魔王「よくぞ来た、勇者よ」男(抱きしめて頭撫でてやりたい) (288)

タイトルの通りよくある勇者もの
注意事項としては

・初ss

・地の文あり

・多分更新は不定期

取り敢えず投下

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1360254123


ーー
ーーー
〜魔王城〜

魔王城最上階 玉座の間、その巨大な部屋の中で2人の男が対峙している。

「クッ…何故…こんな事を…」

「"人間と魔族の共存"などと言う茶番に付き合いきれなくなったのだよ。」

「…茶番…?」

「ああ茶番だ。私は争いが見たいんだ。その為にも、お前は邪魔なんだよ。」

「…手始めに、私を殺して…戦争でも、始める…と?」

「まぁ、そんな所だな。」

「そんな事…させる、ものか…」

大魔王「……この愚か者め。」

側近「…っ…!」

大魔王が側近に向かい腕を振った。一瞬の静寂の後、爆音と共に光が部屋を飲み込む。

音に気付いた魔王軍の兵士が部屋の中へ飛び込んでくる。

兵士「一体今の音は!?……なっ、側近様、どうされたのですか!?大魔王様は何処へ!?」

側近「…クッ、大魔王様が…乱心なされた…!私を、殺そうと…咄嗟に、結界を張り…何とか…」

兵士「そ、そんな…!」

側近「…そのまま、転移魔法を…使い何処かへ……頼む。大魔王様を…止めて、くれ…」

兵士「もう喋らないで下さい!…っ、誰か!!回復魔法を使える者を連れて来い!!早く!!」

ーーー
ーー

〜三ノ国 王都 城内〜

男「…今、何て?」

王「だから、お主は勇者に選ばれたと言ったんじゃ。」

普段の謁見では使われる事の無い客間の中で、テーブル越しに向かい合い王と話す1人の青年。年の頃は27、8と言った所か。もたれかかるようにソファに座るなど、フランクなその態度から王とは親しい間柄である事が伺い知れる。

男「…嘘だろ?…いやいや、そんな馬鹿な。」

王「こんな嘘つく為に、わざわざお主を呼びつけはせんよ。」

男「…この俺が?勇者?」

王「何故そんな反応をする。勇者に選ばれたのじゃぞ?名誉な事ではないか。」

男「いや普通、勇者ってのはこう…もっと若くて情熱に満ち溢れた奴が選ばれるもんだろ?…"俺が世界を平和にするんだ!!"みたいなさ。」

王「…まぁ確かに、幾ら腕が立つとは言っても、お主の様な者が勇者に選ばれる事はまず無いな。正直に言えば、こちらとしても戸惑っておる。」

王「だが、"聖剣"に選ばれたのは事実。仕方あるまい?」

男「選ばれたなんて大袈裟な、ただ振り回せるだけだぜ?」

王「…よく言う。うちの騎士団長の自信をへし折ってくれたのは何処の誰じゃ?」

男「もしかしてまだ根に持ってんのか、あのオッサン。」

王「とにかくだ、もうお主は勇者に選ばれてしまった。今更何を言ったところで無駄じゃ。諦めろ。」

男「諦めろとか勇者にかける言葉じゃないだろ。…ハァ、それで?この勇者めは一体何をすれば宜しいんでしょうか、オーサマ?」

王「…最近多発している魔物被害。私を含めた"王達"は、それに何か良からぬものを感じている。そこで、"勇者達"にはその原因を探ってもらいたい。」

男「後の6人も同じ任に就くのか。珍しいな、勇者総出だなんて。」

王「…あー、その事なんじゃがな。…お主を入れて"8人"だ。」

男「……ハァ?…俺を入れて7人だろ?各国から1人ずつで。」

王「いや、それがな。…何とも不可解な話なんじゃが、我が国でもう1人勇者に選ばれた者が居るのじゃ。」

男「どういう事だ。勇者は一つの国から1人しか出ない筈だぜ?」

王「新たな聖剣が見つかったのじゃよ。」

王「…普通、聖剣は国1つにつき1本しか存在しない…いや、"聖剣が7本存在しておるから国は7つ"なんじゃ。そして、それは遥か昔から変わっていない。」

王「…もし仮に7本の内の1本が失われたのだとしたら、新たに聖剣が現れる可能性もあると考えられてはいる。だが"8本目の聖剣"など聞いた事も無い。…19年ぶりに我が国から勇者が出たと思えば、まさか2人とは…」

王「全く…魔物と言い8本目の聖剣と言い一体何が起こっているんじゃ。"魔国"の王が変わってからは、魔国も"七ヶ国"も平和だと言うのに。」

疲れた様子で、ソファにもたれかかり天井を眺める王。そこにいつもの威厳は感じられない。今の王の様子を臣下達が見たら大慌てだろう。

男「まぁなんだ。あんたも色々大変なんだな。仕方ない、よしみだし協力してやるよ。……オーサマの珍しい姿も見れたしな。」

男はそう言ってニヤッとイタズラっぽい笑みを浮かべた。


短いけど今回はここまで

ではまたそのうち

乙でした。

期待できそうだ。

乙でした

こんばんは

ssは初なので、もし文章が分かりにくかったりしたら教えてくれると有難い。

では投下

〜街はずれの森 老賢者の家〜

老賢者「…ぷっ…くく、お前が…ゆ、勇者…?くふっ…」

男「笑いたきゃ笑え。似合わないのは俺が1番良く分かってる。」

老賢者「…ぶっ、はっはっはっは!!ひっひっひ、っ!ゲホッゲホッ!……ふぃー…可能性があるとは思っていたが…まさか今になってからとはな。」

男「…いい歳してむせ返る程笑ってんじゃねぇよ、全く。…話の続きだ。」

そう言って、老賢者に今回の任務と8本目の聖剣について話す。

老賢者「…新たな聖剣か。」

男「どう思う?」

老賢者「聞くまでも無いだろう?」

男「だよなぁ。」

老賢者「まぁそいつに関しては、今更どうしようもない。成る様に成ったと言うだけの事だろう。」

老賢者「…それより、出発はいつだ?」

男「一週間後。その後は、一ノ国で御一行様達の顔合わせだそうだ。」

老賢者「御一行ねぇ。して、仲間はどうするつもりだ。お前なら1人でも問題無いだろうが、お前の様なのが1人で勇者をしていたら間違いなく噂になるぞ?」

男「フム。一人旅の勇者ってのも悪く無いが、目立ち過ぎると色々と面倒だしな。適当に連れて行くさ。」

老賢者「…それならこの酒場に行くと良い。受付の嬢ちゃんにこいつを見せればどんな者でも紹介してくれる。」

老賢者から簡単な地図と紙切れを受け取る。紹介状ってやつだろうか。

老賢者「…さて、男よ。」

声のトーンを下げ真剣な顔で切り出す老賢者。

老賢者「…無論、パーティは全員女の子で固めるのだろう…?」ゴゴゴ

男「……色ボケしてんのは相変わらずだな、ジジイ。」

いつもながら元気な事だ。と呆れながら思う。

老賢者「だが男だけのパーティなんて嫌だろう?」

男「当たり前だ。男だらけの旅なんて何が楽しい。美人が居るに越した事は無い。」

老賢者「お前からそんな台詞が聞けるとは、お前も変わったものだな。昔とは大違いだ。」

男「そうでも無いさ。表に出さなかっただけで、昔からこんなだよ。…さて、今日の所は帰るとするか。誰か見つけたらまた来る。」

老賢者「…とびきりの美人を連れて来るんだぞ…!」ゴゴゴ

男「任せろ。」





〜王都 酒場〜

翌日、男は地図を頼りに老賢者から聞いた酒場の前に居た。王都には何度も足を運んでいたが、こんな所に酒場があるとは知らなかった。しかもかなりデカイ。

店内に入り中を見回すと、奥の方にカウンターがあり、そこに受付らしき女性がいた。…他にそれらしい奴は見当たらないし、多分この子だな。取り敢えず声をかける。

受付嬢「ようこそ。ご用件は?もし依頼の受注でしたら、隣の掲示板をどうぞ。」

男「旅の連れを探してる。ジジ…老賢者の紹介だ。」

そう言いながら昨日受け取った紹介状らしき紙切れを渡す。

受付嬢「……!…貴方が勇者様でしたか…分かりました、任せて下さい!…勇者様のお供なら、腕の立つ者の方が良いですよね…」

カウンターの下から、えらく分厚いファイルを取り出しめくり始める受付嬢。…まさか、その中から探すってのか?冗談だろ…

男「あー、お嬢ちゃん。気合たっぷりの所すまないが、俺の方で条件は決まってるんだ。オススメはまた今度にするよ。」

受付嬢「あ、そうですか…」

少しシュンとした様子の受付嬢。…本気であの中から探す気だったのか。

受付嬢「では、どの様な者をお探しですか?」

男「まず、近接戦が得意な奴は除外してくれ。後方支援が出来る奴だけで良い。魔法が使える方が助かるな。」

受付嬢「後方支援ですか…?でしたら…」

カウンターの下から今度は別のファイルを幾つか取り出して来る。

ファイルの中から人物の資料を取り出す。

受付嬢「…この者なんかはどうです?」
男「…駄目だな。」

受付嬢「では、この者は?」

男「駄目だ。」

受付嬢「ではこの者…」

男「暑苦しそうな奴だな、却下。」

受付嬢「で、では…」

ーー


棚町「っ!! あ、あれは... その...」

橘「彼氏がいるから気安く誘うなって言ったのは薫だぞ」

棚町「うん...」

橘「じゃあ、僕は行くよ」

棚町「......」

すみません、投稿ミスです。大変、失礼しました

受付嬢「…探す気、あるんですか…?」グス

次々と広げられる資料の人物を片っ端から除外していった結果。ちょっと涙目になりながら訴える受付嬢。

男「ああ、悪かった。別に泣かせるつもりは無かったんだ。…だがどいつもこいつも"騎士団"だの"王宮魔導師"だのばかりじゃないか。」

受付嬢「…駄目なんですか?」

男「チョットな。何て言うか、そういう奴らとは気が合わないんだ。」

受付嬢「…?…そうですか、でも一般向けの候補は大体そういう者ばかりなので…」

男「最初に取り出した、その冗談みたいな厚さのファイルは使わないのか?」

受付嬢「だって、"オススメ"はまた今度って言ってたじゃないですか。」

男「……おい、もしかしてそれ…全部お嬢ちゃんの言うとこの"オススメ"なのか?」

受付嬢「ハイ!特別なお客様にしかお見せしない、言うなれば"裏メニュー"!有名な凄腕から訳ありな感じの人まで何でもごされです!…老賢者様の紹介だと言うからご用意したのに。」

男「…試しに、その"オススメ"から俺の言った条件に当てはまる奴を選んでみてくれるか?」

受付嬢「良いですよ?…そうですね…勇者様だったら多分…この辺りの者が合うと……」

真剣に選び始める受付嬢。かなり集中している。

受付嬢「…ハイ!この3名なんかはいかがでしょう?……チョット、性格に難ありですが…」

手渡された資料を眺める。

男「…フム…悪くない…」

このお嬢ちゃん、中々いいセンスしてるぜ。ジジイが気に入る訳だ。……どうやら、初めから任せるのが正解だったらしい。余計な事は言うもんじゃないな。

受付嬢「お気に召しました?」

男「ああ。資料を見る限りは問題なさそうだ。で、難ってのは?」

受付嬢「…ええと…良く言えば超マイペース、悪く言えば協調性が皆無。って感じですかね。」

男「…俺みたいだな。」

受付嬢「そうですね!」ニコッ

素敵な笑顔で即答された。…もしかして、さっきの事を怒ってるんだろうか。

受付嬢「?」ニコニコ

男「…まぁいいさ。取り敢えず、一度会ってみたいんだが、日を改めようか?」

受付嬢「いえ、その必要はありません。3人ともこの酒場に居ますから。今呼んで来ますね。…あ、そうだ。折角ですし何か飲みます?」

男「そうだな…それじゃあコーヒーを頼む。それと、とびきり甘くしてくれ。」

受付嬢「ハイ!少し待ってて下さいね。」

そのまま店内に消えて行く受付嬢。
程なくしてウェイトレスがコーヒーを持って来た。…さて、一体どんな問題児が来るやら…一口含みながら考える。

男「フム、イケるな…」

今回はここまで

ではまたそのうち

乙でした

期待

期待

こんばんは

投下

コーヒーを飲み切らないうちに受付嬢は帰って来た。

受付嬢「お待たせしました。声をかけて来たので、すぐに来ると思いますよ?」

男「…そうか。」ズズー

受付嬢「そのコーヒー、気に入ったみたいですね。」

男「ああ。こいつ目当てに通っても良いくらいだ。」

受付嬢「ふふ…お、来たみたいですよ?」

受付嬢の視線の先に目をやると、こちらに近づいて来る人影が2つ 。
ニコニコと胡散臭い笑みを浮かべている男が”銃士”で、やたらフワフワした雰囲気の女が”僧侶”だな。

受付嬢「銃士さん、僧侶さん。こちらが先程話した男さんです。」

男「ヨロシク。」

コーヒー片手に簡単な挨拶をする。

僧侶「受付嬢さん紅茶1つお願いします〜……あれ…?あなたは……あ、分かった。受付嬢さんの言ってた勇者様ですね?初めまして。」ポワー

銃士「どうも初めまして勇者様、僕が銃士です。以後お見知り置きを。……受付嬢さん、相変わらず素敵な笑顔ですね。今夜のご予定は?」ニコ

男「…」ズズー

成る程…”性格に難あり”、ね。
視線を戻すと、苦笑いしている受付嬢と目が合った。

受付嬢「あ、あはは…」

人の話を聞かない僧侶様に、挨拶も程々に女を口説き始める銃士様。あとは…

男「”賢者”は何処だ?」

受付嬢「え?……ああ、やっぱり…ええと、あの隅っこのソファでぐったりしてるのがそうです。」

隅の…あれか。確かにソファにぐったりともたれている女が居る。
取り敢えず後ろの2人とそれに絡まれてる受付嬢は一旦放って置いて、賢者の方へ近づく。

男「やぁ、賢者様。」ズズー

賢者「………誰だ…?このソファなら渡さないぞ…」ダルー

男「要るのはソファじゃなく、お前だよ。」

賢者「…何だ…プロボーズか…?……うむ……1日20時間の睡眠と…完璧な寝床を用意するなら、考えてやらんでもない……あと言っておくが、私は家事なんかしないぞ…」

あとは、怠惰の権化と呼ぶに相応しい賢者様。成る程、”裏メニュー”行きにもなる訳だな……フム、気に入った。
コーヒーの最後の一口を含む。


男「そうだな…睡眠時間は保障出来ないが、この世で最高の寝心地を誇るベッドになら心当たりがある。お前が一緒に来るって言うなら、そこで思う存分惰眠を貪らせてやっても良い。」

賢者の目が少し見開かれる。

賢者「…それは本当か…?」

男「ああ、今すぐにってのは無理だが…約束しよう。絶対に気に入るぜ?」

賢者「……分かった…そこまで言うなら、着いて行ってやろう…」

賢者「…だが…もし、それが嘘だったら……塵芥一つも残さずに消滅させてやるからな……」

おっかねぇ、目が本気だ。

男「決まりだな。…来い、残りの奴も紹介しよう。」

仕方ない、と言った様子で怠そうに立ち上がる賢者。ふと後ろに視線をやると、さっきのウェイトレスが信じられないものを見るような顔でこちらを見ている。

2杯目のコーヒーを手にカウンターへ戻ると、受付嬢に相手にされなかったのか、銃士は別の女性客を口説きにかかっていた。…良い雰囲気のとこ悪いが、取り敢えずこっちに呼び寄せる。

