吾輩は利根である (146)
吾輩は利根である。名前は利根。
なんでも工廠でうまれ泣いていたことだけは記憶している。
吾輩はここではじめて人間というものを見た。
しかもあとで聞くと提督という人間中でいちばん獰悪な種族であったそうだ。
この提督というのは時々我々をつかまえてたべてしまうという話である。
しかしその当時はなんという考えもなかったからべつだん恐ろしいとも思わなかった。
ただ彼の手に引かれた時なんだかフワフワした感じがあったばかりである。
彼の前で少し落ち付いて提督の顔を見たのがいわゆる人間というものの見始めであろう。
この時妙なものだと思った感じが今でも残っている。
第一白くて卵のようであるべきはずの顔が毛が生えていてまるで毬藻だ。
その後艦娘にもだいぶ会ったがこんな片輪には一度も出くわしたことがない。
のみならず顔のまん中があまりにも突起している。
そうしてその穴から時々ぷうぷうと煙を吹く。
どうもむせぽくてじつに弱った。
これが人間の飲む煙草というものであることをようやくこのごろ知った。
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この提督の腕の中でしばらくはよい心持ちにすわっておったが、しばらくすると提督に抱えられ運転し始めた。
見える景色が変わりむやみに明るい。目を明いていられぬくらいだ。
すると光が遮られ先の暗い場所より明るい場所に移った。そこで吾輩は地面にではなく少し高い所におろされた。
椅子というものらしいがなにぶん堅くて座りづらいうえに、揺れるではないか。
しかしこの揺れは何となく心地よい。身体の重心を動かし椅子を揺らす。時々倒れそうにもなりながらこの揺れを楽しんでいて、ふと気がついてみると提督はいない。
吾輩は椅子に座り直し、しばらくして泣いたら提督がまた迎えに来てくれるかと考えついた。
エーン、エーンと試しにやってみたがだれも来ない。
しかし足音が聞こえてきた。吾輩は提督が迎えに来てくれたと思い、待った。
足音が近くまで届き、止まった。次に扉を開ける音がした。
そこには提督ではなく桜を頭に生やしたような艦娘がいた。その艦娘は吾輩を見るなり「重巡ktkr!!」と大声をあげながら吾輩に飛びついてきた。
突然の衝撃に我輩と椅子は耐えれず、そのまま床に倒れ伏した。にも関わらずその艦娘は吾輩を離さずに抱きしめていた。
吾輩はこの状況を理解することができず困惑してしまった。その艦娘の興奮が収まるまで待つことが良いと考えつき待つことにした。
吾輩は何故その艦娘は吾輩を見るなり興奮し飛びついてきたのか甚だ理解できなかった。そもそもどこの誰かも分からない者に飛びつくなど普通できやしない。
ならばその艦娘は吾輩のことを何か知っているやもしれんという仮説を立て聞きだそうとするが興奮が収まらない様子でありそれもできない。
ようやく落ち着いた様子の艦娘は漣という名であった。
話を聞くと吾輩も艦娘であるらしくこれから共に戦って欲しいと要求された。
吾輩はその要求の前にいくつか質問を投げかけた。先の提督のことである。
すると漣は提督のことを話始め、ここが鎮守府と呼ばれる場所であることも教えてくれた。
そして我々艦娘についても教えてくれ、深海棲艦と呼ばれる敵と戦うために力を貸してくれと言われたのである。
吾輩は頼りにされており、そのため先ほど漣は飛びつくほど嬉しかった。
それならばそれに答えようと吾輩は漣と共に深海棲艦と戦うことを約束した。
ようやく落ち着いた様子の艦娘は漣という名であった。
話を聞くと吾輩も艦娘であるらしくこれから共に戦って欲しいと要求された。
吾輩はその要求の前にいくつか質問を投げかけた。先の提督のことである。
すると漣は提督のことを話始め、ここが鎮守府と呼ばれる場所であることも教えてくれた。
そして我々艦娘についても教えてくれ、深海棲艦と呼ばれる敵と戦うために力を貸してくれと言われたのである。
吾輩は頼りにされており、そのため先ほど漣は飛びつくほど嬉しかった。
それならばそれに答えようと吾輩は漣と共に深海棲艦と戦うことを約束した。
>>4
ミス書き込みです
今日はこの辺で
乙です
ライバルに忠犬デチ公とかでるかな?
今実装されてる中で3人以上の姉妹の末っ子って何人くらいいたっけ
すみません、誤爆しました
そういや原作でも最後は轟沈するんだよなあ…
>>7
餓えた狼かソロモンの狼かもしれない
かくして吾輩はこの鎮守府を自分の家とすることにしたのである。
吾輩の提督はよく吾輩と顔を合わせる。
職業は提督だそうだ。当然そうであるだろう。
毎日執務室にて深海棲艦との戦いに備えた執務や鎮守府の経営などを行っている。
提督は大変な勉強家である。しかし実際は周りの者に努力しているところを見せずにいる。
吾輩は時々忍び足に彼の部屋をのぞいてみるが、彼はよく勉強をしていることがある。
本を読み、戦略を立て、休んでいる所などみたことがない。
その分彼は身だしなみに注意せず、漣によく叱られている。
勉強し、指揮を取り、鎮守府をまとめる。これが彼の毎夜繰り返す日課である。
吾輩は艦娘ながら時々考えることがある。
提督というものは実に辛いものだ。人間に生まれたら提督にはなりたくはない。
こんなに勉強しなければならないなら艦娘のままでいい。
それでも提督に言わせると提督ほど簡単なものはないそうで彼は友人がくるたびに家の鎮守府の自慢をする。
吾輩がこの鎮守府に住み込んだ当時は、艦娘がほとんどいなかった。
どこへ行っても人がおらず、吾輩は戦力の要とされていた。
ほとんどが漣をはじめとする駆逐艦や軽巡洋艦だけであった。
しかたがないから、できるうる限り吾輩は出撃や演習に努めた。
その後いろいろ経験の上、朝は演習、昼は出撃、夜は遠征をすることとした。
この鎮守府は始まって間もないらしく戦力も整っていないと漣から教えてもらった。
その折りに重巡洋艦の吾輩が建造されたというわけだ。
吾輩より練度の高い艦娘らから戦闘の基礎を学び、吾輩はこの鎮守府の主戦力となれるように努めた。
吾輩は提督達と同居して彼らを観察すればするほど、彼らは勤勉なものだと断言せざるをえないようになった。一部例外もいるが。
ことに吾輩が時々同衾する提督のごときに至っては言わずもがなである。
漣は時々訳の分からない言語で話始めたり、興奮し飛びついてきたりするがそれを除けば至って真面目である。
提督の秘書官としての執務や、我々他の艦娘のまとめ役をこなしている。
見た目は吾輩より年下だがこの鎮守府の創設を提督と二人でこなしてきただけはある。やはり貫禄がでている。
聞けばはじめは秘書官の仕事に遠征に演習、出撃、開発、建造と多数の執務を一人でこなしたとある。
やはり漣も勤勉であり、吾輩が尊敬するに値する艦娘である。
尊敬する者といえばよく演習を共に行う鎮守府の高雄がいる。
高雄は先日艦隊に新しく駆逐艦の子が4人入ったという。
ところが深海棲艦との戦いにより4人共々敵に撃たれ沈んでしまったそうだ。
高雄は涙を流してその一部始終を話した上、どうしても我ら艦娘が人としての愛をまったくして美しい家族的生活をするには深海棲艦と戦ってこれを勦滅せねばならぬと言われた。
一々もっともの議論と思う。
また隣の妙高などは深海棲艦が我々の海を支配しているということを解していないといって静かに憤慨している。
元来我々の間では仲間同士で手を取り合い助け合って生きていくべきだとなっている。
しかるに彼ら深海棲艦はごうもこの観念がないとみえて共に共存する意志もないとある。
彼らはその強力を頼んで皆の海を奪ってすましている。
いつか深海棲艦を打ち倒し静かで平和な海をと望んでいる。
いくら深海棲艦だって、そういつまで栄えることもあるまい。
吾輩の鎮守府の裏に十坪ばかりの茶園がある。
広くはないがさっぱりとした心持ちよく日の当たる所だ。
休暇を与えられた時や考え事をするおりなどは、吾輩はいつでもここへ出て浩然の気を養うのが例である。
ある小春の穏やかな日の二時ごろであったか、吾輩は久々に休暇を与えられていたので昼飯後快く一睡したのち、運動かたがたこの茶園へと歩を運ばした。
茶の香りをかぎながら、西側の杉垣のそばまで来ると、艦娘が寝ている。
彼女は吾輩の近づくのもいっこう心づかざるごとく、また心づくも無頓着なるごとく、小さな寝息をして長々とからだを横たえて眠っている。
人の庭内に忍びたる者がかくまで平気に眠られるものかと、吾輩はひそかにその大胆なる度胸に驚かざるをえなかった。
今日はこの辺で
いま原作の19ページ
あと500ページもある…
掻い摘んで進めますが不定期更新になりそうです
完結させたい!
