渋谷凛「こんばんは。ニュージェネレーションです」 (35)

卯月「卯月です!」

未央「こんばんは!」

凛「えーっと…これから皆さんに観ていただくのは…」

未央「何とですねぇ、私と卯月さんが凛さんの為に企画したロケでですね」

卯月「もう凛ちゃんが行きたい所に行くだけ、のロケですから」

凛「…」

未央「しかし大変だったよねぇ」

凛「そりゃそうだよ。そもそも現地が私の行きたい所でもなかったし」

卯月「それは失礼だよ…」

未央「w」

凛「…では時間を半年程戻しまして…」

卯月「お楽しみ下さーい!」


2014年 7月30日 愛知県


凛「…」

卯月「…」

未央「…」



凛「暑いね」

未央「それはねぇ、夏だからだよぉ」

卯月「でも何で愛知県なんだろう?」

未央「Pの趣味でございます」

卯月「え?」

凛「…てかさ、朝4時起きから始発で愛知まではキツイよ」

未央「凛も卯月も昨日は長電話してたらしいからねえ」

凛「未央はなにしてたの?電話繋がらなかったけど」

未央「今日に備えて寝てたよぉ」

卯月「私も実は先週から聞いてたんだよ」

凛「…私、今日の朝Pから聞いたんだけど」

未央「なんたって今日は凛さんの為の企画ですから!」

凛「え?私?」

未央「今日はねえ、凛への日頃の感謝を込めて!」

卯月「凛ちゃんの行きたい所へ行こうという企画なんですよぉ!」

凛「…スタート地点から間違えてるのに?」

支援

凛「ここが名古屋だってのは知ってるけどさ」

卯月「迷いそうだからあそこの柱まで行こっか」

未央「はい手を繋ぐよぉ」

凛「ねぇさっきから何このノリ…」

未央「…はい!とりあえず、地図広げるね」

凛「地図小さくない!?」

卯月「今この辺だねぇ」

凛「またこの地図さ、本の白黒コピーじゃん…この辺掠れてるしさ」

未央「凛の為を思ってやったんだよ!」

凛「白黒じゃん!全然感謝感じられないよ!」

卯月「とりあえずさ、今日の企画の説明をするね!」

未央「えー、今日は凛にこの名古屋で!行きたい所を決めてもらいまして、そこへ行くだけの企画です!」

凛「ほ、ほぉ…」

未央「えーまあこの名古屋はですねぇ。約326km2の広さでありまして」

凛「ねえ油性ペンで囲むのやめてよ。もう端っこ見えないじゃんか…ほらぁ…もう!」

卯月「で、ですねぇ。ここから凛ちゃんの行きたい所へマークを点けて、そこへ行って楽しむという至極単純な企画です!」

凛「…そもそも名古屋って何があるの?」





凛、名古屋をスマホで勉強中…

凛「ん…とりあえずこんな感じかな」

卯月「はい!ええっと…熱田神宮、名古屋港水族館、東山動物園、名古屋城!ですね!」

未央「あー…結構選んだねぇ」

凛「何その含みのある言い方」

卯月「じゃあ、早速出発しましょう!…道のりはさっきの順番でいきましょうか!」

凛「あ、うん。…ねえ、そっち出口だよ?」

卯月「え?」

凛「え?………え?」

未央「いやー…実はですねぇ、スタッフとPと私達合わせて6人の新幹線代とギャランティーで予算が底をついたんですねぇ」

凛「…えっ?」


固まる渋谷凛、15歳。


未央「もう電車代も出せないんですねぇ」

卯月「歩いて行くしかないですねぇ」

凛「………」




凛「ちょっと待って」

未央「ちょっとちょっと!駅の真ん中でしゃがまないでよ!」

凛「いやもう絶対動かない」

卯月「とりあえず駅からは出ましょ!!」

凛「…あのさ、名古屋城だけでいい?」

未央「いやそれは凛さんが決めてしまった事ですからねぇ」

卯月「もう覆らないですよぉ?」

凛「もう最悪……」

アイドルの力でヒッチハイク無双

