謙吾「………」理樹「どうしたの謙吾?」 (37)

古式「おはようございますっ」

謙吾「ん?ああ、古式か。おはよう」

古式「お怪我は大丈夫でしたか?例の事故の……」

謙吾「ふっ…この通り腕も治った。まだ野球は続けるが理樹と鈴が居なかったら俺はここにいる事も出来なかっただろう」

古式「そんな悲しいこと言わないで下さいっ」

謙吾「悪い。流石にシャレにならんな……しかし今日はいつにも増して早い登校だな?俺はこれから朝練だが…」

古式「実は宮沢さんに頼みたいことがありまして…」

謙吾「俺か?」

古式「今週の日曜日…わ、私とデートしに行きませんかっ!」

謙吾「なにぃ!?」

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グラウンド

謙吾「1人じゃ~辛いか~ら♪」

理樹「今日は謙吾、機嫌がいいね」

恭介「何かいい事があったんだろう。ちょっと聞きに行くか」

理樹(僕らは元気良くバットを振っている謙吾の元へ駆けつけた)



恭介「よっ、せいが出るな」

謙吾「ん?ああ、まあな」

理樹「どうしたの?いやに上機嫌だけど」

謙吾「ふっ…教えん」

恭介「なんだよそりゃ。俺達の仲じゃねーかっ」

真人「新しい必殺技が出来たとかか?」

理樹(隣で腕立て伏せしていた真人も加わる)

謙吾「そんなんじゃない」

葉留佳「ヘイガーイズ!何してるの?」

理樹「葉留佳さん」

理樹(葉留佳さんがいつの間にか後ろにいた)

恭介「や、なんか謙吾が俺達に隠し事してるからそれを探ろうと思ってな」

葉留佳「ふーん、所でさぁ」

謙吾「興味なしか!いや持たれるのも困るが…」

理樹(構わず葉留佳さんが続ける)

葉留佳「今度どっか皆で遊びに行かないかって、さっき鈴ちゃん達と話してたんですヨ」

理樹「明日?」

葉留佳「イエース!男の子達はライトライトライト?」

恭介「特に予定はない」

真人「ライトだぜ」

理樹「うん、僕もないかな」

謙吾「悪いが俺はライト出来ない…」

葉留佳「ほえ?」

真人「そりゃまたどうして?剣道も友達も無いお前に予定なんてあるのか?」

謙吾「貴様と一緒にするな。俺にだって遊ぶ約束をする者ぐらい居る」

理樹「へえ!興味本位だけどその人って誰?」

謙吾「当たっているが何故2人で行くと決め付ける……。ちなみに質問の答えは言えん、先ほどの教えられん事だからだ」

恭介「つまり謙吾の好きな奴って事か」

謙吾「なっ!!」

葉留佳「ヒュー!よっ色男!」

真人「熱いねー!この日差しも合わせりゃ熱中症になりそうだぜっ」

理樹(誰も女の子だなんて言ってないのにはやし立てる)

謙吾「くっ………」

理樹「図星だったの!?」

謙吾「とにかくこの話はもう終わりだ。お前らも子供じゃないんだから放っておいてくれ」

恭介「悪い、調子に乗り過ぎたな。お前が嫌ってんならここまでにしておこう…じゃあ謙吾を仲間はずれにしてる様で嫌だが明日の事についてさっそく相談しに奴らのところへ行こう」

理樹「う、うん…」

理樹(そう言って僕らは駆け出す。謙吾はバットを振る練習に戻った)



恭介「うーす」

小毬「あっ恭介さんに理樹君と真人君」

理樹(小毬さん達は西園さんが敷いたシートに仲良く座ってお茶を飲んでいた。休憩の時はいつもこんな感じらしい)