原作より種族的差別はなさそうだね
彼女は純粋の艦娘である。
わずかに午を過ぎたる太陽は、透明はる光線を彼女の皮膚の上に投げかけて、きらきらする黒髪のあいだより目に見えぬ炎でも燃えいずるように思われた。
彼女は艦娘らしくそして吾輩と同じような体格を有している。
吾輩は彼女の前に佇立して余念もなくながめていると、静かなる小春の風が、杉垣の上から出たる梧桐の枝を軽く誘ってばらばらも二、三枚の葉が枯れ菊の茂みに落ちた。
その艦娘はかっとそのまん丸の目を開いた。
今でも記憶している。
その目は鎮守府向こうに広がる広大な海よりもはるかに美しく輝いていた。
彼女は目一杯伸びをする。
双眸の奥からぼやけた光を吾輩の矮小なる額の上にあつめて、あんたはえっと誰だっけと言った。
まだ眠りから覚めていないようなよろけた声であったが、聞かれたからには挨拶をしなければと思ったから「吾輩は利根である」と答えた。
彼女はやはりまだ睡眠をとりたいという欲求にかられながら「とね、利根。あぁここの鎮守府の艦娘だっけ」ずいぶん睡眠不足である。
「うむ。そうだ。吾輩はここの鎮守府にいるのじゃ」
「やっぱりそうだったか。なんかあたしと似てるなーって思ってね」とやはり彼女も艦娘らしい。
しかし吾輩の鎮守府には彼女みたいな艦娘はおらず、どこか別の鎮守府から来たのであろうか。
吾輩は「そういうお主はいったいだれなのじゃ」と聞かざるをえなかった。
「あたしは古鷹型重巡の二番艦加古ってんだ」と物憂げな表情である。
加古はこの近辺で知らぬ者なき怠け艦娘である。
お調子者で勤務態度は不真面目なため鎮守府を追い出され野良艦娘になったと聞いたことがある。
その加古が吾輩の鎮守府で昼寝をしていたとは、少々尻こそばゆき感じを起こすと同時に、一方で少々軽侮の念も生じたのである。
吾輩はまず何故彼女がここで昼寝をしていたのかと問答をしてみた。
面白いから待ってる
「いったいどうしてそこで昼寝をしていたのじゃ」
「どうしてと言われても、眠くなったからとしか言いようがないねえ」
「ここは吾輩の鎮守府である。お主はお主の鎮守府に行けばよかろう」
「そういわれてもねえ。あたしは前の鎮守府を追い出されて今は野良でやってるから。野良は良いものだよ。ちっと私のあとへくっついて来てみないか。ひと月とたたないうちに見違えるようになるよ」
「残念じゃが吾輩は任務で忙しいのじゃ。それにしてもお主が噂の野良艦娘じゃったのか。遊び呆けておらんで少しは働いたらどうじゃ」
「べらぼうめ。働きすぎたら体に毒だよ」
彼女は大いに不貞腐れた様子で、睡眠から覚醒に向かうように欠伸をしてあららかに立ち去った。
吾輩が野良の加古と知己になったのはこれからである。
その後吾輩はたびたび加古と邂逅する。
邂逅するごとに彼女は鎮守府外の生活を話す。
外の生活や食事、建物、遊びなど多くのものを加古から聞いた。
ある日例のごとく吾輩と加古は暖かい茶畑の中で寝転びながらいろいろ雑談をしていると、彼女はいつもの外の話をさも新しそうに繰り返したあとで、吾輩に向かって下のごとく質問した。
「利根は今までに深海棲艦を何体倒したことがある」
知識は加古よりも発達しているつもりだが時間と経験とに至ってはとうてい加古の比較にはならないと覚悟してはいたものの、この問いに接したる時は、少々心持ちが良かった。
吾輩は「それはもう、数えきれないくらい倒してきたぞ。吾輩にかかればあのような輩、敵ではない」と答えた。
加古は彼女の夜風にあたるときに見る海のようなの髪毛を震わせて非常に笑った。
元来加古は外の話をするだけであって、深海棲艦との話をすることはなかった。
吾輩は彼女と近づきになってからこの類の話をしたこともなかったからこの場合にはおのれのことを話し形勢を変えないのも愚である、いっそ彼女に自分の手がら話をしゃべらせてみようと思案を定めてみた。
そこでおとなしく「お主などは年が年であるからだいぶんとったろう」とそそのかしてみた。
彼女は得意気なる顔で答えてくるとふんでいたが、「ざっと七千から八千はとったろう」とは物憂げなる彼女の答えであった。
彼女はなお語をつづけて「深海棲艦の十や二十は一人で引き受けてきたがこれを続けているうちに変な声が聞こえてくるんだ。自分の中の別の自分なのか、幻聴なのか見当もつかないが日に日にひどくなってきやがった。まるで目の前の深海棲艦があたしに語りかけてるみたいにも思えるんだ」
「ほぅなるほど」とあいづちを打つ。
加古は不断の気だるそうな様子とは異なり、今ここが戦場であるかのような雰囲気を醸し出し言う。
「去年の大規模作戦の時だ。うちの提督が大量の資源をもとに作戦遂行を行い、あたしは第一戦隊の旗艦を勤めていたんだ」
「うむ」と感心してみせる。
「作戦は順調に進み、最後の海域を制圧ってとこでいつもの幻聴に襲われたんだ。だけどあと少しで作戦が終わるから辛抱していたが敵の大将を倒したときに頭の中にまた別の何かが響いてはいってきやがった」
「それはどのようなものじゃったのだ」と質問してみる。
「言葉で言い表せるようなしろものじゃなかった。その日から毎晩その時の夢を見るようになったんだ。気づいたら任務どころではなくってね、寝れなくて寝不足にもなるし、提督に首にしてくれって頼んだんだけど断られてさ。いまは無期限休暇中ってことになってるんだよ」
吾輩は彼女のことを誤解していたようである。
噂では自堕落な生活を行っていた結果、鎮守府を追い出されたということになっていたが噂は所詮噂であった。
吾輩はよもや彼女にそのような経緯があったとは思いもしなかった自分を恥じた。
深海棲艦との戦いで死んだ者は多々いると聞いているが、彼女のような話は耳に入れたことがなく、それと同時に何故加古は吾輩にこの話をしたのか気にかかり、下の問答をしてみた。
「しかし、最初会った時は追い出されたと言っていたではないか。何故嘘のことを言っていたのだ」
「そりゃ、変な幻想に取り付かれて鎮守府やめましたって言ったら気が狂ったやつと思われるのがおちだからだよ。それよりもだらだらしてるやつと思われた方がいくぶんかましだ。まあいまは本当にだらだらしてるんだけどな」
「しかしそれでは何故吾輩にだけ本当のことを言ったのだ」
「あんたが昔のあたしに似てるからだよ。そうやって真面目に戦い続けたらいつか自分の身を滅ぼすことになるってな。真面目なあんたに伝えたかったんだよ」
吾輩は言葉につまってしまった。返答に困っている吾輩をみて彼女は大息していう。
「考えるとつまらねえ。この話はやめだやめだ。あたしはもう帰るよ。今日の布団の中ででもゆっくり考えてみるんだね。戦い続けた後に何が残るか、他の道もあるんじゃないかってさ」
そういうと彼女は帰った。
この時から吾輩は戦うことの意味について深く考えるようになった。
しかし、加古のいう通りそのままにしたがう気はなかった。
艦娘として深海棲艦と戦うことしか知らない吾輩にはそもそも他の選択肢などないに等しい。
そして何より提督や漣、仲間たちがいるこの鎮守府が好きであるから、吾輩はこれからも深海棲艦と戦うであろう。
戦いながら加古が言っていたことを考えてもいいはずだ。
立ち止まって考えるよりも歩きながら考える方がよほど有意義である。
鎮守府にいると艦娘も提督のような性質になるとみえる。
用心しないと今にセクハラがうつるかもしれん。
もっともセクハラが何のことか吾輩にはわからないのだが。
