響「十二月党員」 (61)

初SSであります
艦娘の本体が艤装で、体そのものは戦闘訓練を受けた普通の人間設定で行きます

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1417007847

ほう

おいやめろデカブリストはもう悪い予感しかしない

君たちはいつもそうだ
嬉しい時も悲しい時もずっと笑顔だ
まるで私の身代わりになるかのように散った妹もそうだった
皆が血みどろの戦場で倒れて行くなかで私はだんだんと笑うことを忘れて行った
最後の特攻にも参加出来ずに無様に機銃を撃ち続けた私に最早喜怒哀楽の感情など持てる筈も無かった

「時間だ・・・・・・そろそろだな」


随伴の男は毛皮のコートを着込んでいて、寒さを凌ぐ為に飲んだウォトカのせいか真っ赤な顔をしていた

「賠償艦、響改め″Верный″ヴェールヌイは本日をもって駆逐艦としての任を解き、練習艦"Декабристы"デカブリストとして兵装試験及び訓練任務に就け」

淡々と文書を読み上げる男は酷く冷たく感じたが、彼はぎこちない日本語できちんと私の本当の名を呼んでくれたのだった

すいません今日はここまでです
続きは明日の朝以降でお願いします

期待
せめて地の文には句読点使ったほうがいいんでない?

そうですかね?そうします。

あと艦娘には適合者がなると言う設定を追加でお願いします。

真冬のロシアと言うものはある意味世界最強の盾であるかも知れない。
過去にはヨーロッパ最強と謳われたナポレオン・ボナパルトの陸軍を退け、先の大戦に於いてもドイツ国防軍自慢の戦車軍団を、ついには全滅に追い込んだ。
時に冬将軍とも称されるその寒さは容赦無く私の乗るシベリアの大鉄道の粗末な客車のコンバートメントに吹き込み、夜食のパンと、熱々だった紅茶を凍らせていた。
紅茶にジャムを添える寒地ならではの飲み方に、あの帰国子女のベテラン高速戦艦はとてもじゃ無いが理解出来ないと言っていたが、飲んでみれば美味しいものだ。
軽い食事を済ませ、擦り切れた毛布に包まって睡眠を取ろうとしたその時、


「おい・・俺の酒は何処だ・・」


男の罵声が飛んできた。
隙間だらけのコンバートメントの壁は深夜の酔っ払いの声すら簡単に通してしまう。最初のうちははかなり驚いたが、三日もすれば慣れた。しかし今度ばかりは少し事情が違うようだ。
違反乗車の男が私の客車に乗り込んで来たのだ。しかも手には拳銃を握りしめていて、目は血走っている。
先程客車の中で辞令を読み上げた案内人の軍人は酒が効いているのかまだ眠っている。
これだから酔っ払いは。
咄嗟に体が動き、私の手は眠る彼の腰から拳銃を取り出した。
そして本来なら私が包まって寝ていた筈の毛布を男の痩せこけた肋と銃口に挟み、引き金を引いた。
くぐもった音がコンバートメント内に響き渡ったが、幸か不幸か、客車の誰も銃声には気づいてはいないようだった。
無理な体制で発砲した為か、多少手は痺れたが、12.7cmの砲弾を打ち出していたあの頃を思えば、大して気にもならなかった。

酔っ払いの男の持ち物と服を素早く剥ぎ取り、毛布に包んで車外に捨てた。
私にとっては幸いなことに、戦争で散々惨たらしい死体は見て来たし、弾薬を鹵獲することもあったので、何の罪悪感も感じずに冷静に行動することが出来た。
男の汚い鞄の中には酒と少しの武器しか入って無かったが、せっかくの出張なのに酒の手当ても出ないのかとぼやいていた、隣で呑気にいびきをかいて寝ている連れにやれば喜ぶと思った。

それからもう二晩列車に揺られ、シベリアの寂れた駅に着いた。
出迎えが来ると聞いて、暫く待っていると、みすぼらしい駅前の景色には不釣り合いな黒塗りの高級感漂う車がするするとロータリーに入って来た。
扉が開き、中から出て来たのは胸に勲章を幾つも付けた、いかにも、と言った雰囲気の軍人だった。
そして彼は口を開き、


