台風がとどまり続ける市を舞台にシェアワやろうぜ (48)


・スレタイの通り。シェアワやりたい人なら誰でも歓迎

・根幹となる設定はシンプルに「台風が上空にとどまり続ける(現代日本の)とある町(都市?)」オンリー。あとは話の中で追加していく形で
※大塚英志氏の『キャラクター小説の作り方』より丸パクリしたものなので、問題があったり別のがよかったりする場合は別のを相談しましょう
 ちなみにその際、現実から少しズレた世界、といった設定の方がやりやすいとのこと

・形式自由。台本、地の文混じり、小説型なんでもござれ

・もしスレが回らない、ダメだこれとなった場合は、>>1がHTML依頼を出す予定


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1369528100

とりあえずこの設定で行くと仮定してプロローグだけ書いたので、投下しときます


プロローグ:ある新聞記者もどきの過去記事より

 例えばスカ○ツリーがあるとかディズ○ーランドがあるだとかいった羨まれるような要素。
 例えばかんぴょうの生産量が日本一とかご当地ゆるキャラが有名だとかとか奇妙に目を引く要素。
 その市はそういったあれこれとは縁のない、いわゆる普通カテゴリに含まれる平和平穏平凡と三拍子そろった地域だった。

 仮に名前をA市としよう。
 ぼかしを入れるのはプライバシーやら肖像権やら知られぬ権利やら。
 我らマスコミを阻む忌々しいそれらの障壁に配慮した措置だ。(本当に忌々しいなこんちくしょう)

 とはいえ、だ。ぼかしたことの意味のなさに気づいた方も多いと思う。
 なぜならそのA市といえば"あの"A市だからだ。


 ○月×日(これも配慮だ)。
 南海上で発生したその台風△号(ええい面倒くさい!)は今だかつてない規模と強力さでもって日本本土に上陸した。
 九州から乗りこんで、ねちっこい嫌味な女のように順繰り順繰り陸地を蹂躙し、日本を嫌う各国をひそかに喜ばせた。

 台風△号と何度も書くのは面倒臭い、もとい煩雑なため上記の性質と欧米にならう意味で"彼女"と表記させていただく。
 彼女は手当たり次第、それこそクレジットカードを初めて手にした強欲女のように、日本国土という商品を買い荒らしに荒らした。
 被害は甚大。死人は出ないのが不思議だが女によくある奇妙な手加減といったところか。
 とにかく日本はいい感じにめちゃくちゃだった。

 それでも我慢強い日本国民は、その性悪女がバカンスに飽きて別のリゾートに行くのを粘り強く待った。
 実際、それはほどなくして達成されるはずだった。女とは飽きっぽいのが常だからだ。
 だが、期待には大抵裏切りがついて回る。
 彼女はA市の上空でいきなり、唐突に、脈絡なく、ぴたりと動きを止めたのだった。風の勢いを少しも弱めることなく。


 研究者たちは騒いだ。
 これは異常事態だ。気圧の関係が。いや磁場かもしれん。宇宙からの電波によって。某国の陰謀が。云々云々。
 だがこれに関しては筆者の友人が言った「女は常にきまぐれだからな」という一言に尽きると思う。

 とにかく彼女はA市の上空にとどまった。
 異常事態である。緊急事態である。
 しかし筆者にはそれより差し迫った問題があるのでそろそろ筆を置かせてもらう。
 妻との離婚問題で荒れているのだ。
 例の彼女の暴風域よりもわたしのいる離婚調停席の方がはるかに暴力的な風が吹いている、とだけ最後に愚痴っておく。

まあこんな感じで。参加者、意見募集中

ふむふむ……
それで?

参加者言うても
異能バトルなのかそれともパンピーが天災を相手に
頑張るのかそこから決めてくれないと

おもしろそうだけど何すんのかさっぱりわからん

決めるべきことをかなり放棄しちゃってて申し訳ない
とりあえず>>1の「台風が上空にとどまり続ける(現代日本の)とある町(都市?)」
その点を押さえてくれればどんな話でもいいから書き寄せようぜってつもりだった

だから異能バトルでもパンピーでも構わないつもりだったんだけど……統一性がなくなるか
ここは大塚氏に倣ってパンピーたちがどう天災と関わるかって話でどうだろうか

どう関わるか……
天災なんてどう足掻いても抵抗不可能だろうけど。
異能者でもパンピーでもさ。

実際台風がとどまり続けた場合の被害ってどの程度だろ。
規模にもよるだろうけどさ。
増水して浸水とか断線とか交通網の麻痺とか。

あれ?関わるも何も既に詰んでないか?

