苗木「真っ赤な絶望?」 (63)

放課後

葉隠「だべ。今朝起きたらビビッときたんだ!」

葉隠「苗木っちが真っ赤に染まった絶望を見上げているのをよ!」

苗木「でもそれって占いなんでしょ?」

葉隠「バカにしちゃいけねえ、なんせ俺の占いは……」

江ノ島「ちょっと二人して何話してんの~?」

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真っ赤な誓い

苗木「あっ、江ノ島さん。実は葉隠クンが奇妙な夢を見たって……」

葉隠「夢じゃねえ占いだべ!俺は見たんだ!苗木っちが真っ赤な絶望を見上げているところを!」

江ノ島(絶望?)ピクッ

江ノ島「気になるわねその話。アタシにも詳しく教えてくんない?」

苗木「ちょっと江ノ島さん……」

葉隠「詳しいも何もそれで終わりだべ。ただ近いうちに起こることは確かだ。一週間先か、一ヶ月先か、もしかすっと明日かもしれねえ!」

江ノ島「なんだつまんない。でもその『真っ赤な絶望』って名前からして物騒ね」

葉隠「ああ。血や炎、はたまた借金を取りにきた赤シャツかもしれねえぞ!」

苗木「最後のは葉隠クンだけだよ……」

江ノ島「まあ、このことはアタシ達三人の秘密にしときましょうよ。他の奴らが知って心配かけさせるのもどうかと思うしね」

苗木「でも、物騒なことなら大神さん辺りにも知らせた方が……」

江ノ島「苗木、これは葉隠の占いなのよ?」

苗木「そういえばそうだったね、何も起こらなかったらそれこそ迷惑かも……」

葉隠「おめーら俺の占いハズれる前提で話してねーか!?」

葉隠「何度も言うがな、俺の占いは……」

江ノ島「もうこんな時間か、アタシ部屋戻るわ」タッタッタッ

苗木「また明日、江ノ島さん。それじゃあボクもそろそろ……また明日、葉隠クン」

葉隠「無視しないでくれよおぉ〜!」

江ノ島の部屋

江ノ島「うぷぷぷぷ……ぶひゃひゃひゃひゃひゃ!」

江ノ島「『真っ赤な絶望』!なんていい響きなのかしら!」

江ノ島「苗木に赤を連想させる絶望が迫ると思うと……うぷぷぷぷ!」

江ノ島「通り魔に刺されて返り血を浴びた犯人を見て絶望?全てを飲み込む火事の中で息絶えていく絶望?」

江ノ島「なんにせよ夢が広がりまくりすてぃーな!」

江ノ島「さて、アタシが一番絶望を感じるシチュエーションをつくりだすにはどうすればいいかしら……」

江ノ島「…………」ポクポクポク

江ノ島「閃いた!」チーン!

苗木くんが妹様の処女を散らす、だな

ショッキングピンクな絶望じゃないなら安心だな

なんか中途半端な所で終わってしまった
>>1は基本携帯進行ですが>>1の携帯は強制シャットダウンする確率がかなり高いのでただでさえ遅筆なのに加えてかなり亀進行になりそうです
・あとこのスレは苗ノ島のカップリングを含みます。苦手な方はご注意を
・エロは無いです

本来なら>>1に書いとけと言われそうですが>>1自身こんなに強シャする確率が高いとは思わなかったんだ
携帯が生きてたらまた投稿を始めます

江ノ島「苗木との好感度を上げればいいのよ!」

江ノ島「仲良くなった相手が死んでいく……これって絶望的だよね」

江ノ島「カイカンです……考えるだけで脳汁が出てきます」

江ノ島「そうと決まれば早速『苗木誠を堕とす48の必殺技』でも考えるとしましょう」

江ノ島「でもよー、葉隠の占いがハズれたらどうしようもねーよなー?」

江ノ島「だがその時はこの私様自らが手を下してやればいいだけのこと」

江ノ島「わたし自身『絶望』だし〜、結果的に葉隠クンの占いは当たったことになるよね!」

江ノ島「うぷぷぷ……。苗木、アタシのためにあんたを絶望につきおとしてあげる!」

もうオチが読めたわ

翌日の放課後

江ノ島「苗木〜、今日の放課後空いてるよね!つーわけでアタシの買い物に付き合いなさい!」

苗木「え、ちょっと、急に何をうわああああああ!」



苗木「むりやり引っ張りだされたけどボクなんかでよかったの?」

江ノ島「だって苗木見るからに暇そうだったもの。アタシが声かけなかったら食堂でお茶飲んで部屋に戻って漫画読んでたでしょ」

苗木「う、確かにそうは思ってたけど」

江ノ島「だからこうしてアタシと買い物に行けるだけ幸運だと思いなさい」

苗木「でも江ノ島さんって有名人でしょ?こうしてボクと腕組みながら歩いているのが誰かに知れたら大変なんじゃ……」

江ノ島「そんなのグラサンと帽子だけありゃ大抵はごまかせるっつーの」

苗木「そ、そうなんだ……。あのさ……」

苗木「さっきから……その……あたってるんだけど……」

江ノ島「あててんのよ」

苗木「はあ……」

江ノ島(うぷぷぷぷ)