「ようこそいらっしゃいました。我々は太平洋戦争の武勲艦であるあなたをずっと待っていたのです。さあどうぞ。」


車に乗るように促されたが私は少し躊躇した。戦いに生きる艦娘の命と言っても良い艤装は没収され、既にロシア太平洋艦隊の本拠地でもあるウラジオストクの
海軍施設で隅々まで分解して研究されている。今の私には何も残されていないのだ。はいそうですかと簡単に車に乗る方がおかしいだろう。しかし、私のささやかな抵抗とも言える行動は向こうにとっては織り込み済みだったのだろうか、結局無理矢理車に乗せられた。

そこは雪と氷に全てが閉ざされていた。
詳しくは教えてくれなかったが、連れ曰くこの巨大な要塞のような建物は、赤軍の極秘の研究施設らしい。


「さあ、ここで降りるんだ。」


予想していたとは言え、あれだけ丁寧に接したのに私が素直に車に乗らなかったのがよほど気に食わないのか、先程の態度からは打って変わって高圧的な口調で車から降りることを命令された。
シベリアの奥地と言うこともあり、寒さは一段と厳しくなっていた。

プロローグはここまでです。本編は明日から。

投下しまーす

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




一つの広い独房に私は案内された。
墨汁を落としたかのような暗い独房に照明は無く、一日二回の食事も黒パンとスープのみだった。
私がここに閉じ込められて一週間経っただろうか、私の研究担当を自称する男と面会した。


響「貴方は誰?」

???「自己紹介なんてものは要らない。君は兵器だ。それも敗戦国のな。」

響「そう。なら具体的に私は何をすれば良い?見たところこの施設には兵器の類がまるでないように見える。」

???「何もしなくていい。何も考えるな。命令に従えばいい。それだけだ。」


白衣を着た研究者はそういい捨てると独房の扉を乱暴に閉めた。


響「寒い…」


火の気のない独房は凍りついた空気が周りを覆っていて、生身の人間ならばとっくに凍死していただろうと思えたが、不思議とまだ体を動かすことが出来た。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー







???「ウヒヒッーーーーーーーーやはり君は人間では無く、兵器として育成された適合者だった様だ。」

???「生身の人間ならばとっくに凍死していた所を寒がりながらも耐えているなんて全く恐ろしいほどタフだ。」

???「海軍の馬鹿共はやれ妖精の加護だの変なことを報告して来るが、この適合者が廉価で複製できれば、我が軍や偉大なる同志のの望む最強の兵士が大量に出来上がり、世界中で膨れ上がっては増え続ける資本主義者共を叩きのめせるはずだーーーーーーーーーウヒヒッ」


白衣の悪魔は一人研究室で呟いた。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ある日、私はいきなり小銃を構えた兵士に、牢から出るように言われた。
外科手術を行う様な部屋に通され、服を脱ぐ様に命令されたが、
抵抗する気は全く起きなかった。
私は兵器だ。
その意識が既に体の奥まで染み付いていた。
しかし、私はその麻痺していた人間としての感覚をを再び取り戻すことになる。











水槽を見つけた。
あるものが水槽に浮かんでいた。それはただの肉塊の様に見えたが、人の形をしていた。何より、長い豊かな黒髪が浮かんでいるのには、それが私の顔見知りであることを確信させるには十分だった。


響「赤城…さん?」


しかしその肉塊は私が望んだような食いしん坊な優しい赤城さんでは無かった。


















彼女の胸からは加賀さんの頭が生えていた。
背中からは蒼龍さんと飛龍さんの頭と体が半分ずつ、失敗した粘土細工の様にくっ付いていた。


???「素晴らしいだろう?アメリカ軍内部の同志がミッドウェーでの艦娘の極秘調査に同行したのだ!そしてその細胞を本国に極秘で送ってくれたのだが、どうも彼は医学には疎いみたいでねえ………間違えて採取した細胞全てを混ぜてしまったみたいなのだ。そして復元したらこの有様さ………もっともこれはこれでオブジェとして楽しめそうだがねーーーーーーーーーーーフヒヒッ」


赤城さん達は私を見つけると、目をギョロギョロさせて口をぱくつかせた。私には、赤城さん達が助けてと言っている様に見えた。
私は怖いと言う感覚を思い出して、ここから逃げ出したいと思った。


響「誰か…たすけて!!」


私は必死で助けを乞うた。しかしたくさんの兵士達によって無情にも服は引き剥がされ、私は鉄の手術台に縛り付けられた。


???「ウヒヒッ----君は何も考えなくて良いんだ。
君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ君は兵器だ。」












私の視界は暗転した。

不意に目が覚めた。







あれ?







