彼女と私(8)
「こんにちは」
「……」
エレベーターで美少女と乗り合わせた。
七階から一階へと落ちていく過程で、私も恋に落ちていった。
しかし…そのエレベーターはシンドラー社製のもので…
ひと目で恋に落ちた私達は…
目にも止まらぬ速度で奈落へと落ちていったのだった…
大学に入るとほぼ同時に、周囲の人間どもが放つオーラが変わった気がする。
それはただ単に周囲の人間どもが、比喩ではなく、文字通り変わったからかも知れない。
私が居た高校からこの大学に進学した人が居るのかどうか、分からないし興味もないが、少なくともここ一週間で出会ったのは知らない人間ばかりだ。
制服や指定の持ち物から解放され、染髪の自由や豊富な学食メニューを与えられる。
ああ、多彩な講義とかもね。
そんな人間どもが放つオーラは痛いくらいに明るく、無遠慮で、温かいを通り越して熱く、私はどうしても敬遠せざるを得ない。
>>2
やべえそっちの方が気になる。こんなん書いてる場合じゃないかも知れん
ただ、私は知っている。
こういう風に考えている私もまた、あの人間どもから敬遠されている。
しかし気にすることはない。どうということもない。
お互いにこの距離感を保つことが、順風なキャンパスライフの要なのだ。
私が一人で昼食をとっているからといって声を掛けてくれようものなら、お互いに気まずいランチタイムを過ごすだけだ。
「あれ、女ちゃん一人で食べてるの?」
気になるだろぉう?
でも続きは書かないぜ?
ワイルドだろぉう?
「え、あ、うん」
「何でー!?淋しいじゃん!こっちで食べよ!みんないるよ!」
「え、でも、みんなに悪くないかな」
「ええ?何が悪いのー?女ちゃんって面白いよねー」
知っている。その“面白い”ってのは褒め言葉じゃないんだろ?
何回か声を掛けられたことがあるだけで、名前も覚えていない女子に名を呼ばれ、手を取られる。
お弁当箱の蓋を辛うじて押さえて、お箸をバッテンで持つという不届きをしながら“みんな”が居るところへと連行された。
シンドラーが気になって仕方がない
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