光彦「はい!」
コナン「何だよ死体って?」
歩美「コナン君知らないの?この前指名手配犯が捕まったでしょ?」
コナン「ああ、3年だか逃げ回っていた奴だろ?それがどうしたんだよ」
光彦「実は捕まる前に、その犯人らしき人とこの学校の生徒が会話していたそうなんですよ!」
コナン「はぁ?」
歩美「でね!その犯人、その時その子にこう言ったらしいの!」
『△山に死体があるぜ、見にいってみな』
歩美「って!」
コナン「……で?」
元太「コナン!俺らがその死体を見つけて警察に届けてやろうぜ!」
光彦「きっと感謝状をもらえますよ!」
歩美「テレビに出ちゃったりして~」
コナン「アホらし」
光彦「どういう事ですかコナン君!」
コナン「あのなー、子供の言う事を信じる馬鹿がいるかよ」
歩美「コナン君も子供じゃない!」
コナン(う……)
光彦「確かに物的証拠がありませんから嘘かもしれません、でも本当かも知れません!」
光彦「死体がある確率が1%でもある限り挑戦してみるべきですよコナン君!」
コナン「……いつ探しにいくんだよ?」
光彦「日曜です」
コナン「そうか」
歩美「コナン君も探してくれるの!?」
コナン「バーロー、んなわけあるかよ、じゃあな」スタスタ
阿笠邸
灰原「そう、そんな事を言いだしたの、あの子達」
コナン「ああ、起きてて大丈夫か?風邪で学校休んだんだろ?」
灰原「休むほどのものじゃなかったのよ、それなのに博士が大袈裟に」
阿笠「子供の風邪は油断ができんからのう」
コナン「……」カタカタ
灰原「それで、さっきからその犯人の事を調べてるの?」
コナン「ああ」カタカタ
灰原「まさかあなたまで信じているわけ?どこの誰か分からない子供の話を」
コナン「にわかには信じられねえが……ちょっと気になってな」
灰原「気になる事?」
コナン「△山って言ったら付近でその犯人の目撃証言がいくつか報告された場所だ」
コナン「それに犯人が殺した人の人数はまだ把握できていないみてーだしな」
灰原「じゃあまさか……」
コナン「ま、と言っても雲を掴むような話である事に変わりはねえがな」
灰原「その割りには行く気満々の顔ね」
コナン「山の綺麗な空気を吸うついでにな、明日は土曜だし行ってくるよ」
灰原「私も行ってあげましょうか?」
コナン「お前も行きてえのか?」
灰原「一人で遠足だなんて寂しすぎるんじゃない?」
コナン「体はもう大丈夫なのか?」
灰原「大丈夫よ、私もたまには体動かさないとね、お弁当に何入れて欲しい?」
コナン「バーロー」
土曜日
阿笠邸の前
コナン「……おい灰原」
灰原「私じゃないわよ」
元太&光彦&歩美「へへへへへ」ドーン
光彦「僕らを騙そうたってそうはいきませんよ!」
歩美「ずるいよ哀ちゃん!コナン君と二人でピクニックなんて!」
灰原「ま、二人より五人の方が探しやすいんじゃない?」
コナン「あのなぁ、ひょっとしたら捕まった犯人の仲間がまだ死体の近くにいるかも……」
光彦「やっぱりコナン君も死体があるって信じているんですね!」
コナン「信じてねーよ」
元太「じゃあ何で△山に行くんだよ?」
コナン「ピ、ピクニックだよ」
電車の中
光彦「ピロピロピロピロwww」
元太「ゴーウィwwwゴーウィwwwイカリエwww」
歩美「ゴーウィwwwゴーウィwwwシンジエwww」
コナン「おいおめーら!静かにしろよ!」
歩美「いいじゃないこの電車私達しか乗っていないんだし!」