江ノ島「この服はどうよ?」

苗木「すごい……とっても似合っているよ」

江ノ島「さっきから似たような感想でつまんなーい」

苗木「そうはいってもどれを着ても似合うんだから。ほら、江ノ島さんって頭もいいし、スタイルもいいし、それに…カワイイところもあるしね」

江ノ島「……あんがと。じゃあ次はアタシが苗木に服を選んであげる。こっちの地味な色のがいいかしら……いやこの派手なのも捨てがたいわね」

苗木「そんな悪いよ……ってなんでさも当然のように女物を選んでいるの!?」

江ノ島「決めた!この赤い服を着てもらおうかしら」

苗木「やっぱり女物なんだ……。着ないよ?」

江ノ島「着なきゃアタシと苗木の関係を捏造して世間にバラすわ。そしたらアタシは芸能界追放、苗木はファンの人々から追われる日々となりやがて二人は裏社会で駆け落ちを……」

苗木「わ、わかった!わかったよ!着ればいいんでしょ着れば……」

江ノ島「さっすが〜!苗木ってば話が分かる!」

苗木「今の言葉江ノ島さんなら本気でやりそうだったからね……」




苗木「恥ずかしいから早く着替えたいんだけど……」

江ノ島「うん、すごく似合ってるわよ」

苗木「その類の言葉だけは聞きたくなかったよ。前向きがとりえのボクだけどさすがに心が折れそうだ……」

江ノ島(うぷぷぷぷ。苗木ってば絶望してる。これが葉隠の言ってた『真っ赤な絶望』かしら?)

江ノ島(いや、占いによれば苗木自身が真っ赤なものを見てるからこれじゃないか)



江ノ島「いやー、やっぱ苗木つれて正解だったわ。荷物持ちご苦労さん!」

苗木「まさかジャンケンすら負けるなんてつくづくついてないや」

江ノ島「超高校級の幸運が聞いて呆れるわねー。あ、苗木明日の放課後も空けといてね」

苗木「次は何をする気なのさ……」

江ノ島「それは明日のお楽しみ!っと、そろそろ学園じゃない?」

苗木「本当だ。今日はありがとう江ノ島さん、むりやり連れてこられたけど楽しかったよ」

江ノ島「そう?じゃあ本当に感謝してるならアタシの部屋の前まで荷物よろしく!アタシ先行ってるから!」

苗木「え?あ、ちょっと江ノ島さーん!?」

江ノ島の部屋

江ノ島「残念ながら『真っ赤な絶望』には会えませんでしたね」

江ノ島「でもさ……まだ苗木との好感度も充分に高まってないし、このタイミングで来られても軽い絶望しか得られないだろう?」

江ノ島「しかし苗木クンもノーテンキですね……自分の命に危険が迫っているのに……」

江ノ島「少しくらい警戒してもいいんだけどなー!それを『今日は楽しかった』って!」

江ノ島「ホント楽しそうだったよね〜。アタシの容姿ベタ褒めしてたし」

(苗木「江ノ島さんって頭もいいし、スタイルもいいし、それに…カワイイところもあるしね」 )

