提督「なに?LANEだと?」 (118)
他スレから影響を受けた。一発ネタも4スレ目
提督「近頃、艦娘たちの間でLANEなるものが流行っているらしい」
提督「指揮官としては艦娘と仲良くなりたい」
提督「でも、艦娘達にLANEなるものを聞いても、口をつぐむばかりだ」
提督「これは困った。LANEができないと艦娘と仲良くなれない」
提督「という訳でネットで調べてみよう」
提督「ええと、なになにLANEとは>>3のことなのか」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1431614758
通信機
自爆装置
せっかく非安価スレ上手いんだから非安価でやれば良いと思うの
最初のLINEスレだけ別人でイムヤと時雨のSSはこの人だよね
提督「なに!?自爆装置だと!?」
提督「こんなのが俺の知らないうちに流行っていたというのか!?」
提督「今日の秘書艦は>>8か。すぐさま呼び出し問いたださねば」
>>8「あの提督。何か御用ですか?」
提督「お前たちの間で自爆装置なるものが流行っているそうだな。どういう了見でそれが流行っているんだ?」
>>8「>>10」
曙
大和
金剛
戦争の影響で死にたがりの艦娘が増えている
瀕死からの高速材による再生がたまらなく快感なのです
シリアス一直線まったなし
大和「戦争の影響で死にたがる娘が増えているんです」
提督「は?」
大和「だから、死にたがる娘がですね」
提督「それは理解した!え、でもそんな素振りが全くなかったぞ?」
大和「提督の前で暗い顔を出さない娘が多いからです」
提督「でも、戦争が原因ならばそれから離れればいいだけじゃないか。艦娘にはいつでも戦線から退く自由があったはずだ」
大和「現状、提督の采配一つで建造も開発もドックの使用もなされています。鎮守府内では提督の意志から離れて自分の意志で行為するという発想自体ありません」
提督「でも、死ぬまで思いつめるくらいならば………」
大和「提督がどうお考えかはわかりませんが、私達艦娘はそもそも「海で戦い死んでこい」といわれて作られました。戦線から自ら退くという考えがよぎっても、「自分は臆病だ」と考えてしまうんです」
自爆装置がはやっているのか・・・
提督「………それでも自爆装置だなんて、もっと手段は別にあるだろ?」
大和「私達艦娘はもとより死を覚悟した身なんです。そんな娘達の死に場所が戦場以外にありますか?それも自分で命を絶つなどあってはなりません。私達は武勲艦の魂を拝命しているんです。陸上でしかも自殺なんて恥知らずな真似はできません」
提督「………自爆装置は恥知らずではないのか?」
大和「戦場で敵を道連れにして沈むことができるならば、死ぬことも許されているように思う、いえ、許されなければ、許してもらわなければいけないのです」
提督「………どうしてそこまで」
大和「私達は死ぬ覚悟はありますが、殺す覚悟に欠けていたのです。「お国のために死んできます」とは誇らしく言えますが、「お国のために殺してきます」とは誰も胸を張って言えないのです」
提督「でも、相手は人間じゃない。深海棲艦だ」
大和「ええ。私達も訓練課程で彼らのことは何の思惟も持たない邪悪な存在と強く覚えさせられました。でもね、提督?彼らは痛がるんですよ」
提督「痛がる?」
大和「ええ。そうです。痛がるんです。腹を抉れば苦しそうに呻いた後、こちらを非常に恨めしそうな眼差しで見てくるんですよ?それはこの世の不条理を映していて。私達はそんな瞳の光にしばしば戸惑い戦慄し立ち止まります。他にも戦術的にありえないような行為もあるんです。ル級がイ級を庇う様はよく見られます。彼らの間にも親密さというものがあるんです。そして、もはや戦闘能力のない彼らを後ろから突き刺すように掃討していく私達。どちらが邪悪か分からないじゃないですか!」
イ級って所詮ペットみたいなもんだと思ってたがペットを主人が庇うのか
正義の反対は正義だから仕方ないね
こういうSS大好き続けて
提督「落ち着いてくれ。大和。息を深く吸って吐け」
大和「………っ。すいません。少し取り乱しました」
提督「君たちに想像以上の戦闘ストレスがかかっていたのわかった。でも、そんな自爆装置が流行っているのは、つい最近の出来事だと思っていたんだが?」
大和「はい。この鎮守府が初期段階の時も確かにストレスはありましたが、多くの艦娘はそれに耐えることができていました」
提督「それがどうして急に」
大和「鎮守府が大きくなったからです」
提督「よく分からないな」
大和「ここも初めの頃と比べて随分と鎮守府運営が円滑に洗練されてますよね」
提督「ああ。最初は無駄が多かったが、今では艦娘も多くなって備蓄もできているな」
大和「恐らくそれが原因です。資源の多さは連続出撃を可能にし、艦娘の多さはローテーションを可能にしました」
提督「ああ。そうだな。そのおかげで初期よりも効率的に海域の確保が進んでいる」
大和「私達にはきっとインターバルと仲間が必要だったのです」
提督「インターバルはなんとなく分かるが、仲間っていうのはどういうことだ?」
大和「戦友というものでしょうか。初期の頃はメンバーが固定されていたので、お互いに深く知ることができて、帰還の道すがらにバカ話をして気を紛らわすことができたんです。それが今では、次々とメンバーが変わって深く知り合う前に交代していきます。おしゃべりもどこまで踏み込んでいいのかよく分からず、独特の緊張感が支配しています」
提督「なるほど、艦娘同士の親密さか。言われてみれば、その時々の状況と能力を基準にした編成ばかりだったから、そこまで気が回らなかった。でも、そんなに編成がバラけていたか?」
大和「いえ、一部の娘達とは確かに懇意なのですが、そこに新しい娘がいると互いに遠慮してしまいます」
提督「分かった。運営方針にも問題があったんだな。改善策を用意しておこう。ところで、長期的にはこれで良いとしても、現実今自殺しようとしている娘がいるのも事実だ。そんな娘達と直接話してみようと思う。大和。誰かそういった娘を知らないか?」
大和「では、>>19はどうでしょうか?彼女は最近顔色が優れませんから」
艦娘安価とって寝る
武蔵
秋月
???「もし自爆する時には注意しろ。死ぬほど痛いぞ」
??「死ぬときは出来るだけでかい音を立てて死ね!」
提督「秋月が?」
大和「はい。その対空能力ゆえに最近はずっと出ずっぱりだったので」
提督「そんな風には見えないんだけどな」
大和「自殺したがる娘がそんな風に見えるわけありませんよ」
提督「でも、自殺願望ある人ってのは大体顔に出して引き止めてもらおうとかしないか?」
大和「そうですね。引き止めて欲しいと思っている内はまだ安全でしたよ」
提督「引っかかる言い方だな」
大和「駆逐艦の娘達は自分が自殺しようという欲求を持っている事自体に恐らく気づいていない場合があるので注意してください」
提督「秋月はもう帰還しているな。おお、いたいた。秋月、おーい」
秋月「提督!秋月に何かご用事ですか?」
提督「聞きたいことがあってな」
秋月「なんですか?」
提督「LANEのことなんだが、秋月は何か知っているだろうか?」
秋月「>>25」
踏み台
ええ知ってますよ
98
秋月「ええ知っていますよ」
提督「………やはり知っていたか」
秋月「やはり?」
提督「いや、大和から秋月に最近元気がないって聞いてな」
秋月「元気がないと、どうしてLANEについて知っていることになるんですか?」
提督「えって、流行っているんだろ?そのLANEというか自爆装置が。そこまで思いつめているとは思わなくてな」
秋月「思いつめている、ですか?」
提督「ああ。死のうとするなんて、よっぽどだ」
秋月「?」