コナン「だからってなぁ……おい灰原、お前からも何とか注意しろよ」
灰原「いいんじゃない?どうせそのうち廃線になるわよ」
車掌「はは、手厳しいな」
コナン「うおっ!す、すいません!」
車掌「でもまあそのうち廃線になりそうなのは本当だからねえ、まいっちゃうよ」
灰原「……」ペラッ
コナン(おいおい)
光彦「あ……すいません……静かにしますから」
車掌「他の乗客が乗ってきてからでいいよ、ところで子供だけでどこに行くんだい?」
歩美「死体を探しにいくの!」
コナン「ぶっ!?お、おい!んな事……」
光彦「歩美ちゃん!死体がある事を教えたら駄目ですよ!」
元太「俺らより先にこのおっちゃんに見つけられたらどうすんだよ!?」
車掌「死体!?死体があるのかい!?」
コナン「いえ、実は……」
車掌「はは、なるほど、見つかるといいね」
灰原「信じてないみたいね」
コナン「信じる方が変だよ」
車掌「でも△山まで行くのは大変だよ?子供達だけで大丈夫かい?」
光彦「道が険しいんですか?」
車掌「そんな事はないが△山までいく電車はもう廃線になっていてね」
一同「ええー!?」
車掌「でも大丈夫、線路を歩いていけばたどり着けるから」ニコッ
元太「なら大丈夫だな!」
歩美「よかったね!」
コナン(よくねーよ)
線路の上
光彦「こうして線路の上を歩いていると冒険しているみたいですね!」
元太「rpgみたいだな!」
光彦「僕らがrpgゲームのパーティだったら誰が勇者ですかね」
元太「俺に決まってんだろ!モンスターなんて一撃で倒してやるぜ!」
歩美「違うよ!コナン君が勇者だよ!」
元太「コナンが勇者なわけねーだろ、コナンは商人だ商人!」
コナン「それでいいよ」
光彦「すねないで下さいよコナン君」
元太「しゃーねーなー盗賊にしてやるよ、それなら文句ねえだろ?」
コナン「何だっていいよ、まったく……」
灰原「あなたが盗賊ならさしずめ私は盗賊をも惑わす女怪盗ってとこかしら?」
コナン「はぁ?」
鉄橋の上
歩美「こわーい」
光彦「た、高いですね……」
元太「下が隙間だらけだからすげースリルだな!」
コナン「ったく、いきなり底が抜けたりしねーだろーな」
灰原「下は湖だから運が良ければ助かるかもよ?」
コナン「バーロー、浅いかもしれねーじゃ……ん?」
灰原「……」
コナン「……震えてるけどこえーのか?」
灰原「……」
コナン「ほらよ」スッ
灰原「……なによ」
コナン「手、繋いでたら少しはマシになるだろ?」
灰原「……馬鹿ね」
元太「おい歩美!光彦!早くこいよ!お前らだけだぞ渡し切ってないの!」
歩美「だって~……」
光彦「ううう……」
コナン「産まれたての子鹿かよ」
灰原「日が暮れる前に渡りきってくれたら嬉しいわね」
コナン「さすがにそんなには……ん?」
灰原「どうしたの?」
ピトッ
コナン「……」
コナン「……!歩美!光彦!今すぐ走れ!」
歩美「え?」
光彦「へ?」
コナン「電車が来るぞぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
ガタンゴトン ガタンゴトン
元太「で、電車だ!やべーぞ!」
光彦「ひぃぃ!」
歩美「きゃああ!」
灰原「何してるの!早くこっちへ来なさい!」
コナン「走れ!」
歩美「きゃあああ!」タタタ
光彦「わぁぁ!」タタタ
コナン(クソッ!間に合うか!?)
