穂乃果「だからね、穂乃果は風邪引かないんだよっ」
穂乃果「自分で自分をバカって言ってどうするって? ちっちっ、そうじゃないんだなぁ」
穂乃果「近年流行りの、逆転の発想ってやつだよ」
穂乃果「穂乃果はバカだから風邪引かないんじゃなくてね、風邪を引かないためにバカであるよう心がけている」
穂乃果「…ってね。穂乃果が言いたいのはそういうこと!」
穂乃果「だから、テストでいつも赤点の危機に瀕するのも、海未ちゃんやにこちゃんに時々バカにされるのも、バカ正直に生きてるのも、風邪の予防にすぎないんだよ」
穂乃果「風邪は万病のもと。なら、その風邪を引かないためのおバカさは、なかなかに気高いステータスだと思うんだよね」
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穂乃果「それにね、バカだとすごい大胆になれるよ!」
穂乃果「他校のスクールアイドルを見て、個人じゃどうしようもないように思える廃校っていう大問題でも、スクールアイドルになってなんとかしようって思えた」
穂乃果「遠慮なんてしないから、歌の上手い子はもちろん、人見知りな子でも、現実的で真面目な子でも、スクールアイドルに誘うことができた」
穂乃果「天気にだって立ち向かえたよ。みんなに可能性を感じさせるために、雨だって、気合いで雲ごと吹っ飛ばしちゃったんだから!」
穂乃果「信じられない? でも、本当のことだよ」
穂乃果「…ちょうど、雨が降ってるね」
穂乃果「いいよ。それじゃあ、そんな泣きそうな目をしたキミにも見せてあげる。バカだからこそ起こせる奇跡を。バカだからこそ見せられる、可能性を!」
ダッ!
穂乃果「それで、外に出て前みたいに叫んでみたんだけど…」
海未『雨は止まず、びしょ濡れになって風邪を引いた、と?』
穂乃果「うん……」ゲホッ ゴホッ
海未『バカですかあなたは』
穂乃果「うん……」
穂乃果「だから今日は学校お休みするって、先生に…ウゲッホゲッホ」
海未『はぁ、分かりました。ですが、そういう連絡は普通、自宅からするものです』
穂乃果「ごめんね… お母さんも雪穂も、今日は朝早くからいなくて」
海未「そうでしたか。暖かくして、ちゃんと寝てるんですよ? 熱が下がったとしても無理して動かないこと。いいですね?」
穂乃果「はぁい…あ、海未ちゃん、できたらお見舞いでランチパックを」
海未「行きません。自業自得です。ではもうホームルームが始まるので切りますね。お大事に」
穂乃果「あ、待って海未ちゃ…!」
ツー ツー
穂乃果「切れちゃった……ゲホッゲッホ!」
穂乃果「はぁ…はぁ……」ズズッ
穂乃果(家のみんな帰るの遅いのになぁ… どうしよう)
穂乃果(思ったより重症だこれ。体温計取りに行く気力も出ないや)
穂乃果(気持ちわるい…)ゲッホ ゴッホ
穂乃果(寝よう…)
5
穂乃果「………」
穂乃果「ゲホッ ゴホッ」
穂乃果「………」モゾモゾ
穂乃果(………)
穂乃果(うぇぇ…しんどいのに、全然寝れない)
穂乃果「ゲホッ……」
カッチコッチカッチコッチ
穂乃果(………)
カッチコッチカッチコッチ
穂乃果(時計うるさい……けど、止めるの無理だ)
カッチコッチカッチコッチ
穂乃果(はぁ……)
穂乃果(そうだ、なんかいいことでも考えて気を紛れさせよう)
穂乃果(いいこと…うーん、いいこと…)
穂乃果(もし宝くじが当たったら、とか? うん、よさそう)
穂乃果(とにかくアレだね、パーッと使う!)
