勇者「現代に来た魔王って生活能力ないよな」 (149)
魔王勇者現代モノです。衝動的に書きました。
まだ書き貯めもあまり無い&スケジュール等の都合で完結するかも定かではありません。
それでもよければ、どうぞお付き合いください。
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勇者「よっし……魔王、倒したぞ」
魔王「……」
勇者(……魔王……)
勇者(さて、聖教の連中は元の世界に帰れると言っていたが)
勇者(どのタイミングなんだろうな)
僧侶「勇者様、おめでとうございます!」
戦士「おめでとう!」
魔法使い「……おめでとうございます」
勇者「……僧侶、戦士、それに魔法使い」
僧侶「流石勇者様、わたくし、惚れ惚れいたしましたわ!」スリッ
勇者(……ちっ、白々しい。所詮は聖教の手先の名ばかり僧侶が)
僧侶「それでは勇者様」スチャ
勇者「なんだよ、突然杖を構えて」
勇者(別に魔王との戦いで受けた傷ももう無いぞ?)
魔法使い「っ!? させない!」ドンッ
勇者「ッ!?」
僧侶「元の世界へお戻り下さいませ」キュイーン
勇者「僧侶!? 魔法使い!?」
勇者(僧侶……俺をこの場で送還する気か! それに魔法使い……この状況で俺にタックルかますってどういうつもりなんだ!?)
勇者「くっ……」ちらっ
勇者(足元に出た魔法陣が追って来ている……避けるのは無理そうだ。さらに――)
勇者(倒れ込む先には魔王が……)
勇者「くそ……」
魔法使い「……!」ぎゅっ
魔王「……」
シャラーン! キラキラキラ……
僧侶「……やったわね」
戦士「はっ。しかし、魔法使いと魔王を巻き込んでしまったのが気がかりですが……」
僧侶「確かにそれは想定外だけど、魔法組合に世界間転送のノウハウは無いわ。それでこの方法を取ったのだから」
戦士「しかし……」
僧侶「悪いけど後にしてくれる? わたし、こう見えて今かなり疲れてるから」
戦士「……了解しました」
勇者「……はっ!」
勇者(元の世界の、俺の部屋だ……)
勇者「日付はどうなってる? デジタル時計があったはずだが」キョロキョロ
勇者「俺が召喚された時と大体同じ時間だな」
勇者(……そうだ、魔王と魔法使いはどうなったんだ?)
魔法使い「……」スヤスヤ
魔王「……」
勇者(やっぱり巻き込まれたか……)
勇者「魔法使い見て思い出したけど、今の俺らの格好って相当ひどいな。多分ニオイもきつそうだ。風呂にお湯張っておくか」ガラガラ
勇者「別に物々しい勇者の鎧とか着てる訳じゃないけど、装備の後始末にはちょっとばかし時間がかかるかな」ピッピッ
オユハリヲシマス ザバー……
勇者(……いや、その前に)
勇者「こいつらがこの状況見て何するかわかんないから、起きるまで見張っておくか……」ガラガラ
勇者(魔王は屍状態だから何もないだろうけど、問題は魔法使いだな。この世界との唯一の接点の俺がいないとなったら、何をするか想像もつかん)
勇者「後でリセ○シュしとかねーと」
魔法使い「ん……」ムクッ
勇者「起きたか」
魔法使い「勇者様! ……ご無事で!?」
勇者「見ての通り五体満足だ……が、お前や魔王と一緒に送還された」
魔法使い「魔王と!?」クルッ
勇者「そいつは放っておいても大丈夫だろう。とはいってもそんな状態だから、後でどうにかする必要はあるけど」
魔法使い「……わかりました」
勇者「それで、俺は無事に帰ってこられたわけだが、お前……と魔王はあっちに戻せるのか?」
魔法使い「……不可能です。現時点では」
勇者「というと?」
魔法使い「技術的な問題です。認めたくはありませんが、攻撃魔法以外の技術は遥かに聖教の方が優っていますので……魔法組合、そして私には、その技術が無いのです」
勇者「……そうか」
魔法使い「それに、私は研究者ではありません。私では世界間転送の技術など到底開発できないでしょう。……ですので、もう……戻ることを望むには、絶望的な状況です」
勇者「……そうか。全部じゃないけど、その気持ちのほんの一部ならわかるよ」
魔法使い「……そうですね。勇者様も、そうでした」
勇者「うん」
三点リーダー(……のこと)がやけに多いのは、まあアレです、台詞の間です。あとは言葉を絞り出してる感じを出したいので。
期待
勇者「じゃあ、魔法使いは当分ここで暮らすことになるのか……」
魔法使い コクリ
勇者「想像はついてると思うが、ここは俺が元々居た世界だ。地球なんて呼ばれてる。その中でも日本っていう国に俺は暮らしてるんだ」
魔法使い「はい」
勇者「そこで問題がある」
魔法使い「何でしょうか」
勇者「この日本では、俺は社会人、もしくはサラリーマンという身分に当たる。つまり、労働者だな。だから、働かないと日々を過ごす金が手に入らない」
魔法使い「そうだったのですか? てっきり私は、この世界でも高名な方だと思って……」
勇者「お世辞はよせよ。そんなことないって最初から、じゃなくても旅の途中からわかってただろ? まあ、とにかくだ。この世界に帰ってきた以上、俺はサラリーマンに戻るしか無いってことだ」
魔法使い「……なるほど。申し訳ありません」
勇者「別にいい。で、ここからが本題だ。俺はあの世界で勇者として扱われたからまだ食いっぱぐれることは無かったんだが、魔法使いの場合はこの世界における生活能力が無い。別に誰に呼ばれたわけでもないんだからな」
魔法使い「でも、私には魔法が……!」
勇者「残念だが、地球では魔法に社会的な力は無いと言っていい。それで日銭を稼げるかって言ったら……相当うまくやらないと無理だな――それこそ、聖教のトップに立つくらいに」
魔法使い「……」
勇者「それに、ここで魔法使えるのか? 明かりでも付けてみろよ」
魔法使い「どういう意味です?」
勇者「社会的な力ってぼかしたけど、この世界には魔法自体が存在していない。眉唾ものなんだ。だから、この世界でも魔法が使えるかどうかっていうのはわからない」
魔法使い「わかりました。――明かりよ」ぼそっ
パアアァァァ!
勇者「お、点いたな。ならまあ、魔法でどうにかするっていうのも無理じゃあないけど」
勇者(そういえば部屋の明かり点けてなかった)パチッ
魔法使い「……いえ、難しいかと」
勇者「?」
魔法使い「この地球は、空間に存在する魔力が限りなく薄いようです。魔力の自然回復は食事以外には望めないでしょう」
勇者「やっぱり厳しいのか?」
魔法使い「使えないことは無いですが、一度空にしてしまえば再度魔力を満たすのに十五日はかかるかと。それに、周囲の魔力を使えないので、通常よりも魔力の消費が激しくなるでしょう。……これでは、とても……」
勇者「まあ、そう落ち込まなくていいさ。仕方ないよ、魔法使いだって巻き込まれたん……だ、から……」
魔法使い「? どうされましたか?」
勇者「……そういえば忘れてたけどさ」
魔法使い「はい、何でしょう」
勇者「どうしてあの時、魔法使いは俺を突き飛ばしたんだ?」
魔法使い「……!」サーッ
勇者「あの状況だと、なにか知ってたみたいだよな」
魔法使い「……はい。あの時、僧侶があなたを送還しようとしていたのだとは直感で分かっていました……」
勇者「じゃあ、なんで?」
魔法使い「聖教は、魔王を倒した本人である貴方を、今後権力を増していく上で障害になるという身勝手な理由で消そうとしました。いえ、消しました」
勇者「そうだね」
魔法使い「これに類似する事態は、魔王を倒した後はいくらでも想定出来ました。……ですのでそのような事態を未然に防ぎ、聖教に大きな顔をさせないことで、我が魔法組合の立場を守ろうとしたのです……これは、勇者様の旅に同行する際に魔法組合から託された使命です」
勇者「……それも身勝手な理由じゃないの?」
魔法使い「……仰る通りです。ですが、それ以上に……」ヒック
勇者「……?」
魔法使い「聖教によって拉致されてきた貴方が聖教によってその功績を奪われ、さらにその存在を抹消される……それでは、あまりにもむごいと……私個人が、そう思いました。だから、せめて皆に感謝を捧げられても良いのではないか――そう思い、貴方の送還を少しでも引き延ばそうとしたのです」えぐっ
勇者「……」
魔法使い「結果として、それは叶いませんでした。そして、そこまでされてなお平然としている貴方を見て、得も言われぬ悲しさがこみ上げて……今、こうして……泣いているのです……」グスッ
勇者「……えっと、さ」
魔法使い「?」ヒック
勇者「俺はこうやって戻って来られてさ、嬉しいんだ」
魔法使い「ええ、それは存じております」グスッ
勇者「それにさ……あの世界にいて感謝を向けられたとして、俺……素直に受け取れたかなって思うと、多分そうじゃない」
魔法使い「……!」
勇者「わかるだろ?」
魔法使い「…………はい。ですが――」
勇者「……意地悪な言い方しちゃったな。その心遣いは、嬉しいよ。あっちで感謝されるよりも、きっと」
魔法使い「……! 有り難うございます……」ブワッ
勇者「……皮肉なもんだよな」
魔法使いは割といい子です。
勇者「大分落ち着いたかな」
