エイラ「インフィニット・ストラトスぅ?」(78)

「エイラ、何してるの?」

エイラことエイラ・イルマタル・ユーティライネン中尉は自室の床にゴリゴリとチョークを使い、何かを書き込んでいる。

「ン、サーニャ。
良いところに来たナ」

エイラは床に書き上げた魔法陣を見せる。

「なに、これ?」

サーニャ、サーニャ・v・リトヴャクまたはアレクサンドラ・ウラジミーロヴナ・リトヴャクは床の魔法陣を見る。
ああ、また、占いのなにかねと見当を付けつつ、魔法陣の制作者を見る。

「未来に行ける魔法陣ダ」

エイラは胸を張って答えた。

エイラの脇には何やら胡散臭い本。
また、訳の分からない胡散臭い老婆にガラクタを掴まされたかと、サーニャは内心思い。
成功せずに、拗ねるエイラをどう慰めようかと算段しつつその様子を眺めることにした。

「えっ~ト、次は『魔力を注入します』カ」

エイラは目を閉じて、魔法陣の淵に手を置く。
そして、思いっきり魔力を込めてみる。

「成功しないね」
「おっかしいナ?
魔法陣は合ってるはずなんだけド……」

エイラはしばらく考え、ポンと手を打った。

「魔力が足りないんダ!」

そう言って、エイラは部屋を慌てて走り出て行った。
そして、直ぐに戻ってきたと思ったら、両脇にストライカーを抱えている。

ご丁寧にmg42まで持って。

「そ、そんなの持ってきてどうするの?」
「魔力を増強するんダ」

エイラはヘヘーンと得意げに笑うと、ストライカーを履き、再び、魔法陣に魔力を込めた。
取り敢えず、勝手にストライカーを持ってきた事を怒られなければ良いけどとサーニャは思い、ベッドの縁に腰掛ける。
そして、次の瞬間、部屋が一瞬、まるでカメラのフラッシュを焚いたかの様な光に包まれた。

「え、エイラ!?!」

サーニャは咄嗟に光の中心部に近い、エイラの名前を呼ぶ。
しかし、返答はない。
数秒後、漸く、視界が戻ってきたサーニャは息を飲むより他がなかった。

「エイラが、居なくなっちゃった……」

サーニャはエイラが先ほどまでいた場所を見るが、確かに、エイラはいない。
エイラが手を置いていたらしい場所は黒く焼け付いており、エイラの手形がついていた。

「ここ、何処ダ?」

エイラは周囲を見回した。
よくわからないが、どこか広い、闘技場のような場所に立っていたからだ。

「何者だ!?
どうやってここに入った!!」

脇に立つ、黒いスーツを着た東洋人の女性が叫ぶ。
扶桑語で叫ばれているため言葉の意味は分からないが、どうも怒っていると言う事はわかる。

「何言ってるのかわらねーかラ、ブリタニア語で喋ってくレ」
「ブリタニア?
貴様の話しているのは英語だろうが。
取り敢えず、その足に履いている機械と肩の機関銃を寄越せ。
何処から来たのか。
どうやって来たのか答えて貰うぞ」

東洋人の女はそれだけ言うと、何やら馬鹿でかい剣を構えた。
よく見れば、脇には人より2倍ほど大きいゴーレムが立っている。
白、青、黄、紫、黒、赤。
あと、形が違う黒いのが数機。

④④④④④

期待

全員、エイラを見て警戒している。
よく見れば、青、黄、黒以外は全員扶桑人だった。

「ここハ、扶桑なのカ?」
「扶桑?
ここは日本だ。
それよりも、さっさとの機関銃と足に付けている訳の分からん装置を外せ。
でないと…」

スーツの女は手に持っている大剣をカチャリと構える。
あんな物で切られたら堪ったもんじゃない。
勿論、エイラの予知能力があれば、避ける事は容易いだろうが、周囲の連中を相手にするとなると、中々骨が折れる。
また、mg42の100発弾倉じゃ、弾が足りないだろう。
いや、足りない云々の前に、『人間』を撃てるかどうか、が問題だ。
ネウロイは撃てても、人間を撃つ練習はしていない。
エイラは素直に勧告に従うことにした。

「わかっタわかっタ。
敵じゃねーヨ、味方でもなさそうだけどナ」

エイラが武装を解除すると同時に、あっという間に拘束され、目隠しをされた。
そして、どこかわからないが、部屋に閉じ込められた。

「それで、貴様の名前は?」
「エイラ。
エイラ・イルマタル・ユーティライネン。
スオムス空軍飛行第24戦隊所属。
中尉ダ」
「スオムス?
どこの国だ?」

スーツの女が地図を広げ、指せと言う。
エイラは何言ってんだこいつは?と言う顔で女を見た後、地図を見る。
そして、驚愕した。

「おイ、このアメリカ合衆国ってなんダ?
それニ、ここはジャパンじゃなくテ、扶桑だロ。
地図間違ってんじゃないカ?」

「間違っていない。
取り敢えず、お前の国があった場所を指せ」
「ヘーヘー」

エイラは地図を見る。
幸いにも、地名が変わっているが、地図は変わっていない。

「このフィンランド?って書いてある国だナ」
「フィンランド人か」
「違うけどナ。
こっちから質問してもいいカ?」
「ああ」
「今、何年なんダ?」
「はぁ?
21世紀、2012年」

女が答えると、エイラは目を輝かせてガタリと立つ。

「やっタ!
成功ダ!!
未来に飛べたんダ!!」

期待

④④④

エイラは現在置かれた状況より、自分が未来に行けたことに感動した。
今度はサーニャと一緒に未来に行こう。

よし、帰ろう!