穂乃果(………)
穂乃果(もう終わった… 現実的じゃないせいか考えも膨らまないよ)
穂乃果(もっとリアルなネタにしよう)
穂乃果「ゲッホ! ゴホゴホッ! おぇ…」
穂乃果(うぇっぷ… 辛いよぉ〜)
穂乃果(こんな時に限ってお母さんも誰もいないなんて… こんなに看病されたい気分になったのいつぶりだろう)
穂乃果(………)
穂乃果(そうだ。看病される想像とかしてみようかな? もしかしたらプラセボ的な効果もあるかも(適当))
穂乃果(誰がいいかなぁ)
穂乃果(海未ちゃん…は来ないって言われたばっかりだし、ことりちゃんかな)
穂乃果(よし、ことりちゃんにしよう!)
ことり『穂乃果ちゃん、大丈夫? 風邪引いたって聞いたんだけど…』
穂乃果『ことりちゃん…わざわざごめんね』
ことり『ううん、気にしないで。ことりが勝手に来ちゃっただけだから』
ことり『具合はどう?』
穂乃果『あんまよくないかも……っ』ブルッ
ことり『震えちゃってる…… 寒いんだね』
穂乃果『うーん…お布団着てるんだけど、なんか中から冷えるような…』
ことり『そっかぁ。穂乃果ちゃん、ちょっと待っててね』
穂乃果『えっ? ことりちゃん?』
ことり『お待たせ〜』
穂乃果『それは…羊のぬいぐるみ…?』
ことり『うん! 中にね、湯たんぽが入るように昨日作ってみたの』
穂乃果『わぁ、なんかすごいあったかそうだね。さすがことりちゃんだよ』
ことり『えっへん。さっそく使ってみて、穂乃果ちゃん。ヤケドしないようにお水もちょっとまぜてあるから』
穂乃果『ふへぇ… もふもふのぬくぬくで気持ちいい…』
ことり『中から冷えるなら、中から温めないとね〜』
穂乃果『うん…… 芯からあったまってる…感じ……』
ことり『穂乃果ちゃん、他に何かしてほしいことある? お薬とか…』
穂乃果『……zzZ』スゥ
ことり『あっ…』
ことり『ふふ。おやすみ、穂乃果ちゃん♪』
穂乃果(さすがことりちゃん… そんな湯たんぽあったら今の穂乃果でも寝れるよ、きっと)
穂乃果「ゲッホ! ゴホッ…」
穂乃果(……他にも想像してみようかな)
穂乃果(うーん…良い看病をしてくれそうなのは)
にこ『穂乃果、入るわよ』
にこ『雨に飛び込んで風邪引くとか、アンタのバカも大概よね。それでいてバカなのに風邪引いちゃうなら、もうお手上げだわ』
穂乃果『うっ…ご、ごめんね』
にこ『いやいや、そこは何か言い返しなさいよ』
穂乃果『そんな気力もなくって』
にこ『調子狂うんですけどー』
穂乃果『………』
にこ『台所、借りるわよ』
穂乃果『えっ?』
グゥ〜
穂乃果『あっ…』
にこ『やっぱりね。どうせ朝から何も口にしてないんでしょ?』
穂乃果『う、うん』
にこ『大人しく待ってなさい。そうだろうと思って、材料は買ってきたから』
穂乃果『にこちゃん…』
にこ『はーい! にこにー特製のぉ、鮭たまご粥にこ! 美味しくなぁ〜れっ♪』ニコッ
穂乃果『ふ、ふふっ』
にこ『わ、笑うんじゃないわよ。あげないわよ?』
穂乃果『ごめんごめん。ありがとね、にこちゃん… 元気付けようとしてくれたんでしょ?』
にこ『ふん。美味しくなる魔法なんてよくあるじゃない。気分よ、気分』
穂乃果『アイドルじゃなくて、メイドさんだけどね』
にこ『別にそこを履き違えたわけじゃないし。ほら、生姜の葛湯も作ったから、これ飲んでさっさと寝る』
穂乃果『わぁ、なんか効きそうな匂いがする』
にこ『しばらく傍に居てあげるから、なんかあったら声かけなさいよ』
