデューサーさん……」
幸子「このボクのカワイさが分からないなんて……」
幸子「全くかわいそうな人ですね!」
幸子「いいでしょう! 必ずやボクのカワイさの前にひれ伏させてあげますよ!!」
幸子「フッフッフ……フフフフフ」
幸子「フフーン!」
小梅「……幸子ちゃん……レッスン、行こ?」
……
-レッスン場
幸子「ぜぇ……はぁ……」
ガチャッ
P「お疲れ様。迎えに……って、うわっ」
幸子「なっ……なんですかボクを見るなり『うわっ』って!」
P「汗だくじゃん……」
幸子「そりゃそうですよ。今の今までハードなレッスンだったんですから。あ、汗かいて色っぽいボクのカワイさにやられましたか? そういう『うわっ』ですか。それなら納得です」
P「いや、とりあえず汗拭いて水分補給して。ほら」ポイッ
幸子「わわっ……ありがとうございます」
幸子「おかしい……」フキフキ
幸子「んぐっんぐっ」ゴクゴク
幸子「ボクはこんなにカワイイのに」
P「何を鏡とにらめっこしてるんだ」
幸子「プロデューサーさん!!」ガシッ
P「お、おう」
幸子「ボクは!」クルクルッ
幸子「カワイイですか!?」ビシッ
P「あ、あぁ……」
幸子「ホントですか!?」
P「…………」
幸子「なぜ黙るんです!! ボクはカワイイでしょう!!??」
P「か、かわ」
幸子「サチコ イズ カワイイ! リピートアフタミーサンハイ!」
P「うっ……ぅう」
幸子「さぁ! さぁさぁ!」ズイズイ
P「いや、二次元の方がカワイイ」
幸子「」
幸子「ハァ!?」
P「お前は所詮、三次元だしな。二次元にはかなわないだろ」
幸子「なに言ってんですか! ボクの方がカワイイですよ!」
P「ばかやろうお前俺の嫁よりお前がカワイイわけないだろいいかげんにしろ」
幸子「ハァアアアア!?」
P「今見せてやるよほら」スッ
幸子「スマホじゃないですか!」
P「ほらこれ」
幸子「ソシャゲじゃないですか!!!!」
P「誘うようにこちらを流し見るたれ目、いたずらっぽく笑う口元、ぴょこんと跳ねた髪の毛、僅かに染まる頬……指先の所作からも溢れ出るしとやかさと、色気」
P「まさに」
P「カワイイだろ?」
幸子「か……まぁ、カワイイですけど。でもボクほどじゃありませんよ!」
P「はぁ?」
幸子「うわその顔!!」
P「お前のドヤ顔も同じようなもんだろ」
幸子「全然違いますよ!!?」
P「何が違うんだよ。俺もお前も三次元だろ」
幸子「おおざっぱにくくりすぎですよ!」
幸子「とにかくボクのほうがカワイイです」
P「ハッ」
幸子「」
P「理想化された女性像である二次元嫁にかなうわけないだろ?」
幸子「ばかやろうPさんボクは勝ちますよPさん!!」
P「三次元ってだけで勝ち目ないから」
幸子「なに言ってんですか! 二次元はどんなにかわいくても触れ合えないじゃないですか!」
P「三次元だって触れ合えねぇよ」
幸子「……いや、それは」
P「ならお前、タッチコミュさせてくれるのか? お触りOKアイドルなのか?」ワキワキ
幸子「違います嫌ですやめてください」ササッ
P「だろ?」
P「しかしな、二次元だったら、何をしても自由。なんでもできるんだ。どんなムフフでイヤーンなことも思いのまま……」
幸子「いやそれって仮想上のことじゃないですか。現実だって空想上なら何しても自由ですよ」
P「ならお前、お前のイヤンアハーンなとこを妄想しながらシてもいいのか?」
幸子「死んでください」
P「ほらな?」
P「これだからリアルはクソなんだ」
幸子「……」
幸子「そんなだからプロデューサーさんは童貞なんですよ」ハァ
P「なっ……!?」
P「いきなり何を……」
幸子「セクハラ発言への仕返しです」
P「ますます三次元が嫌いになったぞ」
幸子「そうですか? 内心喜んでるんじゃないですか? このカワイイボクに罵られて興奮してるんじゃーないですか?」フフンフフン
P「そんなわけな」
幸子「この変態」ボソッ
P「っ……!?」
幸子「……」
P「なぁ」
幸子「なんですか」
P「もっかい耳元で言ってくれるか? ほら」
幸子「この変態!!」ズササッ
幸子「だいたい、ボクのカワイさが理解できないまま、よくプロデュースなんてできますね……」
幸子「いいですか? プロデューサーはアイドルの魅力を最大限に引き出し、輝かせることが仕事です。担当アイドルの魅力を誰よりも理解していなければいけないんですよ」
幸子「つまり!」