受付嬢「あ、お帰りなさ……おお!すごい!賢者さんをあのソファから動かしたのは、勇者様が初めてですよ!」

僧侶「あら…?賢者さんが歩いてる。珍しい。」ズズー

男「お嬢ちゃん、こいつらを連れて行く。」

受付嬢「ほ、本当に良いんですか!?まだ全然話してないじゃないですか!」

男「ああ。」

受付嬢「皆さんは、良いんですか?」

賢者「……構わない…そういう約束をしたしな…」

僧侶「私も良いですよ〜?悪い人には見えませんし。」

銃士「僕は美女2人と旅が出来るなら、喜んでお供しますよ。」ニコ

受付嬢「…分かりました。では、こちらの書類に…」ゴソ

手渡されたのは何やら立派な紙で出来た契約書。これに目を通し下の署名欄にサインすれば、晴れてパーティ結成という事らしい。

男「これで良いか?」

受付嬢「……ハイ!大丈夫です。皆さんの分も…大丈夫ですね。これで今から、皆さんはパーティです!」

男「随分と簡単なんだな。」

受付嬢「そうですね。正直言うと、これも形式上行って居るだけで、実際のところあまり意味はないんですよね。」

男「まぁ、別に組みたきゃ勝手に組めば良いだけだしな。」ズズー

受付嬢「…ところで勇者様、本当にどうやって賢者さんを引き入れたんですか?…紹介しておいてなんですが、まさか賢者さんがOKするとは思ってなかったんですよね。」

賢者「ん?…ああ…何か…プロポーズされた…?……うん…何かそんな感じ…」ダルー

説明すら面倒らしく、色々と端折る賢者。だが一番端折るべき部分が丸々残ってるる、こんな事言えば…

受付嬢「…………へ?」

…ほら見ろ、あらぬ誤解が生まれた様だぜ。

受付嬢「…えええええええ!?」

僧侶「あ、ウェイトレスさん、紅茶のおかわり貰えますか〜?」

受付嬢「ぷ、ぷろっ、プロポーズ…!?それって、あれですよね、あの…味噌汁作って的な…?…ど、どういう事ですか!?勇者様!」アワアワ

僧侶「受付嬢さん、お味噌汁作るんですか?」キョトン

男「…」ズズー

銃士「先程は失礼いたしました…お詫びに何か1杯、如何ですか?」

女性客「ふふっ、それじゃあ。」ニコ

男「…」ズズー

…フム、美味い。ジジイのトコに行く前にもう1杯頼むか。その頃にはお嬢ちゃんも落ち着くだろ。

男「…」ズズー

賢者「……何で、そんな遠い目してるんだ…?」ダルー

男「…半分位はお前のせいだな。」

賢者「…?」

今回はここまで

途中ミスったけどあんまり気にしないでもらえると

ではまたそのうち

乙でした

酉テスト

もっかいテスト

よし、酉つけてみる
さっきも投下したけど、またちょっとだけ投下。

3杯目のコーヒーを飲み干した後、多少落ち着いた様子の受付嬢にちゃんと事情を話そうとしたのだが、"ベット"だの"寝る"だのと言った言葉に過剰反応して顔を真っ赤にする始末。…思春期じゃあるまいし、全く。