それも確かに……
でもわざわざ抵抗する必要なくない?
このシェアワで狙ってるのは、現実とちょっとズレた世界で人はどういう風に適応(物理的精神的に)するかという想像力を鍛えることだし

とはいえ被害という点は大きいか……
そこら辺をどう対応していくのか話の中で考えていく、ってのはだめかな

台風が人為的に引き起こされたものならその人物の目的や組織の規模を決めれば異能バトルには持っていける

抵抗っていうか文明的な生活できなかったら
人間なんてあっさり野生に帰って略奪に走るぞ、北斗の拳じゃないけど

避難所暮しを余儀なくされてやがて不満から暴動が起きるシーンとかは浮かぶな
それでカルト宗教の信者が子供を生贄に捧げて神の怒りを鎮めるのだーとか言い出して
やがてみんなが同調するとかパニック映画っぽくていいかも知れんね

なるほど、ここまでをまとめると
・台風の原因
・被害規模と生活への影響
の二点が大きなポイントになりそうだな

・台風の原因が
  →人為的:引き起こした人物・組織を設定、異能バトル
  →非人為的:日常?もの
・被害規模と生活への影響が
  →甚大:サバイバル的な話
  →軽め:平穏な話

なんか事前準備がゆるゆるで申し訳ないね
あと、なんか話の方向性が分岐しそうなポイントってあるだろうか

話の方向性は、台風が単なる自然現象か、それともヴァルプルギスの夜みたいな
超常現象的な何かなのか。それで決まるでしょう。
まずそれを>>1が決めてくれないと。話はそれからだ。

迷うな……というかごめん、迷って遅くなった
書いたもん勝ちで進める方法もあるだろうけど、でもじゃあ今回は勝手ながらとりあえず決めてみる

・台風の原因:単なる不思議な自然現象の範疇(原因は決めないでおくけど、話の中で探っていくのはあり)
・被害規模と生活への影響:暴動が起きない程度の被害(話の流れで暴動が起きるのはあり)

つまり、パンピーたちが台風により陸の孤島と化した市をめぐって話を紡ぐ、って感じでとりあえず人を募ろうかと
もちろんまだまだ意見募集中だし、人が集まらない場合はHTML化もきっちりやるよ
異能バトル方向やサバイバル・サスペンス方向がいいって場合は別スレを立てるのもありっちゃありだしね

どれくらい前から台風が止まってるのかね
何年もだったら慣れて対策取れてそう

>>4に書いてあったなスマン

陸の孤島というのがよく分からないな
台風の目が巨大でその中に取り残されているというイメージでいいのか?

>>18
その辺は話の時間をどこに取るかによるかと
対策に追われる当時を書くのもよし、数年後対策の取れた時点での話を書くもよし
>>20
大事な説明忘れてたすまん。それで合ってる

人寄せの都合で恐縮ながらageます

具体的な設定を決めていく流れにするより
すでに出されてる設定だけで好き勝手に書いていくほうが面白いと思う

ちなみに台風の強さとかの基準に関しては現実準拠なのか?

参考:
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/haichi2.html

以下は風速
強い 33m/s(64ノット)以上 44m/s(85ノット)未満
非常に強い 44m/s(85ノット)以上 54m/s(105ノット)未満
猛烈な 54m/s(105ノット)以上

>>22
そうだな
とりあえず方向性的なのは強引だけど決めちゃったし、できればここからは各人のやりたいようにやるって形にできれば、と思ってる
エピソードで次第に設定ができ上がっていく方が俺としても本望

>>23
ご、ごめん。素人なもんであまり深く考えてなかった
現実準拠方向だけど、とりあえず不思議台風なのである程度自由にやってもらって構わないと思う

スレ立てといてごめんだけど、ちょっと席外す
といっても俺から提示する情報はもうなさげだから大丈夫とは思う
もし何か決めなきゃならない事があったら自由に決めてもらっても全然おkなのでどうかよろしく

