のび太「ドラえも~ん!」 ペルニダ「……」 (70)

BLEACHとドラえもんのクロスSSです。

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練馬区!
言わずとしれた都内! そして、日本屈指のいじめられっ子、野比 のび太が住む町である!

「うわあああああん!」

その日、のび太はいつもの様に、剛田 武――通称ジャイアン――にコテンパンにされて自宅に帰ってきた。

「くそう、こうなったらドラえもんに道具を借りてやる……」

彼は親友である、ねこ型ロボット、ドラえもんから未来の道具を借りての仕返しを企んでいた……
家に入ると、一目散に自分の部屋に向かう。

「ドラえもん! ドラえも……ん……」

だが、のび太の部屋にいたのはいつもの蒼く丸いロボットではなく、
全身をフーデットコートですっぽりと隠した人物であった。

クソワロタwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

面白かったわ

ありがとう!

乙!

以下IDを変えた俺の自演

面白かったです!

ペルニダって誰や、石田とかチャドしか知らんわ


「……」
「……」

コートの人物は、まるで当然と言わんばかりに、のび太の部屋の本棚の前に堂々と座っている。
確かにそこはドラえもんの定位置だ。彼はいつも、その辺りでマンガを読んでいる。
だが、今のび太の目の前にいる人物は、彼の知るドラえもんの姿とはかなりかけ離れていた。

「……」

のび太は考える。

(だ、誰だろうこの人。ママの知り合いだったら、下で待っているだろうし……ドラえもんの知り合いだったら、僕に何も言わないのも変だし)

正直おーぷんでこんな泣くとは思ってなかった

文才ありすぎだろ

なんか創作意欲沸いてきた

おーぷんでSS書くと荒らしが湧く謎の法則あるよな

続き俺が書いてもいい?

なんやこの荒らし


失礼とは思いつつも、のび太は目の前の人物を観察することにした。
その人物の着ているコートは、非常に飾り気のないデザインでありながらも、
ファッションに疎いのび太でさえ、高級そうな生地を使っているということが理解できた。
そして、コートの左胸から腰にあたる部分には、まるで紋章のような五角形の星のような模様がデザインされている。
フードを被っているものの、顔にあたる部分はさすがに空いている。
しかし、その部分は異常なまでに陰になっていて、その中にあるであろう素顔は一向に見えなかった。

そして、のび太を注目させたのは頭の部分だ。

フードの上からでも、その人物の頭にあたる部分が妙に大きいのが感じられた。
通常の人間であれば、頭より体の方が幅があるわけなので、コートを着ても肩の部分は浮き出るはずである。
だが、その人物は肩ではなく頭が大きく浮き出ていた。
それを見て、のび太は一つの推測をした。

(もしかしてこれ、ドラえもんなのかな?)

>>13
荒らしが連投しててちょっと引いたわ


奇しくも、彼の友人であるドラえもんも体より頭の方が大きい。
彼がコートを着たら、ちょうどこんなシルエットになるかもしれないと、のび太は考えたのだ。

(きっとこのコートはドラえもんの道具か何かなんだ)

そう考えたのび太は、コートの人物に訴えかける。

「聞いてくれよドラえもん! ジャイアンに仕返ししたいんだよ!」
「……」

コートの人物は一向に声を発さない。
のび太はコートの人物に近づいて顔を見ようとしたが、どうあっても顔は見えなかった。

「あ、あの、ドラえもんさん……?」
「……」

だんだんと不安になってきたのび太は、ひとまずこの部屋から出ようと考えた。


「ふん! ドラえもんが協力しないならいいよ! 僕が一人でジャイアンに立ち向かってやる!」

普段の彼なら絶対に口にしないであろう台詞を言って、立ち上がろうとしたその時、

「……」

コートの人物がものすごい勢いで、のび太に詰め寄った。

「え? な、なになに!?」

突然の事態に理解が追い付かないのび太だったが、なんとか言葉をひねり出す。

「え、えっと、ドラえもん。僕が一人でジャイアンに仕返しするから、君は休んで……」
「……」

だが、コートの人物はますますのび太に詰め寄ってくる。
ここまで近づいているのに全く顔が見えない人物に詰め寄られて、激しく恐怖したのび太は思わず口にした。


「ド、ドラえもんも、一緒に来てくれるかなぁ……なんて」

そう言うと、コートの人物はのび太から離れて、部屋のドアを開ける。
手を使っていないのに、ドアが勝手に開いたように見えたが、のび太は見て見ぬふりをした。

「え、えっと……」
「……」

コートの人物は早く来いと言わんばかりにのび太を凝視する。
仕方がなく、のび太はコートの人物と共にジャイアンのいる空地に行くことにした。
正直な所、のび太は思った。

(あれ、これドラえもんじゃないんじゃない?)

