私のお姉ちゃん (39)

昔書いた姉「死にたい……」妹「おねぇちゃーん?」を加筆修正したものです。

これからセンター試験なので書きます。台本形式ではないです。

……これからセンター試験だよほんとどうすんの

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1421451240

――――私にはお姉ちゃんが居る――――

「おはよう。妹ちゃん」

「おはようお姉ちゃん。今日はぐっすり寝れたみたいだね」

「……え?8時30分……だ……あー‼会社遅刻する‼‼」

「なに言ってんのお姉ちゃん。一週間有給だって言ってたじゃん」

「あれ?そうだっけ?」

「ほら、有給全然取ってないから、会社に取れって言われたって言ってたよ」

「……あーそうだった。そっか、今週一杯休みだったっけ」

「もーお姉ちゃん。それ昨日も言ってたよーしっかりしてよねー」

「なんか働き詰めだったから、どうもねー」

 私のお姉ちゃんは優しくて、格好よくて、どこか抜けている所もあるけれど、とっても素敵な人だ。今年で2X歳になんるお姉ちゃんは、若くしてバリバリのキャリアウーマンってやつで、死別した両親に代わって、大学の研究室でモラトリアム人間をしている私を養っていただいている。もう足を向けて眠れないよね。いわんや、年齢をばらすなんてとてもとても……

 あー一応研究も頑張ってはいるんだよ?最近の研究?最近は霊的ななにかの存在の確認をもとに、そこからクローンの記憶と性格をできるだけ……一応我ながら胡散臭いとは思っているんだよ?学会で認められることもなく……うん。この話はやめよう。

 私は気持ちを切り替え、お姉ちゃんと朝ごはんを食べることにした。

「お姉ちゃん。朝ご飯作ってるよ。一緒に食べようよ」

「わー妹ちゃんありがとー。いただきます」

「召し上がれ」

「あ、妹ちゃん研究の方は大丈夫なの?」

「もーお姉ちゃん。私昨日、お姉ちゃんが休みの間は私も休むって言ったじゃん」

「アハハ、そうだっけ?もうなんかダメダメだなぁ」

「最近働き詰めだったから、疲れてるんだよ。有給一杯使って、ゆっくりしよう」

「よーしじゃあ毎日妹ちゃんとイチャイチャするぞー!」

「ハイハイお姉ちゃん。とりあえず早くご飯食べよ」

「む、妹ちゃんが冷たい」

「お姉ちゃんの為にこんなにおいしい朝ご飯を作ってあげてる妹にむかって、冷たいとは何事だ」

「ははっー妹様。大変美味しゅうございます。ありがたやーありがたやー」

 そんな頭の悪い会話をしながら、お姉ちゃんと一緒に朝ご飯を食べる。なんとなく目に入った時計は、8時52分を示していた。

……8時52分。

 なんだろう。なぜだか、胸騒ぎがする。

「ねぇお姉ちゃん」

 ふと、お姉ちゃんに呼びかけて見た。

「なぁに?妹ちゃん?」

「ううん。なんでもないんだ」

 お姉ちゃんには何も変わったことはない。うん。今日もお姉ちゃんは正常だ。私は、今日はお姉ちゃんとお出かけをしようとふと思った。

「お姉ちゃん!今日どっか一緒にお出かけ(デート)しようよ」

「うんいいね。どこに行こっか?」

「うーん。あ、そうだ!そろそろ寒くなってきたし、秋服買いに行こう!」

「そうだね。じゃぁ隣町のショッピングモール行こうか」

「さんせー!」

 さぁ、今日はどんな1日をすごそうか。

「おはよう妹ちゃん」

「おはようお姉ちゃん。昨日は楽しかったねー」

 お出かけ(デート)の次の日。今日も今日とて、お姉ちゃんと朝の挨拶をする。お姉ちゃんがテーブルにつくと、私はお味噌汁とご飯、焼き鮭というスタンダートな和食の朝ご飯を用意し、エプロンを外しながらテーブルにつく。

 時計は八時五十一分を指していた。
 

 ……なんだろうこの胸騒ぎは。

 
「ね、ねえお姉ちゃん!今日はなにしようか」

「……ぃ……ぃ……」

 返事がない。いや、よく聞くとなにかを言っているようだ。

「ど、どしたのお姉ちゃん……?」


 顔をあげると、虚ろな目をしたお姉ちゃんがいて、「死にたい」と呟いた。

「……お姉ちゃん?」

「もうやだ死にたい……」

「だからお姉ちゃん。なにがあったの?」

「妹ちゃん。もう死にたいよ……」

「お姉、ちゃん?」

「死にたい……」

「お姉、ちゃんそんな事、そんな事言わないでよ」

「死にたい……」

 私のお姉ちゃんは、そんな事いう人じゃない。違う。私のお姉ちゃんは、いつも前向「死にたい……」きで、明るい人だ。

 「死にたい……」じゃあなんだ。『これ』はなんだ?あ、そうだ。とりあえずお姉ちゃんではないんだ。お姉ちゃんじゃない。じゃあ、なんだ?「死にたい……」『これ』は、なんだ?いや、重要なのはそんな事じゃないじゃないか。「死にたい……」