魔法使い「……はい。すみません、見苦しいところをお見せしました」
勇者「別にいいって。はい、コレ」ヒョイ
魔法使い「? これは……」ぴらっ
勇者「あっ、あー……これはティッシュって言ってだな、こう、鼻をかんだり、汚れたところを拭いたり……まあ、簡単に言えば使い捨ての拭き布だな。使い終わったらここに捨ててくれ」ガコッ
勇者(あー……そういえば魔法使いってこっちの常識っていうか知識全般が全然無いんだよな)
勇者「なあ、魔法使い」
魔法使い「……?」ちーん
勇者「えっと、相手の知識を抜き取る便利な呪文とか、無いのか?」
魔法使い「禁呪指定ですが、一応は。あっちでは常に使用が監視されてましたけど」
勇者「そりゃそうだ。で、魔法使いは使えるのか?」
魔法使い「今ではそんなに頻繁には使えませんが……はい。それがどうかしましたか?」
勇者「いや、魔法使いはこっちで当分暮らすことになるだろ? でも、あっちとこっちではあまりにも常識が違いすぎてな。それを使って俺の知識を手っ取り早く伝えられないかと思ったんだが」
魔法使い「なるほど! それはいい考えです! 早速やりましょう!!」ぱわわわわわ
勇者「え、ちょっ、待……あばばばばばばば」フワーッ
真奥「お前俺の前でも同じ事言えんの?」
魔法使い「大収穫です」ツヤツヤ
勇者「俺は疲れた……」ゲッソリ
魔法使い「まずは日常生活に関わる知識を取っておきましたが、間違いないですか?」
勇者「ああうん、それでオッケーだ」
魔法使い「おっけー?」
勇者「……万事良しって意味かな」
魔法使い「なるほど。また一つ学びました。おっけー、おっけー!」
勇者「ああうん、それについてはまあそれでオッケーなんだけど」
魔法使い「はい」
勇者「魔王、どうするよ……」
魔法使い「どうする、とは」
勇者「……日本では、魔王みたいなぽっと出てきた女の子に普通の生活を送らせることは難しい」
>>13
はたらく魔王さま面白いですよね。
あちらは馴染むのに苦労したようですが……
魔法使い「……」
勇者「……」
魔王「……」どよーん
勇者「いや、どよーんじゃなくてだな」
魔王「……」
勇者「……」つんつん
魔王「……」
勇者「……」こんこん
魔王「……」
勇者(あーもう、なんでこのちびっ子までついてくるんだよ。いやまあこの子があっちに居てもバッドエンドまっしぐらだろうけどさぁ)
勇者「……」むにっ「ちっさ」
魔法使い ゴッ
勇者「痛って!」
魔法使い「女の子に何してやがりますか。流石に勇者様でも見逃しませんよ」
勇者「いやだって何しても反応しないからさぁ」
魔法使い「……はっ、まさか反応しないのをいいことに不埒な真似を――」
勇者「しないよ。まあ不適切な言葉が飛び出たのは認めるけどさ。ついっていうか」
魔法使い「……で、どうするとは?」
勇者「いや処遇だよ、処遇。目ぇ死んでるんだけど。倒れたまま起き上がらないんだけど」
勇者:野郎。20代。
魔法使い:女。10代後半。
魔王:女。見た目10歳くらい。
魔法使い「……処遇も何も、私と同じように何とかして働き口を見つければ良いのでは?」
勇者「いやさ、魔王って俺の人種から見て見た目10歳くらいなんだよね。実年齢は知らないけど」
魔法使い「ではでは、私の見た目は?」
勇者「……18か19、多く見積もったら20」
魔法使い「……」ムスッ「それで、その見た目がどうしたというのです? 働くことに変わりは無いのでは」
勇者(あー……そこら辺の知識はまだ抜き取りしてないのか)
勇者「無理なの。日本では、最低でも15歳までは義務教育って言って、学校っていう教育機関で勉強しなきゃなんないの。魔王が教育を受けるにせよ受けないにせよ、15に見えない外見で働いてたら警察っていう憲兵さんに魔王ともしかしたら俺も捕まっちゃうの」
魔法使い「……では、その学校とやらに預ければよいのでは」
勇者「いや、日本ってそういう身元引受とかそういうの、けっこう厳しいんだよね。それにほら、ある日突然村の何処かの家に娘一人増えてたら、魔法使いでも不審に思うだろ?」
魔法使い「……確かに」
勇者「あーどうするかなー。戸籍が無いとなるとなー。俺の社会的名誉のためにも、やっぱ家に留めておくしか無いか。流石に魔法使いでも地域全員の記憶改ざんとか無理だろ?」
魔法使い「知識吸収を応用すればできますが、複数人は流石に無理です。今となっては尚更」
勇者「あ、一応一人相手なら出来るのか……。じゃあ、戸籍取得とかもできるかな」
ピピピッ モウスグ オフロガ ワキマス
魔法使い「ッ!?」ビクゥッ
勇者「まあ、学校とか労働とか、それ以前に」どっこいしょ「こいつの精神状態なんだけど」
魔王「……」ぷらーん
魔法使い「? 勇者様、どちらへ?」
勇者「何って、風呂だよ。湯浴み」
魔法使い「!?」
魔王は生きてました。
頑張ってミスリードしたつもりでしたが、どうだったでしょうか。
いやまあ殆どの人にとって、最初の時点で魔王の生死とかどうでもよくなるんですけどね?
魔法使い「勇者様……魔王を連れて、まさか――」
勇者「違うってば。ほら、俺たちかなり汚れてるからどうにかしないとだろ」
魔法使い「とは言いましても、湯浴みなどそうそう出来るものでは……あっ」
勇者「一応日本では割と頻繁にお湯に浸かれるから。俺の財布事情が厳しくなるわけじゃないし大丈夫だ」
魔法使い「しかし……」
勇者「こっちでは汚れてると無駄に生きづらいの。ほら、こっちだ」
魔法使い「……はい。ありがとうございます」
♪~ オフロガ ワキマシタ
魔法使い「……勇者様も入るので?」
勇者「……シャワーとか使い方わかるのか?」
魔法使い「わかりますとも! 先程勇者様から学びましたから」
勇者「……いや、ならいいんだけど。俺は後で入るから。三人だと流石に手狭になるしな」
魔法使い「残念ですか?」ニヤニヤ
勇者「確かにまあ、魔法使いかわいいしな。残念といえば残念だ」
魔法使い「なっ!」カアァ ポカポカ
勇者「痛てて……じゃあ、ゆっくり入るといい」ガラガラ ピシャッ
勇者「さて、この装備をどう片付けるか……いや、まずは洗濯なんだけど。当たり前だけどタグ付いてないし、そもそも原料って何なんだこれ」
ピキッ
勇者(やばい……着替えってどうするんだ)
ガラッ
魔王「ッ!!!!!」トテトテ ひしっ
勇者「え?」
勇者(え……なんでさっきまで死人みたいだった魔王が俺に抱きついてるの)
魔法使い「あっ、ちょっと、待って……!!」
勇者「……」
魔法使い「……」
魔王「……」
勇者「……何が起こった」
魔法使い「……」
勇者「……魔法使い」
魔法使い ビクッ「え、えーとですね……その、シャワーをその子に浴びせたんですが……」
勇者「まさか、いきなり頭からなんて話じゃないよな?」
魔法使い ギクッ
魔王 ひしっ
勇者(かたい……)
勇者「はあ……しゃーない、俺も入るか……」ヌギッ
魔法使い「!」
勇者「そう身構えなくても……」ヒョイ
魔王「……」プラーン
ガラガラ
勇者「さて、まずは魔王を椅子に座らせて……」ガタコッ ストン
魔王「……」
勇者「魔法使い、そこの洗面器にお湯を汲んでくれ。あと風呂入ってていいから」
魔法使い「あ、はい」ザバー トプン
勇者「よいしょ。魔王、今からお湯をかけるからな。少し熱いから気をつけろよ」
魔王「……」ぐっ
勇者「こういう時は、足とかの末端から中心に向かってかけていくといいらしい。頭には口とか鼻とかの呼吸器があって、びっくりしちゃうからな」ザバー
魔法使い「なるほど……」
魔王「……」フゥッ
勇者「ごめん、事前に言っておけばよかったかもな」
魔法使い「いえ、あそこで私が強がったりしなければこんなことには……」
勇者「……まあこれは違うけど、日本で生きていく上で気をつけなきゃいけないことってのは結構ある。慎重にやってくれ。魔王、今から身体洗うからな」カコッカコッ ゴシゴシ
魔王「……」
実は最初の段階では、現代に来て生活能力のない幼女魔王と社会人勇者がイチャコラする話を書きたかっただけなのですが……
どうしてこうなった
スレタイの時点でミスリードも何も……
>>26
今気づいたでござる
魔法使い「勇者様」
勇者「ん?」ゴシゴシ
魔王「~♪」
魔法使い「先程、記憶改ざんの魔法についての話で、『戸籍』という言葉が出ましたが、あれはどういう意味でしょうか」
勇者「ああ、戸籍か」ゴシゴシ
魔法使い「はい」
勇者「戸籍っていうのは、謂わば存在証明って感じのものだ。これが無いと、その人はその社会に存在してないのと同じ意味になる。で、魔法使いと魔王にはそれが無い」ゴシゴシ
魔王「……」
魔法使い「で、では、私達はこの世界で生きていけないのですか……?」
勇者「いや、そんなことはない。しばらく過ごすくらいなら問題ないんだ。ただ――魔王、またお湯かけるぞ。今度は頭にもかけるから気をつけろ」ザバー
魔王「~♪」
>>27
おせーよホセ
魔法使い「……」
勇者「ただ、魔法使いと魔王が元の世界に帰る見込みが無いとなると……結構面倒なことになる」カコッカコッ ワシャワシャ