江ノ島「……今さら言われ慣れたことを言われても別になんとも思わないわ」

江ノ島「…………」

真っ赤な絶望を見上げる…SIRENかな?
って、思ってたけど全然違った。

期待

絶望=江ノ島

翌日の放課後

江ノ島「早速出掛けるわよ!レッツゴー!」

苗木「まだ放課後になったばかrうわああああああ!」



江ノ島「というわけで近場のゲーセンにやってきたのであった」

苗木「こんな人が通らない所にゲーセンがあるなんて……」

江ノ島「ここは知る人ぞ知る名店だからね。希望ヶ峰でも知ってる人は少ないんじゃないかしら」

苗木「そ、そうなんだ」

江ノ島「さっさと行きましょ。まずは苗木の得意なゲームで相手してあげる。」




苗木「完敗だ……。」

江ノ島「苗木は攻撃がワンパターンなのよ。これなら目を瞑っても勝てるわね」

苗木「うぐ……」

江ノ島「どうすんの、まだ続ける?どうせアタシが勝つから苗木のお金が減ってくだけになると思うけど」

苗木「……少し休ませてくれないかな」

江ノ島「りょーかい」



苗木「江ノ島さんがここまで強いとは思わなかったよ。ボクもよく桑田クン達に誘われて行くけどみんなここまで強くないよ」

江ノ島「ほら、超高校級のギャルだしゲーセンくらい慣れてないと示しがつかないでしょ」

苗木「そういうものなのかな……」

江ノ島「そういうもんなの。よし、次はクレーンゲームやりましょ」



江ノ島「苗木はどれ欲しい?アタシが取ってあげる」

苗木「じゃああの白とピンクのウサギの人形を……」

江ノ島「あ、アタシあの白と黒のクマ欲しーい!あれ取ろうっと」

苗木「ボクに聞いた意味あった!?」



江ノ島「ここをこうして……これでよし!」

苗木「すごいや江ノ島さん。手慣れてるね」

江ノ島「もっと褒めちゃっていいのよ〜。なんせアタシの操作は完璧だからね。落とすなんてありえないわ!」

苗木「あ、落ちた」

江ノ島「えっ」



江ノ島「…………」
苗木「…………」

江ノ島「完璧とか落ちるなんてありえないとか言ったそばから落とした!絶望的ィ!」

苗木「えっと、ほら失敗は誰にでもあるよ」

江ノ島「よりによって苗木の前で落とすなんて……。苗木の不幸が移ったのかしら?」

苗木「ボクの不幸って移るもんなの?」

江ノ島「冗談冗談。あーあ興ざめだわ、別のとこ行きましょ」

苗木「待って、あの人形ボクがかわりに取っていいかな?」

江ノ島「アタシのフォローのつもりかしら?そんなん別にいいんだけど」

苗木「それじゃあボクが純粋に遊んでみたいからってことで」

江ノ島「勝手にすれば?アタシは別のとこ行ってるから」



苗木「ここをこうして……あれ、ダメか……。それならここに移動させて……あれ?」

江ノ島「見てらんないわね。右に2秒、上に1秒動かさせば取れるじゃないの」

苗木「え、江ノ島さん?」

江ノ島「アタシだったらこう取ろうと思っただけよ、苗木のためじゃないわ」

苗木「あ、ありがとう。それじゃお礼にこの景品あげるよ。欲しかったんでしょ?」

江ノ島「アタシはもうこの人形には興味ないんだけどね〜。でもいいの?あんたコレ取るのにだいぶ金つぎ込んでたじゃない」

苗木「ボクとしては江ノ島さんに受け取ってほしいんだよ。結局取れたのも江ノ島さんのおかげだし」

江ノ島「じゃあありがたくもらっておくわ」




苗木「ずいぶん遊んじゃったな……。財布が悲鳴をあげてるよ」

江ノ島「苗木はもっとゲームの腕を磨いたほうがいいわよ。アタシを満足させるくらいには強くなってよね?」

苗木「それはちょっと難しいかな……。でも、次はもう少し張り合えるようにはするよ。ボクも1勝はしたいからね」

江ノ島「あら、苗木ってばもう次のデートの約束かしら?アタシは仕事の日以外はオールオッケーよ!苗木がデートに誘うくらい積極的になってくれて盾子ちゃんカンゲキ!」

苗木「ボ、ボクは別にデートとかそういうことは……え、江ノ島さんあっちにクレープ屋があるよ!いや〜、ボクちょうど小腹がすいてたんだよなあ!」タッタッタッ

江ノ島「ちょっと苗木ー!逃げてんじゃなーい!」タッタッタッ






苗木「うん、やっぱ美味しいねコレ。江ノ島さんは何味だっけ?」

江ノ島「イチゴよ。苗木はブルーベリーだっけ。こうやって二人きりで食べてる となんだかカップルみたいね」

苗木「カッ…!?いやいやいや!ボクみたいな凡人が江ノ島さんみたいな人と釣り合うわけがないって!」

江ノ島「あら、アタシは別に相手が苗木でもいいけど?苗木といると飽きるようなことが起こらないからね〜。それに次は苗木からデートに誘ってくれるんでしょ?」

苗木「いや、だからあれはそういう意味で言ったんじゃ……」

江ノ島「スキあり!」パクッ

苗木「あっ!ボクのクレープが!」

江ノ島「ん〜、こっちもなかなか美味しいわね。次来た時はブルーベリーを頼もうかしら」

苗木「江ノ島さん……今のって、その、か、間接キスになるんじゃ……」

江ノ島「あら本当だ。じゃあアタシだけだと悪いし苗木にも……ハイ、あーんして」

苗木「いやだからボクは別にそんなっ!」

江ノ島「あーん」

苗木「…………あ、あーん」

江ノ島「やっぱダメ」サッ

苗木「ウグッ!」ガチン

江ノ島「うぷぷぷぷ、苗木ってば面白ーい!そんな苗木にはアタシが食べてない部分をプレゼントしちゃいまーす!ハイどーぞ」

苗木「うう、恥ずかしい……」

江ノ島「今『なんで口移しじゃないんだ』って顔したでしょ」

苗木「さすがにそれはこっちからお断りだよ!?」




江ノ島(……今日も『真っ赤な絶望』は来ないみたいか)

