女勇者「一緒にいこうよ」 半魔少年「うん!」 (171)

王様「おお、来たか。予知夢の勇者よ」

女勇者「はい」

王様「今回、その方に来てもらったのは、他の勇者ではまずいゆえに、なのだ」

王様「とある魔族の息子が行方不明との情報が入った」

王様「もうわかるだろう、倒すための勇者では駄目なのだ、今行方不明の魔族は我が国と友好な薬魔族という」

王様「穏便にすませたいのでな、魔物の討伐も控えめで頼みたい」

王様「そしてついでに、薬魔王から《例のもの》をもらってきてくれたまえ」

王様「少しでも費用削げ…げっふんげっふん」

王様「なんでもない、よろしく頼んだぞ」

女勇者「……はい、わかりました」

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そんなやり取りがあってから数日後



兎剣士「勇者殿!しっかりしてくだされ!」

女勇者「う、うぅ…」

魔女「まて兎、揺するでない! 拒絶反応を起こしたらどうするんじゃ!」

賭博師「うーん、こんなにうなされてる勇者ちゃん、初めて見るかもね」










罵声
笑い声


血塗れの

ママ






女勇者「ぶっはぁ!!!」

魔女「お、目をさましたかの」

女勇者「魔女ちゃん…私、どのくらい寝てた?」

魔女「うむ、二時間じゃ」


兎剣士「ぐごぉー…」

賭博師「すー、すー…」


女勇者「そう、起きててくれてありがとう」

魔女「気にするでない、話を聞くのはあたしの役目だ」

魔女「して、どんな夢じゃ? うなされておったぞ」

女勇者「ああ、小さな村だった」

女勇者「断片的にだが、石を投げつけて血を流したのを見て喜ぶ記憶や、地面に顔がぶつかって砂を飲み込んだのを見て笑っている記憶だったよ」

魔女「むごいのう、いじめている者の記憶か」

女勇者「最後に見えたのは、横たわる母親にすがる、幼子の姿だった」

女勇者「血みどろだった、背中側から出血してたな」

女勇者「きっと、子供を守って、死んでしまったのかもしれない」

魔女「よう耐えたな、勇者…  薬草茶だ、飲んで眠れ」

女勇者「ありがとう、魔女ちゃん… この薬草茶、夢を見ずに眠れるから助かってるよ」

魔女「眠ると必ず見てしまうのか、誰かの夢…?」

女勇者「昔は頻繁に見てたよ、今は少しならコントロール出来てるよ」

女勇者「でも、このお茶があれば意識しないで眠れるから、熟睡できるの」

魔女「役に立って嬉しいわい、ほれ、とっとと寝れ」

女勇者「うん…」



兎剣士「そうでしたか、その少年、なんとか助けることは出来ませぬものか…」

女勇者「うん、出来れば助けにいきたい」

女勇者「方角は何となくわかるし、次の都市に行く途中だと思う」

女勇者「もし出会えたら、助けたいよ」

賭博師「OKOK、占おうじゃないか! さあ勇者ちゃん、カードを引きな!」

女勇者「んーーーこれだ!」

賭博師「はーい、北西にむけて出発!」

女勇者「よしいこう!」


魔女「王様がこの現状見たら、腰抜かすのぅ」

兎剣士「全くですな、予知夢と過去夢とギャンブルで旅を進めるなど…」

兎剣士「だがしかし、勇者殿の選ぶ道で、困っている人々を助けてまわっているのも事実」

魔女「そうじゃな、勇者として正しいかもしれない道を進んではおろう」

魔女「命を狙われるのはいつまでたっても慣れないがのう」

魔女「余命いくばくか、勇者のために散るもまた定めか」

兎剣士「いやいやおぬし、某と同い年でしょうに」



残酷な過去夢を見た日から二日後
あの少年はすぐに見つかった


賭博師「おっ 勇者ちゃん、村発見だよ~」

魔女「やれやれぃ、腰が疲れたのぅ」

賭博師「相変わらずおばーちゃん口調だなぁ、見た目は三十路の…」

魔女「《ファイヤボ》」

賭博師「あっぢぃぃぃ!!」

兎剣士「そのくらいにしてやれ、魔女殿」

魔女「保存食を減らさなくてすむのはありがたいのぅ、食堂でもあると良いがの」

女勇者「…ここは……」

兎剣士「どうされました、勇者殿」

女勇者「ううん、何でもない」

女勇者「あれ、向こうの方で声聞こえるね」

兎剣士「…そうですな」

賭博師「ケンカかな、ヤだなあ到着していきなりやっかいごとは」

賭博師「ってちょ、無言でいかないでよ勇者ちゃん!」

兎剣士「お一人では危険ですぞ、勇者殿!」

魔女「ははぁん… 夢の導きか、あるいは勇者ゆえか」

ふむ



女勇者「…………」




子供A「ほら早くたてよ、川につれてってやるから」

子供B「洗ってやるから早く脱げよー」

子供たち「「ぬーげ、ぬーげ」」

子供C「あはは、こいつ体洗うの嫌いだってさ」

子供A「じゃあもっと汚しとけ」

子供たち「「なげろなげろ!」」

子供たち「「あはははは!」」

子供B「ほらほら、かわいいリボンだぞー」

子供C「うわひでえ、野菜の皮じゃん」

子供たち「「ぎゃはははは!」」




ローブ姿の子供「(いつものことだ)」

ローブ姿の子供「(おとなしくしていれば、静かにしていれば、そのうち飽きてやめる)」

ローブ姿の子供「(終わったら、急いでピキンカンの収穫にいかないと、またおじさんに殴られる)

ローブ姿の子供「(早く終わらないかなぁ)」



ひょいひょいぽいぽい
ごしごしふきふき


女勇者「お水、飲めるかな?」

ローブ姿の子供「…………えっ?」

女勇者「おいで、私の仲間がすぐキレイにしてくれるよ」

女勇者「こんな怪我なら、仲間が持ってる傷薬ですぐ治っちゃうから安心してよ」

女勇者「まずは口ゆすいでお水飲んでね」



子供A「ちょっと待てよ!」

子供A「いきなり出てきて勝手なまねすんなよ!誰だあんた!」

女勇者「この村に偶然立ち寄った、仲間と一緒に旅をしているごく普通の冒険者だよ」

子供A「ふざけんな、それはこの村の所有物だ!勝手に触るな!」

子供A「俺は村長の孫だぞ!しかもじいさんは、領主様の従兄弟なんだぞ、偉いんだぞ!」

子供A「俺が駄目だっていったら全部駄目なんだよ!俺が絶対なんだよ!」



女勇者「怪我人の治療が優先だ  《三分間、黙れ》」

期待します



兎剣士「勇者殿ぉー…」

賭博師「あ、いた!勇者ちゃん、一人でいかないでよー」

女勇者「みんな見つけたよ、多分彼だ」

賭博師「はー、流石だね」

魔女「やれやれ、こんなことされてよう我慢できたもんだ」

魔女「とりあえず服貸してやろう、兎、体ふいてやれ」

女勇者「怪我してるんだ、兎君の薬、わけてくれるかな」

兎剣士「御意。ですが、あれは子供には刺激が強いかと…」

女勇者「そのへんは兎君の調合術でなんとかしてあげて?」

兎剣士「ぬぅ、試されておりますな… 最善を尽くしましょう」


魔女「さて、勇者」

女勇者「んー?」

魔女「あの子供たち、もしやアレを使ったのか」

子供たち「「…………」」

女勇者「さあ、なんのことかな」

魔女「…見逃すのは、今回だけじゃ」

魔女「ところで、賭博師はどこいったんじゃ?」

女勇者「あれ、ホントだ、どこだろう」



賭博師「たっだいまー」

魔女「どこいっとった、お前さんにも頼むことあったんじゃぞ」

賭博師「ああ、とりあえず偉そうな人がいるところ片っ端から回ってきたよ」

賭博師「んで村長と交渉してきた、もう終わったよ」

魔女「仕事が早いのう、言わんでも分かっとったか」

賭博師「ただ、預かってた宝石とお金、半分くらい使っちゃった、ゴメンね」

女勇者「やっぱり仲間にしておいて正解だったね、敵だと思うとゾッとする…」

女勇者「お金は必要経費、わかってはいたよ、気にしないで」

賭博師「こういうのは僕に任せなさい! それより、村長だけじゃなく、村の人たち、なんか変なこと言ってたんだよね」

賭博師「なんか、『あんなものを残すつもりじゃなかった』とか『悪魔を産んだ女だ』とか『青い子供だ』だって」

女勇者「……え?」




子供A「ぶは!な、なにしやがった、てめえ!」

子供C「なんだよこれ!何にも聞こえなかった!」

女勇者「ああ、喋れないだけじゃないんだ、それは知らなかったよ、ゴメンね」

賭博師「なになにー、なんかしたの、勇者ちゃん」

魔女「自爆してどうするんじゃ、だまっとれ勇者」

女勇者「ととっ いけないいけない…内緒だよー」


兎剣士「ゆ、勇者殿…」

女勇者「兎君、彼の怪我の具合はどんなかん、じ   ええっ!?」

着替えた子供「……」

兎剣士「どうにも、この少年は…」

魔女「ほう、見事に青白い肌じゃな もしや魔族かのう」

女勇者「びっくりしたぁ、えー、こんなに真っ白な肌、初めてだよ!」

魔女「なかなか可愛い顔しとるのー」

兎剣士「いえ、ちょっと違うんですが…」


子供A「いいかげんにしろよぉおおーーー!」



子供A「なんで着替えさせてんだよ!それに勝手に触るな!」

子供B「A君、もうやめようよ、なんか嫌な感じが…」

子供A「俺ん家で面倒見てやってんだよ!俺の自由にしていいんだよ!俺が絶対なんだよ!」

賭博師「うん、さっきまではね」

賭博師「言い方は悪いんだけど、彼はもう買い取ったよ」

賭博師「秘蔵の、無限水の魔宝石まであげちゃったし」

女勇者「ああ、あれあげたんだ、農村には必要だよねー」

魔女「まあ、あたしらには必要無いからのう」

魔女「魔女としては、魔石系を使われるのは癪にさわるわい」

女勇者「あ、気にしてたんだ」

魔女「一番気になってるのは勇者ぞ、腕に埋め込むとか、何考えてんじゃ」

女勇者「あー、これ? 違うよ生まれつきだって言ったじゃない」

魔女「どうかのー、赤子の頃など覚えておるまい」



読んでいただけて嬉しいです
頑張ります



子供A「無視すんな! なんだよ、買い取ったって!」

賭博師「もう、めんどくさいよう」

兎剣士「行きましょう勇者殿」

魔族の子供「あ、あの…」

魔女「まてまて、少年の意思も確認せんと」

魔女「少年、ここに今まで通り暮らす理由があるなら強制はせん、賭博師も言うたが少年の身柄は買い取り済みだ」

魔女「だがもういじめられないとは、限らんじゃろうな」

魔女「どうしたいか、決めておくれ」



魔族の子供「ママを…連れていっていい?」

魔族の子供「あ、あの…お墓が…」

魔女「お墓…そうか、お骨を持っていきたいんだな? それこそ勇者の出番じゃ」

女勇者「うん、まかせて」



女勇者「きみが私たちときてくれるのなら、たぶん、悪くない気がするんだ」

女勇者「本当にもしよかったら、だけど」


女勇者「一緒にいこうよ」

魔族の子供「う、うん…いく」

魔族の子供「連れていってください…!」




お疲れ様です
◆G/mqなんたらーです

本日仕事で右手の指先を切断しまして
当分お休みすることになります
もともとパソコンが壊れてて使えなくて他の機械で手打ちしていたのでかなり鈍足でしたが
さらに遅くなると思われます
痛みの弱い日を狙ってインターネットしたいと思っているので、たぶん、諦めずに続けたいです
こんな状態ですが、もしよければ、気が向いた時にでも
ちらっと来ていただけると治療も執筆も頑張れる気がします

本当に申し訳ございません
失礼します

大丈夫? 無理しないでね

まずはゆっくりと静養して下さい。
そして、引き続き楽しみにしています。

切断っておい
なんとかなるもんなのかよ

まあこちらとしてはエタらなければいいけども

切断…?
ヤクザかな?(すっとぼけ)