魔法使い「……具体的には?」
勇者「あー……医者にかかる時の金が三倍近くになったり、住まいを移す時も多分問題になる。でも、学校に行けなかったり、働けないってわけじゃなかったはずだ」ワシャワシャ
魔法使い「不便になるということですね」
勇者「まあ、そういうことだな。俺と魔法使い、あと魔王が死ぬまで一緒って保証も無いわけだからな……戸籍はあるに越したことはない」ワシャワシャワシャ
魔法使い「なるほど」
勇者「で、その戸籍を取得するタイミングってのが、普通は産まれた時なわけだ。それ以外のタイミングとなると、取得するのが困難になる。実際に日本出身でもそういう人がいるしな」ワシャワシャ
魔法使い「……」
勇者「具体的には、私は確かに生まれましたよっていう証明書だったり、親子関係を証明するものだったり……まあ、そういうところを改ざんでどうにかしようって腹なんだけどな。魔王、流すぞー」ザバー
魔王「~♪」
勇者「とまあ、そういうわけだ。言いそびれたけど、当分は生活の面倒見るつもりだからそう焦らなくてもいい。……先に身体洗うか?」
魔法使い「それでは、お言葉に甘えて……ありがとうございます」イソイソ
勇者「まああっちでは逆に俺が世話になったわけだし、別にいいさ。魔王、お湯に入るぞ」トプン
魔王「……」ホッ
魔法使い「……」カコッカコッ ゴシゴシ……
勇者「……はぁ……」
魔王「……♪」
魔王は自分の人生談を書くだけでそんじょそこらのファンタジー小説より面白いけどのが書けると思うの。リアリティーが違うだろうし
勇者「俺には仕事があるって言ったけど」
魔法使い「はい」ゴシゴシ
勇者「明日と明後日は休日だから仕事が無い」
魔法使い「はい」ゴシゴシ
勇者「だから、さ。その……まあ、その休日に、魔法使いとか魔王の服とかいろいろ、生活必需品を買おうと思うんだけど」
魔法使い「え、ほ、ホントですか? ありがとうございます……」
勇者「まあ、必要なものだし……あー……ああああー……」ガクッ
魔法使い「どうされましたか?」ゴシゴシ
勇者「風呂から上がった後の着替えが無い……また忘れてた……」
魔法使い「とりあえず、まだ汚れの少ない旅装はありますが……」
勇者「今日はそれで頼む。魔王の分もよろしく」
魔法使い「わかりました」ザバー
>>32
ちっとネタバレになりますが、勇者と魔王の関係も王道通りとは行かないのです。
ピッピッ ピーッ
ゴウンゴウンゴウンゴウン……
勇者「まずは一息、か……」
魔法使い「勇者様、ありがとうございます。衣服の処理まで……」
勇者「別にいいって。俺が洗うわけじゃないんだし。……魔王、こっち来い。髪拭くぞ」
魔王「……」トテトテ
勇者「よしよし」ゴシゴシ
魔王「……」ガクガク
魔法使い「手慣れていらっしゃいますね。ご兄弟でも?」
勇者「いや、なんとなく。こうすればいいかなーって。俺も手探りだよ」ゴシゴシ
魔王「……」ガクガク
勇者「よし、粗方水分は取ったか。次はドライヤーだな。魔王、今からあつーい空気が頭に当たるからな」ガチャ ブスッ ヴィー……
魔王「……!」バタバタ
勇者「こら、暴れるな」ガシッ
勇者(さてさて、魔王がなんでこんなちびっ子だったかってのは、まあ大体予想はついてるんだが……)
ヴィー……
魔王「……」
勇者(ここまで反応に乏しいとは予想外だったな。だけど――)
魔法使い「その、勇者様、その子についてですが……」
勇者「どうした?」
魔法使い「その調子で、普通の生活を送れるでしょうか……先程はついあんな事を言ってしまいましたが……」
勇者「大丈夫だろ」
魔法使い「……? なぜそう言い切れるのですか?」
勇者「確かにさっきはあんなだったけどさ。お湯ぶっかければ嫌がるし、ドライヤー吹きかければびっくりするし、ちゃんと反応はしてるんだ」
魔法使い「……」
勇者「だから、まるっきり無理ってワケじゃない。時間が必要なだけだよ」
魔法使い「だといいですけど……」
勇者「まあ大方、聖教の連中になんかされたんだろうけどな」
カチッ ヴゥゥ……
勇者「はい、終わり。はい、ドライヤー。使い方はわかるだろ?」
魔法使い「はい……」
魔王「……」
勇者(まあ、さっきは時間が解決してくれるなんて御大層なこと言ったけど――)
魔王「……」
勇者(それが何時になるかまでは、わかんないんだよなぁ……)
勇者「……さて、寝ようか。もう随分遅い時間だ。魔法使いと魔王はベッドで寝てくれ。俺はソファで寝るから」
勇者(あー……ベッドとか部屋にリセ○シュしとかないと。野郎臭いのは二人も御免だろうからな)シュッシュッ
勇者(あっやべ、夜中に洗濯機回しちまった。感覚が戻りきってないな……)
魔法使い「ありがとうございます。さ、魔王ちゃん」
魔王「……」イヤイヤ トテトテ ひしっ
勇者「……なんか懐かれた」
魔法使い「というより、私が嫌われてる感じですけど……」
魔王「……」
勇者「……」
魔法使い「……何ででしょう?」
勇者「……多分シャワーの一件が決定打なんじゃないか?」
魔法使い「決定打って、私のミスあの一つだけなんですけど……」
勇者「まあ、印象はその内変わるだろう。悪いけど、今日はベッドを独占してくれ」
魔法使い「はい……」スゴスゴ
勇者「明かり消すぞー」パチッ
勇者(さて……)バフッ
魔王「……」ひしっ
勇者(明日は二人の格好をどうにかしないとだな……もしかしたらそれで一日潰れるかも知れん。余裕を持って組んでおくか)
魔法使い「……」
勇者(……明後日は……どうしようかな。出来れば二人の戸籍に関して何か手を打っておきたいが……)
魔王「……」スゥ……スゥ……
勇者(あとは、出来れば魔王のメンタルケアかな……参ったな、ちっさい女の子って何言えばいいんだろうな……具体的に何があったかも知らないし……聞くのも野暮だし……)
魔王「……」
勇者(……改めて見ると、ホント細いよな……さっきも感触硬かったし……不吉な印象を抱かせるために、敢えて最低限だけ食わせてたってトコか……)
魔法使い「……」
勇者(眠気が……これ以上は明日だな……)
スゥ……スゥ……
書き貯め全部投下しました。
今夜のところはこれで終了です。次が何時になるかはわかりませんが……
書き込んでくださった方、有難うございました。
ではまた。
乙乙
乙
極端な話落ちなきゃいつまでも待つさ
面白そうなのにあった
乙
乙!
おつおつ
次まで気長に待ってるよ
ありがち
おつ
乙
面白い
深夜で似たようなの見た
こういうファンタジー+現代のやつには興味がすごくある支援
乙
はいなんとか日付変更に間に合いました。
皆様沢山の乙コメントまことに有り難うございます。
今日のはじめ頃に書き貯めが底を尽きましたが、筆が進むという奇跡が起きましたので今日はじめの半分ちょいくらいですが投下します。
支援コメ、ssWikiには不要とか書いてありましたが、どんどんしてくださると嬉しいです。
皆様からのコメが来るたびに心臓が飛び跳ねる思いですので。
オオ、ヨクゾワレラノショウカンニコタエテクレマシタ、ユウシャヨ!
勇者「俺が、勇者……?」
エエ、ソウデストモ! サア、コチラヘ!
アラ、コノカタガユウシャサマデスカァ?
イカニモ。カレナラバキットマオウヲウチハタシテクレルデアロウ
ウム……ミルカラニコウゴウシイ
ナントミヤビナ……
ハジメマシテ、ユウシャサマ! ワタクシ、コノタビニドウコウスルヨテイノソウリョデスワ! ヨロシクオネガイシマスワ!
勇者「あ、ああ……よろしく」
グアアァァァ! ハナセ! ウオオォォオ!
ユウシャサマ、ヤツハワレラジンルイニアダナスマモノデス!
勇者「え? ど、どう見たって人じゃないか……」
ナニヲイッテイルノデス、ヤツラハヒトニトリツクノデス! サア、ゴセイバイヲ!
ワアアアァァ! ユウシャサマ! ユウシャサマ!
勇者「ッ……」チャキッ
ウアアアァァ! ヤメテクレェ!
ユウシャサマ! ユウシャサマ! ユウシャサマ!
オトウサーン!
ダメダ、クルンジャナイ!
ナント、コノヨウナオサナゴマデタブラカストハ、コノマモノメガ!
アワレナ……イチドマモノニミイラレテハ、モハヤヒカリニアイサレルコトハアリマセンワ……ユウシャサマ! コノモノニモジヒヲ!
ユウシャサマ! ユウシャサマ! ユウシャサマ! ユウシャサマ! ユウシャサマ!
勇者「う……うわあああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ザシュッ
グアアァァアア!
オトウサーン!
勇者「うわああぁ! あっあっ、あああああぁぁぁぁ!!」
ザシュッ ドスッ グチュリ……
今回投下する分にはかなり意味不明な擬音表現が多数出現しますが、できるだけリアルに近づけたいなーと思って描写しています。
わかりにくい音の後には随時解説を入れますのでよろしくお願いします。
この演出は「キリノセカイ」というオーディオブックに影響を受けました。
魔王「……」ムクッ
シーン……
勇者「うぅ……」スゥ…… スゥ……
魔法使い「……」スヤスヤ
魔王「……?」キョロキョロ
ピピピピッ! ピピピピッ!