江ノ島の部屋

江ノ島「この私様を待たせるとは『真っ赤な絶望』とは絶望の風上にも置けんな」

江ノ島「オレはさっさと苗木が絶望に顔を歪める姿を見たいんだからよ!」

江ノ島「あれだけ積極的にアプローチすれば苗木クンもさすがにわたしのことを意識せずにはいられないと思うんだよね〜」

江ノ島「デートの話を仕掛けた時のあの動揺……。テンプレです……まさにキング・オブ・テンプレです……」

江ノ島「作戦とはいえ間接キスまでしたのにまだ完璧に堕ちたとは思えません。明日は午後から仕事ですのでその間に『真っ赤な絶望』が来なければいいのですが」

江ノ島「まあおそらく来ないでしょ。苗木が対象なら絶対にこんなつまらない所で来るわけがないもの!苗木はそういうヤツだからね!」

江ノ島(たった数日の絡みで苗木をここまで知れたアタシの分析力ってやっぱスゴイ!)

江ノ島(それも全部苗木がアタシを知ろうとしてくれてるからよね)

江ノ島(それじゃあ、アタシはどうなの?苗木のことをもっと知りたいと思っているのかしら?)

江ノ島(……やめよう。これはあくまで作戦の一環、それに支障をきたすような発想はするべきじゃないわね)

翌日の昼

苗木「さてと、今日は食堂で何か食べに行こうかな」

江ノ島「待っていたわ!私様は待っていたのよ!苗木と一緒に昼食をとる時間が現れる事をね!」

苗木「江ノ島さん……?」

江ノ島「アタシ今日午後から仕事だからせめて昼食だけは誰かと一緒に食べたいなって。それに苗木を指名したのよ」

苗木「いや、でも誰かと食べたいなら戦刃さんがいるんじゃ……」

江ノ島「あーつれーわー、張り切って朝食作ってたら作りすぎちゃったわー。アタシ一人じゃとても食べきれないなー、どっかにレーションしか食わない残念な軍人じゃなくて人の頼み事ホイホイ聞いてくれるお人好しな苗木誠クンがいないかなー」チラッチラッ

苗木「……分かったよ、どうせボクじゃなきゃダメなんでしょ?」

江ノ島「ヒューッ!苗木だーいすき!」






苗木「江ノ島さん……。割り箸を取りに行きたいんだけど……」

江ノ島「ダーメ、アタシに一人寂しく食事させる気なの?ハイ、あーん」

苗木「むぐっ……。でもボクにはこの空気は厳しすぎる!いくら何でも教室の真ん中で見せつけるように食事することないじゃないか!」

江ノ島「周りのヤツらなんていないも同然で扱えばいいじゃないの。」モグモグ

苗木「それでも視線が!皆の視線が痛い!特に山田クンと石丸クン!」

江ノ島「苗木は注目されることに慣れてないからね〜。いい経験じゃないの、ほらあーんして」

苗木「うう、こんな中でも江ノ島さんの差し出した料理を平然と口にする自分が情けない……」

江ノ島「無意識にお人好しパワーが働いているのよ。体が覚えちゃうなんてホントにお人好しなのね〜。苗木、お茶飲む?」

苗木「……今更間接キスなんて気にしてられないか。貰うよ」

江ノ島「お?昨日のアレで吹っ切れちゃった?まあ箸一膳で食べるって言ったとき何も言わなくなったあたり苗木もだいぶこういうことに抵抗が無くなってきたのね」

苗木「あっ、またなんか視線が強くなった!江ノ島さんお願いだからみんなを刺激させるような発言は……」

江ノ島「昨日と言えばデートに誘ってくれるんだっけ?いつがいいかしら?もちろんプランは苗木が考えてくれるのよね?あ、食事代は割り勘でもいいわよ。それとそれと……」

苗木「今日からボクはどうやって教室で過ごせばいいんだ……」

放課後・寄宿舎

苗木「ふう、ひどい目にあった……。みんなよってたかって質問攻めにするんだから」

苗木「江ノ島さんにも後で何か言わなきゃ。彼女には楽しい時間を貰ってるけどその分困らされてばかりだよ」

苗木「そういえば、江ノ島さんって最近ボクに構ってばかりな気がする」

苗木「彼女がボクに絡み始めたのは今から2日前……。その直前に彼女の心に変化の動機を植え付けたのであれば原因はやっぱり『真っ赤な絶望』しかないか……」

苗木(葉隠クンの占いがもし当たったらボクは恐らく危険な目にあうだろう。根拠はないが『真っ赤な絶望』という響きから恐ろしげなことは確かだ)