結局、事情の説明は後回しで先に用を済ませに老賢者の家へ向かう事にした。…のだが。

男「何で着いて来るんだ?こいつは俺の個人的な用事だぜ?」

銃士「老賢者様の元へ向かうのでしょう?是非とも会っておきたいんです。何と言っても"英雄"ですからね。」

まぁ良いか、どうせパーティの顔見せはするつもりでいたんだ。"約束"もしたしな。

男「…英雄ねぇ。お前等も、似た様な理由か?」

僧侶「すごいですよね〜、大魔王やっつけちゃったんですもんね〜。」

賢者「……私は…同じ賢者として、どういう人物なのか興味がある……」

男「…なぁ、賢者も大概だが僧侶はあれでどうやって生活してるんだ?会話がまるで成り立たないんだが。」

銃士「天才には変わり者が多いものなのです。…それにしても、あの老賢者様が勇者様の育ての親だなんて。驚きましたよ。」

答えになっちゃいねぇ。

男「まぁ、訳ありでな。」

銃士「貴方は色々と複雑な事情を抱えていそうですね。その年齢で勇者と言うのも珍しいですし。」

男「いつか話す時も来るさ。…さて、ここだ。」

男「邪魔するぞジジイ、剣を受け取りにきた。」ガチャ

銃士「おや、誰も居ないのですか?鍵を開けたまま留守とは無用心な。」

男「…ハァ、全く…"美人も一緒"何だがな?」

老賢者「よく来た男よ!で、カワイコちゃんは何処だ!?」サッ

何処からともなく現れる老賢者。横を見ると、銃士が呆気に取られている。

男「居留守決め込んでんじゃねぇよ、色ボケ。…後ろだ。」ユビサシ

僧侶「?」

賢者「…ん?…」

老賢者「これはどうも、素敵なお嬢さん方。儂は老賢者、此奴の保護者の様なものだ。…しかし別嬪さんだのう。ウム。」キリッ

僧侶「こんにちは、おじいさん。あなたが老賢者さまですね。」

賢者「……初めまして、老賢者様…私は賢者……早速だが、どこか眠れる所を…」ダルー

こいつらは揺るがないな…

老賢者「その通り、儂が老賢者だ。さてお嬢さん、何か飲み物は要るかい?」

僧侶「わたしは勇者さまとパーティを組んでいる僧侶と申します。」ペコ

老賢者「ほう、そうか。宜しく僧侶ちゃん。」

僧侶「飲み物…では紅茶を頂けますか?」

老賢者「分かった、今持ってこよう。…賢者ちゃん、寝るならそこのソファが空いておるぞ?」

このジジイ…会ったばかりで僧侶と会話を成立させやがった。俺だってまだアイツのペースを把握してねぇってのに。

しかも、賢者の図々しい頼み事を物ともしていない。ジジイの女好きもここまで来れば大したもんだな。

老賢者「男よ!…良くやった…!」グッジョブ

男「だろ?ご期待に添えて何よりだ。俺とコイツにはコーヒーをくれ。…俺のは甘くしろよ?」

銃士「…勇者様。」

男「どうした。」

銃士「僕は、あの方を目標にします。彼の様な"紳士"に、僕はなりたい…!」グッ

…何やら妙なスイッチが入ってしまったらしい。そういや、コイツも女好きだったか。

男「…フム。」

どうやら、"勇者様御一行"と"老賢者様"は上手くやって行けそうだな。…変人同士、気が合うんだろうか。



短いけどここまで

見てくれてる人はありがとう。
ではまた

乙でした

こんばんは

こんな時間だけど投下

男「それで?剣はどこにある。」

老賢者「ああ、今持ってくるから待っとれ。…こいつが僧侶ちゃんの分と、こいつはお前等の分。砂糖は自分でな。」

老賢者「あと、もし賢者ちゃんも欲しい様ならお前が入れてやれ。」

男「あいよ。時間掛かりそうか?」

老賢者「いや、直ぐ戻れるだろう。では少しの間留守を頼むぞ。」ガチャ

そう言って老賢者は出て行った。残された面々は既に自分の好きな様に過ごしている。本当にマイペースな奴らだ。

暫くすると、布に包まれた大きな"何か"を抱えた老賢者が帰って来た。

老賢者「ホレ。」

男が渡された"それ"の包みを解いていくと、中から現れたのは160cm程はあろうかという巨大な"剣"。感触を確かめる様に何度か柄を握る。

男「フム、やっぱりこいつだな。」

銃士「これが、"聖剣"ですか。」

僧侶「あら、随分と大きいですね〜。わたしの身長位はありそう。」

ソファに寝そべっている賢者も興味ありげに見ている。

老賢者「まぁ、こいつは"7本"の内で1番大きいからな。」

男「それじゃあ、用も済んだしお暇しようか。」

銃士「もうですか?まだ来たばかりではないですか。」

男「今日は元々長居する気は無いんだ。急がねぇと"おっかないの"が来る。」

老賢者「おお?そういえば今日だったか。」

銃士「誰です?」

老賢者「ウム、それは…」

銃士の問いに答える様に、ドアが勢いよく開け放たれた。

騎士団長「出て来い男ぉ!!」

老賢者「…あー、あいつだ。」

男「人ん家のドアは静かに開けろよ、オッサン。つうか静かにしろよオッサン。」

騎士団長「む、これは申し訳ない老賢者様。男がここに居ると聞いたものでつい。」ペコ

老賢者「気にするな。壊れてないだけ今回はマシだ。」

騎士団長「そう言って頂けると助かります。それより男…!今日こそ貴様に"あれ"を返しに来たぞ…!」ゴゴゴ

男「やっぱりそれか。貰えるもんは貰っとくべきだぜ?むしろあんたが持っといてくれないと色々と面倒だ。」

騎士団長「あんな不名誉なものは要らん!!」

男「お堅いね。あんな名誉なもんなら普通喜んで受け取るぜ?」

騎士団長「なら貴様が受ければ良いだろう!!」

男「そういう訳にも行かねぇんだよ。…何回言えば分かるんだ、全く。」

銃士「こ、これはどういう…?」

老賢者「まぁ、色々とな。放っておけ。"あれ"は暫く終わらん。…おかわり、要るか?」

僧侶「お願いします〜。」

銃士「では僕も。」

老賢者「賢者ちゃんはどうする?」

賢者「…ああ、それじゃあミルクを……五月蝿くて眠れん…」ダルー

老賢者「ウム、待っとれ。」

銃士「しかし…あの"龍殺し"の騎士団長様とも知り合いとは…いやはや、勇者様には驚かされますね。」

騎士団長「その名で呼ぶなぁ!!」クワッ

銃士「!?」ガタッ

騎士団長「…ああ、すまない。ついカッとなってしまった。だが頼むから私をその名で呼ばないでくれ。」

銃士「よ、良く分かりませんが、肝に銘じておきます。」

僧侶「銃士さん怒られちゃいましたね。」ニコ

男「"何故か"そう呼ぶとキレるんだよ。格好良いのになぁ、オッサン?」ニヤ

騎士団長「…き、貴様ぁ!!人を茶化すのも良い加減に…」

ドンッ!!と言う音と共に、騎士団長の背後にあったドアが"消えた"。

賢者「……五月蝿い…もし次騒いだら、"分かってるな"…?」ギロ

男「おっかねぇ…あんたの所為でウチの姫様がご機嫌を損ねたぞ。どうしてくれる。」

騎士団長「お…おお、すまない。」

老賢者「わ、我が家のドアが…どうしてくれる…」ガク

騎士団長「それは…後で、直させましょう。元はと言えば私にも原因があります。」

銃士「」

僧侶「あらあら、賢者さんったら。」ニコ

男「…ハァ、分かったよオッサン。今回の任務が一段落したら、"そいつ"を返して貰おう。それでどうだ?」

騎士団長「……本当だな?今の言葉、忘れるなよ。」

男「ああ、もうあんたに追い回されるのは勘弁だからな。…この変わり者め。」ハァ

男「さて、今度こそ帰るぞ。お前等もだ。今から老賢者様と騎士団長様は、大事なお話があるからな。」

帰り支度をする男。銃士と僧侶も、それぞれ支度を始めるのだが…

賢者「……zzz…」

男「…おい。誰かコイツ起こせ。」

銃士「冗談ですよね?僕はまだ死にたくありません。」フフ

僧侶「わたしも。」フフフ

後の2人にも目をやるが、逸らされてしまう。…ハァ、ええい儘よ。

男「起きろ。おい、賢者?おーい。」ペシペシ

呼び掛けながらペシペシと頬を叩くが、一向に目を覚ます気配が無い。後ろの奴らは完全に傍観を決め込んで居る。地獄には1人で落ちろと、そう言う事らしい。

男「まるで反応がねぇ。…これ寝てんのか?まさか死んでないよな。」ペシペシ

少し心配になる位の眠りっぷりだな。"姫様"ってのもあながち間違いではなさそうだ。って事は、起こすには…いや、駄目だな。消し炭にされる。あのドアの二の舞は御免だ。

男「起こすのは無理そうだな…おぶるか。」ハァ

銃士「そんな大きな剣を背負っているのに大丈夫なんですか?もし良ければ僕が。」キリッ

男「ふざけろ。何良い思いだけしようとしてやがる。…この剣なら心配ない。」

男が首に下げている"指輪"が淡く光を放つ。すると、背負って居た筈の剣が何処かへ消えてしまう。

銃士「何ですか…!?それは一体…」

男「持ち主が選んだ物を1つだけ異空間に保管出来るって言う、とんでもアイテムさ。」

銃士「…そんな高度な魔法具まで持っていたのですか…貴方という人は、全く…」ハハ

男「退屈しないだろ?…よっと。軽いな、ちゃんと飯食ってんのか?」


男「今日は迷惑かけたな。ドア、今度こそ丈夫なのを付けて貰えよ?」

銃士「ではお二方、失礼いたします。」ペコ

僧侶「おじゃましました〜。」ペコ

老賢者「ウム、気を付けてな。」

入る時より幾分か広くなった入り口から外へ出て、街へ向かう。

銃士「これからどうするんです?まだ出発までは6日程ありますが。」

男「そうだな、各々の準備期間に充てても良いんだが…」

僧侶「もしよければ、何か依頼でも受けませんか?」

男「フム、依頼か。…良いかもしれないな。」

銃士「まだお互いの力量も把握して居ませんし、良い案だと思いますよ?」

男「そうだなぁ。よし、それじゃあ明日、あの酒場に行って簡単な依頼でも受けてみるか。」

銃士「パーティの初仕事ですね。勇者様。」

男「そうだ、ずっと言おうと思ってたんだが、その"勇者様"ってのは止してくれ。俺の事は"男"で良い。」

銃士「分かりました。貴方がそう言うのでしたら。」

僧侶「じゃあ男さんですね。」

男「ああ、その方が良い。」

男「取り敢えず、今日の所はこれで解散だな。で…コイツは何処に連れて行けば良いんだ?」チラ

賢者「……zzz…」

銃士「…あぁそれが…賢者さん…家、無いみたいなんですよね。」ハハ

男「………あ?」

銃士「どうも、宿屋を転々としている様なんですよ。…彼女も、何やら訳ありと言う事なんですかね。」

男「訳あり、ね。…宿屋にぶん投げて来るってのもなぁ……フム、愛しの我が家にご招待するか。」

銃士「おや、知り合ったばかりの女性を家に連れ込むとは男さん、中々やりますね。」フフ

僧侶「あら、男さんったら大胆。」ニコ

男「ほう、それじゃあお前等が連れて帰るか?」ニヤ

にこやかに目を逸らす銃士と、うふふふと笑って誤魔化す僧侶。
悪戯っぽい笑みを浮かべながら軽く手を振り、男がその場を後にすると、残る2人もそれぞれの帰路に着いた。

今回分はここまで

ではまたそのうち

おつ
面白くなりそうだ

おっつん

こんばんは

少ないけど投下

〜自宅〜

さて、我が家に帰って来た訳だが…

賢者「……zzz…」

男「…おい、お姫様。」ペッシンペッシン

起きやしねぇ、気持ち良さそうに眠りこけやがって。…寝室に放り込んでおくか。
ーー


男「…」ズズー

ソファにぐったりと座りながらコーヒーを啜って居ると、2階で寝室のドアが開く音がした。

男「…お目覚めか。」

読みかけの本をテーブルに置く。

賢者「おはよう、男。」フワァ

男「ああ、良い子ならもうおやすみを言う時間だがな。…昼間とは雰囲気が違うじゃないか。」ズズー

賢者「私だって日に数時間はちゃんと覚醒するんだ。…私にはミルクをくれ。」

男「それを聞いて安心した。…ホットか?」

賢者「うむ。」

男「…そう言えばお前、知らない場所で目が覚めたってのに、平然としてるな。」

ミルクとお湯を温めながら尋ねる。

賢者「さっきのお前達の会話、うっすら聞いてたからな。ここは男の家なんだろう?」

男「…起きてたんなら歩けよ。」

賢者「いや、おぶられてる内にまたウトウトと。」

男「で、気付いたら俺の家だったって?女が無用心なのはぞっとしないな。」

賢者「それなりに信用してるんだ。」

男「会ったばかりだってのに?」

賢者「ああ…男は何て言うか、父親みたいで安心する。」

男「………そりゃどうも。」

この位温めれば良いか。

賢者「…あと、聞きたい事もあったしな。」

男「聞きたい事?…熱いぞ、気を付けろ。」

カップにミルクを注いでやると、賢者に手渡す。

賢者「ん、ありがとう。……その”指輪”…何処で手に入れたんだ?」

意を決した様子で切り出す賢者。

男「…こいつを知っているのか。」

2杯目のコーヒーを淹れる手が一瞬止まる。

賢者「幼い頃、私の住む町に訪れていた”旅人”が付けていた。」

男「その旅人さんが持っていた物にお前が興味を示す理由は?ただの知り合いって感じじゃ無さそうだが。」

賢者「…短かったが、滞在している間私に色々な事を教えてくれた。」

男「慕っていたのか。」

賢者「親がいたなら、こんな感じなのかな。なんて思ってしまう位にはな…」

男「…」ズズー

男「…そいつは、お前が考えてる以上に踏み込んだ質問だ。賢者が俺の事を信用してくれてるのは分かったが、それでも今すぐ答える訳にはいかない。」

賢者「っ……」

男「…ハァ…頼むからそんな顔しないでくれ。俺は"今は"無理だと言っただけだぜ。」

賢者「それって…」

男「ああ、いずれ話してやるって事だ。」ズズー

賢者「本当か…!?」

男「勿論だ。…それとも、俺が信用出来ないか?」ニヤ

賢者「!…ふふ、分かった。約束だからな、違えるなよ。」ニコ

男「…ほう」

しまった、思わず声が漏れた。しかし、これはまぁ何とも…普段から笑ってりゃ良いのに。


賢者「?どうした。」

男「いや、ああ…お前とは約束してばかりだと思ってな。パーティに誘う時もしただろう?」

賢者「おお、そう言えばしたな。そっちの約束も忘れるなよ?」

男「言われるまでも無いさ。塵芥にはなりたか無いからな。…それより、もう冷めたんじゃないか?」

賢者「うむ、そろそろ大丈夫か。」

カップにゆっくりと口をつける。…どうやら、忘れてた訳では無かったらしい。

賢者「…そうだ。男、出発まで私をここに居候させてくれないか?」

男「居候?ああ、お前ホームレスだったな。」ズズー

賢者「…その呼び方は、嫌だな。実際大した違いは無いんだが…」ズズー

男「まぁ別に構わねぇよ。この家、1人で住むには少し広くてな。」

賢者「ありがとう、助かる。…では少しの間、世話になるぞ男。」

そう言ってこちらにカップを突き出す賢者。

男「ああ…パーティにも我が家にも、歓迎するぜ賢者。」

カチン、と小気味良い音が鳴った。

とりあえず今回はこれだけ

ではまたそのうち

乙でした

面白い

こんばんは、またはおはよう

投下

〜王都 酒場〜

賢者と共に昨日の酒場へやって来ると、奥のカウンターには既に見知った顔があった。

男「何だ、随分と早いじゃないか。」

銃士「おはようございます。ええ、僕らの家はこの辺りですから。」

受付嬢「おはようございます男さん、賢者さん。"昨夜はお楽しみでしたか?"…な、なんちゃって…」カァァ

自分で言った癖に顔を赤くする受付嬢。

男「…お前、余計なこと吹き込みやがったな?」

銃士「そんな、"昨日の事"を話しただけですよ。」ニコ

爽やかに微笑む銃士。…受付嬢は真っ赤な顔で「お泊まりだなんて、そんな…」などと呟いている。

賢者「……もう事情説明しても…分かって貰えそうにないぞ…?」ダルー

男「…放っておこう、何処か遠い所へお出掛けしている様だ。」

…しくじった。昨日の内にちゃんと説明しとくんだったな。

男「…依頼についてはお前等に任せる。俺は向こうでコーヒー飲んでるから、決まったら教えてくれ。」

僧侶「分かりました〜。任せて下さい。」

賢者「……それじゃあ私も、何か飲みながら待つことにする…」

男「…」ズズー

賢者「…」ズズー

僧侶「あら、随分のんびりしてますね。」

男「ん、決まったのか。」

銃士「ええ。近くの村の村長から"作物を荒らし回る魔物を退治して欲しい"と言う旨の依頼が出ていたので、それを受注して来ました。」

男「魔物退治か。受注書を見せてくれ。」

男「…フム、この辺りで魔物被害があるなんて珍しいな。」

ざっと目を通していると、横から賢者が覗き込んでくる。

賢者「……いつ行くんだ…?…期限は特に設定されてないみたいだが…」

男「そう遠くないし、今から向かうか。依頼に期限が無くても俺達にはあるんだ。」

僧侶「それじゃあ、わたしは馬車を用意して来ますね。」

男「用意って、お前簡単に……行っちまったよ。」

銃士「大丈夫ですよ。」

男「そうか?そんなに都合良く、件の村に向かう馬車が見つかるとは思えないんだが。」

銃士「その必要はありませんよ。彼女、自分の馬車を所有していますから。」

男「…所有って、何処かのお嬢様じゃあるまいし。」ズズー

銃士「おや、知りませんでしたか?僧侶さんって、三ノ国切っての名家の生まれなんですよ?」

男「……そんな事、あの資料には載って無かったぜ?」

銃士「でしょうね。パーティを組む上で、生まれが何処かを気にする人なんて滅多にいませんから。」

僧侶「お待たせしました〜。用意できましたよ〜。」オーイ

入口で手を振る僧侶。
呼ばれるままに外へと出ると…立派な馬車と、その横で姿勢良く立っている老人が居た。

男「…超お嬢様じゃねぇか…」

賢者「……凄いぞ男…本物の執事だ…」オー

男「ああ、僧侶?用意してくれたのは、とても助かるんだが…もっと普通なのは無いのか?そいつはちょっと…いや、ちょっと所じゃ無く目立つ。」

僧侶「うふふ。小さい頃から、わたしのお世話をしてくれているんですよ。」

男「いや、執事さんの話は後で聞いてやるから、まずは…」

僧侶「もっと普通の…?馬車では駄目なんですか…どうしましょう、爺じ。」

賢者「……おお…"爺じ"なんて初めて聞いた…」

男「…そうじゃ無くてな?」

僧侶「あら…男さんも爺じの話を聞きたいんですか?」

男「…OK、分かった。…助けてくれ銃士。」

銃士「いや、あはは…」

執事「…僧侶様、この殿方が言いたいのは恐らく…」ヒソヒソ

執事が僧侶に耳打ちする。

僧侶「なるほど…そういう事ですか。分かりました、別のを用意しますね。…爺じ、お願いしてもいいですか?」

執事「勿論です。少々お待ち下さい。」ペコ

馬車と共に移動する執事。
…今の耳打ち、どうやるか俺にも教えてくれねぇかな。

男「…爺じ、凄ぇな。」

賢者「……そりゃあ…執事だからな…」ウム

男「…さっきから思ってたんだが、お前は執事に何の思い入れがあんだよ…」

ーー

執事「一応、そちらの殿方のご要望通りに一般的な馬車を用意居たしましたが。」

僧侶「ありがとう爺じ。…どうです?男さん。」

男「ああ、これなら問題ない。…助かるぜ執事さん。後、俺の事は"男"と呼んでくれて良い。」

執事「ご期待に添えた様で何よりです、男様。」

賢者「……爺じ…私の事も"賢者"と呼んでくれ…」

執事「承知しました賢者様。…そちらが銃士様ですね。皆様の事は存じておりますよ。昨晩、僧侶様が"パーティを組んだ"と嬉しそうに話していましたから。」ニコリ

僧侶「!…もう、爺じったら…」カァァ

そう言って恥ずかしそうに顔を伏せる。

銃士「おやおや…」ニコ

賢者「……男…爺じが"賢者様"と呼んでくれた…」

男「…あー、良かったな。」

どうやら執事に並々ならぬ憧れがあるらしい。かなり分かり辛いが、多分テンションも相当高い。…フム、中々どうして、可愛い所もあるらしい。

ようやく馬車に乗り込み、酒場を後にする。勿論、爺じには留守番をして貰った。
ーー

〜馬車内〜

銃士「そろそろ到着ですかね。」

男「だな、思ったより道が綺麗で助かった。」

現在俺は、運転している銃士の横で話し相手になってやっている。僧侶と賢者は中でお休み中だ。

銃士「…一応聞きますが、昨晩本当に"お楽しみ"だった訳じゃありませんよね。」

男「何だ?お前まで急に。少しばかりお話をしただけだ。」

僧侶「その割には賢者さん、随分と貴方に懐いていますね。」

男「何やら、父親みたいな雰囲気を醸し出してるらしいぜ?俺」

僧侶「ははっ、成る程。でも珍しいんですよ?彼女があんなに寄って行くなんて。…僕なんか、"五月蝿い""うっとおしい"しか言われなくて…」フフフ

男「…そりゃあ、眠い時に"あんな感じ"で話しかけられたらな。」

お前が悪い、なんて思って居ると目的の村らしきものが見えてきた。

〜村長の家〜

村長「あなたが依頼を受けて下さった…」

銃士「ええ、銃士と言います。こちらは僕の仲間達です。」

依頼主の村長と話す銃士。俺が任せていた為、今回の依頼は銃士の名前で受けてある。

村長「これはこれは…何とお礼を言って良いか…」

男「まだ早いだろ?礼は依頼を終えるまでとって置きな。まずは詳しい話をきこう。」

村長「それもそうですね。…最近、村の近くにある森の中に魔物が巣を作ったらしく、時折やって来ては畑の作物を食べて行くのです。」

村長「そこであなた方には、森へ行き魔物を巣ごと退治して頂きたい。今は作物だけで済んでいますが、いつ村人に危害が及ぶか…」

銃士「事情は分かりました。任せて下さい。今日中に終わらせて見せましょう。」

村長「!何卒お願いします。」ペコ

深く頭を下げられる。
ーー

〜村の外〜

男「今日中とは大見得を切ったもんだな。」

銃士「おや、我々は勇者一行なのですから、森の魔物位で手こずる訳には行かないでしょう?それに、困っている人を放って置く訳には行きません。」

僧侶「あら、頼もしいですね。」

賢者「……張り切ってるな…」

男「大方、あの"美人"な村長に良いとこ見せたいんだろ?」

銃士「ほら皆さん?森に入りますよ。油断しないで下さいね。」


〜森〜

男「思ったより薄暗いな。」

賢者「……葉っぱがうっとおしい…燃やして良いか…?」ダルー

男「馬鹿な事言ってんな。"巣ごと"とは言われたが"森ごと"とは言われてない。」

僧侶「な、なんか木がいっぱいですね。」

銃士「まぁ"森"ですから。どうかしたんですか?様子がおかしいですよ?」

僧侶「そんな事、ない、ですよ?」

賢者「……しっ、何か聞こえる…」

確かに、風で揺れる葉とは別にカサカサと"何か"が葉を揺らす音が聞こえる。

銃士「こちらから聞こえますね。」

銃士が指す方へ向かうと開けた場所に出た。…と同時に、音の主の正体も判明した。

男「……ああ、クソっ、何てこった…」

銃士「おや…男さんもしかして、"虫"駄目なんですか?」

そう…音の主、その正体は"デカイ芋虫"だった。しかも沢山いやがる。…その全部が俺達に気付き、今にも襲い掛かろうとしている。

男「…悪いかよ…まぁ、そこのお嬢様よりはマシだがな。」

銃士「お嬢様?」

僧侶「うふふふふふふふふ…」ウフフフフフ

血の気の無い、引きつった笑顔のままフリーズする僧侶。

銃士「…ありゃあ…完全にバグっちゃってますね。」

賢者「……男…やっぱり燃やそう…」

男「…賛成だ、焼き払え賢者。」

銃士「ちょっ、駄目ですよ!?」

男「冗談だよ…冗談。」

…100分の1位はな

男「ハァ…全く、最悪だ……銃士、お前は僧侶に付いて、近付く虫を片っ端から吹き飛ばせ。その様子じゃお嬢様、暫くは帰って来ない。」

銃士「分かりました。」

賢者「……私は…?」

男「この場所から逃げようとする虫がいたら灰にしろ。ここで全て仕留める。暇なら俺のサポートも頼む。」

男「そんでもって、俺は残りの虫共を片付ける。」

指輪が光り、手の中に剣が現れる。

男「…さぁ、初仕事だ。」

トラブルもあったけど、今回はここまで

ではまた

おつ

面白いな。
うっとうしい、だが

>>92
ありがとう、気を付ける

おつ

>>93
他が良い分そこだけ気になってしまった
面白いから頑張ってくれ

こんばんは

今日も投下

魔物達は男達を見たまま動こうとしない。"獲物"を品定めしている様だ。

男「…まさかお前等、俺達の事を食事だと思ってんじゃねぇよな?」

ゆっくりと魔物達の方へ歩く男。
魔物達の視線が男へと集まる、どうやら最初の獲物が決まったらしい。

男「しかも俺を前菜扱いか……気に入らねぇな!」

目の前に迫る魔物に剣を振る。斬った後の"それ"には目もくれない。
男の行動が予想外だったのか、動きを止める魔物達。

男「ほらどうした!そんなんじゃ、いつまで経ってもデザートに有り付け無いぞ!」

挑発されたのを理解したのか、魔物達が一斉に襲い掛かる。

芋虫とは思えない程のスピードで向かって来る魔物達を次々と斬り伏せていく男。攻撃を避け、いなし、時には力任せに押さえつけ…

男「うげ…触っちまったよ…って危ねぇな!」

距離を詰めて来た魔物を思い切り蹴り飛ばす。
ーー


銃士「…凄まじいですね。」

両手に拳銃を構えた銃士が呟いた。周りには、穴の空いた魔物が転がっている。

銃士「何匹か逃げ出そうとしてるのが居ますが…」

賢者「……問題ない…」

突然動きを止め、細切れになる魔物達。

賢者「……結界を張った…触れると切れる…」

男「何だ?そのとんでも結界は。」

銃士「おや、終わったんですか?」

男「ああ、前菜で腹一杯だとよ。」

賢者「………」クイッ

横から服を引っ張られる。

男「ん?」

賢者を見ると、俺の後ろの方を指差して居た。さて何だ、と思い振り返る。

魔物「グォォォォォッ!!」

男「……でかい芋虫の次は馬鹿でかいカブト虫かよ。流石に虫網では捕まえられねぇなあのサイズは。俺よりでかいぜ?」

銃士「男さん、アレって…」ユビサシ

見ると奴の後ろに洞窟の入り口らしきものがある。成る程、アレが巣か。

銃士「入り口を塞いでるあのカブト虫を倒して、中の巣を壊せば依頼終了ですね。」

賢者「……男…」ジー

男「…フム。分かった、今度こそ燃やして良い。」

銃士「…えっと、男さん…?」

男「洞窟の中でなら大丈夫だろ?」

銃士「それなら大丈夫だとは思いますけど…その前にあのカブト虫を何とかしないと。」

男「俺に任せろ。」ダッ

そう言って魔物の方へ駆け出す。

銃士「ちょっ、男さん!?」

男「賢者!合図したら洞窟に向かって火を放て!」

魔物の目の前で跳び上がると、剣を頭上に構え…

魔物「!?」

男「たらふく食わせてやる…!」ニヤ

思い切り振り下ろす。

男「今だ!」

賢者「…!」カッ

賢者が前に突き出した杖の先から大きな火の玉が生み出される。
放たれた火の玉は巨大な魔物の"間"を抜け、背後の洞窟の中で弾けた。

男「…フム、お仕事終了だ。」

燃え上がる巣を眺めながら、剣を"しまう"。

短いけど今日の分はここまで

ではまたそのうち

おつ
魔法使いは固まったままなのかw

僧侶だけどな

乙でした

こんばんは

ちろっとだけ投下

男「良くやった、賢者。」

賢者「……うむ…」

銃士「僕は今回、あまりお役に立てませんでしたね。」

男「そうでも無いさ。お嬢様の護衛をこなしてくれたろ?ご褒美があっても良い位だ。」

銃士「はは、それは魅力的な響きですね。…しかし僧侶さん、どうやって連れて帰りましょうか。」

僧侶「…」ウフフ

男「この惨状じゃ、起こす訳にも行かないしな…」チラ

そこらじゅうに散らばる"欠片"。僧侶がこれを見たら、更に遠い所へ行きかねない。

賢者「……燃や」スチャ

男「駄目だからな?」

賢者「……そうか…」スッ

男「…僧侶はお前に任せる。俺はこの物騒なお姫様で手一杯だ。」

銃士「分かりました。では僧侶さんが目を覚ます前に、早い所森を抜けないと。」

〜村長の家〜

村長「本当に、ありがとうございます…!これで村の者も安心して過ごせます…!」ペコ

銃士「当然の事をした迄です。貴女の様な美しい女性が困って居ると言うのに、放って置く事など僕には出来ませんから。」キリ

村長「!?ま、まぁそんな…美しいなんて…」

銃士「恥じらう姿も素敵ですよ。」ニコ

村長「っ…!…」カァァ

顔を赤くして押し黙る村長と、そんな村長を完全に落としにかかっている銃士。

男「…しかしまぁ、よく口の回る男だ。」

呆れるやら感心するやら…

僧侶「…心の傷を癒す魔法ってないんですかね…」ウフフ

賢者「……寝れば大抵の出来事はどうでも良くなるぞ…?」ダルー

男「…」

そりゃあお前だけだ。

男「…さて。」グイ

相変わらず甘い言葉を囁いている銃士を村長から引き剥がす。

銃士「おや?何をするんですか。」

男「良い雰囲気の所悪いが、帰るぞ?村長さんが本気で落ちそうだ。」

村長「い、いえっ…そんな事は…!」

耳まで真っ赤にしといてよく言う。この村長、少しチョロ過ぎやしないか?…他人事ながら心配になる。

男「……悪い男には捕まるなよ。」ポン

村長「…はい?」

銃士「…何故僕を見るんです?男さん?」

男「ほら、お前等もだ。」

僧侶「…そうですね…早く帰って爺じの入れる紅茶が飲みたい…」

…こりゃ駄目だ、相当あの芋虫が堪えたらしい。

賢者「……爺じの入れる紅茶か…私も飲んでみたい…」オオ


〜村の入り口〜

村長「またいらして下さいね。その時は歓迎致しますから。」

銃士「ええ勿論です。その時こそ…っ!?」グイッ

男「そこまでだ。…油断も隙もあったもんじゃないな、ったく。」ズリズリ

銃士を引きずりながら馬車へ向かう。

男「…そうだ村長さん。もしまた魔物関係で困り事があったら、王都の騎士団を尋ねると良い。俺の名前を出せば"おっかないオッサン"が助けてくれる。」ズリズリ

村長「"おっかないオッサン"…?」

男「ああ…とっても頼りになる"団長さん"さ。」ニヤ

村長「!?それって"龍殺し"…」

軽く手を振ると馬車へ乗り込み、すぐさま出発する。

村長「の…って行っちゃった。」

えらく短いけどここまで

投下はこんな感じでチョイチョイするのと、ある程度書き溜めてからするのと、どっちの方が良いだろう?