台風の規模・強さはその時々で変わるっていうのでいんじゃない?
どうせオカルト台風なんだし書き手のちょうどいいのを選べばいい

風雨もきっちり範囲が決まっていて、一歩外れたらいい天気とかの不思議台風か

なんか基本的に曇りで風強いけど雨は降ったり降らなかったり、風も単なる強風程度から車が浮く・飛ぶくらいになったりする

そんなイメージ

もどりゃした
面白い意見出してもらって感謝
その時々で台風の強さが変わるとかもきっちり範囲決まってる決まってないとかもオカルト台風らしくていな

とりあえず言いだしっぺだし今日中にもう一つ書けるようにやってみるよ

とりあえずできたんで投下してみます


 中津照市市長島原信也。五十六歳。
 彼は今日も恰幅いい身体を上等のスーツに包み、市役所最奥の玉座に身をうずめていた。
 短く刈りこんだ頭には白髪が多分に混じり、角ばった顔にはそれにふさわしい高い鼻がにょっきりと特徴的に突き出ている。

 目つきは鋭く、周りを威圧する容貌だが決して粗暴な性格ではない。
 猫はちょっかいを出さなければ攻撃はしてこない、それと同程度には温厚だ。
 少なくともそれが彼自身の自分評だった。

 ただ、もし周りの評が違っていたとしても興味はない。
 知ることはほとんど不可能だし、知ったところで何かを変える気もないからだ。
 自分を変えることなど馬鹿馬鹿しい。他人が勝手に変わればいい。

 品のよい調度品が並ぶ部屋で、彼は煙草に火をつけた。
 窓を見ると、夕焼けが空を染めているのが見えた。
 今日やるべき雑務は、と彼は思い出す。ほとんど全て片付いていたはず。
 抜かりがある可能性は考えなかった。手落ちは馬鹿のすることだ。自分は馬鹿か? 答えはノー。


 予算案はきっちり組んだ。文句は来るだろうが議会には必ず呑ませる。
 橋、道路の老朽化対策は専門家にやらせればいい。対策委員会という名の責任被り請負集団がなんとかしてくれる。
 失業者問題いじめ問題ホームレス問題? 弱者は弱者同士なんとかするだろう。
 ペットに関するなんとかいう条例。馬鹿馬鹿しすぎる。考える価値すらない。

 つまり。と紫煙を細く吐き出した。順調ということだ。
 何も恐れる必要はない。全てが筋道だってきっちりと進んでいる。
 中津照市はこのまますくすくと育ってくれるだろう。

 大きく育てばそれだけ大きな踏み台になる。
 大きな踏み台を使えばよりはるかな高みへ行ける。
 はるかな高みへ行けば……言うまでもない。そこがゴールだ。
 何も問題ない。全てが道理に従って動いている。


 満足して、ついでに吸い終わった煙草を灰皿に押し潰して、それからふとデスクの上に目をやった。
 先ほど役員のなんとかいう奴が置いていったものだった気がする。書類の束がそこにあった。
 題字は一行。
 巨大台風13号による被害予想と対策について。

 ふん、と鼻息を吐く。デスクのパソコンを点ける。
 ディスプレイには日本地図。雲の動き。風の向き。降水量。それから、大きな渦。
 地図の下にはこれからの台風の動きを予測して数行書かれている。

『今夜中には台風十三号は本州を抜けて北東へ抜けるでしょう』
 ただし、規模は大きく強い風が吹き、被害は相当なものと——プツ。
 パソコンの電源を切って大きくあくびをした。

 特に問題はない。
 明日になればもう台風は通り過ぎているだろう。
 被害は出るはずだ。それはいつもの通り。
 死人は出るか? 今のところ日本全体でも死者はゼロだ。

 あとは明日になって被害の陳情に向かってこういえばいい。
 それは大変でした。すぐに対策いたしますのでどうかご理解を。
 同情を目一杯伝える顔を練習しなければなるまいが、それはまあ何とかしよう。