そう、決意して立ち上がったものの、あの本がない。
そう、一緒に目の前の女に没収されたのだ。

「取り敢えず、座れ。
お前の目的は何だ?」
「目的は未来に飛ぶこト。
デ、私の目的は成功したんダ。
ア、そうダ。
せっかく未来に来たんだかラ、戦争がどうなったのか教えてくレ」
「戦争?」

エイラは頷いた。
街は平和そうだし、ウォーロックみたいな奴もいる。
戦争は人類が勝ったっぽいが、それでも、当時代の人間の言葉を聞いて、納得したい。

「第二次大戦なら連合軍が勝った。
貴様はフィンランドだったな?」
「だかラ、スオムスだっテ」
「取り敢えず、そのスオムス?は敗戦国の仲間入りだった筈だ」
「は?」
「1944年にソ連と休戦し、その後44年の9月から45年の4月までドイツ軍と戦った。
しかし、結果的には敗戦国としてソ連に戦争犯罪を問われるようになったな。
冷戦時はソ連側に寄りつつも、中立を示し、その後、ソ連が崩壊するまでうまく立ち回っていた。
素晴らしい国だよ」

女の話を聞き、エイラは愕然とした。

「そ、ソ連ってどの国だヨ!?
ドイツって国モ!!」
「ここと、ここだ」

女が指さした国はオラーシャとカールスラントである。

「そんな馬鹿ナ!
ネウロイはどうなったんだヨ!!」
「ねうろい?」

つ④

「そうだよ!
カールスラントにはネウロイの巣があるはずだろウ!
それガ、なんでオラーシャとカールスラントが戦争してるんだヨ!」
「よくわからんが、取り敢えず、お前の知っている歴史を教えてくれ」

女は首を傾げつつ、エイラの話を聞くことにした。
エイラは女に自分がいた、1945年までの話をした。
女はまるで夢物語を聞くかのように話を聞き、時折、質問を交える。
そして、エイラの話した後、今度は女の話を聞く段階になった。

「取り敢えず、お前の言っている歴史と今から私の言う歴史は似て非なるものだ。
だが、私が話す事がこの世界での正史だ」

女はそう、前置きを置いて、エイラにこの世界での歴史を伝えた。
エイラは驚愕した。
人間が人間と戦う戦争は確かに、あった。
だが、エイラがいた世界では近代、つまりは銃や戦車、戦闘機等を使用した戦争は主にネウロイ相手に使われていた。
しかし、この国、いや、世界は違った。

人間が、人間を殺す為に、兵器を使用した。
第二次世界大戦と呼ばれる、先の戦争では軍人だけでも最低で2500万、民間人は3700万の死人を出した。
それらは全て、人間同士が戦って殺し、殺された数なのだ。
エイラは言葉が出なかった。
目の前に座る女の言葉が恐ろしかった。

「わ、私の国とサーニャの国が戦争ヲ?
ミヤフジとリーネの国が戦争ヲ?
大尉とシャーリーの国が戦争ヲ?」
「ああ」

女は頷くとエイラを見る。

「取り敢えず、お前からは敵意を感じない。
これからどうする?」
「元の世界に帰ル」
「戻れるのか?」
「ああ、私から取り上げた本と銃とストライカーがあれば」

エイラは思った。
こんな世界、さっさとオサラバしてしまおうと。

「改良型のmg42とあの足に付けていた変な装置か。
本、と言うのはこれだな?」

女がエイラにそれを渡す。

「オ、そうそうこれだこレ」

エイラはペラペラと本を捲り、本を読む。
元に戻る方法を知らる為にペラペラと捲っていく。

「ン?」

エイラは最後まで読み、もう一度、はじめのページに戻る。
それを数回繰り返すと、パンと本を閉じた。

「どうした?」
「元に帰る方法が載っていなイ」

冷や汗をダラダラと掻き目の前に座る女を見た。
正確に言えば、元に戻る方法は下巻に記載と書かれているのだが、なければ載っていないのと同じ事である。

「元に、戻れないのか?」
「あア……
いヤ、ひとつ方法があル!
チョークと広い場所を貸してくレ!」
「あ、ああ構わないが…
取り敢えず、自己紹介をしておこう。
私は、織斑千冬だ。
ここの教師をしている」
「あア、私はっテ、最初に自己紹介したっケ。
エイラって呼んでくれヨ。
チフユさん」
「ああ」

エイラと女、織斑千冬は部屋から出た。
部屋は生徒指導室で、外には大量の女子生徒が集まっており、聞き耳を立てていた。

「貴様等何をしている!」
「逃げろっ!!!」
「殺される!!!」

全員口々に騒ぎながら蜘蛛の子を散らすように逃げていった。

「待て貴様等」

しかし、逃げ遅れた6名は確りと千冬に捕縛される。
6名はエイラが先ほど見た6人だ。

「ひぃぃっ!?!
捕まってしまいましたわ!!」
「一夏のせいだからね!!!」
「悪いの一夏です!!
我々は関係ありません!」
「きょ、教官!
一夏が提案したことです!!」
「一夏!!
アンタ、覚えてなさいよ!!!」
「提案したのは俺だけどお前等も全員賛同しただろうが!!!」