ではまた

乙乙

物語に対しある程度のレスポンスを貰うことによって今後の流れを決めていきたいなら小出しの方がいい
逆に完全に流れがやら展開やらを決めていて、それが揺るがないものなら書き溜めてドバっと出した方がいいかと
…まぁいずれにせよ>>1の好きなようにすればいいと思う


完結さえしてくれりゃ>>1の好きなように

乙でした

こんばんは

投下については、今まで通り適当にしていく事にしよう。うん。

では投下

〜酒場〜

酒場へ戻ると、依頼を終えた事を受付嬢に伝えた。

受付嬢「…驚きです、まさか受けたその日に帰って来るなんて。」

男「ああ、意外に張り合いが無くてな。」

受付嬢「そんなお手軽な依頼じゃなかったと思うんですけどね、一応魔物退治ですし…」

カウンターの裏へと消え、少ししてから何かを持って出てくる。

受付嬢「…ハイ、では今回の依頼の報酬です。」

男「おう、サンキュー。ええと、金と…何だこりゃ…茶葉か…?」

受付嬢「紅茶の葉です。男さん達が行った村の特産品なんですよ?」

男「へぇ、そうなのか…だが報酬の中に茶葉は含まれて無かったぜ?」

受付嬢「これは正式な報酬ではないんですよ。依頼をこなしてくれた人に、是非渡して欲しいと村長さんから頼まれたんです。」

男「…フム、気の利いたプレゼントだ。」

受付嬢に軽く挨拶して、近くのテーブルを陣取っている賢者達の所へ向かう。

男「僧侶、ほれ。」

さっき受け取った"プレゼント"を渡す。

僧侶「これって…いいんですか?」

男「ああ、俺はコーヒー派なもんでな。お前紅茶好きだろ?爺じに美味いのを入れて貰え。」

賢者「………」ダラー

僧侶「そういう事なら、ありがたくいただきます。」ニコ

男「…そうだ。ついでと言っちゃなんだが、迷惑で無ければ今夜賢者の事を泊めてやってくれないか?」

僧侶「賢者さんをですか?わたしは構いませんけど…」

賢者「……良いのか…?男…」

男「爺じの入れる紅茶を飲んでみたいんだろ?それに、今日はちょっとした用事があるんでな。思う存分、本物の執事の仕事ぶりを見学して来ると良い。」

賢者「……ありがとう…」

男「…で?さっきから何をニヤニヤしながら見てやがるんだ?銃士。」

銃士「いえ、見てるこっちが微笑ましくなる位の父親ぶりだと思いまして。」ニコ

男「……俺がか?」

銃士「他に誰が?」

男「……そんなにか?」

賢者「……うむ、思わずお父さんと呼びたくなった…」

男「…そんなにか…」ハァ

僧侶「?…誰のお父さんの話ですか?」

いつの間にやら娘が2人ってか?…笑えねぇ。

男「…全く。」

男「…取り敢えず、明日迎えに来るから適当な時間に此処で待ってろ。」

賢者「……分かった…」

男「じゃあ僧侶、任せたぞ。俺は帰る。」

心なしか疲れた様子で酒場を後にする男。

銃士「…あれ?"迎えに来る"…?……賢者さん、ちょっとお聞きしたい事が…」

〜老賢者の家〜

入口の前で立ち止まる男。何かを考えている様だ。
「フム」と小さく呟くと、扉目掛けて思い切り足を…

老賢者「」ガチャ

突き出そうとして、家主の顔の手前で止める。

老賢者「これはまた、えらく乱暴なノックだな?」

男「…ちゃんと丈夫なドアを付けてもらったのか、テストしてやろうかと思ってな。」

老賢者「お前の蹴りに耐えられる程の扉など、隠居生活には必要無い。」

男「最近は物騒なんだし、"備えあれば何とやら"って言うだろ?」

老賢者「何を抜かすか。お前程物騒な奴などこの世には存在しない。」

男「…酷い言われ様だ。世の中には何でもかんでも焼き払おうとする様な"お姫様"も居るんだぜ?」

老賢者「…はぁ、全く。いいから早く入れ。いつまで人に足の裏を見せてるつもりだ。」

老賢者「訪ねて来た理由は、"剣"についてか?」

男「でも無けりゃ、こんな時間にわざわざ来やしないさ。」ズズー

老賢者の淹れてくれたコーヒーを飲みながら答える。

男「何か分かったか?」

老賢者「…さっぱりだ。あらゆる文献を当たってみたが、何処にも"前例"は無かった。」

男「そう簡単には行かないか…もうそんなに時間も無いんだがな…」

老賢者「やはり今のままでは無理か。」

男「…無理だな。だが行くしか無い。何としてでも"魔王"に会わなきゃいけない。」

老賢者「魔王に会う、か。それに関して言えば、勇者に選ばれたのは幸いだったな。」

男「確かに。勇者なら大手を振って魔王に会いに行ける。代わりに、色々と面倒な事もしなけりゃならないだろうがな。」

老賢者「ところで、あやつらはどうだ?」

男「御一行の事か?…アクは強いが、中々どうして良い奴らだよ。信頼も出来そうだ。」

老賢者「"事情"を話せる位、か?」

男「そいつは様子を見ながら、おいおいな。」

老賢者「そうかそうか、本当に気に入ったらしいな。あの嬢ちゃん、中々センスあるだろう?」

男「ああ、悪くない。」

…多少、思い込みの激しい所があるがな。

老賢者「…さて、折角来たんだ。もう少し付き合って行け。」

男「そのつもりさ。」ズズー

ぬるくなり始めたコーヒーを啜った。

〜酒場〜

フム、賢者に待たされてやる位の気持ちで酒場へやって来たのだが…既にテーブルを1つ占領していやがる。

賢者「……おお男、おはよう…って時間でもないな…?」ダラー

僧侶「あら、男さん。ごきげんよう。」ニコ

賢者「……成る程、それも有りか……男、ごきげんよう…」

男「ああ、ご機嫌麗しゅうお嬢様方。…で?どうだった、楽しかったか?」

賢者「……爺じが…半端なかった…」

男「…何だそりゃ。」

執事「こんにちは、男様。」

飲み物を乗せたトレイを持った執事に挨拶された。

男「やぁごきげんよう、執事もいたのか。」

執事「ええ。…男様の分もご用意いたしますか?」

男「お気遣いどうも。俺は自分で持って来るから良い。」

「ふざけるなよ!このガキぃ!」

丁度注文したコーヒーが出て来た頃、何やら穏やかじゃない声が聞こえて来た。店内もざわつき始める。

少年「ちょ、ちょっと戦士さん、喧嘩は駄目ですって。」アワアワ

戦士「先に絡んで来たのはあいつらだぞ!」

チンピラA「ああ?そのガキがぶつかって来たんだろうが!」

男「…」ズズー

…何だ?あのお約束みたいなチンピラは?

戦士「テメェが前見てねぇからだろうが!」

チンピラB「何だ?ガキのおもりの分際で!」

チンピラC「殺っちまうぞ!?あぁ?」アァ?

男「ぶっ」

…思わずコーヒーを吹き出してしまった。

賢者「……男…汚いぞ…」

いつの間にか側に立っている賢者。

男「ああ悪い、ちょっと面白かったもんでつい。」


戦士「やれるものならやってみろ!この腰抜けが!」

チンピラB「良い度胸だな?オイ!」ガッ

戦士の胸倉を掴むチンピラ。

戦士「ふん!!」グイッ

そのチンピラを持ち上げる戦士。

チンピラB「!?お、おい離せよ!このデカブツが!」

チンピラA「テメェ何してんだ!?」

チンピラC「本気で死にてぇんだな、ああ!?」アァ?

男「っ…ぶっ…くくっ…!」プルプル

…頼むから黙っててくれ…"アァ?"って…笑わせに来てるだろ、アイツ…

賢者「……何か知らんが楽しそうだな…」ダラー

チンピラB「ならお望み通り…殺してやるよぉ!」スチャ

男「…」

懐からナイフを取り出すチンピラ…アレは、やり過ぎだな。
そろそろ止めに入ろうかと思っていると…

戦士「そんなもので…俺を殺せると思ってるのか!!」ブン

戦士が、掴んでいたチンピラを投げ飛ばした。

執事「!」スクッ

派手な音をたてて僧侶と執事の近くのテーブルに"着地"するチンピラ。テーブルやらその上の物やらが辺りに散乱する。

執事「…お怪我はありませんか?僧侶様。」

僧侶「ええ。ありがとう爺じ。」

僧侶を庇う様に立っている執事、その手には"ガラスの破片"が握られている。

男「…へぇ、やるもんだ。」ズズー

執事「僧侶様、私は少しばかり席を外します。」ニコ

僧侶「?分かりました。」

執事「…」

チンピラ達の方へ歩いて行く執事。

賢者「……男…止めなくて良いのか…?」

男「ああ…きっと、面白いもんが見られるぜ?」ニヤ

戦士「どうした!ビビったか!」

チンピラA「この野郎…あ?」

執事「…」

チンピラと戦士の間で立ち止まる。

チンピラC「んだ?このジジイ?すっこんでろ!」アァ?

執事「…貴様等、表へ出ろ…」

チンピラA「…あ?今何て言っ」

執事「表へ出ろ。」ギロ

チンピラA「っ…テ、テメェふざけた事抜かしてんじゃねぞ!」ガッ

執事「…」スッ

チンピラA「!!?……がっ、は…!?」

男「〜♪」クチブエ

執事に掴みかかろうとしていた筈のチンピラが背中から床に叩きつけられる。
素人同然の奴に受身が取れるわけもなく、苦しそうにもがいている。

執事「もう一度だけ言う…全員表へ出ろ。」ギロ

チンピラC「ひっ…!」アァ!?

流石に力の差を理解したのか、今だに喘いでいる仲間を担ぎ出て行こうとする。

男「おっと、忘れものだぜ。」ホイ

テーブルの上で伸びている奴を放ってやると、残りの2人を巻き込んでそのまま外へ……って強く投げ過ぎた。

執事「何をしている?貴様もだ。」

戦士「お、俺も?…分かりました…」

執事と共に大人しく出て行く戦士、その後ろをあの少年が慌ててついて行った。

男「爺じ、おっかねぇな。」ズズー

賢者「……そりゃあ…執事だからな…」

僧侶「テーブルはこのままで良いんでしょうか?」アラアラ

銃士が酒場へやって来る頃には、店内も落ち着いていた。まぁテーブルは減っちまったが。

銃士「…表で土下座している人達は何なんです?新手の大道芸、って訳では無いですよね。」

男「爺じが半端なかった。」ズズー

賢者「……うむ…」ズズー

銃士「…ええと…はい?」

僧侶「爺じも何か飲めばいいのに。」

執事「私ですか?…そうですね、それでは私も紅茶を頂きましょうか。」ニコ

ーー

男「王様が呼んでるって?」

銃士「はい、先程城の近くで騎士団長に会いまして。もし今から男さんの所へ行くならそう伝えて欲しいと。」

男「そんな大事な事、人に任せんなよ…」ズズー

賢者「……私たちも行くのか…?」

銃士「あれ…そういえば、それについては言われませんでしたね。」

男「オッサン雑過ぎだろ。…フム、来るなとは言われて無いし…来るか?」

僧侶「あら、良いですね〜お城。」ニコ

銃士「…僧侶さんもああ言ってますし、全員で行きましょうか。」

今回はここまで

自分で書いといてなんだけど、話が進んでない気がする。

ではまたそのうち


おもしろいから大丈夫だよ
思うままにやってくれい

乙でした

こんばんは

早速投下

〜謁見の間〜

男「今日はこっちなんだな。」

王「一応、ちゃんとした謁見じゃからな。そもそもあの部屋を使う方が珍しいのだぞ?お主だけじゃ、あんなに利用するのは。」

男「VIP待遇って訳だ、悪くない。…それで要件は?」

王「ウム、お主にもう1人の勇者を会わせておこうと思っての。」

男「そういや、そんなのも居たな。すっかり忘れてた。顔合わせって事は、こいつ等を連れて来たのは正解だったな。」

王「正解も何も、パーティ全員で来いと伝えただろう。」

男「…へぇ。そりゃあ初耳だ。オッサン、あんたそんな事言ったか?いや、その前に今日オッサンに会うのは初めてだな?」ニヤ

王「…騎士団長、どう言う事か後で説明してくれるな…?」ジロ

騎士団長「…も、勿論であります…はい…」

ばつの悪そうな顔で答える騎士団長。中々貴重なシーンだ。

男「ところで、その勇者様が見当たらないんだが。」

見回すが、居るのはやけに静かな賢者達と、騎士団長含む王の護衛だけだ。まさか護衛の中にいる訳ではあるまい。

王「もう来ても良い頃なのだがな。何でも、裏通りの酒場に用事があるとか。」

男「…ああ、じゃあ仕方ないかもな。さっきまで随分と"騒がしかった"から、俺達の様に巻き込まれたのかもしれない。」

まぁ、半分は執事のせいだがな。

王「その口ぶりじゃと、お主らもその酒場に居たらしいな。ではそろそろ来…」

少年「も、申し訳ありません王様!!色々とトラブルがありまして…!!」

謁見の間に飛び込んで来る"少年"と、その仲間らしき一行。
その中の1人が、王の御前に立つなり床に頭を打ち付けながら土下座をする。

戦士「本当に申し訳ありません!!」ゴンッ!