ありがとうございます、本当に…

小指は無事です(笑)
指は細菌感染がなければ、生やせる可能性があります
いまはまず肉むき出しなので、止血剤とガーゼと包帯でがんじがらめでっす

皆様、睡眠は重要ですよ
腹痛で眠れないまま仕事にいったのがまずかった…
あと、名前がいけないのかな…はは…

ちょっとだけ書きます、どうぞ



魔女「よっしゃ、そうと決まればさっさと離れるぞ」

魔女「魔法陣展開じゃ!」

賭博師「ほいほーい、全員つかまってねー」

女勇者「はぐれちゃうからね、兎のお兄さんにしっかりつかまってるんだよ」

魔族の子供「兎…?」 ギュー

女勇者「あ、あれ私?」

兎剣士「なつかれましたな、勇者殿」 肩ポン

魔族の子供「………」 ギロッ

兎剣士「?!」 ビクッ


魔女「《直前記録地点・転送開始》じゃ!」



魔族の子供「わぁ…!」

魔女「ほっほほ、魔法ははじめてかの?」

魔族の子供「うん! あの、ここは…」

魔女「村に入る直前に、小さな魔法陣を埋めといたんじゃ ほれ、あれが村の入り口じゃ」

魔女「これが埋め込み用魔法陣じゃ 普通は魔法陣に書いた暗号を呪文に加えるが、直前の魔法陣だけはすぐ使えるんじゃ」

魔女「勇者はすーぐ問題起こすからのう、瞬時に使えるよう工夫するの大変じゃったわい」

女勇者「悪かったよう…」

魔女「魔族のお前さんならきっと莫大な魔法が使えよう、あたしでよけりゃ教えよう」

魔族の子供「本当? よろしくお願いします、シショー!」

魔女「同じ魔族に教わるのが一番じゃが、多少は知ってないといかんよな、ほっほっほ」

魔女「で、墓地はどこじゃ、裏からこっそり入り込むぞ 塀をよじ登るくらいなら兎の背中を使えばよかろ」

魔族の子供「あ、はい! こっちです」



兎剣士「………」

女勇者「兎くん?」

兎剣士「いえ、今はご母堂の遺骨を回収するのが優先です あとできちんと話します」

女勇者「そっか、わかったよ」



夜___



女勇者「すぐに見つかって良かったね」

魔族の子供「うん、ありがとう!」

兎剣士「結界紐、はりおわりましたぞ」

魔女「この森のモンスターは比較的おとなしいわい、騒いだりせねば向こうから襲っては来ないだろう」

賭博師「おかえりー、スープできたよ、早く食べよー」

女勇者「おかえりなさい」

魔族の子供「シショー!」


「「いただきまーす」」


兎剣士「…食べながらでいいので聞いていただきたい、少年の事だが」

女勇者「うん」

兎剣士「其が以前出会った魔族の男は、もっと青みの強い肌をしておりました」

兎剣士「もちろん、種族によると思います けれど、少年の肌はいささか白すぎる」

兎剣士「少年、君は…  母君が人間で、父君が魔族の 半魔だな」



カチャ…

半魔少年「……はい、ママは人間です」

魔女「そうか」

女勇者「…」

賭博師「( ゴクゴク )」

半魔少年「大ケガをしていた魔族のパパを手当てして匿っていたのを、村人に見つかって、なんとかパパを逃がして…」

半魔少年「それからしばらくして、僕がお腹に宿っていたことに気がついたそうです」

半魔少年「この森が、ママがパパと出会った場所だそうです」

半魔少年「あとはもう、何となく分かりますよね…裏切り者だって、暴行されて…でも、魔族の子供って丈夫だったみたいです」

半魔少年「どんなに暴行しても子供は流れず、無事に生まれて、僕が三歳の時に約束通り、ママが殺されました」

女勇者「約束って…」

半魔少年「ひとりで歩けるようになったら、死ねと、言われたそうですよ」

半魔少年「僕をひとりで逃がそうとするママを、無理矢理連れ出したのは僕です」

半魔少年「一緒に逃げようって… でも、ダメでした」

魔女「辛かったろう、すまん、そこまで話させてしもうて…」

半魔少年「いえ、少し楽になりました…」



ぐいっ ぎゅー

半魔少年「わっわっ!?」

女勇者「………っ!」 ギュー

半魔少年「ユーシャ…?」 ナデナデ


女勇者「私たちの旅の目的は、話したよね」

半魔少年「う、うん、魔族の子供を探すんでしょ」

女勇者「本当はね… 話を聞きに、魔王さんのところについたら、君のこと、お願いするつもりだったんだ」

半魔少年「え……」

女勇者「でも、どうしてかわかんないけど、それじゃ嫌だなって思ったんだ」

女勇者「こんな中途半端でごめん、振り回してごめん」

女勇者「こんな、ころころ意見変えちゃうような勇者でごめん…」

半魔少年「ユーシャ…」

半魔少年「あのね、助けてくれて、嬉しいよ?」

半魔少年「だから、泣かないで?」

女勇者「半魔くん…」

半魔少年「僕はそんな弱くないよ、ユーシャが泣いちゃったら嫌だ」

半魔少年「お願い、泣かないで」

半魔少年「もう一回、僕を誘って きっといつか、役に立って見せるから」

半魔少年「ちゃんと、覚悟するから…ユーシャを守るから  僕にユーシャを守らせて!」

女勇者「うん」




女勇者「一緒にいこうよ」

半魔少年「うん!」

乙!



魔女「ふっほっほっほ、それじゃあ、杖を用意せんとな 魔法使いには必需品じゃ」

兎剣士「では、手頃な枝を見繕って参ります」

賭博師「いや、まずは晩御飯食べちゃってよ!片付けできないよ!」

「「あはははは!」」



半魔少年「賭博師さんって几帳面ですよね」  (お留守番中)

女勇者「そうだね、まめまめしいっていうか、細々してると言うか…」  (火の番中)

女勇者「ああ、魔女ちゃんが魔宝石の選別してる間に、お母さんの骨壷を持ち歩けるようにしようね」

半魔少年「ありがとう、でも、どうするの、かなり大きいよ?」 ズッシリ

女勇者「そんなときこそ、私の腕の魔石が活躍するよ はい、近づけて」

半魔少年「!?光った!」

女勇者「《加重圧縮》」

半魔少年「わ、わ、縮んでいく!」

女勇者「よし、あとは袋に入れて首にかけられるように紐でしばってー《状態固定》っと はい、完成」

半魔少年「ふわぁ、すごい… ありがとう…!」

女勇者「私の魔石は時間にまつわる石なんだってさ、教会で診断されたんだよ」

女勇者「勇者はみんな、からだの一部に魔石をもって産まれるんだって…それで、勇者になったんだ」

半魔少年「魔石と魔宝石は違うの?」

女勇者「魔宝石は鉱物だよ、岩や海底から産出されるんだ ほとんどは透き通った石で、文字通り宝石みたいなんだ」

女勇者「魔石は魔物や魔法植物からとれる、有機物…生きものとかの一部なんだって 名前は石だけど、ほら、透き通ってないでしょ」

半魔少年「……狙われちゃう?」

女勇者「!!」

半魔少年「そうなんだね、だから、魔女さんや剣士さんがいるんだ…賭博師さんはよくわかんないけど」

女勇者「ああ、もうばれちゃった… 戦える魔石を持ってる勇者なら、危険は少ないよ 反撃できるもの」

女勇者「私みたいなのは、狙われるよ、もんのすごくね」

女勇者「賭博師も、最初は私の魔石狙いだったよ、今は信じてるけどね」

女勇者「私が死んだらあげるってことで、納得してもらったよ」

半魔少年「それもそれでどうなの…」

半魔少年「でも、大丈夫、僕が守る、絶対!」 ナデナデ!

女勇者「ありがとう…」 ギュー



兎剣士「枝、このくらいの太さでどうですかな」

半魔少年「うん、握りやすいよ!ありがとう、兎さん」

兎剣士「では、魔宝石を埋める箇所に窪みを…」

半魔少年「(……)」  うさ耳ジー

兎剣士「?」



賭博師「うーん、どの魔宝石も相性が抜群かぁ、難しいね」

魔女「思いきって全部使うかの」

女勇者「それもいいかも、よし、小鍋使うよ お水と塩を少々っと…んでちょっと沸かす…」

魔女「砕けた魔石を一掴み、じゃな」

女勇者「ありがとうー繋ぎになるんだよ んで、小さい魔宝石を全種類っと」

賭博師「火、水、風、土、木、光、そして闇っと」

女勇者「よーし、ここから強火にして…」

魔女「あいかわらずなんだか料理みたいじゃの」

女勇者「魔石や魔宝石の加工だと、どうしてもこの工程が必要なんでね」

女勇者「そのままくっつけると脆くなるなんて、すっごくショックだったからさ、研究したよー」

女勇者「…よし、時間を進めるよ、はなれててね」

     (遠くから) 「「いいよー!」」

女勇者「《海底環境・水圧状況・時間経過加速》!」


   ゴボゴボゴボゴボゴボゴボ……


       ガタンッ ゴロン!

乙!



女勇者「兎くーん、加工魔宝石出来たよ!」

兎剣士「勇者殿、お疲れ様です」 モフモフ

半魔少年「ユーシャ~!」 モフモフ

女勇者「…半魔くん、なにしてるの…」

半魔少年「兎さんをもふもふさせてもらってる」

兎剣士「兜を脱いだら何故かもふられまして…」

半魔少年「お耳もふもふ~」

女勇者「…こっちおいで、半魔くん」 半泣き

半魔少年「! ユーシャ!泣いちゃやだー!」 ダダダ ギュー

女勇者「よしよし 兎くん、魔女ちゃん、これ、よろしく」

兎剣士「御意」

魔女「よっしゃ、はじめるぞ!」

兎剣士「…しかし、随分と奮発しましたな、全色マーブル模様ですか…」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


魔女「出来た!出来たぞ!」

兎剣士「ふー、無事完成しましたな」

半魔少年「これが、僕の杖…!」

賭博師「よかったね、すっげーカッコいいじゃん」

兎剣士「これでよければ、加工魔宝石の部分に状態固定をかけてもらってくだされ」

半魔少年「え、全体にかけなくていいの?」

兎剣士「持ち手は、本人の手の形に合わせて次第に変形するものですからな、某の剣もまたしかり、というやつです」

半魔少年「ふーん? ユーシャ、お願いします!」

女勇者「了解~ 《状態固定》っと… 半魔くん、振ってみて」

半魔少年「 (ブォンッブォンッビュォッ) 」

半魔少年「わーい、カッコいい!みんな、ありがとうございます!僕、頑張る!」

魔女「ほどほどに、の」

兎剣士「心強いですな」

賭博師「魔族はやっぱり見た目大事だしなー、禍々しい魔宝石とかそれらしくていいじゃん」

女勇者「…おいで、半魔くん」

半魔少年「うん?」 トテトテ

女勇者「…すごく、カッコいいよ…良く似合ってる」

半魔少年「ありがとう!」



女勇者「………ダメだな、私、どこかおかしいみたいだ…」

魔女「勇者?」

半魔少年「ユーシャ?」

女勇者「わかんないけど、なぜか君と、以前会ってる気がする…こんな魔宝石の杖と、ローブ姿で…」

女勇者「でも、背丈が全然違うのに…私よりずっと大きかったのに、なんで…」



半魔少年「どういうことだろう…」

魔女「うーむ… 予知夢の影響かのう」

賭博師「みたい予知はできないのに、違う方向の夢は見ちゃうよね」

女勇者「その辺りはどうにもならないです…」

半魔少年「…僕、大きくなれるの?」

賭博師「え、なに何どういうことー?」

半魔少年「村長の家で出されてたご飯に、いつも薬がかけてあって、息子が、言ってたのが本当なんだとすると」

半魔少年「成長を阻害する薬だっていってたの、お前はこれ以上成長させる義理がないって」

兎剣士「そんなものがあるのか!うらやま…ちがーう!けしからん!!」

魔女「おい!」

乙!

皆様おはこんにばんは。
無事、第一段階を越えました。 指、生やせるかもしれません。
頑張ります!