恭介「三枝から話は聞いた、明日出かけるんだってな」

来ヶ谷「ああ。今度また小毬君がホットケーキパーティなる物を企画したいと言うので野球の備品買い足しも兼ねて全員で行こうと考えたのさ」

理樹「それが…」

来ヶ谷「ん?」

恭介「謙吾がある事情があって行けねえんだ」

クド「わふー?何かあったんでしょうか?怪我は大丈夫そうに見えますけど……」

恭介「実は……」





恭介「という訳だ」

西園「誰にも言ってないのですか…」

来ヶ谷「ふむ…謙吾少年の色恋沙汰か」

恭介「ああ。だから明日は予定を変更して謙吾を尾行し、デートの相手を探ろう!題して作戦名オペレーションストーカー!」

理樹(清々しい作戦名と顔で言う)

理樹「さっきここまでにするとか言ってなかった!?」

真人「構うもんかよ。俺を止めたきゃダンプカー3台持ってこい!」

恭介「もちろん買い物も終わったあとに行こう。…どうだ、お前らも気になるだろっ?」

葉留佳「た、確かに…」

恭介「それになにも全てを暴こうって訳じゃねえ、ちょいと相手を後ろから伺うだけさ」

理樹「それでも充分悪いよ…」

次の日

理樹(結局反対出来ないまま流されてきてしまった……)

恭介「こちら恭介。鈴、謙吾はいるか?」

鈴『ん、ちょうど今変な方向向きながら出てった』

恭介「いいぞ!後から俺たちも合流するからその調子で尾行してくれっ」

鈴『分かった』

理樹「趣味悪いなぁ、もう」

恭介「そんじゃ行くか!校門で来ヶ谷達が待ってるらしい」




謙吾「~~~」




鈴「………」

ポンポン

鈴「なぁっ!?……なんだ理樹か」

理樹「皆来たよ」

恭介「首尾はどうだ」

鈴「完璧だ。だが謙吾一人ぼっちだな」

恭介「なに?そんなはずは……」


謙吾「~~~」


恭介「マジだ」

来ヶ谷「焦るな、まだ待ち合わせ場所に着いていないだけだろう。現地集合かもしれないし尾行を続けよう」

葉留佳「おーっ!!」

クド「おー!なのですっ」

理樹(この人たち尾行に向いてないんだよなぁ…)

理樹(来ヶ谷さんと恭介を筆頭に尾行を続けた。謙吾はドーナツ店や映画館へ入っていき、その後を追って行ったが未だに謙吾の友達らしき人は見えない)




葉留佳「もー夕方になっちゃった」

来ヶ谷「無駄足だったか…もしくは我々の存在に気付いて振り回しているか」

クド「わふー!?見つかっていましたかっ」

恭介「ありえん、俺たちの方を振り向いても居なかったし鏡やガラスには充分気をつけたはずだ……あせるな、まだ慌てるな時間じゃあない」






謙吾「~~~」



真人「とうとう学校に着いちまったじゃねえかよっっ!」

恭介「マジかよ…」

理樹(謙吾はその後学校から一歩も出る事は無かった)


理樹部屋

恭介「こうなりゃ本人に直接聞くしかねえな」

理樹「うん」

恭介「しかし理樹は立派だよなぁ!なかなか出来る事じゃねえ」

理樹「えっ?……あっ」

理樹(また僕にやらせるつもりだ!)

理樹「いやぁ真人の方が凄いよ。千年に1人の逸材さ」

真人「んなに褒めるなよぉ~」

理樹(謙吾が来た)

謙吾「おっ、早いなお前達」

恭介「さあ真人、言ってくれ」

真人「はあ?なんで俺……ってさっきのはそのためかよ!」

鈴「やはりアホだな」

真人「んだとぉ!?」

恭介「今はやめとけ」

謙吾「どうした、誕生日ならまだまだ先だが…」

真人「あのだな…謙吾……」

理樹(何を言っていいのか分からない状態らしいのでアドバイスを入れる)

理樹「徐々に核心を突いていく様にするんだ真人っ」

真人「えーと……き、今日は良い天気だな!」

謙吾「ああ、星がよく見える」

恭介「おい真人話が遠回し過ぎるぞ」

真人「うっ……け、謙吾…」

謙吾「なんだ」

真人「お前好きな奴いるんじゃなかったのか?」

謙吾「なにぃ!?」

理樹(今度は一直線過ぎた!)