王「……そこまでせんでも良い。顔を上げろ。男、彼等がさっき言った勇者…ってどうした?」

男「…"もう半分"が勇者様御一行かよ…」

王「おや?知り合いか?」

男「…まぁ、そう言えなくも無い…か?」

戦士「お前達どこかで…ってその女は…っ!」ハッ

土下座姿勢のまま辺りをキョロキョロする戦士。

男「安心しろ、執事ならここには居ない。」

ホッとした様子の戦士。爺じが余程怖かったらしい。
ちなみに、"執事"と言う単語を聞いて騎士団長がビクッとしたのを俺は見逃さなかった。

王「…あー、事情はよく分からんが…まぁ紹介しておこう。」

王「男、こやつがもう1人の勇者じゃ。」

そう言って王が指したのは…

少年「よ、宜しくお願いします!」ペコ

男「…冗談。」

王「まぁお主の言いたい事は分かる。確かにまだ若いが、聖剣に選ばれたれっきとした勇者じゃ。」

勇者「一応は…はい。えっと、貴方が男さん…ですよね?」オドオド

…この自信なさげなのが勇者、ねぇ。

男「ああ、宜しく頼む。…随分と極端なんだな。」

歳も雰囲気も、俺とは大違いだ。

王「ウム、面白い位な。」

勇者「えっと…じゃあ、先に僕のパーティを紹介しますね?」

勇者「そこで、土下座してるのが戦士さん。こっちにいるのが"魔法使い"さんで、この人が"男僧侶"さんです。」

見るからに真面目そうなのが男僧侶、何やら雰囲気が妖しい女が魔法使いか。…戦士は、まぁ酒場での様子からどんな奴かは想像がつく。

男「こりゃあ親切にどうも。…あっちから順に僧侶、銃士、賢者だ。」

銃士「…雑過ぎやしませんか?」ヒソヒソ

男「そうか?こんなもんだろ。」ヒソヒソ

勇者「ゆ、勇者です!宜しくお願いします!」ペコ

銃士達に向かい頭を下げる。律儀な奴だ。

男「さて…顔合わせは済んだ訳だが、他に何か用はあるか、王様。」

勇者「え、終わりですか…?」キョトン

王「もう良いのか。随分とあっさりしておるな、お主。」

男「こう言う畏まった雰囲気、嫌いなんだよ。」ハァ

王「…王の前で言う台詞では無いな。」

男「何を今更。」

王「はは、確かに。…勇者からは何か無いか?」

勇者「ぼ、僕ですか?…特には…ないです。」

王「ウム…そうか。では、ちと早いが顔合わせはこれ位にして、お前達に出発時の事を説明しておこう。」

…王から出発の詳しい時間や段取りについて説明を受けた。
一通り説明を受けると、王と勇者様御一行に簡単に挨拶をして城を後にする。

〜酒場〜

男「ハァ…疲れた。あんな雰囲気の所にあれ以上居られるかよ。」

銃士「流石に、王様の前だと緊張しますね。」

僧侶「お城の中って、やっぱりすごいですね。強そうな人も沢山いましたし。」

賢者「……ああいう式みたいなのって…眠くなるよな…」

やけに大人しくしてると思ったら、それぞれに思う所があったらしい。

銃士「…あ、そうだ。…男さん、賢者さんの同居の事、どうして教えてくれなかったんです?つれないじゃ無いですか。」ニコニコ

ニコニコしながら尋ねて来る銃士。

男「お前に知られると、面倒な事になる気がしてな。」

銃士「でも、遅かれ早かれ分かる事ですよ?」

男「なら、自分からわざわざ言う必要も無い。だろ?」

賢者「……ああ言えば…こう言う…」

銃士「それは、僕の台詞だと思うんですが…」

その後は絡んで来る銃士を適当にあしらいつつ、これからの予定を大まかに決めた。
と言っても、出発までそんなに時間は無いが。

中途半端だけど、今回はここまで。

ではまた。

乙でした

こんばんは

ほんの少しだけ投下

〜王都 中心街〜

日は変わって翌日。
俺達は旅に必要な物を一通り揃えようと言う事で、中心街の方まで繰り出して来ている。王都の中心ともなると、流石に店も人も多い。

賢者「……うう……なぁ男、帰ろう…」ダルー

男「良い提案だが、お前も何か必要な物とかあるだろ?……俺だって人混みは嫌いだ。」ハァ

賢者「……仕方ない…買ったらすぐ帰るからな…」

銃士「男さんはこの辺りの店には詳しく無いんですよね?」

男「ん、さっぱりだな。」

銃士「では、僕の馴染みの店を回りましょうか。必要な物は大体揃うでしょう。」

男「ああ、任せたぜ。…って、僧侶はどこ行った?」

銃士「…あれ?」

賢者「……そう言えば…何かその辺うろちょろしてたな…」

男「…おいおい。いい歳して迷子ってか?…止してくれよ。」

銃士「あはは…」

僧侶「おばあさん、これ一体なんですか?…すごく綺麗。」

1つの露店の前で立ち止まり、隅の方に置いてあった石を手に取る。
何色ともつかないそれは、空に透かすとキラキラと淡い光を放った。

露店商「お嬢ちゃん、その石が気になるのかい?」

僧侶「はい。何だか、とっても不思議な感じがします。あと綺麗ですし。」

露天商「はは、余程気に入ったんだねぇ。…そうさね、その石お嬢ちゃんにあげるよ。」

僧侶「えっ?いいんですか?」

露天商「構わないよ。誰も買い手がつかなくて、ずーっと売れ残ってたんだから。」ハハハ

僧侶「ありがとうございます!おばあさん。」ニコ

その後何も買わないのも悪いから、と幾つかのアイテムを買い、露店を後にする僧侶。
すると、こちらの方へ歩いてくる銃士達を発見する。

僧侶「あっ、みなさん!見てください。さっき、あのお店のおばあさんが…あうっ」コンッ

無言で僧侶の頭にチョップを入れる。

僧侶「…何するんですか…?男さん。」

男「あんまりフラフラすんな。子供かお前は。突然姿が見えなくなったら何事かと思うだろ?」

僧侶「ごめんなさい…目新しいものが沢山あったもので、つい…」

男「…子供かお前は…」ハァ

半分呆れながら同じ台詞を吐く男に、銃士がニコニコしながら話しかけた。

銃士「おや、大変そうですね"お父…さっ!」ドゴッ!!!

無言で銃士の頭に手刀を入れる。

銃士「…お…男さん?何か、僕のは…随分と…強烈じゃあないですか…?」ジンジン

頭を抑えながらしゃがみ込み、涙目で訴える銃士。僧侶も「あらあら…」と覗き込んでいる。

男「ああ、えらくデカイ蚊が居たんだ。許せ。」

賢者「……大丈夫なのか…?何かすごい音がしたぞ…」

銃士「…あまり、人を茶化すものでは無いですね…と言うか男さんを。」ジンジン

頭をさすりながら呟く銃士。

男「良い教訓になったな。…さて、気を取り直してお買い物と行こうか。」

賢者「……うむ、早く済まそう…」

男「ほら、道案内だ。頼むぜ?」

銃士「任せて下さい。…こっちですね。」ジンジン

銃士の案内で、馴染みの店とやらを回る。
確かに、装備やアイテムなど必要そうな物は一通り揃える事が出来た。取り敢えずはこんな所で良いだろう。

銃士「僕はもう少し見て回りますが、皆さんは?」

男「帰る事にするよ。お姫様が相当お疲れだ。俺も早いとこ人混みから抜けたいしな。」

僧侶「わたしはもう少し色んなお店を見てみたいです。」

男「だそうだ。」

銃士「分かりました。では僧侶さんは、僕が責任を持ってエスコートしましょう。」

男「ああ、是非そうしてくれ。じゃあな。…帰るぞ、賢者。」

賢者「……ん?…うむ…」ダルー

ここまで

ではまた

乙おつ

賢者は相変わらずダルーだな

乙でした


姫様呼びはデフォなのか

こういうの好きだから楽しく読んでるけど、
くっそ痛いなこの作品

>>152
中2病が完治してないもんで



更新は近い内にします。レスしてくれてる人ありがとう。

こんばんは
ちょろっと投下

〜自宅〜

賢者「なぁ男よ。男はいつも何の本を読んでいるんだ?」

男「…何だ?急に。」

リビングで本を読んでいると、賢者がミルクを飲みながら近付いて来た。
ちなみに今の賢者は"お目覚めモード"である。

賢者「家に帰ってゆっくりしてる時の男は、大抵コーヒーを飲みながら読書をしているだろう。気になるじゃないか。」

男「大抵ってお前、家に来てまだ4日目じゃねぇか。しかも2日目は僧侶の何処に泊まってたろ?」

賢者「うむ?…確かに。でもいつも読んでいるだろう?」

男「まぁな。…いつもっつっても特に決まった本を読んでる訳じゃない。色々だ。例えば、これなんかはお伽話。絵本さ。」

賢者「絵本…意外だな。読書が好きってだけでも意外なのに。」

男「失礼だな。別に良いだろ、人は見かけによらないんだ。」

賢者「それで、どう言う話なんだ?」

男「ん?気になるのか。フム、そうだな…」

ーーー

昔々、まだ七つの国が出来たばかりの頃。人間は魔の国からやって来る魔族達によって苦しめられていました。

魔の国の王である魔王を倒せば国に平和が訪れると考えた七人の王達は、自分の国から一人づつ聖剣を使える人間、勇者を選び出しました。

選ばれた七人の勇者達は力を合わせて魔王を打ち倒し、七つの国には平和が戻りました。

しかし、その平和もつかの間。突然現れた一匹の竜が、世界に大いなる災いをもたらそうとしたのです。

竜を止める為に、再び立ち上がった勇者達は激しい戦いの末、何とか竜を封印する事ができました。

こうして、世界には真の平和が訪れたのです。

ーーー

男「まぁ、かなり掻い摘むとこんな内容の話だ。実際はもう少し長い。」

賢者「ありがちな話だな。…貸してくれ、ちょっと見てみたい。」

パラパラとページをめくる音が部屋に響く。

賢者「…?」

賢者「なぁなぁ男。この、勇者達が竜と戦っている絵、勇者の数が足りないぞ。6人しか居ない。…描き忘れだろうか。」

男「…案外、その"竜"の正体がもう1人の勇者だったりしてな。」

賢者「それは…後味が悪いな。」

男「確かに。まぁ、お伽話なんて結構適当なモンだからな。」

賢者「それもそうだが……あ。男、ミルクもう一杯。」

男「…待ってろ。」

…どうやらお伽話の内容よりも、ミルクが無くなった事の方が重要らしい。

ーー


ーー

〜三ノ城内 地下〜

出発の日。
城の地下に位置する巨大な部屋には、男達や王の他に、騎士団長と老賢者も居た。この部屋は王でさえも滅多に立ち入る事は無いらしい。

男「で、此処から一ノ国に行くのか?」

老賢者「ああ、この部屋には一ノ国までの長距離転移魔法陣が設置してあるんだ。」

勇者「何かあった時のため、ですか…?」

王「その通り。有事の際各国を手早く行き来できる様、全ての城に設置してある。…まぁ尤も、今は王達が集まって会議をする時位にしか、使ってはおらんがな。」

騎士団長「では全員、奥の魔法陣の中へ。」

戦士「何か、こう言うのってワクワクするよな!」

魔法使い「戦士だけじゃない?貴方、そういう子供っぽい所あるし。」

男僧侶「体は無駄にでかいが、頭は16の頃から成長していないからな。」

戦士「何だと!?」

男僧侶「…いや、13歳の頃から変わってないか?」

戦士「よぉし、表へ出ろ。」

勇者「お、落ち着いて下さい戦士さん!喧嘩は駄目ですってば!男僧侶さんも、何でいつも挑発するんですか!?」

魔法使い「戦士の反応が面白いからでしょうね。」

王「…騒がしいのう。」

男「仲が良いのは良い事だ。まぁ送っちまえば静かになるさ。」

王「それもそうじゃな。では始めるぞ。」

そう言って魔法陣の前に立ち、呪文を詠唱する王。

男「気が向いたら、土産でも持って帰るよ。」

老賢者「土産なんぞは要らんから、カワイコちゃんを連れて来い。」

男「….カワイコちゃん、ねぇ。」

男「分かった、飛び切りの"美人"を連れて来てやるよ。」

王「…旅の無事を祈っておるぞ。」

王が杖の先で魔法陣に触れると、魔法陣が強く光り出す。
光に包み込まれた男達は溶ける様にその姿を消し、巨大な部屋には再び静寂が戻った。

〜一ノ城 地下〜

光に包まれた男達が次に目を開けると、そこは先程まで居た場所とよく似た部屋だった。多少の違いはあれど、部屋の大きさから床に描かれた魔法陣まで、そう大差は無い。

…まぁ、そんな事をのんびりと考えているのは、男ただ1人なのだが。

戦士「…ああクソっ…何だこれは…頭がグラグラしやがる…」

銃士「これは…中々どうして…キツい、ですね…」

男以外の全員がこの有様である。

男「何だ?もしかしてお前等、転移魔法は初めてか。」

無言で頷く面々。

男「全く、情けねぇな…勇者様御一行ともあろうものが。」

賢者「……男は平気…なのか…?……うう…気持ち悪い…」

男「そりゃあ慣れてるからな。…ハァ、済まないがそこの"あんた"、もう少し待っててくれるか?」

男が声をかけた先には、1人の男性が立って居た。"一ノ王"の下までの案内人であろう。

臣下「構いません。」

男「助かるよ。こんな姿、余所には見せられねぇ。」

臣下の後ろに付いて城内を歩いて行く。地下室こそよく似ていたが、その他の内装は三ノ城とは大分違っていた。
七ヶ国はそれぞれ異なる文化を持っている為、当然と言えば当然であるが。

臣下「着きました。この部屋へ立ち入るのを許可されているのは勇者様のみですので、バーティの皆様は別室にてお待ち下さい。」

男「ああ、案内どうも。…という訳だから、お前等は留守番だ。あんまり迷惑かけるなよ?」

賢者「……何故私を見る…」ダルー

勇者「…いよいよ、他の勇者の人達に
会うんですよね…?…ど、どうしましょう。き、緊張してしまきた。」

男「…取り敢えず落ち着け。」

魔法使い「緊張して噛んじゃう勇者ちゃんも可愛いわ〜」

ウチの勇者様は大丈夫なんだろうか…まぁ今更考えても仕方ない。

扉を開け中へと入って行く。
奥へ進むと、玉座の中には柔和な笑みを浮かべた女性が居た。

一ノ王「ようこそ我が一ノ国へ。お待ちしておりました、三ノ国の勇者達よ。」ニコ

今回はここまで
上手い事話が進まない

ではまた

乙乙

乙でした

乙乙

乙乙

こんばんは
こんな時間だけど投下

男「お会いできて光栄です。女王様。」
恭しくお辞儀をしてみせる男。
後ろにチラっと目配せすると、勇者もそれに合わせる。

男「…しかしまぁ、随分と若いな。…てっきり婆さんが出てくるもんだと思ってたんだが。」

兵士「っ、貴様!女王陛下に対し何と無礼な口を!」

身を乗り出す兵士を、一ノ王が手で制止する。

男「おっと、気を悪くしてくれるな?別に馬鹿にした訳じゃない。その歳で王なんて立派なもんだ。」

一ノ王「ふふ、一国の王を前にその態度。三ノ王から聞いていた通りの方ですね。」

愉快そうに笑う。
一体何を教えたんだろうか、ウチの王様は。

男「ああ、堅苦しいのは嫌いなもんでな。」

一ノ王「さて、全員揃った様ですし、今回の任務についての説明を…」

「待って頂けますか、女王陛下。」

声を発したのは1人の青年だった。
どの国の勇者なのだろうか。どこか中性的でありながら、同時に精悍なその顔つきからは、中々の手練れである事が窺い知れる。

一ノ王「どうしたのです?」

青年「そのヘラヘラとした男が勇者だと言うのですか?しかも、私と同じ"天然"の。」

一ノ王「ええ、三ノ王からはその様に聞いています。」

青年「…ふむ。」

男「何やら、納得行かないって顔だな?」

青年「君が勇者…そうは見えないな…風貌のせいか…?…しかし…」

顎に手をやり、こちらを眺める青年。
暫し熟考すると、何を思い立ったのか、顎から手を離して俺にこう告げた。

青年「…よし。君、私と手合わせをしてもらおう。」

男「…あ?」

一ノ王「……はい?」

一ノ王「…何を言い出すのですか?」

青年「彼がどのような人物か、この目で見極めたいと思いまして。」

一ノ王「それでどうして勝負になるんですか。」

青年「"相手の事を知るには剣を合わせるのが1番"、私の師匠の言葉です。」

一ノ王「…認めません。他にもっと穏やかな方法もあるでしょう。」

青年「しかし、女王陛下…」

一ノ王「駄目なものは駄目です。」

男「別に俺は構わないがな。」

一ノ王「貴方まで何を言い出すんですか!?」

男「そんなおっかない顔するなよ。殺し合いをする訳じゃ無いって、只の運動だよ。」

青年「彼の言う通りです。私だって、同じ勇者同士での争いなど望みません。これはあくまでも健全な試合です。」

一ノ王は男と青年の顔を交互に見ると、諦めた様に溜息を吐いた。

一ノ王「…はぁ……後で演習場を利用して構いません。ただし、試合には訓練用の模擬刀を使用する事。良いですね?」

青年「はい、勿論です。」

一ノ王「…さて。では今度こそ説明を始めますよ。」

コホン、と1つ咳払いを入れる一ノ王。

一ノ王「各地で魔物による被害が増加している事は、それぞれの国王から聞いていると思います。そしてその原因の究明が、貴方達の任務だという事も。」

一ノ王「貴方達には二手に分かれ、それぞれ魔国、七ヶ国で調査を行なって頂きます。」

「魔国へも向かうのですか。」

尋ねたのは長い黒髪を後ろで1つに束ねた女性。服装や、腰から下げた…確か"刀"だったか。から察するに七ノ国の勇者だろう。

一ノ王「ええ、魔国でも魔物の狂暴化は起きているようです。勇者が訪れる事に関しては魔王と既に話をつけていますから、魔国へ向かう勇者はまず魔王に会い協力を取り付けて下さい。」

…魔王と勇者が協力なんて、世の中も変わったもんだな。

「何か三ノ国のデカイ方が遠い目してるぞ。」ヒソヒソ

「まあ見た感じそこそこいい歳っぽいし、そういう時もあるんじゃないかな。」ヒソヒソ

男「…」

隣の男女がヒソヒソと話している。しかし距離が近いので丸聞こえだ。
……そんなに老けて見えるんだろうか、俺。まぁ若くは無いが。

青年「魔国へは誰が行くのですか?」

一ノ王「七ノ国、二ノ国、そして三ノ国から男さん。この3名の勇者です。」

一ノ王「七ヶ国に残る勇者達には、それぞれ自国の周辺を調査、及び狂暴化した
魔物が現れた際の討伐をしてもらいます。勇者が居なくなる国に関しては、騎士団や隣の国の勇者がカバーをして下さい」

青年「となると、実質的に行動するのは先に挙げた3名だけで、大半の勇者は今まで通りという事ですか。」

一ノ王「そういう事になりますね。何が起きているのか分からない以上、無闇に勇者達を動かす訳にもいきませんから。七ヶ国を離れる勇者は最小限に抑えたいのです。」

一ノ王「そして魔国へ向かう手段なのですが、勿論"あの部屋"は魔王城には存在しません。ですから、魔国に1番近い二ノ国へ飛びそこから自分達の足で向かっていただきます。」