提督「………なんだ。その怪訝な表情は?」
秋月「いえ、それだとまるで秋月が死を望んでいるかのようでしたから」
提督「うん?秋月はLANEを積んでいるんじゃないのか?」
秋月「おかしな。提督です。知っているからといって、すぐさまそれを実践しているように思い込んでいるのですから。知行合一なんていつから提督はソクラティアンになったのですか?」
提督「じゃ、じゃあ秋月はLANEなんてものは使用していないってことでいいのか?」
秋月「いえ、今のは提督の考えの筋道について述べたことであって、秋月に関しては何も言っていません」
提督「………秋月、お前は俺をからかって遊んでいるのか?」
秋月「ふふふ。そんな不機嫌そうな顔をしないでください。提督に話しかけられたのが久々で、艦娘として嬉しくなってつい長引かそうとしてしまっただけです。許してください」
提督「………確かに艦娘間において会話頻度の不均衡さはあったかもしれない。埋め合わせは後日するから、答えてくれないか? 秋月がLANEを使用しているのかどうかを」
秋月「はい。秋月はLANEを使用しています」
提督「………そうか。やっぱり秋月も死にたいと思っているのか?」
秋月「いいえ。思っていません」
提督「? 意味が分からないな。自爆装置なんてものに死ぬ以外の目的があるのか?」
秋月「自爆装置なのですから自爆が目的でしょう」
提督「………なんかまた遊んでいないか? 次はなんだ? 自爆ってだけで死ぬとは違うんですってことか?」
自爆装置であって自殺装置じゃないからな。
秋月「いえ。海上でのLANE自爆は直ちに轟沈に結びつきますから、死ぬという目的から逸れるとは思いません」
提督「じゃあ、なんでだ? 死ぬという目的を果たすための装置を使用することの目的は死ぬってことじゃないのか?」
秋月「もしかしたら、使用するって言い方が悪かったかもしれません。装備するって言い直しておきます」
提督「さっきからお前と会話していると、近づいているのか遠のいているのかどこに進行しているのかが解らなくなってしまう」
秋月「ダズル迷彩のことですね!? 榛名さんがよく着けています! お洒落で可愛いですよね!?」
提督「ええい! 誤魔化そうとするな。確かにダズルはスタイリッシュだけど、お前の会話回しは全く流麗ではないぞ。一体どうすればお前の言葉をまっすぐに進ませることができるんだ? 蛇行走行は戦いの中でだけにしてくれ」
秋月「うーん。そうですね。ならば、一つお願いを聞いてくれますか?」
提督「なんだ。到底認可できないものでない限り聞いてやる」
秋月「そんな怖い顔しないでください。とっても簡単です。北風より、太陽のように優しく秋月を包み込んでくれたら、自ずと提督の目的を果たせると思います」
提督「………分かった分かった。焦りゆえに少し怒気を交えて話していたのかもしれない。もう少し落ち着いて話せってことか?」
秋月「それだけではありません」
提督「………………」
秋月「もー提督はすぐに不機嫌さを顔に出すんですから!」
秋月「そんな怖い顔をされたら、出てくる言葉も引っ込んじゃいますよ!」
提督「そんなことを言われてもだな………」
秋月「提督の顔を見ないで済むなら、もう少し口が軽くなると思いますけど?」
提督「今でも軽いぞ。………つまり、どうすればいいんだ? 俺は君に背中を向けて話せばいいのか?」
秋月「………男は背中で語るということですか。でも、それは少し寂しいです。やめてください」
提督「じゃあ、どうしろってんだ」
秋月「仕方ありませんね。提督。ほら、あるじゃないですか? 提督が背を向けなくても、秋月の目を隠せば良いんですよ!」
提督「なんだそれ。でも、目隠しなんて持ってないぞ」
秋月「もー、だったらこうすればいいんです! えい!」ポスッ
提督「なんだ!? 急に飛び込んできて!」
秋月「こうやって抱きついていれば顔は見えませんよ? ほら、提督も秋月の腰に手を回してください」グイッ
提督「………いったい何なんだ」
秋月「ふふふ。暖かいなー。クンクン、提督の匂いです。それに提督の心音も聞こえますよ? ………少しは早くなっているのかな」
提督「これに何の意味があるというんだ」
秋月「意味はありますよ。秋月の機関部ポンプのピストンが激しくなっています。この状態なら秋月の口車の銀輪もまっすぐ走らざるを得ません」
提督「そうか。その割によく回る口だがな。………まあいい。それでは、何で秋月はLANEを装備しているのか聞かせてもらおう」
秋月「………そうですね。お守りみたいなものです」
提督「は? お守りだって? 自爆装置がか?」
秋月「はい。お守りです。死なないための」
提督「死ぬための装置が死なないためのお守りだと? 意味が分からない」
秋月「そうですか? そんなに難しい話でもないと思いますが」
提督「あいにくとこちらは理解のない提督でね。一を聞いて十を知るなんてもってのほかだし、十を聞いても贅言に気を取られて一も知りえない人間なんだ。言葉を慎重に選び給えよ?」
秋月「ええと、言葉を変えてみますと、トイレというのはお通じのためですけど、積極的にそれをしたいと思う人はいないわけで」
提督「なんか一気に下品になったな」
秋月「トイレというのは毎日しなければならないものなので、重要なものですよね?」
提督「そうだが、それが自爆装置と何の関係があるんだ? 艦娘は毎日死ななければならないという義務を与えた覚えはないのだが?」
秋月「トイレと死ぬことは勿論違います。注目して欲しいのは、トイレは嫌だけどしなければいけない時があるってことです」
提督「そりゃあ、便意がやってくれば行かなければいけないな」
秋月「そして、その便意が強くなればなるほどそこへの欲求も強くなりますよね?」
提督「………ああ。腹を下したりなんかしたら、ちょっと無理をしてでも行きたくなるな」
秋月「LANEはトイレなんです。同じなんです」
提督「ちょっと何言ってるかわからない」
秋月「例えば、電車に乗っているときなどトイレに行けない密室を考えてください。そういうとこに限って逆にトイレへの欲求が高くなりませんか?」
提督「わからなくもない。試験とか重要なプレゼンの前とかに限ってそういうことになるな」
秋月「そしてその後でいつでもトイレに行ける解放的な状況になった途端に便意がなくなることがありますよね?」
提督「………ああ。そうだな」
秋月「LANEはその解放されたトイレなんです!」
これもう分かんねぇな
絶対に[ピーーー]ないけど死にたくなった時用って事でしょ
ただ轟沈するぐらいなら敵を道連れにするってことじゃないんか
提督「わかりそうでわからんぞ。トイレの印象が強すぎる」
秋月「整理していきますと。解放されたトイレはいつも可能性を拓いてくれているんです。「トイレで用を済ます」という可能性です。この可能性は人間にとって重要なものです。それが欠如している状況では、人間はそれを探します」
秋月「その時、便意も強くなります。理由もなく探すはずはない。だから、自分はトイレに行きたいんだって体が誤認するのです。そこに解放されたトイレが現れると、可能性への欲求が満たされ、便意も消えます。もともと誤認ですので見つけるだけで消えるのです」
提督「まあ、それは経験的にもなんとなく分かることだ。でも、それがLANEとどう同じなのかがまだはっきりしない」
秋月「LANEに関しても同じことが言えます。私達は海で戦います。そこでは相手を殺すことが目的です。殺すことが目的なのですから「死ぬ」という可能性は排除されます。私の長10cm砲ちゃんは「死ぬ」という可能性を排除するためのものです。そして、その欠如した欲求を性として探す羽目になります」
敵にやられて深海墜ちするぐらいなら自害みたいな?