 そうだ。『これ』の正体なんかどうでも良い。重要なのは、『これ』が、「死にたい……」卑しくも私のお姉ちゃんの姿で、私の素敵なお姉ちゃんの姿で、「死にたい……」死にたいだなんて、「死にたい……」おかしな事を言っている事だ。

 『これ』は、この、お姉ちゃんの姿をしたタンパク質の塊は、一体私「死にたい……」の素敵なお姉ちゃんを、どこにやったんだろう?「死にたい……」

 タンパク質と水分と、後「死にたい……」あぁそうだ。水分60%、たんぱく質18%、脂肪「死にたい……」18%、鉱物質3.5%、炭水化物0.5%で出来ている「死にたい……」この物体は、お姉ちゃんをどうしたんだろうか?

 うるさい。

「うるさい」

「死にたい……」

 うるさい。

「うるさい」

「死にたい……」

 うるさい。

「うるさい」

「死にたい……」

 卑しくも、卑しくも、私のお姉ちゃんの姿で‼

「そんなに死にたいなら殺してあげるよ‼」

「死にたい……」

 うるさい。うるさい。うるさいうるさいうるさい‼

 私はナイフを手に取り、お姉ちゃんを、殺した。不思議と、私の体は何の躊躇いも無く、何故だか、慣れた手つきで、お姉ちゃんを……

「お姉、ちゃん?」

 私の目の前には、お姉ちゃんの死体がある。

「お姉、ちゃん?」

 私の目の前には、お姉ちゃんの死体が……死体?

「お姉、ちゃん?」

 お姉ちゃんの死体……死体……赤い、死体……あ、あか……あか……あ、あああ、センター……

 あーあ、私の、あーあ、あーあ、手の中には、お姉ちゃん、あーあ、あ、死死にた、血の、ナイフが、血、赤赤赤い液赤あー、血が、あーあ、血液、あーの、あーああ、血清が、あーあ、血液、あー凝固、因子あーが、組織から、あーあ、プロトロあーあーンビあーン、フィブリン、あーあ、ああ、お姉ちゃん、死ぬ、握あああああ死られていて、至るる、いる、ああ、血餅が、あ人、あーいて、私が、お姉ちゃん、を、あーあ、明らか、ああで、私の手の中あーあ、に暖かい血が暖あ、あかい、あ赤いああ、たかいああか、い血、が私の手の中にあふれ、てきて、あああたたかいなあ、あ、にかが、お姉ちあ、あ、あ、ゃんのあーあ、体が目あ、あ、あ、の前にあーあー倒れあああていて、あ、あ、あ、私が した、私あーあが、 したあああ「あああああああああ」

「あ、」

 そうだ。そうだった。

「思い出した。ただのクローンだ」

 そう、これはただのお姉ちゃんクローンだった。私は、机の中からクローンの記録ノートを取り出す。

「1月17日8時52分。活動時間86時間53分。約3日かぁ。

 421号のお姉ちゃんは147時間53分持ったのになぁ」

それでは、センター試験を受けてきます。

続きは帰ってから……やる気力体力はたぶん残っていないと思うので、申し訳ありませんがセンター終了後からで

SSで一生を棒にふるとは……なかなかやる

最近これの兄版を見た気がする

リスニング簡単だったな

>>15
おいやめろ

――――私にはお姉ちゃんが居た――――

「ねぇねぇ妹ちゃん。妹ちゃんは幽霊だとかの存在を信じる?」

「どしたのお姉ちゃん。藪からスティックに」

「なんでルー大島語なのかは置いくね。今日さ、友達と死んだら終わりなんて悲しいよねーなんて話しをしてたんだよ。で、実際どうなんだろうなぁと天才の妹ちゃんに聞いて見ようと思ってね」

「そんなの分かんないよ」

「えー妹ちゃんにも分からないのかー」

「分からないっていうか証明の仕方が無いからねー」

「そっかー残念」

「でも、あるといいなーとは思うよ」

「どうして?」

「死んだら終わりって悲しいじゃん。それに絶対私がお姉ちゃんを残して死んだら幽霊になってでてくるよ!」

「そうだね。私も死んだら化けて出てくるよ!」

 六年前のある日の会話だ。今から思えば、普段はしない幽霊についての会話なんかをしたのは、虫の知らせというか、そういった前兆だったかもしれない。

 その会話を最後に、お姉ちゃんは死んだ。トラックにひかれて、即死だった。

 この件に関して言えば、私が買い物を頼んだばかりに……みたいな創作によくあるような罪悪感は全くない。最後の言葉があんなに酷い言葉だったなんて……というような後悔も全く無い。最期まで私達は仲が良かった。