理樹(話がややこしくなったので仕方がなく全貌を話した)




謙吾「人を勝手に付け回す物じゃないだろ!」

恭介「わ、悪い…」

理樹「それで昨日は1人で遊びまわってたけど約束の人はどうしたの?」

謙吾「1人だと?何を言っている」

鈴「透明人間とでも遊んでたのか」

謙吾「バカ言え、お前達も見てたんだろう?もはや隠す通りもない、俺は彼女と昨日デートに行ってたんだ」

恭介「二人でだと?見落としがあったとは到底思えん……そうだ名前を言ってくれ」

謙吾「ここぞとばかりになんでもかんでも聞くな……ああ分かったよ古式だ」

理樹「えっ?」

謙吾「聞こえなかったか?古式だ。まさか忘れてしまったのか」

恭介「………おいおい」

真人「笑えねえ」

謙吾「なんだその反応は!俺が彼女と一緒じゃ悪いのかっ」

理樹「…本気で言ってるの?」

謙吾「当たり前だ!」

鈴「……」

理樹(古式さん…彼女は屋上から飛び降りて亡くなった。しかしそれを覚えている人間は少ない、学校側も必死で火消しを行ったのだから無理もない)

理樹(あの世界では古式さんを謙吾が救ったがあくまで現実ではない。なのに何故謙吾は今更そんな事を言い出すんだ……)

謙吾「まるで死んだかの様な言い方は彼女に失礼だろう!」

恭介「謙吾、彼女はもう死んだ。目を覚ませ…ここは夢の世界じゃないんだ」

謙吾「馬鹿な!!真人っ、まさかお前までそういうんじゃないだろうな!?」

真人「……」

謙吾「生きてると言ってくれ!」

真人「……もう古式は居ねえよ」

謙吾「……っ!!」

理樹「謙吾…」

謙吾「うう…うぁぁああぁぁあ!!」

理樹(両手を頭に抱えて涙を流した。その声で両隣の人達が部屋の前に来たが鈴が追い払った)

謙吾「………」

バタッ

理樹「謙吾!」

理樹(泣き喚くのをやめたかと思うと意識を失ったのかあやつり人形の糸が切れるが如くその場に倒れた)

恭介「今謙吾は情緒不安定な状態だ…部屋に運んで明日は休ませよう。なんなら俺も付き添う」

理樹「僕も行くよ」

真人「ああ……鈴、お前も明日学校休め」

鈴「ん」

チリン

理樹(鈴の音が響いた)





理樹部屋

真人「こいつは部屋に戻すか?」

恭介「いや…いざ目が覚めた時誰かがいた方がいい。お前のベッドを使わせてやれよ」

真人「ええぇ……」

恭介「代わりに理樹と真人で一つのベッドを使えばいい」

真人「それならいいぜっ」

理樹「いやいやいや!絶対入らないから…」

真人「分かった…俺は1人寂しく床に雑魚寝してればいいんだろ?ったくよぉ……」

理樹(ブツブツいいながら早速床に就いた)

理樹「ねえ恭介…謙吾はいったいどうしちゃったんだろ」

恭介「分からん…現実とあの世界をごちゃ混ぜにしてるのかもしれんな」

理樹「本当にそうだとしたらどうするのさ」

恭介「最悪病院に見せるしかない…」

理樹(恭介は苦虫を噛んだ様な顔でそう呟いた)

鈴「…それじゃ先帰るぞ、起きたら電話してくれ」

理樹「うん…お休み」



真人「ゔぅぅ……有酸素運動は筋肉の敵…」

理樹(起きたら真人が唸っていた。やはり枕を貸しているとはいえ床に雑魚寝はキツいらしい。しかしその後次は僕が寝ようと言っても聞かなかった)

理樹「真人ー?」

真人「んが……」

理樹(肩を揺らした)