提督「ちょっと待て待て。それだと、君たちはトイレと同様に日常的に死への欲求でもあるというのか!?」
秋月「いえ、そんな訳ありません。今こうして提督と抱き合っている時間は秋月は好きですよ。………提督が秋月と一緒に死んでくれるって言うなら」
提督「冗談を言うな」コツン
秋月「痛いです。………でも戦場では、つい自分が死ぬ可能性を考慮してしまうんです。何故かは自分でもよくわからないんですけど」
提督「敵を殺すんだ。自分が殺されてもおかしくないだろ?」
秋月「いえ、そうじゃないんです。なんていいいますか、戦闘中において自分は相手の弾では絶対沈まないって確信があるんです。でも、何故か自分が死ぬ姿が頭にこびりついてしまい………」
自爆装置があると死への欲求が消えるから生きる力になる・・・のか?
提督「それで、どうなるんだ?」
秋月「言葉にし難いのですが、それが私達のあるべき姿なんじゃないのかなーっていう思いが心を占めてくるんです」
提督「死がふさわしい奴なんてこの鎮守府にはいない」
秋月「それはそうかもしれませんが、戦闘中に一旦そう考えてしまえば、死への可能性をいつの間にか血眼になって探している自分に気がつくんです」
提督「それがさっきのトイレのロミオとジュリエットって奴か」
秋月「あ! そっちの方がロンティックですね! なんで抱き合ってトイレなんて下品な話をしていたのでしょうか!?」
提督「秋月から言い出したことだ」
秋月ったら間抜けなんだから
色々と想像しちゃって怖いから、自分の死に様を先に決めとく感じか?
秋月「………それで可能性を探し出しすと、見つからないんですね。それで一種のパニックになってしまう娘が出てきてしまって。振り返ってみれば、空が落ちてくるのではないかという不安でパニックになって滅んだ国ぐらい傍から見たら滑稽な姿でした」
提督「その娘はどうしたんだ」
秋月「自分から深海棲艦の攻撃に当たりに行きました。帰還後のドックで何故自分があんなことをしたのか分からないって泣いていました」
提督「それは………」
秋月「少し前に艦娘の被弾率が高くなっているって愚痴ってましたが、多くはそれが原因です」
提督「そのための自爆装置だとでも? 敵の攻撃以外での轟沈手段を用意することによって、その欲求を減らそうとしたのか?」
秋月「………また、怖い顔をしています」
提督「顔を胸に埋もらせている状態では見えないだろ」
秋月「わかりますよ。………LANEとは地獄からの出口だったんです。蜘蛛の糸が伸びている地獄とそうでない地獄では過ごす時間の意味合いが違うんです。それが容易く切れてしまうものであっても、外の世界に思いめぐらせてくれるものはそれだけで価値があるのです」
提督「しかし、そんなものはただの幻想………いや、なんでもない」
秋月「どうかLANEの使用を咎めないでください。世の人はお酒を呑んで痛みを忘れることができますが、海上の艦娘はLANEによってそれを忘れるのですから」
提督「しかし、だな。なんというか、LANEが必要に迫られてってのは分かったが、俺はそれを今まで知らなかったわけだし、もっと別の方法だってだな………」
秋月「すみません。でも、提督にお伝えするわけにはいかなかったのです」
提督「どうしてだ?」
秋月「提督は今見せたようにLANEへの態度は否定的ですし、もしそれに賛成してくれたとしても、提督は本部に連絡して許可を貰わなければならないからです」
提督「本部は俺以上に否定的だろうな」
秋月「それで、もし無断で開発をしてバレたら、本部に「艦娘ヲ轟沈サセル意図アリ」と認識されて提督に厳重な処罰が下る可能性もありました。知らなければ、艦娘達の独断ってことにできて「監督不届キ」と注意を受けるかもしれませんが、それだけに済ませることもできそうでしたから」
提督「………なんとも自分が情けなく思えてきたぞ」
秋月「ご安心ください。秋月は提督が情けなくてもそばを離れませんから」
提督「フォローになっていないぞ」
秋月「ふふふ。それで、提督の懸念ははれた? 提督は艦娘が死のうと思ってLANEを使用していると考えていたようですけど?」
提督「うーん。大和に脅されたから不安だったんだけどなー」
秋月「大和さんは心配症ですからね!」
提督「でも、いくら死ぬ気がないっていっても自爆装置だろ? そんなものが流行っていたら、本当に何か悩みがあって自殺を図ろうとする娘にはうってつけの道具じゃないのか?」
秋月「確かにそうかもしれませんね」
提督「そうかもしれませんねって………」
秋月「でも、大丈夫です! 秋月が死ぬ時は提督と一緒です! 永遠に」
提督「あんまり嬉しくないな。というか艦娘は秋月だけじゃないだろ? 何か悩みを抱えてそうな娘を知らないか?」
秋月「そうですね。悩みの多くは人間関係だから、周りと壁を作っている娘なんかが内心に悩みを持ってそうです。特に空母の方たちは各々矜持を持っていますからそのあたりに………」
提督「誰がいる?」
秋月「>>56でしょうか」
艦娘安価 空母艦娘でお願いします
安価スレなのにあんま安価出せなくてすまんね。次回から改善していきます
rj
赤城
響
瑞鶴
>>56
空母言われてるだろうが
安価読めないのかお前は
空母?