幸子「プロデューサーというのは、そのアイドルの最初のファンでなくてはならないんですよ!!」
P「まぁ一理あるな」
幸子「そうでしょう! ボクはただカワイイだけではないんですよ!」フフーン
P「お利巧さんだな」ワシャワシャ
幸子「あぁあ!? お触り禁止だと言ったのに!!」ガーン
P「ついでに寝ぐせ直してやるよ」ナデナデ
幸子「こ、これは寝ぐせじゃありません! ……チャームポイントです」ドヤッ
幸子「……まったく」
幸子「そんなんでほんとに仕事できてるんですか」
P「当然だろ」
P「ほら」スッ
幸子「スマホじゃないですか! ソシャゲじゃないですか!!」
P「俺にとってはこっちが本業だからな。お前のプロデュースは副業だ」
幸子「なんですと!?」
P「というかまぁ、給料の半分以上つぎ込んでるからな。もはやこっちが俺の人生とも言える」
幸子「言えませんよ!!?」
幸子「課金しすぎです! お給料半分でどうやって暮らしてるんですか!?」
P「半分の半分は現実のエナドリスタドリにもってかれてるから、実際は四分の一以下だ」
幸子「ハァアアアアアアアア!!??」
幸子「どうやって生きてるんですか!?」
P「毎日がもやし祭りだよ」
幸子「死にますよ!?」
P「本望だ」
幸子「……予想以上に手遅れですね。知りませんでしたよ、プロデューサーが既に廃人状態だったなんて」
P「まぁ誰にも言ってなかったからな。恥ずかしくて」
幸子「ボクも知りたくありませんでした……」
P「まぁ、ちゃんと仕事はしてるから安心しろ。そのためのドリンク代だしな」
幸子「はぁ……そうなんですか?」
P「さっきまで営業でお前を売り込んできたばかりだよ」
幸子「それはそうでしょうけど」
P「こいつなんでもしますから宜しくって」
幸子「は……ハァア!!?」
P「事実だろ? お前プロ意識高いからな。仕事選んだりしないだろ」
幸子「ま、まぁそれは」
P「さすが幸子」
幸子「フフーン!」
幸子「って、そうじゃなくてですね」
P「なんだよ」
幸子「その……そんなこと言って、あの」
幸子「アレなこと……」
P「?」
幸子「まく、枕営業しろとか言われたらどーするんですか!!」
P「……」
幸子「……///」
P「ぷっ」
幸子「ハァアアアアアアアア!!?」
幸子「なんで笑うんですかぁ!!」
P「いやだってお前」
幸子「なんですか」
P「そんなのホントにあると思ってんのか? ぷぷっ」
幸子「え? え? ないんですか??」
P「ないない。大昔は知らんが、今はない」
幸子「そ、そうなんですか」
P「あるわけないだろ。フィクションの影響受けすぎ、ぷぷぷっ」
幸子「なぁっもう! Pさんには言われたくないですよ!!!」
幸子「というか、大丈夫なんですか」
P「なにが」
幸子「時間」
P「……」
幸子「収録の……」
P「……」
幸子「……」
P「やべっ」
幸子「ちょっとぉお!」
……
-スタジオ
オツカレッシター
オツカレサーン
オツカーレ
幸子「……ふぅ」
P「よぉ」
幸子「……」ジトー
P「なんだ。なにか不満か? いいイジられっぷりだったぞ?」
幸子「イジられに不満はありません。充分すぎるぐらいです」
P「じゃあ」
幸子「このボクが遅刻してしまうなんて……生放送ではなかったから、まだよかったですけど……」
P「あぁ、すまん。けど向こうさんにはちゃんと頭下げたし、これは俺の責任だから、お前の評価には影響ない。大丈夫だ」
幸子「……Pさん」
P「ん? なんだ、まだなにか」
幸子「足……」
P「足?」
幸子「くじいちゃったみたいで」
P「! そりゃ、……すまん」
幸子「急いで走ったから」
P「気がつかなかった。すぐ救急箱」
幸子「まず見て下さい」ストン
P「え……?」
幸子「……なにしてるんですか。靴と靴下を脱がして、患部を見て下さいよ」
P「あ、あぁ……え? 俺が脱がすのか?」
幸子「そうです早く」
P「……??」
スポッ
スルスル……
幸子「んっ……どうですか」
P「……見た目には分からないな。痛むのか?」グイッ
幸子「っ!」
P「す、すまん……」
幸子「……」
P「……えっと」
幸子「なめて下さい」ボソッ
P「……………………は?」
幸子「聞こえなかったんですか? 使えない人ですね。……もう一度だけ言います」
幸子「ボクの足をなめろ」ボソッ
P「なっ……」
幸子「今度は耳元で言ったので、さすがに聞こえましたよね」