一ノ王「一刻も早い原因究明が望まれまているのは確かですが、すぐに終わるような任務ではないのも確かです。くれぐれも無謀な行動は控えて下さい。1人でも"欠ける"などという事は許しません。」

ハッキリとした口調でそう告げる。
全員無事で帰って来いと、そう言う事らしい。言ってる事は甘いが…悪くない。

ここまで

ではまた

乙でした


魔王まだ出てこなさそうだな

期待して待ってる

こんばんは

今日も今日とて投下

〜一ノ城内 演習場〜

銃士「ええと…何で決闘なんて事に?」

模擬刀を選んでいると、そう尋ねられた。

男「安心しろ、別に嫌われた訳じゃない。腕の立ちそうな奴なんで、ちょっと勝負してみたくなっただけさ。多分向こうも同じ理由だろうよ。…分かるだろ?」

銃士「僕にはちょっと分かりかねますね。」

僧侶「わたしは分かります。強い方を見ると、ついお手合わせ願いたくなりますよね。」ウフフ

銃士「…僧侶さん、それはボードゲームか何かの話ですよね?」

僧侶「…?ボードゲームならオセロが好きですよ?」

男「…そうじゃ無くてな?」

僧侶「でもチェスは苦手です。お父さまによく付き合ってたんですけど、いつもキング以外の駒を全部取られちゃうんですよね。」

男「……ああそうだな、チェスは難しいな。」

模擬刀を選び終えると、青年の前に立つ。

男「待たせたな。」

青年「構わないさ。…そうだ、始める前にまだ名前を名乗っていなかったな。」

青年「私は一ノ国勇者。"騎士"と呼んでくれ。」

男「俺の事は男で良い。しかしこの国出身って事は、さっきの女王様はお前の主か。随分と若かったな。」

騎士「それもそうだろう。先代の女王陛下が2年程前にご隠居なされてな。あの方は即位したばかりなのだ。」

男「成る程、それでか。」

騎士「話が逸れたな。…では始めようか男君。」チャキ

剣を構える騎士。

男「おお、いつでも来い。」

ーー

ーー

どれ位経ったのだろうか。
男と騎士は構えた状態から、未だに一歩たりとも動いていない。その異様な緊張感からか、周りに居る他の勇者や兵士達も息を殺し、その様子を見つめている。

男「…」ニヤ

男の顔に笑みが浮かぶと、騎士もつられて笑みをこぼす。

騎士「やるじゃあないか。」ニッ

男「そりゃどうも。」

騎士の"正に剣術の基本"と言える様な構えに対し、男は立っているだけ。力無く下ろした右手に握った剣の先も、床に着いてしまっている。果たして構えと呼べるのかどうかも怪しい程だ。

しかし互いに思っている事は同じだった、"全くもって攻め入る隙が無い"。
この勝負、先に動いてしまった方が不利になる。それはその場に居る全員が理解していた。だからこそ、こうして膠着状態が続いているのだ。

だが…

男「これじゃあ面白く無い。お前もそう思うだろ?…だからここは、年上の俺がリードしてやらないとな!」ダッ

そう言うと、男が動いた。

一瞬でその距離を詰める男。

騎士(速い…だが反応出来ない程ではな…?)

初撃に備え、防御の構えをとろうとした目の前で男が"消える"。

騎士(消えた?何処へ……っ!!)

とっさに身を屈めた騎士の頭上スレスレを、風を切りながら剣が通過する。

騎士「後ろか!!」バッ

屈んだ姿勢のまま身を翻し、攻撃を外して隙が出来た男の胴体へと剣先を突き出す。

男「おっと…」

しかし、男は突き出された剣先を靴の裏で止め、さらに突きの勢いを利用して後ろへと跳んだ。

騎士(体勢を立て直す暇など与えるものか!)

男へ近付き、着地する一瞬の隙をついて剣を振り下ろす。

真っ直ぐ向かって来る剣に対し男が取った行動は、"右から軽く刃を当てる"。それだけで攻撃は左に逸れ、騎士の体勢が崩れる。
が、

騎士「ッ!!」グルッ

無理矢理に身体を回転させるともう一度剣を振り下ろす。

男「!」

今度はその攻撃を真正面から受け止める男。伝わった衝撃で足下の床にヒビが入った。

男「おいおい、もっと身体は大事に扱うもんだぜ…!」ググッ

騎士「心配するな、そんな甘っちょろい鍛え方はしていない…!」ググッ

男「そりゃ良かっ…た!」

迫り合った状態から男が騎士を蹴り飛ばす。無理な姿勢から放たれたにも関わらず、男との距離は大きく開いた。

騎士「くっ…」

男「どうした?意外に手応えがねぇな!」

騎士「ハッ、言ってくれる。」

騎士のそばで、"バチッ"と小さな静電気が起きた。次第に音は大きくなり、電気も目に見える程巨大になって行く。

騎士「ウォーミングアップは此処までだ。」ニッ

断続的に放電しながら楽しそうに微笑む騎士。

男「魔法か。良いね、楽しめそうだ。」

騎士「さぁ本番と行こう!」

閃光と共に騎士が消える。

男「っと!」

男が慌てて横へ避けると、今まで立っていた床の上を雷が走り抜けた。

騎士「流石に避けられるか。」

男の少し後方から騎士が声をかける。

男「あんな直線的な動きじゃな。」

騎士「ふむ、それなら…これはどうだ。」

再び閃光の中に騎士の姿が消えると、男の近くで小さな雷が炸裂した。バチッ、バチッと別の所でも雷が発生し始める。
どうやら騎士自らが雷と化し、男の周りを不規則に移動しているらしい。

男「……成る程。これは厄介だ。」

周りで次々に起こる放電、これでは迂闊に動く事が出来ない。
そして、

男「!!」バチッ

周りに少しでも気を取られれば、雷は容赦無く男に襲いかかる。
動く事も出来なければ、その場に留まる事も許されない。

男「っ!….雷の檻で逃げ場を無くし、じわじわと追い詰める訳か。えげつねぇ事しやがる…」

その速度が増しているのだろう。放電の間隔はだんだんと短くなり、雷の威力も上がって来ている。

男「マズいな。…くっ!」バチィン!

男「仕方ねぇ。こうなりゃ…」

何を思い立ったのか、男は防御も避ける事も止め、剣を高く振り上げた。
その間にも、雷は着実にダメージを与えて行く。

騎士(何をする気かは知らんが…一気に決める!)カッ

ラストスパートとばかりに、速度を更に上げる騎士。最早放電に間隔は無く、男を中心に巨大な雷が発生し続けている。

男「ッ!!!」ブン!!

纏わり付く雷を無視し、高く掲げたその剣を思い切り床に振り下ろした。

轟音と共に、床が放射状に割れて行く。
その衝撃たるや凄まじく、離れた所で見ていた勇者達の所にもそれは伝わった。
勿論、そんなものに間近で巻き込まれたのでは、騎士も帯電状態を保つ事など出来るはずも無く。

騎士「何て…無茶苦茶な。…っ!!!」

男「ハァ!!」

遂に動きを止めた騎士に向かって繰り出された一撃は、受け止めた剣を打ち砕き、その身体を大きく弾き飛ばした。
受身を取る事も出来ず壁に叩きつけられた騎士だが、直ぐに立ち上がると無邪気な笑みをこぼす。

騎士「楽しいな。こんなに楽しいのは"武士"君と手合わせした時以来だ。」ニッ

男も楽しそうに笑みを浮かべる。

男「ああ同感だね。…その武士ってのは誰だか知らんが。」

男「しかし…これじゃあ続きは無理そうだな。」ポイ

折れた剣を放り投げる。

騎士「そうだな。私のなんてバラバラになってしまった。」

残った"柄"を摘み上げながら答える。

男「全く、模擬刀ってのは随分と脆いんだな。」

騎士「まぁ、訓練程度ならばこれで充分だからな。」

男「フム…仕方ない、今回は引き分けって事

「何ですかこれは!!?」

大声のする方へと顔を向けると。

一ノ王「な、な、何でこんな事になってるんですか!!?ボロボロのグチャグチャじゃないですか!!?」

顔を真っ赤にした女王様が立っていた。

騎士「へ?………っ!」

一瞬、何の事を言っているのか分からないと言った反応をした騎士だが、周りに目をやると状況を理解したらしい。

騎士「えっと、女王陛下?こ、これはですね….」タジッ

一ノ王「健全なっ!試合だとっ!言いましたよね!」

騎士「も、勿論ですとも。健全な試合でしたとも。ええ。」アハハ

一ノ王「……そうですかそうですか。ではこの有様を見て、どの辺が健全な試合の後なのか教えてもらいましょうか…!!」

騎士「それは…」チラ

折れた模擬刀、粉々になった床、デカい穴の空いた壁、しまいにはそこら中に残った焦げ跡。
…血だまりでもありゃ完璧だな。

騎士「…」

一ノ王「…何か言う事は…?」

騎士「申し訳御座いません!!」

一ノ王「謝って済む問題じゃありません!!」

おっかねぇ。大人しいのかと思ってたら結構キツいんだな、女王様。

一ノ王「貴方も何さっきから傍観者気取ってるんですか!貴方だって当事者でしょう!見てくださいこの惨状!」

男「見ろったって…」チラ

折れた模擬刀、粉々になった床、デカい穴の空いた壁…あれ。

男「…殆どやったの俺だな。すまない。」

一ノ王「」

一瞬の間。

一気に耳まで赤くなった女王が、拳をぷるぷると震わせながら此方へ歩いて来た。
…何やら、とても嫌な予感がする。

今回はここまで

戦闘シーンは難しいな
ではまた

おつんつん

女王可愛いなwww

乙です
そらーぶっ壊されれば顔真っ赤にしたくなるわな

wwktk

こんばんは

ちょろっと投下

〜一ノ城 中庭〜

噴水の側に設置されたベンチに腰掛けている男と賢者。後の2人は城の中を見学して来ると言って何処かへ行ってしまった。

男「…とんだお転婆だぜ、あの女王様。躊躇いなく顔にグー入れてきやがった。」

精々ビンタ程度だと思っていたのに…気の強いのは婆さん譲りか。
ティッシュを詰めた鼻を抑えながら呻く。

賢者「……自業自得だろう、あれは男が悪い…むしろ鼻血で済むなら喜ぶべきだぞ…騎士が一ノ王をなだめてくれなかったら、危うく国際問題になる所だった…」ジト

男「…分かったからそんな目で見るな。悪かった、今度からは気をつけるよ。」

騎士「おや?今向こうで君等の仲間を見かけたんだが、ついて行かなくて良いのか?」

噂をすれば何とやら。城の中から出て来た騎士が、此方の方へ寄って来る。

男「良いんだ。別段見て楽しい所も無いだろ。それより…お前もこっ酷くやられたらしいな。」

同じ様にティッシュを詰めた鼻を指差した。

騎士「勝ち気な人でな。あれでも、随分と落ち着いたのだよ。」

男「何だ、昔から知ってる様な口ぶりだな。」

騎士「"王女"の時から知っている。初めて会ったのが、私が騎士団に入ったばかりの頃だから…もう10年近くなるのか。」

男「付き合いが長い割には、お互いに余所余所しい話し方だったな。」

騎士「昔からあんな感じさ。それに、"王女と騎士"だからな、体裁もある。皆が皆、君の様に人目を気にしない訳じゃないのさ。」

男「失礼な。俺だって弁える所は弁える。」

賢者「……女王に殴られた者が何を言う…」ジト

騎士「ハハハッ、怒ると手が出るのは相変わらずだ。最近は忙しくてな、あまり話す時間も無かったのだが…あれだけ元気があれば大丈夫だな。」

そう言って笑う騎士は、妹を心配する兄の様に見えた。

「やぁやぁ、すっかり仲良しだね君たち!」

男「ん?お前等はさっきの…」

女の声に振り向くと、そこに居たのはさっき人の隣でヒソヒソと話していた2人組だった。

「お、そういえば自己紹介がまだだったね。…ワタシは"博士"、六ノ国の勇者だよ。それで、こっちが…」

「"義賊"、四ノ国の勇者だ。」

目付きの悪い男がぶっきらぼうに答える。

博士「ゴメンね。彼、人見知りでさ。目つきは悪いけど、根は優しいんだよ?目つきは悪いけど。」ハハハ

義賊「うっせぇ。俺だって好きでこんな目付きしてんじゃねぇよ。」ムス

目付きが悪い事は気にしているらしい。

博士「しかし、折角の男前が台無しだねぇ。」ハハハ

博士が俺と騎士の顔、と言うかティッシュを見ながらケラケラ笑う。

男「ほっとけ。」

ーー

義賊「なぁ博士、そろそろ国に戻った方が良いんじゃねぇか?」

博士「お?もうそんな時間?んー、もっと話してみたかったんだけど、仕方ないか。あんまり国を空ける訳にもいかないしね。」

博士「…さて、そういう事で、ワタシたちは帰るとするよ。」

騎士「そうか。我が国としては、もっとゆっくりして行って貰っても良いのだがな。」

博士「そうしたいけどね。次に来る時は、もう少しのんびりしていこうかな。」

義賊「…ああ…また魔法陣通らなきゃなんねぇのか。…歩いて帰っちゃ駄目か?」

博士「駄目だよ、少しは慣れなきゃ。…そうだ君たち、今度機会があればワタシか義賊の国においでよ。歓迎するから。」

義賊「あんまり期待はするなよ。六ノ国はともかく、ウチの国には大した観光スポットなんてないからな。」

歩き去って行く2人を見送りながら男が呟く。

男「何だか騒がしい奴等だったな。」

賢者「……うむ……ところで、あいつらはいつも1組で行動してるのか…?」ダルー

騎士「おや?…そうか、君等は知らないのだな。義賊君と博士君は勇者同士でパーティを組んでいるのだよ。」

男「…アリなのか?そんなの。」

騎士「六ノ国と四ノ国だからこそ、だろうな。七ヶ国の中でもあそこ程、交流の深い国は無い。」

賢者「……そのうち、1つの国になったりしてな……」

騎士「ハハハッ、幾ら何でもそこまでは無い……と思う。多分…」

男「…フム…」

勇者同士のパーティ、ねぇ。昔はそんな事思い付きもしなかったな。時間が経てば、色々と変わるもんだ。

はい、今回はここまで

というか、気がついたらもう200越えてた
このスレ内で収まらないかもしれない
ではまた

乙でした

のんびり見てるよ、おつ!


まだ200なのに次スレの心配とかこれは期待

まだかなまだかな

こんばんは

投下しますよ

きたい

男「そうだ…おい騎士。」

騎士「何だ?」

男「二と七んとこの勇者は後でも良いとして、折角だし五ノ国の勇者とも話してみたいんだが、何処に居るか知らないか?」

騎士「"魔導士"君か。彼なら多分書物庫だろう。これを持って行くと良い。」

騎士から地図を受け取った。

男「書物庫…此処だな。さて、お前も来るか?賢者。」

賢者「……行く…」ノソ

ゆっくり立ち上がる賢者。

騎士「あまり余計な場所をうろつくなよ?」

男「分かってるよ。」

男「…しかし、広いな。」

城の中を徘徊していると、改めてそう思う。こうして歩き回るのは初めてだが、規模はウチとどっこいどっこいって所か?

男「アイツ等、迷子になってないと良いが。」

賢者「……なぁ男…あれ…」

賢者が指す方へ目を向けると、向こうの方で刀を下げた女性が辺りを見回しながら首を傾げている。

男「多分七ノ国の勇者だな。さっき謁見の間に居た。…しかし、何やってんだ ?」

険しい顔でキョロキョロする女性。
意を決した様に近くの通路へ入って行くのだが、少しすると別の通路から現れる。そんな事を2回程繰り返すと、再び首を傾げ始めた。

賢者「……男…あいつもしかして…」

男「ああ、多分そうだろうな。」

「?どうしたものか…」ウーム

男「何かお困りか?」

「おや…貴殿は確か、男と言ったな。隣の女性は貴殿の仲間か?」

男「覚えてくれてるとは嬉しいね。コイツは賢者だ。そう言うお前さんは、七ノ国んとこの勇者だな?」

「ああ、その通りだ。名は"武士"と言う。しかし、何故分かった?」

答える代わりに、自分の腰の左側をポンポンと叩く。

武士「…そうか、他の国では刀は珍しいのであったな。」

男「で?さっきからウロチョロしてるのは何でだ?」

武士「む、見ていたのか。…出発まで時間があったので、書物庫に寄ろうと思っていたのだが、どうにも辿り着く事が出来なくてな。全く不可思議だ…」ウーム

男「只、お前が方向音痴なだけじゃないのか?」

武士「な!そんな筈は無いだろう。失礼な。」

男「へぇ…それじゃあ武士、目ぇ閉じてみろ。しっかりな。」

武士「?こうか。」スッ

男「よし、そうしたら俺が合図するまでその場で回れ。」

武士「…?」クルクル

…自分で指示しといて何だが、かなりマヌケな図だ。というか、素直だなコイツ。こんな簡単に人の言う事聞くなんて大丈夫なのか?