龍驤
下にズレてずいずいだね
秋月「瑞鶴さんでしょうか」
提督「瑞鶴が? 空母の中でもかなり感情が表に出やすい奴だ。何かを溜め込むなんて考えにくいが………」
秋月「提督は本当にそういうことに理解が薄いんですね。だから、鎮守府の変化にも無感覚だったんですよ?」
提督「………すまない」
秋月「瑞鶴さんのようにまっすぐな人程大変なんです。そういった人は自分のそういうところを誇りにしていることが多いから、その真っ直ぐさに縛られます。折れることができなくなるんです」
提督「そうか。ならば、腹を割って話さなければいけないな」
来たか
秋月「そうですね。瑞鶴さんに元気がないのは私も辛いですし」
提督「瑞鶴とは仲がいいんだっけ? ならば、秋月が瑞鶴から話を聞いてやればいいんじゃないのか?」
秋月「だから、提督はダメなんです。瑞鶴さんには良くしてもらってますが、それは後輩や妹みたいな感じでです。そんな私に瑞鶴さんが弱音を吐くと思いますか」
提督「俺に対しても一緒だと思うが。翔鶴に間接的に聞いてもらうのはどうだ?」
秋月「それもダメです。翔鶴さんに余り心配かけたくないと考えているはずです」
提督「俺には心配かけていいと考えているみたいだな」
秋月「そうです。まさに今の瑞鶴さんに必要な人は、個人的な話題を聞いてもらえる程には仲が良く、自身のイメージを気にする必要もない都合のいい人なんです!」
提督「それって瑞鶴にとってはどうでもいい人ってことじゃね? 秋月ってこれほど俺に辛辣だったか?」
秋月「何を言っているんですか!? 親しいけどどうでもいい人って目指してなれるものじゃないんですよ!?」
提督「いや、なりたいわけじゃねーよ!」
秋月「いいじゃないですか! それで瑞鶴さんの秘められた思いに唯一接近できるようになるんですから! ダークヒーローみたいでカッコイイですよ!」
提督「普通に好かれるようなヒーローじゃいかんのか」
秋月「大丈夫です! 提督がどれほど不甲斐なく乙女心を解せぬへっぽこヒーローでも、秋月は愛していますから! 来た道を振り返ることはやめて、目的をだけ見据えて進んでください」
ここの毒舌秋月ちゃんのキャラ好き
提督「………結局背中をぐいぐい押されて瑞鶴の部屋まで来てしまった」
瑞鶴「あら。珍しい来客もあったものね」
提督「げっ、瑞鶴」
瑞鶴「そちらから訪れてきて随分なご挨拶ね」
提督「いや、心の準備というものがだな」
瑞鶴「何? 準備って? 提督の心は弓の弦のように任意に張らしたり緩めたりできるの? 便利な心ね。どこに売っているのかしら?」
提督「Amazonにあったら君は買うつもりなのか?」
瑞鶴「そうね。考え直してみたら心なんて無駄な荷物になるだけ。それに魂を買えるのは悪魔だけらしいから、私にはその権利は元々なかったわね」
提督「そうだな。君は悪魔じゃない。与太話だったな」
瑞鶴「当然よ。この私のことを悪魔だなんて言う人がいたら爆撃機で木っ端微塵にしてやるわ!」
提督「それはまた剣呑な」
瑞鶴「剣呑? 何を言っているの? 敵が減るんだから穏やかな話じゃない」
提督「穏やかではないだろ? 爆撃なんて戦闘行為が」
瑞鶴「でも、世界に不要な屑は掃除できるわ」
提督「でも、相手には勿論、君にも危険が及ぶ」
瑞鶴「敵に危険? そんなものないわ。波の反射によってかろうじてその存在の残滓を残す一抹の埃の輝き程度の意味しかない奴らが「危険」とは随分と滑稽な傲慢もあったものね! そして、そんなものが私を危険にすることはない」
提督「どうやら俺と瑞鶴の間には深刻なコミュニケーション障害があるらしい。何を言おうとしているのか理解できない」
瑞鶴「簡単な話よ。敵を殺す。誰よりも多く殺す。誰よりも遥かに根絶する。誰よりも綺麗に掃滅する。誰よりも正しく殺す。それだけよ」
提督「………最近の娘の趣味はよくわからないから口出しはしないでおく。ところで、瑞鶴聞きたいことがあるんだ?」
瑞鶴「なあに? 提督? わざわざ聞きに来るくらい大切なことなんでしょ? 瑞鶴は色んなことを知っているんだよ。だから、提督が私を頼ることは当然のことだわ。それなのに、最近顔も合せなかったわね………提督の人生には大切なことが今までなかった証拠ね。由々しきことね。………いえ、大切なことなんて、そもそもないのかもしれないわ。すると、提督は何かを錯覚してここに来たことになる? ………そうね。そうだわ。出会い頭から錯誤に基づいていたんですもの。提督と私は違うんだわ」
提督「自己完結で耳をふさいで俺の問を無視するのはやめてもらおう。………LANEについて知っているか?」
瑞鶴「LANE………? ええ、知っているわよ」
提督「なるほど。それで瑞鶴はそのLANEを使用………装備してたりするのか?」
瑞鶴「はあ!? なんでよ? LANEって自爆装置なんでしょ?」
提督「そうだ」
瑞鶴「なんで私が自ら死ななきゃいけないのよ!? ………もしかして、提督は私に自害しろとでも言うつもり!? おかしいわ! それはおかしい! あってはならないことだわ!! ………殺さなきゃ」
提督「待て待て! 落ち着け! LANEを命令しにきたんじゃない。それを止めに来たんだ!」
瑞鶴「嘘よ!! 私はそんなもの使っていないのに、止めに来る必要なんてどこにもないじゃない!!」
提督「だから、その使ってないかどうかを聞きにきたんであって、もし使っていたら使用を控えるように注意しに来ただけだ!」
瑞鶴「そう」
提督「………えっと、瑞鶴はLANEを使っていないってことでいいんだな?」
瑞鶴「当然でしょ。自爆なんて自分の無能さを表明するだけじゃない」
提督「無能さ?」
瑞鶴「敵を殺す能力がないからこそ、自爆特攻で敵艦をたった一隻沈めて空虚な自己満足に浸って「一片の悔いなし」て言って死んでいくのよ。自己欺瞞的。自分で粉飾しなければ満足できない命なんて虚しいわ」
提督「そんなこと。俺も誕生日を誰からも祝ってもらえなかったから、一人でホールケーキを用意してロウソクを立てて火を消したが、満足しているぞ」
瑞鶴「………虚しいわ」