だが、「ドラえもん、ちょっとそのコート脱いでみてよ」とは怖くて言えなかった。


空地……
ここは、のび太を初めとする近所の子供たちが遊ぶ場所である。
ここで繰り広げられるのは、ある時は下手なドラマより感動的な友情劇であったり、
ある時は、地獄の鬼でさえ裸足で逃げ出すほどの惨劇でもある。
そして……この空地において、唯一であり絶対の存在であるのが、日本が世界に誇るガキ大将、ジャイアンであった。

「それでよぉ、のび太のやつをちょっと脅かしたら、うわああああん! って逃げて行ったんだぜ」
「あははは、のび太らしいや」

ジャイアンの隣にいるのが、超小学生級の腰巾着、骨川 スネ夫である。
この町で、この二人に敵うものはいないと思われていた。

だが、その幻想は今日打ち砕かれることとなる。


「それでよぉ、のび太のやつをちょっと脅かしたら、うわああああん! って逃げて行ったんだぜ」
「あははは、のび太らしいや」

ジャイアンの隣にいるのが、超小学生級の腰巾着、骨川 スネ夫である。
この町で、この二人に敵うものはいないと思われていた。

だが、その幻想は今日打ち砕かれることとなる。

「ねえ見てよジャイアン、のび太がやってきたよ」
「さては、またドラえもんに道具を借りてきやがったな。返り討ちにしてやるぜ」

のび太を見た二人は、またコテンパンにしてやろうと邪悪な笑みを浮かべる。

「おいのび太。お前ひとりなのか? ドラえもんを連れてこなくていいのか?」
「のび太ぁ、またドラえもんに泣き付いたんだろ? ドラえも~んって感じでさぁ」

のび太を嘲笑する二人だったが、彼が後ろをきにしていることに気づいた。

「おっ、さてはそこにドラえもんが隠れているんだな? おい! でてこい……よ……」

あげ

支援

この前の人か

再開

お!この前の人か!
期待


ドラえもんを待ち受ける二人の目に飛び込んできたのは、丸くも青くもない人物の姿だった。
その見た目は、未来のねこ型ロボットというより、漫画やゲームに登場する黒魔術師と言ったほうが近い。
予想外過ぎる展開に、思わず二人は顔を見合わせた。

「……ねえジャイアン、誰あれ?」
「お、俺が知るかよ。のび太の知り合いなのか? あいつ、なんかおかしな繋がりとかあるのか?」

ひそひそと話し合う二人を前に、のび太はコートの人物に話しかける。

「……ねえ、ドラえもん。ジャイアンがいたよ……」


何か気まずそうではあるが、のび太がコートの人物に話しかけたことで、二人の緊張が幾何か解けた。

「あ、あれドラえもんなのか?」
「まあ、のび太といっしょにいるわけだし、よく見たら頭の部分がでかいし……そうなんじゃない?」

若干自信が無さそうにスネ夫が推測を立てるが、
ジャイアンは平静を取り戻しつつあった。

「へへ、そうか。そいつはドラえもんなのか。中々変わったファッションセンスをしているじゃねえか」

ジャイアンは金属バットを手にして、コートの人物に近寄る。
そう、彼はガキ大将なのだ。ガキ大将である自分が、支配している相手に退くわけにはいかない。
これは、彼のアイデンティティーであり、プライドだった。


そして、自分を一瞬でも動揺させたドラえもんにはきつい罰を与えねばならない。

「よくも俺様を脅かしやがったな。メッタメタのギッタギタにしてやるぜ」

そしてジャイアンは金属バットを振りかぶる。

「覚悟ー!」

だがその時、

「……~~」

コートの人物の頭にあたる部分がモコモコと蠢き、何かの呻き声のようなものが発せられた。

「えっ!?」


その直後、ジャイアンが持っていた金属バットが、まるで握り潰されたアルミ缶のようにへこむ。

「わわっ!!」

思わずバットを手放したジャイアンだったが、バットは尚もあちこちがへこみ続け、ついには折れ曲がってしまう。

「……」

地面に落ちたバットはどんどん変形を続け、最終的にはボールのような球体に近い状態でコロコロと転がった。

「……」
「……」
「……」

変わり果てたバットを見る三人の間にある確信が芽生える。

(やばい……これドラえもんじゃねえ……)


三人の考えていた通り!
この人物は22世紀のねこ型ロボット、ドラえもんではない!