提督といえば吾輩の提督も近ごろに至っては日頃の成果が功を奏し昇進したらしい。
それを知った漣が提督を驚かそうとサプライズパーティーを行おうと話を持ちかけてきた。
日頃の感謝の気持ちを伝える良い機会にもなると思い快く承諾した。
部屋の飾り付けやご馳走の支度、準備は着々と進み吾輩も気分が高まってきた。
やはり仲間とは良いものだと改めて感じる。
皆の表情を見ていると幸がこぼれ落ちそうなほど溢れており、吾輩にまで届いてくる。
そしてそれは我輩も同じであり提督のため、仲間のためにとなるとやりがいが溢れてくるものである。
ここが自分の居場所であり、皆は家族であり、友であり、仲間であると思いしらされる。
とくに漣は吾輩たちを先導してくれる頼もしい艦娘である。
今回のパーティー計画も漣の発案であることから分かるように、秘書官としての仕事以上のことをしている。
流石吾輩が尊敬する艦娘であり、流石秘書官であるといえる。
以前漣と話をしたときにこの鎮守府や提督のことをどう思っているか聞いたことがある。
漣は顔を赤らめながら初期艦として提督と二人で右往左往しながら任務に励んでいたこと、仲間が増え鎮守府が賑やかになってきたこと、これからも皆と一緒にいたいという素直な思いを聞かせてもらった。
思えば初めて漣と会ったときも漣はわけのわからない言葉を話してはいたが尋常ではないくらい喜んでおり、そして吾輩をこの鎮守府に心から歓迎してくれた。
そして漣にとってこの鎮守府は何なのか聞いてみると「いやーなんというか、少し恥ずかしいんだけど息子、娘みたいな感じがするんだよねー。提督と二人で一生懸命育ててまだそんなに大きくはないけどここまで育ってくれた漣と提督の可愛い子どもみたいな!なんてね、冗談だよー!冗談!誰にも言っちゃだめだよー!」と返答した。
そう言われると吾輩は提督と漣の娘になるのであろうかと本気で考えたりもしたがそれは吾輩には難しい話らしいので考えないようにと漣に念をおされた。
つまり漣は誰よりもこの鎮守府が好きで誰よりも提督のことが好きなのだと吾輩は考え付いた。
そんな漣だからこそ不断ふざけたりしているが吾輩だけでなく他の皆からも慕われているのだとも思った。
そうこうしているとパーティー開始時間が近づいてきた。
漣が提督を呼びにでかけ、吾輩たちは部屋の電気を消し、クラッカーを手に持ち砲を撃つような構えで会場入り口を狙う。
しばらくすると扉の間から弱い光が差し込み提督が困惑した表情で入ってきた。
それと同時に吾輩たちは紐をおもいっきり引きクラッカーを鳴らし電気を付け「提督!昇進おめでとう!」とクラッカーよりも大きな声で祝福の声をあげる。
提督は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした上でようやく状況が飲み込めたようで感激のあまり、目からビー玉のような涙を落としながら皆に感謝の言葉をかけた。
最後に提督は後ろを振り向き漣にも言葉をかけようとしたところ、先に漣から抱きつかれ「ご主人様おめでとう!」といわれ驚きつつも抱きしめながら「ありがとう漣」と感謝を表した。
皆が二人に拍手を送り、パーティー司会の大淀と明石が音頭を取りながらパーティーは始まりだした。
改めて提督に挨拶に行く者、目の前のご馳走に箸を伸ばすも者、催し物を行う者と会場は活気に満ち溢れていた。
吾輩は一度提督に挨拶に行こうとしたが人が多くてかなわなかったので、後でまた行くことにした。
ご馳走を食べながら他の艦娘と談笑をしていると、吾輩にとってもこの鎮守府は漣のそれと同じものであるのだろうと感じた。
そしてそれは恐らくここにいる艦娘すべてが思っていることだとも感じた。
考えを巡らせるうちに加古が言っていたことがさほど重要ではないような気がしてきた。
真面目に戦い続けるとおかしくなるというのは実感がない分どうも分かりづらく、それよりもいまこの雰囲気にいる心地よい気持ちを優先したくなる。
そしてなによりも皆が同じ目標に向かっているからこそ吾輩も皆と頑張りたくあるものである。
やはり吾輩は生涯この提督の鎮守府で重巡洋艦利根として終わるつもりである。
時間が過ぎるにつれて提督の回りに人が少なくなってきた。
流石に多くの艦娘と話したであろうことから疲れがあると思い簡単な挨拶で終わろうと考えていた。
しかし提督に挨拶に行くと話を投げ掛けられ、思ったよりも長く話し込んでしまった。
どうやら今回のサプライズがあまりに嬉しすぎて気分が頭打ちになっているように感じた。
初めての出撃や建造、他の鎮守府との演習など鎮守府の昔話を多く語り、また鎮守府の艦娘一人一人との思い出話を語ってくれた。
それにお酒が入っていることもあり、ずいぶん気分が良い様子であった。
吾輩はお酒というものを飲んだことがなかったがここで提督にお酒をついでもらい試しに一杯飲んでみた。
それからパーティーの記憶がなくなり、気がつくと自室の布団の中で朝を迎えていた。
今日はこの辺で
最近艦これログインしていなくて気づいたら家の重巡No.1の摩耶様が改二になっていておしっこちびった
次も重巡の改二との情報を耳にしたのですが誰なのでしょうね
情報に疎いのでその時その時で驚いて楽しんでます
つい読み耽ってしまうな、これ
乙
吾輩は新年来多有名になったので、ちょっと鼻が高く感ぜらるるのはありがたい。
元朝早々提督のもとへ一枚の絵はがきが来た。
これは彼の交友提督からの年賀状であるが、上部を赤、下部を深緑で塗って、そのまん中に一人の艦娘が立っているところをパステルでかいてある。
提督は例の執務室でこの絵を、横から見たり、縦からながめたりして、うまい色だなと言う。
すでに一応感服したものだから、もうやめにするかと思うとやはり横から見たり、縦から見たりしている。
からだをねじ向けたり、手を延ばして年寄りが三世相を見るようにしたり、または窓の方へ向いて鼻の先まで持ってきたりして見ている。
よくも飽きずに何度も見るものだと変な関心を抱くほどである。
ほ
ほ
ようやくのことで動揺があまり激しくなくなったと思ったら、小さな声でうちの利根が可愛くかかれているなと言う。
提督は絵はがきの色に感服したのみならず、かいてある吾輩を誉め出したとみえて、少し照れ臭い気持ちにもなってくる。
そんなにうまい絵はがきかと思いながら、のぞきこむと紛れもない自分の肖像だ。
形体も色彩もちゃんと整ってできている。
誰が見たって吾輩に相違はない。
しかし、ここまで提督に見惚れられると、言わば吾輩の分身である絵はがきでも恥ずかしくある。
ええなええな
ちょっと読者に断っておきたいが、吾輩も恋心くらいは持ち合わせている。
先日も漣と提督を喜ばせる方法を議論し、メイドなるものの衣服に着替え、励んだ。
漣いわく、こうすればご主人様もきっと大喜びっ!と興奮していた。
さらには恋ばなというものもしたことがある。
艦娘が集まり、こうこうこういう殿方が好きだの話すものだが吾輩も参加したものだ。
しかし、吾輩が恋に関して疎いこともまた事実である。
皆が言う好きと吾輩が思う好きは少し異なる気がするのである。
確かに吾輩は提督のことが好きであるが、それは他の皆に対する好きと同じものであり特別なものではない。
特別な好きという感情を持ったことがなく、それが疎いところのひとつであろう。
吾輩の目はただ向上とかなんとかいって、空ばかり見ているものだから、恋の性質はむろん相貌の末を識別することすらとうていできていないのではないかと困惑することもある。
