レントン「エウレカのおでこの突起物が気になる」 (22)


エウレカ「レントン、気になったとしてもこれには絶対に触っちゃダメ。絶対にダメ」

レントン「そういわれると触りたくなるんだよな。ちょっとだけつつかせて」

エウレカ「ダメったらダメ。押したら膿とか飛び出るかも」

レントン「嘘つけ。ニキビか!」

エウレカ「ぶちゅって緑の液体が飛び出るかも」

レントン「大丈夫だって。軽く触るだけだから」

エウレカ「例えレントンが額を地べたに擦りつけて頼んだとしてもダメ」

レントン「頼むよエウレカ! 一生のお願いだ!」グリグリ

エウレカ「無駄だって言ってる。レントン、その土下座は無駄」

レントン「じゃあもし触ったらどうなるかだけでも教えてよ!」グリグリ

エウレカ「それもダメ。まだ子供のレントンには早すぎる」

レントン「ぬわああ!! すげえ気になる!!」


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レントン「何? 性感帯みたいなもんなの?」

エウレカ「さあ、どうでしょうか?」

レントン「なんでもったいぶるんだよ! あ、じゃあ三択クイズで! 三択クイズでお願い!」

エウレカ「1 押したら大変なことになる。 2 こそばゆい。 3 何も起きない」

レントン「えーっと……1?」

エウレカ「正解」

レントン「……」

エウレカ「……」

レントン「大変なことって?」

エウレカ「それは秘密」

レントン「気になるだろ!」


レントン「よーし分かった! なら勝負をしよう! 俺が勝ったらエウレカのおでこをつつく。で、エウレカが勝ったら……」

エウレカ「レントンの持ち物をすべて焼き払う」

レントン「重ッ!! なにその条件! 重ッ!!」

エウレカ「私のおでこに触りたいならこのくらい当然」

レントン「……いいよ。俺だって覚悟を決めてやる。勝負の内容は……」

エウレカ「指相撲ね」

レントン「指相撲?」

エウレカ「前にゲッコーステイトの皆と指相撲大会をやって優勝したことがあるの。だから指相撲」

レントン「なんだよソレ! 圧倒的にエウレカが有利じゃないか!」

エウレカ「降りる?」

レントン「う……! や、やってやるよ! 絶対勝ってエウレカのおでこをつつくんだ!」


エウレカ「じゃあ始めるね? よーい、スタート」シュビッ ガッ

レントン「早ッ!! そして痛ッ!! ぐぬぬぬ……!!」

エウレカ「1……2……3……」

レントン「ぐぬぬぬ!! エウレカ! 好きだ!」

エウレカ「4……5……6……」

レントン「くっそォ!! 『へ……?////』とかってなれよォ!!」

エウレカ「勝負はそんなに甘くないよ。……7……8……9……10。おしまい」

レントン「ちくしょう! 強すぎる!!」

エウレカ「約束通りレントンの持ち物を全部焼き払う」ビリッ

レントン「嘘!? 服も!?」

エウレカ「もちろん。あ、でもリフのボードとかってどうやって燃やせばいいのかな?」

レントン「ダメ! リフは俺の命! 燃やしたらダメ!」

エウレカ「勝負の世界では約束は命よりも重いよ」

レントン「あれ、エウレカ髪型変えた? なんか今日は一段と可愛く見えるよ」

エウレカ「無駄。レントン、おだてても無駄」グイッ

レントン「あ、じゃあせめてパンツは見逃して! これじゃ皆の前に出られないから!」

エウレカ「大丈夫。私のをしばらく貸してあげる」

レントン「大丈夫じゃないよ! 絶対大丈夫じゃないよ! ///」


***

パチパチパチパチ……

エウレカ「よく燃えるね、レントン」

レントン「……」

エウレカ「大丈夫、ちゃんと似合ってるから」

レントン「嘘つけよ! 女性用下着が似合ってたら大問題だよ! ///」

エウレカ「なんならブラジャーも貸そうか?」

レントン「いらないよ! それよか毛布を貸してよ! パンツ返すからおっきめの毛布を! ///」

エウレカ「ダメ。それじゃ面白くない」

レントン「ひどいや、エウレカ!」

本当に燃やしたw


エウレカ「レントン、笑って」パシャリ

レントン「笑えないよ! むしろ哂われる方だよ! ///」

エウレカ「女性用下着着用記念」

レントン「エウレカ! 僕ともう一勝負だ!」

エウレカ「いいよ。レントンが勝ったら?」