それでは、続きをどうぞ~っ

賭博師「兎くんの意見は置いておくとして、薬を入れる利点が少ないよね」

賭博師「お金かかっちゃうわ、危ない入手ルートで足元すくわれかねないわでさー」

魔女「いや、そうでもないわい」 ギリリリリ

魔女「半分とはいえ魔族なんじゃ、反撃を恐れて子供のままにしておくのは容易に想像できる」 ベキベキ

兎剣士「」 腕ペチペチ

魔女「それはそうと半魔少年、お前さん何歳じゃ」 ゴキゴキゴキゴキ

兎剣士「」

半魔少年「た、たぶん20歳くらいです! 兎さん離してあげて、死んじゃいます!」

女勇者「魔女ちゃん落ち着いて! ていうかハタチ!私より年上!?」

半魔少年「え、そうなの?」

女勇者「私19歳…」

半魔少年「え、ええっと、村長の息子が僕より少し年下で…たしか、五年前に成人のお祝いと結婚式をしました」

賭博師「このへんで成人っていうと15歳?だからー…うん、20歳こえてるね」

女勇者「うわぁぁぁん!結局私一番年下!」

半魔少年「泣かないでユーシャ!」



兎剣士「」

魔女「あ、いかん 気絶させてもうた」 ユサユサ オイオキロー

指生やす粉みたいなのがあるんだっけか
しかし再生医療は奥が深い

それはそうと合法ショタか

謎者「あ、そういう方向もあったか」
半魔少年「なにそれ?」
女勇者「聞いちゃダメ!」




月夜中・・・・・・


半魔少年「…んぅ…おトイレ…」 モソリ

賭博師「おう、寝れなかったか少年」 (火の番中)

半魔少年「賭博師さん…ううん、ちょっと冷えちゃっただけ」

賭博師「あー…むこう(左)のほうにいくんだぞ、終わったら手ぇ洗えよ、めんどいからって川でしちゃダメだからな!」

半魔少年「はーい (おおう、注意が一気に…)」


女勇者「すー…」

半魔少年「(よかった、嫌な夢は見てないんだね、ユーシャ…)」



川辺・・・・

半魔少年「ふぅ、スッキリした」 ジャブジャブ

半魔少年「えーと、目印がここだから、右側にいくんだっけ」 テクテク

半魔少年「あれ、どっちだろ…ここにも目印…」

  (*注意:少年は今、結界紐と目印を勘違いしています)

半魔少年「やばい、迷子?」


アン ダメ
トマラン ユルセ


半魔少年「ん、声? 目印の向こう、こっちか!」 ガサガサ タタタッ



魔女「やんっ、だ、だめぇ!んう!」

兎剣士「すまぬ、イク!」

魔女「あああん!」






半魔少年「           っ!?」

乙!




どたーんっ

半魔少年「ぜー、はー…」 ヨロロ

半魔少年「び、びっくりした… あれって、こ、子作り…」

半魔少年「そっか、夫婦なんだ、兎さんと魔女さん…」 トコトコ

半魔少年「あれ、でも、村長の息子は色んな女の人連れ込んでて、僕見張りさせられてたな…」

半魔少年「ええっと…どうしよう…」 ウロウロ


賭博師「おー、戻ったか少年」

半魔少年「! は、はい、ただいまです…」

賭博師「…どうした?」

半魔少年「なんでもないです!おやすみなさい!」



賭博師「…ふーむ」



朝。。。


女勇者「ふわぁーーーぁ、うー、体痛い…」

賭博師「…」 ウトウト

女勇者「んもう、兎くんと魔女ちゃんは戻ってないのかー」

女勇者「ラブラブなのはいいけど、見張りくらい交代してあげてよ…」

女勇者「賭博師くんも、私起こせばよかったのにー 毛布かけとこ」

半魔少年「……」

女勇者「半魔くんはちゃんと眠れたみたいだね…」 ナデナデ

女勇者「……あれ、なんか違和感が…  半魔くんの髪、長くないか、これ…」 サラリ


半魔少年「んぅ……ユーシャ…?」

女勇者「あ、ごめん、起こしちゃったねふぉっ!!?」

半魔少年?「……?んうー髪じゃまだなぁ…      って、髪ながーーー!」  ガバッ!

女勇者「は、半魔くん、だよね…?」

半魔少年?「う、うん、僕です… うわ、ローブがパツパツだ、体も大きくなってる!何これ…!」


賭博師「  はっ、いかん!寝てた!」

女勇者「とっ賭博師くん!大変だよーーー!」



魔女「すまんすまん、ちょいと兎のバカが興奮しすぎおってなー」

兎剣士「………」 マッカッカ

魔女「お?どうしたんじゃ」

女勇者「魔女ちゃん兎くん!大変だよ!半魔くんが!」

半魔少年「ど、どうも…」

魔女「ぶふぉ!?」

兎剣士「こ、これはまた…急成長ですな」

賭博師「とりあえず俺の服着せといたけど、どうなってんだろうな、これ」

女勇者「体に違和感は無いんだよね?」

半魔少年「うん… あと髪がね、あ、今はもうユーシャに切ってもらったんだけど、肩くらいまで伸びてたの…」

魔女「はー、なんというのか、魔族は不思議なもんじゃ」

兎剣士「ふむ…薬から解放された、と考えるには流石に早すぎますな…」

賭博師「兎に角、次の都市で医者にみてもらおうぜ」

賭博師「このままどんどんでっかくなる種族とかなら、大きい服用意してやんねーとだろ」

女勇者「そうだね、あそこなら獣人も沢山いるし、魔族を診てくれるお医者さんだっているかもね」




半魔少年「あ、あの、不気味じゃないんですか!?」

全員「「なんで?」」



女勇者「全然だよー」

賭博師「そりゃビックリはしたけどさあ、よく知らない相手を怖がっても仕方ないじゃねえか」

魔女「そうさな、我らは知らなすぎる」

魔女「一部の魔族は友好的でも、結局はそのさらに一部分しか知っておらん」

兎剣士「確かに某のような獣人族だって差別はありますぞ」

兎剣士「ですが勇者殿たちがそのような人間ではないことは解りますでしょう」

賭博師「きししっ!自分の体にビビるなってのは、ひどい目にあってきた以上まだ無理かもしれんがよー」

賭博師「俺らにとっちゃ、違う生き物なんだなーってくらいにしか思ってないから安心しな!」 肩バシバシ

女勇者「第一、だって半魔くんなんだもの、怖くなんかないよ」

女勇者「中身まで別人になっちゃってたらさすがにもっと慌てたと思うけどね」

半魔少年「みんなぁ…」

女勇者「おいで、半魔くん、大丈夫だよ」

半魔少年「ユーシャぁぁぁ…!」 ギュゥゥゥ

女勇者「ほら大丈夫、全然怖くないもん」





賭博師「………あのさ勇者ちゃん、大変言いにくいんですが」

女勇者「?」

賭博師「今サイズの半魔少年だと、抱き合ってる姿がとっても…エロい光景に見えるんでやめといて…」

女勇者・半魔少年「「!!??」」  ババッ




お待たせいたしました!
お疲れ様ですです
今日抜糸してきました
少しずつ指の組織が増えてきています、今のところ治療は順調です
今後は古くなって黒ずんだ組織を麻酔して剥ぎ取って、薬をスプレーして、また剥いで…を繰り返して
綺麗な肉を増やしつつ爪を伸ばして先端を整形する予定です(まだまだずーーっと先ですが…)
あとは指の間接を曲げ伸ばししないと固まっちゃうのでリハビリするかもです
麻痺が残るのは仕方ないですが頑張ります

皆様、怪我には充分お気をつけください
痛みはもうないのですがずーっとしびれたままなんですよね…これが辛い…
それではまた次回ですー

魔族が何をしたと言うのか…
そしてスレ再開おめでとう!

お大事に乙

乙!
無理はしないでね



数日後、大都市・外壁。。。


魔女「兎、右の翼じゃ!」

兎剣士「どぉぉりゃぁぁぁああああ!!!」 ズバッ

ギャォォォーーーン!

女勇者「皆、ちゃんと避けてよー! 《風化弾》!!」 ドガンッ

グガァァァーーーーー!!

賭博師「いっくぜー!《爆裂ダーツ》!!」 ドスドスドスッ ドカーーーン

ギャァァォォォォォォォン!
ドズゥゥゥン……

魔女「さあ半魔少年、彼らを解放してやろう」

半魔少年「……はい…」 ギュ

魔女「こんなおぞましい合成生物【キメラ】にされて、死ぬに死ねない再生能力まで与えられて、実験動物にされて…」

魔女「彼は、彼らは、誇り高き魔獣たちだったろう」

魔女「竜をつくるなど、出来るわけがない… 彼らは、愚かな人間の犠牲者たちだ」

半魔少年「…どうしてこんなことが出来るんだ…なぜ彼をつくった連中は、最期まで見届けなかったのですか…」

魔女「わからんが、大方手におえなくなって、放棄して逃げたんじゃろうさ」

半魔少年「……師匠、どうしても彼は、殺さなければなりませんか…?」

魔女「…では、少年はどうしたい? 彼は大勢の人間を傷つけてしまったぞ」

魔女「幸い、この都市では魔法外科手術が進んでおる 死者は今のところおらんが、危険生物扱いじゃぞ」

半魔少年「僕、は……っ…!」


賭博師「おい、早めに頼む!壊した翼と脚、再生しちまう!!」




半魔少年「……っ!  リュウモドキ!僕の使い魔になって!君を助けたい!」

半魔少年「ちゃんと謝りにいこう!許してもらえるまで、僕も一緒に謝るから!!!」



ギャォォォーーーン!!  バタンバタン

半魔少年「…?」

ギャゥゥゥ、ギャァァォォォォ…!

半魔少年「師匠、あのリュウモドキ、胸を痛がってます!」

半魔少年「勇者たちは、胴体を攻撃していませんよね?あそこ、何かある!」

魔女「何ぃっ!? ……ほほーう、よう気がついた!偉いぞ一番弟子!」

魔女「勇者!胸筋の谷間、ど真ん中じゃ! 取り除いてやっとくれーー!」

女勇者「了解っ 賭博師くん、援護射撃宜しく!」

賭博師「だぁぁぁもう!損な役回りだぜ!」

ギャウッギャォォォーーーン!

女勇者「んぎぃぃっ」 ブシュッビシュッ

賭博師「だあああああああああっ!」 バシバシバシバシ

魔女「少年、リュウモドキを押さえつけるぞ!」

半魔少年「はい!」

魔女・半魔「《捕縛乃蔦・地縛》!」

ギャウンッ!! ジタバタ

女勇者「よしっ見つけたよ! 《状態停止・異物摘出・組織強化速再生》!」



      …ドブンッ……ベチョッ



賭博師「うっひぃ! なんだこのスライムみたいなの…」

女勇者「…何か丸いのが中にあるね、これも魔獣なのかな」

グルルルルルル…ゲホッゴフゴボッ

半魔少年「リュウモドキ! 《捕縛解除》!」

魔女「危険じゃ、まだ近づくでない!」

グゥゥゥ…グルルルル…ゴガアァァアアアア!
ドスンッベキン!!

女勇者「ぅおっと 危な!!」

グルルルルルルルル…フシュゥゥゥ…

女勇者「…そうか、後から入れられたスライム状のものが拒絶反応でも起こしたのかな」

賭博師「うは、粉々だ…これじゃあ何だったのかもう調べられないな」

女勇者「一応保管しておこう、ここの研究者を頼ってみるよ」


兎剣士「あいたたた…」

女勇者「兎くん!」

魔女「おお、無事じゃったか」

兎剣士「面目ない、勇者殿の魔法を避けようとして体制を崩し、そのままリュウモドキの尻尾に弾き飛ばされてしまいまして…」

女勇者「そ、それはごめん!」

兎剣士「リュウモドキはどうなりましたか?なんだか大人しいのですが…」

グルルルル…

賭博師「リュウモドキの胸に埋まってた変なスライムっぽいものを取り除いたら、ああなったんだ」

女勇者「自分でスライムっぽいものを踏み潰したよ、嫌なものだっていうのはわかってたみたい」

兎剣士「そのスライムっぽいものの核らしきものが、それですか…」

魔女「わかりずらっ! 文字だけ見てるとわかりずらっ!」



半魔少年「…リュウモドキ…ごめんなさい、痛かったよね、ごめんね…」

ガウ…グルルゥ… バサバサッ

半魔少年「わ、もう翼が生えてる!すごいなぁ」

……キュルルルルルル

半魔少年「ふふ、鱗すべすべ…」



魔女「ちょ、ちょおおおーーい!」

兎剣士「少年!大丈夫なのか!?」

半魔少年「はい、この子、とても温厚みたいですよ」

キュルキュルキュル… スリスリ

半魔少年「うわぁ、なつっこいなぁ…」

魔女「手なずけおった…」

賭博師「半魔くんの職業、魔獣使いでイケるんじゃない?」

女勇者「あはははは!さ、さすがにこれは予想外!!あっはははは!」

ガウ! ガブッ

女勇者「わっと!危ないなあ、あはは!照れてる~」

ガウ!ギャウッ!

