目が覚めると、昨日拾った犬が冷たくなっていた。
良く晴れた日の朝の事。
犬は私の隣で眠っているようで、堅くなったその身体はもう鼓動を打てなかった。
こんな犬なんの愛着もないのに何故だか涙が止まらなくて、わんわん泣いて、眼がすももみたいに晴れ上がったところで大学を休む決意をした。
私は指輪をしていた。
それまでしていなかった訳ではないけれど、見慣れないものが左手の小指にひとつ。
金のメビウス型に不思議な幾何学模様が描いてあって、見ているだけで落ち着く。
昨日拾った犬を思い出した。
横を見ると犬の亡骸はなかった。
代わりに元気に尻尾を振っている犬が側にいて、息も荒く舌を出す。
あれ、
と思いながらも生きていたことに安堵した。
おいで。
手を広げると犬は駆け寄ってきて、でも、私の前で煙のように消えてしまった。
横を見れば犬は変わらない姿で私を見ていた。
元気に舌を出して、尻尾を振って。
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おいで、ともう一度手を広げると、さっきと同じように犬は消えた。
そうか触れられないのか。
まぁ、そこまでの弊害はない。
あの毛皮に顔を埋めたりできないのは残念極まりないが、可愛いことに変わりはない。
素直だし。
犬を連れて外に出てみた。
見かけによらず賢いようで、首輪などはつけなくても私の後をひょこひょこついてくる。
健気な姿にたまらない愛おしさを感じる。
愛着もないと思っていた犬に対して、現金な奴だと自分でも思う。
道を行くと友達に出会った。
可愛い犬、というのででしょう、と自慢してやった。
犬は大人しく友達に撫でられていた。
羨ましいい奴め、飼い主である私でさえ触ったことないのに。
まぁ触れない訳だが。
あ、そうだ今度あっちの方にあるアイス食べ行こうよ!
そういって友達の肩を叩こうとすると、友達が消えた。
え。
掌を見た。
指輪はなかった。
代わりに頭の上がとても眩しく光っていて、大きくなった天輪が煌めいていた。
犬も友達も私が離れればそのままだった。
案外呆気ないものだ、と思った。
そのまま何も考えないようにしたら自然と意識を失っていった。
以上
そうか
依頼出しとけよな
>>1の見た夢かなにかなんだろうか
乙!
こういうSSを書けるようになりたい
乙
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