6人は口々に叫び声を上げた。

「何してんダ?」
「気にせんでくれ。
馬鹿ども目」

千冬は6人に平等に拳骨をくれてやった。

千冬とエイラは6人を引き摺って第3アリーナに出向く。
先ほど、エイラが出現した場所である。

「ここでその帰れる方法を試してくれ」
「あア。
何か書くものくレ」
「チョークがある」

千冬はエイラにチョークを渡す。
エイラはそれを受け取り、アリーナに魔法陣を書き始めた。

「一体、彼女は何なんですの?」
「てか、なんでパンツ一丁?」
「一夏!
お前はあっちを見ていろ!」
「目がぁぁ?!?!」
「彼女、フィンランド訛りの英語使ってるね」
「フィンランド人だな」

6人はエイラの行動を見ながらガヤガヤと煩い。

「お前達。
isを展開しておけ」

千冬はそんな6人に静かに言った。
6人はその声に何かを感じたのか、何も言わずに展開し、何時でも攻撃が行える態勢に移行する。
何が起こるかわからないが、なにか起こったら対処できるように。
千冬の言葉はそんな意味が含まれていた。

「よシ、書けたぞ。
あとは魔力を込めるだけダ」

エイラは魔法陣を書き終えるとストライカーまで走っていき、ガポッと足に嵌める。
全員がその様子を見届け、何をするのか?と見守っていると、突然頭と尻に獣耳と尻尾が出た。

「な、なんですのあれ!?」
「しっぽと耳が生えたよ!!」
「あれが噂の獣耳か。
クラリッサが言っていたぞ」
「感心している場合か!?」
「秋葉原にいる奴か」
「違うわよ!」

エイラは脇で騒ぐ6人を尻目に魔力を込める。
扶桑語、この世界では日本語で話しているので何を言っているのか不明だなのでどっちみち関係ない。

「んっ……」

そして、ありったけの魔力を魔法陣に注ぎ込む。
しかし、何の反応もない。

「んンっ!!!!」

エイラはさらに、力を込める。
やはり、魔法陣はウンともスンとも言わない。
これ以上は時間の無駄なので、魔法陣から手を離す。

「ダメだっタ」

エイラは千冬にそう伝えると、千冬はウムと頷いた。

「まぁ、そうだな。
取り敢えず、エイラ、お前が帰る方法が見つかるまではis学園に居られるように計らってやろう」
「本当カ!?
ありがとウ、チフユさん!」

エイラがにっこり笑って千冬に握手した。

「所で、質問していいか?」
「なんダ?
私に応えられる質問ならなんでもしてくレ」
「その足に嵌めている機械はどう言う機械なんだ?
見たところ、宙に受けるようだが…」

千冬はエイラの足にはめたストライカーを指差した。

「これハ、ストライカーって言う機械ダ。
言ってみれバ、ウィッチ用の飛行機みたいなもんだナ」

エイラは言うとブーンとエンジンを吹かし、上空に上がって見せる。

「と、飛びましたわ!?」
「スゲー!!!」
「奇妙な…」
「is?」
「違うでしょ」

エイラが飛ぶのを見て6人はあとに続くようにして飛ぶ。

エイラは別段驚く事は無かった。
逆に6人に近寄っていく。

「それは何ダ?
それがこの世界でのストライカーなのか?」
「お、おい、なんて言ってんだ?
俺、英語わからねーんだよ」

エイラが話しかけた男子は咄嗟に脇にいた金髪縦ロールの少女を見る。

「え、えっと。
これはisと言って。
その、ストライカー?
なるモノは違いますわ」
「is?
ウォーロックとは違うのカ」

エイラはしげしげとisを見つめる。

「な、なんですの?」

エイラが眺めるisの乗る、金髪縦ロールが恥ずかしそうに身を隠す。

「いヤ、別ニ。
それよりお前」

エイラは言うとモニュリと金髪縦ロールの胸を掴み、揉む。

「胸デカいナ~」
「な、な、なんて破廉恥な!!!!」

金髪縦ロールはムキーと怒ると同時に、手に持っていた銃をエイラに向け発射。

「ヨッ」

エイラはそれを事前に分かっていたかの様に避ける。
しかし、セシリアは次々とビームを乱射。

>>25 セシリア× 金髪縦ロール○

しかし、乱射しつつも、的確に相手を自分の有利な位置へと誘導していく。

「当たらねーヨー」

エイラはヘラヘラと笑いながら、そのビームを避けていく。
しかし、突如、ビームの嵐が止む。

「かかりましたわね!」
「オッ?」

次の瞬間、エイラ目掛けて4本のビームが飛ぶ。
それは金髪縦ロールの居る位置からとてもじゃないが撃てない位置からの攻撃だ。

「ふふ~ン。
どってこないっテ」

エイラはそれを綺麗に避けてみせる。

「ダイヤのエースを舐めるなヨ~?」

エイラは悪戯っぽく笑うと金髪縦ロールを見る。

「あ、貴女。
名前はなんというので?」

金髪縦ロールは笑顔を引き攣らせエイラを見た。

「エイラ。
エイラ・イルマタル・ユーティライネン。
スオムス空軍飛行第24戦隊の中尉ダ。
仲の良い奴からはイッルって呼ばれてるけど、まぁ、普通にエイラでいいヨ」
「エイラさんと言われるのですね。
私は、セシリア・オルコットですわ。
イギリスの代表候補生、以後お見知りおきを」