その正体は……
見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)が擁する精鋭部隊、星十字騎士団(シュテルンリッター)の一員であり!
皇帝ユーハバッハから“C”の聖文字(シュリフト)を授かった滅却師(クインシー)!

ペルニダ・パルンカジャスその人である!

星十字騎士団の一員であり、尚且つユーハバッハの親衛隊のメンバーであるペルニダは、
その名誉ある地位に就いている故に多忙であった!
そして遂に、二年ぶりに休暇を取ることが許されたペルニダは現世へと繰り出したのである!
ペルニダが影の領域(シャッテンベライヒ)から出てたどり着いた場所は、練馬区ののび太の部屋であった!
そして、ペルニダがのび太の部屋に出現したのは、のび太が部屋に入る直前であった!

そして……今に至る!

唐突なハイテンションに草不可避
ドラえもんでもなくブリーチでもなくジョジョじゃねぇか


地面に転がるバットであった物体を見て、ジャイアンの心に再び恐怖が芽生える。

「ははは……今日は結構、気分も悪くないしな。か、勘弁してやるよ」

あくまで自分の方が地位が上だと主張しようとするが、
上ずった声でのその発言は、スネ夫とのび太でさえ虚勢とわかるものであった。

「じゃあ……俺たちは帰ろうかな」
「そ、そうだねジャイアン」

ここにいてはまずい。
そう判断した二人は、のび太とペルニダを置いて帰ろうとした。
そう、ペルニダは彼らの前にいたのだ。
だが、二人が帰ろうと後ろを振り返った瞬間。

目の前にペルニダがいた。


「……!」

驚きのあまり声も出せなかった二人。
空地には出口が二か所ある。もう一度振り返ってもう片方の出口に向かう。
だが、やはり瞬時にペルニダが動き、二人の進路を塞ぐのであった。

「え、えっと。どうしたのかなぁ、ドラえもん?」

ひきつった笑顔でペルニダに問いかけるスネ夫。
ドラえもんと呼んだのは、まだこの事態がドラえもんの悪ふざけだという可能性を捨てたくなかったからである。
だが、ペルニダは空地の端にある土管に顔を向ける。


「え、なに?」

頭を土管の方向に何度も動かすペルニダ。
どうやら、あの土管を見ていろと言いたいらしい。
三人が土管を見てみると……

土管が大きな音を立てながら、何か所も穴を開けられ。ついには粉みじんになっていった。

「……」
「……」
「……」

ジャイアン、スネ夫、そして察しの悪いのび太でさえ、この無言の忠告の意味を理解した。


――逃げたら殺す。

ペルニダさんこえぇえええ


二分後。

「じゃ、じゃあキャッチボールでもやろうか……」

キャッチボール。
野球の本場、アメリカではもちろん、ここ日本でもコミュニケーションの手段として名高い。
ジャイアンとしては、キャッチボールをすることで少しでもこの凍てついた空気を溶かそうと考えたのだ。
グローブは右用のものがちょうど四つある。ジャイアンたち三人はそれぞれグローブを手にした。

……だが、ペルニダは地面に置いてあるグローブをじっと見つめたままだ。

「え、えっとドラえもん。グローブ、嵌めないの?」

恐る恐るのび太が質問するが、その直後にあることに気が付いた。
さっきから、この人物は全くコートの下の実体を見せてこない。
グローブを嵌めるということは、コートの下にある腕を出さないといけないのだ。
だが……

「……」
「……」
「……」

もし……その手がペタリハンドではなかったら?


ペタリハンド。
22世紀の技術で作られた、ドラえもんの手の形状のことである。
完全な球体に近いその形状は一見、物を掴む、操作するなどの行為に向いていないように見える。
しかし、その手からは牽引ビームと呼ばれるものが放たれており、人間と同じように物を掴むなどの動作が出来るのだ。
当然、ドラえもんはキャッチボールも出来る。

だがしかし、もしこの人物がドラえもんで無い場合、その手はペタリハンドではありえない。

そう、この人物が出した手の形状によって、のび太たちの心に宿るのは希望か絶望かが決まるのだ。


ペルニダは、尚も腕を出そうとしない。

「あ、あの……グローブどうぞ……」

堪えられなくスネ夫が、思わずグローブをペルニダの前に出す。
スネ夫は願っていた。

(頼む……ペタリハンドであってくれ!)

この世で、ここまでペタリハンドを待ち望んでいた男がいただろうか。
だが、何と言われようとペタリハンドはこの三人にとっての希望なのである。

だが、グローブは突如スネ夫の手を離れると、ペルニダのコートの前あたりにフワフワと浮かんだ。

「あ、ははは、じゃあ始めようか……」

希望でも、絶望でもない、なんともモヤモヤした気持ちが三人の心に去来した中、キャッチボールは始まった。


パンッ
パンッ
パンッ

「……」
「……」
「……」

今まで、ここまで重い空気の中で行われるキャッチボールがあっただろうか。
ミスをしても誰もからかったり、けなしたりしない。
誰かがふざけて速いボールを投げたりもしない。
あるのはただ、不必要な緊張感だけである。


「……」

そんな中、ペルニダは特に構えることも無く、ボールをずっと目で追っていた。
未だ、ペルニダにボールは回ってこない。
怖いのだ。どんなボールが返ってくるのかが。

「……」
「……」

ジャイアンとスネ夫は、のび太にアイコンタクトを送る。
「お前があいつに投げろ」と。
当然のび太は拒否したかったが、この空気に耐えられないのも確かであった。


そして遂に、のび太がペルニダに向かってボールを投げる。

そのボールはのび太にしてはコントロールが良かった。
事実、ペルニダは難なく捕球したのだ。
だが……

「……」

ボールがグローブに収まったまま、キャッチボールは中断した。
そう、捕球したのはいい。
だが、今度はボールを投げなければならない。

グローブを嵌めていないほうの腕で。


そう、今度こそ決まるのだ。のび太たちの未来の道が。
果たして自分たちは助かるのか? 
それとも、このまま絶望に覆われて死ぬしかないのか?
その二つしか、彼らの道は無いかと思われた。
しかし――

「……! ~~~~!」

再び、ペルニダから呻き声のようなものが発せられる。
そして、

ポヒュッ!

突如、ボールに穴が開いたかと思うと、はるか上空に飛んで行ってしまい、そのまま落ちてこなかった。

「……」
「……」
「……」

「……やめようか、キャッチボール」

当然のごとく、ジャイアンとスネ夫はのび太の言葉に同意した。

中断
今日はここまで、続きは後日

怖すぎワロタ

再開


三分後。

「サッカー……しましょう……」

もはやガキ大将というより、文学少女かと思われそうなテンションになったジャイアンが提案する。
幸いにも、サッカーボールはあった。
この流れなら、2対2で対決するのがセオリーだ。

「……」
「……」
「……」

だが、三人の頭にある懸念が生じる。
そう――

(……一体、どちらにつけば安全なんだ?)


組み合わせ。
つまり、誰がペルニダと組むかという問題である。
普通に考えて、こんな得体の知れない人物とチームなど組みたくない。
だが、1対3などという提案をすれば、その瞬間三人の首は明後日の方向に曲がっている可能性がある。
だから、2対2でサッカーをするしかないのだ。
しかし、ここで問題があった。

ペルニダの敵になるか、味方になるか。


得体の知れない力を持つ人物である。
これが戦争であれば、三人ともペルニダの味方に立候補するだろう。
当然だ。この人物を敵に回すということは、すなわち死を意味する。
しかし、今から行われるのはサッカー。
そう、ペルニダにパスを出さなければならない。

もし、下手なパスを出してしまったら?

考えたくもない。しかし、視界の端に映る粉々の土管がその考えを頭から離させなかった。
しかし、逆に敵に回してしまったときはどうなるか。

もし、あの人にシュートを撃たれたら?

「……」
「……」
「……」

のび太たちは、数々の冒険を共に潜り抜けてきた仲間である。
しかし、今の状況ではそのことは忘れなければならない。

誰か一人は死ぬ可能性がある今は、忘れなければならない。

なんだこれ

あげ

まだか

再開


だからこそ、この組み分けは三人にとって希望を掴み、他人を絶望に突き落とすためのものであった。

「じゃ、じゃあ、グーパーで分かれようか」

黙っていてはまずいと判断したスネ夫が、何気なく提案する。
しかし、

「……」
「ひいっ!」

その提案はペルニダの機嫌を損ねるに十分なものだった。
そう、腕を出さなければならないからだ。
今、スネ夫の眼前にペルニダの顔が迫っている。当然、顔は見えない。

「あ、あああああの」
「ス、スネ夫~、何言ってるんだよ! ドラえもんはグーしか出せないだろ?」
「あ、あああ、そうか、すっかり忘れていたよ、あははは……」
「……」

本物のドラえもんも、ジャンケンを嫌がる理由があったことを思い出したジャイアンの機転により、
何とかペルニダの機嫌は直ったようで、スネ夫から引き下がる。


しかし、依然として組み分けは出来ないまま。
まずい、このままでは本当に首を折られかねない。
そう考えたのび太は、一つの賭けに出た。

「ド、ドラえもん、僕と組もうか」

突然の提案、いや、これは提案などではない。
博打。野比 のび太は小学生にして、自分のこれからの未来全てを賭けた博打に打って出たのだ。
これに目を丸くしたのはジャイアンとスネ夫である。
あののび太が博打に打って出たこともある。

しかし何より、これで自動的に自分たちはペルニダの敵となった。

それを認識した瞬間、二人の脳内にとてつもない後悔が襲う。
廊下に立たされた時に、「ちゃんと宿題をやっておけば良かった」と考えるレベルの後悔ではない。
言うなれば、文字通りの致命的ミス。
無人島に漂着し、助けに来た船に寝過ごして乗れなかったかの如く。
この二人にとっては、ペルニダの味方という立場は乾ききった体に一滴だけたらされた水のように全身が欲しているものだった。


「え、えっと」

思わず、ペルニダに組み合わせの再考を持ちかけようとしたスネ夫だったが、
既にペルニダはのび太の隣に立ってしまった。

「……」

こうなっては仕方がない。
この状態で生き残りの道を模索するしかない。
そして一方で、ペルニダの味方となったのび太も依然気が抜けない状態だった。
そう、自分がミスをすれば、どういう事態になるのかは想像もつかない。

こうして、ペルニダ以外の三人にとってはワールドカップ以上の緊張感を伴うサッカー試合が行われた。


「え、えっと」

思わず、ペルニダに組み合わせの再考を持ちかけようとしたスネ夫だったが、
既にペルニダはのび太の隣に立ってしまった。

「……」

こうなっては仕方がない。
この状態で生き残りの道を模索するしかない。
そして一方で、ペルニダの味方となったのび太も依然気が抜けない状態だった。
そう、自分がミスをすれば、どういう事態になるのかは想像もつかない。

こうして、ペルニダ以外の三人にとってはワールドカップ以上の緊張感を伴うサッカー試合が行われた。

間違えた


「……」
「……」
「……」

無言である。
サッカーという競技は、状況が絶えず変化する。
そのため、チームメイト同士がお互いに声を掛けあって、仲間との連携を円滑にしなければならない。

だが、今回の試合にはそれが全くなかった。

あるはずがないのである。
ここに来てから、全く喋らない人物がいるのだから。


全く盛り上がりの無い試合展開の中、のび太にボールが渡った。
のび太としては、定期的にペルニダにボールをパスしている。
そうでなければ、何をされるかわからないからだ。
だからこそ、今回もペルニダにパスをした。

だが、のび太の予想に反して、ボールは高く浮いてしまう。
そして、ペルニダの丁度顔の辺りに吸い込まれていった。

「あっ!」

時すでに遅し。
のび太がミスに気付いた時には、ボールはペルニダに直撃して跳ね返ったあと、地面に転がって行った。


「……」
「……」
「……」

体が震える。
ついに来てしまったのだ、この時が。
誰ものび太を責めない。のび太も自分を責めない。
わかっているからだ、責めた所で自分たちは助からないことを。
ペルニダは動かない。自分に当たったボールを見つめている。

のび太たち三人は、そう遠くない自分たちの処刑の時間を待つほか無かった。

「のび太く~ん」

その時だ。救世主が現れたのは。

「!!!!!」

三人が同時に声の方向を見る。
空地の入り口、そこには、
絶対的な蒼、科学技術の結晶である腕、もはや芸術的な丸さを帯びた顔。

――ドラえもんが、立っていた。

どっちが強いんだ…?


「ドラえもん!」
「ドラえもんだ!」
「真(リアル)ドラえもんだ!」

「え、何!? 真ドラえもんって何!?」

たまたま空地でのび太たちを見つけたため、声を掛けたドラえもんは予想外の反応に困惑した。
しかし、三人は構わずドラえもんに抱き着く。

「わ、わ、どうしたの!?」
「ドラえもん、聞いてくれよ! あの人がドラえもんのふりをして僕らをいじめるんだよぉ!」
「あの人……?」

のび太のただならぬ様子を受け、ドラえもんは空地にいる人物を見る。
そこには、コートをすっぽりと被った怪人物が立っていた。

「いや……あの人、僕とだいぶ見た目違わない?」
「ま、まあそうなんだけど、すごい自然に着いてきたから……」

釈然としない思いはあったが、とりあえずドラえもんはペルニダに喰ってかかる。


「こら! ぼくのふりをしてのび太くんをいじめるなんて許せない!
 こんなやつは……これでやっつけてやる!」

そう言うと、ドラえもんは特殊な見た目をしたライフルに似た武器を出した。

「熱線銃~! これは一発で高層ビルをけむりにしてしまう……」

武器の説明をしていたドラえもんだったが、既にペルニダの頭が蠢いていた。

バキッ! グシュ! ドゴォ!

あらゆるもの。
空地にの周りにあったあらゆる住宅、電柱、塀、建造物。
それらが全て、見るも無残に変形した後、破壊されていく。

ドラえもんは熱線銃を撃つのも忘れ、ただただ呆然とするしかなかった。


あらかた空地の周りの家が破壊された後、ペルニダはその場にうずくまり、何かを地面に置く。
そして、頭をゆっくり左右に振った後、ペルニダの影が持ち主を包んだ。
影がペルニダを覆い隠した後、影ごとペルニダは消えていた。

「……えーと」

突然すぎる事態に、頭が追い付かない四人は、とりあえずペルニダが置いたものを見た。
そこには、手のひらサイズの金属製の円盤と、手紙が置いてあった。

「て、手紙?」
「ドイツ語で書いてある。ほんやくコンニャクを食べて読み上げよう」


ドラえもんはほんやくコンニャクを食べた後、手紙を読み上げた。

『今日は、私の休暇に付き合ってくださり、心よりお礼申し上げます。
 感謝のしるしとして、私のメダリオンを差し上げます。
 死神から卍解を奪いたくなった時にお使いください。
 それでは、よい週末を。
                
            星十字騎士団 ペルニダ・パルンカジャス』

それを受けて、四人は思った。

(……いらねえ)

「……帰ろうか」
「そうだね……」

天災に見舞われたかの如く破壊された空地を後にした四人には、一切の会話がなかった。


「ペルニダ、帰って来たのか。どうだった休暇は?」

見えざる帝国の本丸、銀架城(ズィルバーン)に戻ってきたペルニダは、同じ親衛隊のメンバーから質問される。

「……」
「おっ、上機嫌だな」

戦いとなれば、親衛隊として容赦なく敵を抹殺するペルニダではあるが、
戦士にも休暇が必要なのである。

そして、その休暇が楽しいひと時であれば、上機嫌にもなる。

『陛下より、星十字騎士団に王命。星十字騎士団は全名、即時装備を整え、太陽の門へ集結せよ』

「おっ、ついに侵攻開始か。ペルニダ、メダリオンを持って太陽の門へ向かうぞ!」
「……!?」

まさか、メダリオンを子供にあげたなどとは言えないペルニダは、
卍解使いと遭遇しないことを祈りつつ、戦いの場に赴くのであった。


死亡確定だな、乙!

終わり!

ペルニダさん再登場記念

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