魔王「ッ……!」ビクッ
ピピピピッ! ピピピピッ!
魔法使い「んぅ……?」むにゃむにゃ
ピピピピッ! ピピピピッ! ピピピ――バコッ
シーン……
勇者「……朝、か……」ごそっ
魔王「……」ひしっ
勇者「あー……」
勇者(電子音にビビったのか……悪いことしちゃったな)
勇者「……大丈夫だよ」ナデナデ
魔王「……」
魔法使い「あ、勇者様……? あふ……おはようございます……ふわぁ……」
勇者「……おはよう」
勇者(……嫌な夢だ)
ガララ……バタン パチッ
勇者「さて、洗濯物も人目につかない所に干し終わったし……」チラッ
午前8:32 26
勇者「まずは朝飯かな」
魔法使い「朝ご飯ですか? 用意お手伝いさせてください」
勇者「あー、待って。冷蔵庫の中身と相談するから」パカッ
ガラーン……
勇者(そういえば土曜日はいつも惰眠貪った後で一週間分の買い物行くんだった)
魔法使い「どうでしょうか……?」もじもじ
勇者(口が三つに増えたからな……一週間分ってのは無理だな。まずは朝飯分だけ買ってくるか。昼飯はスケジュールと相談だな)
勇者「……全然無いから、今から外行って買ってくるわ。悪いけど魔王の子守りしててくれ」
ヌギヌギ カチャカチャ
勇者(おっと、鍵と財布)ゴソゴソ
ガチャ――
魔法使い「あ、あの……」
勇者「ん?」
魔法使い「いってらっしゃい……」もじっ
ドクン
勇者「あ、ああ……行ってきます」
ギィ……バタンッ ガチャコッ
ガララ……バタン パチッ
↑ ↑
窓を閉める音 窓の鍵を閉める音
ヌギヌギ カチャカチャ
↑
服の金具など
ギィ……バタンッ ガチャコッ
↑ ↑
ドア閉め 鍵閉め
ずれた……
何かすごくダサいので、質問を受けたら答える感じにしていきます。
前言撤回が速くてスミマセン。
シャアァァ…… コオォォォ……
チュンチュン
勇者(この空気も久々って感じがするな……)
???「あらあら、イケメン君じゃない!」
勇者(この聞き覚えのある声と言い、呼び名と言い……)
勇者「はい?」クルッ
近所のおばさん「珍しいわねぇ、土曜日のこんな時間に会うなんて」
勇者「ああ、おばさんですか。お久しぶりです」
おばさん「やぁねぇ、昨日会ったばかりじゃない。ボケでも始まったかしら?」
勇者(しまった……俺としては久しぶりだったからつい……)
おばさん「イケメン君……なんかグッと大人っぽくなってない? 陰があるっていうかね……まあイケメン君もあと少ししたら三十路だものねぇしょうがないわよねぇ、おじさんおばさんの仲間入りよぉ! ってやっだぁ私ったらぁ~!」
勇者「ははは……かもですね」
勇者(久しぶりに見るテンションだ……ていうかイケメン君っていうのやめてくんないかな。恥ずかしい)
おばさん「やだやだ、イケメン君これから用事あるんでしょ? お邪魔しちゃったかしら。まあ私くらいの歳になるとお喋りが生きがいみたいなもんでねぇ、ついつい喋っちゃうのよねぇ。それじゃぁね~」パタパタパタ……
勇者「はい、また」
勇者(そんじゃま、コンビニ行きますかね)
キィ……
♪~
パタコッ
コンビニ店員「いらっしゃいませー」
勇者(流石に三人分の朝飯となるとカゴがいるかな)カチャ
勇者「さてどうするか」
勇者(まあ俺は好みのやつとして、問題はあの二人だな……)
髭面の中年「……」
勇者(あの人は通勤スタイルか……休日までご苦労さんだな。で、あの世界の食事って、携帯食料以外はけっこう薄味だったんだよな。それも味付けって言ったらしょっぱいか辛いしか無いっていうか、そう、出汁の概念が無かったように感じる)
髭面の中年「……」パリ……
勇者(となると、やっぱ薄味のやつを買った方が良いな。コンビニ飯だとどうしてもエネルギー過多気味になるけど、欠食児童もいるしまあ問題無いだろ)
髭面の中年「……」コトン
勇者(卵サラダを挟んだパンなんて塩分少なそうだけどどうだろうな。スマホで調べてみるか……)
勇者「あっ」
髭面の中年「?」
勇者「あっいえ、なんでもないです」
勇者(しまった、あの時仕事帰りにすぐ召喚されたから、スーツと一緒に置いて来ちまった。幸い財布と鍵は放り出した後だったから無事だったが……まあ実際の感覚として塩辛く感じなければいいだろ。万能栄養食品だし。卵パン決定)ポイポイ
そういえば掲示板利用自体が初なので今気づきましたが、日付が変わるとID変わっちゃうんですねぇ。
髭面の中年「お粥か……」カコッ
勇者「……」
勇者(お粥か……そういえば魔王にしっかりしたもの食わせても戻しちゃいそうだな。それに薄味だし。お粥決定)
勇者「すいません、お粥取らせてもらえますか」
髭面の中年「どうぞ……!?」サッ
勇者「どうもー……?」ポイポイ
勇者(あとはそうだなー……カット野菜でも炒めて食わせるか)ポイッ
勇者「……俺も卵パンにしとくか。あいつらだけ精進メニューってのも可哀想だ。嫌いじゃあないしな」ポイッ
勇者(失くした携帯電話を解約して、また新しいやつ買っとかないとな。あー、魔法使いにも持たせておくか。確か契約に身分証明書が要るから、当分は俺名義でいいか……まだどうなるか全然わかんないし)
勇者「あー……雑誌か……」
勇者(とりあえず、魔法使いと魔王の格好はそれなりにしっかりさせておきたいしな……ファッション雑誌でも買っとくか)バサッ
勇者「精算お願いしまーす」ガコッ
店員(うわっ目ぇ死んでる……何徹したんだろ)
勇者も目が死んでました。家で誰も突っ込まなかったのは、家に居たのが同類ともう見慣れちゃった人だけだったからです。
ちなみに髭面の中年さんには風邪で寝込んでいる奥さんが居ます。
カチャ
♪~
キィ……パタコッ
勇者(今日の予定は……まず飯食って、魔法使いと魔王の外出用の服を一セット買ってきて……それから買い物に出かけて……本格的に服買って、食材買って、あとは携帯電話か)
シャアァァ…… コオォォォ……
カチャリ
ガチャ キィ…… バタンッ
勇者「……」
魔法使い「あ、おかえりなさい」ニコ
魔王「……」トテトテ ひしっ
勇者「……あっ、ああ。ただいま」ナデナデ
ドクン
勇者(いってきますとかただいまとか、家の中で言ったのはそれこそ久しぶりだな……いつ以来だろ)
勇者「もうちょっと待っててくれ。今、飯の用意するから」
ジュアァァァ カンカン コンッ ジャッジャッ
魔法使い「うわぁ……いい匂いですね」
魔王「……」クンクン
グゥ~……
魔王「……」もじっ
魔法使い「ふふっ」クスリ
勇者「って言っても、予め切られた野菜に塩コショウとペーストまぶして炒めてるだけなんだけどな。火加減もツマミで一発だし」
魔法使い「私にも出来ますかね?」
勇者「知識はあるんだし、やってみれば出来るんじゃないか?」ジャッジャッ
魔王「……」ひしっ
魔法使い「こ、こら、危ないよ。今は火を使ってるんだから、ね?」わたわた
勇者「ありがとな。……まあどうせ働くなら最初はパートかバイト――責任も給料も少ない仕事からだろうし、そういうことを考えると料理は出来て損ってことはないかな」
魔法使い「……? どういうことですか?」
勇者「そういう仕事は、実際に手を動かす仕事が多い……印象があるからな。その中にはもちろん調理を担当するものもある。まあ必ずしも身体を動かすものばかりってワケじゃないけど、今の状況で一番始めやすい仕事って言ったら多分バイトだな」
魔法使い「なるほど……」
勇者「さて、出来上がりっと」パチッ キュッ
あれ、このままだと本格的に未知の領域を描写しなきゃいけなくなるのか……?