吾輩が提督の部屋で目を眠りながらかく考えていると、やがて漣が第二の絵はがきを持ってきた。
見ると艦娘が四、五人ずらりと行列して海上を滑っている姿がかかれている。
そのうちの一人が先導をとっている。
その上に墨で「吾輩は利根である」と黒々と書いて、右のわきに青の上進む我らの春一日という俳句さえしたためられている。
これは提督の後輩より来たものらしく吾輩が見ても一見して意味がわかるものであった。
提督は懐かしさを感じ、返事を書きはじめていた。
この後来るはがき共々吾輩の絵がかかれており、ことしは吾輩の年かと思うほどであった。
それと共に吾輩がこれほど有名になったとは心持ちが良いものである。
今日はこの辺で
更新できない日が続き今日まで来てしまいました
保守してくださった方々ありがとうございます
これからの励みになります
やっと大きな仕事が一段落し、これから書く時間が増えるのではないかと期待してます
それに春イベをまだ始めてすらいないのでそちらも始めなくては…
今日明日辺り更新します
元旦にて朝はおせちと雑煮を食ったが、少しばかり小腹がすいてきた。
もしや台所に雑煮が残っていはすまいかと台所へ回ってみる。
恐らく昼食用の餅が皿の底に膠着している。
つまみ食いが見つかれば叱られることは逃れられない。
のみならず最悪の場合昼食を抜かれる可能性も考えることができる。
食おうかな、やめようかな、とあたりを見回す。
幸か不幸かだれもいない。
提督は執務室にて返事を書いている。
他の艦娘たちは正月を炬燵や外にて謳歌している。
食うとすれば今だ。
餅は大量にあり、一つ減ったところで分かることはないだろう。
それに加え、昼までそう長くはないのだから待てば良いというかもしれない。
しかし、普通に食べる餅とつまみ食いをした餅とでは味に変化があることは明確である。
白状するが我輩はつまみ食いの常習犯である。
特に漣とつまみ食いをしては神通や間宮さんによく叱られておる。
それを提督がまぁまぁと中に入りなだめてくれるのである。
勿論つまみ食いが悪いということは承知しておるが如何せん簡単にはやめられないのである。
この時もし間宮さんでも勝手口をあけたなら、炬燵にいる艦娘の足音が聞こえたなら、吾輩は惜しげもなく餅を諦めたであろう。
ところがだれも来ない。
いくら躊躇していてもだれもこない。
早く食わぬかと催促されるような心持ちがする。
吾輩は餅を見つめながら、早く誰か来てくれればいいと念じた。
やはりだれも来てくれない。
これはもう食べるしかない。
餅を手に取り一気に食らいついた。
しかし、調理前の餅というものはあまり旨いものではなかった。
餅はつきたてに限るとしみじみしながら餅を頬張った。
かめばかむほど口が重くなる。
歯ごたえはあるが、歯ごたえだけでどうしても始末をつけることができない。
餅を一つ完食しおえた。
しかし何やら不快感とえもいわれぬ満腹感だけが残ってしまった。
その後の昼食も大層な料理であったが、我輩は先のつまみ食いにより余り食べることができず、今後改めた方が良いなと考えるようになった。
今日はこの辺で
我輩と吾輩を間違える始末…
原作通りに進めてしまうと提督メインになってしまうのでそこは上手く改変していきたいですね
遅くなりましたが春イベお疲れ様です
私は時間がなかったので丙で全クリしました
それと春といえば通じるか分かりませんが横綱日馬富士格好よかったです
久々に興奮した一戦でした
来週の月火辺りに更新できそうです
待ってるでー
こんな失敗をした時にはいっそのこと気をかえてオイゲンのところでも訪問しようかと部屋を出た。
オイゲンはこの鎮守府で有名な海外艦である。
吾輩は艦娘には相違ないが物の情けは一通り心得ているつもりである。
気分がすぐれないときや気持ちが落ち込んだときはこの朋友のもとを訪れて色々な遊びをする。
すると、いつのまにか心がせいせいして今までの心配や苦労も何もかも忘れて、生まれ変わったような心持ちになる。
気の合う朋友の影響というものはじつに莫大なものだ。
いるかなと思って扉を叩くと、オイゲンは部屋にはいない。
正月だから何か特別なことをしているのだろうと考え鎮守府内を歩くと数人の艦娘が書き初めをしていた。
その中にオイゲンの姿も見え、行儀よく座っている。
書き初めというものは通常2日に行うものであるが、正月とはいえ艦娘は長く休みを貰えるわけではないことから1日に行うものも多い。
年の始めに心を豊かにもち硯に向かい筆をとる姿はとうてい形容ができん。
ことにオイゲンはよく日の当たる所に暖かそうに、品よく控えているものだからからだは静粛端正の態度を有するにもかかわらず、ビロードを欺くほどのなめらかな髪毛は春の光を反射して風なきにむらむらと微動するごとくに思われる。
吾輩はしばらく恍惚としてながめていたが、やがて我に帰ると同時に、「オイゲン」と呼んでみた。
オイゲンは「あら利根」とこちらへ来る。
栗色の髪を空に沿い、吾輩のそばに来て「利根、おめでとうございます」と頭を垂れる。
それに従い我輩も返事をする。
「うむおめでとう、正月そうそう書き初めか」
「ええ皆が一緒にしようって誘ってくれたから、いいでしょう」と先程書いたであろう紙を前につきだしてくる。
乙
気長に待つから気長にやってくれると嬉しい
ほ
遅くなりすみません
そして保守ありがとうございます
8月いっぱいはまだ忙しいので9月1日には更新します
長くても今年中には終わらせたいです…
まってる
その紙には、到底上手いとは言えない字で「正月」と書かれていた。
しかし、一生懸命熱を入れて書いたことはひしひしと伝わってくる、そんな字でもあった。
吾輩は「うむ、よく書けているぞ」と言うと、オイゲンは「ありがとうございます」と照れ恥ずかしそうに返事をした。
それに続き「そうだ、利根も一緒に書き初めしましょうよ。私、利根の書いた字が見たいです」と言うではないか。
実のところ吾輩は艦娘として生まれてから一度も字の勉強と言うものに真面目に取り組んだことがない。
艦娘として生まれると最初から知識のようなものは備わっている。
しかし、鎮守府には一般の子どもが受けるような学校の授業はある。
戦闘以外にも人らしく教養を身につける場所であり、そこで熱心に勉学に励むものもいるが吾輩はどちらかというと考えるより体を動かす方が性に合っている。
それにより字の勉強も月並み以下であるがまさかこんな場面でそれが祟るとは思ってもみなかった。
何とかして誤魔化そうかとも考えては見たがオイゲンたっての申込みだ。
吾輩とて断ることなどできない。
吾輩は「よし、それでは吾輩も一筆とるとするか」と勢いをつけた。
「それでは利根、ここに座ってください」とオイゲンに通され、畳の上に正座をした。
足の短い長机の上に道具一式が揃っており墨はすでに磨ってあり、あとは筆に墨をつけ、半紙に筆を滑らせるだけとなっていた。
座っている吾輩の後ろにはオイゲンと他の艦娘若干明が座って吾輩を見ている。
深海棲艦を目の前に戦う以上の緊張感が吾輩を襲い、その緊張を表に出さないようおさえつけるだけで手いっぱいである。
背筋を伸ばし、深呼吸を行い、凛とした体をなした吾輩は、筆に手をかけた。
筆に手をかけたはいいが緊張し筆をとれない。
やっとのことで筆をとった吾輩は、手慣れたように見せかけるように筆に墨をつける。
筆にどれほど墨をつければいいか少々迷ったが、まあ大丈夫であろう。
いよいよ後はこの筆を半紙にのせて滑らせるだけとなった。
しかし、ここにきて吾輩はなんと書くか全く考えていないことに気が付いた。
正月と書いても良いがそれではオイゲンと同じになっていまい比べられては吾輩の下手さが露見してしまう。
それは避けたいと瞬時に判断し、他の字を思い浮かべてみる。
正月の書き初めと言えば、賀正であろうか。
いや、正という字が被ってしまう。
ここまで意地になる必要はないであろうが、仕方がない。
墨のついた筆はすでに半紙にのっている。
このまま書き出さなければ字の上手下手以前の問題となってしまうではないか。
もう吾輩が字に精通しておらず、それに対しても教養もないことは認めよう。
そもそも何を維持になって格好よく見せようと思っていたのだろう。
そう考えると後は楽で吾輩もオイゲンと同じく「正月」という字を書いた。
しかも吾輩が思っている以上に上手く書けていて正直驚いている。
少し調子づいた吾輩は「どうじゃ、なかなかのものだろう」と出来立ての字を披露した。
「なんだか落ち着きのある感じが伝わってきます。流石利根ですね」というオイゲンの言葉を貰いますます調子づく。
他の艦娘からも意外と上手いという声がちらほら聞こえてくるではないか。
すっかり調子にのった吾輩はよもや書道の才能が吾輩に開花したのではないかと思い始めた。
しかし続いて何枚か書いてみるが一枚目ほどの字が書けない。
寧ろどんどん下手になっている。
見るに堪えないような字が続いてきたので吾輩はそこで筆をおいた。
「そういうときもありますよ」とオイゲンに慰められる始末であった。
筆をおいてからは他にも書き初めをしている艦娘を覗き込みながらその字を鑑賞していた。
その後道具の片づけを手伝い、そもそもオイゲンと遊びに来たことを思い出し何かして遊ぼうと誘った。
「いいですよ」という了承を貰い吾輩はオイゲンの部屋までともに向かった。
先ほども一度来た部屋であるが、そこにオイゲンが加わるとまた違った部屋のように見える。
品があるのもが加わるとこうも変化するのだなと感心していると、始めてみる写真が飾ってあった。
「この写真に写っておる者は一体誰じゃ」という質問を投げつけると、「それは母国のビスマルク姉さまですよ」という答えが投げ帰って来た。
「ほう、姉妹艦なのか」
「ううん、そうじゃなくって私が敬愛して姉さまって呼んでるの」
「オイゲンが敬愛するとなるとさぞかし素晴らしい艦娘なのだろうな」
「ぜひ利根にも一度会ってもらいたいな。私がこっちに来て初めて仲良くなった友達だから」
「こっちに来る予定はあるのか」
「姉さまは母国でも活躍されているから、その予定は今のところないかな」
少し寂しそうな顔をするオイゲンを見て何とかしてやれぬものかと思ったが難しい問題である。
国と国を挟んだ問題であるため簡単にできることではないだろう。
「しかし、お主も海外からわざわざ日本までやってきたのだ。お主の活躍次第では今後日本に来る海外艦も増えるかも知れぬぞ」
「そうだね。よし、私頑張るよ」と少し元気を取り戻した様子である。
それから二人で見聞多色な話をしていると、漣がやってきた。
「ご主人様が利根を探してたよ、一緒についてきてくれる」
「ああ構わんぞ」と返事をし、オイゲンに別れを告げ漣の後を追った。
漣の後ろ姿は少し大きくなったような気がする。
今日はこの辺で。
久々の更新ですが、保守してくれた皆さん、待っていてくれている皆さんありがとうございます。
夏休み更新できずに落胆色ですが、これからも引き続きよろしくお願いします。
そして夏休みが終わり今日から学校という学生さんも、休みなんてねぇよという社会人の方も体に気を付けて適度に頑張ってください。
それでは。
あ、やっと夏が終わったんやな・・・
おつかれ
こんばんは夜分遅くに1です
残り少ないですがシルバーウィーク中に更新しますのでよろしくお願いいたします
「なんのようで吾輩は呼ばれたのだ」と問いを投げかける。
漣はいつもの調子で「詳しいことは聞かされていないけど、ご主人様いつになく真面目な顔してたよ」と言う。
常に真面目な提督がいつになく真面目とはこれは大事な話であろうなと推測しながらあるいてると執務室の前に着いた。
漣が扉をたたくと提督の声が部屋の中から聞こえてきた。
部屋に入ると提督は椅子に腰を掛けて書類を眺めていた。
「ありがとう漣。そして利根もありがとう」
「呼んできただけなんだから、そんなお礼なんていいわよ」
「それでもありがとう。漣は優しいなあ」
このような提督のいつものが終わると提督は真剣な顔つきに代わり吾輩に言った。
「それで利根を呼んだ用なんだけど、ああ漣はいてもいいよ」
漣と吾輩は背筋を竹のようにし、提督と面した。
「先日大規模作戦が我々の勝利で幕を閉じたことは承知だと思う。それに伴って本部で祝勝会を行う予定なんだけど僕にも声がかかってね」
「え!?そうだったんですかご主人様!やりましたね!ふうううううううううwwwwwww」
「それで付き添いに漣は連れていくとして、ぜひ利根を連れてきてくれって言われたもんだから利根にもついてきて欲しいんだけどいいかな」
なるほど。大規模作戦には吾輩も参戦しMVPも取った記憶はある。
吾輩は「うむ。それが提督のためになるなら喜んでついていこう」と返事をした。
「ありがとう。詳細は後でまとめて書類で渡すよ。漣と利根の二人しか連れていけないのが残念だけど」
「それなら他のものにはお土産を沢山持って帰ろうではないか。本部の会なのだからさぞかし豪華であろう」
「そうだね。お土産沢山持って帰ろう。一応二人の服も見繕わないとね。ドレスコーデは誰かに頼まないと」
発狂する漣をおいて二人で会話を進める。
大体の話を聞き漣をおいて部屋を後にした。
本部の祝勝会に呼ばれるという事は光栄なことであり、吾輩がわざわざ呼ばれたというわけは作戦でのMVPが理由であろう。
確かにあの戦いで吾輩は重巡としての仕事を全うした。
たまたま取れただけかもしれないが結果的に認められたということはうちの鎮守府のためになったようである。
戦う意味として加古と問答したこともあったが吾輩が戦う意味はやはりうちの鎮守府にいるみんなのためである。
短いですがここまで
あまり筆が進みません・・・
まってる
今週末辺りに更新します
更新すると言ってこの体たらく…
近々頑張ります
その後自室に戻りくつろぎながら先の戦いことを思い返していた。
大規模作戦が行われたときあまり大きくない吾輩の鎮守府からは練度が高く比較的汎用性のある吾輩が派遣された。
与えられた任務以上に最善を尽くし前線において戦い抜いた。
途中死にかけたこともあったが他の鎮守府の艦娘たちのお陰で助けられ生き延びまた助けたりもした。
しかし中には助けることができず命を落とした艦娘もいた。
仲間の死を目の当たりにしたのは別に初めてではないし吾輩自身の死に直面したのも初めてではない。
しかし一度の戦闘においてあそこまで死が多かった戦闘は初めてであった。
敵をうち敵にうたれる
空からは無数の鉛雨が降り注ぐ
青いのに赤く黒い海
生死をかけた戦いとはいうがそんな生ぬるいものではない。
どちらかというとほぼ死にながら戦っていた。
死の恐怖というものは中々取り除けないものでこれを薬で誤魔化しているものも多かった。
かく言う吾輩も一度服用した試しがあるがあまり合わなかったためそれ以降使ったことはない。