金髪縦ロールはそう自己紹介すると何故か勝ち誇った顔で右手を差し出した。
エイラはそれを握る。
二人は6人の下へ降りていく。

「彼女、エイラさんと言われるそうですわ」

セシリアが日本語で5人に説明する。
エイラはそれがわからないので黙って聞いたが、『エイラ』と言う単語を聞く所に、どうやら自分の紹介をしているようだと納得した。

「エイラ・イルマタル・ユーティライネン。
スオムス空軍飛行第24戦隊の中尉ダ」

なので、エイラも前に出て自己紹介する。
日本語がわからないので英語。

「中尉、と言う事は軍人か?」

一番端にいた黒いisを展開する白銀で眼帯の少女が前に出る。

「そうだゾ。
アンタも軍人なのカ?」

エイラは眼帯少女を見る。

「勿論だ。
私はラウラ・ボーデヴィッヒ。
階級は少佐だ」

ラウラが紹介すると、エイラはプッと笑う。

「眼帯で少佐カ。
501にも眼帯の少佐がいるんだヨ。
お堅い人デ、ぜんぜん好きがないんダ」

エイラがクスクス笑いながら言う。

「フム。
その少佐は怪我をしたのか?」
「違う違ウ。
魔眼って言っテ、ネウロイのコアが見えるんダ」
「ネウロイ?」

ラウラが首を傾げる。

「まァ、おいおい話すサ。
それよリ、後ろの4人を紹介してくれヨ」

エイラは後ろで並んでいる4人を見やる。
内3人にはどうやらこの国、日本の人間らしい。

「あ、ああ。
右から。
シャルロット・デュノア」

よろしくねとシャルロットがにっこり笑う。

「凰鈴音」

よろしくと凰鈴音が右手を差し出したのでエイラはそれ握る。

「織斑一夏」

やはり、織斑一夏もよろしくと右手を差し出した。

「篠ノ之箒」

篠ノ之箒はムスッとした顔でよろしくと言うだけだった。

「あいつ、怒ってるのカ?」

エイラは箒を指差しラウラに尋ねる。

「元々ああいう顔だ」

ラウラは気にするなと答えておいた。

一通り自己紹介を終えたエイラはisに興味があるらしくペタペタとラウラやセシリアのisを触る。

「しかシ、すげーなコレ。
なんで飛べるんダ?
さっきのビームは何ダ?
あれの威力はどれぐらいなんダ?
ネウロイも一撃で倒せるのカ?」

エイラはセシリアの持つレーザー銃、スターライトmkⅢを手に持つ。

「ネウロイが何かわかりませんが、航空機ならほぼ一撃で落とせますわ」
「なぁーなァー
それ私にくれヨ。
これがあればネウロイの巣も怖くないだロ?」

エイラがスターライトを構え、空に向かってトリガーを引く。
しかし、ビームは出ない。

「ありャ?
弾切れカ?」

④④④④

イイネ・

「isはそのisの登録者やisが一時的に許可した相手でないと撃てませんわ」
「ハァ?
それじゃあ咄嗟の時に味方が使えないじゃないカ」
「isはそもそも、軍用兵器ではありませんわ」

セシリアが今更何をという顔でエイラを見る。

「嘘だロ?
こんなのどっからどう見ても兵器だロ。
これで何するんダ?
釣りカ?」
「つ、釣りって…
確かに、これはisは軍事転用禁止されてますが「待て待テ。
軍事転用禁止なのになんでラウラは乗ってるんダ?
ラウラは少佐なんだロ?
それとも、車みたいなもんデ、ここは教習場なのカ?」

エイラの質問にセシリアは困ってしまい、仕方ない、脇で傍観していた5人を見る。

「え、えっとねエイラさん」

セシリアの救援要請に答えたのはシャルロット、シャルだ。

「isは世界で400機弱しか存在していないんだ。
で、isの開発はやっぱり、お金がかかるから、国家事業になるんだよ。
そして、isはその威力からやっぱり、兵器にもなるって理由で、軍事転用を禁止しているんだ。
でも、一般の会社や施設ではisの管理や開発は出来ないし、難しい。
だから、大抵は軍が手を貸して、その開発を行なっているんだよ。
勿論、僕の会社みたいに一般企業が開発に携わる場合もあるけど…」

そこまで言って、シャルは言葉を濁した。

「一般企業では資金面でやはり問題があって、第三世代isの開発が遅れている」

代わりにラウラが言葉を拾う。

「isにも世代があるのカ。
セシリアのこれは第何世代なんダ?」

「織斑と篠ノ之が第4世代。
ボーデヴィッヒ、オルコット、凰が第3世代。
デュノアが第2世代だ。
それと、isは軍事転用の禁止はされていないが、規制はされている。
まぁ、事実上禁止と思われるレベルでの規制だが」

そこで、漸く入って来たのは千冬だ。

「貴様等6人はラウラの面倒を見ろ。
部屋はお前達で決めろ。
異世界から来た人間で、生まれは1928年だ。
言ってみれば、ひいおばあちゃんと同じ知識しかないぞ。
現代の文明の利器に驚く事があっても丁寧に教えてやれ」
「ひ、ひいおばあちゃんって失礼だナ!
まだ16歳ダ!!」

エイラは憤慨するも、1928年生まれは事実なのでそれ以上は言及しない。

「へぇ~
エイラって俺等と同い年なんだな」

一夏が日本語で感心したように言う。
エイラは何を言われたかわからなったが、シャルが直ぐに訳してくれた。

「そうだヨ。
この世界ハ、平和で羨ましイ」

エイラは染み染みと頷いた。

「あんたの世界は第二次大戦が起こってない代わりに怪獣が暴れてるんでしょ?」

鈴音、鈴が断片的な情報からまとめあげた質問をする。

「まァ、怪獣というかネウロイって化物ダ。
一般人が近づけない瘴気を撒き散らシ、世界を覆っているんダ。
それに対抗できるのは私達ウィッチだけなんだヨ。
ウィッチは瘴気が効かないからナ」