私は誰?












???「よく眠れたかい?ーーーーーーーーフヒヒッーーーーーーーーー手術は大成功だ!」


















私は全てを失った。

???「最早君は用済みだな………いや、まだ使い道があったかーーーーーーーフヒヒッ」





いいんだ。私は全部無くしたんだ。だったらどうなってもいい。










沢山の兵士達が私を囲んでいた。












???「君たち、好きにやっちゃて?ーーーーーーーーーーーーーーフヒヒッ」











私は陵辱され、普通の女の子で居ることすら出来なくなってしまった。
口と下腹部に猛烈な悪臭と生暖かい液体が広がって行く。
何度も突かれ、股の間から血が流れている。
犯されている感覚は無かった。
私は一つの人形になっていた。
次々と人が代わり、永遠にこの時が続くのかと思った。
己の精を出し尽くした兵士はひたすら私の裸体を痛めつけた。
痛かった。
心が痛かった。














全てが終わり、私は不要物として廃棄された。

冷たい地面だった。
私の中にある穢らわしいものを全て外に出してしまいたくなって、痣だらけの体を掻きむしった。
無心て体を掻いていると、また血が体から流れた。






蒼龍?「ヤ…………………メテ」
赤城?「ジブンヲキズツケルノヲヤメテ………」



微かな、しかししっかりとした声が聞こえた。
声のした方を振り向くと、あの水槽の中にいた、赤城さんと加賀さんと蒼龍さんと飛龍さんの塊が蠢いていた。
彼女達もまた、用済みと言うことで廃棄されたのだろうか。
すぐに私は彼女達の所へ行った。




赤城?「ワタシタチノカラダ………タベテ」


赤城さんはそう声を絞り出した


響「嫌だよ…いやだよ!」


加賀?「タベテ…………ソウスレバアナタノウバワレタチカラガモドル」


響「赤城さん達はどうなるの!?ダメだよ!そんな事は出来ない!」


加賀?「モドッタチカラヲツカッテココカラニゲテ…」


飛龍?「タベテ……ニゲテ………」



私は泣いた。涙が枯れるまで泣いた。
泣きながら彼女達の体を食べた。




赤城?「グッ……」
加賀?「…………」
蒼龍?「サ……ヨ…ナ…ラ」
飛龍?「ヤット…タモンマルニ…アエル…?」



息絶えて行く彼女達を私は容赦無く食べた。


響「さようなら…」


私は骨だけとなった彼女達に別れを告げ、ゴミ置き場のボロ布を身に纏った。




響「絶対に…許さない」



私はの心はいつの間にか復讐の炎で真っ赤にに燃え上がっていた。






書き溜め終わり

今日また投下しまーす

デカブリストの乱(交)

この巨大な施設は恐らく、兵器などを研究しているのでは無く、何らかの生物学的実験を行う場所だと言うことはわかっていた。何故なら、あの独特な、鉄と油と火薬の匂いがまるでしないからだ。
そして、私のいるゴミ捨て場は人のようなものや動物の凍った死体で埋め尽くされていた。
用済みの実験体は恐らくここで全てが処分されているのだろう。



響「酷い…」


死体の中には、私と同じくらいの年に見える少女が背中から触手を生やして横たわっていたり、ドイツ軍の捕虜にも見える男が、腕を四本生やして死んでいたりするものがあった。
いや、人間の形を留めているだけまだましだ。
廃棄された死体達は、赤城さん達みたいに幾つかの死体が塊になっていたりするものが殆どだった。



響「ここから出なくちゃ」



私はまず、この惨たらしいゴミ置き場から、どうやってあの研究者の場所に行けばいいのか思案した。
するとその時、崖の壁にぽっかりと口を開けた横穴から、大量のゴミと死体が吐き出されて来た。