コーッ コーッ カチャカチャ……
魔法使い「美味しそうですねぇ。緑と橙色が混じっていて綺麗です」キラキラ
勇者「そういえばあっちの食事って茶色一色だったよな」
魔法使い「旅の途中ではあまり良いものを食べられませんからね……流石に野菜が恋しいです」
勇者「魔王も食べてくれればいいんだけど」バサッ
魔王「……」じっ
魔法使い「これは……?」
勇者「今日の朝飯。ほら、買ってくるって言っただろ。あ、お粥温めないとな」チャキッ むにゅー
バカッ カコン……バタン
勇者「あー……魔王、今から朝聞いたちょっと怖い音がするからな。ごめんな」
ピッピッ ピッ ヴィー……
魔王「……」
勇者「……平気か?」
魔法使い「何かあったのですか?」
勇者「えっと、朝起きるときに変な音が鳴ってただろ?」
魔法使い「はい。眠かったのでよく覚えていませんが……確か『目覚まし時計』でしたっけ」
勇者「そうだ。魔王はそんなこと知らないからな……起き抜けにびっくりさせたみたいだ」
魔法使い「そう、ですか……」ナデナデ
魔王「……」
ヴィー…… チーン
バカッ
勇者「さて、朝飯だ」
一度チャレンジしてみて、どうにも駄目だったら諦めてもいいんじゃない
コトッ コトッ
パリッ パリパリッ プチッ
勇者「さ、召し上がれ。まあ、俺が作ったのは野菜炒めだけなんだけど……」
魔法使い「勇者様の暮らす世界は便利なのですね」ニコニコ
魔王「……」じっ
魔法使い「ところで勇者様、この茶色くて柔らかい塊と白い半液状の物体は? 見た感じでは、パンと……麦粥、ですか?」
勇者「当たらずとも遠からず、かな。こっちの茶色いのは卵パン。卵にマヨネーズっていう調味料と胡椒を和えて、パンに挟んだもの。こっちの白いのはお粥って言って、麦じゃなくて米っていう穀物を精白して、水に浸して加熱したものをさらに水増しして煮た料理だ」
魔法使い「なるほど……私としては、こちらの透明な膜にも興味が……」まじまじ
魔王「……」じっ
勇者「こっちのお粥は魔王に食べさせようと思う。胃腸が弱ってるかもしれないからな。パンが食べられればそれに越したことは無いんだけど……。あと、全体的に薄味のものを選んできた。いきなり濃い味は魔法使いにとっても毒だろうからな」
魔法使い「まあ、濃い味自体は旅で食べ慣れてますが……確かに、普通の食事くらいは薄い味のほうがいいですね。ありがとうございます、勇者様」ニコ
勇者「どういたしまして。じゃあ、いただきます」パンッ
魔法使い「! い、いただきますっ」パンッ
魔王「……」パンッ
>>70
ありがとうございます、頑張ってみます
勇者「魔王……と魔法使い、今からまた音……と動く絵が出るからな」ピッ
魔法使い「動く絵……? ああ、なるほど。それにしても、勇者様の世界は変な音ばかりですねぇ」もぐもぐ
勇者「俺たちにとっては、逆にこの音が鳴らないと不安になったりするもんだけどな。もっと凄いところもあるぞ」
ニュース番組の司会「――それでは、次のニュースです。〇〇高速道で発生した火災が、無事鎮火されました――」
魔王「!!」もぐっ
魔法使い「大丈夫、大丈夫。ほら、お口開けて」
勇者「そういえば、魔法使いはさ」
魔法使い「はい」
魔王「……」もぐもぐ
勇者「こっちの言葉、わかるのか?」
司会「速報が入りました――」
魔法使い「……いえ、全く」
勇者「……そっか。じゃあ、何で俺はあっちの言葉がわかるんだろうな?」
魔法使い「私が使用した知識吸収の魔法の応用でしょう。恐らく、知識の移植先を術者ではなく勇者様に置き換えたのだと思われます」
勇者「なるほどな。あー……じゃあ、買い物に出かけるのは魔法使いの残りの魔力と相談したほうがいいのかな……」
魔法使い「いえ、ご心配には及びません」
勇者「へえ?」
魔法使い「昨日魔法を使った段階では魔力の消費を最低限に抑えていますので、残り二回程度ならおっけーです。それに……はい、お口開けて」
魔王「……」かぷっ もぐもぐ
魔法使い「魔力の回復に時間がかかるのは、旅の途中では十分に栄養が取れないからなのです。見たところここの食事は充実しているようですし、魔力の回復も速くなるでしょうね」
魔王「……」もぐもぐ ごくん
魔法使い「はい、あーん」
勇者「じゃあ、魔法で生計を立てる線も出てきたのか?」
魔法使い「いえ、勇者様の旅に同行した私でも、流石に聖教のトップに立つ程の力量も度胸もありませんので……というのは冗談で、もう少し様子を見ようと思います」
勇者「そうか。当然だけど、こっちでも記憶の操作は倫理的にダメだからな」ビシッ
魔法使い「わかってます。勇者様にだけですよ」
勇者「女性に言われたい台詞ではあるんだけど、何かが違う」
勇者「さて、ご馳走様でした」パンッ
魔法使い「ごちそうさまでした」パンッ
魔王「……」パンッ
勇者「もうそろそろ10時か……」
午前9:45 35
勇者「じゃあ、またちょっと出かけてくるよ」ゴソゴソ
魔法使い「また、ですか? どちらまで?」
勇者「服飾品店かな。外に行くにしても、まずは怪しまれない服装をしておかなきゃならないからな……あ、そうそう魔法使い、足出して」カチャ
魔法使い「はい? えっ、ちょっ、わひゃ! な、何するんですかぁ?」
勇者「何って、足の大きさを測ってるんだけど」カチャ「んー、まあ大体こんなもんか」ジャコッ メモメモ
魔法使い「じ、事前に言ってください!」ぷんすか
勇者「悪い、次に活かす。魔王、足の大きさ測るから足出してくれ」キー……
魔法使い「……」ポカッ
勇者「いて」ジャコッ
魔王「……」スッ
魔法使い「でも、何のために足の大きさなんて?」
勇者「何でって、靴を買ってくるからだよ。服の他に履物も買わなきゃいけないからな……魔王、もういいぞ」チャキッ メモメモ
魔王「……」パタッ
魔法使い「何から何まで……あ、ありがとうございます」
勇者「いいって。たまたま日本は要り用なものが多いってだけだ……じゃ、また子守よろしく。行ってきます」ガチャ――
シャアァァ…… コオォォォ……
魔法使い「はい、行ってらっしゃい。ほら、魔王ちゃんも」クイ
魔王「……」パタパタ バイバイ
ギィ……バタンッ ガチャコッ
はい、書き貯め全部投下しました。
流石に「シャアァァ…… コオォォォ…… 」の部分は説明しておかなければと思うのでここでします。遠くを車が走る音です。
前回投下の時に「ありがち」という意見を頂いたのですが、まあまず第一に勇者魔王という題材自体が手垢の付きまくったジャンルであること、
そしてSSというスタイルに(多分)ある程度暗黙の形式というものがあることも既視感を加速させているものと思われます。
それらを差し引いての「ありがち」ならば、はい、確かに「はたらく魔王さま!」に題材がかなり似ております。
当初はこういう路線になる予定はなかったのですが、ある程度良識があって融通の効く魔法使いという存在を混ぜるとまあ不可避な事態となります。
魔王が心を開くまでずっとだんまりだと、魔法使いという存在が居なければ話が膨らみませんからね。私の力量では特に。
どれもこれも私の力量不足が招いた事態なのですが、素人の書いたものだと生暖かく見守って、勇者と魔王、そして魔法使いのやりとりを読んでほっこりしてくださると嬉しいです。あとコメント。
あとは「深夜で似たようなの見た」というご意見ですが、これはアニメの「はたらく魔王さま!」でしょうかね? いやはや耳が痛い。
最後にお願いですが、例えば「ありがち」という意見を下さる際、どういう点がありがちなのかを書いてくださると改善の余地がありますので、できればで良いのでよろしくお願いします。
さて、今夜はこれで以上となります。長々と失礼いたしました。
読んでくださった方、誠にありがとうございました。おやすみなさい。
>>77
長い三行でまとめろ
あと酉付けとけ
乙
いちいち解説入れんでも脳内補完するから大丈夫ぜよ
わからんとこは適当に飛ばすからわざわざ細かいとこに解説入れんでいい
テスト
>>82
このSS好きだぜ
頑張って書いてくれ
おつおつ
続きが気になるぜ
乙
楽しみにしてる
続き楽しみ
自分語りが多すぎる
話は面白いのに
読者様で申し訳ないんだが出来ればSSを投下してる最中に解説を入れたり、筆者の感想を挟んだりするのはやめてほしいな
物語に没入出来ない
乙
いちいち本文外で弁明しなくても、きちんと作品を示せば意図は通じるから堂々と構えてれば良いよ。
乙
今まで見たSSだとさいごにちょちょっと説明とかしてたな
まぁそれは>>1の勝手だけどな
お疲
擬音は本筋と関係のないもの以外カットでもいいと思うけどな
多すぎると読みづらい
>>87 >>88
善処します
>>92
善処しますが、こだわりたい部分でもあるので……臨場感というか(伝わらなかったら意味ないんですけど)。
まあ、変なことするなぁと思ってください。
無駄なのを減らす努力はします。
ではでは、投稿していきたいと思います。
魔法使い「勇者様、どうされたのでしょうか……」
魔王「……?」
魔法使い「ううん、なんでもない」ナデナデ
魔法使い(少なくともあちらでは、自ら積極的に行動する方ではなかったのですが……)
魔法使い(……こちらに来て私たちの世話をせざるを得ないから、でしょうかね?)