穂乃果『うん。ありがとね、にこちゃん』
穂乃果(…すばらしいよ、にこちゃん)
穂乃果(時折上級生っぽさというか、母性があるなあって思ってたけど、看病となるとそれが如何なく発揮されるね)
穂乃果(楽しくなってきた…! 次はどうしようかな)
凛『やっほー!穂乃果ちゃん元気ー?』
花陽『だめだよ凛ちゃん、病人なんだから、大きい声出さないで』
穂乃果『あはは…いらっしゃい』
凛『あんまり元気そうじゃないにゃ』
花陽『穂乃果ちゃん、大丈夫? あ、お邪魔しますっ」
穂乃果『うーん、熱もまだあるし、けっこうしんどいかな…』
花陽『そっか… ご飯は食べれてる? 食欲もないかな?』
穂乃果『実はちょっとだけお腹空いてるんだぁ。お腹もなんか重たくて調子悪いんだけど、朝から何にも食べてないと、さすがに』
凛『それならいいものがあるよ。じゃーん、極どろこってり濃厚塩バター豚骨醤油魚介風味噌ラーメン(激辛)にゃ!』
穂乃果『ひゃお…』
花陽『り、凛ちゃん! だから、穂乃果ちゃんは病人だってば!』
凛『大丈夫、味は凛が保証するから!』
花陽『味の問題じゃないよぉ』
凛『でもこれ食べたらすごい汗かくよ? 熱あるときは汗かいて寝るに限るにゃ」
花陽『そうかもしれないけど、もっと胃に優しいものにしなきゃ。お粥とか、ヨーグルトとか…』
凛『あ、ヨーグルトとかもあるよ。穂乃果ちゃん、食べる?』
穂乃果『いいの…? やった、もらおうかなっ』
花陽『ちゃんと穂乃果ちゃんの食べやすそうなものも買ってたんだねっ』
凛『ふふん。えらいでしょ』
真姫『それ、私が買ったほうがいいって凛に教えたやつじゃない』
凛『ま、真姫ちゃん!』
穂乃果『わ、真姫ちゃんも来てくれたんだ』
真姫『トーゼンでしょ。病院に行ってたら遅くなっちゃったけどね』
花陽『病院? 真姫ちゃんもどこか悪いの?』
真姫『私は健康よ。パパに処方箋書いてもらって、ちゃんと医療用の医薬品をもらってきたの。先に穂乃果に症状も聞いてたし、咳の薬と解熱剤、あと吐き気どめにもなるお腹のくすりももらってきたわ』
花陽『ええっ!? すごいけど、職権濫用じゃあ…』
真姫『細かいことはいいのよ』
穂乃果『ありがとう真姫ちゃん… 穂乃果ひとりじゃお薬も買いに行けなくって』
凛『あ、そうだった、食べ物食べ物。お薬飲むならちょうどいいにゃー』
凛『プレーンヨーグルトとプルーンヨーグルトとプッチンプリンがあるけど、どれがいい?』
穂乃果『迷っちゃうなぁ。なんか名前も似てるね』
真姫『あ、待って。それなら先にお薬飲まないと』
凛『えー? 凛知ってるよ、お薬は食べてから30分以内に飲むんでしょ?』
真姫『そういうのも多いけど、このお腹の薬は食べるより前に飲まなきゃいけないのよ。本当は30分前とかなんだけど…っ』ピリッ
真姫『ほら、説明書きにもちゃんと書いてあるでしょ? 食前に服用って』
花陽『本当だ…… あれっ? このお薬…』
穂乃果『プリンペラン? あは、可愛い名前だね』
凛『っていうかまた名前似てるよ。まさか真姫ちゃん、こんなシャレがやりたいからって凛にヨーグルトとプリン買わせたの!?』
真姫『ち、違うわよ! 偶然なんだからっ』
凛『いーや、絶対狙ったにゃ! ぷぷ、こんな手の込んだネタを用意するなんて、案外真姫ちゃんもお茶目さんだにゃー』
真姫『だからぁ! 違うって言ってるでしょー!』
花陽『ふ、二人とも! うるさくしないでってばぁ……! ああもう、ダレカタスケテー!!!』