響「ここを抜ければ施設の内部に入れる…」



私は横穴の中に漂う強烈な悪臭に顔を顰めたが、前に進むしかないと思った。
私は這うようにして、奥へ進んだ。

???「フヒヒッーーーーーーあのオブジェの細胞は採取出来た。銀髪の小娘は既に複製手術を終えている。研究はこれからが本番だ…」


禍々しいロシア製の艦娘艤装が鎮座する、この施設の最奥部に位置し、厳重に管理された彼の研究室は、常に生臭い臭いがしていた。
そんな場所に丸腰の私を簡単に侵入させてしまうこの施設の安全管理は全くもってザルだった。
そうして私は、まんまとこの研究室に潜入することに成功したのだが、やはり彼は狂っていた。
何の訓練も受けていない少女達を無理矢理艤装に縛り付け、機関を起動させているのだ。私達艦娘のように、厳しい訓練と適性が無ければ、体をは負荷に耐えきれずに、膨張して破裂する。
国民学校のに通う子供達ですら知っている事実なのだから、当然彼も艦娘の研究をしていれば簡単に知り得た事だろう。
しかし彼は実証実験と称して、少女達を艤装に縛り付けてはその身体を破裂させるということを繰り返していたのだ。そして今も…





実験体少女「あ………嫌!痛い!あ″っ!あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″!!!!!」




トマトが潰れる様な音と共に、実験体の身体は破裂した。
生臭い臭いが一段と強くなった。
返り血と肉片が彼の身体に降り注いだ。しかし、彼は恍惚の表情を浮かべ、満足そうに頷いていた。



???「今日の実証実験はおしまいだ。しかし今日は眠れないだろうーーーーーーーーフヒヒッーーーーーーーーもうすぐ完成するのだ…最強の兵士が!!!



響「そうはさせないよ」



私は憎しみと恐怖に心の枷が外れてしまったのか、思わず彼の前に立ちはだかってしまっていた。




???「おやおや!生きていたのかね!確実に廃棄をしろとあれ程言ったのに…相変わらずここは研究設備こそ立派だがやはり様々な所でボロが出るのだな。これだからイワンのやることは信用出来ない…ーーーーーーーーフヒヒッ」



響「あなたは…誰なんだ?そもそもロシア人なのか?」


ロシア人に対する蔑称をまるで自分の身体の一部かの様に扱う彼に、私は猛烈な違和感を覚えた。



???「君は双子と言うものに興味はあるかい?いや、興味がある筈だ。いや、興味がない訳がない。双子は神の作り賜うた人間に、神が与えて下さった奇跡の一つだ!双子は神秘だ!それを研究することは禁忌に触れると言うことも充分承知している。だから我が祖国は東方の土人共に敗れたのだ。天罰と言うものは全く恐ろしい。」



響「質問に答えて。あなたはドイツ人なのか?何故こんな場所で惨たらしい実験を続けけているんだ?」



???「その通り。私はドイツ人だ。偉大なるゲルマンスキーだ。ーーーーーーーフヒヒッーーーーーーーー実験に終わりは無いさ。美しく死んでいく人間が見られるのだからな!しかし遊んでばかりも居られない。私と私の主の悲願を達成し無くてはいけないからな。そしてもうすぐその悲願は実現するだろう。」



響「いかなることがあろうと、あなたの凄惨な実験は止めなくてはいけない!」



???「フヒヒッーーーーーーーーーならば死ね。」



彼は拳銃を取り出し、私に向けて引き金を引いた。
瞬時に私は身を翻し、彼に吶喊した。
手術を受けてから思うように動かなかった私の身体は、昔の様に、まだ戦っていた時の様に動いてくれた。
そうか。力が戻るとはこのことだったのか。



???「馬鹿な!既に手術をしてお前の能力は全て複製体に移した筈なのに、どうして訓練を受けた適合者の動きが出来る!まさか、直接適合者の細胞を摂取したのか?!」


響「食べたんだ。仲間を」





私は彼の頭蓋を握り潰した。

殺した。思わず殺してしまった。
もっと聞きたいことはいっぱいあった筈なのに。


響「さよなら」


そう彼の死体に告げて踵を返したその時、



???「殺したとでも思ったか?ドイツ史上最高の天才が作り出した自らの複製体が簡単に死ぬとでも?いや、死なん!いや、死ねるわけが無い!彼の双子の研究の極致であるこの身体は簡単には壊れん!」


彼は私を嘲笑うかのようにヒョイと立ち上がり、再び銃を構えた。
迂闊だった。彼に常識が通じないのは分かっていたのに、甘かった。



???「フヒヒッーーーーーーーーーー死ね!」



私は目を瞑った。

私の髪の匂いがした。私の体の匂いがした。目を開けると、そこにはもう一人の私がいた。


?「逃げて…今の内に…」


???「複製体だと?!巫山戯ている!どうして動けるのだ!」



?「私を守る為だもの」



そう言って彼女は彼に飛び掛かった。
私に向けられた筈の銃弾は、彼女の腹部を貫き、夥しい量の血を流させていた。
私は私に助けられたのだ。実験によって使い潰される運命の。