光彦「こ、怖い……」ブルブル
光彦はしゃがみ込んでしまった。
コナン「おい光彦!何やってんだ!走れ!動け!」
光彦「む、無理です……」ブルブル
コナン「馬鹿やろう!死んじまうぞ!」
灰原「歩美ちゃんはもう渡り切ったわよ!」
ガタンゴトン ガタンゴトン
コナン「くっ……!」
光彦「……」ブルブル
元太「光彦ぉ!」
灰原「駄目!轢かれる!」
コナン「うぉぉぉぉ!!!」
ゴオオオオオオオオオ
光彦「はぁ……はぁ……」
灰原「間一髪だったわね……」
コナン「ああ(一か八か光彦にサッカーボールをぶつけて湖に落としたが、水位が深くて良かったぜ)」
歩美「光彦くん大丈夫?」
光彦「ええ……へっくしょん!」
灰原「火を熾して服を乾かした方がいいわ」
コナン「そうしてーけど……ライターなんて……」
元太「大丈夫だ、チャッカマン持ってきたから」
コナン「え?何でそんなもんを?」
歩美「寝袋も持ってきてるよ!」
光彦「保存食もです!」
コナン「おめーら……野宿するつもりだったのかよ……」
灰原「でもその準備は正解ね、とても今日中に帰れそうにないわ」
光彦「備えあれば憂いなしです!」
歩美「だね!」
元太「うれいって何だ?うめーのか?」
コナン「まったく、お前ら親御さんの許可はとってんだろうな?」
三人「……」
コナン「おいまさか!」
光彦「だ、大丈夫ですよ!死体を見つけて感謝状をもらえば許してもらえますよ!」
歩美「そ、そうだよコナン君!」
元太「かてー事言うなよコナン!」
灰原「嫌が是非でも死体を発見しなければいかなくなったわね」
コナン(おいおい……)
沼地
コナン「……おい、この沼を越えるのかよ?」
光彦「ええ、捕まった殺人鬼の言う話ではこの先に死体があるそうです」
コナン「この先ったって、どうやってこの沼を渡るんだよ?」
光彦「困りましたね……」
元太「泳いでいっちまえばいいじゃねえか」
歩美「嫌だよそんなの!」
灰原「私も歩美ちゃんに賛成」
元太「んな事言ったって……おっ!あそこにあるのボートじゃねえか!?」
光彦「ホントだ!だいぶ古いものだけど使えますよきっと!」
コナン「沼を迂回すると時間がかかりそうだし、これを使うしかねえか」
ボートの上
光彦「何だか不気味な沼ですね……」
元太「怪物でもいるんじゃねえか?」ジャブジャブ
歩美「やめてよ元太くん!」
コナン「何とか無事に渡れそうだな」
灰原「したっ!」
ゴボゴボ
光彦「大変です!浸水してきています!」
歩美「きゃあ!」
コナン「こんなおんぼろボート使うからだ!」
歩美「ど、どうしようコナン君!」
コナン「もうすぐ岸だ!元太加速してくれ!」
元太「おう!」
コナン「俺らも漕ぐぞ!」
光彦「はい!」
歩美「えー!水の中に手入れたくない!」
灰原「躊躇している場合じゃ……きゃあ!?」
コナン「おい元太!力入れ過ぎだ!ボートが揺れてる!」
元太「うおおおおおおお!」
光彦「それにぐるぐる回り出しましたよ!」
コナン「落ち着け元太!」
歩美「きゃあ!」
ブクブク…
岸辺
歩美「うぇーん、冷たいよー」
灰原「最悪な気分だわ」
光彦「もう!元太君のせいですよ!」
元太「何だよ!じゃあ光彦が漕げばよかったじゃねえか!」
コナン「やめろ二人とも、今は体を乾かさなきゃ駄目だ、元太チャッカマンを」
元太「濡れちまったけど使えっかな、ん?」
コナン「どうした?」
元太「いや、何かが腰に……」ヒョイッ
歩美「きゃあ!?」
コナン「元太お前これヒルじゃねえか!」
灰原「……待って……小嶋君についているって事は……」
びっしり
光彦「わぁぁ!コナン君の背中にヒルがびっしりです!」
コナン「光彦の背中にも!」
元太「俺の背中にも!」
歩美「哀ちゃんにも!きゃあああ!」