 何も問題はない。
 何も問題はない"はずだった"。

「市長、どうしましょう!?」
 知るか。どうにかしろ。
 言おうとして、深く俯いたままでは声を出しにくいことに気づく。
 頭を抱えていた手を解いて、机についていた肘を持ち上げる。

「あー、うん……」
 朝の日差しがむなしく背中を照らしているのが分かる。
 気持ちいいほどの太陽光が、見上げた先のなんとかいう役員の蒼白な顔を照らしている。

「市長! どうにかしないと」
 じゃあ聞くが、どうすればいいんだ?
 言わなかったのは答えが分かり切っていたからだ。どうしようもない。
 とどまった台風を動かすなんて、どんな神業ならできるっていうんだ?


 デスクのパソコンのディスプレイが日本地図を映し出す。
 その一点。巨大な渦がそこにとぐろを巻いている。
 中津照市。少しの違えもなくその真上。台風が、13号がそこにいる。動かない。全く。少しも。

 脳が拒否している。
 暴風が引き起こした被害の総額。途切れたライフライン。閉ざされた外界への道。
 考えなければならない事項は多い。
 だが何も考えたくない。

「市長……!」
 うるさい。
「市長!」
 黙れ。
「と、とりあえずなんですが」
「……なんだ?」

 顔を蒼白にした役員がメモ帳を取り出す。
「この台風に名前をつけろという要望が挙がってまして」
「は? なんだそれは」
「名前がなければ呼びにくいでしょう? とりあえずそれを考えろと」


「ば……」
 馬鹿馬鹿しい。阿呆らしくて声が途切れた。
 そんな暢気な事を考えてる場合か?
 だが役員は至って真面目に言っているようだった。

「マスコミ対応なんて初めてで……とりあえず風香と答えておきました!」
 考えのない無遠慮な発言は攻撃だ。
 怒りを覚えさせる発言はまぎれもなく攻撃だ。
 というわけで、中津照市市長島原信也五十六歳。昔空手で鍛えた鉄拳で、名前の思い出せないその役員の顔を殴り倒した。

とりあえず市の名前を適当に決めてみました
考えるべきことは多いですが、あまりガチガチにせずにゆるくやっていければいいなと思います
気軽な参加をお待ちしてます

いかん、名前のせいで台風擬人化突発同居ラブコメに思考が奪われてしまう

ちょっと書いてみようかなとは思うが
ハードな感じにするか人情ものにするか迷う

>>38
ぶっちゃけあまり逸脱しなければというか周りが納得すればやってもいいと思う。擬人化ラブコメ
>>39
どっちでも歓迎。ゆっくり考えて決めてくれ

魔術師が低気圧を留める結界でも張ってるのかなー


 後に(なぜか)風香という名が定着する台風が迫るその夕方、会社員佐々木孝太郎は戦々恐々と車を運転していた。
 もちろん日本列島を南から念入りにかき混ぜてくる巨大台風に対する恐怖……というわけではない。
 佐々木には正直それについてはどうでもよかった。

 もう何年も帰れていない南方にある実家は結構な被害を受けたと聞いていたし、こっちにしたって被害がどうなるか心配でもあったのは事実だ。
 だが、今どっぷりと浸かっている問題に比べればまだまだ可愛い方だと言わざるを得ない。
 所詮は目前に迫っているとはいえ、まだ時間には余裕のあるたかだか自然災害だ。

 本当に恐ろしいのは既に身に降りかかっていることの方なのだ、と彼はハンドルを叩いた。
 しかも意思のない自然災害などではなく、こちらはまぎれもなく悪意を含んだ災害だ。
 ちくしょうちくしょうと、そればかりが頭を駆け巡る。
 会社員勤め二年、今年で二十四歳佐々木孝太郎。
 本日、この日をもって、正式にリストラを宣告されたのであった。


 リストラ。正式名称リストラクチャリング。日本語訳『再構築』。
 なぁにが再構築だバカタレと声に出さずに毒づく。
 自分のような有能な人材を切り落としてどこが再構築だ。

 肩を叩かれて振り向いた先に、きついながらも整った顔立ちの女上司がにこやかに立っていたのを思い出す。
 別段彼女が好きというわけでもないが、美人に笑いかけられるのは悪い気はしない。
 普段の労をねぎらう言葉なり仕事ぶりを褒める言葉なり、益体はなくとも希望のある何かを期待していたところにアレだ。