レントン「俺が勝ったらエウレカのおでこをつつき、毛布を貸してもらう! で、エウレカが勝ったら……」

エウレカ「私が勝ったらレントンはゲッコーステイトの皆の前でベートーベンの第九を熱唱。もちろん全裸で」

レントン「重ッ!! そんなことしたら俺の人間としての尊厳が……」

エウレカ「粉々。楽しみ」

レントン「ま、負けるもんか! 勝負方法は……」

エウレカ「勝負方法はモーリスの似顔絵。審判はモーリス」

レントン「似顔絵?」

エウレカ「うん。いつも子供たちの顔を見てるから余裕。私の圧勝」

レントン(しめた……。絵なら割と得意なんだ……)

レントン「いいだろう! 受けて立つよ!!」


エウレカ「もちろんモーリスの顔を見ずに描くこと。制限時間は私が描き終るまで。よーいスタート」カキカキ

レントン「なんだ、その自分勝手なルール!」カキカキ

***

20分後

エウレカ「出来た! 試合終了」

レントン「な、何とか間に合った……!」フゥ

エウレカ「この絵を見てびっくりするモーリスの顔が楽しみ。それからレントンの独唱も」

レントン「……モーリスに見せる前にちょっと俺に見せてよ」

エウレカ「じゃ~ん、力作。目のあたりが特に上手く描けたと思うの」ピラリ

レントン(うっわ、ヘッタクソだな……)

エウレカ「レントンのも見せて」

レントン「はい」ピラリ

エウレカ(うっま!!!!)ガーン


エウレカ「……」

レントン(固まってる、固まってる。こりゃ楽勝だな……)

エウレカ「と、とりあえず審判を呼んでくるから、レントンはここで待ってて」

レントン「うん」


***

ウィーン

エウレカ「モーリス!」

モーリス「ママ、どうしたの?」

エウレカ「今度おもちゃ買ってあげるから似顔絵対決の審判をしてもらいたいの」

モーリス「……」ピキーン


モーリス「……ママの絵を選べってことだね?」

エウレカ「モーリス、大好き」ギュッ


***

エウレカ「お待たせ」

モーリス「似顔絵対決の審判をしてほしいって言われたんだけど……」

レントン「ああ! ここに二枚の似顔絵があるだろ? どっちが上手いか教えて欲しいんだ」

モーリス(うわ、ママの絵ヒドイな……。輪郭がぐちゃぐちゃで目だけ少女漫画みたいにキラキラしてるよ……)

エウレカ「どっち? レントンの方? それともママの方?」

レントン(まぁ聞くまでもないだろ……)



モーリス「……ママの絵の方が、上手いかな……?」

レントン「は!?」

モーリス「レントンの方は確かにリアルなんだけど、小手先のテクニックだけで描いたって感じがするんだ。その点ママのは前衛的というか心の目で見たものを描いたというか……」

レントン「いやいやいや! もっとよく見てみろモーリス! お前のママのうんこみたいな絵を!」

エウレカ「審判の言うことは絶対。モーリス、今晩レントンの独唱会があるから集まるようにって皆に言ってきて」

モーリス「うん」スタスタスタ

レントン「嘘おおおおおおおおお!!!!!!!!!」


***

その晩

レントン「Freude, schöner Götterfunken, Tochter aus Elysium(歓喜よ、美しき神々の煌めきよ、エリジウム楽土から来た娘よ)」

レントン「Wir betreten feuertrunken, Himmlische, dein Heiligtum! (我等は炎のような情熱に酔って天空の彼方、貴方の聖地に踏み入る!)」

レントン「Deine Zauber binden wieder, was die Mode streng geteilt (貴方の御力により、時の流れで容赦なく分け隔たれたものは、再び一つとなる)

レントン「alle Menshen werden Brüder, wo dein sanfter Flügel weilt. (全ての人々は貴方の柔らかな翼のもとで兄弟になる)」



ホランド「……レントン、とりあえず服を着ろ……」

レントン「俺だって着たいよ! ///」

エウレカきたねえwwww

審判するならどっちがどっちを描いたかは伏せろよww
まぁ取り引き持ちかけてる時点で察するだろうけど

ママとして失格だろw



***

深夜2時

レントン(……もう何もかもを失ったんだ。今の俺はなんだって怖くないぞ……)

レントン(こうなりゃ無理矢理エウレカのおでこをつついてやる……)ソロリソロリ

エウレカ「……」zzz スヤア―

レントン(へへへ、パンティを履いた男が近くに迫っているとも知らないで……)ソーッ 


つん


エウレカ「……」zzz スピ―

レントン(……なんだ、何も起きないや)




エウレカ「」プルプルプルプル


レントン「ん?」




エウレカ「痛ああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」ゴロゴロ

レントン「うわッ!?」

エウレカ「ヒイイ!! 痛い痛い痛い!!!!!!!」

レントン「え、エウレカッ!?」

エウレカ「あ、頭がッ!! 頭が割れるッ!!!」

レントン「うわああ!! ご、ごめんよ!! まさかこんなことになるとは思わなかったんだ!」


エウレカ「ぎ、儀式をッ!! 鎮痛のための踊りをッ!! 早くッ!!」

レントン「鎮痛の踊り!? どうすればいいの?」

エウレカ「ま、まず乳首に洗濯ばさみを挟んで鼻に割り箸を刺し、それから……。ウッ!!」

レントン「そ、それから……?」パチンパチン サクッ サクッ

エウレカ「さ、sakuraを歌いながら適当に踊ればきっと……くうッ!!」

レントン「♪あぁぁめええええん……じいいいいんぐれえい~す……はああうすぃいいいぜああさあああん……」アソレ アヨイショ

エウレカ「も、もっと本気で! 痛ぅ!」

レントン「ゆうめご! こおちのお! あ、さーいちーばんにいい!!!」ヨイヨイヨイヨイ

エウレカ「乳首洗濯ばさみ記念」パシャリパシャリ

レントン「あ! 騙したなエウレカ!!」


エウレカ「勝手におでこに触ったレントンが悪い」

レントン「う……それは謝るけどさ……。ていうか結局触ったところで何も起きないじゃないか」

エウレカ「ただ触っただけじゃ何も起こらないよ」

レントン「え? じゃあどう触れば……?」

エウレカ「秘密。でもこれだけは言える。……もんのすごいことが起きると……」

レントン「ああもう!! だからそうやって気になるようなこと言うなッて!! ホントは何も起こんないんだろ?」

エウレカ「……そう信じてる方が……幸せかもね……」フッ

レントン「くうう! 気になる!! 教えてくれよエウレカ!! 何でもするからさ!!」

エウレカ「何でも?」

レントン「何でも!!」


エウレカ「じゃあ私をテーマにした愛のポエムを作ってみて。今ここで」

レントン「ぽ、ポエム? ///」

エウレカ「うん。録音して皆に聞かせるの。楽しみ」

レントン「くッ……。そ、それでつついたらどうなるのかが分かるのなら安いもんだ! ///」

エウレカ「録音スタート」ポチッ



『青い髪の女の子』

レントン=サーストン


君が笑う。

すると俺の心の中にポッと温かいものが灯るんだ。

なんていうのかな、優しい温かさなんだ。

いつしか俺はその笑顔の虜になっていた。

いつまでも俺の隣で笑っていて欲しい。

いつまでも俺の腕のなかでその弾けるような笑顔を……。


君が泣いたら俺も悲しいんだ。

どんなに空が晴れ渡っていても、なんだか虚しい気がして……。

きっと熱々のビッグバーグを食べていたとしてもさ。


だからエウレカ、君を泣かせはしない。

きっと守ってみせるよ。

これからも……きっと……。



エウレカ「いいのが録れた。マシューたちが喜びそう」

レントン「も、もういいだろ……。教えてくれよ、そのおでこの秘密/////」カアアアアアアア


エウレカ「じゃあ親指でギュッて押してみて」

レントン「こう?」ギュッ

エウレカ「もうちょっと強く」

レントン「えいッ!」ギュッ


ぶちゅっ



レントン「」

エウレカ「はいお終い」

レントン「え、何この緑の液体……」

エウレカ「コーラリアン汁」

レントン「コーラリアン汁!?」

エウレカ「それを人間が直接肌に喰らうと、かかった部分から壊死して大変なことになるの。すぐに洗った方がいいよ」

レントン「うわああああああああああ!!!!!!!!!!」バタバタ

エウレカ「それじゃおやすみ」パフッ




なかなかよかった

おもしろかった

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