魔王「……」カクン…… カクン……
魔法使い「眠くなっちゃったかな?」
魔王 コクリ ウトウト
魔法使い「……じゃあ、少しだけ寝よっか。さ、おいで」
魔王 コクリ トテトテ
魔法使い(魔王の態度もだいぶ軟化していますね……勇者様の積極的な働きかけの賜物でしょうか)
魔王 コテン
魔法使い「……」ポン…… ポン……
魔法使い(勇者様……ご無理をなさっていなければ良いのですが……)
スゥ…… スゥ……
バタンッ
勇者「さて……」シュゥゥ カチャリ
カチッ ドキャキャキャキャキャ ヴルウゥゥン…… ピリッ
勇者(服屋は近くにあるからいいとして、靴屋は……まあ妥当にあそこか。ここってド田舎じゃあないけど交通機関が不便なんだよな。どこ行くにも車っていうか)
♪~
勇者(まあ当然だけど、かなりの間空けてても地理感は鈍ってないな)
ガタコッ ギッ ヴ……
勇者「まああとは事故らないように交通量の少ないトコ通るか……そういえばあとちょっとで車検だったっけな。免許は……まだいいな」
勇者(あー、それにしても久々に聴くな、こういう音楽。召喚の後数日くらいはセレモニーで聴いてた気がするけど……なんというかその後の旅は、いかに今の生活が音楽に囲まれてるかを実感する日々だったような……)
勇者「……」
♪~
勇者「……魔王乗せた時にびっくりさせてもアレだし、音量下げとくか」ピッ
勇者(こういう唐突に響く音が多すぎて、魔王に気遣う場面が増えている気がする……これでいいのだろうか)
ヴーン……
ピーッ ピーッ ピーッ ピーッ ピーッ ギッ ガタコッ
勇者「まずは服だな……」カチッ
ヴゥン……
勇者(と、その前に……)バサッ
勇者「どんなイメージのを買って行ったらいいだろうな」
勇者(魔法使いは温かみのあるふわっとしたプラチナブロンドなんだよな……で、今はもう秋だから……こんな感じの全体的にモコっとしたの買ってくか。マフラーなんか似合うだろうな。色調は暗めでいくか。旅装も生成りとか地味な感じだったし、着るのも抵抗無いだろ)
勇者「……こんな感じか」パラリ
勇者(魔王はなー……風呂の時に見たけどガリッガリなんだよな。まあこっちの飯を三食きっちり食えばちゃんと肉は付くだろうけど……外出するとなったら体の線が出るとちょっとまずいな。まあ10歳程度の子供が着る服に線が出るようなのがあるかって言ったら謎だけど)
勇者「……」
勇者(……魔王はとりあえず厚手のやつ見繕うか。人見知りっぽいからフードついたやつも良いかもしれない。あとは目立たない色か。髪は黒だから、その辺は救いってやつかな……)
勇者「まあ大体こんなもんか。時間かけても仕方ないしさっさと行こう」バカッ
勇者(安く済むといいけど……あ、そういえば下着も買っとかないと。どういうの買えばいいんだろ)
バンッ
服飾店の店員「あ、ありがとうございましたー」
パタン……
勇者「なんかレジの店員さんにビビられた……」
勇者(コンビニでもそういうことがあった気がする……)
勇者(ま、とりあえず下着類は伸縮性のあるぴったりしたやつでいいよな。本職じゃないからどんなのがいいとかわかる訳無いし、後で買わせよう)
カチッ ピピッ
勇者「……携帯電話も先にやっとくか。出先で待たせるのは良くなさそうだ」
バカッ バンッ
勇者(それに予め持たせときゃ、はぐれても連絡つくしな)
勇者(あー、携帯電話まで買うと昼頃になっちゃうな。いきなり外食ってのもハードル高いだろうし、スーパーで夕飯の分も何か買うとするか……食器使う麺類はNGかな。あっちにもフォークの原型っぽいのはあったけど、魔王の食い方が心配だし……)
勇者(そういえば魔王、普通にパンも食ってたな。野菜もちょびっと食ってたけど……植物って消化悪かった気がする。確か肉食動物よりも草食動物の方が腸長いんだよな……選択ミスったかもしれん。まあ大丈夫だったら刺激物だけは避けておくことにしよう)
勇者「……」
カチッ ドキャキャキャキャキャ ヴルウゥゥン…… ピリッ
勇者「はぁ……魔王、ちゃんと大人しくしてるかな……」
ギッ ガタコッ
勇者(いやいや、あいつが自発的に動いた場面がそんなにあったか? いやまあ面識持ってまだ一両日も経ってないけどさ)
ヴゥーン……
ガチャコッ ガチャ
勇者「ただいまー」
魔法使い「おかえりなさい、勇者様……あら、凄い荷物ですね。お手伝いします」パタパタ
勇者「いや、い……やっぱり頼む。今日これから買う分はバカにならないからな。予行演習だ」パリッ
魔法使い「そ、そうですか……」
パタパタパタ ガチャ
勇者「あれ、流しに出しておいた食器が無い」キョロキョロ
魔法使い「あ、私が洗っておきました。少し手持ち無沙汰でしたので……ご迷惑でしたか?」
勇者「いや、助かる。待たせて悪かったな」
魔法使い「いえいえ、この位はさせてくださいな」ニコ
魔王「……」スゥ…… スゥ……
勇者「なんだ、魔王は寝てるのか」
魔法使い「はい。勇者様が出かけた後すぐに眠くなったようで……」
勇者「そうか。まあいずれにせよ大人しくしてくれて良かった。あとは食っちゃ寝で肉がついてくれれば万々歳なんだけどな」
魔法使い「何かその言い方悪意を感じますね……」
勇者「気の利いた言い回しが出てこない俺の語彙が貧相なだけさ。そういえばその袋の中に今日着てく為の服入ってるから」
魔法使い「え?」パリッ「うわぁ……!!」キラキラ
勇者「余計なお世話かとも思ったけど、一応下着も入ってるから。昼から本格的な店に行くから、ぴったり合うやつはそこで探してくれ」
魔法使い「はいっ! ありがとうございますっ!!」ピョンピョン
勇者「ほら、魔王。着替え買ってきたから起きろ。飯食い終わったらそれ着て買い物行くから」
魔王「……」パチリ ムクッ
勇者「さて、昼は無難にチャーハンにしておくか。味も薄く抑えられるしな」ガコッ
魔法使い「チャーハンとは?」
勇者「朝、魔王にお粥食わせただろ? アレに使った米を炊いて、具と一緒に炒めて味付けしたやつだ。米にも麦と一緒で色々品種があるんだが、今回はうるち米っていう割と万能な品種を使う。召喚された日に炊いた残りがあったからな」
魔法使い「米もパンと同じように、いろいろな形に加工するのですね」
勇者「いや、加工しても美味しいってだけで、普段は米単体と他のメニューを別々に食べるんだ。ただ、普通は箸っていう日本とその周辺国独特の食器を使うから、そっちは追々食べさせたいと思ってる」
魔法使い「ああ、箸ですか。勇者様の知識の中にもありましたね。確かに、慣れないうちは使いにくそうです」
勇者「そうだな。ただ白米と合わせるおかずが、味が薄くなる前提だから少し濃い味なんだよな……」
魔法使い「私としては濃い味の料理にも興味がありますが……」
勇者「まあ、夕飯のメニューに考えておく。じゃあ、ちょっと手伝ってくれ」
魔法使い「……はい!」
コトッ コトッ
勇者「はい、チャーハン完成」
魔王「……」じっ
ホカホカ……
魔法使い「んん、やっぱり美味しそうですね。この米は日本の特産なのですか?」
勇者「んー……どうなのかな。正確には日本だけじゃなくて、日本近隣――アジア諸国の主食だな。特産かって言われるとそういう訳でもない。このチャーハンと、具のチャーシューだって日本生まれじゃあないしな。いただきます」パンッ
魔法使い「そ、そうなのですか? 私はてっきり……いただきますっ」パンッ
魔王「……」パンッ
勇者「こっちでは陸海空の輸送技術が優れてるから物と人が大量かつ簡単に移動できるようになったし、あそこの冷蔵庫に使われてる冷蔵技術で食料のやりとりが遠距離間でも出来るようになったから、あっちよりも文化のやりとりは進んでるだろうな。このチャーハンもその一つって訳だ。まあ、その文化のやりとりだって良いコトばかりでもないけど……」パク もぐもぐ
魔法使い「文化が違えば摩擦は起こりますからね。それはわかります。……しかし、冷蔵技術に輸送技術ですか……魔法で代替したら人材も魔力も絶対に足りませんね。特に空となったらどれだけの魔力が必要か……うう、研究者ではないんですけど血が滾ります」パクっ もぐもぐ
魔王「……」パクっ もぐもぐ
勇者「うーん……異世界から、それも人一人を呼び出すくらいだから、転送技術を研究したほうがいい気もするけどな。まあ俺は門外漢だし、それ以前にこっちじゃ魔法的なノウハウもないだろうから詮無い話かもだけどな」もぐもぐ
魔法使い「いえ、研究が専門ではないだけで、ちゃんと理論は修めてますから。流石に世界間転送は荷が重いというだけで……。それにしても……あぁ~、せっかく文明が進んでいそうなこちらに来たのですから、学問に没頭するのも良いかもしれませんねぇ……」もぐもぐ
勇者「伊達に勇者パーティ勤めてた訳じゃないってか。ただ……金かかるぞ」ぼそっ
魔法使い「うっ……うぅ~。ちなみに、どれくらいですか?」
勇者「魔法使いくらいの歳で通うところだと、四年通って安くても俺の年収の半額は超える。高いと数年分なんてザラだな。ああ、こっちは365日で一年だから」
魔法使い「うっ」
魔王「……」もぐもぐ
勇者「まあ昔はもっと安かったらしい……それこそその費用を全額自分で賄いつつ通えるほどだったらしいんだけど、今となっては難しいな……ところで、魔法使いはどうやって魔法を学んだんだ?」
魔法使い「……それは……まあ、その……ええとですね……」あたふた
勇者「いや、説明が難しいなら言わなくていいけど。別に目標にする分にはいいんじゃないか? 別に金を貯めてから入ってもいいし、奨学金っていう資金を援助してくれる制度もある。多分あっちよりもいろんな制度があるから、それを当たってみてもいいしな。ただ、金が絡む制度はほとんど信用が無いとダメだから戸籍が必要だとは思う」
魔法使い「そうですか……うぅーん」
勇者「追い討ちをかけるみたいだけど、そういう学費の安い所に行こうとすると勉強も難しいしな……」
魔王「……」ごくん カラン
勇者「っと、魔王が食い終わっちまった。急いで食うか」ガバッ
魔法使い「えっ……はい!」ガバッ ムグっ
勇者「……大丈夫か?」
勇者「魔王の着替えも頼めるか?」
魔法使い「はい、お任せください!」
勇者「そうか。じゃあよろしく。困ったら遠慮なく呼んでくれ」パタン
魔法使い「……」
魔法使い(こういう贈り物を頂いたのは初めてです……
魔法使い(勇者様は完全に善意なんでしょうけど、やっぱり嬉しくなっちゃいますよね)ギュッ
パリパリ……
魔王「……」ぐっ
魔法使い「……あっ、魔王ちゃん。お着替えしよっか」
魔王「……」コクリ
勇者「着替え終わったか。うん、魔法使いも魔王も雰囲気に合ってて良い感じだな」
魔法使い「あ、ありがとうございます……お世辞でも」もじっ
魔王「……」
勇者「別にお世辞ってわけでもないけど。着心地はどうかな?」
魔法使い「いい感じです。伸縮性のある生地というのも興味深いですね」
勇者「ああ、確かに初めて見たら驚くかもな。さて、着替えも終わったし……はい、これ」スッ」
魔法使い「これは……携帯電話、ですか?」カチャ
勇者「うん。後々必要になるだろうから魔法使いの分も買っておいた。使い方は……と、その前に日本語をどうにかしないとだな」
魔法使い「……よろしいので?」
魔王「……」じっ
勇者「よろしいも何も、そりゃ必要だからな。大丈夫だ、予めあの感覚が来るってわかってれば耐えられないわけじゃない。魔王にも頼んだぞ」ポン
魔法使い「……わかりました。では、いきます」スッ
魔法使い「大丈夫ですか?」
勇者「なんとか。慣れたのかもな。それより、ちゃんと日本語話せてるな」
魔法使い「おかげさまで」
勇者「そりゃ良かった……と、そうそう、携帯の使い方はわかるか?」
魔法使い「はい。それに、書いてあることに従えば何とかなりますよ」
勇者「それもそうか。電話帳に予め俺のアドレスと番号が登録されてるから、俺が居ない時はそれで連絡するようにしてくれ。あとそれにはメール機能と電話機能くらいしかついてないから」
魔法使い「わかりました」
魔王「……」じっ
勇者「おっと悪い、魔王、待たせちゃったな」ガチャ――
シャアァァ…… コオォォォ……
魔法使い「こちらに来てからは初めての外出です。窓からも見ていましたが、やはりあちらとは根本的に違いますね……」
勇者「そうだなぁ。文字通り異世界だからな。二人にとっては未知の領域ってところだな」
魔王「……」
勇者「……不安か? 家に残るか?」
魔王「……」イヤイヤ ぎゅっ
勇者「……魔法使いも、手、つなごうか」
魔法使い「は、はい!」ぎゅっ
勇者「そんじゃ、行きますか」
ギィ……バタンッ ガチャコッ
魔法は頭悪いと十分に使えません。現代に来て学習意欲を刺激されてしまった魔法使いでした。
それでは今回の投下はこれまでとさせていただきます。呼んでいただき有難うございました。
乙
乙
乙
乙!