女勇者「おおっと!」

半魔少年「こら、メッ!」

グルルルル…

半魔少年「大丈夫だからね、落ち着いてね…」

半魔少年「でもどうしよう、こんなに大きかったら街に入れないよね…」

魔女「使い魔契約をすればいいんじゃよ」

魔女「体の大きさは魔力を流す量で変えられるようにできるんじゃ」

魔女「まあ、魔法式を書き込むのはあたしがやるがね」

半魔少年「ありがとうございます、師匠」

魔女「ほれ勇者、リュウモドキが興奮するから離れておれ」

女勇者「ええー」

乙!



ルー「キュルルルルー」 スリスリ

半魔少年「ふふ、かわいーい よろしく、ルー」

兎剣士「可愛らしくなりましたなぁ、それに全身がまるで宝石のように輝いて…」

兎剣士「逆に狙われないか、心配になりますなこれは」

魔女「ほほーう、メスじゃな…キメラに雌雄はないと思い込んでおったわ」

賭博師「ジャーキーって食べれるかな、おいでー」

ルー「キャウー」 ハグハグ

賭博師「やべえ、可愛い!」

女勇者「ねー、私も触りたいよー…」

ルー「ギャウッ!」

女勇者「むー…」

半魔少年「だめだよ、ルー」

ルー「グルルルル…」

女勇者「もー、許してよぉ」

魔女「諦めな勇者や」

魔女「さあ街に入ろうか、市長に報告せねばな」



大都市、市長室。。。


女勇者「……そういうわけで、この謎の物体を知り合いの研究者に届けて調べてもらいます」

女勇者「あとのことは市長様にお願いしたく思います、リュウモドキは、彼女はもう無害です」

女勇者「ですが、今後現れるキメラに彼女のような知性があるとは思えません」

女勇者「キメラの量産を見て見ぬふりをしていたのは先々代市長だと聞きました、どうか、食い止めてください」

市長「…わかった、まずは市中全ての研究室を徹底的に調査しよう」

市長「大陸法でキメラの製造が禁じられているのは知っているはずだ、警備団とともに必ず犯人グループを見つけ出そう」

市長「なにより、本当にありがとう…市民を代表し、最大限の感謝を申し上げる」

市長「怪我人は全員助かった、死亡報告はゼロだ、本当に本当に…ありがとうございました…!」

市長「必ず、これ以上の犯行をゆるしません、それが、あなた方への恩返しだ」

女勇者「私たちも、出来ることがあれば協力いたします どうぞよろしくお願いいたします」


書記係「(や、やっと終わった… しかし、キメラの研究ってこんな大都市でできるものなのかなぁ…なーんか怪しいなー…)」


乙!




ロッカク研究所。。。

所長「やあやあ待ってたよ、勇者ちゃん」

女勇者「今回も突然おしかけまして申し訳ない」

所長「なーんもなんも、一応ちゃんと連絡くれるぶん、どこぞの偉~いお貴族様なんかより断然お利口さんさぁ」

魔女「また奴らか? 嫌がらせは突っぱねてしまえと言っといたろう」

所長「あっはっはっは、塩ぶちまかしてぼったくってやったさぁ」

所長「たいして価値もない石っころと俺の作った結晶をばくれってさ!思わず笑っちまったべや」

女勇者「所長の作る結晶って綺麗だもんね、盗みたくもなるよ」

所長「おっといかん、んで問題の物体はどいつだ?」

女勇者「うん…スライムっぽいものがこれで、その中にあった固まりがこれ」

所長「ほーう、確かにスライムっぽいな、調べておこう」

所長「まあすぐに結果は出んよ、そのうちまた立ち寄ることがあったらおいで」

女勇者「ありがとうございます」

魔女「それとじゃな、この少年をついでに診てやってほしいんじゃが」

半魔少年「あうっ…」

所長「ほっほうふーん、魔族…いや、色素が薄い…半魔かな」

魔女「流石だの、どんな種族か、とか分かりそうなことをできるだけ教えてもらえんかの」

所長「ふーん、何があったかは聞かないが… ちょっと触らせて貰うぞ?」

半魔少年「はい」




所長「…ふむ、ふんふん…ほほう…」

半魔少年「いひゃぃれひ…」



兎剣士「所長殿、相変わらず興奮するとなまりがきつくなりますな」

賭博師「一瞬、何事かと思った…ぼったくるって《追い払う》って意味で合ってるよね?」

女勇者「そうだよー ふふ、私は所長の里言葉好きだけどね」

魔女「通訳が必要になるほど聞き取りづらいわけじゃないのがまた誤解をまねく原因になりやすくてな」

魔女「ずいぶん苦労して直そうとしてたが、無理っぽいな」



所長「お待たせ」

女勇者「お疲れ様です所長、半魔くんもね」

半魔少年「ふにゅぅ…」

所長「血液検査の結果はそのうちきてもらったときにまとめて教えるとして」

所長「身体的特徴からの推測は、薬魔族かな、と思う」

所長「こうして抜いた髪の毛をちぎると、光る粉が飛んで、すぐ消える これが一番強い特徴だな」

女勇者「そっか、これから会いに行く魔王様が薬魔族なんです、お父さんすぐ見つかるといいね」

半魔少年「………」

女勇者「魔王様に協力してもらっ……半魔くん?」

兎剣士「言い方悪いのですが…子ども孕ませることしておいて、迎えに来ないような男ですぞ?」

魔女「あんまり感心できる男ではないな、惚れた女ならつれて逃げろというもんだ」

女勇者「そ、それは私も思うけどさぁ…一度も顔を見ずに死に別れなんてことになったら、そのほうが後悔しない?」

女勇者「私なんか、遠くから見るのは良くても直接会えないんだよ?かえって寂しくて辛かった…」

女勇者「力を使い果たした魔石が抜け落ちるまで、勇者の力がなくなるまでの辛抱だから頑張ってるけど」

賭博師「それももう、おかしい話なんだけどね!勇者たちみんなそうじゃん、変だよな」

賭博師「とりあえず半魔くん、どう思う?」

半魔少年「…一度くらいは、会ってみようかなとは思う…嬉しいと思うかどうかはその時決めるよ」

半魔少年「ユーシャも、早く会えるといいね」

女勇者「うん…」




所長「お土産ありがと、またおいでねー」

全員「「ありがとうございましたー!」」




賭博師「やることはもうこれで終わりでいいよね?勇者ちゃんたちが市長とあってる間に宿の予約してきたよ」

魔女「いつの間にかおらんと思えば…」

賭博師「子どもの頃に親父とはじめて来た時、ここのカジノで助言したら大当たりしてぼろもうけしちゃって、出禁喰らってね…」

賭博師「役所の廊下に要注意人物って張り紙されてんの見ちゃって、うっかり逃げちった」 テヘ

兎剣士「…それは…気がつかなかった」

賭博師「指名手配とは違うからかな、子ども顔だからちょっと違うけど、よく見れば俺だよ 今度見てみな」 アハハ…

魔女「子ども時代から既に賭博の腕を磨いておったか…流石ギャンブル一家」

女勇者「あはは… じゃ、宿いこうか 早くいって晩ごはん食べよう、疲れちゃったよ」



半魔少年「……父親、かぁ…」

乙!

乙乙

そろそろ…



男湯サイド。。。


賭博師「ひゃっふー!久々の銭湯だー!」 ザバーン

兎剣士「泳ぐな馬鹿者!」

半魔少年「ふわぁ、あったかい…」

賭博師「大当たりだったでしょ!広い銭湯がすぐとなりにある、飯のうまい宿!」

兎剣士「ああ、最高だな! あんな大騒動のあとだ、寝てしまわんようにな、二人とも」

半魔少年「はーい」

賭博師「自信ねえわぁ」




女湯サイド。。。


女勇者「はぁぁぁぁぁ、たまんないねぇ」

魔女「ほっほっほ、賭博師のやつ…タマにはやるもんじゃ」

女勇者「ご飯おいしかったし、ちょっと眠くなるよねぇ」

魔女「しかし気になるのう、この好条件ではちょいと安すぎる気がするんじゃが…」

女勇者「そうなの? ………んん?」 ザブザブ

魔女「どうした、勇者」

女勇者「魔女ちゃん、何だろうあの木箱」

魔女「どこじゃ」

女勇者「あっちの洗い場のシャワーのところ…上のスペースに置いt」

魔女「!!しゃがんどれ、勇者!」 ザバンッ

女勇者「ガボボボッ」

魔女「しまった、杖がない! とりあえずヘアブラシでいいわい!」

魔女「《アクアボ》!!」 ドババババ

   ズルッゴトン!

女勇者「ぶはぁ! 魔女ちゃん、溺れるよう!」

魔女「勇者、前を隠しておれ! 魔法カメラが仕掛けられておった!」

女勇者「ゲッ!?」

キタカッ

乙!