真人「おう…おはよう理樹」

理樹「大丈夫?凄くうなされてたよ?やっぱり次があれば真人が寝なよ」

真人「い、いや寝心地良かったぜ!床の質感がクセになりそうだぜっ」

理樹「そんな強がらなくても…」

真人「………あっ」

理樹「どうしたの?」

真人「やべぇ、肝心の謙吾がベッドに居ねえぞ…」

理樹「ええっ!?」

真人「とりあえず俺は恭介やあいつらに伝えておく、理樹は謙吾を探してくれ!」




理樹(どこへ行ったんだ…しかし自分の間抜けさにほとほと呆れる。何故皆に謙吾のことを言っておかなかったんだ、こうなることも充分あり得たはずだというのに!)

理樹「…あれは?」




来ヶ谷「……」

理樹(男子寮を出て庭の辺りを探していると来ヶ谷さんを見つけた。なにかを見ている様だけど謙吾が先決だ、さっ通ったかき聞きに行く)




理樹「おーい来ヶ谷さーん」

来ヶ谷「……ん?やあ少年か、丁度いい所に来たな」

理樹「ごめん、不躾で悪いんだけど謙吾知らない!?」

来ヶ谷「実にタイムリーな話題だな。丁度今そこで倒れているのがその当人では無いかな?」

謙吾「……」

理樹「け、謙吾!」

来ヶ谷「安心しろ、気絶させただけだ」

理樹「いったい何があったのさ!?」

来ヶ谷「そう興奮するな。するならお姉さんのナイスバディに留めておけ」

来ヶ谷「これは10分ほど前のことだった…」

………


謙吾「…こ…き……」

来ヶ谷「おや?謙吾少年か…散歩とは珍しい。少しからかってやろう」


ガサッ

来ヶ谷「グッドモーニングベトナム!」

謙吾「………」

来ヶ谷「おや驚かないんだな?『あひょー』やら『うひゃー』と言えば面白いというのに」

謙吾「お前……古式か?」

来ヶ谷「……いや…君はいったい何を言っている」

謙吾「会いたかったぞ…っ!俺は寂しかった、皆お前が死んだといって怖かったんだ!」

来ヶ谷「……まさか」

謙吾「もうお前は離さんぞ!」

来ヶ谷「……!」




……

来ヶ谷「そう言って襲ってきたので私そこで回し蹴りを食らわせた」

理樹「なるほど……」

来ヶ谷「それにしてもさっきの会話に気になることがある。そこに倒れている奴は私のことを古式女史と間違えた様に思えるがどういうことかな?」

理樹(普通、僕に聞くのはおかしいことだ。しかし流石来ヶ谷さんと言った所か僕が深く関わっていることを見抜いたらしい)

理樹「うん…これは……」

ブーブーブー

理樹(話かけた所で来ヶ谷さんの携帯が鳴った)

来ヶ谷「…真人少年からメールか」

理樹「そ、そうだっ…まず謙吾が無事見つかったと伝えておかなきゃ!」

来ヶ谷「真人少年もこの件に噛んでいるという事は棗兄妹も当然知っているのだろうね」

理樹「うん…訳は後で話すよ、謙吾を運ぼう」

来ヶ谷「いや、このメールで大体の状況は察した。なるほど恭介氏が書いたらしいな、簡単に説明してくれているよ」

理樹(今の間に読んだのかっ)

来ヶ谷「…まあ、確かに理樹君の言うとおりだ。保健室でいいな?」

理樹「うん」



保健室

恭介「……全員集まってくれたな」

クド「……起きたらまた誰かをあの人と勘違いするのでしょうか…」

西園「そうなれば危険ですね。今日は来ヶ谷さんだから良かったものの、小毬さんであったらどうなることか」

恭介「今はかなり精神に支障をきたしている。不安定な状態がどういった問題を起こすか図りかねる…謙吾の親父がこの事を知ったら最悪そういう病院に入れられるかもしれん」

鈴「そんなのダメだ!」

小毬「宮沢君…」

理樹「このまま放っておく訳ないよね?」

恭介「当たり前だ、しかしどうすれば正気に戻せる…」

理樹(京介が珍しく僕らの前で弱音を吐く。それほど今の状況が異常で困難だということだ)