灰原「と、取って早く!取ってあげるから取って!」
きゃーきゃーわーわー
コナン「ふぅ……何とか全部取ったみたいだな……」
光彦「……いえ、まだいます」
コナン「光彦……まさかパンツの中に……」
ぶちっ
光彦「」フラァ
コナン「光彦ぉぉぉ!!!」
歩美「おまた大丈夫?光彦君」
光彦「え、ええ」
コナン「暗くなってきたな……」
灰原「野宿になりそうね」
コナン「そうだな、夜の山を歩くのは危険だ、ここで野宿にするぞ」
元太「ふー、疲れた―」
歩美「大丈夫かな……熊とかでないかな……」
光彦「大丈夫ですよ歩美ちゃん、この山には熊はいませんから」
ガサッ
大型の野犬「ガルルルルル」
一同「わぁぁぁぁぁ!!?」
コナン「交替で火の番をしよう、火が消えるとさっきみたいな野犬が来るかもしれないからな」
一同「はーい」
パチパチ…
灰原「……」
灰原「……工藤君」トントン
コナン「……ん……俺の番か……」
灰原「ええ、工藤君の番よ」
コナン「おいその呼び方は……」
灰原「ぐっすり寝てるわよ」
三人「すぅ……すぅ……」
コナン「……今日は疲れたからな」
コナン「火は俺が見てるから寝ろ」
灰原「……」
コナン「寝ないのか?」
灰原「私お気に入りの枕がないと眠れないタチなのよ」
コナン「そんなキャラかよ」
灰原「悪い?」
コナン「べっつに」
パチパチ…
灰原「……火を囲んで」
コナン「ん?」
灰原「男女が焚き火を囲んで語り合う……素敵なシチュエーションだと思わない?」
コナン「はぁ?」
灰原「嫌そうな顔ね」
コナン「そんな事ねーけど……」
パチパチ…
灰原「……楽しかったわね、今日」
コナン「もう昨日だけどな」
灰原「あなたは楽しくなかった?童心に帰れたみたいで」
コナン「まあなかなかスリルはあったな」
灰原「……最近思うの、こんなふうに大人になっていくのも悪くないんじゃないかって」
コナン「はぁ?お前何言って……」
灰原「だってもし組織との決着がつかなくて解毒剤を作れなかったらこのまま大人になる可能性もあるのよ?」
コナン「そんな考え駄目だ、俺らは奴らとの決着をつけて、そして元の姿に戻るんだ」
灰原「……そうね」
コナン「お前、元の姿に戻りたくないのか?」
灰原「……」
コナン「おい?」
灰原「……」
コナン「……奴らに見つかるのが怖いならfbiの証人保護プログラムを受けろよ、それなら」
灰原「駄目なの」
灰原「その程度じゃ駄目なの、そんなんじゃ恐怖は消えてくれないの」
コナン「でも……」
灰原「工藤君……私……」
灰原「私の事を誰も知らない……まったく別の世界に行きたい……!」
コナン「……」
灰原「ううう……」
コナン「……バーロー」ギュッ
その後、当然の事ながら死体なんて見つけられなかった俺達が疲労困憊で戻ると
知らない間に俺達を探してくれていた警察へ頭を下げる事になり
家に戻ってからも親からの叱責に耐える事になった。俺にはおっちゃんの拳骨が待っていた。
それからいくつかの死線を潜り、俺は黒の組織を潰す事に成功
完璧な解毒剤が完成し、俺と灰原は元の姿に戻る事ができ、元の人生を歩む事になった。
俺は探偵になって数々の難事件に関わり必ず解決してきた。でも
仲間と一緒にありもしない死体を探しまわるような事件にはもう関われない。
もう二度と。
おわり
読んでくれた方ありがとうございます。
今まで書いたの
http://blog.livedoor.jp/toaruneet/
にあるので目を通して頂けたら幸いです。
いきなり終わったな
乙
なんかこういう映画あったな。stand by meだっけ?
なんであれおもしろかった
乙
乙
このSSまとめへのコメント
灰原、車掌に対する態度悪すぎ
マジでウゼェ灰原死ね
スタンドバイミーか
高山さん出てたよな