女勇者「信じらんない…!盗撮映像で儲けを出すために、宿と銭湯が組んでたなんて!」

賭博師「うーいお待たせ~っと、多分これで全部だね」 ガシャガシャ

半魔少年「男湯にもあったんですけど…需要あるんですか…?」

魔女「市長、当分寝ずの仕事じゃな」

魔女「それよりまずは、こやつらをどうしようかのう…?」

宿屋店長·銭湯店長「ガクガクガク…」

半魔少年「僕としては、す巻きにして川に放り込みたいです」

半魔少年「(ユーシャの裸を売り物にするなんて…許さん…!)」 ズズズズズ…

魔女「少年、魔気だだもれじゃ、落ち着かんか」

兎剣士「騎士つれてきたぞ、あとは任せよう」

女勇者「そうだね…私、もうここから離れたい…」

半魔少年「ユーシャ…」

騎士1「本当に、大変申し訳ございません!宿の手配は済んでおります、すぐに…」

女勇者「悪いけどいらない、信用できない」

女勇者「もう当分ここに来ない、この人たちのことも任せます」

女勇者「皆、ごめん…いこう」

魔女「そりゃあそうなるわ、いくぞ」

兎剣士「ええ、荷造りはすでに」

賭博師「そんじゃいこっか」

半魔少年「ルー、おいでー」

ルー「キャウ!」

騎士2「お、お待ちください!」

騎士1「!!まて、どこへいく貴様ら!」

銭湯店長「ひぃっっ待ってくれ!ワシは保温効果の魔道具だと聞いて設置しただけで…!」

宿店長「何てことを!貴様からだろう、話を持ちかけてきたのは!」





都市郊外。。。


賭博師「そろそろいいかな」

兎剣士「半魔殿、準備を」

半魔少年「大丈夫!ルー、これを研究所に届けてね」

ルー「キュ!」 バサバサ

魔女「やれやれ…参ったのう、大きい都市ほど犯罪の巣窟ってかのぅ」

女勇者「はぁ、呆れた…あんな目に遭ってまだとどまりたいと思うわけないでしょ!バカじゃないのあの騎士?」

魔女「まったくじゃ」

賭博師「さて、戻ってくるまでに買い出し追加だね」

兎剣士「某と賭博師殿で旅支度、魔女殿と半魔殿、勇者殿は魔法関連でお願いしますぞ」

女勇者「あとは各自でもろもろ用意しよう、今はとりあえずで良いし」

半魔少年「うん! (荒縄とむしろは真っ先に買ってこなきゃ…)」 ビキビキ

魔女「(目を離さんように気を付けんと…何しでかすかわからん…つーか少年怖いぞ!)」



兎サイド。。。


賭博師「ああは言ったけど、特に用意するものないかもな」

兎剣士「準備は常に抜かりないしな…ただ、賭博師殿と話しをしたかったのもある」

賭博師「へ?」

兎剣士「半魔殿は…かなり情緒の起伏が激しいな」

賭博師「へ、あ、うん、そうだね」

兎剣士「…魔族故なのか、そういう種族なのか、色々考えていたが、彼が薬魔ならば話は変わってしまう」

兎剣士「薬魔はよそと比べるのも申し訳ないくらい穏やかな種族だという」

兎剣士「以前会った魔族が何者かは結局わからなかったが、彼は物凄く攻撃的だった」

兎剣士「いいだけ戦って、満足したのか握手を求められて、腕がおれそうになったのも覚えている」

賭博師「うっへぇ、なんて迷惑な…でも、殺されなかったんだから、悪いやつじゃなかったんだろう?」

兎剣士「そう言うことだ、個体差とか個性とかなんだろう」

兎剣士「半魔殿が薬魔だから、と楽観視出来ない…むしろ、注意した方がいい」

賭博師「……あのさ、確かにちょっと過激な子だけど、あれはどー見ても勇者ちゃんがらみ限定だぜ?」

兎剣士「ぬ」

賭博師「勇者ちゃんのこと、よっぽど好きなんだね~ ほら、俺とか兎くんが勇者ちゃんの肩叩くだけで睨むじゃん」

兎剣士「ルー殿が勇者殿に牙むいてるのを、ちょっとほくそ笑みながら見てたな」

賭博師「そんで拗ねてる勇者ちゃんをなぐさめて、ルーちゃんが寝てるすきに鱗さわらせてあげてたり」

兎剣士「明らかに、好感度稼ぎだな」

賭博師「わからんでもないけどさー…はあ、独り身にはきっついわー、カップル成立に協力するの嫌だわー」

兎剣士「だが…多分、おそらく…あの二人がくっつけば、治まると思うんだが…」

賭博師「でも何かあったら、逆効果になりかねないけどな…」

兎·賭「「はぁぁぁぁ……」」





ロッカク研究所上空。。。


ルー「キャウッ」 バサバサ スーーイ


お仕事!お仕事!

任された!頑張るの!

ケンキュウジョ、お薬のにおいのしてたとこ

あそこと違ったの、やな臭いじゃなかった、いいところなの

お空真っ暗、気持ちいいの~



所長「はーやれやれ、さっきから外がうるさくて集中できない…」

所員「なんだよー、泥棒でもでたのか?」

所長「…おや?つい数時間前に会ったばかりのかわいい子がいるよ」

所員「え、どこどこ?」

所長「おいでー」

所員「……………え、なんだ、リュウモドキじゃん…」

所長「なんだい、女の子には親切にするもんだよ」

ルー「キャウー!」 バサバサ ストンッ

所長「いらっしゃい、何かあったのかな」

ルー「ンキュゥ…」 カシカシ

所長「首?ああ手紙か、もらうよ…」

ルー「キュー」

所長「ふーん、銭湯で盗撮ね…やっぱりウチに泊めるべきだったかな…」

所長「…あー、なるほど…ふむ、一斉摘発が必要かなこれは… 自警団に依頼を出しとくか…」

所員「勇者の盗撮だなんて、大胆ですねぇ」

所長「ばかもん、大勢の男女が被害にあってて、誰も気がついてないか黙しているんだぞ」

所長「組織が大きそうだ、被害がさらに広がるぞ!」

所員「あっ」



お待たせいたしまして申し訳ないです
本当にありがとうございます
半魔少年が、ちょとずつ狂暴になってきましたが
残酷描写は今のところ考えていないのでご安心ください

指がちょっと伸び縮みさせにくくなっていて、全体的に痛いです…
爪がなかなか伸びてきません…根本の方が少し変形してきています
ちょっと不安ですが、治療頑張ります
それでは、また次回ですー

頑張れ

不自由な中、乙!

乙です

乙!

ありがとうございます!
出血して慌てて病院いってきましたが、ただカサブタ剥がれただけでした…
それではまいります



待ってた

大事じゃなくて良かったww

安心した



勇者サイド。。。


女勇者「魔力補給グッズは大体このくらいでいいかなーっと」

半魔少年「ユーシャ、この六角形のって何だろう?」

女勇者「ああ、防御結界をつくる結晶だね」

女勇者「音や振動を外に漏れないようにするタイプや、中にあるものの姿を隠すタイプとか、用途で使い分けるらしいよ」

半魔少年「ちょっと高いね…気軽には買えないよー」

女勇者「そうだね、見られたり盗まれたら困る重要なモノでも無いと、わざわざ買わない…よね…って」

 ひょいひょいひょい

魔女「店主さんや、防音結界結晶コレだけまとめ買いするから少しまけてくださらんか?」 (20個)

勇者·半魔「(魔女さん?!)」


       値切り交渉中。。。


半魔少年「へー、あのロッカク研究所が作ってる結晶なんだ」

女勇者「それでね、所長の作った装置で結晶をつくると、なぜか全部六角柱になるんだって」

半魔少年「だからロッカク研究所なんだね」

女勇者「魔法や魔力って、人それぞれ魔族それぞれってやつだね」

半魔少年「そうだねー… 魔女さん遅いなぁ…」



ルー「キャウーー!」 バッサバッサ

半魔少年「おかえり、ルー!」

女勇者「おかえりー」

魔女「おお、グッドタイミングじゃったな」

女勇者「魔女ちゃんもおかえりー」

魔女「それじゃ兎たちと合流しようかの、亀の看板の酒場じゃったな」

半魔少年「はーい」





  酒処 亀の家。。。


兎剣士「ああ、全員揃いましたな」

魔女「待たせてしもうたか、すまんな」

賭博師「大丈夫だよ~そんじゃ出ますか」

兎剣士「お代、置いていくぞ 失礼した」

店主「はい、ありがとうございました」



ルー「キュン」 ゴソゴソ

半魔少年「お疲れ様、出ていいよ、ルー」

女勇者「リュックから頭と前足…やばい萌える!」

ルー「じー」

女勇者「ああん、冷たい視線!」

兎剣士「翻弄されておりますな」

魔女「小動物大好きじゃな」

賭博師「や、元々はデカイんですけどね…」

半魔少年「もう許してあげなよ、ルー」

ルー「ぷいっ」



魔女「さてと、前の村まで戻って道一本ずらして進むってことで良いんじゃな?」

女勇者「うん」

兎剣士「それが一番面倒が少ないでしょう」

魔女「よし、魔法陣展開じゃ!全員中に入っとくれ!」

賭博師「半魔くんおいで、ルーちゃんは半魔くんの頭にのってね」

半魔少年「う、うん」

ルー「キュー」

女勇者「全員つかまったよね、大丈夫かな」

兎剣士「ルー殿、翼をたたんでくだされ…意外と痛いっ」

魔女「ちと狭かったのう、すまんすまん」

魔女「それじゃ、転移開始じゃよ!目をつむっとれ!」


    パシュンッ!




薬魔界、魔王城 屋上。。。



薬魔王「………………はぁ…疲れた…」


魔執事「魔王様…あんなにやつれてしまわれて…」 グスン

魔メイド「くそっ人間ども…!魔王とみれば見境なく襲ってくるんだからな!大っ嫌いだ、人間なんか!」 ギリギリ

魔メイド「怪我させないように追っ払うの、どんだけ大変だったか!」 ミシミシ

魔執事「壁が崩れるからおよしなさい、仕方あるまい…薬魔王様が優しすぎるだけですよ…」

魔執事「我々魔族は元々、人間と別の世界にすんでいた…その境が突然消失し、領域が混ざってしまった」

魔執事「その時からずっと争い続けてきたのだ、人間にそんな歴史がもう残っていないくらい大昔のことですよ」

魔メイド「魔王様を倒せば不老長寿とかマジあり得ないんですけど!」

魔メイド「普通に80年も生きれば老衰するってーの!!」

魔執事「捏造は人間の得意技ですよ、我々は嘘をつけない、だから全てを記録に残す」

魔執事「人間にはそれが異様に映るのでしょうね…」

魔メイド「都合の悪いところ知らんぷりしてるだけじゃん!攻めてきたのは人間だ!」

魔執事「それすらも記録に残っているのは魔界だけですよ、人間にそれをせめてももう、こちらにしか証拠がない」

魔メイド「くそう、魔王様は人間を攻撃なんかしてない…! よその魔王様だって、反撃しかしてない!」

魔メイド「友好的なふりしてるあの人間の王だって、いつ手のひらひっくり返すか!信用できない!」

魔メイド「人間同士で勝手にドンパチやってろよ!巻き込むなよ! う、うぅ…」

魔執事「メイド…落ち着きなさい…」



薬魔王「すみません、わたしが不甲斐ないせいで…」

メイド·執事「「!!」」

薬魔王「人間の思う魔王らしく振る舞えられればいいんだが、どうにも血生臭いのは苦手なのですよ」

薬魔王「わたしたちの作る薬も安く巻き上げられて、なめられきって」

薬魔王「それでも…彼女がどこかにいるはずなんだ、協力してもらっているうちは、おとなしくしていないとね…」

薬魔王「もちろん、裏切られたと分かったら、ちゃんと仕返しはしますよ?」

薬魔王「重役の子供が同時に行方不明だなんておかしいですからね、ちゃんと調査しなくてはね」

魔メイド「魔王様…」

薬魔王「彼女を探すのが一時中断してしまうのは本当に悔しいけれど、私用は後にしないとね」

薬魔王「ちゃんと結婚しておくんだったなぁ…右腕、ぶった切られたからって、諦めなきゃよかったな…」

薬魔王「人間相手に戦うなって法律、作らなきゃよかったなあ」

薬魔王「この義手を見るたびに、憎いのと悔しいのと、大好きだったのと…ぐっちゃぐちゃになる」

薬魔王「本当に城の皆様には申し訳ありません、ついつい八つ当たりしてしまったり、うっとうしいくらい泣いてたり」

薬魔王「魔王らしく振る舞えなくて本当に…申し訳ありません」






石の都。。。


半魔少年「錠石、無いねえ…」 ガサガサ

ルー「キュゥーン…」 ピョコピョコ

女勇者「あいたっ!?」 グリッ コケッ

ルー「キャウ!」

半魔少年「ユーシャ!」

女勇者「いたた…あ、あった!錠石埋まってた!」

半魔少年「良かったねユーシャ!師匠、最後の一個有りました!」

魔女「よし、そこに置いてくれ」 ガリガリ

兎剣士「っこらしょ!」

賭博師「よいしょっ!」

兎剣士「ふー、邪魔な岩は全部どかしましたぞ」

魔女「ありがとう」

女勇者「魔女ちゃん…これ、鍵と錠の数は合ってるけど、書いてある記号が全部違うよ?」

魔女「大丈夫、少年なら分かるんじゃ」

女勇者「へ?」

半魔少年「え、僕が?」

魔女「よしできた、少年、この粉を錠にこすりつけてよーーーく見てみるんじゃ」

半魔少年「うん…」 ゴシゴシ




半魔少年「あれっ 記号が変わった?」 ザリザリ

女勇者「見せて!……あれ、変わってないよ?」

兎剣士「うむ、◆のままですな」

半魔少年「ええっ ▲になったよ?」

魔女「これが不思議なもんでな、魔法に強く関わる存在にしか認識出来ない魔法錠じゃ」

魔女「あたしが作ってた粉が、汗や体液に反応して正しい姿を見せてくれるのだよ」

賭博師「へえー、魔族がつくった鍵だから、魔法使いにも効果があるのか」

魔女「魔族が本気で人間を拒絶するなら、こんな中途半端な鍵と錠を用意したりせんよな」

魔女「何があったのか、知るすべがないっていうのがおかしいんじゃが…変な話じゃ」

半魔少年「あの…」

半魔少年「…これ、全部解錠出来たら、魔界の入り口に到達できるんですよね?」

魔女「うむ、通り抜けたあとは、また錠石はバラバラに散らばって入り口も厳重に塞がるそうじゃ」

半魔少年「……師匠、前にこういう入り口は国に数ヶ所、大陸で見れば、全土に存在すると仰っていましたよね?」

魔女「ああ、そうだの」

半魔少年「魔界って、人間が…勇者が攻めてくるのを当たり前だと、思ってるんでしょうか…?」




魔女「さすがに、その辺はわからないのう」

兎剣士「魔族と関わりのある王族でさえ、詳しくは公表しませんからな」

賭博師「この国が変わってるっていう感想はあるぜ?」

魔女「魔法使いの数が多いのと、魔法薬や魔法具に抵抗が無かったのが薬魔界を受け入れた理由らしいが」

魔女「いつから関わってきたのかも解らないのに、不思議な関係図じゃ」

兎剣士「つまり、全然わからない、が答えだ」

半魔少年「ううーん…」

女勇者「えっと…ぶっちゃけた話、していい?」




女勇者「勇者の中には、魔界を全部崩壊させるのが仕事だと思ってる人がいてね」

女勇者「そういう勇者には人間界と友好的な魔界が有るってことを、教えないんだって」

全員「「はあ!?」」

女勇者「というか、魔界が複数あるってこと自体、教えてないそうだよ」

女勇者「教会調査からの教えだけど…魔界がある間は、勇者が定期的に生まれるのが当然らしいのね」

女勇者「んで、一時全滅させるために勇者を大量投入したら、全員無傷で追い返されて」

女勇者「『ちゃんと調査してからケンカ売れ馬鹿』みたいな手紙を全員が持たされてたんだって」

賭博師「それが魔界との交流を持つきっかけって訳か」

女勇者「古い記録らしいけどね…で、毎回勇者が魔界に送り込まれてるのは、表向きは調査のためなんだ」

魔女「戦闘勇者と、非戦闘勇者が生まれる理由になるな」

兎剣士「調査のためと称して、戦闘勇者を送り込めば、魔界を攻められる、と?」

女勇者「この国にも、そういう時代があったらしいよ…私みたいに弱い勇者には分かんないよー」

女勇者「今だって、大きな戦争してる国と魔界があるしね」

半魔少年「…わかんない…」

乙!



