提督「ハコダテ……?」 (16)
※注意
このssには「ハコダテ」が出てきます
めちゃくちゃ短いです
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――深海棲艦に対抗しうる存在、艦娘が現れてから早数年、人類はついに深海棲艦との最終決戦へと突入した!
しかし戦況は芳しくなく、司令塔代わりの小さな船の中で、一人の青年が無線に向かって叫んでいた――
提督「くそっ、被害状況は!?」
長門『大破艦が駆逐三、軽巡二、重巡一、空母一だ! まずいぞ提督!』
提督「ああ分かっている! しかしいったん退こうにも敵の数がこうも多くては……!」
千代田『あの、提督。私が、千代田が足止めするから……』
提督「馬鹿を言うな! こんなところで史実再現させてたまるものか!」
千歳『そうよ千代田! 今度こそ一緒に生き残るって約束したでしょ!』
北上『でもどうしたもんかね~。提督~、指示お願~い』
提督「くっ……! 少し待っていてくれ……!」
今出せる限りの最高の戦力を出した。しかしそれでもあと一歩及ばない。このままではジリ貧だ。あと一つ、何か一つだけ切っ掛けがあれば……!
若き司令官が打開策を見出そうと拳を握りしめた、まさにその瞬間!
赤城『! 赤城、報告します!』
提督「どうした!?」
赤城『北西の上空に飛行物体らしきものを確認! 高速でこちらへ接近中!』
提督「何だと? 敵か、味方か!?」
赤城『分かりません! ただ……相当大きいです! ここから見える幅だけでも恐らく……優に百メートルはあります!』
提督「百……!? 形状は!?」
赤城『もう少しお待ちを……えっ、ま、まさか……』
提督「どうした! 見たままに報告しろ!」
赤城『船……』
提督「何?」
赤城『ふ、船です! 船が、空を飛んでいます!』
提督「そんな馬鹿な……!」
日向『日向だ。こちらでも確認できた』
夕張『なになに~? 宇宙戦艦でも来たの、っと!』
大和『私は、戦闘真っ最中ですがっ!? わっ!?』
赤城『間もなく提督からも目視で確認ができるかと……!』
提督「な、何だあれは……!」
咄嗟に顔を上げた司令官の目に飛び込んできたもの。それは空を飛ぶ船だった。船底を赤く塗り、喫水線より上に出るのであろう部分を青と白で塗り分けた船であった。どのような原理なのかは皆目見当がつかないが、船底と艦尾に動力装置のようなものを取り付け、戦闘機顔負けの速度で飛んでいる、正真正銘の「船」だった。
夕張『ま、まさかあれは……!』
提督「し、知っているのか、夕張!」
夕張『あれは、セイカン連絡船!?』
夕張の声が無線に響き渡ったちょうどその時! 空飛ぶ船の三連装砲から青白い光が迸り出た! 海面を薙ぎ払うように動き、一瞬遅れて水柱、いや、さながら水のカーテンが立ち上がる!
千代田『い、今のは!? 霧ですか!? 深海棲艦が吹き飛びましたよ!?』
提督「深海棲艦が!? 奴らの状況を……いや、先にこちらに被害がないか確認しろ!」
長門『こちら側で被弾した者はいない! 深海は……やったぞ! 戦艦棲姫が撃沈された! 他確認できる限り駆逐三、重巡一撃沈!』
提督「よし! 奴らも今の攻撃で混乱しているはずだ! 今の内に大破した者は下がらせろ!」
『了解!!』
何が何やら分からないが、勝機が見えてきたかもしれない。司令官がそう思った時だった。
??『突然だが失礼する。そちらの艦隊、でいいのかな? 責任者は誰だろうか?』
唐突に無線から聞き覚えのない男の声が聞こえてきた。司令官は驚きながらもその声に答えた。
提督「司令官は私だが……貴方は?」
??『ああ、申し遅れた。私は函館市の市長をさせてもらっている者だ』
提督「函館……? 北海道の? なぜそのような方が……いや、ちょっと待てよ。そうだ、思い出したぞ……!」
長門『どういうことだ、提督』
提督「函館市はたびたび宇宙人からの侵略を受けている都市だ。それに対抗するための兵器を独自に開発することが許されている。今では世界中のどこよりも発達した軍事技術を持った組織になっているはずだ」
長門『……い、いや、何だそれは』
提督「そのままの意味だが」
長門『宇宙人とは何だ!? まるきり空想科学小説ではないか!』
夕張『それ私たちが言っていいんですかね……?』
長門『うっ……まあ宇宙人云々は百歩譲るとしてもだ! それならばなぜ今まで深海棲艦との戦いに参加しなかったのだ! あんな超兵器があったらもっと戦いは楽に進んでいたはずだぞ!』
市長『それに関しては私から説明させてもらおう』
その時、またしても市長の声が入ってきた。
市長『まずは謝らせてほしい。確かに私たちは現代の基準で言えばオーバーテクノロジーと言われてもおかしくない兵器を所有している。しかしそれは対宇宙人用以外の目的では使えないのだ』
日向『……と言うと?』
市長『うむ。使ってしまえば人同士の争いに利用され、世界中を巻き込む戦争に発展してもおかしくはない。だから私たちは君たちが深海棲艦と戦っていても手をこまねいている他なかった。申し訳なかった』
長門『なるほど。そうだったのか……』
提督「しかしそれならどうして今援護を……?」
市長『ふふふ……実は函館には意図的に宇宙人のスパイを泳がせていてね。そいつらの一人が尻尾を見せた』
夕張『それは一体……?』
市長『イカール星人という宇宙人が、なんと深海棲艦のバックについていたのだよ!』
『な……なんだってぇー!?』
司令官、艦娘が揃って驚きの声を上げる。市長は尚も話を続けた。
市長『目的は函館市の漁船を出港させず、これ以上イカを食べられないようにするため。奴らはイカの保護という目的をちょうど都合よく果たしてくれそうな深海棲艦に、最近になって技術提供をしていたようだ』
日向『予想をはるかに超える下らない理由だな』
千代田『最近深海棲艦がやたらと強くなっていると思ったわよ……』
市長『そうとくればこちらのもの。敵の味方は敵だ。深海棲艦が宇宙人侵略の先駆けとなる恐れがあるのなら私たちも攻撃できる。少し市議会をまとめるのが遅くなってしまい参戦が遅れたが、それはこれから挽回させてもらう。どうか、共闘させてもらえないだろうか?』
提督「それはこちらとしても願ったり叶ったりだ! どうか、よろしくお願いしたい!」
市長『ありがとう。では現場の指揮権はあなたに持っていただきたい。深海棲艦についてはあなたの方が慣れているだろうからね』
提督「了解!」
市長『よし。摩周丸、八甲田丸、大雪丸! 話は聞いていたか?』
『はっ!』
市長『各艦司令官殿に艦のデータを送るように。これ以降作戦終了まで司令官殿の指揮下へ』
『はっ!』
夕張『大雪丸!? 星間連絡戦艦は摩周丸と八甲田丸の二隻だったはずじゃあ……!』
市長『よくご存知だね。実は去年の暮れに大雪丸が見つかってね。今では松前丸も函館で待機中だ。……ああ、それから他の兵器のことなのだが、タワーロボは陸戦用で海での戦いには向いていなくてね。ゴリョウカクは現在イカール星人と月軌道上にて交戦中。呼び戻すのに時間がかかる。中空土偶はどのような条件で動いてくれるのかよく分からなくてだね……。大ハコダテ山要塞の2800cm宇宙榴弾砲は例によって例の如く強力すぎて使えない。申し訳ないが今はその戦力で我慢してはくれないだろうか?』
提督「これで十分……!」
司令官は不敵な笑みを浮かべた。
提督「これで最後のピースが揃った……! お前たち、一気に畳み掛けるぞ! これが――最終決戦だ!!」
無線からは次々と鬨の声が上がった。
人類は今、ついに深海棲艦に王手をかけたのだ!
行け、艦娘! 行け、ハコダテ! 勝利の時は近いぞ!!
ハコダテの元ネタはもちろん皆さんご存知だとは思いますが「ハコダテ観光ガイド」です
と言っても>>1もハコダテについて熟知しているわけではないので設定は怪しいです
こんな頭のおかしいssを読んでいただきありがとうございました
おつおつ
地元の名前出てビックリしたけど面白かったよ
こんなハコダテに誰がした!
http://www.ika-r.com/
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