ただ、私は緩やかに壊れた。

最初は些細な綻びだった。私はふとした瞬間に、お姉ちゃんが死んだ事を忘れた。

それは例えば、朝、お姉ちゃんを起こそうと部屋まで行ってしまったり、夜、いつも受験勉強で寝るのが遅かったお姉ちゃんの夜食を作ってしまったりといった行為として現れた。

次第にこんな間違いは増えた。そう、私は確かに間違いである事は認識していたのだ。それでも、私はお姉ちゃんが死んだ事を忘れた。

二ヶ月もたった頃には、毎朝お姉ちゃんを起こしに行き、毎晩お姉ちゃんの夜食を作っていた。
 


 そしてその頃から、とうとうお姉ちゃんの幻覚が見え始めた。


正確な始まりはもう忘れてしまった。でもその幻覚は、誰も浴びていないはずのシャワーを浴びていたり、私が起こすのに抵抗して二度寝をしていたりした。

私は流石にまずいと思った。でも私は異常を認識することを出来ても、それを解消する手段は思い浮かばなかった。

そして私はなんの因果か、尋常じゃない天才だった。

私はその自慢の頭脳を、異常の解消ではなく、全く逆のベクトルで、つまり異常を推し進めるように使用し始めた。

私はお姉ちゃんのクローンを製造し始めた。

この頃になると、もう両親は私に何も言わなくなった。私の異常は、外から見ても、両親から見てもどうしようも無いと思うレベルに達していた。ちょっと前は両親も私を病院に連れて行ったけど、その頃は完全に放置だ。

 研究の開始から2年後、私はクローンであるお姉ちゃん1号を作り上げた。だけどお姉ちゃん1号は、すぐに自我が保てなくなって、自殺した。約半日だった。

「ねぇ、妹ちゃん。私は、誰なの?ねぇねぇ!私は私だよね!私は私だよね!ねぇ!ねぇって!」

 自分の首にナイフを突きつけ、死んでいったお姉ちゃんの姿。血まみれで床に倒れ伏すお姉ちゃんの姿は今も目に焼き付いて離れない。


 あぁ、そうそう。その様子を見ていた両親は、自殺した。

 その半年後、私はお姉ちゃん2号を開発した。今度は前回の失敗を踏まえて、自分をクローンだと認識させないようにした。

今度は結構上手くいった。というか前回がアホすぎた。クローンに自分がクローンで有る事を、認識させて良いはずが無い。色んなSFで言われている事だろう。

でも結局ダメだった。本物のお姉ちゃんの記憶を受け継いだせいで、その内記憶の辻褄が会わなくなったのだ。そして結局お姉ちゃん2号は自殺した。これは1ヶ月だった

 そんな調子で、お姉ちゃん19号まで失敗を繰り返し続けた。やはりクローンは難しい。

お姉ちゃん20号は、1日あれば作ることが出来た。

 そして私にはお姉ちゃんクローンだろうが何だろうが、お姉ちゃんのような何かが居さえすれば良いのだ。


 私は、お姉ちゃんクローンを長く生きさせようとする事をやめた。

 20号から現在のお姉ちゃんクローンは、1週間が寿命だ。そしてお姉ちゃんクローンが死んでから約2時間程度で、次のお姉ちゃんクローンを作れる。私は、この2時間程度――今の時間だ――お姉ちゃんが居ない事を耐えれば良いのだ。


お姉ちゃん47号から、おかしな事が起こりだした。それまではきっかり1週間で死んでいたお姉ちゃんクローンが、1週間たたずに、8時52分。つまりお姉ちゃんが死んだ時間に自我を崩壊させだしたのだ。