苗木(もしもその時近くに江ノ島さんがいたら彼女にも危害を加えてしまうかもしれない。ボクの事情で彼女を巻き込むのはなんとしても避けたい)

苗木(だからこそボクは早く……)

苗木「……あれ、食堂に誰かいる。あれは……」

苗木「……戦刃さん?」




戦刃「……苗木くん?」

苗木「戦刃さん、どうしたのこんなところで。そういえば今日は午後から一度も姿を見てなかったけど」

戦刃「大変なの!盾子ちゃんがいなくなっちゃったの!苗木くん知らない!?」

苗木「江ノ島さんがいなくなった?確か午後から仕事だって言ってたけど」

戦刃「えっ」

苗木「江ノ島さんから何も聞いてないの?」

戦刃「うん。盾子ちゃんが『お昼は食堂で待っててね!』って言ってたから」

戦刃「盾子ちゃんとお昼食べたくてずーっとここで待ってたの」

苗木「どおりで午後から一度も姿を見ないわけだ……」

戦刃「でも良かった……。私がこの前盾子ちゃんのプリン食べちゃったことや借りた漫画無くしちゃったことに対して怒って私を捨てたわけじゃなかったんだね」

苗木「さすがに江ノ島さんはそれくらいで戦刃さんを捨てたりはしないよ。でもさすがに一度謝ったほうがいいと思うよ……」

江ノ島「その意見に賛成だ!」同意

苗木「えっ」
戦刃「えっ」
江ノ島「えっ」

苗木「江ノ島さん、どうしてここに?」

江ノ島「ちょっと忘れ物を取りに来たら苗木とお姉ちゃんが話してるのが見えてさ」

江ノ島「そしたらとっても面白いことが聞けたってわけ!」チラッ

戦刃「ごめんなさい」ドゲザ

江ノ島「アタシもさすがに捨てるような真似はしないけどお姉ちゃんにはちゃんとした『オシオキ』が必要みたいね」

江ノ島「とりあえずアタシが仕事から帰ってくるまで何も食わずに部屋で待機すること。その後で超高校級の軍人にふさわしいスペシャルなオシオキを用意してあげるから」

江ノ島「期待して待っててね〜」スタスタ



戦刃「……苗木くん、助けて……」

苗木「戦刃さん、生きてたらまた明日教室で会おう」 タッタッタッ

戦刃「一人にしないでええぇぇぇ!」



苗木(江ノ島さんの意外な一面を見れた気がする)