穂乃果(結局、花陽ちゃんが一番大きな声で叫んじゃって…)
穂乃果(あはは、すごい賑やかで風邪のことも忘れちゃいそう)
穂乃果(……ようし、こうなったら、全員想像しちゃうもんね)
トントン
絵里『穂乃果、入るわね』スーッ
希『おじゃましまーす』
穂乃果『絵里ちゃん、希ちゃんも。ごめんねわざわざ』
絵里『なに言ってるの。仲間の、友達の一大事だもの。お見舞いくらいさせてよ』
希『そうやで〜穂乃果ちゃん。遠慮せんと、何でも頼んでな』
穂乃果『二人とも… うん。ありが…へっくしっ!』
穂乃果『う、うあー』ダラーン
絵里『あらあら… 穂乃果、ティッシュは?』
穂乃果『んん』ユビサシ
希『これやな。はい、穂乃果ちゃん』ササササッ
穂乃果『んー!』チーン
穂乃果『ふー…… えへ、ごめんね、汚いとこ見せちゃった』
絵里『いいのよ。ほら、ティッシュ箱、枕の近くに置いときなさい』
希『穂乃果ちゃん、よく寝れてる? 眠れないかなと思って、安眠できる氷枕持ってきたんやけど。ウチのスピリチュアルパワーで柔らかい氷になっとるんよ』
絵里『いや、さすがにそこは科学パワーよね』
穂乃果『ちょうど顔が熱かったんだ。希ちゃん、それ貸してほしいな』
希『お安い御用♪ ……わ、すごい熱やん』
穂乃果『はわぁ〜… ひんやりで気持ちいいですぅ〜』
絵里『本当? どんなものかしら』ピトッ
穂乃果『っ!?』
穂乃果(え、絵里ちゃん、急におデコ to おデコするから顔がすごい近づいちゃってる…! 略してデコーチカだよ)ドキドキ
絵里『これは… 39度くらいあってもおかしくないわね。汗もいっぱい書いたでしょうに、スポーツドリンク持ってきたから、飲むといいわ』
穂乃果『う、うん』モソッ
絵里『あっ、辛いでしょ? 起きなくて大丈夫よ。ストローで飲ませてあげるから、口開けて』
穂乃果『んー』チューー
穂乃果『ぷはっ。これも冷えてておいしいや… ありがと、絵里ちゃん』
希『こんだけ熱あったら、相当汗かいたんやない?』
穂乃果『うん… 練習着で寝てたんだけど、練習以上に汗かいちゃったかも』
希『そっかそっか。任しとき〜』グイッ
穂乃果『ふぇ? 任せ…って、希ちゃんまさか』
希『そのまさかや。一瞬寒いけど、我慢我慢♪』バサーッ
穂乃果『ひええっ!? アーレェェェーー』
穂乃裸『ううっ…は、恥ずかしいですぅ』
希『下着はさすがにあかんけど、タンスからパジャマ出したから、カラダ拭いたら着替えさせてあげるね』
絵里『お湯とタオル、置いておくわ。私はお布団とシーツ変えるから、穂乃果のことは希に頼むわね。弱ってるのをいいことに、変なことしちゃダメよ?』
希『ちぇー、直にワシワシしようと思っとったのに』
穂乃裸『ええっ!? の、希ちゃん……』
希『あは、冗談やー。はい、背中から拭くよ』フキフキ
穂乃裸『あっ… はうっ……』
希『どう? 気持ちいい?』
穂乃裸『うんっ… 服も張り付いて気持ち悪かったから、すごい爽やかなきぶ…んっ』
希『穂乃果ちゃん、艶かしい声出すなぁ♪ ウチのほうが変な気分になってきちゃった。ちょっと仰向けにするで』
穂乃裸『ひゃあっ… の、希ちゃん、この態勢はさっきよりも恥ずかしいよぉ…』
希『にししー。むっちゃ可愛いで、穂乃果ちゃん』
絵里『あ、こらーっ! 希、変なことするなって言ったでしょ!』
穂乃果(…あわわわ〜………)カァァ
穂乃果(恥ずかしいなぁ… 希ちゃんならやりかねないよ)
穂乃果(って、な、なに想像しちゃってるんだろ私ってば!)