「いい知らせよ。悪い知らせかもしれないけれど」
「はい?」
「あなたもう明日から来なくていいわ。分かる? クビってことね」
 よかったじゃない、仕事いやだいやだっていつも言ってたし。念願叶ったりってところかしら。

 あまりに普通に言うものだから、本当に喜ぶところだった。
 というか半分くらい喜ぶ体勢に入っていた。
 中途半端に腰を持ち上げたところで固まって、デスクに戻っていく上司の背中を見送った。


 当然彼は抗議した。
 なぜ、自分が! 他にもっと適任がいるでしょう、窓際の佐藤のジジイとか榎本ババアとか!
 上司はうるさそうに彼を見上げた。
 本当にどうしてか分からない?

「ええ、分かるもんですか。俺はこの会社のために身を粉にして——」
「営業回りサボって漫喫いったり、ゲーセン行ったり?」
「な……」
 なぜそれを!

「他にも違反すれすれの経費流用、書類改竄、職務怠慢、家内安全」
「なんですか最後のは!」
「気にしないで。もう辞めるあなたには関係ないわ」

 関係あります、もっとちゃんとした説明を。
 そこまでだった。上司が指を鳴らすのに合わせてどこからか現れた黒服が彼をオフィスの外へと引きずり出し、ついでビルの外に放り出した。
 呆然とへたり込む。窓がカラカラと開いて上司が顔を出した。
「明日机周りの片付けに来てね」
 それが二時間と少し前。


 ちっくしょう! と再度ハンドルをぶっ叩く。なんでこうなった!
 真面目に勤めあげてきたのに、時々、たまに、ほんの少し力を抜いたらこれだ。
 現代社会の歪みか。病巣か。ブラック会社という奴か。

 憤懣を目から鼻から口から、出せる箇所ありとあらゆるところから噴き出して、アクセルを踏み込む。
 後ろにパトカーがいたことには気づかなかった。
 スピード違反で止められた空、遠くには、暗雲が黒くたちこめていた。


 次の日。快晴。雲ひとつない。
 昨夜はものすごい暴風だったが、住んでいるアパートが飛ばされるといった事はなかった。
 何もかも吹っ飛んじまえと思ったのだが、そうはならなかった。

 朝日がさんさんと照らす濡れた道路の上を、会社の方へと運転する。
 憂鬱な気分は晴れない。眠れないまま夜を過ごしたのでなおさらだ。
 ついでにいえば眠らなかったので暴風がアパートを揺らす音が一晩中聞こえていた。
 俺、これからどうしたらいいんだろう。布団の中でそんなことばかり考えた。

 国道をずうっと進んで行き——異変に気づいたのは数分後だった。
「……なんだ?」
 向かう先で大渋滞が起きていた。

 しかもただの渋滞ではないようだ。
 並んだ車から降りた人々が遠くをうかがっている。
 佐々木は最後尾に車を止めて、ドアを開けた。


「なんなんだよいったい」
 答えを求めて呟いたわけではなかったが、前に立っていた男が振り向いた。
「進めねえんだとよ」
「台風で倒れた木が道をふさいだ?」
「似てるが違うな」

 じゃあ何が。並ぶ車を回りこんで前方に目を凝らす。
 曇天の下、風が強めに吹いているのが見える。雨もちらついているか。それから視界を横切る何かの看板の一部。
 看板の一部?
 ポカンと口を開けていると、先ほどの男が佐々木に言う。
「なんだかわかんねえが、台風が止まっちまってるんだと」

 台風が市の上にとどまり、ここは今台風の目の真っただ中。
 国道は暴風の壁に閉ざされ出ることも入ることもできない。
 そういうことらしい。
 開いた口がふさがらない。ゆっくりとしか頭が回らない。
 それじゃあ、とぼんやり思う。俺のリストラ、どうなるんだろう。

 答える者はなかった。

投下宣言忘れたけど投下させてもらいました

ところでインフラ的な方面がどうなってるか決めないとやりにくいな
そこらへんも考えて書かないとつまりそう

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