半魔少年「うーん…」 カチャカチャ

魔女「こういうことは調べることもままならんらな、ちゃんと説明できるのは魔界の住民たちだろうさ」 ザクザク

女勇者「第一、魔界に行ったこともない勇者に、魔王から荷物を預かってくるように命令する王様も普通じゃないもん」

賭博師「そういや、何を預かってくるのかすら聞かされてないんでしょ?」

女勇者「うん、魔界にとって不利になるようなものじゃないといいんだけどね」

魔女「勇者なんぞ、使い捨ての駒としか思ってないんじゃろうよ」 フンッ

半魔少年「師匠…さすがにそれは…」

魔女「時に少年、全部解錠終わったのかね?」

半魔少年「あ、はい これで最後です」 カチャッ

乙!



ガサガサゾロゾロ……

???「おっと、先客がいたな」

女勇者「あれ、炎勇者!無事だったんだね」

魔女「厄介なのがきよった…弟子、ローブのフードを外さんようにな」

半魔少年「はい…それで、彼らはどちらさまでしょうか」 モソモソ

賭博師「あいつらも勇者だよ…攻撃系のね」

炎勇者「なんとか生き返ったぜ、僧侶のおかげだ」

僧侶「恐縮でございます」

女勇者「メンバーは三人?」

炎勇者「おう、悪いんだけど、魔界入るんなら、俺たちも一緒に行きたいんだけどよー」

女勇者「…悪いけど、私たちは魔王とお話をするために向こうへいくんだ」

女勇者「どこの魔界にいくのか知らないけど、君らは魔王を倒しに行くんだろう?遠慮してくれないかな」

炎勇者「そこをなんとか頼むよぉ、女勇者ぁ」 ガシッ

女勇者「ちょ、や、やめろ!」

炎勇者「同い年で一緒に教会で育った仲じゃん、多目にみてくれよぉ」 ベタベタ

女勇者「やーめーろー!!」 ゲシゲシ

兎剣士「いい加減にせんか、炎勇者殿!」



半魔少年「……」 ギリリリ



僧侶「そのローブの彼がもつ鍵が最後の錠であると思われますので」

僧侶「効率を考えますと、そのままご一緒させていただくのが一番です」

炎勇者「そうだよー、一緒にいこうぜぇ?」

召喚術師「うふふ、真っ赤な女勇者ちゃん、かわいい…炎くん、代わってよぉ」

炎勇者「やーだよ!女勇者は俺の幼馴染みなんだからね~」

召喚術師「やぁん、だって女勇者ちゃんは私を許してくれた大事な女性なんだものぉ」

女勇者「ほ、本当にやめてってば!離して!」

炎勇者「なんだよ、あ、もしかして…賭博師とくっついたのか?」

女勇者「はあああ!?」

炎勇者「そうかそうかー、お兄ちゃん嬉しいぞ!賭博師って誤解されやすいけどよ、いいやつだもんな!」

賭博師「まってくれよ、俺、独り身だぜ!?」

炎勇者「えー、じゃあ何でこんなに嫌がる~?小さい頃から俺と一緒にいるのが普通だったんだぞ?」

女勇者「私まだ誰とも付き合うとかしてないもん!」

召喚術師「あらぁん、じゃ、私とお付き合いしましょ?」

女勇者「冗談止めてください! 男性がお好きなんでしょう!」


兎魔女賭博「「え?」」

兎剣士「女性なのですから、男性を好きでおかしくないのでは…」

女勇者「召喚術師さん、男性なんだよ!女装家なの!!」

召喚術師「あらぁん、ばらしちゃいやん!」 まな板スレンダーッ

兎魔女賭博「「うそぉ!!」」

召喚術師「でもどうやら私、バイセクシャルだったらしいのよ~ぅ…男女関係なく愛せるわ!」

女勇者「なおさら質が悪くなった!」




半魔少年「勇者、こっちにきて」 グイグイ

女勇者「わっ」 グラッ

半魔少年「あいつらに近づかないで、勇者」

女勇者「あれ…?(なんか、呼ばれ方が違うような…)」

炎勇者「おおっと、ローブ君が浮上ですか?」

半魔少年「……お前ら、なんか嫌い…」

炎勇者「あららー」

半魔少年「…師匠…」

魔女「しょーがないな、勇者、諦めぇよ」

女勇者「え、どういうこと…?」

半魔少年「…炎勇者さん、鍵、今開けます」

炎勇者「おっ!いいのかい?」

半魔少年「ただしこれ以上、僕らの勇者に必要上に絡まないでください」

召喚術師「あらぁん、相当嫌われちゃったわねぇ」

僧侶「…自業自得かと…」 ボソッ

炎勇者「了解りょーかい、でもさ、俺らって兄妹みたいなもんだし、ちょっとは多目にー… おっと」 グイッ

半魔少年「(まあ、別に付き合ってる訳じゃないんででかい口は叩けないんですけど)」 ボソボソ

炎勇者「え?」

半魔少年「(僕は本気で、女勇者のことが好きなんです、ああやってべたべたされると)」

半魔少年「(殺したくなっちゃうんで、ご容赦頂きたいです)」

炎勇者「あー、どうやら逆鱗に触れちゃったみたいだね、悪かったよ」

半魔少年「わかっていただけたら幸いです」


乙!



半魔少年「師匠、効果範囲はどのくらいですか」

魔女「うーん、判断がつかない…まあ、全員近くに集まってもらって範囲指定をしておこう」

魔女「手を繋ぐなり服をつかむなり、はぐれないようにな」

兎剣士「僧侶殿、召喚術師殿、内側へどうぞ」

僧侶「ありがとう」

召喚術師「あらん、わたしもいいの?」

賭博師「よし、いいよー」

炎勇者「お願いします!」

女勇者「炎くんは魔女ちゃんをつかんでてね、はん…少年は私がつかんでるから」

炎勇者「おう!二人が要(カナメ)だもんな!」

魔女「魔力安定確認、範囲指定固定確認……よし、やれ、少年!」

半魔少年「はいっいきます!《封印解錠》!!」


  ガチャンッ!!






魔界中央管理所。。。


半魔少年「おおー」

女勇者「わー」

炎勇者「すっげーなー」


 ガッショーンガッショーン
 ガンガンガンガン
 バタバタ
 オーイツギコッチー
 モウスグジカンダゾー
 コッチイソイデクレー
 ギューンガガガガガゴーンガゴーン

僧侶「…工業地帯?」

召喚術師「あら、どうしたの僧侶?」

僧侶「…ううん」 フルフル


魔族男(管理職)「おっと、お客様でしたか、ようこそ、魔界中央管理所へ」

魔族男(ガテン系)「つーてもまあ見ての通り急ぎの工事中でよ、ゆっくりおもてなしはできねえわ」

女勇者「あ、いえ、おかまいなく!行き先は自分たちで探しますので!」

炎勇者「なあオッサン、なんでこんなにボロボロなんだ、ここ…」

魔族男(管理職)「はぁぁぁ…あなたたち、勇者でしょう?そちらの管理はどうなってるんでしょうね…」 ブツブツ

魔族男(ガテン系)「あー悪りいな、勇者数人が突っ込んできて、大暴れしていきやがったんだよ」

魔族男(ガテン系)「あんたらはちゃんと許可の出る方法で通ってきたみたいだな」

女勇者「許可?」

魔族男(ガテン系)「おう、勇者さんお互いのデコ見てみな、勇者には必ず通行許可マークがはいってっから」

勇者「「おおー本当だ!」」




魔族男(ガテン系)「これがない勇者とその仲間は、不法侵入扱いになっちまう」

魔族男(ガテン系)「ま、詳しくはむこうに受付があるから、あっちでよろしくな!」

女勇者「ありがとうございました!」

魔族男(ガテン系)「あいよー、そんじゃあなっ いくぞ、管理職!」

魔族男(管理職)「……ああまったく、仕事ばっかり増えてくる…」 ブツブツ


炎勇者「魔界も大変なんだなぁ」

女勇者「そうだねぇ」

魔女「ふー、驚きすぎて頭が痛いわい」

半魔少年「勇者、いこうよ」 グイ

女勇者「う、うん…」

僧侶「驚いた、ニホンにそっくり…」

召喚術師「え、にほ、何?」

僧侶「なんでもないっ」 アタフタ


おつおつー

乙!



魔族受付嬢「おはようございます、魔界中央管理所でございます」 キラキラ

炎·賭博「「わーお、超美女!」」

女勇者「おはようございます、よろしくお願いします」

魔族受付嬢「勇者のお仲間様はこちらの通行証を首にお掛けください、お帰りの際にまたここでお返しくださいませ」

半魔少年「はーい…」

魔女「ほう、相当複雑な魔法式がぎっしり入っとるな」

魔族受付嬢「では各魔界への通路説明をいたします、まずーー………」



    しばらくお待ちください。。。



女勇者「じゃ、私たちはこっちの薬魔界だからここでお別れだね」

炎勇者「おう、俺たちはむこうの海魔界だ、気を付けてな」

女勇者「お互いにね、無茶しないでよ!」

炎勇者「それじゃあな!!」

魔族受付嬢「それでは、どうぞお気をつけていってらっしゃいませ」

全員「「ありがとうございました~」」

乙!