服選び楽しそうだな
あとNHKの教育テレビや放送大学って素敵なシステムだよね
乙
長文が読みづらいな
俺はそうでもないな
台本形式のSSで擬音をセリフ外に付けるなら半角カタカナの方が良さげ
乙乙
ではでは、投稿していきたいと思います。
ヴゥーン……
魔法使い「うぅ、馬を使わない移動手段ですか……速い、そして怖い……」
魔王「……」
勇者「この辺りは、遠出する時絶対これに乗るからな……慣れないとキツイぞ。魔王は大丈夫っぽいけど」
魔法使い「でっ、でもでも、怖いですよこれ! 得体が知れないっていうか!」
勇者「得体が知れない物なら、家にも沢山あったと思うぞ」
魔法使い「その、目に見えて大きい変化があるというか、そう、速さです、速さが段違いです。生まれてこの方こんなの味わったことありません」ガクガク
勇者「見たことがなければそんなもんか」
魔法使い「せめて、せめて仕組みさえわかれば。私が勇者様から教わったのは使い方だけなんです!」
勇者「んー、まあ簡単に話すと、この車の下の部分にはエンジンっていう装置があって、その中でよく燃える液体を気化させて燃やしてるんだ。物が燃えると大きな力が発生するから、その力……の一部を取り出してこの速さを出してる」
魔法使い「な、なるほど……はい……やっぱり無理でした……怖いです……」
勇者「時間をかけてもいいんだって。まだこっちに来て一日も経ってないんだからさ」
魔法使い「はい……。それにしても、なんというか……こちらの技術はエネルギーを惜しみなく使っているというか、魔法では難しいことばかりですね……。炎の魔法は結構魔力を使いますし」
勇者「いや、こっちの科学からしたら記憶操作とか転移なんてまだ夢物語だから、お互い持ってないものが羨ましいって感じだろ。むしろ魔法使いみたいな知識階級がいるのに、まるで科学方面の技術が発達していなかったあっちの社会がよくわからない」
魔法使い「……」
魔王「……」
勇者「まあ、どうせ聖教絡みだろうけどな」ちらっ
魔法使い「確かに、あれは……」
勇者「?」
魔法使い「確かにあれは、今思えば聖教の影響だったのでしょうね」
勇者「……そうだろうな。こっちでも、宗教が持つ権力が発展の邪魔になった例はある」
魔法使い「勇者様はご存知でないかと思いますが……実は魔法組合は、かつては聖教の中の一派でした」
勇者「へえ、そうなのか」
魔法使い「元々聖教というものの成り立ちが、魔法――聖教では聖法と言いますが、それを使える知識を持った人々の集団だったのです。魔法自体は誰にでも使えますが、知識が無ければ効果的な運用は望めません。ですので必然的に彼らは民衆に崇められ、特権階級となりました」
勇者「こっちには魔法は……多分無かったと思うけど、まあ国の成り立ちとしては似たような感じだな。日本では卑弥呼って人の一族がそうだったし、統治者ではないけど今も国のトップに立ってる方も居る」
魔法使い「なるほど、確かに。実際あちらでは彼らは国家権力そのものでしたし、神官であることはすなわち政治に関わることだったようです」
勇者「じゃあ、所謂貴族っていう階級は無かったのか?」
魔法使い「……? さあ。恐らくその『貴族』という概念はあちらには無いですから。もしもそれが特権階級を指す言葉なら、聖教の神官がそれに当てはまるでしょうね」
勇者「なるほどな」
魔法使い「そして、権力を持てば当然それを保ちたくなるのが人間です。彼らは魔法の代替となり得る技術の開発を禁じました。『神が与え給うた聖法を下賤なる手段で模倣するなど言語道断』なんて感じの建前が教典に書いてありましたが、まあ本音は透けて見えますよね」
勇者「まあ、実際に力を持った人が言ってたら効果てきめんだろうな」
魔法使い「それだけでも十分技術の発展を妨げていたのでしょうが、極稀に民衆の中にも魔法を効果的に使える者が現れました。聖教はそういった人を目聡く見つけては『神に選ばれた』と言って拉致して飼い殺しにすることで、他の民衆に魔法の技術が伝わらないよう工作していたようです」
勇者「……」
魔法使い「しかしその中にも、一度聖教に取り込まれた後に類稀な処世術を発揮し、聖教内部に新たな勢力を作り出した方がいました。その方こそ私の属する……属していた魔法組合の原型となる勢力のトップかつ攻撃魔法の第一人者、大魔導師様です」
勇者「へぇ……じゃあなんで今は対立してるんだ?」
魔王「……」
魔法使い「目障りだったのでしょうね。新たな勢力を作り上げたとはいえ大魔導師様は元庶民でしたし、ちょうどその頃の教皇は愚物とのことで有名でしたので、攻撃魔法と聞いて心中穏やかでは居られなかったのでしょう。結果として大魔導師様の一派は聖教を追われました」
勇者「確かに得体の知れない技術を持ってるからって追い出すのは悪手だわな」
魔法使い「しかし『聖法を使えるのは、我らが神の寵愛を受けているからである』という教典の文句によって、表立って対立することはありませんでした。なので庶民から見ると、どちらも敬意の対象なのです」
勇者「なるほどね」
魔法使い「対立しているとお思いになられたのは……きっと、勇者様だったからなのでしょう。そして、事実そうでした」
勇者「……かもしれないな」
魔王「……」
魔法使い「そして今なお、求心力も人材も財力も、全てにおいて魔法組合に勝る聖教が覇権を握っている……構図としてはこんな感じですね」
勇者「……ってことは、魔法使いはそれなりにいいトコの出身ってことになるのか」
魔法使い「……さて、どうでしょうね」
勇者「っと、信号だ」
バンッ
勇者「さて、到着」
魔法使い「ああ、やっぱり気になるものが多すぎます……来るだけでちょっと疲れちゃいました」ヨロヨロ
勇者「気持ちはわかるけど、いちいち気にしてたら身がもたないと思うぞ」
勇者(さて、ショッピングセンターに来たはいいが、出来ればこういうところは避けたかったな……なまじ施設が整ってるから訳のわからん奴らの溜まり場になってたりするし。まあでも、一番物が揃うトコって言ったらやっぱここなんだよな)
魔王「……」
勇者(まあ、この年齢差ならかろうじて家族連れと思われなくもない……か? 魔法使いの髪の色がちょっと浮いてるけど)
魔法使い「? どうされました?」
勇者「いや、なんでもない。行こうか」
ウィーン……
ガヤガヤ ガヤガヤ
勇者(あっ、そういえば……)
魔王「……」
勇者(魔法使いくらいの年頃になると、何か男が知らないような必需品もあるんじゃないか? しまったな、こういう時に頼れる女の人が居ない)
魔法使い「うわぁ、室内なのにこんなに明るいんですね。これは昨日見た照明器具と同じものですかね?」
勇者「そうだな。電気っていうのを動力源にしてる」
勇者(確か……召喚された日に確か後輩の連絡先を貰ったような……どこやったっけ。あ、財布だ)
勇者「……」ゴソゴソ
勇者(ダメ元でかけてみるか。それに、ファッションも同じ女性に見てもらったほうがいいだろ。後輩には悪いけど)
勇者「悪い、ちょっと待ってくれ。今から応援を呼ぶ」
魔法使い「……? はい」
魔王「……」
RRRRRR…… RRRRRR……
後輩(なんだろ? 見ない番号だけど……も、もしかしてっ)
ピッ
後輩「はい……」
勇者『もしもし?』
後輩「せ、せせせ先輩っ!? は、はいっ! えっと、その、どうして」
勇者『どうしてって……だって昨日、番号くれたから』
後輩「は、はい、そうでした……すみません」
勇者『いきなりごめんな。それで、今日これから空いてるかな?』
後輩(え、えぇ~っ!? 昨日の今日でいきなり!? 友達が後押ししてくれたから何とか連絡先渡せたけどまさか、こ、こんなことって)
後輩「はいっ! もちろんです!」