???「糞があああああああああああああ!!!!!!」



私はすかさず長い間、実験体の少女達を虐殺して来た艤装に取り付き、機関を起動した。やや私には大きいと感じたが、背に腹は変えられない。
砲を乱射し、無理矢理研究室の扉をこじ開けた。



兵士A「脱走者だ!実験体が逃げ出したぞ!」

兵士B「捕まえろ!」



追っ手を榴弾で吹き飛ばし、研究所の出口までひたすら逃げた。
逃げる途中、あちこちにあった実験機器なども容赦なく破壊した。



出口まで来ると、無数の兵士達が私を包囲していた。
すると、人の群れが分かれ、その中央から、最初に私を迎えに来た軍人が悠然と私に向かって歩いて来た。
軍人は自分がこの施設の所長であることを私に告げ、この様な騒ぎを起こした私に失望したことと、やはり野蛮な黄猿の作り出した兵器は野蛮であるという旨の言葉を吐き捨てた。
しかし、どうしても引っかかることがある。

何故、敵国の人間を赤軍の極秘研究所の中枢に置いていたのかということだ。
私は最後に一つ質問させてくれと所長に告げた。


響「私を研究していたあの男はドイツ人だ。どうしてあなたたちはあの男を重用していたんだ?」



所長は面倒臭そうな顔をしたが、どうせ殺す相手なのだからと冥土の土産に聞かせてやろうとばかりに渋々と語り始めた。


所長「我らの最大の目的は、資本主義陣営に対抗し得る新兵器を作り出すことにある。核爆弾は既に完成したが、将来、その爆弾を用いた全面戦争に備え、あの爆風と業火に耐える新たな陸上兵器を用意するべくこの研究所は作られたのだ。
そしてその兵器を作る術を持っていたのがあの男である。
彼は海の兵器である艦娘に注目し、その核にも耐える強靭さを、双子の複製技術を用いて陸上兵器にも応用しようとしていたのである。
我々は捕虜となっていた彼に膨大な額の研究費と実験体を供給した。我々の期待通り、彼は見事君の複製体を作り出した。しかし、今君はこうして彼を殺し、ここまで来ている。我々はもうおしまいだ。我々は失敗したのだ。貴様を殺してこの研究所の存在を完全に抹消するのだ。」


そう言うと、所長は私を射殺せよと兵士に命じた。
しかし、今の私には武器がある。容赦なく手に持った砲の火蓋を切り、銃を構えた兵士達の四肢を吹き飛ばした。



所長「貴様!そ、それは艤装では無いか!」


響「そう。私が私にくれた希望だよ。」

私は砲の引き金に手をかけた。しかし、所長は余裕の笑みを浮かべている。


所長「私を殺すかね?いいだろう。殺してみなさい。研究所も私も貴様も核の業火で焼き尽くしてくれるわ。」


そう言って彼は再びニヤリと笑った。



響「な!?」


刹那、沢山の鎖が私を絡め取り、私から逃げると言う選択肢を奪った。
罠だ。
複雑に絡み合った鎖からはどうしても抜けることが出来ずに、私はここまでかと諦めた。


所長「やはり艦娘と雖も不意打ちには弱いのだな。海軍が苦心して作り出した艤装を無駄にするのは惜しいが、情報が流出するよりましだろう。さあ秘密と共に消えようでは無いか!」



私が今身につけている艤装はかつてつけていたものとは違い、身体に合っておらず、少し大きかった。
身体と艤装に空いた僅かな隙間に手を差し入れ、何とか脱出に成功した。
時間の猶予は無かった。
床にへたり込み、焦点の合わない目でで虚空を見つめている所長の頸をへし折ると、私はすぐに研究所から脱出した。




訂正



私は砲の引き金に手をかけた。しかし、所長は余裕の笑みを浮かべている。


所長「私を殺すかね?いいだろう。殺してみなさい。研究所も私も貴様も核の業火で焼き尽くしてくれるわ。」


そう言って彼は再びニヤリと笑った。



響「な!?」


刹那、沢山の鎖が私を絡め取り、私から逃げると言う選択肢を奪った。
罠だ。
複雑に絡み合った鎖からはどうしても抜けることが出来ずに、私はここまでかと諦めた。


所長「やはり艦娘と雖も不意打ちには弱いのだな。海軍が苦心して作り出した艤装を無駄にするのは惜しいが、情報が流出するよりましだろう。さあ秘密と共に消えようでは無いか!」