提督「憐れむぐらいなら、この提督の誕生日を覚えて祝ってくれないか」
瑞鶴「………虚しい」
提督「………まあいい。でも、LANEの使い方にも自爆特攻に限らず別の用途があるらしいしな。秋月からさっき聞いた」
瑞鶴「………秋月がLANEを使っている?」
提督「ああ。っておい! 立ち上がってどこに行く気だ!?」
瑞鶴「秋月のところよ」
提督「はあ? なんで?」
瑞鶴「なんでって、使用をやめさせるに決まっているじゃない」
提督「待て待て! 秋月は別に自爆特攻をしようとしているわけじゃなくてだな! むしろそれで生きながらえているってか………とにかく秋月には必要なものらしいから、行くな!」
瑞鶴「何を言ってるのよ? いかなる理由であれ、自爆装置を必要とするのは間違っているわ。だから、提督も止めに来たんでしょ?」
提督「いや、それは自殺する意志があったら止めようってだけで、LANEを害のない形で使うなら問題はないはずだ」
瑞鶴「おかしい。間違っている。同じ部隊の娘が自爆装置なんてものを積んでいるのならばやめさせなきゃ」
提督「ああ、面倒くさい! ………LANE自体は俺も反対だからな。なんとかしよう。瑞鶴は何もするな。艦娘の装備に関しては提督が決定権を持つ」
提督「だから、瑞鶴。座れ」
瑞鶴「………わかったわよ」
提督「そうだ。まだ重要な話があるんだ。質問に正確に答えろよ」
瑞鶴「なによ?」
提督「お前はひどくやつれている。目の下にも濃いクマがある。何か悩み事がるはずだ。それを言ってくれ」
瑞鶴「不愉快だわ」
提督「何が?」
瑞鶴「あなたが」
提督「………ああ。それはわかった。でも、何か悩みを言わないと今日は帰らないぞ。良いのか?」
瑞鶴「………はあ。じゃあ>>77よ」
悩み安価
ふみ
ksk
実は戦争が辛い
瑞鶴「実は戦争が辛いのよ」
提督「………それはまたらしくない悩みだな」
瑞鶴「らしくないってなによ?」
提督「いや、さっきから話を聞いてると好戦的な文句ばっかりだったから」
瑞鶴「らしい悩みが良いの? ならそれを何か教えてよ! 提督に合わせてらしい悩みを言ったつもりよ! 私は!」
提督「ああ、済まなかった! 十分に瑞鶴らしい悩みだよ!」
瑞鶴「瑞鶴らしいってどういうことよ! 私が戦争を辛く思うことはもっともだってこと!? そうよね! 五航戦だものね! 一航戦とは比べるべくもないってね!」
提督「それを言ったのは瑞鶴じゃないのか!?」
瑞鶴「言ってない! 私はそんなことを言わないわ!」
提督「何を言っているんだ?」
瑞鶴「私は提督がして欲しい悩み相談をしただけよ! そうよ、私は瑞鶴なのよ? そんなことを悩みとして喋るなんて、きっと提督に気を使ったからに決まっているわ………!」
提督「………それが瑞鶴の悩みじゃないなら困ったことになる。俺は瑞鶴の悩みを聞きたいわけだから」
瑞鶴「そんなのないわよ!」
提督「それはないだろ。さっきから尋常ならざる様子だ」
瑞鶴「ないったらない」
提督「それなら、お前の悩みを「戦争が辛い」で進めるぞ? いいのか?」
瑞鶴「………」
提督「沈黙は肯定と見なすぞ」
瑞鶴「………仮にそれで進めてみても、提督に何が出来るっているのよ」
提督「なに」
瑞鶴「だって、そうでしょう。戦場に出るのは私達なのよ? あなたが何を言ってもそれに変わりはないわ。それとも何? 泣きついたら、慰めて出撃を控えさせてくれるの?」
提督「艦娘にはその自由がある。出撃をしたくないというなら、艦娘をやめることさえできる。君たちには権利がある」
瑞鶴「はん! それは随分と結構なことね! やめさせる気なんてないくせに」
提督「君がやめたいというなら、許可するつもりだ。君は明らかに健康を害している。正当に退役できるはずだ」
瑞鶴「ふざけないで! それこそ笑いものじゃない! 戦力になるなら絶対にやめることができない退役審査をパスしたってことは私に能力がないってことを宣言するようなものじゃない!」
提督「そんなことはない。退役は簡単だ。ほとんど提督と艦娘の合意だけで決定できる。そんな能力検査なんてない」
瑞鶴「そうね! そうかもね! でも、提督に見捨てられた艦娘という烙印が押されるわ! そして、結局瑞鶴は鎮守府に必要なかったんだって後ろ指をさされるんだわ!」
提督「俺は瑞鶴を不必要だって思ったことなんてない! それは他の娘達も同様だ! 君が退役しても、それは君がいらなかったからだとは誰も考えない」
瑞鶴「じゃあなに!? 私は必要とされてると言いたいわけ!」
提督「そうだ」
瑞鶴「それなら尚更そんなことができるわけないじゃない!」
提督「なぜだ」
瑞鶴「必要とされているのに退役なんて、仕事を投げているだけじゃない! 他の娘達は耐えているけど、私だけはそれに耐えられなかったのでやめさせてくださいと瑞鶴に言わせるつもり!? この私が恥も外聞もなく? 冗談じゃないわ!」
提督「瑞鶴、君は少し思いつめすぎなんだと思う」
瑞鶴「思いつめてなんかない! こんなことに思いつめてるなんて思われたら、加賀に笑われる。それは耐え難い侮辱よ!」
提督「………わかった。瑞鶴は退役なんて考えたこともないってことでいいんだな?」
似たようなスレタイをチラチラ見るから気になって開いちゃった
しかし艦娘のキャラが強烈だな
久々の更新待ってたんだよ
瑞鶴「そうよ! 私は退役なんて考えたこともないわ! なんだって艦娘であることに満足している私がやめなくちゃならないのよ」
提督「そうだな。君に退役を勧めようとしたのは俺の愚かさだ。悪かった」
瑞鶴「ふん」
提督「それでは話を戻そうか。瑞鶴の悩みは「戦争が辛い」だ」
瑞鶴「そんなことありません!」
提督「お前から言い出したことだろ?」
この提督「なに?○○○○だと?」シリーズ面白いの多いな。
元ネタが気になる。
元スレはもうエタりかけでち
瑞鶴「それは、だから! ………嘘なのよ。提督のくだらない自己満足の餌っていうだけ。私に悩みなんてないわ」
提督「それでも瑞鶴は俺の欲求を満足させてやろうと哀れみからにせよ、その嘘をついたわけだろ? ならば、最後まで付き合ってくれよ。せっかく嘘嫌いな瑞鶴な準備したリップサービスだ。役割を果たさぬままというのも癪だろ?」