エイラがふと影のある笑みを浮かべる。

「なぁ、そのisって奴を私に譲ってくれないカ?」

エイラがシャルを見る。

「え!?」
「コレさえあれバ、きっとネウロイ共を駆逐できるんダ。
そうすれバ、サーニャの両親も探せるシ、誰も傷付いたり死んだりしなくて良イ…
頼むヨ、私に譲ってくレ」

エイラがシャルに深々と頭を下げた。
握った手はシャルの手を痛い程に握り締めており、彼女がどれだけ思っているかが現れている。

「isを動かすには適性が必要だ。
まず、その検査をする必要がある。
織斑、倉庫からisを持って来い」

千冬が前に出て一夏に告げる。
一夏は俺かよという顔をしたが千冬に睨まれたためにダッシュで取りに行く。
一夏は千冬には逆らえないのだ。

暫くした後に一夏が何かを重そうに引っ張って来た。

「なんだそレ?」
「isだ。
デュノア、起動してエイラを載せてやれ」
「は、はい」

シャルは言わるとすっと動き、isを操作する。
すると、今まで死んでいたかのように色が無かったisは急に色が鮮やかになり、しゃがむ。

「さぁ、エイラ。
乗ってみて」
「お、おウ」

エイラは少なからずビビりながら頷き、ストライカーを解除し、シャルの手を取った。

「isスーツじゃないけど、適性があれば動かせるはずだから」

シャルは言うとエイラにセッティングをはじめる。

「オルコット、エイラに説明してやれ」
「は、はい」

エイラはセシリアから自身の乗るis、ラファール・リヴァイブと操縦方法を簡単に教わった。

「セットできました」

シャルが言うとエイラから離れる。

「理解できまして?」
「あア、大体ハ」

エイラは頷く。
セシリアが頑張って下さいと告げ、エイラから離れる。
エイラは初めてストライカーに乗った時を思い出した。
その時の緊張感が再び、胸を高鳴らせる。

「よ、よシ!
行くゾ!」

エイラは頷き、一歩目を踏み出す。
ガシャンとそれは確かに、右足を踏み出した。
そして、ガシャン、ガシャンガシャンと左、右左と歩みを進めた。

「凄いよエイラ!」
「適性がありましたわね!!」
「さすがフィンランド人だ」
「おめでとうエイラ!」
「やったな!!」

5人がまるで自分のことのように喜び、エイラに近寄る。

「お、おウ!
当たり前だロ!
私を誰だと思ってるんダ?
ダイヤのエース、エイラ・イルマタル・ユーティライネンだゾ!!」

エイラもほとんど見せない破顔して喜んだ。

「だが、isに乗れるからといってそれはやれんぞ」

しかし、その喜びに水を差すかのような一言を浴びせたのは他でもない千冬だ。

「isの定数は決まっている。
それが一機でも欠けてみろ。
国際問題にまで発展する。
is学園としては、isはエイラにはやれん。
isを“新たに作れるのなら”、問題はないが。
isは我々には作れん物だ」

千冬は敢えて英語で言ったあと、同じ事を日本語で言う。
しかも、その時、何故か、篠ノ之箒をじっと見つめ。
エイラは理解できなかったが、箒やその他全員は理解したらしい。

戦いは数だから、量産が出来無いisを持って帰っても
意味ない様な気が……。水を差してすまぬ。支援。

「取り敢えず、もう昼だ。
お前達は昼食を取りに行け。
エイラは私と来い」

エイラはラファールから降りながら千冬の言葉に頷いた。

「お前は、そうだな、ラウラと一緒で昔教えていた生徒と言う事で良い。
ラウラの部下という事で登録しておくし、ラウラやドイツ軍にも便宜を図るよう言う」
「あ、有難うございまス。
あの千冬さんって何者なんですカ?」

エイラは恐る恐る尋ねてみた。
控えめに言っても只者ではない。

「私か?
私はis学園の教師だ。
あと、時々、一夏の姉だな」

千冬はふふっと笑う。

「さぁ、付いて来い」

エイラはストライカーを担いで後をついていく。

「取り敢えず、そのデカいのは厳重保管しておく。
整備科に見せても良いか?」
「構わないけド、壊さないでくれヨ?
そいつは大事な相棒なんダ」
「ああ、決して乱暴には扱わせない。
それだけは保障する」

千冬は頷く。
エイラはそれを千冬に渡すと、千冬は何処かへ電話する。
すると直ぐに教師と思われる女性達がやって来た。
千冬は彼女等にストライカーを大切に渡し、エイラもそれをしっかりと見ていた。
mg42だけはエイラが持つことを許されたが、抜弾されたために、空の100連装マガジンがぶら下がっている。
千冬のあとに続きまず最初に行ったは職員室だ。
is学園自体、中が非常に未来的で、エイラはキョロキョロと周囲を見回しており、まるで都会に出てきた田舎者状態だ。
職員室に入ると女性しかおらず、昼時ゆえか教員と見られる女子も少ない。