穂乃果(……ふー。えへ、いろいろ想像してたら少し楽になったかも)
穂乃果(今は2時間目の終わりくらいかな? 花陽ちゃんはとくに授業が長く感じてる頃だね、きっと)
穂乃果(そういえば、まだ海未ちゃんが看病してくれるところ、想像してなかったっけ)
穂乃果(なんか、意外と想像しにくいなぁ。原因が原因だけに、体調管理の面で怒られるだけな気がしてきたよ)
穂乃果(ふあ……)
穂乃果(あ、少し…眠いかな…?)
穂乃果(……うう…ん…)
穂乃果(…海未………ちゃん…)スゥ
海未『まったく、あなたって人は…』
海未『普段から突拍子もないことばかりしているから、意味不明な理由で風邪なんか引くのです!』
海未『少しはμ’s のリーダーという自覚を持って行動してください』
海未『穂乃果だけでなく、皆にも影響が出てしまうんですよ』
穂乃果『ご、ごめんね、海未ちゃん』
海未『ですから、これからはもっと規則正しい生活および常識をもった行動をするよう心掛けなくてはいけません』
海未『まず朝寝坊をしないところからです。母親や妹の手を借りることなく、早寝早起きを習慣づけられるよう…』クドクド
穂乃果『ごめん海未ちゃん…でももうわかったから…』
海未『それから、授業中の居眠りをやめ、ノートを効率良く取り、きちんと先生の話を傾聴するよう努め…』クドクド
穂乃果『わかったってば。だから、やめて、海未ちゃん…!』
海未『そうやってひとつひとつ改善していくことで、あらゆる自分の行動を…って、聞いているのですか? 穂乃果、私はあなたの為に言っているのですよ? 』クドクド
穂乃果『やめてってば…!! 海未ちゃん、嫌いになっちゃうよっ…』ギュッ
海未『どうして耳を塞ぐのです? 穂乃果? 穂乃果っ!?』
穂乃果『〜〜〜!』
海未「穂乃果っ!!」
穂乃果「…っ!」
海未「穂乃果、大丈夫ですか?」
穂乃果「はぁ…はぁ…」
穂乃果「…へっ? あ、あれ、海未ちゃん…」
海未「ひどくうなされていましたよ。汗もすごいですから、顔まわりだけ、温めたタオルで拭きますね」
穂乃果「んっ」フキフキ
海未「悪い夢でも見ていたのですか」
穂乃果「たぶん…… もしかして、私、何か言ってた?」
海未「……いえ、特に。うなっていただけでしたよ」
穂乃果「そっか… よかったぁ」
海未「ええ」
海未(言っていましたが……伝える必要、無いですよね)
海未「体も拭きましょう。汗びっしょりですから、着替えもしないと」
穂乃果「う、うん」
海未「バンザイできますか?」
穂乃果「ばんざーい…いてて」
海未「節が痛むのですね。インフルエンザかも知れませんし、熱が高いようなら受診しに行かないと」フキフキ
穂乃果「ひゃんっ… じゅ、受信? メール? 電波?」
海未「違います。お医者さんににかかることを受診と言うのです」フキフキ
穂乃果「そうなんだ。海未ちゃん物知り〜」
海未「常識です。はい、脚も拭きますから、脱がせますよ」
穂乃果「常識…かぁ」
海未「ほら、お尻持ち上げますよ」
穂乃果「え? あ、は、はいっ…脚もお願いします。恥ずかしいけど…」
海未「何を今更。練習でも着替えますし、昔はお風呂で散々裸も見てきたじゃないですか」
穂乃果「昔の話だよぉ」
穂乃果「やっぱり、私って常識ないのかな」
海未「まあ、常識破りな行動が多いのは事実ですね」フキフキ
穂乃果「そっか…….」
海未「ええ」フキフキ
穂乃果「………」
穂乃果「穂乃果って、バカ…だよね」
海未「………」フキフキ
穂乃果「非常識で、バカで……みんなに迷惑かけてばかりで…」
穂乃果「リーダーとしての自覚も足りなくて、仕事も一人じゃこなせなくて……」