瑞鶴「………わかったわよ。泣き虫瑞鶴は戦争が辛うくて毎日枕を濡らしております。滂沱の涙で窒息しそうになるので、夜も眠れません。どうか瑞鶴の冷たい夜を提督の暖かな愛で救ってくださいまし」
提督「やめろ。胸に手を置くな。俺を求めるな。夜這いに来たわけではないぞ」
瑞鶴「なんで? どうしてそんなこと言うの? 提督は私を救いに来たのではないの?」
提督「どうかそういったことはやめてくれ。瑞鶴、君が今しようとしていることは君の誇りを傷付ける行為だ」
瑞鶴「どうして? 提督と愛し合うことは艦娘にとって誇りだわ」
提督「ああ。そうなのかもな。ケッコンなんて喜ぶべき称号があるぐらいだからな」
瑞鶴「じゃあ、何が不満なのよ? 私の胸が小さいこと? なら大丈夫よ、ちゃんと良くしてあげるんだから」
提督「お前が誇り云々言うならば、俺に対して舐めた態度をとるな。俺が君の悩みを真摯に聞いてやろうとするのは、体目当てだからと言わんばかりだ」
瑞鶴「そんなこと言ってないじゃない」
提督「科を作るな。怒るぞ。そこまで俺は信頼がないのか? ただ艦娘の悩みを聞いてやる代償に肉体を要求するほど下卑た商人だと思われているのか?」
瑞鶴「だから、そんなこと言ってないってば!」
提督「いいや。今の瑞鶴の態度には「どうせ提督も男だ。その優しさもセックスのためだ」という見下しが透けて見える」
瑞鶴「そんなことはない!」
提督「どうしてそう言える?」
瑞鶴「だって、提督がもしそんな低俗な男だとしたら、その部下である私は何になるのよ!? 私がそんな小さな人の下について満足するわけないじゃない!」
提督「そうだ。誇り高い瑞鶴の提督もその分だけ気高くなくてはならないんだ。俺には少し荷が重いがね」
瑞鶴「そうよ! この私に命令するんですもの、尊敬すべき立派な人じゃないと許さないんだから!」
提督「俺が理想を満たしているとも思わないが、それでも瑞鶴は今まで俺をある程度は信頼して任務をこなしてきた。それならば、瑞鶴の今の行為の動機は「提督はただセックスしたいだけだから、満足させてやろう」というのではないわけだ」
瑞鶴「そうよ。私の提督は性欲の塊であるお猿さんとは違うもの。全幅の信頼と愛を寄せています」
提督「それはなかなか自尊心をくすぐる評価だ。嬉しいよ。しかし、そうなると瑞鶴の今の誘いは一体何が原因になったと思う?」
瑞鶴「………………私が発情したのよ」
提督「発情?」
瑞鶴「………そ、そうよ! 悪い? 提督みたいな魅力的な男性と二人っきりの寝室なのよ? まぐわりたいと思っても仕方ないじゃない」
提督「瑞鶴は先程から随分と俺を褒めてくれるね」
瑞鶴「瑞鶴にとっての事実よ。だから、ね? シよ?」
提督「ダメだ」
瑞鶴「っどうして? 瑞鶴の胸は先程からうずいて仕方ないのよ? どうしておあずけなんてするの? ねえってば?」
提督「おあずけだって? 何とも蠱惑的な響きだ。男なら一度はそうやって女をよがらせてみたいと願うものだ。しかし、俺はそんなことをした覚えはない」
瑞鶴「何を言ってるの? 今してるじゃない? 瑞鶴が涎を垂らして待ち焦がれてるわよ」
提督「あのな、瑞鶴。俺の知っている瑞鶴はそんなはしたない真似をする娘じゃないんだ」
瑞鶴「女の誰でも暗がりのベッドでは普段と違う顔を見せるものよ」
提督「俺は瑞鶴のベッド上での表情を知らないからそこは何とも言えないが、それでも突然発情して男を誘うなんてことをしないのは確かなことだ」
瑞鶴「………瑞鶴は提督が思っているより、いやらしい女だったというだけかもしれませんよ。性欲の前では名誉も打ち捨てるようなね」
提督「そうは思わない。俺も瑞鶴を信頼しているからな」
瑞鶴「じゃあ、どう思っているのよ」
提督「そうだな。まず君はプライドが高いから俺を褒めることもしないし、ましてやセックスを迫るなんて君自身が許さないはずなんだ」
瑞鶴「だったら、なんでその瑞鶴さんはそんなことをしたのでしょうか? 教えてください、提督さん」
提督「そうふくれるな。簡単なことだ。瑞鶴、君自身はそんなことをしたくない。だけど、今実際にそれをしていた。ならその理由はそんな代償を払ってでも達成したい目的があることになる」
瑞鶴「目的ですって?」
提督「そうだ。そして、恐らくこの場合は話を逸らすこと。瑞鶴、君は俺の「お戯れのお悩み相談」を何故か回避しようとしているんだ」
瑞鶴「何故かですって? 提督も確信を持てていない勝手なことを言わないで」
提督「いや、確信しているよ。というのも、その突発的な行為の原因が俺や瑞鶴の性的な自然の欲求からではないのだとしたら、残るは不自然な動機しかないだろ?」
瑞鶴「そんなもの………私は、本当に、い、いん………いえ、何でも、ないわ」
提督「余り馴れないことはするもんじゃないな。お互い。ほら、離れろ」
瑞鶴「………提督の武勲には期待できないわね。英雄は色を好むって言うけど、提督は据え膳を冷ますんだもの」
提督「好きに言え。そもそもこんな血色の悪い据え膳なんて食えるか」
瑞鶴「慌ててへんてこなことをしたのは失敗ね」
提督「そうか? 瑞鶴、君はわざとらしすぎた。「本当はこれが悩みなんです」って気づいてもらいたがっているかのようだったぞ」
瑞鶴「なに? その回りくどいやり方? 私らしくないわ」
提督「そうだな、でも、女らしい面倒くささだ。淑女アピール的には成功だったんじゃないか」
瑞鶴「皮肉を言っているつもりかしら?」
提督「まさしく。瑞鶴、君はくそ面倒くさい女だ。どんな男も辟易するほどのな。何度ぶん殴ろうとして踏みとどまったか。さて、瑞鶴には不本意ながらも、事実として君の悩みは「戦争が辛い」だと思われても仕方のないことをしてしまった。どうする?」
瑞鶴「あなたって本当に最低ね。答えを確信しているんでしょ? それなのに、私にまだ弁護させようとする気? 知らないふりして、どんな滑稽な言い訳をするかを見て楽しむ気ね」
提督「では、君の悩みは本当に心の底から「戦争が辛い」ことだと認めるんだね」