そもそも吾輩はあまり死の恐怖というものは感じたことはなかった。
何故吾輩が死の恐怖に襲われなかったかというとそれについて何も考えなかったからである。
考えるからこそ襲われるのでありそれが戦闘中であれば考えた瞬間に選択が遅くなり死んでしまうからである。
考えるだけ無駄なのであり、それよりも戦闘に集中し次吾輩は何をすれば敵を倒せるのかということに精を尽くして戦い抜いた。
しかし戦闘中はこれでよくても休暇中は別である。
考える暇ができてしまうから吾輩はこのときに死の恐怖に襲われてしまいそうになる。
それを克服するためにオイゲンや仲間のもとへ足を運び他愛のない会話に勤しむ。
若しくはいかにバレないように盗み食いできるかと奔走するのである。
何かをすることによって恐怖を緩和させている。
この方法は加古から学んだことである。
しかしその加古も可笑しくなってしまったことを鑑みるとそこまで万能な方法ではないのだろうと思ってしまうがどうやら吾輩には合っているようである。
ほ
年越し秒読みですが必ず今年中に完結させます
それから数日後、例のごとく祝勝会が開かれた。
しかし何のことはない。
ただお偉いさんが長々と話をするのを提督の隣で聞き、その後立食会でひたすら食事を楽しんだだけだ。
ただこのような場で食事をするのは初めてであり、吾輩が粗相をすると提督に恥をかかせてしまうのでマナーとやらは守っているつもりだ。
吾輩が食事をしている途中、提督は多くの人の所へ漣と挨拶周りに行っていた。
軍というものは階級がモノをいうことは知っている。
有能な一等兵と無能な将校でも階級の高い将校が偉いのだ。
吾輩の提督は歳も浅く新米なものでこうして挨拶回りを頑張っているのだ。
しかし、吾輩はただの艦娘であり、そもそもそういうものにあまり拘りを持っていないのである。
それよりもこの食事は大層旨いものであるからして、ここで味わずしていつ味わう。
吾輩が食事を続けていると一人の人物が近くに寄って話しかけてきた。
「どうもお嬢さん、楽しんでいますかね」
「おお、楽しんでおるぞ。特にこのかるぱっちょというものは旨いの」
「それは良かったですな。ところでお嬢さん、お名前は利根さんでよろしいですかな」
「そうじゃ、何故吾輩の名を知っておるのじゃ」
「先の戦で大勝をあげた重巡利根、として有名になっていますよ」
「ほほう、名をあげるようなことをした覚えはないがのお」
「ご謙遜を、これは誇ってもよいことですよ。それにお嬢さんの提督殿もさぞお喜びでしょう」
「それはまあそうじゃの。提督が喜ぶことは良いことじゃ」
「それで武勲艦となった利根どのに一つお話がありましてね」
「お願いとはなんじゃ」
「利根さんの鎮守府には海外の、そうはるばるドイツからの艦娘さんがいらっしゃいましたよね」
「オイゲンのことじゃな。あやつとは知己の仲じゃ。それがどうかしたのか」
「ええ、それで実は内々の話なのですが、近々またドイツからお一人ある艦娘さんが日本に配属されることになっているのですよ」
以前オイゲンが言っていた姉さまのことが頭をよぎった。
「その艦娘の名はビスマルクと申さんか」
「おおそこまで聞いておりましたか。ええ、その通り戦艦ビスマルクです」
「オイゲンの姉のようなものだと聞いておったぞ。してどこの鎮守府に配属されるのだ」
「それがまだ決定していないのですが、今回利根さんの活躍からして利根さんの鎮守府もいくつかある候補の中に入ったかと」
「それはまことか」と思わず大声を出しそうになったところを止められた。
「おおなんじゃ突然」
「お静かに。これはあまり他人には知られない方がよいのです」
「何故じゃ喜ばしいことであろう」
「あくまで配属候補の一つに選ばれたというだけです。ここで候補鎮守府同士の海外艦争奪戦が起こりうるのです」
「争奪戦とな」
「ええ、特に今回のように海外艦の戦艦となるとどの鎮守府も死に物狂いで獲得しようとします。たとえ他の鎮守府を蹴落としてでもです」
「つまり吾輩の鎮守府もそれに巻き込まれてしまうと」
「そうならないために私がいるのですが、どうもどこも尻尾を出さずにいまして。そこで今一番狙われやすい利根さんに直接お話を」
「それはありがたい。しかしお主の鎮守府が候補に選ばれていて吾輩を貶めようとしていることはないのか」
「その件に関しては問題ありませんよ。私は憲兵です」
面白い
見てるぞ
憲兵とは軍にあって警察権を持ち法を執行する兵科及び独立組織であり、軍の秩序及び規律を維持する組織である。
今回憲兵が吾輩の所にきたという事はおそらく相当大きな問題が潜んでいるのであろう。
他の鎮守府のことに関しては興味を示していない吾輩には皆目見当もつかぬが憲兵の話では候補となっている鎮守府同士のつぶし合いが起こるそうだ。
それではオイゲンがこちらに来る際もそのようなことが起こったのかと疑問に思い投げかけると「すみませんがこの場でこれ以上お話することは少し難しい。また後日なんらかの方法で連絡します」と言い憲兵は去ってしまった。
そう言うならば仕方ないと思ったが最後に「このことは利根さんの提督やお仲間の方にはくれぐれも話さぬように」と残していった。
話してはいけない理由も申さぬまま憲兵はどこかへ行ってしまった。
しかし、吾輩が狙われていると言ってもよもや殺されたりするのだろうかとも考えたが人間が艦娘を殺せるとも思わないし、殺すとなると艦娘と艦娘の殺し合いが怒ってしまうのかと思った。
深海棲艦という共通の敵がいながら内部でこのようなことが起きてしまっては到底あやつらを倒すことなどできはしないだろう。
そもそも海外艦というものにそこまでの価値が一体あるのだろうか。
血眼になり殺し合いまでして獲得して一体何が残るのだろう。
話してはいけない理由も申さぬまま憲兵はどこかへ行ってしまった。
しかし、吾輩が狙われていると言ってもよもや殺されたりするのだろうかとも考えたが人間が艦娘を殺せるとも思わないし、殺すとなると艦娘と艦娘の殺し合いが怒ってしまうのかと思った。
深海棲艦という共通の敵がいながら内部でこのようなことが起きてしまっては到底あやつらを倒すことなどできはしないだろう。
そもそも海外艦というものにそこまでの価値が一体あるのだろうか。
血眼になり殺し合いまでして獲得して一体何が残るのだろう。
そう自問自答してみたは良いが人の気持ちなぞ分かるはずもなく、まあその時はその時で対処しようと気楽に考えていた。
その後も会は何事もなく続き、吾輩は提督に連れられお偉いさんに紹介されたり食事したり会を楽しんだ。
そして会は終わり、何やら高そうなお土産を受け取り鎮守府に提督と漣と三人で帰宅した。
因みに会の時の漣は何故かいつのも鎮守府でのわけのわからんテンションではなく、見た目お淑やかな淑女を演じており常に提督を立てておった。
漣のこのような面白い一面を垣間見れただけでも今回の祝勝会に参加でき、そして憲兵から謎の情報を得ることができて良かったと思った。
それからすぐして憲兵からあるコンタクトがあった。
いつものように他の鎮守府と合同演習を行った帰り、吾輩のポッケの中に手紙が入っておった。
吾輩はそれを自室に持ち帰り中を読んでみると案の定先日の憲兵からの手紙であった。
詳しいことは何も書かれておらず、「明日の深夜0100にあなたの鎮守府近郊の浜辺で待ちます」とだけ書かれてあった。
このとき吾輩は今回の件について少々考えてみた。