一度は命を諦めたが、所長の身勝手な物言いに憤りを覚えて、なんとしても助かろうと思った。
私が今身につけている艤装はかつてつけていたものとは違い、身体に合っておらず、少し大きかった。
身体と艤装に空いた僅かな隙間に手を差し入れ、何とか脱出に成功した。
時間の猶予は無かった。
床にへたり込み、焦点の合わない目でで虚空を見つめている所長の頸をへし折ると、私はすぐに研究所から脱出した。




シュピーネさんはやっぱりクズカマセだったな。

寒空の下、一日は走り続けだろうか。
東の空に閃光が走り、恐らくは核によって跡形も無く吹き飛んだであろう研究所に背を向けて、私は極寒の針葉樹林を西へ西へ進んだ。
しかし、いくら艦娘とは言え、これだけ長く走っていると流石に疲れる。
私は走るのをやめると、その場にへたり込んだ。




ここで安価です。



誰かが私を見つめているような気がする。誰?





1オオカミ
2毛皮猟師
3コサックの男
4気のせいだった




↓2

3

間違えました
安価下でお願いします

2

猟師「あんた…大丈夫かい?」


閉ざされた木々の奥から、動物の毛皮のような物がもぞもぞと動いているのが見えた。
私はとっさに身構えたが、その猟師は逆に怯えたような様子で、



猟師「寒く無いかい?わしも年に1度しかここを通りすぎないが、生きている人間を見たのは初めてじゃ。何か訳があるのか?」


響「心配いらない。私は大丈夫。」



ところがその猟師は、私の返事を聞くやいなや、いきなり私を怒鳴りつけた。




猟師「大丈夫なわけあるかい!そんなボロ布1枚しか身に纏わずにこんな所にいたらすぐに死んじまう!悪いことは言わん、わしの小屋に来なさい」



私はあまりその猟師を信用したくは無かった。顔は薄汚れていて皺だらけ、全身にたくさんの動物の毛皮をぶら下げていて、ソ連兵が身につけるコートを毛皮の下に着込んでいたからだ。おまけにモシンナガンを肩から下げている。今まで私に散々に突き付けられ、脅された銃だ。良い思い出は無い。しかしその猟師は銃を眺める私を見て、



猟師「おお、この銃はな、わしが密猟者狩りのソ連兵に追われとった時にあるケツの青い将校から分捕ってやった思い出の銃なんじゃ。奴は執念深くてのう、わし一人に対して一個小隊を差し向けおったんじゃ。もちろん全員の頭をぶち抜いてやったが、わしは動物を殺しても人を殺した事が無かったもんだから、記念というのもなんだが持ち帰って来たのじゃ。わしの自慢じゃよ」



頼まれてもいないのに昔話と銃の自慢を始める猟師に私は少し面食らったが、この初老の猟師がいわゆるソ連兵の追ってやその手先ではないことを知って、少し安心した。




猟師「とにかくわしの小屋に来るんだ。こいつは売りもんだがお前にやる。」



猟師は私に、獣臭い動物の毛皮を投げてよこした。身につけろということなのだろうか、私はありがたく貰ってそれを羽織ることにした。

猟師「それでもよくこんな森の奥にいたなあ。ここからわしの一番奥地にある小屋まで一週間は掛かるってのに」



響「事情があったんだ」



猟師「出来れば、わしにその事情とやらを教えてくれないもんかい」



響「今は無理だ」



猟師「ほーん、わしには教えたく無いかい。じゃあわしから言うぞ。あんた、脱走者だろう。」



響「・・・」




猟師「ほーれ、図星じゃ。ここから100kmも先じゃろうか、赤軍の要塞があってのう、こんな寂れた所にでかい物を作るなんてご苦労なこったと最初のうちはみてたんじゃが、ここ数年、この辺りに来る度にお前と同じようなボロを着た人が凍って死んでいるんじゃ。これは臭いぞと見に行って見たらおったまげーじゃ。人体実験を受けた死体があちこちに転がっておったんじゃよ。あんたは運良くそこから抜け出した実験体。そうじゃろ?」



