権現坂「ヌッ！」

柚子「どう？抜けそう？」

権現坂「抜こうと思えば・・・しかし硬すぎるぞ！」

遊矢「痛いからやめろよ権現坂」

権現坂「しかしだな遊矢よ。このままでは生活に支障を来たすぞ」

柚子「そうよ！」

遊矢「放っておいたら自然と抜けるんじゃないか？」

柚子「でも！」

遊矢「わかったよ。じゃあ引き続きよろしく頼む」

権現坂「ヌッ！」

遊矢「いててて！」

柚子「このままじゃ遊矢の頭にダーツが突き刺さったまま・・・沢渡の奴！」

遊矢「いててて！」

沢渡「俺があいつの頭にダーツを？ハハハ！冗談言うなよ」

柚子「でも沢渡のダーツなのよ！」

「沢渡さんはな！非常識だけど人にダーツを当てる人間じゃないぞ！」

柚子「当てたじゃない遊矢に」

「外では吸盤式のを使うんだ！そうッスよね沢渡さん！」

沢渡「そらそうよ。ダーツを人に当てる奴はデュエリストとして失格って事だ」

柚子「でも当てたじゃない」

沢渡「だから吸盤式だって言ってるだろ！」

柚子「じゃあ沢渡じゃないのね？」

沢渡「いや一本失くした気がする・・・もしかしたら」

柚子「やっぱり沢渡じゃない！」

沢渡「変な言いがかりはやめろ。けど俺のダーツが悪さしたなら犯人捜しを手伝ってやってもいいんだけどな」

「榊遊矢のために動く沢渡さんってマジ男気全開ッスよ！」

沢渡「これは俺を落とし入れる罠かもしれないな・・・」

柚子「ほっとけば勝手に落ちるくせに」

セレナ「何をやってるんだ？」

沢渡「ゲッ！柊柚子2号」

柚子「遊矢の頭にダーツがね」

セレナ「榊遊矢の頭に？」

柚子「こいつのダーツがね」

沢渡「こいつ・・・じゃあ犯人捜しするか、誰を頼る」

柚子「何が？」

沢渡「俺はどうにかなりそうだけど、女の子2人じゃな・・・先輩呼べよ。万丈目とか」

柚子「あのね！先輩ばかりに頼ってちゃダメなのよ！」

セレナ「他人に頼るなんてデュエリストとして失格だな。けどお前の考えを採用してやる」

沢渡「こっちのお前は物分りいいな！どうだ柊柚子？」

柚子「はあ・・・」

柚子「絶対に頼ったりしない。遊矢は私が助ける！」

沢渡「ハッ！それが愛か？いいよね青春を謳歌してる奴らは」

セレナ「青春とは何だ？」

沢渡「ん？遊矢と柊柚子の事だ」

セレナ「それは2人が仲間だからだろ？仲間とは青春なのか？」

沢渡「いや・・・前から思ってたけどズレてるなこいつ」

柚子「事情があるのよ。ズレてるのは沢渡だって」

沢渡「その俺に噛みつくのやめろ。世間知らずとか言ってたな・・・俺の事は沢渡さんと呼んでいいんだぞ」

セレナ「お前と仲良くするつもりはない」

沢渡「くっ・・・顔が似てりゃ俺に対する態度もこれか」

柚子「遊矢に恨みがあるのか沢渡に恨みがあるのか・・・ダーツ事件の犯人は」

セレナ「私はこいつだと思うぞ。顔が悪人のそれに近い」

柚子「けど沢渡は小心者だし嘘ついても顔に出るしね・・・」

沢渡「さっきは犯人扱いしてたくせに」

遊矢「いててて！」

権現坂「深すぎる・・・否！ここで諦めるわけにはいかん！」

ユーゴ「何やってんだお前ら？」

遊矢「頭にダーツが刺さってさ抜けないんだよ」

権現坂「深く刺さりすぎてな」

ユーゴ「抜けねえ？紐か何かあるか？」

権現坂「襷ならあるぞ」

ユーゴ「そいつをダーツに括りな、そんで俺のDホイールで一気に引っこ抜いてやるよ！」

権現坂「なるほど！そのバイクの馬力ならば」

ユーゴ「バイクじゃねぇ！Dホイールだ！」

権現坂「お主のDホイールとやらの力を借りよう。遊矢を助けてやってくれ！」

ユーゴ「ならおっさん！そいつが引き摺られねえように押さえつけとけ！」

権現坂「うむ」

ユート「俺が遊矢を抹殺するために君のダーツで」

沢渡「俺に恨みがあって遊矢に恨みがありそうなのはお前しかいねえ！」

ユート「何故だ」

沢渡「この俺のデュエリストとしての勘！」

ユート「ネオ沢渡」

沢渡「おいおい、何時代の話をしているんだお前？今の俺はネオ・ニュー沢渡！」

ユート「面倒だから沢渡でいいか？」

柚子「ユートがするわけないじゃない！」

セレナ「あの沢渡は何次元のデュエリストなんだ？スタンダードとは思えんが」

柚子「沢渡次元よ」

セレナ「沢渡次元？そこにはあいつが多数生息しているのか！？」

柚子「うん」

セレナ「行きたくない次元だ」

ユート「とにかく俺は違う。他をあたってくれないか」

柚子「遊矢・・・どうなったかな」

遊矢「おーい柚子！」

柚子「遊矢！？頭は」

遊矢「抜けた！」

権現坂「Dホイールに乗った男に救われた」

柚子「ユーゴ？」

遊矢「ああ！」

沢渡「間違いなく俺のダーツじゃねえか！」

柚子「沢渡！」

沢渡「だから俺じゃないって」

遊矢「多分、沢渡じゃない」

柚子「じゃあ誰が」

遊矢「それは・・・」

柚子「痛くなる前に何か降ってきてチクっとした？」

遊矢「うん」

柚子「沢渡はどこでダーツ落としたのよ」

沢渡「学校？あそこしか落としそうな場所はないからな」

権現坂「するとダーツを落として下に居た遊矢に直撃したという事か」

遊矢「多分な」

柚子「多分なじゃないわよ！心配したんだから！」

遊矢「ごめん」

柚子「それに沢渡も学校にダーツなんて持ってきちゃダメよ！現に刺さったんだから遊矢に」

沢渡「あ、ああ」

柚子「けど手伝ってくれてありがとう。沢渡」

沢渡「お、おう・・・怖いなこいつ」

遊矢「柚子を怒らせるなよ。ムチャクチャ怖いんだから」

数日後

柚子「少しハゲてる」

遊矢「無理に引っこ抜いたからな・・・仕方ないさ」

柚子「遊馬くんや遊星さん達みたいに犯人捜しもできなかったし」

遊矢「それでいいんじゃないか？」

柚子「どうして？」

遊矢「俺達はこれからって事さ」

柚子「うん！」

遊矢「にしても今度は沢渡の頭にダーツが突き刺さるなんて」

柚子「お見舞いは甘い物でいいのよね？」

遊矢「何でも甘い物が好きらしいから」

柚子「でも悲惨よね。6本も刺さったらしいじゃない？上手い具合に跳ね返って刺さるなんて」

遊矢「ダーツ遊びは外でやるなって事だ。あれは室内用の遊びなんだから」

柚子「うん」





終

遂にDM次元からの登場かと思ったら違った