海未「穂乃果…」
穂乃果「失格だよね。リーダーとして、μ’sのメンバーとして」
穂乃果「人間として、失格だよね、本当…… あはは…」
海未「………」
海未「そうですね」フキフキ
穂乃果「だよね…」
海未「そんなこと言っているうちは、失格です」
穂乃果「……えっ?」
海未「はい、拭きおわりましたから、これに着替えて」ください」
海未「たしかに、穂乃果は非常識なところも多いです」トントン
海未「トンデモ行動も目立ちますし、テストもボーダー近いものがしょっちゅうです。バカかそうでないか天秤にかければ、間違いなくバカの分銅が沈むでしょう」トントン
海未「ですが、そんなバカで非常識な穂乃果がいなければ存在し得なかったものがあります」グツグツ
穂乃果「それって…」
海未「ええ」
海未「穂乃果が、私が、みんなが… 今この音ノ木坂で、スクールアイドルとして活動できていること。その存在は、穂乃果、あなたがもたらしたものです」
海未「もちろん、メンバーには一人ひとり、それぞれエピソードというものがあります。中には、穂乃果とは無縁のものだってあるでしょう」パカッ
海未「ですが、音ノ木坂学院スクールアイドル μ’sの設立、および存続に関して、正しい道を進むことができたのは、他でもありません。穂乃果がもたらした結果です」チャカチャカ
海未「あまりに個性的なメンバーをまとめるのに、計画性や、カリスマ性は必要なかったのです。必要だったのは、そんな個性をものともしない、単純で、まっすぐで、バカ正直で大胆で…」
海未「それでいて、不思議と周りを惹きつけるようなアイドル性をもつ存在」
海未「それがまさしく、穂乃果だったのです」
穂乃果「穂乃果が…」
海未「奇跡… それはまさに今、ここなのです」グツグツ
海未「穂乃果の想いがみんなを導いた。そのみんなの想いが、私たちの立つ奇跡の場所へ、みんなを導いた」グツグツ
海未「繰り返しになりますが、穂乃果。あなたがいなければ、今こうしてみんなでスクールアイドルとして存在することは出来なかったのです」
海未「そんなあなたが、みんなの想いを集える穂乃果本人が、自分のしてきた行動を、その行動を支える根幹を否定すれば、それは今起きている奇跡を否定することになってしまうと思いませんか」
穂乃果「………」
海未「私は作詞担当ですから… 深く考えすぎなのかも知れませんね」パカッ
穂乃果「…うん。でも、間違ってないよ、きっと」
海未「ふふ。穂乃果が言うのなら、そうなんでしょうね」ジュー
あれ、おかしいな、目から汗が、、、、
海未「いろいろと照れくさい話をしてしまいましたが、本音のところはもっとシンプルなんですよ」マゼマゼ
穂乃果「海未ちゃんの…本音?」
海未「はい。まあ…これもまた言うのが憚られるような話なんですけど」マゼマゼ
海未「穂乃果はバカで非常識と言いましたが、それで自分をダメだなんて、失格だなんて言ってほしくないのです」スッ
海未「私はそんな穂乃果が好きですから」
穂乃果「えっ……」
海未「きっとことりも、みんなもそうです」サッサッ
海未「常識の枠にとらわれない、突拍子もなく突飛な方法でみんなを導いてしまう」
海未「そんなバカな、って思えるような、そんなバカな穂乃果が、きっと好きなんです」
これはいい女の海未ちゃん
穂乃果「…海未ちゃん、私も……」
グ〜
穂乃果「………」カァァ
海未「ふふっ。どうぞ」コトッ
穂乃果「あっ、良い匂い…」
海未「お粥です。実家で教わったものがベースですが、穂乃果により合うよう私なりに栄養と味を工夫してみました」
穂乃果「嬉しいなぁ。いただきます」フー パクッ
穂乃果「………うん、私好みだよ。すっごくおいしい…!」