今回の件は海外艦の着任の候補同士の奪い合いのような蹴落とし合いのようなものである。
その中に吾輩の活躍やオイゲンがいることによって吾輩の鎮守府もその一つに数えられている。
候補というものがどのように選ばれているのかは定かではないが、どうせ上の権力争いみたいなものであろう。
正直なところではそのようないざこざに巻き込まれたくもない。
しかし問題は吾輩もその海外艦を欲しいというところにある。
その海外艦がどこぞの全く知らない者であるならば何らかの方法で候補を辞退しよう。
しかしそれがオイゲンが慕っているというビスマルクであるならば話は別である。
オイゲンは恋い焦がれる少女のように姉さまに会いたいと言っていた。
オイゲンのためであるならば吾輩は火の中へでも飛び込もうと常々思っている。
その機会がこれである、と吾輩は思い例え命がかかろうとも勝ち取ってみせよう。
そう決心した吾輩は例の時間までひそかに過ごし、吾輩なりに今後の策を練っていた。
候補先が複数あるとすると近々それらの鎮守府を集めて合同演習でもするだろう。
その中でどの鎮守府がふさわしいのかを決める算段だろうと思った。
いくら裏での権力が動こうと一応表立った決め方が必要であろう。
全ての権力者が悪に手を染めているのなら話は別であるが。
策を練っている途中、オイゲンのところへ行った。
そこでいつものように他愛のない言葉を交わし、ふとビスマルクのことを聞いてみた。
するとオイゲンは表情を変え、「元気にしていらっしゃるでしょうか」とか「久しぶりに会いたい」と申していた。
それを聞けただけで吾輩の心はより強固になり、最後の一押しとなった。
話を終えた後は自室に戻り、約束の時間を待った。
約束の時間が迫ってきた。
吾輩は少々の身支度をし、自室を後にした。
幸いこの時間に鎮守府をうろつくものは少ない。
夜間哨戒の者もこの時間はすでに出発している。
猫のように忍び足をしながら漸く鎮守府の門をでた。
浜辺は鎮守府から5分ほどあるい場所にある。
夏になると休暇をとった艦娘たちの遊び場になっている。
浜辺から見る海は普段見る海とは違う顔をしている。
優しい感じが伝わってきて心地よい。
そして夜に浜辺から見る海も何故か吾輩の心には響いた。
約束の5分前に浜辺に着いた吾輩は何を考えるでもなくずっと海を眺めていた。
夜の闇に染まった海を月明かりが照らし滑らかに煌めいている。
見とれていたわけではなく呑まれてもいなかった。
そして漸く約束の時間になると見ていた海辺から何やら近づいてきた。
一瞬深海棲艦かとも思ったが月に照らされた姿を見ると違うことが分かった。
その髪は赤く染まっており、毛先は海のような青々しくなっている。
その長い髪を後ろに束ね、身にスクール水着とセーラー服をまとい水を滴らせながら海から上がってきた彼女は妖艶に見えた。
「あなたが利根さんね」と声をかけられ吾輩は「うむ吾輩は利根である」と返答した。
それに続き「来てくれてありがとう。私は伊168よ。イムヤでいいわ、よろしくねっ」と自己紹介をくれた。
吾輩は「お主は憲兵の使いでやってきたのか」と質問を投げた。
「ええそうよ。今回私が派遣されたのは極秘任務のため大規模な行動に制限がかかっているから。隠密任務なら得意なんだから」
「お主は潜水艦じゃな。吾輩のポッケに手紙を入れたのもお主なのか」
「ご名答。隠密は得意なの」
これにはさすがの吾輩も驚いた。いくら得意と言っても限度と言うものがあるだろう。
あの演習のさなかに海に潜んでいて、誰にも気づかれずに吾輩に近づきこっそり手紙を入れるなど到底できそうもない。
そして吾輩は戦闘経験も多い方であり、敵の気配察知には自信もあった。
その吾輩が全く気付かなかったとは少々傷つくものもあった。
「して、今回はどのような要件なのじゃ。先日の祝勝会からさほど日もたっておらんが」
「私が頼まれたのはまず、あなたに今回の候補をどう受け止めているのかを聞いてくることよ」
「それは候補を辞退するかしないかということかの」
「その通りよ。私たちが調べたことからするとあなたの鎮守府のオイゲンとビスマルクは相当仲が良かったようね」
「うむ、それは吾輩も知っておる」
「それに合わせてあなたの鎮守府は新米ではあるけれど大きな戦果をよく挙げている。だから私たちはあなたの鎮守府にビスマルクが配属されることが望ましいと思っているのだけれど」
「それを快く思わず、奪い取ろうとしておる鎮守府が他にあるということじゃな」
「ええ、それでこの件のキーであるあなたに確かめておきたかったの。あなたは他の鎮守府と争うことになってもビスマルクを鎮守府に歓迎したいかと」
「その話じゃが、吾輩はオイゲンのためにも頑張りたいと考えておる」
「命が狙われる危険性もあるのよ」
「それでもじゃ」
吾輩の決心は固かった。
戦闘狂と成り果て、加古のようにネジがぶっ飛ばないでいるのもオイゲンのおかげである。
そんなオイゲンのために頑張れることがここにあるならば吾輩は命でも投げ捨てる覚悟で戦おうと誓ったのだ。
「そうなのね、分かったわ。あなたの意気込みを無駄にしないために私たちも精いっぱい後押しをするわ」
「それはありがたい。しかし、候補になったは好いが何を頑張ればよいのじゃ」
「それが今回の私の任務の二つ目ね。実は今度候補となった鎮守府が集まって大規模な合同演習が行われるの」
「それで最終的な配属先を決めるのか」
「いえ、これが最終と言うわけではないけれど大きな決定要因になることは間違いないわね」
「そこで吾輩が大きく活躍すればよいのだな」
「そういうことね。それと同時に邪魔立てするような場合もあるから気を付けることね。もちろん私もフォローするけど」
「戦闘で戦果をあげることならば吾輩が得意なことである。心配はそんなにいらぬがありがとう」
「それでも十分注意することよ」
「伝えるように言われたことはこれだけ。あなたから何か質問はある」
「おおあるぞ。何故この話を提督ではなく吾輩に話したのじゃ」
「それはあなたの提督が好い人すぎるからよ」
「好い人じゃだめなのか」
「好いすぎるのは玉に瑕よ。私たちはどうしてもあなたたちの鎮守府に彼女を送りたいの」
「そこまでして吾輩の鎮守府に送りたい理由はなんじゃ」
「それは言えないわ、ごめんなさい」
「言えないのなら仕方ない。別の質問じゃがお主は艦娘なのに何故鎮守府に属さず憲兵のもとにいるのじゃ」
「それは簡単ね。鎮守府を取り締まるのが人間だけじゃ到底艦娘には敵わないからよ。そのために艦娘がこっち側にもいるの。一応私も元々は鎮守府で活躍してたのよ」
「そうであったか。艦娘として何やら同じにおいがしていたと思っておったぞ」
「同じにおいね。他には質問ないかしら」
「例の合同演習の時まで吾輩は何をしておれば好いのじゃ」
「いままでと変わらずに過ごしていればいいわ。特に大きな問題を起こさなければ大丈夫」
「意気込みを入れたのに特にやることはないのか、なんだかつまらんのう」
「耐え忍ぶことも時には大事よ、頑張って」
「ぬう仕方ないのう、耐え忍ぶとするぞ」
「ありがとね、それじゃあ今日のところは帰るわね。次に会うときは例の演習の時よ」
「うむ分かったぞ」
「それじゃあ今日は来てくれてありがとう。またね」
「またの」
そういうと彼女は再び黒に染まっている海へ飛び込んでいった。
後にはさきほどと同じ海辺が目の前にあった。
吾輩は帰路へつき、自室へ戻り床についた。
今日得られた情報は大きい。