翌日の放課後

苗木「今日も疲れたな〜……あれ、いつもならこの辺で江ノ島さんが飛びついてくるはずなのに」

苗木「さすがにもう遊びに誘ってくるのはやめたのかな。ボクとしてもあまりお金を使わなくてすむからいいけれど」

苗木「でもやっぱり……ちょっと寂しいな」

苗木「いやいやむしろこの3日で江ノ島さんの顔を見過ぎたって考えるべきなんだ」

苗木「それまでは普通のクラスメイトとして過ごしていたんだから。それが元に戻っただけ、ただそれだけの話なんだ」

苗木「…………」

苗木「部屋に戻るか……」

見てるよ、期待

苗木の部屋

苗木「さて特にやることもないし漫画でも読んでよっと」

江ノ島「デートプラン考えるってのはどう?」

苗木「デートプランか……時間とお金の両面を考えなきゃいけないし難しいんだよね……って江ノ島さん!?」

江ノ島「ヤッホー。お邪魔してまーす」

苗木「まったく気づかなかったよ!どうやって入ってきたの!?」

江ノ島「気配を消して苗木の背中にピッタリくっついていれば苗木が部屋に入ったと同時にアタシも部屋に入れるってわけ!」

苗木「鍵閉めるために振り返ったのに気づかないなんて……もはやギャルの領域超えてるよ!」

江ノ島「アタシが思うにこれからは気配を消す技術を持ったギャルが流行るかもしれないのよ」

苗木「ストーカー被害しか増えないよそんなの!」

江ノ島「ま、そんなどうでもいいことは置いといて早くデートプランの続き考えましょ」

苗木「本当に考えるんだ……。しかもデート相手本人の目の前で……」

携帯が逝ったので借りたパソコンから少しだけ投稿

江ノ島「まずは日程。これは明日でいいわね」

苗木「明日って……。いくらなんでも早すぎない?」

江ノ島「ほら明日って休日だし、アタシってば飽きっぽいから長い間待たされるのは好きじゃないの。なんなら今からでもいいのよ?」

苗木「分かったよ。江ノ島さんが望むならなるべくそれにあわせるよ。」

江ノ島「じゃあ次はどこへ行くか。アタシを満足させるとこならどこでもいいわ」

苗木「デートの定番といえば遊園地、水族館、映画館あたりかな……」

江ノ島「うーん、ゲーセンとかは?」

苗木「そこは二日前に行ったばかりじゃないか」

江ノ島「あれ?そうだっけ、苗木といると時間が早く感じるからねー」

苗木「それに次行くときはボクがもっと上手くなってからって言ったじゃないか」

江ノ島「それならアタシが手取り足取り教えてあげる!お金はアタシが持つからさ」

苗木「そんな悪いよ、ボクだって何とか用意してみせるから」

江ノ島「じゃあツケでいいわよ。数日後に返してくれていいから」

苗木「それでいいなら……。なるべく早めに返すよ」

江ノ島「ん~、でも一日中ゲーセンに入り浸るのも飽きるわね」

苗木「遊園地や水族館だと待ち時間や回る時間が足りないな……。消去法で映画館になっちゃうけどいいかな?」

江ノ島「構わないわよ。でも映画のチョイスは苗木にまかせるわね。一応、あんたから誘ってくれるって設定なんだし」

苗木「設定って……。そうだ、デパートに寄る時間もくれないかな。ちょっと買っておきたいものがあるんだ」

江ノ島「問題ないわ、アタシもちょうど買いたい物があったし」

苗木「そうなると映画館を通ってゲームセンターによってデパートに寄れる道だから……昼食はこのあたりかな」

江ノ島「あ、寄る順番は苗木が決めてね?アタシに前もって教えたら面白くないし」

苗木「じゃあこの順番で……、待ち合わせは朝9時に希望ヶ峰近くの駅でいいかな?」

江ノ島「オッケー。なんだ苗木ってば考えるの初めてなくせにちゃんとできるじゃん!」

苗木「正直、あげた場所全部否定されたらどうしようかとヒヤヒヤしてたよ」

江ノ島「何言ってんの!重要なのは相手を楽しませることなんだって!」

江ノ島「その人が好きな場所に行っても楽しめなきゃ意味がないでしょ?だから頑張ってアタシを楽しませてよね!」

苗木「江ノ島さん……。うん、わかったよ」

江ノ島「さて、アタシはそろそろ帰りますか」

苗木「待って、江ノ島さん……その、ありがとう」

江ノ島「何よ急に、デートに行けるのがそんなにうれしい訳?」

苗木「いや、そうじゃなくて……、江ノ島さんは『真っ赤な絶望』を知った日からボクに接してくるようになったでしょ?その行動がボクはすごく嬉しかったんだ」

苗木「葉隠クンの占いが外れてくれればそこまでだけど、もし当たったと思うと不安で……そんな中、キミはボクを楽しませてくれたんだ」

苗木「『真っ赤な絶望』を忘れるほどだったよ……。キミといると本当に楽しい日々がすごせる」

苗木「だけど一方でキミを傷つけるようなことがあると思うと……。ボクはそれが一番恐いんだ」

苗木「だから明日で全てを終わりにしたい。これ以上キミを巻き込まないようにするためにも」

江ノ島「なんだそんなことか。アタシなら大丈夫よ。こう見えてアタシ結構強いからさ、苗木を守ることだってできるのよ?」

苗木「江ノ島さん、これはボクが決めたことなんだ。いつになるか分からないけど『真っ赤な絶望』が過ぎたとき、その時にまた……」

江ノ島「分かったわよ。苗木ってホント他人のことになると強情よね。もっと自分を大切にしなさいよ」

苗木「心に留めておくよ。ゴメン、帰ろうとしていた所をとめちゃって」

江ノ島「いいってことよ。楽しみにしてるわねー明日」

江ノ島の部屋

江ノ島「飽きた」

江ノ島「飽きた飽きた飽きたーっ!」

江ノ島「もう、全然現れないじゃないの『真っ赤な絶望』!」

江ノ島「てゆーか今日まで持ちこたえたアタシがすごいわ!冗談抜きに今日を記念日にしてもいいくらいよ」

江ノ島「でもここまでしてきた苦労は無駄じゃなかったわね、今ならいい絶望がみれそう!」

江ノ島「それにしても苗木のヤツ、そこまでしてアタシを巻き込みたくないのかねー。善人ぶっちゃってナマイキ」

江ノ島「だからこそアタシがぶっ刺してあげる!絶望に顔をゆがめ苦しんでいく姿をアタシがこの目で見てあげる!」

江ノ島「うぷぷぷ……。うぷぷぷぷぷぷ…………」

江ノ島「………………」

江ノ島(そこに後悔なんて……ない)

短いけどここまで
文は考えてあるのに書き込む時間がとれない…

乙!
ゆっくりでも待ってるよー!