勇者『……? ならよかった。その……今……親戚の子達が家に遊びに来てて、その子達に服とか女の子にとっての必需品とか買ってやりたくて。その子達も今までそんなの全然気にしてなかったみたいでさ。俺もわからないから……ごめん、嫌ならいいよ』
後輩(ですよねーそんなわけないですよねー……でも確かに、期待させておいてその仕打ちはないですよぉ……)
後輩「……」
勇者『その……やっぱりダメか?』
後輩(うぅ~、親戚だっていう彼女達がいなければ私が誘われなかったことは事実……でもでも、私が都合の良い女だと思われるのも嫌だし)
後輩「~~ッ!!」
後輩(見る限り先輩はそういうことしそうな人じゃないけど……い、いかん、ここで尻込みしていては! それに、この状況で私に来たってことは、先輩には他に頼れるヒトが居ない! ここでしっかりアピールしておけばあるいは……)
後輩「い、行きます!」
勇者『お、ホントか? ありがとう。俺達、今あそこのショッピングセンターに来てるから。確か近いとこに住んでるって言ってたよね』
後輩「あ、はい」
勇者『じゃあいきなりで準備に時間掛かるだろうから、来たら連絡入れてくれ。お礼に何でも一つ奢るから』
後輩「は、はい……考えておきます」
勇者『じゃあ、また。ありがとう』ピッ
後輩「……はぁ~」
後輩(ま、まさかこんな話が来るとは……どうなるのかなぁ……嬉しい事ではあるんだけど)
後輩「っと、準備準備……の前に、先輩の番号登録しとこ……」
ピッ
勇者「ふぅ……よかった」
勇者(二人と一緒に住んでて一番不審に思われない言い訳って、親戚しか無いよな……? 外国に住んでたってことにすれば、具体的に聞かれた時困るけど……まあ、日本に馴染んでない言い訳にはなるか)
魔法使い「誰に電話を? 応援だって言っていましたけど」
勇者「会社の後輩。女の人には必要な物がたくさんあるから、同じ女の人を呼んだんだ。俺にはわからないからな」
魔法使い「なるほど……」
勇者「来たら連絡するように言ったから、今買えるものを買っとくか。後輩が来たら何か美味いもの食べような」ナデナデ
魔王「……」
勇者(なにか喋ってくれればなぁ)
ガヤガヤ ガヤガヤ
魔法使い「ところで勇者様」
勇者「ん?」
魔法使い「その女性というのは、勇者様とお付き合いされていたりするのですか……?」
勇者「え? いや、それはない。なんで?」
魔法使い「いえ、もしそうならば、私達が勇者様のお世話になるのは如何なものかと思いまして……」
勇者「まあ面倒を見ないっていう選択肢はなかったけど、確実に話は拗れただろうな」
バンッ
勇者「これで大体必要な物は車に詰め込んだな。 あとは後輩に聞けばいいか」
魔法使い「あの、勇者様……」
勇者「なに?」
魔王「……」じっ
魔法使い「ここに入った時からですが、遠巻きな視線を感じました。それも多数……民間人に溶け込んだ聖教の刺客かも――」
勇者「いや、それはないだろ。殺るつもりならあっちで殺ってるさ」
魔法使い「冗談です」
勇者「知ってた。ていうかやめろよ魔王の前で」ナデナデ
魔王「……」
魔法使い「すみません、つい。でも、何なんでしょうか?」
勇者「魔法使いはこっちの感性でも綺麗な部類に入るから、多分そのせいなんじゃないか?」
魔法使い「またまた、お世辞はよしてくださいよ。私、そんなこと言われたこと無いですもん」
勇者「所変わればなんとやらってやつだろ。日本は治安良いけど気をつけろよ」
魔法使い「は、はい……」
魔王「……」ぐいっ
勇者「魔王も可愛いぞ」ナデナデ
魔法使い(ああいう台詞って、何の臆面もなく言えるものでしょうかね……)
RRRRRR…… RRRRRR……
勇者「あ、後輩だ」ピッ「もしもし」
後輩『先輩ですかー? 私です、今着きました。先輩はどこに?』
勇者「お、そうか。俺達も今車に荷物積み込んで駐車場に居る。駐車場の場所が違うかもしれないから、フードコートに来てくれ。せっかくだから何かおやつ奢るよ」
後輩『ホントですか~? 遠慮無く高いもの頼んじゃいますよ?』
勇者「まあ、他に使う当てもあんまり無いしいいけど。じゃあ、それでよろしく」
後輩『はい~』
ピッ
勇者「後輩が来た。おやつ食べに行こう」
魔法使い「おやつ……間食ですか。こちらでは気軽に食べられるのですね」
魔王「……」
勇者「元をたどると気軽にってわけにはいかないものもあるけどな……まあ、魔法使いと魔王は気にしなくていいよ……まだ、な」
魔法使い「えぇ……そう言われると余計気になるんですけど……」
勇者「言ったらおやつが不味くなるからな」
魔法使い「……」
勇者「嘘は吐きたくないし、かと言ってはっきり言いたくもない。特に、これからこっちで暮らす二人には」
魔王「……」
勇者「……これじゃただの優柔不断だな。ま、そのうちわかるさ」
勇者「よう」
魔法使い「こんにちは」
後輩「あ、せんぱ~い…………って、え……」
魔法使い「?」
魔王「……」じっ
後輩(めっちゃかわいい……えぇ~……そりゃないよぉ。目一杯おしゃれしてきたのにこんなのってないよぉ。それに先輩、前から目が死に気味だったのに完全に目ぇ死んでるし。このちっこい子も死んでるし。親戚だからかなぁ。あはは)
後輩「い、いえ、何でもないです。こんにちは、先輩」
後輩(いかにも美形家族って感じだよ……。私、これからあの二人の服見繕うんだよね。敵に塩を贈るんだよね。拷問かな? 新手の拷問かな?)
勇者「うん、こんにちは。じゃあ、何食べる?」
後輩「そうですね……じゃあ」
魔王「……」くんくん じっ
後輩「……」ちらっ
後輩(ドーナッツかぁ……うん、いいねドーナッツ)
後輩「ドーナッツにします」
魔王「……」くるっ じっ
後輩「よしよし」ナデナデ
魔王「……!」トテトテ ひしっ
後輩「あ……」
勇者「はは、ごめんな。ドーナッツか。じゃあ皆で買ってこようか」ナデナデ
コトッ
勇者「遠慮無くって言った割に、あんまり買わないんだな」
後輩「あはは……」
後輩(こんな時は食べてストレス発散……といきたいんだけど、私って食べることにあんまり魅力を感じないんだよね……まあ、先輩と食べられるだけ良しって感じかな)
勇者「じゃあ、食べようか」
魔王「……」パンッ
勇者「……!」ちらっ「いただきます」パンッ
魔法使い「いただきます」パンッ
後輩「いただきます」パンッ
勇者「うん、この甘みは久々だな」しみじみ
魔法使い「! 甘いですねぇ」もぐもぐ
後輩「? 美味しいですね」もぐもぐ
魔王「……………………おいしい」ぽつっ
勇者&魔法使い「!!」
勇者&魔法使い(喋った……!!)
魔王「……おいしい、おいしいよ……ぜんぶ、ぜんぶ……」ぐすっ ひっく もぐっ
後輩「……え、えぇ!?」おろおろ
勇者「どうした、どこか痛むのか?」
魔王「……」ふるふる ひっく
魔法使い「……」ナデナデ
勇者「……」
勇者(何処かしらのタイミングでこうなるとは思ってたけど、まさか今とは……まあ、いいか。誰に憚ることでもない)ナデナデ
魔王「……」ぐすっ
魔法使い「……」ナデナデ
後輩「えっと、その……これはどういう状況でしょうか?」
ついに魔王が言葉を発しました。ここに至るまでおよそ25000字。
読むとあっという間ですが、書くとなると時間がかかるものですね。
それでは今回はここまでです。ここまで読んでくださった方に感謝を。ではまた。
乙!
面白い
続き期待
乙
後輩にはどんな感じで説明するんだろう
乙
突っ込みにくい重い話で誤魔化すんじゃない
魔王かわいいなぁ
25000と書くとよく分からんけど、原稿用紙63枚程に書き込むと考えると恐ろしい
おつん
乙
実はカクカクシカジカ
後輩「なるほど~」
でもいいと思うよ
重要じゃない部分なら簡略化して労力減らすのも大事
待ってるよ
おつ
支援
保守
保守
追い付い…た
このSSまとめへのコメント
普通に面白い!!期待してます!