P「……いきなり何言ってんだお前」
幸子「いきなりじゃないですよ。ボクはずっと言ってました。ボクのカワイさを分かってほしいって」
P「……」
幸子「あなたが分かってくれないから……こんなことになったんです。これは、あなたのせいですよ……Pさん」
P「いや、だが」
幸子「ほんとうに分からない人ですね」
ゲシッ
P「んぐっ!? なにをっ」
幸子「カワイイボクの足をなめろって、言ってるんですよ。プロデューサーさん」グリグリ
P「こら、お前っ」
幸子「これはオシオキなんです。ボクのカワイさを分かってくれないPさんへの」
P「分かった、分かったから」
幸子「ダメです。もう遅い。……拒否したら、セクハラされたって訴えますよ」
P「いや……こんな場所で」
幸子「関係ありません。今すぐ、なめて下さい」
P「……っ」
幸子「早く」
P「……」ペロッ
幸子「んっ……!」
P「これで許してくれ」
幸子「ダメです」
P「…………」
幸子「もっとちゃんと……今日一日の、汗も、汚れも……全部なめとるように」
P「……くっ」
幸子「早くしないと、ほんとに誰かに見られちゃいますよ?」
P「………………」
ペロッ……ペロ ペロ
幸子「んっぅ……そう、そうです。ふふ……足の甲だけじゃダメですよ……裏も、爪先も……指の間も、ちゃーんと、んっ!」ピクッ
P「っ……ん」ピチャ ピチャ
幸子「はぁ……Pさっん……カワイイボクの、足……なめれて、幸せですね」クスクス
P「なに言って」
幸子「続けろ」グイッ
P「んっ……く」ペロ ペロッ
幸子「あぁ…………いい表情ですよ。情けなく舌を出して……ボクの足先に這わせて…………嫌がって、困ってるような顔しながら、でも……嬉しそう」
P「……っ」ピチャッ……チュポッ
幸子「あっ! ……ん、ぁ、それ……指、くわえちゃ……」ピクッ ピクン
チュポン……
P「…………もういいだろ。勘弁してくれ」
幸子「……上へ」
P「……え?」
幸子「上がってきて下さい……足先から、ゆっくり」
P「さすがにそれは」
幸子「できないんですか。なら仕方ないですね。Pさんはセクハラプロデューサーとして訴えられ仕事を失い」
P「あー……分かった……分かったよ」
ペロッ……ツツーッ
幸子「んぃっ……そぅ、です……そのまま、ぁっ」ビクッ
P「っ……」ペロッ……チュッ
幸子「はぁっ……今、ひざこぞうに、ちゅって」
ツツツーー……ペロッ
幸子「ぁはぁあっ……うちもも、だめ……っ」ガクッ ガク
P「……足で挟むな。動けない」
幸子「だってぇ……」
P「やめていいか」
幸子「それは、だめ……です」
P「じゃあ足開け」グイッ
幸子「ぁっ……あぁ! んぅーっ」
ペロッ ペロペロ
幸子「つけねっ足のつけねはっ! そこまでしなくていいでっいいですってば!! Pさっぁあっあぅっぁ!」
チュパッ チュプッ
幸子「あはっやぁあ! そこもう足じゃなっあぁあっ!!」ビクンッビクッ
幸子「はぁ……はぁ…………」
P「……大丈夫か」
幸子「いえ……もうだめです」
P「おいおい」
幸子「えへへ」
P「……直帰するなら家まで送るが」
幸子「足がベタベタするのでそのまま帰りたくないです」
P「お前な…………じゃあ事務所寄ってシャワー室で」
幸子「事務所でするんですか? ほんとに変態ですね」
P「なに言ってんだお前は」
幸子「ふふっ……冗談です」
P「シャレにならない。マジで仕事失いかねないから」
幸子「ここまでしておいて」
P「お前がさせたんだろが」
幸子「そうですね……Pさんはあくまで、させられただけ、ですよね」クスッ
P「……ったく」
幸子「それで、ボクのカワイさは理解できましたか?」
P「あぁ、もう十二分に」
幸子「ほんとうに?」
P「本当だ。世界で一番カワイイよ。サチコ イズ カワイイ、アイ アンダスタン」
幸子「それは良かったです。まぁ、ボクはカワイイので、当然ですけどね」フフーン
P「はいはい」
幸子「じゃあ、ソシャゲの課金やめて、貯金できますか」
P「それとこれとは話が別だ」
幸子「……はぁ」
幸子「仕方ないですね……」
幸子「安心してください、プロデューサーさん。……ボクのカワイさが伝わるまで、じっくり……たっぷり、オシオキしてあげますから……」
幸子「ね?」
END
おつおつ
よかった
乙
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