駅から出て既に午前9時…



凛「とりあえずこの辺の地図が載ってるね」

未央「熱田神宮、熱田神宮……見えませんねぇ」

凛「いや当たり前でしょ!!6km以上あるんだよ!?」

卯月「いやでも凛ちゃんの決めた事だからねぇ」

凛「…今日の皆絶対おかしいよね?」

未央「私達も歩かなきゃいけないんだぞ君のせいで!!!」

凛「企画したのあんたらでしょ!?」

卯月「www」

凛「あー…何かもうどーでもいいよ……行けばいいんでしょ?」

未央「行けば分かるさ」

凛「顎全然出てないじゃん」

卯月「まあ6kmですから。歩いていればそのうち着くでしょう!」

未央「でもねぇ、夏だからねぇ。体力の消耗は半端ないよぉ?」

凛「…」

未央「はいトローリー!」

卯月「トローリー!」

未央「トローリー!」

卯月「トローリー!」

凛「……」

未央「トローリー!」

凛「…」

卯月「トローリー!」

凛「トローリー!!!」

未央「www」

名古屋駅から3km地点


凛「…」

未央「…」

卯月「…」


喋らなくなった三人。


支援

名古屋駅から6.3km、熱田神宮。


未央「はい着きました!!」

卯月「では今回のロケの成功を祈る為、行きましょう!」

凛「あのさ、日傘貰えない?」

未央「日傘なんて高価な物はウチには無いよぉ」

凛「それくらい用意しときなさいよ!!テレビでしょ!?公共電波使ってんでしょ!?」

卯月「早く早く!」

凛「…今回のロケでどんどん黒い面が見えてくるねぇ」

未央「大丈夫だよぉ。Pはもう脚がパンパンだからねぇ」


武内P、日陰にて休む。


凛「あしたのジョーみたいになってるじゃん」

熱田神宮を出発。現在時刻午前11時。


卯月「えー次は、名古屋港水族館ですねぇ」

未央「まあここからなら直線距離で5.4km!先程よりは近いですねぇ」

凛「あれさ、もしかして今水族館に電話してんの?」



ディレクター、電話中。



凛「完全に見切り発車の企画だよねこれさぁ。……いやOK出ましたじゃないよ!!」


未央「さあ時間は限られてるよぉ」

卯月「水族館は涼しいからねぇ。もう天国だよお」

凛「…今気温どれくらいあるの?」

未央「32℃?」


現在気温 33℃。


凛「かな子連れてこようよ。何でかは言わないけど」

卯月「凛ちゃんも段々壊れていくねえ」

熱田神宮から2.7km地点。


凛、未央、卯月「…」


Pからアイスの支給。




未央「こう暑いとねぇ、溶けるんだよねぇ……」

凛「もう垂れてんじゃんか!」



未央の手が汚れたので手洗い中。


凛「これ見てよ」

卯月「あー…集ってますねぇ」

零れたアイスに群がる蟻さん達。



凛「これ本当に仕事なんだよね?」

卯月「ギャランティーは貰ってるからねぇ」

凛「明日もそんなキャラだったら全力で引っ叩くからね」

卯月「Pさん!台本に無いですよ!!」


※台本はありません

名古屋港水族館に到着。現在時刻午後1時。


未央「もう何にせよ、涼しい所でご飯が食べたいですねえ」

凛「え?水族館にもあるの?」

卯月「レストランがあるんですよぉ」

凛「あ、本当にぶっつけ本番でやってるんだね…あれ」



全員分の金を払うD。


凛「てかまだ半分行ってないよね。絶対無理でしょ?」

卯月「いやまあ、二泊三日だからねえ」

凛「こんなんが明日もあんの!?」

未央「仕事を悪く言うのは良くないねえ。悪く言っていいのはあそこのPさんだけだよぉ」

凛「Pもうスーツ脱いでるじゃん!!」

昼食。



名古屋港水族館内のレストラン



凛「食欲がね、湧かないんだよね」