「山田君」

    (~)
  γ´⌒`ヽ
  {i:i:i:i:i:i:i:i:}  ____ミ

|  |( `・ω・) /    / ○\ミ  =≡~④-=≡~④-=≡~④
|  |(  ⊃  ( ◎  (○  ○)   -=≡~④-=≡~④-=≡~④
|  | ∪ ∪ |\   \ ○/ =≡~④-=≡~④-=≡~④
|  |            :::::::④/
|  |           ::::::::④/    チュドドドドド
|_|          ::::::④/
|④|         :::④/

| ̄|≡ ④::④::::④::④/
""""""""""""""""""""""


千冬が一人の女性に話しかける。
メガネを掛け、なんと言うか、だぼっとした服を着ていた。
そして、その山田くんなる女子教師は慌てて立ち上がり、千冬の下へ来る。

「な、何でしょうか織斑先生!」
「ああ。
今日の今から転入する事に成った、エイラ・イルマタル・ユーティライネンだ。
彼女は英語とフィンランド語しか出来無い」

千冬は山田くん、山田麻耶にエイラを紹介した。

「フィンランド語、と言う事はフィンランド人なんですか?
ほへぇ~お人形さんみたいで可愛いですねぇ~」

山田はそんな事を言いながらエイラを見る。
エイラの視線はそんな事より、山田の胸に下がっている大きなスイカを見抜いていた。
こいつは、大物だ、と。
おっぱい星人であるエイラとしては今すぐにでも揉みしだきたい所だが、ここは我慢。
そう、我慢。

「取り敢えず、彼女は午後から授業に参加させてやって下さい。
凄まじく遺憾なのですが、部屋の空きがないので、織斑と同室にします。
まぁ、あいつはヘタレなので襲わないと思いますが…」

千冬はそう言ってエイラを見る。

「エイラ。
お前は私の弟と同じ部屋だ。
アイツに何かされたら遠慮なく殴って…いや、撃ってくれて構わない」

千冬はエイラの手に先ほど抜いたベルトを握らせる。
抜弾した意味ないじゃないかとエイラは思ったが、弾が戻ってきたので言うことはない。

「わかっタ」
「あと、我が学園での不純異性交遊も禁止だ」
「それは501でも同じだっタ。
大丈夫、私は興味ないヨ」

エイラはニヘラと何時も通りの様子を見せる。

「それでは山田くん。
私は彼女の転入で色々とやる事が出来たので失礼させて貰うよ」
「ええ、お気を付けて」

山田はにっこり笑ってそれを送る。

「えっと、じゃあ、予備の制服をお渡ししますね」

山田はそこまで言って、はたと気がついた。
エイラは何故かパンツ一丁だ。
千冬や一夏達6人はあの足の根元まであるストライカーを履いていたのだからパンツでもしょうがない?と理解したが、山田違う。
何故なら、今、エイラはストライカーをつけていないからだ。

「あ、あのぉ~
何故、パンツ一丁何ですか?
スカートかズボンは……」

山田の問いにエイラは首をかしげる。

「ズボンなら穿いているじゃないカ」

エイラはズボンの、ストッキングとパンツをパンと軽く引っ張る。

「いえ、えっと、その、その格好では色々とマズイので、こう言う、スカートかズボンを穿いて欲しいんです」

山田は困りながら自分のスカートや残っていた教師の履いているパンツスーツを指差した。

「へェ~
まァ、良いけどサ」

エイラは頷くと、山田はほっとしたように胸をなでおろす。
そして、脇のダンボールを開ける。

「えっと、エイラさんは……
これなんかどうでしょうか?」

山田が差し出したのはズボンタイプの物だ。
前にシャルが来ていた奴の予備で、上は女子用である。

「じゃア、それに着替えるヨ。
更衣室は何処ダ?」
「ええ、こちらです」

エイラは山田のあとに続き更衣室と書かれた部屋に入る。

「なぁなァ、山田先生」
「はい、何ですか?」
「えイ!」

エイラは山田の胸を鷲掴みにする。

「ひゃあぁぁあぁ!?!」

勿論、山田良い反応をする。
エイラはたっぷり10秒揉みしだき、フムフムと頷く。

「なかなか良い物ダ。
先に行ってますヨ、先生」

そして、ハヒーと顔を真っ赤にした山田を置いてエイラは出て行った。
おっぱい星人は狙った獲物は逃さないのだ。
そして、山田麻耶はこの場にもう一人のおっぱい星人、そして、両者を置いて頂上に君臨するおっぱい魔人がいなかったことに感謝するべきだろう。

まってるまってる!!
面白いぞ~

④④④

廊下に出たエイラは取り敢えず、ウロウロする事にした。
廊下ですれ違う学生はエイラに見蕩れたり、エイラと視線が合うと慌てて視線を反らせたりする。
エイラは少し不思議に思いつつも、良い匂いに誘われ自然と足が動く。

「ここカ。
ここは食堂なのカ?」

エイラは食堂の入口前に立ってジッと観察している。

「あらエイラさん。
どうされたので?」

中から食事を終えたらしい6人が出て来た。

「オ、セシリアだったっケ?」
「ええ、そうですわ。
エイラさんも食事ですの?」
「そう思ったけド、ここでの食事の取り方が分からないんダ」

エイラは首を竦め、目の前の機械を指差す。

つ④

>>53 首じゃねえ肩だ 首を竦める× 肩をすくめる○

「あら、そうでしたの?
これはお金を入れて自分の欲しい食事の券を買うんですの」
「このお金で買えるか?」

エイラはポケットからマルッカとリラを取り出す。

「ユーロやポンド、ドル、円はありまして?」

エイラの出した小銭にセシリアは驚きつつ尋ねる。

「持って無イ。
ユーロって何ダ?」
「2000年くらいにヨーロッパ一帯で使われるようになった単位だよ。
ドイツ、えっと、カールスロイス?カールスラントだっけ?
そこはマルクを使ってると思うけど今はユーロを使ってるよ」