翌日・駅

苗木「なんでこんな時に限って目覚ましが鳴らないんだよ!」タッタッタッ

苗木「ハァハァ……。江ノ島さんは……もう着いてるだろうな。こんな人ごみの中から探さなきゃいけないのか」

苗木「彼女は目立つから探しやすいハズ……いやでも有名人であることを隠すために顔を隠しているかもしれない」

苗木「参ったな……。ん?あの特徴的な髪型は……」

苗木「葉隠クン!?……それに江ノ島さんも一緒だ!」

葉隠「ん?おお!苗木っち、奇遇だな!」

江ノ島「苗木、おそーい!」

苗木「ご、ごめん。でもなんで葉隠クンがこんな所に?」

葉隠「ちょいと仕事の依頼があってな。俺に来てほしいとのことらしいべ。苗木っちはどうしてだべ?」

江ノ島「実は苗木とアタシは今日ここでデートなんでーす!しかも苗木から誘ってくれたのよ?」

葉隠「やっぱり二人が付き合ってるって噂は本当だったか!ま、流したのは俺なんだが」

苗木「ボクたちまだ付き合ってるわけじゃ……」

葉隠「あんだけイチャついてよくそんなことが言えるべ……。モテない男子からの恨み妬みの視線がスゲェぞ?」

江ノ島「そんなの気にするだけ無駄だって!ほら苗木、さっさとデートに行きましょ!」

葉隠「ちょっと待つべ!実はオメーらに伝えたいことがあるんだべ。例の『真っ赤な絶望』のことなんだが……」

苗木「『真っ赤な絶望』……!」

葉隠「そいつは間違いなく今日やってくるべ!俺の占いは3割当たる!」

苗木「間違いないのか3割なのかどっちなのさ……」

葉隠「警戒しとくに越したことはないべ。苗木っち、俺だって心配なんだよ」

葉隠「俺は占い師という立場上自分の出した結果を否定することができねえ。だからよ、俺はオメーの無事を祈ることしかできねえんだ」

葉隠「苗木っち、自分の体は自分で守ってくれよな。オメーは特に自分に厳しいからよ」

苗木「葉隠クン……!」

葉隠「最優先で守る場所は臓器だべ!」

苗木「葉隠クン……」

葉隠「んじゃな!俺もそろそろ行かねえと遅刻しちまうからな!」スタスタ

苗木「…………」

江ノ島「何怯えてんのよ。せっかく来たのに朝からローテンションじゃ楽しむものも楽しめないわ」

苗木「そう、だね……うん!今日は江ノ島さんを楽しませることだけを考えるよ!」

江ノ島「それでこそ苗木ね。さ、まずはどこへ連れてってくれるの?この超高校級のギャルとデートできるんだから今日1日の運は使い果たしたと思いなさいよ!」





葉隠(やっと決めゼリフ言えたべ)

映画館

江ノ島(何だかんだで来てくれたのね、『真っ赤な絶望』)

江ノ島(苗木に一体どんな絶望を見せてくれるのかしら)

江ノ島(思い切って殺してくれるの?それともじわじわいくタイプ?)

江ノ島(なんにせよ苗木は絶望する。アタシはその姿を見たいだけ)

江ノ島(もし苗木がいなくなったらアタシは悲しむ……のかな)

江ノ島(作戦に支障をきたすことは考えちゃダメ。でもなぜだか考えずにはいられない)

江ノ島(こんなことを考えるということはアタシは心のどこかで苗木を失いたくないと思っているの?)

江ノ島(そんなはずはない。アタシはあいつがなんか気にくわない。希望……そんな言葉がアイツにはぴったりで好きになれない)

江ノ島(絶望の中に希望など必要ない。絶望の中に生きる希望など存在しない)

江ノ島(……こんなことを言ったらアイツはきっとこう返すだろうな)

江ノ島(…………)

江ノ島(…………)

江ノ島(…………)