卯月「ぶっちゃけてもいいかなあ」

凛「?」

卯月「熱田神宮行った辺りで大分足の裏が痛いんだよね」

未央「何でかなぁ。イスが離れてくれないや」

凛「君ら自業自得って言葉知ってる?」



その後、1時間休憩。

支援

未央「見て見て!凄い綺麗だよ!」

凛「わぁ…何か落ち着くなあ」

卯月「癒されるねぇ…それに涼しいよ…」





名古屋港水族館出発。現在時刻午後3時。


未央「はい、えー、予定よりも遥かに遅れているわけですけども!」

凛「…」

未央「ここから巻き返しを計るべく、急ピッチで進めて行きたいとおもいます!」

凛「何で遅れたかというとね、これが仕事忘れてお土産買ってたからなんだよね?」

卯月「お土産は大事ですからねぇ」

未央「そうだよぉ。ちなみに何で買ったか分からないキーホルダーは誰にあげるの?」

凛「あーいうのって後で後悔する買い物だよね……あ、Pにね…………ふーん…」

未央「………さ、さぁ今からは張り切っていくよお!!」

凛「次は……ああああ…」

未央「東山動物園だねえ!これはぁ……13.6km!えー今までで最高記録でございます!」

卯月「これは大変だねえ!」

未央「さあ!閉園時間までに辿り着けるのか!!それだけが問題なんですが!」

凛「それだよ!だからまだ近い所に行くかもうホテル行こうよ!」

未央「残念ながらまだホテルは…決まっておりません!」

凛「これ仕事なんだよね!?私達アイドルだよね!?」

卯月「ええもう爪先から髪の毛の先まで!」

凛「…君達はもっとアイドルを労わるべきなんじゃないの?」

東山動物園まで後9.6km地点。現在時刻午後4時。

未央「トローリー」

卯月「トローリー」

凛「ト……リー」

未央「声が小さいですねえ」

凛「もう着いても絶対閉まってるよこれ…」

未央「諦めたらねぇ、そこで試合終了なんですよぉ」

凛「君らはね、それでいくなら試合会場を間違えてるようなもんだかr…」

未央、卯月「トローリー!!!」

凛「トローリー!!!!!」

東山動物園まで後5km地点、現在時刻午後5時30分。

凛「えーっと」

未央「えー。只今東山動物園に連絡しました所、…何ともう閉園という事でございまして!」

凛「バカなんじゃないの?」

卯月「まあそれでも行くだけ行ってみてね?後5kmですよ?」

凛「道端に座ってて良く言えるよねぇ」

未央「見てくださいよ。彼らの勇姿を」

凛「何が凄いってさ、カメラマンさんちゃんと着いてきてるって事だよね。ディレクターさんまだあんな所でアゴ上がってんのに」


御年43歳、体重80kgディレクター。


坂道に奮闘中。




凛「P、先行っていいよね?」

未央「ディレクターさんが泣きそうな顔してるよお」

凛「あんたも私もそんな感じの顔してると思うよお」

東山動物園到着、現在時刻午後7時。

未央「はい!到着しました!」

卯月「周り何も無いねえ…中はどうなってるのかな?」

凛「私の目にはね、消えたライトが見えるんだ」

未央「…これは何と読むのでしょうか?」

卯月「閉じるに園と書いて……そう!」

未央、卯月「閉園!!」

凛「ほんっとに一回だけ全力でぶっ叩いていい?」

未央「蹴られないだけまだマシと考えるよ」

凛「足が上がんないの!!疲れてさぁ!!!」

明日に備えてホテルへ直行。

サーウィンストンホテル、現在時刻午後8時。



凛「まあ良かったよ。すぐ近くにホテルがあって…」

卯月「そうだね…。ほらこれ見てよ」

凛「これ誰が持ち歩いてたんだっけ」

未央「私ー」

凛「汗でもう白黒コピーどころじゃないよこれ。ただの黒ずんだ紙だよ」