男「もういいぞ。目を開けろ。」

武士「…」パチ

男「さて質問だ。お前が今さっき通って来た通路はどれだ?」

武士「…此処だ。何故こんな事を尋ねる?」

賢者「……そっちは私達が通ってきた通路だ…お前が通ったのはあっち…」ダルー

男「こりゃあ重症だな。」

武士「」

武士「…どおりで同じ所ばかり通ると思ったんだ…」ズーン

男「そう拗ねるなよ。ちょうど俺等も書物庫に用があるんだ。案内するぜ、コイツもある事だしな。」

ヒラヒラと地図を揺らす。

武士「是非頼む。…正直、辟易していてな…もう何か魔法の一種なのではないかと本気で疑っていた…」



武士「ところで、貴殿等は書物庫に何の用があるのだ?」

男「魔導士に会いにな。」

武士「五ノ国の勇者か、私も話した事は無いな。貴女も彼に用が?」

賢者「……私は男について来ただけで、別に用は無い…」

男「…お、あの部屋だな。」

部屋に入って辺りを探してみるが、居るのは女性が2人ばかりで、後は平積みされた本の山があるだけだった。

男「それらしいのは見当たらないな。ニアミスか?」

取り敢えず近くの1人に尋ねてみる。

男「すまないが、魔導士って奴を見かけて無いか?特徴は……そういや聞いてないな。」

しまった、すっかり忘れていた。
阿呆と言いたげな目でこちらを見る賢者を気にしない様にしつつ、どうしたものかと考えていると尋ねた女性が口を開く。

「…貴方達、魔導士に何か用?」

男「何だ、知ってるのか?」

「知ってるも何も、私達は魔導士のパーティ。私は"武闘家"、向こうで大口開けて寝てるのが"女剣士"。で…用件は何?」

男「俺は三ノ国の"男"だ。五ノ国の勇者サマとお話しがしてみたくてね。」

「男…ああ、一ノ王に殴られたって言う……魔導士ならあそこ。」ユビサシ

男「本の山しか無いんだが。」

武闘家「…」スク

武闘家は立ち上がると本の山へ近付き、下の方から本を1冊抜き取った。
適当に積まれた本など只でさえ不安定なのだ。つまり、そんな事をすれば…

男「あーあ…」

ドシャア、と音を立てて一気に崩れる本達。…なのだが、よく見ると崩れた本の間から手が生えている。それを指差しこちらを見る武闘家。

武闘家「…」ジー

男「…分かったから助けてやれよ。」

ーー

魔導士「いやー、酷い目に合いました。」

はっはっはっ、と笑う魔導士は思ったよりも若く、ウチの勇者様とそう大差ない様に見えた。

武士「しかし、他にやり方は無かったのか?何も崩さなくても…」

武闘家「魔導士、一度本を読み出すと何も聞こえなくなるから。この位しないと気付いてくれない。」

魔導士「お恥ずかしい限りです。」ハッハッハッ

男「まぁ何でも良いが、ちゃんと片付けろよ?」

賢者「……この量をしまうのは、骨が折れるな……まぁ私達は関係ないが…」ダルー

魔導士「いえいえ、そうでもありませんよ?僕、何処に何の本が入っていたか大体覚えてますから。」

男「そりゃあ凄いな。もしかして、これ全部お前が読んだのか?」

魔導士「はい、読んだら止まらなくなっちゃって。…あ、武闘家さんもちょっと手伝って下さいね?」

武闘家「うん…あと女剣士にも手伝わせる。」

そう言って、相変わらず気持ち良さそうに寝こけている女剣士へ近付いた。

武士「私は時間まで、此処で過ごす気なのだが、貴殿等はどうするのだ?」

男「折角だし、俺もここで潰すよ。まだ魔導士と話してみたいしな。…それに、"地図"が居ないと困るだろ?」ニヤ

ーーー

〜一ノ王の書斎〜

王の書斎、と言うには少々余計な物が目立つその部屋に騎士が訪れる。
1日の大半を過ごしている此処は、最早一ノ王の自室と化しており、自由に立ち入る事が許されているのは騎士のみである。

騎士「女王陛下、少々お尋ねしたいことが。」

一ノ王「…何です?」ツーン

机に突っ伏したまま答える一ノ王。

騎士「…えー、女王陛下?…もしや、先程の事をまだ気にしているのですか?」

一ノ王「…他国の者の前で、王が取り乱した姿を晒してしまったのですよ?…これが気にせずにいられるものですか…」ハァ

騎士(困ったな、一度拗ねると暫くは機嫌を直してくれない。…こういう時は…)

騎士「…姫様。後で久しぶりにマフィンを焼きましょうか。」

一ノ王「」ピク

一ノ王「…騎士が作るのですね…?」

騎士「勿論、私の手作りです。」ニコ

一ノ王「…」ギィ

ゆっくりと椅子に座り直す一ノ王。どうやら機嫌は少し良くなったらしい。

騎士(好物で釣る様で気が引けるが…姫様の機嫌を直すにはこれが1番だからな。…それに、最近ゆっくり話せて無かったし、これは良い機会だ。)

思わず顔が綻びそうになる。一瞬、一ノ王に不思議そうな目を向けられたのを、咳払いで何とか誤魔化した。



一ノ王「それで、尋ねたい事とは何ですか?」

騎士「…男君の事です。」

表情を戻し、本題へと入る。

騎士「三ノ王から、男君について何か聞いていませんか?…普通と違う所がある、とか。」

一ノ王「いえ、特には…強いて挙げるとするならば、年齢がやや高い事、王を前にしても不遜な態度を崩さない事、位でしょうか。彼が何か?」

騎士「……先程、手合わせをしている最中に気付いたのですが…その、彼からは…少しも魔力を感じないのです。」

そんな馬鹿な、とでも言いたげな表情の一ノ王。対する騎士の真剣な表情はそれが冗談でも何でも無い事を告げていた。

一ノ王「…あり得ません…魔力を持たない人間が存在するなど…」

騎士「実際に剣を合わせた私ですら、未だに信じきれません。しかし、間違いないかと。」

この世界に生きる人間や魔族にとって魔力とは、血液の様に誰もが当たり前に持っており、空気の様に無くては生きて行く事の出来ないものである。
だからこそ、彼等は動揺しているのだ。

一ノ王「…男さん本人と話は?」

騎士「この事については何も。」

騎士「しかし、恐らく彼も気付かれている事は知っています。それでも触れて来ない所を見ると…」

騎士「…"訳あり"と言う事なのでしょう。ですから、私もそれに関する質問はしませんでした。」

一ノ王「魔力もなしに、聖剣を扱えるものでしょうか。…彼の聖剣が"偽物"であるという可能性は?」

その台詞は言い換えれば、"男が何がしかの悪意を持って我々を騙している"のでは無いのかと、そう聞いていた。

騎士「可能性は低いかと、彼の剣からは確かに強大な魔力を感じましたから…」

…何か大きな隠し事をしているのは間違い無いでしょうが、と付け加える騎士。

騎士「…ですが私は、彼の事は信用しても大丈夫だと思っています。」

一ノ王「…それは、剣を交わしてみての感想ですか?」

騎士「はい。」

一ノ王「…そうですか。貴方がそう言うのであれば、問題はないのでしょう。」ニコ

その微笑みからは、一ノ王の騎士に対する信頼が見て取れた。

騎士「有難う御座います、姫様。」

ーーー

ここまで

いつもよりちょっとだけ長めになった
ではまた

乙乙

乙でした

こんばんはー

少し投下

何をしてるんだろうか俺は

酉変えます

〜一ノ城 地下〜

二ノ城へと転移する為、地下室に集まった男達。騎士と一ノ王は既に転移魔法の準備を始めている。

男「二ノ国の勇者が見当たらないんだが。」

騎士「"舞踏士君"は先に城へ戻っている。君等を迎えるのに色々と用意があるんだそうだ。」

男「そりゃあ有難い。……何だ、顔色が悪いぞ銃士。口説いた女に手酷く振られでもしたか?」

銃士「ふふ…冗談でしょう。僕をあしらう様な真似をするのは受付嬢さん位なものです。」ゲソ

男「随分と自信たっぷりだな。それじゃあ、何でそんな顔してるんだ?」

武士「もしや貴殿、"転移酔い"するのか?」

武士が横から会話に混じって来た。

銃士「はい、お恥ずかしながら…」ゲソ

男「そういやお前等、転移魔法は今日が初めてだったな。」

武士「成る程、それならば仕方あるまい。私も最初の頃は酔いが酷くて苦労した。一度慣れると、どうという事はないのだがな。」

一ノ王「こちらは準備出来ましたが、皆さんは大丈夫ですか?」

男「ああ、大丈夫そうだ。」

全員が魔法陣の上に立ったのを確認すると、一ノ王が呪文の詠唱をする。大掛かりな転移魔法を使用する時の手順はどこの国でも変わらないらしい。

一ノ王「皆さんに神のご加護がありますように。」

一ノ王が触れた魔法陣は来た時と同じ様に輝き出し、男達を包み込んで行った。
誰も居なくなった魔法陣を見ながら騎士が呟く。

騎士「男君か。今度手合わせをする時は、是非とも本気が見てみたいものだ。」

一ノ王「…くれぐれも、街の外でお願いしますね。」

騎士「はは…」

隣から冷めた視線を感じ、思わす苦笑が漏れる。

騎士「さて…戻りましょうか姫様。」

帰ったらティータイムの用意をしないと。そんな事を考えながら、一ノ王と共に部屋を後にした。

ーーー

〜二ノ城 地下〜

やはり此処も他の"地下室"と同じ作りの様だ、構造が似ている方がやりやすいのだろうか。そんな事を、相変わらずグロッキーなパーティメンバーを横目に見ながら考える。

賢者「……もう、二度と、転移魔法なんか使わない…」ゲソ

男「どうやって帰る気だ?歩いて帰るには、ちっとばかし遠いぜ。」

賢者「……帰らない…この国に住む…」ゲソ

男「…無茶言うな。子供かお前は。」


舞踏士「どうやら全員揃ったようですわね。」

視線を向けると、扉の前に舞踏士が立っていた。

男「何人かはへばってるけどな。」

舞踏士「その位平気でしょ。では、二ノ王の所まで案内しますわ。」

舞踏士「……出来れば会わせたくはないけれど。」

ボソッと独りごちる舞踏士。何か問題でもあるんだろうか。

〜謁見の間〜

二ノ王「ようこそ勇者諸君、話は一ノ王から聞いているよ。私が二ノ王だ。」

部屋に入るなり歓迎の言葉をかけられる。
"会わせたくない"なんて言うもんだからどんな人物なのかと思ったが…普通だな。

二ノ王「ちなみに、そこに居るこの世の者とは思えない位可愛らしいは私の娘だ。」フフ

舞踏士を指しながらそう告げる二ノ王。

賢者「……ん?…娘って事は…」

僧侶「お姫様?なのに勇者ですか?」

男「まぁ王女が勇者をやったって問題は無いだろ。珍しいのは間違いないが。…それより…」チラ

舞踏士が溜息をつきながら恥ずかしそうに目を逸らす。

舞踏士「…お父様、そういうのはやめて。もうそんな歳では無いんですわよ。」

二ノ王「何故だ!こんなに可愛らしいのに!もう目に入れても平気な位可愛いのに!!」

前言を撤回しよう、大分イッちまってる。確かにコレは人様に見せたくは無い。

二ノ王「それと舞踏士!私のことはお父様では無くパ…」

舞踏士「いやですわ!」

だが何故だろう、この王様とは何と無く仲良く慣れそうな気がする。

二ノ王「…最近娘が冷たい。昔はもっと……まぁよい。さて、出発するにはもう遅いだろう。今日の所は部屋を用意したから、泊まって行くと良い。」

二ノ王「…どちらにしろ、暫くは出発出来ないだろうが。」ボソ

男「…」

舞踏士「はぁ…部屋はこちらですわ。ついて来て。」ハァ

ーーー

〜男達の部屋〜

俺は部屋に通された後も、最後に二ノ王が見せた物憂げな表情が気になっていた。暫くは出発出来ないとはどう言う事だろうか。

男「…」

賢者「どうしたんだ男。小難しい顔して。」

男「ああ。ちょっと考え事をな…って、もうそんな時間か?」

賢者「…何故私を見てその台詞が出るんだ。」

銃士「賢者さんの"起きる"時間帯は大体同じですからね。」

賢者「むぅ…人を教会の鐘か何かみたいに…」

僧侶「あら、教会の鐘はこんな時間には鳴りませんよ?あれは礼拝の時間に鳴るんです。」フフン

男「礼拝…俺には縁の無い行事だね。神を信じる柄でも無いしな。」

賢者「で、何を考えてたんだ?」

男「ん?…大した事じゃない。どうせ明日になれば分かるだろうしな。…それより、俺はもう寝る。起きてんのは構わねぇが静かにしろよ?」

ーーー

取り敢えずここまで

ではまた

乙乙

乙でした

ロリィな魔王たんはまだかね(AAry

こんばんは

少し投下

〜二ノ国 港〜

男「成る程ね…確かに、これじゃあ暫くは出航どころじゃあ無いな。」

目の前に広がるのは七ヶ国の中でも1番大きな港。商業の盛んな二ノ国はこの港を通じて魔国とも貿易を行っている。つまり、魔国へ向かうのならばここから船を出して貰うのが最も手っ取り早いのだが…

舞踏士「…つい最近、狂暴化した魔物の群れに襲われたのよ。直ぐに私や騎士団が討伐したから、"幸いにも"人的被害は殆どなかったのだけれど…港の損害がね。」

さぞ立派であったろう港も、今や見渡す限りの瓦礫の山である。
しかし…これだけ暴れたのに人に被害が及ばなかったと言うのは、流石に"幸運"が過ぎる。

男「…」

舞踏士「言いたい事は分かってますわ。…私もお父様達もそう思っているしね。」

男「…狙いは"港そのもの"、だな?」

舞踏士「…ええ。あの魔物の群れは、明確に"ここ"だけを狙っていたとしか思えませんわ。」

狂暴化した魔物が人を襲う以外の目的を持って行動したなんて話は、まだ他の国でも聞いた事が無い。

男「…キナ臭くなってきたな。」

武士「どうするのだ?このまま、港が復興するのを待つと言う訳にもいかぬだろう。」

僧侶「だったら、五ノ国へ行ってみるのはどうでしょう?」

舞踏士「…確かに、あの国の魔術師なら直ぐに魔国へ向かえる別の方法を知っているかもしれませんわね。」

男「よし、取り敢えずは五ノ国だな。あの地下室は使えるんだろ?」

舞踏士「ええ、城に戻ったら準備を……あー、男さん。」

男「ん?何だ。」チラ

舞踏士が指差す方に顔を向けると…

賢者「………」ズーン

この世の終わりの様な顔をした賢者と目が合う。

賢者「………」フルフル

男「…参ったな…そんなに嫌か。」

男「確か…ここから五ノ国まではかなり近かったよな。」

舞踏士「そうですわね。馬車なら2日もあれば着きますわよ。」

男「…それで行くか。」

賢者「……良いのか…?」

男「勿論、早いのに越した事は無い。…が…そんな顔されたらな。」

銃士「おやおや、"娘"をそんなに甘やかして。」ニヤニヤ

僧侶「あらあら。」ウフフ

男「うるせぇよ。俺は娘には甘いんだ。……"娘には"な。」ジロ

銃士「!…あ、あはは…冗談ですよ。」サッ

とっさに頭を抑える銃士。
全く…学習してるんだかしてないんだか。

賢者「……ありがとう、お父さん…」

…お前までのるんじゃねぇよ。

賢者「……ん?いや…パ」

男「やめてくれ…」ハァ

男「…そうだ。銃士、物のついでにお前の故郷に寄って行こうか。確か国境の近くだよな。」

銃士「ええ…でも、何故知っているんですか?」

男「何故も何も、酒場で見た資料に載ってたじゃねぇか。」

銃士「まぁ確かに、一応書いてはありますが…よく覚えていましたね、あんな細かい所。」

男「そういう細かい事まで覚えて無いと、やって行けなくてな。」フフン

舞踏士「何やら得意気ですわね…しかし、国境近くの村と言うと"孤児院"のある?」

銃士「ええ。」

舞踏士「それは丁度いいですわ。今日、二ノ国の騎士団があの町を訪れるの。その時一緒に乗せて貰いましょう。」

銃士「騎士団が?あそこに、何か用事でもあるんですか?」

舞踏士「詳しい事は、行きの馬車の中でお話ししますわ。まずは城に戻って支度を済ませないと。」

ーーー

今日はこの位で

では


転移を嫌がってる賢者可愛い

乙でした

追いついた!乙!

