志保「二つ」可奈「一つで!」 (22)
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可奈とのレッスンの帰り道。
「久々に寄ってみる?」の一言で、私と可奈はたい焼き屋さんに向かっていた。
志保「…いつ振りかしら?」
可奈「前食べたのが…半年くらい、かな~?」
志保「そんなものね」
可奈「たっのしみーだな~♪」
歌いながら、小走りに駆けてゆく可奈。
変装用の帽子が、走るたび上に跳ねている。
可奈「誰も並んでませんよーにっ!」
ぴょこんと角を曲がりながら言っているけれど、お店側にとっては並んでいる方が良いんじゃないかしら。
ともかく、嬉しそうな顔で私を振り向いたということは、誰も居ないのね。
けれど一応、帽子を深く被りなおしておく。
可奈「ねえねえ志保ちゃん、新しいのが出てるんだって!」
志保「え?どんなの?」
前は芋が追加されたんだっけ。食べてないけど。
この季節だし、…そうね、お餅かしら。
可奈「ベーコンエッグらしいよ!」
……は?
志保「可奈」
可奈「ほえ?」
志保「眼鏡屋に行って眼鏡を作ってもらいましょう」
可奈「ひどいっ!?」
ふふ、可奈も疲れてるのね。
ここ最近はレッスン続きだったから、仕方ない。
たい焼き屋さんのラインナップにベーコンエッグなんて、あるわけないじゃない。
角を曲がり、見慣れた店舗が目に入る。
志保「可奈、たい焼きでベーコンエッグだなんて、普通…」
そう言いつつ、屋根下に置いてあるメニュー看板に目と指を遣る。と。
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| ベーコンエッグ始めました |
|____________|
志保「」
可奈「ね!」
可奈「ベーコンエッグってどういうことなのかな、たい焼きにそのまま入ってるのかな、たい焼きの形をしてるのかな!?」
可奈が可奈可奈連発していることすら意識に留まらない。
……ど…どういうことなの?
頭のなかで卵とベーコン、ついでに鯛が様々に踊り出す。
そんな私を見かねたのか、それとも待ちあぐねたのか、可奈に腕を引っ張られる。
可奈「もう、志保ちゃん!とにかく食べてみようよ!」
志保「はいはい…」
「いらっしゃーい」
志保「あ、あの、この…ベーコンエッグ、を二つ下さい」
「はいはい、10分くらいもらうけどいいかな」
志保「はい、大丈夫です」
たい焼きに10分も…?
あ、ベーコンが入るなら、それくらいかかるかしら。
可奈「あ!お芋も一つください!」
「はいはい芋一つ…合計で430円です、はいどうも…はい番号札、6番で呼びますね」
志保「…お芋?」
可奈、いつもはカスタードか抹茶なんだけどな。
可奈「うん、前は食べなかったから」
志保「…確かに、食べたことは無かったわね」
それに、秋冬限定だし。
私達が来始めたのは、春だったし。
……たい焼きって、寒いときに食べるものじゃなかったっけ?
可奈「うむむ」
メニュー看板を見て、なにやら唸っている。
志保「どうしたの?」
可奈「あ、志保ちゃん。これ…」
指をさす先には、ベーコンエッグたい焼きの写真。
キャベツとベーコンの上に、目玉焼きが乗っている。
たい焼きの形で。
それとついでに、『出来立てをご用意します』の文字。
なるほど、他のたい焼きは冷めても割と美味しいけれど、コレはそういう訳にもいかないんでしょうね。
可奈「……これが出てくるのかな」
志保「他はこのまま出てくるし…そうなんじゃない?」
可奈が言っていた通り、たい焼きの形をしたベーコンエッグということかしら。
にわかに不安になる私達。
これ、どうやって食べればいいの。
悩んでいるところで、誰かがやってきた。
小さな男の子二人とそのお母さん。
「いらっしゃーい」
「どうもー。あんこ二つと、抹茶二つください」
「はいはい…あんこ二つ抹茶二つ、計460円です…はいどうも、ありがとうございましたー」
店員さんからたい焼きの入った紙袋を受け取った兄弟が、嬉しそうに歩いて行く。
可奈「うぅ…良い匂い…」
話をしながら待つあいだに、たくさんの人がたい焼きを買いにやって来る。
可奈「まだかな~まだかな~…」
…私も、そろそろ待ち遠しくなってきた。
「6番のかたー」
ぴくん、と二人揃って顔が向く。
と同時に、可奈が店員さんに走り寄る。
可奈「はい!」
紙袋を受け取っている姿、さっきの兄弟みたい。
可奈「楽しみだなー♪はい、こっちどうぞ」
志保「ありがと。…あれ?」
写真ではただのたい焼き形のベーコンエッグだったけど、渡されたコレ…外見は、普通。
あんこやカスタードとは違い羽が取られておらず、しかも赤みがかってはいるが。
可奈「なんか…普通?」
志保「まあ、食べてみましょう」
いつもは尾から食べるけど、今日は頭から。
がぶりと噛みつく。
志保「!」
可奈「あむ…んんんー!」
志保「んぐ…可奈、喋るのは食べてから」
可奈「ふゃい」
しかし、ソースと羽の香ばしさがなんとも絶妙ね…。
病みつきになる美味しさだ。
可奈「んー!美味しいー!」
あ、尾の方がぱりぱりしてて香ばしい。こっちの方が好みかも。
可奈「うぅーん美味しかったー。また食べたいね」
志保「ええ、また来ましょう」
存外美味しかったし、次からはベーコンにしようかしら。
でもカスタードも食べたいし…けど一つでお腹いっぱいだし…。
と、目の端で、可奈が紙袋から芋たい焼きを出している姿。
食べられないわ、と言おうとしたところで。
可奈「よ、っと…はい、半分コ」
笑顔で頭の方を渡される。
正直、けっこうお腹いっぱいなんだけど…。
笑顔の可奈と顔を見合わせ、同時に齧りつく。
志保「芋ね」
可奈「芋だね」
志保「…けふ」
八分目を通り越して、満腹。
可奈「お腹いっぱいーもう食べられないー…」
志保「二人で丁度良かったわね」
可奈「あ!二人で来たら、さっきのベーコンと、好きなの一つを半分コして食べられるね!」
志保「…そうね」
二人で一つと半分。
…次は抹茶を食べてみようかしら。
いざとなったら、可奈に食べて貰えばいいし。
志保「次が楽しみね」
可奈「うんっ!」
お粗末様でした
ベーコンエッグたい焼き美味しかった…
志保、誕生日おめでとう(2回目)
それでは
乙でした
>>2
北沢志保(14) Vi
http://i.imgur.com/Aa85Bfk.jpg
http://i.imgur.com/PD51uPh.jpg
矢吹可奈(14) Vo
http://i.imgur.com/r3J1Srr.jpg
http://i.imgur.com/e51KSNH.jpg
本当にあったよwwwwwwwwwwそれ
http://i.imgur.com/oTNaRxq.jpg
紗代子「鯛焼きと聞いて!」
これは良い雰囲気のかなしほ
乙乙
いいかなしほだった…掛け値なしに
あぁかなしほは至高だな
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