このお爺さんは意地が悪い。最初から私の正体を見抜いていながらわざわざおどろおどろしい様子で私に近づいて来たんだ。私を試していたのか、からかっていたのか。どちらにせよ私の命の恩人なのだが。
恩人にはきちんと事情を話すべきだ。
私はそう思って口を開いた。




響「助けてくれてありがとう。そう、その通り、私は脱走者。元々は日本海軍の特Ⅲ号駆逐艦娘として生まれた。戦争が終わって私はソビエトに引き渡され、駆逐艦としての任務に就いた後、あの施設で実験体として暮らしていたんだ。彼らは育成や適合者の選択が難しい私達艦娘の複製体を人為的に作り出して、量産された陸上兵器を作り出すつもりだったみたいだ。もっとも、私が逃げ出したことで計画は頓挫、機密保持のために施設は核で跡形も無く吹き飛んだみたいだけどね」



猟師「なんと、あんたは艦娘だったのか!道理でこの寒さにも耐えるわけだ。噂には聞いているぞ、アメリカと日本帝国を始めとする海軍国はは戦争前からずっと君たちの育成と強化に励んでおったからのう。しかし核とはたまげたなあ。確かについ最近、東の空がやけに明るくなったことがあったんじゃが、あれは核の炎だったのか。そうかそうか」


彼は核と艦娘という言葉に言葉に最初は少し驚いた様子だったが、すぐに冷静になった様だった。だがしかし、彼はソビエトが既に核を所持していることに何ら驚きを示さなかったのは不思議だった。それに、シベリアの一猟師がどうして日米英の建艦競争について知っているのか、疑問に思った。
猟師は喉につっかえていた物が取れたかの様に私の言葉に相槌を打っていた。

それから私達は一週間、シベリアの大森林を歩き続けた。夜は毛皮のテントを張り、毛皮に包まって寝た。
猟師のくれた干し肉は硬かったが、噛むうちに口の中に広がる旨味が旅の疲れを癒してくれた。







そして…






猟師「さあ着いたぞ。ここがわしの小屋じゃ」



小屋は狭く、中はちょうど私のいた鎮守府の執務室くらいの広さだった。
壁には、様々な種類の動物の毛皮と、幾つかのライフル銃がぶら下がっていた。部屋の中央には、火を燃やすためか大きい鉄鍋が鎮座していた。



猟師「おお、そうそう。あんたには是非これを見てもらいたかったんじゃ」




彼はそう言うと、壁にかけてかある銃の中で、一つだけ銃剣が取り付けられているものを手に取り、私に渡した。
その銃はずっしりと重く、菊紋が取り付けられていて、どこか見覚えのあるものだった。



猟師「この銃はの、わしの親父が最初にくれた日本陸軍の四四式騎兵銃じゃよ。反動が少なくて銃剣もついている、とても扱いやすい銃じゃよ。これを君にあげよう」



響「待って。他にも色々銃があるみたいだけど」


猟師「おお、そうじゃな。好きなものをあげよう。」




安価です



響はどの銃を貰った?



1 三八式歩兵銃(信頼性は抜群、シベリアの厳しい気候にも負けない。ただし銃身が長く、持ち運びが大変)


2 四四式騎兵銃(日本の小銃の狙撃能力の高さを受け継いだ短めの銃。銃身の下に折りたたんでしまえる、スパイクバヨネットと呼ばれる独特の銃剣を備える)


3 モシンナガン(ロシアの傑作小銃。かの有名なムーミン谷のゴルゴ13も愛用していた。銃剣を付けっ放しにしておかないと、精度が落ちる)



4 モーゼルKer98(天才モーゼル兄弟の最高傑作。ボルトアクション銃の中では最も高い信頼性と精度を誇る。しかし欧米人の体格に合わせて設計されており、反動が大きい。

安価下↓2

でお願いします

三八式

そら四四式よ

分かりました
四四式騎兵銃で行きます


響「やっぱり最初の騎兵銃をもらうよ。私の体でも扱いやすそうだから」



猟師「そうか、そうか」




彼はニコニコと笑いながら私に銃と、五発セットの装弾子が二十個入った弾入れを渡してくれた。
私も少し前までは前線で砲や魚雷を背負って戦っていたのだ。しっかりと手入れされた銃を持てば心も踊る。
それにしても、一週間寝食を共にしたとは言え、大切な銃と弾薬を私に譲ってくれた彼は、一体何を私に望んでいるだろうか。