シャルが丁寧に答えてくれた。

「未来じャ、金の単位も変わるのカ」

エイラは苦笑しつつ差し出したコインを仕舞う。

「良かったら、両替しますわよ?」
「そうカ?
頼ム」

エイラが仕舞った財布を差し出し、コインを取り出した。

「マルッカって1ユーロ幾らだっけ?」
「確か5.94マルッカだった筈だ」

ヨーロッパ系3人がエイラの持ち金をすべてユーロに両替する。

「ありがとナ」

エイラは3人に礼を言うと機械の前に立つ。

「買えるの?」

鈴がエイラに尋ねる。

「あア。
使い方は見ていたゾ」

エイラは頷き、どれを買うか悩む。

どの食事を頼むか。
正直、エイラは何でも食べられる。
だからといって、見当も付かないような料理を選び、それがあまりにも食べれそうにない物が出てきて貰っても困る。

「どーしたの~?」
「!?!」

エイラは背後から突然声をかけられ驚愕した。

「サーニャ!?」
「お~?」

しかし、振り返った先にいたのはサーニャではない。
袖が異様に長く、とろんとした表情の少女だ。

「あ、いヤ、すまなイ。
私の大事な人の声にそっくりだったんダ」
「英語わからな~い。
あいきゃんとーいんぐりーっしゅ~」

少女はフニョフニョと答える。

きたーー!!

エイラは勿論、日本語がわからない。
なのでふたり揃って券売機の前で首をかしげていた。

「何をしている」

そこに千冬がやって来た。

「おオ、千冬さん良い所ニ」

エイラが助かったと言う顔で千冬を見る。

「学校では織斑先生と呼べ」
「わかっタ、千冬さん」

分かっていなかった。

「そんな事よリ、こいつの言ってる言葉がわからないんダ。
セシリアやシャルロットが居ないから通訳してくれる人もいなくテ」

エイラが肩を竦めてみせる。

「ああ。
布仏。
お前は何をしているんだ?」
「おーりーむーらセンセ~
この子がね~
券売機の前で困ってたから声かけたんだけどね~
でも言葉が通じなくて困ってたんですよ~」

布仏と呼ばれた少女が困った様子を一切見せずに千冬に答える。

④④

「そうか。
エイラお前は、英語が分かる奴と一緒に居ろ。
今、そこでオルコットとでデュノアに会ったから連れてくる。
少し待ってろ」
「分かっタ」

エイラはのほほんさんと共にその場で待つ事に。

「ね~ね~
見ない顔だけど何処から来たの~?」

そして、のほほんさんは話が通じないという事を理解していないのか、エイラに尋ねる。

「うぇあーゆーふろむ?」
「うぇあーゆーふろむって何語ダ?」

のほほんさんの日本語英語は、外国人、エイラには通じない。

「あれ~?
英語伝わらないのかな~?
うえあーゆーふろむ?」
「だから何語だヨ……」

私怨

「エイラ、大丈夫?」

そこに慌ててやって来たらしいシャルとセシリアが来る。

「おオ、助かっタ。
こののほほんさんの言葉が分からないんダ」

エイラは目の前に佇むのほほんさんを見やる。

「のほほんさん?」
「一夏さんと同じ呼び方ですけど、あだ名か何かですの?」

二人はのほほんさんこと布仏本音を見る。

「え~?
おりむーが呼んでるだけだよ~?」

二人はのほほんと答える様を見て納得した。
やはり、のほほんさんはのほほんさんだ、と。

もうこないのか……残念

保守しとくか。

「それで、エイラさんはどうされたので?」
「あア、結局使い方が分かってモ、食べ物の事を知らなきゃ意味無いだロ?」

エイラが言うと二人が納得したように頷いた。

「エイラさんは何を食べたいので?」
「基本的に何でも食べれるゾ。
まァ、ニシンだけは勘弁だナ」

エイラが答えると、二人はどうしたのものかと顔を見合わせた。
つまり、『夕飯何が良い?』と尋ね、『なんでも良い』と答えられた様な物だ。

「取り敢えず、洋食定食にしておく?」
「そうですわね」

シャルロットが一番安く、それでいて安全パイである洋食定食をエイラに勧めた。
エイラは頷き、投入口にコインを入れ、購入。
そのままカウンターに向かった。
シャルが席を探し、セシリアがエイラの通訳の為に付いて行く。
そして、そんな二人にのほほんさんがついて行くと言う感じだった。

そして、エイラとのほほんさんが夕食を手に入れるとそのままシャル、セシリアを交えて4人で夕食。

「それで、エイラは何処から来たの~?
うぇあ~ゆ~ふろむ?」
「またその言葉カ。
なぁ、うぇあーゆーふろむって何なんダ?」

エイラが紅茶を飲んでいる二人に尋ねると二人は苦笑する。

「where are you from?と彼女は聞いているんですわ。
日本人の方々は何故か、変な発音でしか英語を喋れないんですのよ」
「は~成程。
確かニ、よく聞けバ、where are you from?って言ってるナ」