瑞鶴「死体蹴りがお好きなのね? 今更私が何を言えばその判決がひっくり返るというのかしら?」
提督「そうか。戦争が辛いんだね。素直になってくれて嬉しいよ」
瑞鶴「私は勝手に素直とされて嬉しくないわ」
提督「やっと悩み相談に入れるな。それで戦争が辛いとは死が恐ろしいということなのか?」
瑞鶴「そんなわけないじゃない」
提督「でも、何かに執着しているようだったし、普通戦争で恐れるものは死だろ?」
瑞鶴「いつ私が恐ろしいなんて言葉を口にしたのよ」
提督「いや、でも」
瑞鶴「そもそも空母艦娘で戦い自体を怖がっている奴なんていないわよ」
提督「じゃあ、どういうことだ。大和から聞いたが、敵に同情して自分の正義を疑って不安に陥る艦娘もいるらしい。その類か?」
瑞鶴「馬鹿らしいわね。近距離から殴り合うような野蛮な戦艦風情から何を聞いたか知らないけど、なぜ私が殺すべき敵に同情なんてしないといけないわけ?」
提督「野蛮って、仲間をそんな風に言うものではない」
瑞鶴「別にあの人達の人柄を野蛮なんていう気はないわよ。ただ戦闘において素手で相手を殴りつけるセンスは理解できないわね。その大口径砲もトドメの接射とばかりに使って意味がわからないわ」
提督「まあ、戦艦にも彼女達独自の美学や礼節があるんだよ」
瑞鶴「美学や礼節! 戦争にただ敵を殺すこと以上の意味を求めて何になるのよ。そんなくだらないことをする艦娘は全員解体したら、どうかしら提督? 余計な意味づけは戦争の目的そのものをいつか忘れさせて、あなたに反旗を翻すことになりかねませんよという意見を具申してみるわ」
提督「瑞鶴、悪質な冗談はよせ。彼女達がいなければまともに君たちも戦えないんだぞ」
瑞鶴「あら、結構本気で進言してみたんだけど? ふふふ」
提督「………なるほど。お前が戦争を辛いという意味がわかった気がするよ」
瑞鶴「………流石この瑞鶴が認めた提督なだけあるわ。理解があって私も嬉しいわ」
提督「お前のその戦争に対する非人間的、悪魔的なまでの態度。戦場において誰一人として信頼できていないということか」
瑞鶴「信頼? 何を言ってるの? ちゃんと信頼しているわ。うかうかしてたら戦果を横取りされてMVPをパクられてしまう。だから、私も気を抜かず的を壊すことができるのよ?」
提督「それは能力に対する信頼だ。………お前ら空母はいつもそんな感じなのか? お互いに話したりとかは?」
瑞鶴「戦場でお喋り? 何のために?」
提督「世間話とはいかないまでも、お前らは戦況情報のやり取りとかをしないのか?」
瑞鶴「三味線行為なんて三流のすることよ! 言葉で惑わすなんて自分の能力に自信がない証拠よ」
提督「だから競争に勝利するための戦略的会話じゃない。普通の会話だ」
瑞鶴「そんなものに意味はないわ」
提督「なあ、瑞鶴。お前は自分が抱えている矛盾に気づいているのか」
瑞鶴「矛盾ですって?」
提督「ああ。お前は今しがた戦艦の美学は戦争に必要ない無駄なものだと言ったな」
瑞鶴「ええ。戦争は敵を殲滅するためだけの行為よ」
提督「そうか。ならば、戦争の目的は「敵を一番多く殺す」ことであって、それを妨げるようなものは無駄、むしろ有害なものでさえあるということだな?」
瑞鶴「………ええ」
提督「ならば、瑞鶴よ答えてみせろ。目的の達成を何よりも望むならば、いかなる手段も許されているはずだ。それなのに、お前はさっきから艦娘特に空母との協力という手段を拒み続けている。君のこの誇りは無駄なものにはならないのか?」
瑞鶴「………」
提督「お前の戦争はゲームなんだよ。戦艦の美学はまだ敵への尊敬の念もあるが、お前には何もない。全てを見下すだけの矜持ほど自分を見失っているものはないぞ、瑞鶴」
瑞鶴「………説教くさいわ。悩み相談だったんじゃないの?」
提督「俺はお前の提督だ。道を正すのも役目だ。もし君が戦争で仲間と笑いあえる時がきたならば、君の戦争にも幾らかの救いがあるだろう」
瑞鶴「私に救いなんて必要ないわ」
提督「いいや、君はそれを求めたんだ。だからこそ、俺が悩みを聞いた時に意図せずとも「戦争が辛い」なんて言葉がこぼれたんだ」
瑞鶴「………はあ。なんだか惨めだわ」
提督「そうだ。君は惨めなんだ。決して瑞鶴の誇りに見合った君ではない」
瑞鶴「なんだか。提督には恥ずかしいところを見られた気がするわ」
提督「気にするな。弱いところを無理に押し殺す態度こそ一番ダメだ。お前は意地を張りすぎていたんだ」
瑞鶴「そうね。なんだか、そんな気がするわ………そうね、今日はよく眠れそう」
提督「そうか、ならば夜遅い。俺は戻らせてもらおうか」
瑞鶴「………加賀を殺しちゃえばいいんだ、そうよ、なんで今まで気づかなかったの? 瑞鶴? 目的が手段を正当化するなら、私のスコアの妨げとなる障害は排除しないと。何を気にしてたの? 瑞鶴? 加賀を殺す! めちゃくちゃにしてやる! 戦士としての尊厳も女としての幸福も全て潰してあげる! 勝利の栄光をもって提督の愛に包まれるのは私だけでいいのよ! ふふふ、あははははは! ああ! 半身を潰された芋虫みたいにのたうち回る加賀を想像するだけで気分が高揚するわ!」
提督「………病的な声音に覇気が戻ったな。………自殺はしそうにないし、問題は解決したと言っても過言ではないはずだ」
クズいなこの瑞鶴
執務室
提督「大和………まだ残っていたのか。帰ってもらって構わなかったのに」
大和「いえ。本日の秘書艦は私ですから」
提督「そうか」
大和「それでLANEについて何か納得できましたか」
提督「………取り敢えず二人の悩み相談をしてきたよ」
大和「どうでしたか?」
提督「とても疲れた。というか二人の話を聞くだけで今日一日が終わってしまった」
大和「悩みですからね。今日の献立を考えるといった相談とは違います。その悩み相談の結果は何か実りあるものでしたか?」
提督「ああ、うん? ………いや、そうかもな」
大和「歯切れが悪い答えですね」
提督「………ああ、うん。ばっちりだったとも。元気づけることに関しては成功と言える」