ミス



保健室

恭介「……全員集まってくれたな」

クド「……起きたらまた誰かをあの人と勘違いするのでしょうか…」

西園「そうなれば危険ですね。今日は来ヶ谷さんだから良かったものの、小毬さんであったらどうなることか」

恭介「今はかなり精神に支障をきたしている。不安定な状態がどういった問題を起こすか図りかねる…謙吾の親父がこの事を知ったら最悪そういう病院に入れられるかもしれん」

鈴「そんなのダメだ!」

小毬「宮沢君…」

理樹「このまま放っておく訳ないよね?」

恭介「当たり前だ、しかしどうすれば正気に戻せる…」

理樹(恭介が珍しく僕らの前で弱音を吐く。それほど今の状況が異常で困難だということだ)

古式さんって実際どうなの。

理樹(僕らは朝食の食堂や図書室でどうすればいいか考えあった。ちなみに謙吾は風邪だと伝えてある)



図書室

理樹「ごめん皆…今日休ませちゃって」

小毬「理樹君が謝ることじゃないよ。困った時はお互い様、皆のためなら例え火のなか水のなかだよ~」

葉留佳「そーですヨ!まったくなんで早く言ってくれなかっの?水臭いなぁ!」

理樹「…ありがとうっ」

お休み。超絶亀進行だったけど明日終わらせる

>>21
現実世界では死んでる(その描写もちゃんとある)
それで後悔した謙吾があっちの世界で誰の差し金か同じ場面に対峙して……って感じ


ボイス付きで再生される俺にビックリ

来ヶ谷「だが謙吾少年の問題は難しいな…学校や親にも見つからず穏便に心の病を治すというのだから」

葉留佳「古式さんって人が居ないという事を自覚させるんですよネ?」

恭介「ああ…だが中途半端に亡くなっていることを諭すだけならまた謙吾はショックで気を失うだけだ…そしてまた同じ事の繰り返し」

鈴「このままじゃ墓に行くまでずっとこの調子か……それならアホな謙吾の方が何倍もいいな」

理樹(墓……自覚……そうか!)

理樹「謙吾を救う方法が分かったよ皆!」

クド「わふー!本当ですかっ!?」

理樹「うん…ただこれは一か八かだからもしかしたら謙吾は本当に狂ってしまうかもしれない……」

恭介「とにかくその理樹の案を聞かせてくれ、それから皆でそれについて相談するんだ」

理樹「分かった。それじゃあ……」







謙吾部屋

謙吾「ここは…」

理樹「起きた?」

謙吾「自分でベッドに入った覚えはないんだが俺は昨日何を」

来ヶ谷「時には知らない方が良いこともある」

謙吾「……もしかして全員いるのか?」

葉留佳「寝起きのはるちんは謙吾君のために封印してましたけどネ」

恭介「熱は……下がってるな。よし、早く着替えろ、出かけるぞ」

謙吾「俺は風邪でも引いてたのか……所で行くってどこに?」

恭介「……とにかく着替えろ、ほらお前らも出るぞ」

葉留佳「はーい!」

ブロロロ

謙吾「にしても恭介の車にこうしてリトルバスターズの全員が乗るのは久しぶりだな!」

クド「わふー…そうですね……」

理樹「うん…」

謙吾「おいおいどうしたお前ら暗い顔をして…これから出掛けるというのに。そういえばさっき行き場を聞いて居なかっ…」

真人「謙吾!こういう時は指相撲でもしようぜ?」

謙吾「ほほう、この俺に指相撲を挑むとは真人もボケたな…乗ったぁっ!」

真人「おっしやぁぁ!いっくぜぇぇ!!」

理樹(ナイス真人!)