未央「ギリギリ名古屋と他の市の境目が分かるね」

凛「原本無いの?」

卯月「Pさんが持ってた気がするけど、今大人の人たち全員マッサージ受けてるからねぇ」

凛「見切り発車も大概にしなさい」

未央「ねえ、足大丈夫?」

凛「大丈夫に見える?」

未央「いや、最悪、最悪ね?足がヤバかったらの最後の手段でさ」

凛「何?」

未央「タクシー使うって」

凛「ん?」

未央「タクシー」

凛「あー…タクシー」

卯月「タクシーだねえ」

未央「いや、本当最後の手段だよ?タクシーを使って、あたかも歩いたかのように見せるんだよ」

凛「…」

未央「その方が楽だしね?」

卯月「後は名古屋城だけ、名古屋城だけなんだけどさ、やっぱり足がね…」

凛「…」

未央「ここはねぇ?やっぱり…」

凛「歩く」

未央「ん?」

凛「歩く」

未央「あれ?歩く!?」

凛「うん」

未央「さっきまでこの企画嫌々だったじゃないですか?」

凛「だって最後までやるしかないじゃん」

卯月「あー…流石だねえ。プロだねえ」

凛「まあ、歩く、歩ければいいと思ってるよ」

未央「ん?」

凛「ん?」

卯月「歩くんだよね?」

凛「そのつもりではいるよ」

未央「まあ凛がそこまで言うならねえ?」

凛「まあでも乗り物もやぶさかではないよね」

未央「ん?」

凛「あ?」






未央「歩くんだよね?」

凛「歩いていけるし、乗り物でもいけるしさ、タクシーとか」

未央「タクシー?」

凛「いや、まあ歩くよ?」

未央「だよねぇ!」

卯月「そうでなくっちゃね!」

凛「そうだなあ。もし明日、名古屋城に着かなかったら、ニュージェネレーションは解散しよう」

未央「おおっ!?」

卯月「強気で来たね!!」

凛「…それくらいの気持ちで、行った方がいいんだと思うよ」

未央「……じゃ、歩いていく、と!」

卯月「ね!」

凛「で、明日は何時出発?」

未央「それは凛が決めていいんだよ?」

凛「私が?……じゃあ、午前5時」

卯月「5時!?朝の!?」

凛「大分早く起きないといけないからね。6時とか」

卯月「あれ1時間伸びてない?」

凛「伸びてない伸びてない。朝の7時だから」

未央「普段通りの起床時間になってますねえ……」

凛「7時。これは決定」

卯月「そうだね。明日の徒歩に備えて沢山寝ないといけないからね!」

凛「…じゃ、寝るよ!!」

未央「合点承知!」

卯月「おやすみ!!」

翌日、午前7時、起床

午前7時30分。


凛「…」

未央「…」

卯月「…」



未央「…着いたね」

卯月「着いたね」

凛「着いたよ」




















未央「……8.3kmって幾らだったんだろ」

凛「さ!無事企画も終わったので!これで終了にしたいと思います!」

卯月「ありがとうございましたー!!」

凛「…大変だったね、あれ」

未央「大変でしたねえ」

卯月「映像だとわかりづらいんですけどね、ホテルの時の凛ちゃんの目がかなり怖かったんですよ」

未央「鬼気迫るってああいう感じなんだねってのが分かった一日でございました!」

凛「…」

未央「というわけでございまして!これにて『ニュージェネレーション二泊三日 33km(25km)徒歩の旅』、これにて終了です!」

凛「ありがとうございましたー」

卯月「ディレクターさんは翌日に有給休暇を取ったそうです」

http://www.youtube.com/watch?v=xxmDVgm3kqc



とりあえずだけど水曜どうでしょうのやつね

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom