提督「金剛との別れ」 (37)
金剛「・・・それじゃ、テイトク。長い間、お世話になりマシタ」ペコ
提督「・・・どうしても行くのか? 金剛」
金剛「ハイ、今日限りでお別れシマス」
金剛「明日からは、体を壊さないように、しっかり食べて下さいネ?」
提督「ああ、お前に聞いたイギリス料理の作り方や、紅茶の入れ方は聞いたし」
提督「鳳翔さん達もいるから大丈夫だ」
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提督「しかし金剛、俺と別れてここを出るのに、そんな手荷物1つで良いのか?」
提督「お前の洋服だっていっぱいあるし、30年も連れ添ったんだ」
提督「金ならたんまりある。財産の半分は分けても良いんだぞ?」
金剛「いえ、結構デス・・・」
金剛「ワタシのものは、好きに処分して下サイ」
提督「・・・そうか、わかったよ。そんなにまでして、俺とキッパリ別れたいんだな?」
金剛「エ、エート・・・そういうわけではないんデスが・・・」
金剛「それじゃ、テイトク。お元気で・・・」スッ
金剛「サヨウナラ」
提督「・・・・・・」
提督「待て、俺も途中まで送っていこう」スッ
金剛「Oh, 良いんデスヨ、そんなこと・・・」
提督「」キョロキョロ
金剛「?」
金剛「どうしたんデスか?」
提督「あー・・・俺のマフラーはどこだったかな?」
金剛「マフラーは洋服ダンスの扉の裏デスよ。ネクタイと一緒に・・・」
提督「あ、そうかそうか・・・」
金剛「冷えマスネ、今日は。今にも、雪が降りそうデス・・・」
提督「・・・なぁ、少し腹が減らないか?」
提督「出発前に、鳳翔さんのところで何か食っていこうじゃないか」
金剛「ワタシはお腹減っていないんデスけど・・・」
提督「いいから付き合え、これが夫婦でする最後の食事だ」カラカラ
鳳翔「あ、いらっしゃいませ、提督」
金剛「・・・んもぅー、提督は言い出したら聞かないデース」
提督「・・・・・・」
提督「ほら、金剛も熱いうちに食べろ」
金剛「はいデス」
金剛「」モグモグ
提督「・・・美味いか?」
金剛「Yes! Very good ネ!」
提督「・・・・・・」
提督「なぁ、金剛・・・」
提督「思えば俺は無口だし、お前は意外と辛抱強い女だったから・・・」
提督「お前はいつも元気いっぱいで、俺のことを慕ってくれていたが」
提督「2人で夫婦の問題を本音で話し合ったことは、意外となかったかもしれん・・・」
金剛「・・・・・・」
提督「でも、俺は俺なりにお前を大切にしてきたつもりだし・・・」
提督「お前だってわかってくれていると信じていたんだ」
提督「なのに、突然別れるなんて・・・」
金剛「・・・・・・」
金剛「テイトク。もう止しマショウ、その話は」
金剛「いくら言っても無駄デスヨ。ワタシ達は、別れるしかないんデス」
提督「いいや、俺はどうしても納得できんのだ、金剛!」
提督「どこか俺に悪いところがあったのか? 何か文句があるなら言ってくれ!」
提督「お前には戦争で色々辛い思いをさせてしまったが・・・」
提督「それを少しでも和らげるよう、俺も努力したつもりだ」
期待
待機
30年以上いてもまだその喋りなのか金剛……
期待
金剛「ハイ、そうデシタ。確かにテイトクは、ワタシには過ぎた夫デシタ」
金剛「まぁ、強いて文句があるとすれば、ビスマルクがいた頃のことデスカネ」
提督「ビスマルク? な、何のことだ?」
金剛「テイトクだって、ご存じデシタヨネ? ビスマルクとワタシの仲が良くなかったのは・・・」
金剛「でもテイトクは、いつも向こうの肩ばかり持って、ワタシの愚痴さえ聞いてくれませんデシタ」
提督「(・・・マズい、そうだったかもしれん)」アセ
金剛「それからもう1つ・・・やっぱり、あれは嫌デシタ」
金剛「テイトクが浮気をしていたのは・・・」
提督「」ギク
提督「う、浮気だと!? な、何の話だそりゃ・・・!」アセアセ
金剛「テイトク、とぼけてもダメデース」
金剛「陰でコソコソとして、ワタシにバレていないと思っていたみたいデスけど」
金剛「テイトクは、本当に嘘をついたり、隠し事が苦手デスネ」
金剛「テイトクが榛名と関係を持っていたのは、バレバレデース」
提督「」ダラダラ
金剛「浮気だから、今に終わるだろうって、ワタシはじっと我慢していマシタけど・・・」
金剛「結局なんだかんだ言って、5年も続いてマシタネ・・・」ジトー
提督「(バ、バレていたか・・・!)」ガク
金剛「ごちそうさまデシタ・・・」
提督「・・・・・・」
金剛「・・・・・・」
提督「・・・こ、金剛! すまん!! 俺が悪かった、許してくれ!!」ガタ
金剛「」ギョ
提督「言われてみれば、お前が怒るのももっともだ」
提督「今となっては昔の話だが、お前をそんなに傷つけていたとは思わなかった」
ダメンズ提督か……
提督「許してくれ金剛、そして俺のところに戻ってきてくれ・・・」
提督「この歳になって、お前のいない人生なんて考えられない」
提督「1人ぼっちは嫌だ・・・!」
金剛「フフ・・・テイトク、落ち着くネ」
金剛「別に謝る必要はないデース」
金剛「本当にもう昔の話デスし、ワタシだってもう恨んだりしていないデスから」
提督「そ、それじゃあ一体なぜなんだ!?」
提督「なぜお前は俺を捨てて出ていくんだ、金剛!?」
金剛「テイトク、しっかりして下サイ」
金剛「また忘れたんデスカ?」
もういない・・・?
金剛「ワタシは1年前に、既に解体処分されているんデスヨ?」
提督「」
30年で提督も痴呆に…
金剛「ワタシだって、歳取ったテイトク1人残して、いきたくはありませんデシタ」
金剛「だって、テイトクときたら、身のまわりのことは何もできないデース」
金剛「だから、ついつい心配で・・・」
金剛「体は解体されても、魂だけがこの世に留まって、テイトクのお世話をしていたんデース」
提督「・・・・・・」
金剛「でも、もうこれ以上は続けられないデース」
金剛「これ以上テイトクと一緒にいると、テイトクまであの世に連れて行ってしまいマス」
提督「」ポロポロ
金剛「さぁ、もう行かなくちゃ・・・」
金剛「出ましょう、テイトク」
提督「・・・・・・」フラフラ
鳳翔「毎度、ありがとうございました」
龍鳳「・・・・・・」
鳳翔と龍鳳はどこから出てきたんだww
龍鳳「最近提督、誰もいないのに1人でブツブツ言って・・・どうしたんでしょう?」
龍鳳「やっぱり、金剛さんが解体されてから・・・」
鳳翔「えぇ・・・30年も一緒にいて、秘書艦だった金剛さんが」
鳳翔「老朽化と維持費削減を理由に、本部から解体命令がきたんですもの」
鳳翔「提督、すごく悲しかったみたいで・・・それから、少し耄碌(もうろく)してしまって」
龍鳳「お気の毒に・・・」
鳳翔「っ! ゲホッ! ゲホッ!」
龍鳳「だ、大丈夫ですか!?」
>>28
すまん見落としてた…
鳳翔「ふふ・・・私も、そろそろガタがきているわね・・・」
鳳翔「この鎮守府に来て、もう30年が経ったのね」
鳳翔「あの頃いた娘達も、随分いなくなったわ」
鳳翔「私はまた、あの娘達を見送ることになってしまった」
鳳翔「十分、長生きしたわよね・・・?」
龍鳳「鳳翔さん・・・」
鳳翔「今は、次世代の娘達がどんどん建造されている」
鳳翔「私達の役目は、どうやら終わったみたいね」
龍鳳「・・・・・・」
提督「・・・・・・」スタスタ
金剛「・・・・・・」テクテク
金剛「とうとう、雪が降り出しマシタネ」
金剛「この世の名残りに、真っ白い雪が見られて嬉しいデース!」
提督「・・・・・・」
金剛「それじゃあ、テイトク、ここで失礼シマス」
金剛「本当に長い間、お世話になりマシタ」
金剛「色々なことがありマシタが、テイトクの妻になってワタシ、幸せデシタ・・・」
提督「金剛!!」
提督「1人で逝くな! 俺も一緒に連れて行ってくれ!!」ポロポロ
金剛「ダメデスヨ、テイトク。そんなこと言っちゃ・・・」
金剛「テイトクはワタシの分まで頑張って、生きて下サイ」
金剛「ワタシは、ずっとテイトクを見守ってイマスから・・・」
金剛「愛してイマス、テイトク・・・」スゥ…
提督「・・・!」
提督「・・・・・・」
提督「・・・・・・」
提督「金剛・・・・・・」
――― 終 ―――
イイオンナダナー( ;▽;)
救われない(´;ω;`)
いずれ近いうちに提督もあの世行ってあの世でズッコンバッコン
この艦娘達は見た目は歳食ってるんだろうか?
艦娘の方は見た目は変わらないのかな?
これ元ネタ西岸良平か
実に懐かしい
このSSまとめへのコメント
ええ話やなー