大和「そのようですね。先程、瑞鶴さんの高笑いがここまで聞こえてきましたから。とても愉快そうでしたよ」
提督「そうか。まあ、何とかするだろ」
大和「誰がですか? 加賀さんですか?」
提督「まあ、そうだな。LANEを巡っての相談だったはずだが、とんだことになった」
大和「想定が裏切られるのはいつものことです」
提督「俺の考えでは自爆装置なんてものを装備している艦娘こそ思いつめているはずだったんだが、実際は逆だったからな」
大和「LANEを使っている娘の方が精神的に安定していたということですか」
提督「秋月と瑞鶴の二人だけしか話を聞けなかったが、痛感したことがあるよ」
大和「なんです」
提督「同じ戦場に立っていても同じ戦争をしているとは限らないんだな」
大和「艦種によって立ち回り方が異なるので当然開けてくる視野にも違いがあります。私達のなかでも空母の方たちは特に異質なのだと思います。敵と一番距離がありますからね。生命を殺している感覚がないんですよ」
提督「全てに対しラップを介して触れているみたいな感じだったよ。生の現実をビニール包装して、確かに現実と理解しているのだが、その触感を失っているような」
大和「空母艦娘にとって戦争はどこか対岸の火事みたいなところがあって的当てゲームをしている印象を受けます。戦艦の中にそれをよく思わない人も多いのですが、実際にはその冷酷な無邪気に幾度となく助けられてきました」
提督「瑞鶴を見ていて思った。生命を認めずただの駒とするのは敵だけじゃない、自分自身にもその生命の剥奪が起こる。今どこにいて何をしているのかといった当事者感覚が欠けていた。LANEなんて使うまでもなく、瑞鶴は精神的に死んでいた。死者の目だった」
大和「空母の感情が徐々に摩滅していく現象は他の鎮守府でもあるようです。恐らく戦場における死の香りによって強い刺激を受けるにもかかわらず、そんなものから遠い感覚を一方に持っていることによる捻れが彼女達の精神を解体していくのでしょう」
提督「瑞鶴の言葉はどこか無味乾燥だった。しかし今日最後に聞いた瑞鶴の言葉は憎悪に彩られていたとはいえ生き生きとしていた」
大和「仲間への憎しみとはいえ、この感情こそ私のものだという実感を久しぶりに持ったのでしょう。本当に楽しそうでしたから」
提督「正直に言えば、もっとマシな感情から取り戻して欲しかったがな」
大和「今まで正規空母の誇りというものに頼って意志もなくゾンビのように惰性で生きてきたところに、憎悪という変則的な動機が加わったのですから大きな一歩ですよ」
提督「秋月に関しては何とも言えない」
大和「どうしてですか」
提督「確かにLANEを装備していたんだが、なんというか、うーん」
大和「深刻な悩みなんてなかったと言いたいのですか」
提督「いや、恐らく何か深刻な悩みがあったのだろうとは思うんだけど、全く手がつけられなかった」
大和「瑞鶴さんよりも状況が悪かったのですか」
提督「反対だ。自分で解決してしまっているがゆえに、俺からの悩み相談を受け付けなかった」
大和「LANEを装備しているのに?」
提督「俺にも理解しがたいが、秋月たちは戦闘中にふと死にたいと思うことがあり、それでどうすれば死ぬことができるのかとパニックを起こし敵の攻撃に自ら当たりに行くことがあるらしい。それを避けるために死ぬ手段を前もって用意しておき、死への衝動を抑えるとかなんとか」
大和「なるほど。やはり駆逐艦も見えている世界が違うようですね」
提督「空母と同じか」
大和「少し違うと思います。駆逐艦は最前線で戦うので命から遊離するなんてことはありません。反対に彼女たちは戦場において弱い立場であるがゆえに、もっとも強く生と死の感覚を鋭く持っているはずです。だからこそ自殺装置を気付け薬として使用する発想に至ったのでしょう」
提督「しかし、秋月が元気なことは結構なことだが、その悩みの解決にはどこか不健康なところがあるように」
大和「それでも、提督と話している秋月は良好だったのでしょう?」
提督「それはそうだが」
大和「問題は今のところ解決されています。そこに無理に干渉することは確かに悩み相談にはなるかもしれませんが、思いやりのない事務的なものになります」
提督「………わかった。今はそこに触れないままにしておこう」
大和「賢明です。強行的な救済ほど誰も救わないものもありませんから」
提督「ところで大和の悩みを聞くのを忘れていたな」
大和「あら。私の話もお聞きになるつもりですか? 無駄なことですよ」
提督「そんな無駄なわけないだろ」
大和「いいえ。無駄なのです。提督、本日のお勤めであなたはどれほど成果を得たというのですか。確かに少しは進歩したこともあるかもしれません。しかし、提督は今日痛いほど思い知ったはずです。己の無力さを。本質的に悩みの解決には何の助力にもならないことを」
提督「俺がしてやれることは少ないかもしれない。それでも力になろうとするのは間違っていないはずだ」
大和「そうですね。しかし、あなたが艦娘の力になろうとお思いならば、提督のすべきことはお悩み相談ではありません」
提督「じゃあ、何をしろと言うんだ?」
大和「戦争を終わらせることですよ」
提督「………」
大和「そして、そのためにはこの書類の山を処理していただかねばなりません。今日一日提督が帰ってこなかったので、大和がどれほど苦労したことか」
提督「………怒っているのか」
大和「怒っていませんよ? ただ今日は寝させてあげません。じっくり大和に付き合ってもらいますからね?」
提督「待て!………今日得た成果の一つに「艦娘は話を逸らしたいとき色仕掛けをする」というものがある。さては大和、お前も悩みの話題を回避しようとしているな!」
大和「どちらが話題を逸らそうとしているのでしょうか? 少し教えてくださる? ねえ、提督さん?」
提督「はい」
大和「分かったら、さっさと机についてください!」
提督「はい。すみませんでした」
大和「悩みの解決なんて結局は普段の行いの延長線上でしか成し得ないのですよ」
おわり
おつおつ
このSSまとめへのコメント
LANEってなに?LINE?