恭介「さ、着いたぜ」

謙吾「ここが目的地か…?見た所遊ぶ所ではなさそうだが……」

西園「そうでしょう、ここは墓地ですから」

謙吾「…何だと?」

恭介「こっちだ」

謙吾「おい待て、誰の墓だ?もしかして理樹の両親か?」

恭介「行けば分かる。心配すんな」

理樹(ここからが正念場だ)



恭介「……見ろ謙吾」

謙吾「まさか俺の名前でも書いて…」

謙吾「嘘だ…」

恭介「嘘じゃない」

謙吾「お、俺は帰らせてもらう…」

恭介「車も無しにどうやって帰る!?ちゃんと目を見張れ!これは誰の墓だっ!!」

謙吾「ぐっ…嫌だ……なんでこんな…古式の…古式の墓が!!」

恭介「お前は墓参りを欠かさなかっただろ…何度もここへ来たはずだ、今更逃げるのはよせ」

謙吾「うっ……おぇっ」

理樹(謙吾は吐かなかった…いや、吐けなかった。当たり前だ、朝から何も食べていないんだから吐き出せるものと言えばヨダレか胃液ぐらいだ)

鈴「よしよし…大丈夫だ」

理樹(鈴が優しく介抱する)

謙吾「うう…古式……お前はもう死んでしまったのか…?」

理樹(これは解決方法というより賭けだった。謙吾が逃げられない状況に追い込んで決定的な古式さんの死を認知させる…下手すればおかしくなるかもしれなかった。でも僕は謙吾の強さを知っている。僕と鈴を命を賭けても助け、あの恭介達と対立しても僕らの味方でいてくれた謙吾の強さを)

謙吾「ひっぐ……うぁああ!」

理樹(自分を慕っていてくれ、死ぬ最後まで相談に乗っていた人物。その人を失った悲しみと責任はあまりに大きい)

恭介「しばらく墓の前で2人で泣かせておいておいてやる…皆あっちに行くぞ」

理樹「いいの?」

恭介「俺を信じろ」




理樹(しばらくして戻ってみると謙吾は膝を折っていた)


謙吾「……」

理樹(もう涙は流していなかった)

謙吾「戻ってきたか」

恭介「ああ。どうだ?」

謙吾「さっきは見苦しい所を見せたな…もう落ち着いた」

謙吾「そしてやっと思い出した、古式がこの世に居ない事を」

理樹(………)

謙吾「思えば俺はトチ狂った最初の頃から半ば気付いていたのかもしれないな…しかし己の弱さ故にそれを無理やり知らなかったこのにした」

謙吾「あの頃の俺はな…ただ自分を責めることしか出来なかった、あの時俺が彼女を説得出来ていたなら…屋上に俺もいたなら……なんども想像したさ」

恭介「飛び込んで救っても今度はお前が死んでたかもな」

謙吾「それでも一生この想いを抱くぐらいならその方がマシだっただろう」

謙吾「だが、俺がそうやって心を誤魔化していても愛するお前達まで傷付けていることに気付いた…なんて俺は馬鹿だったんだっ」

恭介「やっと分かったか馬鹿が…どれほど心配したと思ってやがる」

謙吾「……俺はこれから参る。お前達も一緒にやってくれるか?」

理樹「もちろんだよ!」

小毬「うんっ」

恭介「じゃあちょっと待ってろ、今和尚さんを呼んでいる」

謙吾「ありがとう」




和尚「~~観自在菩薩行深般若波羅蜜多時~~」

謙吾「………」



理樹(謙吾は克服した。これからは無事皆とやっていけるだろう…)

キラッ

真人「ん?おい理樹、今なんか光ったボールみたいなのが上に浮いてなかったか?」

理樹「えっ?ごめん見てなかったよ」

謙吾「蛍だったりしてな」

真人「この時期にかぁ?」

恭介「ようし!それじゃあ帰るかっ」

謙吾「ああ、俺たちの居場所に」





終わり


面白いと言うか、なんと言うか……切なくなった。
最後のはクラナド?

>>36
ご明察


って依頼してたはずだけどまだ残ってたのねこのスレ

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