「死にたい」とお姉ちゃんクローンが言い出し、それを私が[ピーーー]。こんな事がもうずっと続いて居る。

「9月20日12時お姉ちゃん423号活動開始」

お姉ちゃんクローンが動きだした。明日はお姉ちゃんの命日だ。

 ……それまでなにかを考えていた気がするけれど、記憶が無い。でもよくあることだ。よく分からないけれど、私はお姉ちゃんに言わなきゃいけない気がした。

「お姉ちゃん。産まれてきてくれてありがとう」

「ん?どしたの急に?」

「ううん。何でも無いよ。お昼ご飯作るね」

「いつもありがとうね。妹ちゃん」


 ……今日もお姉ちゃんは正常だ。

センターの点数を報告するために学校に行ってきます。

正直センター云々の話には興味がない

みーまーみたいな感じだな
こういうのってなんていうんだろう

再開しますというか終わらせます……がその前に訂正

>>25
「9月20日12時お姉ちゃん423号活動開始」
ではなく
「1月17日12時お姉ちゃん423号活動開始」

です

 1月18日。私はなぜか8時52分という、有給で久しぶりの休日をとったお姉ちゃんにとって、まだまだ寝ていていいはずの時間にも関わらず、お姉ちゃんを起こしに行かなければならない気がした。8時52分。胸騒ぎが止まらない。怖い。なんだか怖い。

 私がお姉ちゃんの部屋に行くと、ベッドには虚ろな顔をしたお姉ちゃんが座っていた。

「あぁ……」

 私は思わず声がこぼれてしまった。理由は分からない。でも、怖い。なにか怖い。

「お、お姉ちゃん?」

「死にたい……」

「ねぇどうしたのお姉ちゃん」

 ああ……あああ……あ、お姉ちゃんは……私のお姉ちゃんは、そんな事いう人じゃない。違う。私のお姉ちゃんは、いつも前向きで、明るい人で、ああ、私のお姉ちゃんは!!

 しかしそこで、お姉ちゃんは虚ろな顔をやめて私を強く抱きしめた。

「妹ちゃん………………もう、やめよう?」

「……え?」

お姉ちゃんは私を優しく諭すように喋りだした。

「ふぅ……やっぱり命日ともなると、ちゃんと動くね」

「……お姉ちゃん?」

「妹ちゃん。落ち着いて聞いて。私は、自分が死んだ時間だけ、クローンに介入出来る用になっていたの。

 1回や2回の挑戦じゃそのクローンに乗り移れ無いわ。でも、何回かやると、私はそのクローンに乗り移れた」

「……お姉ちゃん?……お姉ちゃん!!」



一体このお姉ちゃんは何を言っているのだろうか。クローンだとかなんだとか。

「でも、きちんと介入出来なかったわ。精々がクローンの自我を崩壊させるだけ。
 でも命日は力が少し強まった。でも1回目の命日じゃまだあまり何も出来なかった。2回目3回目4回目5回目も駄目。でも6回目の命日つまり今日、私はようやくきちんとクローンに介入出来た」


今日のお姉ちゃんは何かがおかしい。


「ねぇ妹ちゃん。現実を見て?私はもう死んだの。妹ちゃんはもう1人で生きられるよ」

「うるさい」


今日のお姉ちゃんはおかしい。


「私が死んだ日の会話、覚えてる?私は、こうして幽霊になっていつでもあなたのことを見守ってるから。私は、妹ちゃんのことをずっと見守っているから」

「うるさい」

「だから、もうやめよう?」

 また失敗?あれ?失敗ってなにがだ。分かんないや。目の前で『何か』が喋ってる。でもこんなのお姉ちゃんじゃない。

「妹ちゃん‼」

お姉ちゃんは私を否定しない。だってお姉ちゃんは優しいもん。私のお姉ちゃんは優しくて、格好よくて、どこか抜けている所もあるけれど、とっても素敵な人だ。お姉ちゃんは、お姉ちゃんは、私のお姉ちゃんは‼私を否定しない!私のお姉ちゃんは優しいし、私のお姉ちゃんは素敵な人だし‼

 お姉ちゃんらしきものが崩れる。私はナイフをもつ。あれ。もう持ってるや。[ピーーー]‼[ピーーー]‼死んじゃえ‼お前はお姉ちゃんなんかじゃない。お姉ちゃんはああああああ私のお姉ちゃんはああああああ‼[ピーーー]!お前なんか!お前なんか!お前なんか!

「妹…………ちゃん…………現実………………」 あ、死んだ?止まった。止まったよ?あー死んだ死んだ?死んだ?なんで?誰が?お姉ちゃん?お姉ちゃんが死んだ?なんで?いや嘘だ?嘘だ?嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ。

 お姉ちゃんが、あの優しいお姉ちゃんが私のことをおいて、死ぬわけないんだもの。

お姉ちゃんが私を置いてくはずがない。お姉ちゃんは酷くない。お姉ちゃんは…………………………………………

「1月18日13時。お姉ちゃん424号活動開始」

やっぱり私のお姉ちゃんはこうでないと。

以上です。ご愛読ありがとうございました。1先生の次回作にご期待ください!
>>29
みーまーは好きです。というか入間人間が好きです。

乙、なかなかカルト的で良かった
でも、やっぱり幸せになって欲しかった

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