海未「それはよかったです」
穂乃果(…そうだっ)
穂乃果「はい、海未ちゃんも。お返しだよ」
海未「いえ… 自分のために作ったのではないので」
穂乃果「いいのいいの、おいしいものは共有しなくっちゃ」
海未「まあ…穂乃果がそう言うのであれば、いただきますね」
穂乃果「あ、穂乃果が食べさせてあげるよ。海未ちゃんあーん」
海未「無理しないでください」
穂乃果「いいのー、ずっとこうしてるほうが疲れるんだから、早く食べて」
海未「わ、分かりました。あむっ」
穂乃果(えいっ)
海未「むむ… 我ながら、中々の出来栄え」
穂乃果「うんっ」
穂乃果「あー、海未ちゃん」
海未「なんです?」
穂乃果「ちょっと、顔近づけて?」
海未「…はい?」
穂乃果「んー」ちゅっ
海未「…!?」
海未「なっ…!!?」
穂乃果「えへ、おいし。ほっぺにお弁当ついてたから」
穂乃果(穂乃果がつけたんだけど、ね)
海未「ほ、穂乃果… まったく、平気でそういうことをするんですから…」
穂乃果「海未ちゃん、顔まっか〜」
海未「誰のせいだとっ… そういう穂乃果だってりんごのように真っ赤じゃないですか」
穂乃果「ね、熱のせいだもーん」
穂乃果「あ……なんか、またボーっとしてきちゃった…」
海未「無理するからです。市販のおくすり買ってきましたから、飲んだらすぐ寝ましょうね」
穂乃果「うん」
穂乃果「それで……お母…さんが……」
海未「……」
穂乃果「……」スゥ スゥ
海未「…やっと寝ましたか。本当におしゃべり好きなんですから」
穂乃果「…にへー」
海未「よしよし」
穂乃果「……海未ちゃん」スヤスヤ
海未「はい」
穂乃果「…あり…がと」
海未「…どういたしまして」
穂乃果「………」スゥ スゥ
海未「こちらこそ、感謝していますよ… 穂乃果」
二日後
穂乃果「おっはよー!」
ことり「あ、穂乃果ちゃん、おはよ〜。具合はもういいの?」
穂乃果「うんっ。全力全快だよ!」
ことり「ことりも穂乃果ちゃんのお見舞い行きたかったんだけど、お母さんとの用事でどうしても外せなくって… ごめんね」
穂乃果「そんな、気にしなくていいよ。お見舞いなら海未ちゃんが看病しに来てくれたし」
ことり「そういえば、その話を海未ちゃんから聞いたとき、様子が少し変だったかも。なにかあったの?」
穂乃果「さあ〜? 実は、熱のせいかあんま覚えてないとこあるんだよね… これ、海未ちゃんには内緒だよ。せっかく来てくれたんだもん」
ことり「あはは、りょーかいなのです」
穂乃果「あれ、ところで海未ちゃんは?」
ことり「えーっと、それなんだけど…」
ガラッ
担任「はーい、朝のHRはじめますよ。席に着いてください」
担任「今日は園田さんが風邪で欠席との連絡がありました。最近流行っているので、皆さんも気をつけてくださいね〜」
穂乃果「ありゃ」
海未「ゴホッ、ゴホッ!」
海未「………」ズズッ
海未「……………うつりました」
穂乃果「知ってる? バカは風邪引かないんだよ!」
fin.
以上です。
風邪引いてなんとなく思いついて書きました
休みたいにゃー
乙
風が治ったら逆バージョン書いてくれていいのよ
乙
>>27
ほっぺに…のところは間違い?
いい話やった…乙
あーんなんかしたらそら伝染るわな
素晴らしい…
おつおつ
海未ちゃんの穂乃果のこと全部分かってますよ感が大変素晴らしいと思います
>>27
ご飯粒の意だから合ってると思う
話しながらグツグツしてたが海未ちゃんは穂乃果の部屋でお粥作ってたのか…?
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