女勇者「さて、無事に薬魔界へ到着したわけなのですが」

魔女「なんというか、病院の規模がおかしいのう」

兎剣士「巨大な建物が密集しているわりに、混雑しないのにも驚きましたが…」

半魔少年「道を歩くためのルールがあるなんて知らなかったよ…」

女勇者「でもまあ魔車と通行者の通り道が分けてあるから、事故が起こりにくいんだね、良いことだよ」

魔女「賭博師は名誉の戦死じゃ、気に病むでないぞ、弟子よ」

半魔少年「うう、賭博師さん…」 グズッ


賭博師「勝手に殺すなよ!! 生きてるわ!」 ミイラ男


全員「あ、おかえりなさーい」

女勇者「良かったねえ、病院の目の前での事故で」

兎剣士「スピードでてる魔車だったらほぼ死んでたと思いますぞ」

賭博師(ミイラ男)「その態度で、本っ当に、心配してたのかよ、お前らぁぁああああっ!!」

半魔少年「賭博師ざぁぁぁんっ!無事でよがっだぁぁぁ!」

賭博師「少年だけだよぉ、優しいのは…」 グスン




魔族医者「それじゃ、隣の薬局で抗生物質と痛み止もらって帰ってくださいね」

魔族看護師「車椅子押しますよ、足元気を付けてくださいね」

賭博師(ミイラ男)「あ、はいお願いします」

半魔少年「僕も行きます!」

賭博師(ミイラ男)「ありがとー」

半魔少年「僕のせいで、こんな大怪我させてしまったんです、サポートさせてください!」





魔族医者「さて、賭博師さんなのですが、骨折と打撲と、右足の指が先端開放骨折です」

魔族医者「手術で繋いでふさいで、あとは魔法薬術での接続と皮膚の再生促進を行いました」

魔族医者「あとは、魔法薬を1週間分きっちり飲みきっていただいて、もう一度来院してください」

女勇者「本当にありがとうございました」

魔女「魔族の治療、とんでもないのう…1週間で完治とは…」

兎剣士「本当に少年も賭博師殿も、運がよかったのですな」

魔族医者「まさか病院の目の前で事故が起きるなんて、思いもしませんでしたよ」

魔族医者「本当に彼は勇気がありますね、身を呈してかばったなんて…」

女勇者「私、少年のすぐ横にいたんです…でも…動けなかったんです」

女勇者「情けないなぁ…」



魔族医者「命があったのです、情けないなんて言わないことですよ」

魔族医者「人も魔も、いつか、今日のぶんもどなたかを助けて誰かに助けられるのですよ」

女勇者「はい…」




半魔少年「戻りましたー」

ルー「キャウッ」

賭博師(ミイラ男)「おまたせー」

女勇者「賭博師くん、本当に大丈夫なの?入院とかしなくて」

魔族医者「明日包帯とってみて、傷が消えてたらもう動いて大丈夫ですよ」

賭博師(ミイラ男)「車椅子は来週まで貸してもらえるから、歩けなかったらそのままいこうかなーと思うんだけど」

魔族医者「再生を早める魔法薬術は魔王様の研究病院が最先端ですよ、紹介状をお届けしておきますね」

兎剣士「なんという強運」

女勇者「もう、賭博師くんが勇者になってたほうが絶対よかったと思うほどの強運だわ」

ルー「キュゥー」 コクコク

女勇者「ほら、仲の悪いルーちゃんまで同意してるじゃん」

賭博師(ミイラ男)「俺、泣いていいよね…」

半魔少年「本当に僕のせいでごめんなさいぃぃぃぃっ!」


なるほど

乙!

お久しぶりでございます、無事、治療終了いたしました
仕事復帰できましたが、体なまっちゃっててぐだぐだでした
5ミリくらい短いままですが、指の形を元通りに近づけるための治療を優先したので、悔いはないです
右手だけで見るなら、ほぼ元通りです 諦めなくてよかった…
指が急に痩せたので爪が変形していますが、ちゃんとのびれば大丈夫だそうな、ので、頑張って指を動かしてます
それでは続きいきます



魔界突入、二日目。。。


女勇者「すごいね、もう傷あと全然残ってない!」

兎剣士「包帯ほどいて驚きましたよ、縫ったあとがひきつっているのは仕方ないにしてもとんでもありませんな、魔法薬とは…」

賭博師「やっとミイラ男解除だー!」

半魔少年「僕も本当に薬魔なら、こういうすごい薬を作れるようになるのかな…」

ルー「キューゥ」 スリスリ

魔女「そんじゃ、さっそく薬魔王城へ向かうぞ!」

魔女「まあ、城というよりは研究所寄りの病院風らしいがの」

女勇者「うん、何が起きるかわからないけど、全員で人間界に帰ろうね!」

全員「「おう!!」」




女勇者「……」


本当は、みんなにちゃんと伝えないといけない事があった
でも、それを口から言葉として吐き出す事なんて出来なかった…
現実になってしまうのが怖くて仕方ない
私たちは、六人(五人と一匹)で薬魔王城へ向かったけれど

帰りは一人足りなくなる

そんな、絶対見たくなかった夢を見てしまった


予知夢なのか、ごく一般的な普通の夢だったのか、判断がつかないあいまいな夢
その彼が誰なのかがわからない、どうしたらひきとめられたのかも分からない
どんな考えをもって魔界に残ると決めたのかも分からない

魔王と向き合うのも怖い…



…あれ、どうしてひきとめようとしたことは覚えてるんだろう…



乙!



薬魔王城。。。

女勇者「こんにちはー、人間の国王から依頼を受けてまいりました、勇者です」

門番1「証明書類等はございますか?」

女勇者「はい、依頼書と王家の紋章半券の入った加工魔宝石、それから…腕の魔石です」

門番1「……はい、では紋章半券を照合します」

      ……カチカチカチカチ……ピンポーン♪

門番1「確認取れました、どうぞ」

門番2「ご案内いたします」



魔女「すんなり通れたのう」

兎剣士「不気味なくらいですな」

賭博師「……なあ、さっきからすっごい見つめられてんだけど…少年が」

半魔少年「う、うん…なんだかすごく見られてる…」 フードギュー

ルー「キュゥー…」

女勇者「ルーちゃんが肩にのってるからじゃないの?」

魔女「いやぁ、魔族なら竜くらい見なれておらんかねえ?」

半魔少年「なんか…すごくビックリされてる…ような気がする…」


門番2「こちらから先が魔王様の職場でございます、少々お待ちくださいませ」


乙!



薬魔王「お待たせした、私が薬魔界の長、薬魔王だ」

全員「「!!」」

女勇者「は、はじめまして!王国から派遣されました、予知夢の勇者です!」

薬魔王「ああ、どうぞよろしく」

薬魔王「これがそちらの王国から依頼のあった新薬のサンプルだ、届けてくれ」

女勇者「はい、必ず」

女勇者「…あの、どんな薬か聞いてもいいですか?何を運ぶよう頼まれたか聞かされなかったんです」

薬魔王「はぁ、人間は隠し事が好きだな…中身は避妊薬だ」

女勇者「え」

薬魔王「人体の研究もままならないというのに、魔法や薬ばかり進歩しても仕方ないと思うんだがな…」

薬魔王「人口調整だ、娼館に配布するんだとさ… まだ人間での臨床実験ができていないんだが、そちらの罪人をつかうそうだ」

薬魔王「道徳概念は同じようなものだと思っていたんだが、少し改めている…呆れたよ」

女勇者「………い、いや、その、うん… そういうお仕事をしてる人たちを否定はしないけど」

女勇者「避妊できるからって推奨するかのような行為に見える…」

薬魔王「ほお?勇者は身を売る女性をどう思っている?」

女勇者「…無理矢理強制されてるのなら助けたいけど、誇りをもってお仕事している女性もいるのは知ってるから…」

女勇者「すごく難しい質問です、私はただの勇者ですから、助けを求められたら助けにいくしか出来ませんから…」

薬魔王「…ふむ、以前来ていた勇者とは少々違うな」

薬魔王「ヤツは『女性を食い物にする男がいるから、身を売らせて金儲けをする輩が居なくならないんだ』
       『男などこの世から消えればそんな問題自体が消滅する!』」

薬魔王「そんな風にいっていた」

女勇者「それは極端ですね……」

薬魔王「男なしで繁殖する方法を作ってくれと、無茶を言われたな…」 フウ

お待たせいたしました
喘息と肺炎で寝込んでおりました…本当にすみません
続きいきます!



薬魔王「それでは、昨日報告があったが怪我人の経過をみてみようか」

女勇者「はい!お願いいたします 賭博師くん」

賭博師「は、はいっ!」

薬魔王「…………………ふむ、うん、問題無いようだね、薬は一週間分で処方されていますよね?」

賭博師「はい」

薬魔王「うん、綺麗に接続されているし、特に何か追加治療が必要な箇所は無いね」

薬魔王「このまま安静にしていれば大丈夫だね、よかったよかった」

賭博師「ありがとうございます!」

女勇者「良かったね!」


薬魔王「さて…もうひとつ、確認させてほしい事があるんだけどいいかね」

女勇者「は、はいっ?」

薬魔王「そちらのローブの少年…半人半魔ではないかとの報告が来ていてね、顔を見せてほしいんだが」

半魔少年「!?」

女勇者「そんなにすぐ分かってしまうものなのですか?!」

薬魔王「魔族は特有のエネルギー波を常に展開する、それは種族によって少しずつ違うけれど、彼はその波形が妙に緩やかでね」

薬魔王「今こうして話をしていた間に、部下に詳しく検査させていたんだ、その結果が君らの後ろで掲示されてたんだ」

女勇者「え」

薬魔王「ほら、スケッチブックがおいてあるでしょ、あれにかいてあるよ」


乙!

お待たせして申し訳ありません
いきます



女勇者「なんだかシャクゼンとしないのですが…彼が多分半魔なのは確かです」

女勇者「半魔くん、フードとってみせて」

半魔少年「う、うん…」 モソモソ





薬魔王「サーニャにそっくり?!」

半魔少年「え、母をご存じなのですか?!」

ごたいめーん

乙!





ーーーーサーニャ!

  逃げて、早く!  私が時間を稼ぎます!

ーーーーいやだ、サーニャ!一緒に行こう、ひとりはもういやだ!

ーーーーお願いだから、サーニャ!!



  ずっと、愛しています、あなたーー







薬魔王「…そう、か サーニャはもう…」

薬魔王「子供がいたなんてな…無理矢理さらってくるべきだったかな」

薬魔王「私のせいで、辛い思いをさせた、本当にすまない…」

半魔少年「……僕は…人間も魔族も好きじゃなかった、けど母は好きでした」

半魔少年「だから、その母が愛した男なら、父親も好きになれるかなって思ってたけど…まさか、魔王様だとは…」

薬魔王「…そうだよな、急に父親だ、なんて言ってもすぐ親子になれる訳じゃないもんな」

半魔少年「え、ええっと…」


賭博師「じゃ、じゃあさ!魔族の子供たちを探す手伝いしてる間に決めたらいいんじゃねえかな」

兎剣士「そうですな、どのくらいかかるか分かりませんが…今すぐ、少年がどうするかなど決められないのは当然」

薬魔王「…すまない……先に伝えなければならん事がある」

半魔少年「え?」





薬魔王「私は、今のところ余命一年だ」

薬魔王「魔王の座は、来月弟に譲ることが決定している」



全員「「………は!?」」

半魔少年「え」

乙!



………魔王の病状は、かなり悪いものだそうです
薬も手術も、現代技術では決定的な治療法とはならず、じわじわと全身に悪いものが広がる病…
魔王の場合は、病に侵された胃を半分ほど摘出し、臓器の一部も機能が低下している状態、近いうちに摘出手術だそうです

その後、詳しい話は明日ということで、各自部屋に案内されて解散となりました

ちなみに今の私は…
子供たちの捜索のため、予知夢を必要とされているのはわかっているけど
結局どうしても眠れなくて大きな階段でぼんやりしています


半魔少年「勇者…」

女勇者「半魔君?」

半魔少年「なんか眠れなくて…勇者も?」

女勇者「うん…早く夢を見なきゃなのにね」

半魔少年「……僕、どうしたらいいのかな…」

女勇者「うーん…魔王を見たとき、どう思った?」

半魔少年「疲れきった顔してたなぁって」

女勇者「そっか」

半魔少年「?」

女勇者「そのうち、きっかけがあれば結論は出せると思うよ」

女勇者「そろそろ部屋戻ろうか、また明日ね」

半魔少年「う、うん…また明日」


乙!