響「銃をくれたのは嬉しいが、一体あなたは私に何をして欲しい?あなたの猟を手伝えば良い?」


私は思わず目の前で相変わらず微笑んでいる彼に向けて思わずこう言った。



猟師「見返りなんてわしは求めとらん。ただわしはあんたに艦娘としての誇りを取り戻して欲しかっただけじゃ。わしも流石に艤装は用意できんが、あんたの国の銃くらいは用意出来る。あんたは何もしなくて良い。わしはまだ戦わなくてはいけないがな。」










訂正

私は目の前で相変わらず微笑んでいる彼に向けて思わずこう言った。

やはりこの猟師、まだまだ隠していることがありそうだ。
私は今までの彼の言動からそう確信した。


核爆弾……艦娘……赤軍……要塞…海軍国……育成……強化……戦わなくてはいけない……



およそ並の猟師では知りえないであろうことにも通じ、警備がザルだったとは言えあの研究所にも一度は足を踏み入れているのだ。それにここは雪や風を凌ぐためのただの狩猟小屋の筈なのに、何故か本棚や、無骨な小屋には似合わないティーセットまで備え付けてあるのだ。恐らく彼はかなり長い間ここに滞在していたのだろう。






響「あなたは何者なの?」




私は彼をそう問い詰めた。




猟師「分かってしまったか。ならば仕方ない。わしはあの研究所をある組織の一員として監視していた、いや、正確に言うとあの研究所に幽閉されていた君を監視していたんじゃ。わしらは許せないのだ。君を縛り付け、利用し、慰み者にしても全く平気な顔をしている共産党とその犬どもがな。わしらは再び革命を起こしたい。自由になりたいんじゃ。そんな中、君がわしの監視していた研究所に来た。ちょうど組織が蜂起に失敗して壊滅寸前に追い込まれた時じゃった。わしらは君だけでも助けたかったんじゃ。幸いにも君の国は既に民主化が進んでいる。わしは君を本国に返してあげたいんじゃ」



私は彼のあまりにも衝撃的な告白に、しばらく何も言葉を発せなかった。
しかし、彼の所属している壊滅寸前の組織のことを聞くと、彼らの力になりたいと私も思った。































響「あなたの立場は分かった。私はあなたの組織の力になりたい。兵器である私に既に帰る場所はないんだ。武器はある。戦うすべも知っている。だめだろうか?」



猟師「駄目に決まっているだろう!君は帰るんだ!」




響「私に帰る場所はないんだ。たとえ日本にかえったとしても私の居場所は無い。一度は無くしかけたこの命、あなたに預けてはいけない?」




猟師「・・・」









響「・・・」










猟師「・・・」







響「・・・」









猟師「いいだろう。君の覚悟は伝わった。わしらの隠れ家に案内しよう。その前に君にまだ渡すものがある」






そう言うと、彼は私に毛皮のコートと帽子、ブーツを渡した。






猟師「君の身体に合うだろうか?小屋に帰る途中で作ったのだが、着てみて欲しい。」







コートは私の身体にぴったりとあっていた。

響「ところであなたの組織の名前をまだ聞いていなかったね。差し障りが無ければ、どうか聞かせて欲しい」




猟師「ああ、いいとも。わしらの組織の名は……………」











「十二月党員″Декабрист″だ」











第一部完





続きは書き溜めが出来次第、近日公開です。

おつおつ

現時点での響の装備品



四四式騎兵銃(銃剣付き)
6.5mm実包弾5×20
毛皮のコート
毛皮の帽子
毛皮の靴
毛皮の手袋

あともう一つ訂正

猟師「この銃はの、わしの親父が最初にくれた日本陸軍の三八式歩兵銃じゃよ。反動が少なくて銃剣もついている、とても扱いやすい銃じゃよ。これを君にあげよう」





考えてみれば戦前まで四四式はほとんど海外にはわたっていませんでしたね。
勉強不足でした。

その辺は日本に渡ったときに手に入れたとか
日本兵から貰うなり奪うなりしたってことにでもすればいいのでは?


メンゲレさんなにやってるの

>>54
そうですね
そうします

続きであります


【艦これ】響「十二月党員」第二部
【艦これ】響「十二月党員」第二部 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1417178440/)

なんで同じスレにしないの?

>>58
何故かこのスレでは長文が投稿できないのであります(´・_・`)
次スレにお願いします

なるほど、乙

容量制限の処理方法が違うんダナ
もう独自CGIやめた方が良いだろ、マジで…

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