エイラが納得したように頷く。
エイラは再び自己紹介すると、シャルがそれを訳してくれた。

「へ~
フィンランドから来たの~
エアギター?」

のほほんさんがギョイーンと口で言いながらエアギターをする。

「エアギターって何ダ?」
「え~っと、ギターを弾いてるフリをするのが、フィンランドでは流行ってるんだよ」

シャルが苦笑しながら言う。

「へー
本物のギター弾けばいいのニ」

エイラの言葉にシャルとセシリアは笑うしかなかった。

「なァ、そんな事よりisって奴に付いてもっと聞かせてくれヨ」
「ええ、構いませんわ。
何を聞きたいので?」

エイラは暫く考え、口を開く。

「兵器じゃないって言ったけド、武器があるって事は、戦闘するんだロ?
何と戦うんダ?」
「isはis同士で戦うんだよ」
「何故?」
「えっと、最終的には、モンド・グロッソって言うisの世界大会があるんだ。
そこに行き着くため、って事だね」

シャルはえーっとと少し、むつかしそうに答えた。

「競技なのカ?」
「うん、まぁね」
「ふぅーン……」

エイラはしっくり来ないと言う顔で頷く。

「まぁ、実際は、お互いの開発したisを見せて『どうだ、我が国はこんなにすごいんだぞ!』って事を自慢したいんだよ」

そこに誰かが割り込んで来た。

「か、会長!?」
「誰ダ?」

そこに現れたのはセンスを持った女子生徒。

「生徒会長だよ」
「セートカイチョー?」

なんだそれはと言う顔でエイラは首を傾げる。

「ふふ、この学校で一番強い生徒だよ」

生徒会長と呼ばれた女子生徒はフフンと笑う。
バッと広げたセンスには『学園最強』と書かれているが、勿論エイラには読めない。

「私は楯無。
更識楯無だ。
以後よろしく、転校生ちゃん」
「あア。
エイラ。
エイラ・イルマタル・ユーティライネン。
スオムス空軍の中尉だ」

言うと楯無は首をかしげた。

「えっト、なんだっケ?
ふぃ、ふぃ、フィンラン?」
「フィンランドかい?」
「そウ、そこから来タ」

来てる!?
待ってたよ!!

まだかナー

「ふむ……」

楯無はエイラの言葉に少し疑問を持つ。
自国の名前を、知らないのだ。
しかし、それでいて、フィンランド鉛の英語。
顔立ちも北欧系だ。

「まぁ、良いか」
「それで、会長は何故、食堂に?」

シャルがエイラの隣に腰掛けた縦無を見る。

「何故って…
私だって超人じゃない。
3色きっちり食べないと生きていけないんだよ」
「な、成程」
「一緒に席を共にしても構わないかな?」
「構わないゾ」
「ええ、私共はもう済ませましたし」

セシリアは手元の紅茶を掲げてみせる。

「それデ、isはどのぐらい強いんダ?
戦闘機より速いのカ?」

エイラは食事を取りに行った楯無を尻目に、会話を再開させる。

「ええ、当たり前ですわ」
「bf109じゃ勝てないのカ?」

エイラが尋ねると二人は笑う。

「なんだヨー」
「ごめんごめん。
エイラの世界にはジェット機はなかったのかい?」

シャルの問いにエイラはウ〜ンと唸る。

「ジェットストライカーは有ったけド、どうにも魔力を使うから改良の余地アリって結果だゾ」
「「ジェットストライカー?」」

二人が首をかしげたので、今度はエイラが質問に答える。

「ストライカーユニットのジェットバージョンだヨ」

エイラはジェットストライカーについて軽く説明する。

「成程、ジェット機のようなものですのね。
名前もme262と、実在する兵器と同じ名前ですし」
「そうなのカ?
中尉の、エーリカ・ハルトマンって中尉の妹が作ったらしイ」
「エーリカ・ハルトマン?」

セシリアが首を傾げる。

「エーリヒ・ハルトマンじゃなくて?」

シャルが聞き直すと、エイラは首を振った。

「カールスラントの英雄だヨ。
世界で一番ネウロイを落としたキング・オブ・エースだヨ」

エイラがその実態を思い出して苦笑した。

「エーリカ・ハルトマンではなくて、エーリヒ・ハルトマンという軍人はいたよ」

そこに楯無が戻ってきた。
夕飯は天ぷらうどんだ。

「エーリヒって事は男なのか…」
「君、ダイアのエースとかって呼ばれていないかい?
それと、お兄さんでモロッコの驚異と呼ばれてはいないかい?」
「えっト、姉ちゃんならいるゾ。
アウロラ・e・ユーティライネンって名前ダ」

エイラが答えると、楯無はホウホウと頷く。

「ある仮説を立てのだがね。
君はこの世界の人間ではないね?」
「そうだゾ」
「ちょっ!?」
「言って良いの!?」

エイラが答えたのに対して、シャルとセシリアが焦ったように楯無を見る。

「だっテ、千冬さんには止められてなかったシ」

エイラがダメなのか?と二人を見る。

「もう言っちゃったから、良いよ、うん」

シャルは仕方ないと首を振った。

「そっカ、次からは気をつけル」

エイラは頷くと縦無は苦笑する。

「君は、こっちの世界ではエイノ・イルマリ・ユーティライネンと呼ばれる軍人に酷似しているんだ。
イッル、と呼ばれていたりするかい?」
「あ、あア。
でも、501に移ってからは、エイラって呼ばれる方が多いナ」
「成程。
そして、君のお姉さんは、アールネ・エドヴァルド・ユーティライネンと呼ばれ、随分と型破りな方だったそうだ」

楯無の言葉に、エイラは苦笑する。

保守。でも、もう無理かな……。続き、気になってるんだけど。

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