乙乙


翌日。。。

魔執事「……えー、作戦は以上です、質問等は…」

兎剣士「では、ここが…」

賭博師「ここはどーします?」


女勇者「…魔王さん、ちょっと相談が…」

薬魔王「ん、どうしたかね」

女勇者「睡眠薬的なものは処方してもらえますか?」

薬魔王「うーん…もしかして、眠れなくなってる?」

女勇者「はい、少しずつなんですが、寝ようとしてもうまくいかなくなっています」

女勇者「一応起きてはいるので、いつのまにか眠っているはずなのですが、夢はほとんど見ていません…」

薬魔王「ふむ…申し訳ないとは思うが、そなたの予知夢を頼りにしているのは事実だ」

薬魔王「あいわかった、まず診察してからな」

女勇者「はい」

半魔少年「…」



そして…数日後、作戦決行。。。


魔兵「御用だ!」

魔兵「$$国国王、魔界法幼児拉致監禁罪にて現行犯逮捕ーー!」

$$国王「う、うぎゃぁぁあああ!!?」

魔兵「こちら二班、子供たちを保護! 薬物汚染の可能性あり!」



女勇者「ふー、ふー…よ、よし、次…」





魔兵「こちら##国の六班、少年十名を保護!」



女勇者「はあ、はあ、はあ……!」





魔兵「こちら…!……!!」


魔兵「……!………!…!」


女勇者「ふう、ふう……はぁっはぁ…!」

半魔少年「ゆ、勇者…っ」





-----どうやら、勇者が力を失うとき、っていうのは…

こういうことを指していていたみたいです






ごめん、父さん、母さん……


半魔少年「勇者が、勇者がーーー!」

兎剣士「魔女殿!勇者殿が倒れたぞ!!」

魔女「何て無茶をしよって…こんな血ぃ吐くまで誰にも言わんかったんか、この子は!」

賭博師「本当にごめん、気がつけなくてごめん、勇者…!」





女勇者「げほっげほっ…!」

薬魔王「…全然違うから、勇者の力が無くなるとかそういう状況じゃないから」

半魔少年「お、お父さん…」

薬魔王「ふふ、父と呼んでくれるか…嬉しいものだな…」

薬魔王「で、勇者なんだが、これは薬の過剰摂取だ」

薬魔王「一日一錠、二日続けて服用後は三日間休薬っていうルールを守らなかった結果だ」

魔女「……この、バカタレ!」 ベシンッ

女勇者「おあべっ」 ビクッ

薬魔王「まったく…子供たちのためとはいえ、こんな無茶をしていては親たちが素直に喜べないだろう!」 拳骨

女勇者「ごめんなさい」 タンコブ




薬魔王「はい、そんなわけで誘拐された子供たちは全員救出されました!」

薬魔王「救出に協力していただいた勇者一行と全ての部隊に大きな感謝を!!」

         ワァァアアアア!!

薬魔王「命はあっても、怪我や薬物被害、それらは許されるものではない!」

薬魔王「必ず元気な状態で帰宅できるように尽力しましょう!」


            ワァァアアアアーーーー!!

乙!




数日後。。。

薬魔王「本当にありがとう、気をつけて帰ってくれたまえ」

女勇者「こちらこそありがとうございました」

薬魔王「報酬とかその他もろもろは国王経由で届くから楽しみにしておいて」

薬魔王「これは個人的なお礼とお土産だ、上級編集の常備薬セット」

女勇者「え、ちょっとこれは!さすがにいただけませんよこんな高級品!」

賭博師「うわー!!御貴族様御用達クラスじゃないか!」

薬魔王「子供たちを無事に親元へかえせる、妻の忘れ形見に会えた、その事への感謝だ」

女勇者「そ、そうですか…ありがとう存じます」

薬魔王「ああ、それでは皆、気をつけてな」

女勇者「それではまたいつか」

魔女「次くるまでせめて長生きなされよ、魔王様」

兎剣士「失礼いたします」

賭博師「じゃ、さよならっす!」





薬魔王「…本当にいいのか?」

半魔少年「はい、僕はここに残ります」

薬魔王「そうはいっても、跡継ぎには…」

半魔少年「僕は、魔王になりたくて残る訳じゃありません」

半魔少年「人間と魔族、両方の役に立てる薬師になります、そのための最高の環境に身をおきたいと思ったからです」

薬魔王「…そうか」

ルー「キャウー…」 バサバサ

半魔少年「ルー、残ってくれてありがとうね」

ルー「キュ!」




女勇者「ぐずっ…ずず…」 ウズクマリ



兎剣士「勇者殿…」 オロオロ

魔女「ほうっておけ、兎」

賭博師「まさか半魔君、残るって言うとは思わなかったなぁ…」

魔女「ちゃんと先を見据えての決断じゃ、応援する他無い」



女勇者「…… ん、よし!」 顔バチンッ!

女勇者「皆お待たせ! 帰ろう、人間界に!」

兎剣士「はっ!」

賭博師「りょーかーい」

魔女「うむ」

乙!

おつおつ

ありがとうございます。




魔界中央管理所。。。


魔族受付嬢「はい、全員分の通行証返却を確認いたしました」

魔族受付嬢「半魔少年様につきましては、薬魔界王城より定住連絡を受けております」

魔族受付嬢「ではこちらの帰還証明書類に勇者様のサインをお願い致します」

女勇者「はい」 カキカキ

魔族受付嬢「…はい、確認終了でございます、お疲れ様です」

全員「「ありがとうございました!」」





女勇者「賭博師君の怪我も治療終了にしてもらったし、もう魔界でする事無いよね?」

兎剣士「そうですな」

賭博師「おう! しかし本当に魔界の…というか薬魔界の医療ってすげえな」

魔女「さて、魔界と人間界を繋ぐワープ装置の場所はどこだったかのう」

兎剣士「1番と2番ゲートの間でしたな」


女勇者「……(半魔くん…)」


おつん

乙!



。。。。。


今、こうして自伝を残している私の腕には、楕円形の凹みがあります
人間界に戻ってきた一週間後、なんの前触れもなく魔石が抜け落ちたからです
賭博師君が慌てて拾ってくれて、押し込もうとしてくれましたが、私の腕は傷ひとつなく、普通の皮膚がありました
約束どおり、賭博師君に譲ろうとしましたが、結局首を縦に振ることはなく、私の手元に残っています

(中略)

仲間のその後について、少し触れようと思います

私の一番の親友、魔女ちゃん
半魔少年に魔法を教え、メキメキ上達していく彼の姿を見ていたときの達成感
そして自分の編み出した特殊魔法を、後世に残すのも悪くない、という謎の使命感からか
故郷から魔法使いを呼び、魔法学校を作ってしまいました
まだ2クラスしかありませんが、元気一杯な生徒たちのいたずら魔法で賑やかな毎日だそうです

魔女ちゃんの恋人、兎剣士君
パーティを組む前は冒険者だった彼のこと、おそらくまた旅に出るのだろうと思っていました
けれど、どうやら魔女ちゃんの学校で剣術の先生をしたいそうで、今は実家の剣道場で師範の資格を得るため修行中なんだとか
魔女ちゃんの結婚は、いつになるのやら…早く結婚披露宴の招待状がこないかな、とやきもきしています

賭博師君は相変わらずのようです
更なる高みを目指すため、どこぞの国でカジノ経営を任されちゃったそうです
なんか赤字と黒字をガックンガックンいったりきたりで、楽しいそうです
今度久々に会う約束をしましたが、怖くて仕方ないです

そして、半魔少年とルーちゃん
御父様である前薬魔王の最期を看取り、叔父の新薬魔王を影ながら支える、凄腕の外科医になった…らしいです
患者さんが手術を受けるために遠くの病院へ移動する距離を少しでも縮めて金銭面や精神的負担を軽くするための、
遠隔操作による魔法手術方を完成させるため、世界中の薬魔族医師を訪ねてまわり、遠隔装置を地方各地の病院に設置したり…
でも、彼の名前は表舞台にほとんど出てきません
なにより、私が勇者を引退することになったため、魔界の詳しい情報を集めるのは一苦労で…
あ、ルーちゃんは月一くらいで遊びに来ています
半魔少年のお土産なのか、魔界の果物やお芋をもってきてくれます (私の好物何で知ってるんだろう…)
でも、お土産とお手紙を持たせてルーちゃんを見送ること数回、一度も返信はありません
多分人間界と連絡を取るのが良くない立場にあるのかな、と思っていますが、さびしいです

ちなみに私は、軍人恩給ならぬ勇者恩給で、実家のある田舎でのんびり暮らしています
やっと会えた両親には、弟と妹が出来ていてなんだか…実家、という認識がしずらく、空き家を買い取って一人暮らしです
勇者のお話をせがんでくる弟妹はとてもかわいいのですが、あまりに時間の流れが違いすぎて、困惑ぎみです
でも…畑仕事、お祭りに準備から関われること、ごく普通のご近所付き合い
皆には当たり前のはずだった日常が、私には全部が初めてで、全部が大切だと感じられています

私は、ごく普通に生きていくことを選択しました
勇者としての活動は、この自伝の完成をもって最期といたします

 (後略)


なんかアニメのドラクエ思い出す打ち切り感がヤバい

>>160
すいません、見たことありませんので、偶然だと思います
失礼しました



女勇者「………だぁぁぁっ!!ダメだ、なんかヤダ!!私はこうじゃない!!」 グシャグシャポイッ!

女勇者「これじゃありきたりすぎる!何か本でこんなオチ読んだ気がするのよ!これじゃダメだぁあああ!」

女勇者「はぁ、担当さんに相談しよっと…」 手紙ゴソゴソ

女勇者「…一人暮らしはじめてから、独り言増えたなぁ…」

女勇者「よし、気分転換に夕飯の食材買い出し行ってこようっと」



ルー「キャウーーーッ」

女勇者「あ、ルーちゃん!久しぶりだね」

ルー「キュイ、キュ!」 カプッ グイグイ

女勇者「? 珍しいね、ルーちゃんが甘えてくるなんて」

ルー「ギャウ!」 ゲシッ

女勇者「あて、ごめん冗談だよ どこにつれてくの? …まあ聞いたところで喋れない訳だけど」

ルー「キャウ!」 パタパタ

女勇者「はいはい、ちゃんとついて歩いてますよー」

乙!



女勇者「ルーちゃん、その先は水神様の泉だよ、そこから奥には入っちゃダメって………え?」



半魔少年「やあ、勇者」

女勇者「半魔くん!!」

女勇者「え、ちょ、一瞬分かんなかった!どうしてここに!? あとすごい逞しくなったね!」

半魔少年「ごめんね、いろんなことがありすぎて…連絡もとれなくてね」


半魔少年「なんか叔父さんが魔王になることを反対する派閥が出てきちゃって、僕を魔王にすべきだってなって」

半魔少年「ちょっと戦争になりかけて、叔父さんとあちこち駆けずり回ってたよ…本当に無意味な争いだった…」

女勇者「だから返信できなかったんだね…でも荷物は届いてたし、疑問はあったけど心配してたんだよ?」

半魔少年「ごめん…検閲とかあったから手紙を託すのは危険だなって思って」

女勇者「とにかく、無事でよかったよ」

半魔少年「ありがとう、勇者…会いたかった…」



半魔少年「今、魔界と人間界両方で患者さんをみれるように、双方を繋ぐゲートつきの病院をたてる計画があってね」

半魔少年「また当分会いに来れそうにないんだ、でも必ず遊びにくるからね」

女勇者「そっか、また寂しくなるよ…」

半魔少年「とりあえずこれ、はい」

女勇者「? …これって、魔宝石?」

半魔少年「うん、次会いに来るまで預かっておいてほしいんだ」

半魔少年「で、それを使って作りたいものがあるの、ポケットに入れておくだけでいいから持っててね」

女勇者「う、うん わかった  綺麗だねー、高かったんじゃないの、これ」

半魔少年「まあまあ、気にしないでよ」

半魔少年「じゃ、またくるね またねー!!」 フシュンッ

女勇者「ちょっと! その先は行き止まりーー…ってあれ、あれってゲート?」

ルー「キャウ」

女勇者「あわただしいなあ、ルーちゃんも、もういくの?」

ルー「キュイ」 コクコク

女勇者「そっか…またね」

ルー「キュッ!キュキュー」 パシュン







女勇者「……やばい、泣きそう…」

女勇者「あーぁ、好きだって、言いそびれた」



半魔少年「ごめん勇者、言い忘れてた」 ニュッ

女勇者「うわぁあ!?」 ビクーーーンッ

半魔少年「今度は、求婚しに来るつもりなので、ご両親に色々と連絡させてもらうんで、驚かないでね」

女勇者「……………………は!!?」

半魔少年「叔父さんにはもう根回しずみなんで、心配しないでね、じゃまたねー」 パシュンッ

女勇者「え、ちょ、はーーーーーぁぁぁああああああ!?!?」






そんなわけで、「一緒にいこうよ」 終了でございます
後半、間隔開きすぎて本当に申し訳ありませんでした
この先はどうぞコノヤローな想像で補填してやってください
本当に体弱々ですみません

ここまで読んでいただいて、本当にありがとうございました






急激な風呂敷まとめ感が逆に面白かった

面白かった乙!

乙乙

ありがとうございました

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