これをもとに吾輩はオイゲンのために必ずビスマルクを手に入れる。
それから十日ほどたったある日、提督から呼び出しがかかった。
執務室へ行くと数人の艦娘がすでにおり、提督が待ってた。
「みんな集まってくれてありがとう。今回集まってもらったのは今度の合同演習に行くメンバーとして君たちに行ってもらいたいと思ったからなんだ」
ついに待ちわびたこの日が来た。
この演習で結果を残せばこの鎮守府にビスマルクが配属される確率も高くなる。
多少危険が伴おうと吾輩はやり遂げてみせる。
しかし今回の演習でどのような危険が待っているかは知らぬが吾輩以外の艦娘にも危険が及ぶことが考えられるいまオイゲンが選ばれたことはじくじたる思いである。
できればオイゲンを連れて行きたくない。
だがこの件を気づかれずに止めるすべがない。
皆は今回の演習はいつものようにただの演習だと思っているだろう。
どうしようか悩んでいる間に提督の話は終わり、解散となった。
吾輩はその場に残り提督にオイゲンの演習参加を取り下げるよう進言した。
しかし錬度低い艦娘は演習で経験を積み錬度をあげるのが普通である。
心配なのは分かるがこうやって経験を積ませるんだ。
利根も色々と教えてやってくれと取り合ってくれなかった。
それならばとオイゲンを訪ねてみたが答えは同じであった。
演習で錬度をあげて早く吾輩に追いつきたいとも言っていた。
これは仕方ない、演習でもしオイゲンに何かあったら吾輩が守ればよいと思いこれ以上は何もしないことにした。
イムヤもいつも通りにしていれば好いと言っていたので、もしかしたらこれも想定内なのではと考えることにした。
それならばオイゲンが強くなれるよう演習での注意点や戦いでのことなど教えることを教えた。
そして日がめぐり演習当日。
今回は大規模な演習という事で十弱の鎮守府が集まっていた。
演習とは建前でこれが蹴落とし合いの争奪戦ということは知っている人は知っているだろうが少なくとも吾輩の鎮守府で知っているのは吾輩だけである。
それに加え集まった鎮守府の中でも吾輩の鎮守府は規模的に最も小さい部類であった。
つまりもっとも簡単に蹴落とし易く皆から狙われやすいということだ。
各鎮守府の提督が集まり今回の演習について軽い打ち合わせを行い、その後開会宣言がなされた。
艦娘たちは整列し開会に伴うありがたいお話を拝聴し、正々堂々と戦うことを誓った。
提督が戻って来ると今回の演習のルールや回し方について説明があった。
どうやらリーグ戦方式らしい。
これで順位が決まるとなると確かに簡単だ。
構成はいつもの演習と同じ、各鎮守府が艦娘六人一組として演習を行う。
艦娘の交代も考慮して六人と補欠が二人。
合計八人を各鎮守府から出せるのである。
この日のために吾輩は生きて抜いてきたと言っても過言ではない。
吾輩は再び闘志を燃やし障害を跳ね除け戦いに挑むのである。
今日はこの辺まで。
区切りが好いとこまで書けましたが書いてるうちに話が膨らんでしまった次第、この後は合同演習編になりますが今年中に完結できませんでした。
完結できないなら最初から言うなと言われるとそれまでですが、すみません返す言葉もございません。
話の構想やラストはすでに考えておりますので最後まで書くことは書きます。
それまで待って下さる皆さんどうかよろしくお願い致します。
それではよいお年を。
乙乙。のんびり待ってますよー
ほ
待ってる
今日読み始めた。
ものすごく、気になるので続きを切望する。
こんばんは毎度遅くなりました
日付的に今日の夜に更新しますので
今朝は早く起きた。
セットしていた目覚ましも鳴りはじめる前に吾輩は寝床から出て、伸びを一回した。
緊張していた筋肉がほぐれる気がした。
その後顔を洗い、昨日まとめておいた荷物を再度確認し、簡単な身支度を済ませる。
今日は吾輩にとって大事な一日になる。
すべての準備を終え広間へ行くと提督が一番乗りで待っていた。
朝の挨拶を交わすとそれからちらほら他の艦娘も集まってきた。
提督と一人と吾輩を含めた艦娘八人、計九人が出発集合時間前に広間に集まった。
航空戦艦「日向」航空巡洋艦「利根」重巡洋艦「プリンツ・オイゲン」軽巡洋艦「天龍」
駆逐艦「漣」「雷」軽空母「龍驤」航空母艦「加賀」
吾輩はこの八人は適当であると考えている。
吾輩の鎮守府内で比較的錬度の高い者たちであり、航空戦艦に空母二隻と航空巡洋艦の吾輩。
索敵に優れ、航空面に強化してある点を踏まえると他の鎮守府にも引けは取らないであろう。
漣に雷に天龍も初期からこの鎮守府を支えてくれた古株であり、錬度は申し分ない。
改めて今日の演習に向けての話が提督からあると、全員がやる気に満ち満ち溢れていった。
車に乗り込み移動し、しばし揺られていると会場が見えてきた。
すでに運営スタッフが動いており吾輩たちは車から降りると荷物を握り案内された場所へ移動した。
提督は挨拶があるからと抜け出し、その間吾輩たちは荷解きにかかった。
艤装は前日のうちに運ばれており、置いてある倉庫には鍵がかかっていた。
鍵を漣がスタッフから受け取ると倉庫を開け、各自自分の艤装のところへ向かう。
艤装の点検が終わると同時に提督が帰って来た。
倉庫を出て各鎮守府ごとに用意されたテントへ向かい、暫し休憩を取った。
皆の表情は少々強張っているようにも見える。
かくいう吾輩も緊張で強張っているように見えるだろう。
その緊張をほぐさんとするようにテントを出て潮風を浴びに行った。
風を浴びながらイムヤからの接触が何もないことに一抹の不安を覚えた。
広い会場ではあるが、見渡してみてもその姿は見うけられない。
そもそも陽として来るのか陰として来るのかも分からない。
考え込んでいると背後から声がするのが聞こえたので振り返った。
そこには日向、龍驤、加賀の三人がいた。
「おお利根今からミーティングや。特にこの四人は艦載機を飛ばすんやから入念に連携のことを話さんとなあ」
「今回はかなり格上の相手だと聞いているわ。それでも負ける気などないのだけれど」
「まあ、そうなるな」
「そうそう負ける気なんてちっともあらへんから、がんばろうな!」
「むうそれはもちろんであるぞ。負けてたまるものか」
「それではテントに戻ろう」
「よっしゃあ腕がなるで!」
「少し落ち着きなさいよ龍驤」
「加賀も本当は強敵と戦うのを楽しみにしてるんちゃうか」
「そんなことで高揚する私ではありません」
そうしてテントに戻るとミーティングが始まった。
提督が最初の6人を言い、それに合わせた戦術を言う。
もちろんまだ相手の編成が分かっていない以上明確な戦術の指示は出せないがある程度のことは言える。
提督は経験こそ浅いものの、日々戦術書を読み学問としての経験は多く積んでいる。
そして何より勘が冴えわたっている気もする。
そして何より吾輩たち艦娘たちのことを思ってくれている。
それが吾輩たちにとって何より嬉しく思えるものでありだからこそ絶対の信頼を寄せている。
その提督が最初の六人に選んだ艦娘は以下である。
「日向」「利根」「天龍」「雷」「漣」「加賀」
加賀、日向、吾輩で制空圏を掌握しつつ先行、天龍、雷、漣は迂回して敵の側面を取る。
仮に相手が空母二隻以上で制空権を取りに来るようであったら高角砲+高射装置を積んだ雷、漣も制空権確保に努め錬度の高い天龍と吾輩が先陣を切る。
このSSまとめへのコメント
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