こんばんは

少し投下してきます

〜三ノ国 王都〜

戦士「しっかしよー。自国の周辺で調査っつっても、何処から手を付ければ良いんだ?」

男僧侶「確かに。虱潰しに当たる訳にもいかないしな。」

勇者「それなら、酒場に行ってみませんか?魔物に関する情報もあるでしょうし…」

魔法使い「…そういえばお腹も空いたわね。ついでに何か食べましょう?」

戦士「酒場って、もしかして"あそこ"か…?」

恐る恐る、と言った様子で尋ねる。

勇者「はい。この辺りだと、あの酒場が1番情報が集まるらしいです。まぁ…"あんな事"があった後だと行きにくいのも分かりますけど…」

男僧侶「見ず知らずの老人に"叱られた"んだったか?どうせまた戦士が何かしたんだろう。」

戦士「…確かにやり過ぎたかもしれねぇけど、元はと言えばあのチンピラ共が勇者に絡んできたせいだ。」

魔法使い「それにしても貴方やり方が乱暴なのよ。…私なら、ばれないようにもっと"うまく"やるわ。」ウフフ

勇者「ま、魔法使いさん…?目が笑ってないですよ…?」

〜酒場〜

受付嬢「ようこそ〜。ご用件は…何だ、貴方たちですか。」

戦士を見るなり、ぶすっとした顔で言い放つ。

戦士「何だとは何だ。別にこの間みたいに暴れたりなんかしねぇよ。」

受付嬢「当たり前です。そんな事したら騎士団に突き出しますからね!」

勇者「それについては、すみませんでした。…これはお詫びの品です。」ペコ

そう言って受付嬢に小さな包みを渡す。

受付嬢「へっ?あ、どうも…」

魔法使い「…ちょっと勇者、いつこんなの用意してたのよ。」ヒソヒソ

勇者「…一ノ国に行った時に買っておいたんです。お詫びしなくちゃとは思っていたので。」ヒソヒソ

魔法使い「…ふーん。で?何あげたの?」ヒソヒソ

勇者「…それは…」ヒソヒソ

受付嬢「おおー!!」

勇者「!?」ビックゥ

包みを開けるなり、歓喜の声をあげる受付嬢。

受付嬢「これ、あのお店のクッキーじゃないですか!!三ノ国じゃめったに手に入らないんですよ!?」

キャッキャと子供の様にはしゃぐ受付嬢を見ながら、勇者は安堵の息をつく。

勇者「よ、よかった。こういうの好きみたいですね。」ホッ

魔法使い「…あそこに寄るんなら、誘って欲しかったわ。あのクッキー私も好きなのに…」ブー

勇者「魔法使いさんの分もありますよ?」

魔法使い「流石勇者ちゃんっ!気がきくわ!」

勇者「わ!ち、ちょっと魔法使いさん!?」

魔法使いに抱き着かれながら慌てふためく勇者を横目に、戦士が呟く。

戦士「勇者の奴、用事があるって言ってたが…あれの事か。」

男僧侶「お前も、勇者のああ言う所を見習った方が良いな。…お詫びなんて考えつきもしなかっただろう。」ハァ

戦士「…うるせぇ。」

受付嬢「それで…ご用件ふぁ?」モッシャモッシャ

戦士「機嫌直ったのは良いけどよ…何も今食わなくても…」

受付嬢「んぐ……何か言いました?」キョトン

戦士「何でもねぇよ。」

勇者「えっと、ですね…」

ーーー

受付嬢「…この周辺での、魔物についての情報ですか。」

勇者「はい。ここなら何かあると思ったんですけど。」

受付嬢「勿論です!……ふぉうへふね…ふぁいきんはふぉ、この村ふぇ魔物のほうふぁふ依頼がありまひふぁよ?」モッシャモッシャ

勇者「と、取り敢えず飲み込んでから話してくれませんか…?」

受付嬢「…?」モッシャモッシャ

勇者(…これは飲み物も用意しておいた方が良いかな。)

今回はここまで

では

おつ


なんかこのチームだけ他の連中よりもずっと格下に見えるのは自分だけだろうか……

こんにちは

少し投下します

受付嬢「この村で魔物の討伐依頼があったんですよ。」トントン

地図上で1つの村を指差しながら説明する。

受付嬢「被害自体は農作物だけで、村の人達は全員無事だったんですけど、近くに巣があったらしいです。」

魔法使い「へぇ、人里の近くに巣を作るなんて珍しいわね。」サクサク

戦士「…今度はお前が食うのかよ。」

魔法使い「何、あげないわよ?」

戦士「要らねぇよ!」

男僧侶「どうする勇者?一応、行って調べてみるか?」

勇者「うーん…どうしましょう。…受付嬢さん、この依頼を受けたのって誰なんですか?」

受付嬢「男さん達ですね。」

戦士「何ぃ?あいつらか。」

勇者「男さんですか…じゃあ話を聞きに行く、ってわけにもいきませんね。今頃二ノ国でしょうし…やっぱり、直接この村に行ってみた方が良さそうです。」

魔法使い「行くのは良いけど、あの村までの馬車走ってたかしら。」サクサク

戦士「別に遠い村でもないし、歩いて行けば良いんじゃねぇか?半日もあれば着くだろ。」

魔法使い「えー、嫌よ面倒くさい。」

男僧侶「とても勇者と旅する人間の台詞とは思えないな…」

勇者「そ、そんな事言わずに行ってみましょうよ魔法使いさん。時間もありますし。ね?」

魔法使い「…勇者がそこまで言うなら、しょうがないわね…」サクッ

クッキーを頬張り、怠そうに答える魔法使い。

勇者「…では、そう言うことなので。ありがとうございました受付嬢さん。僕達はこれで失礼します。」

そう言って勇者達はぞろぞろと酒場を後にする。
そんな一行の後ろ姿に向かってひらひらと手を振りながら、受付嬢が呟いた。

受付嬢「…今なら騎士団の馬車が出てるん出すけどねぇ。……まぁ良いでふふぇ
ほ。」モッシャモッシャ

ーーー

〜道中〜

勇者「久しぶりですね。こうして歩いて移動するの。」ノビー

男僧侶「確かに。ここ最近は、馬車だの転移だのばかりだったからな。」

戦士「転移か…あれは出来ればもう使いたくねぇな…」ウウ…

思い出して、顔を青くする。

魔法使い「誰だったかしら?最初の時に"ワクワクする"とか言ってたのは。」

戦士「…うるせぇ。」

お前だって青い顔してたじゃねぇか、などとは口が裂けても言えない。



突然、先頭に居た男僧侶が歩みを止めて先を睨みつける。

男僧侶「…しかし、徒歩だと…"これ"がな。」

魔物「グルルルル…」

狼の様な姿をした魔物が数匹、勇者達の前に現れる。

勇者「魔物…!」

男僧侶「そこまで数は多くない様だが、面倒な奴が出てきたな。」

戦士「こいつ等、すばしっこくて嫌いなんだよ。」

男僧侶「ああ、力に任せて馬鹿みたいに剣を振るうお前とは相性が悪いだろうな。」

戦士「ああ!?誰が脳筋だって!?」

勇者「そ、そこまでは言ってないですよ。」

魔法使い「自覚があるんでしょう。…それより、来たわよ?」

魔物「グルル…ッ」

勇者「なんかこれ…囲まれてませんか…?」

戦士「チッ…勇者、下がってろ。」スッ

庇う様に勇者の前へ出る戦士。

勇者「囲まれてるんですから、下がる所なんてありませんよ。それに…ぼ、僕だってやる時は、やるんです…」カチャカチャ

ゆっくりと剣を構える勇者だが、その手は小刻みに震えていた。

魔法使い「凛々しい顔も良いわ〜」ウフフ

男僧侶「…無理はするなよ。」

戦士「オラァ!!」ブン

1番近い魔物に斬りかかるが、あっさりとかわされた上に反撃を受ける。

戦士「痛ッ、てぇな!」ブォン

もう一度剣を振るうが、やはり当たらない。
それでも攻撃を続ける戦士を、魔物達は最初の獲物に選んだらしい。


男僧侶「あいつも随分と囮役が板に付いて来たな。見事なものだ。」

奮闘する戦士とそれに群がる魔物達を見ながら、感心した様子の男僧侶。

勇者「…いや…戦士さんは本気でやってるんだと思いますけど…」

相変わらず剣を構えたままの勇者だが、完全に攻め入るタイミングを逃してしまったらしい。

魔法使い「良いじゃない。戦士がああやって引きつけてれば私達も動きやすいし。…ほっ。」ヒュッ

軽く杖を振ると、魔法使いの足元から魔物達に向かって、地面を小さな亀裂が走る。

勇者「…あれ…?ま、魔法使いさん…今のって攻撃魔ほ」

"バカン!!"とけたたましい音をたてて、魔物達の足元一帯が炸裂した。

魔法使い「ふー。集まっててくれると当てるのが楽で良いわ。」

勇者「…えっと…戦士さんも居ましたよね…?」

男僧侶「あいつなら平気だろう。体だけは丈夫だからな。まぁ、もし怪我をしてたら回復魔法でもかけてやれば良い。」

勇者「え、えぇ…そう言う問題でも…」

戦士「オイ魔法使い!!てめぇ俺ごとやるやつがあるか!!」

派手に隆起した地面の陰から戦士が怒鳴りつける。

男僧侶「な?無事だっただろう?」

戦士「だぁ!クソ。こいつ等にやられた傷よりお前の魔法の方がダメージでかいってどう言う事だ!」

魔法使い「あら、それは魔物も一緒よ。」

見れば確かに、魔物達も相当にダメージを負っている様だ。

男僧侶「…」ブツブツ

男僧侶が呪文を唱えると、戦士の体を淡い緑色の光が包み込み、受けた傷を癒していく。

戦士「おお、サンキュー。」

男僧侶「いいからさっさと片付けて来い。」

戦士「よっしゃあ!!」

ダメージも回復し、再び攻め始める戦士。太刀筋は今までと同じだが、先程とは違い、相手の魔物の動きが明らかに鈍っている。魔法使いの放った攻撃が響いているらしい。

戦士「ハァッ!!」ブォン!

当たりさえすれば此方のもの。戦士はその攻撃の手を緩める事無く、一体、また一体と魔物の数を減らして行く。

ーー

戦士「…倒したの、殆ど俺1人じゃねぇか。」スチャ

最後の一体を斬り伏せると溜息を吐き、剣を鞘に納めながら呟いた。

魔法使い「私のサポートがなかったら、攻撃当てられなかった癖に。」

戦士「サポート?よく言うぜ。俺諸共吹き飛ばしと」

男僧侶「!!、戦士後ろだ!」

仕留め損ねた一体が、最後の抵抗とばかりに、戦士の首元へ喰らい付こうとする。一度納めてしまった剣を、再び抜きながら振り返る戦士だが、魔物の方が一瞬早い。

戦士「クソ…ッ!」

勇者「っ!!」ヒュン

戦士の喉笛に牙が突き立てられようとしたその瞬間、勇者が側面から魔物の腹部を切りつける。

魔物「ガッ…!!」

踏み込みが浅かった為に致命傷は与えられなかったが、時間を稼ぐ事は出来た。そこにすかさず、戦士が止めの一撃を加える。
頭部を切り落とされた魔物が黒い霧となって消えた。今度こそ間違い無く、倒す事が出来た様だ。

戦士「…フゥ、助かった。サンキューな。」フィー

額の汗を拭いながら勇者に礼を言う。

勇者「い、いえそんな!結局僕の攻撃じゃ倒せませんでしたし!」

戦士「でも危ない所を助けて貰ったのは確かだ。」

男僧侶「そうだな。もしあのまま首を喰い千切られでもしてたら、俺の魔法でもどうにもならなかった。」

魔法使い「…ちょっと…そういう生々しい話しないでくれない?私血とか苦手なのよ。」ウゥ

男僧侶「それも…とても勇者と旅する人間の台詞とは思えないな…分かってるとは思うが、"勇者"の任務の大半は魔物の討伐関係だぞ?」

魔法使い「そんなの勿論分かってるわよ。…私だって、もし聖剣に選ばれたのが勇者ちゃんじゃなきゃ、誰が"勇者"のお供なんかするもんですか。」フン!

勇者「…そんな真顔で言い切られても…」エェー

男僧侶「ハァ…理由が不純と言うか、むしろ一周回って純粋と言うか…」

ーー

魔物を群れをやり過ごし、再び村を目指す勇者達。今の所は別の魔物と遭遇する事も無く、順調に進んでいた。

戦士「それにしてもよー勇者。やっぱいつ見ても、お前のスピードはとんでもねぇな。」

ふと先程の勇者を思い出し、そう口にする。

魔法使い「そうね、そこいらの魔物なんかよりもよっぽど速いわよ。」

男僧侶「その例えはアレだが…まぁ確かに。速さだけなら騎士にも勝てるんじゃないか?」

勇者「そんな…僕なんかまだ騎士さんには全然敵いませんよ。」

戦士「…へー。"まだ"、ねぇ。」ニヤニヤ

勇者「!?い、いや違います!そう言う意味で言ったんじゃないですって!!」ワタワタ

慌てふためく勇者を見て、戦士が真剣な顔をする。

戦士「…お前は本当にからかい甲斐があるな。」ウン

男僧侶「そんなに染み染みと言う事でも無いだろう。…しかし真面目な話、お前はもっと自信を持った方が良い。その速さは勿論だが、剣の腕だって相当あるんだ。」

勇者「そんな事無いと思いますけど…さっきだって、一撃で倒せた筈なのに駄目でしたし。」

魔法使い「勇者、気が弱すぎなのよ。…大方あの攻撃も、ギリギリでびびっちゃったんでしょ?」

ギクッ、と音がしそうな位反応してしまう勇者。

勇者「…め、面目ないです…」

戦士「お前の場合、問題はその気の弱さか。そうだな…まずはその何にでもビクビクする癖を何とかしてみるか。」

魔法使い「あら、私は好きよ?なんか小動物みたいで可愛いじゃない。」

勇者「小…動物…」ガーン

男僧侶「仮にも男に向かって小動物とは…流石の勇者もちょっとショックを受けてるじゃないか。」

勇者「…かりにも…」ズーン

戦士「おいおい、お前ら止めろよ。今の勇者は駄目出しされてナーバスになってんだ。只でさえ豆腐メンタルなんだか…あ。」

勇者「……と、とうふ…」ジワッ

男僧侶「トドメを刺してどうする。」

魔法使い「ちょっと、何とかしなさいよ。」

戦士「ゆ、勇者、悪かった。思わず口が滑ってだな…決して馬鹿にしたとかじゃ無くてよ?」アタフタ

ーー

勇者「…すみません、みっともない所を…」

戦士の必死のフォローにより、幾らか立ち直った様子の勇者。

戦士「フゥ…直ぐに改善するのは難しそうだな。」

男僧侶「まぁこのまま"勇者"を続けていれば、そのうち自信も付いてくるだろう。」

勇者「そうしたらもっとこう…"頼れる男!"みたいになれますかね?」

グッと拳を握り、そう尋ねる。

戦士「それはお前次第だろうよ。けどまぁ少なくとも、今のままじゃ無理だな。」



魔法使い「頼りがいのある勇者…」ボー

果たしてどんな風なのだろう、と少しばかり妄想…想像してみる。

魔法使い「……あぁ、それはそれで良いわ〜」ウフフフ

戦士「何だ?あいつ。急にニコニコし出して…」

男僧侶「放っておけ、あれはもう手遅れだ。」

鼻を抑え始めた魔法使いを視界に入れない様にしつつ、勇者の肩にポンっと軽く手を置いた。

男僧侶「…お前、中々苦労しそうだな。」

勇者「?」キョトン

ーーー

今日はここら辺で

ではまた

乙でした

乙です

勇者は鈍感なの?それともスルーしてるの?
どちらにせよ魔法使い頑張って



勇者は鈍感というかいろいろな意味で幼いってだけじゃない

まだ?

大変申し訳ないです
こちらの事情で暫くの間書けそうにありません
どの位書けないのか分からないので、このスレは近いうちにhtml依頼を出して一旦落とします

また書き始められそうだったら、同じ様なタイトルでスレ立てます
ここまで見てくれた方ありがとうございました

マジか
これまで乙

>こちらの事情で暫くの間書けそうにありません
必ずいつかは続きを書いていただける、ということですよね
いつかは書いていただけるのでしたら、それまで待っています

今まで乙でした

おっしゃ俺得スレ!








ってマジか。待ってる

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