江ノ島「……zzz」

苗木「江ノ島さん、江ノ島さーん」

江ノ島「んあ?あれ、苗木じゃん。なんでこんな所に」

苗木「いや、ボクたちデートに来てたんでしょ。映画見てる最中に江ノ島さん寝ちゃったんだよ。もう映画終わっちゃったよ」

江ノ島「あー、そうだったそうだった。いやー、コレ前に見たことがあったからさ」

苗木「え?そうだったの。参ったな……コレを選んだのは失敗だったか。ゴメン、退屈させちゃって」

江ノ島「いいのよ、苗木に任せたのはアタシだったし。ん〜、寝てたらお腹すいちゃった」

苗木「あまりに気持ち良さそうに寝てたから映画終わるまで起こせなかったよ。江ノ島さんって意外とかわいい寝顔してるんだね」

江ノ島「意外とってなによ。アタシはギャルやってんだからかわいくて当然なの。この超高校級のギャルの寝顔が見れたんだからこの先1週間の運を前借りしたと思いなさい」

苗木「アハハ……。それじゃそろそろお昼を食べに行こうか」

江ノ島「あ、待って。どうせなら腕組んで歩かない?」

苗木「構わないよ。ハイ」

江ノ島「ありがとー!苗木ってば随分懐深くなったわねー」

苗木「江ノ島さんを相手にする時は大人しく従った方がいいと頭が覚えたからね」

江ノ島「なにそれ。てゆーかリアクション薄くない?こんな美少女と腕組めば周りの視線は釘付け、おまけに胸まで当ててんのに苗木ってば何一つ言わないんだもん」

苗木「江ノ島さんと一緒にいたからかこういうことはすっかり慣れちゃった」

江ノ島「ちぇー、面白くなーい」

料理店

江ノ島「うん、やっぱりここの店は美味しいわね〜。今度の雑誌でアタシのオススメデートスポットとして紹介しよっと」

苗木「喜んでもらえて嬉しいよ。もっともここの店を選んだのは映画館とゲームセンターに近いからなんだけどね」

江ノ島「それでもいいの。あんたの運が変に働いたら激マズ店に飛ばされてたかもしれないんだから。はい、あーん」

苗木「会話の途中で口元に料理を持ってくるのやめてくれないかな?」

江ノ島「いいじゃない。学校でもやってたしこれも慣れてんでしょ」

苗木「そうだけどさ……ボクが江ノ島さんの料理を食べるという選択肢はないの?」

江ノ島「ないわ。ちなみに断ったら今口元にある料理を熱々のおでんに変更するから」

苗木「この店におでんは売ってないよ……」

江ノ島「つまり断れないってこと。ほら、さっさとする」

苗木「仕方ないな……」パクッ

江ノ島「じゃあ次は苗木な番ね」

苗木「ボクもやるの!?」

江ノ島「当然でしょ。アタシからは数多くあれど苗木からは一度も受けてないわ!つーわけでほら早く、あーん」

苗木「ええ……」

江ノ島「あーん」

苗木「うう……」

江ノ島「はやふひははい(早くしなさい)」

苗木「わかったよ……ハ、ハイ」

江ノ島「いただきまーす!」パクッ

江ノ島「うんうん。やっぱ苗木がやってくれると美味しさも2倍ね!」

苗木「人にさせるのはさすがに初めてだよ……」

江ノ島「じゃあ慣れるまで頑張りますか!次は食後のデザートでね!」

苗木「ええ、まだやるの!?」

江ノ島「もっちろん!この超高校級のギャルと食べさせあいができるんだからアンタの運は1ヶ月は使いものにならないわね!」






戦刃「……新しいミリタリーショップが開かれるって広告が入ってたから来てみたけど……確かこの辺だったはず」

戦刃「えっとこのお店の反対側に……ってアレ?盾子ちゃんと苗木くん?」

戦刃「あっ、二人で食べさせあいしてる!まるでカップルみたい……」

戦刃「周りの視線も気にしてないし、完全に二人だけの世界に入っちゃってるよ……」

戦刃「そういえば学校で盾子ちゃんと苗木くんが付き合ってるって噂が流れてたけど……まさか本当に!?」

戦刃「じゃあ、盾子ちゃんは苗木くんのことが……」

戦刃「うう〜、盾子ちゃん羨ましいな〜!」






江ノ島「いやー、食べた食べた!苗木もいい経験だったでしょ?」

苗木「できればもうやりたくないよ……。江ノ島さんの行動についていくのはやっぱり難しいな」

江ノ島「ふふん、アタシについていくなんて4696年早いのよ!」

苗木「何その中途半端な数字……。そういえば江ノ島さん、ずっと気になってたけどその服って……」

江ノ島「ああ、コレ?もちろんこの前苗木が選んでくれたやつよ。やっぱこういう日には苗木の見知った服じゃないとね!」

苗木「でも、江ノ島さんならもっと流行に合わせた服を着てくると思ったよ」

江ノ島「その流行を作ってるのは誰だと思ってるのよ。アタシにとって流行なんてアタシの手のひらでモノクマダンスしてるピエロみたいなもんよ」

苗木「モノクマダンスって何!?」

江ノ島「さてと残りはゲーセンとデパートだけど……この道からしてゲーセンで間違いないわね。さ、行くわよー!」

苗木「あ、ちょっと、江ノ島さーん!」

ゲームセンター

江ノ島「まだまだ甘いわねー。手に取るように苗木の動きが分かるわ」

苗木「くっ……!攻撃が全然当たらないよ」

江ノ島「葉隠の占いの方がまだ当たるわよ……っと!」

苗木「あっ……」

江ノ島「イエーイ!アタシの勝ちー!これで5連勝ね」

苗木「参ったな……。全然ダメだ」

江ノ島「これでも結構上手くなってるわよ?今なら桑田や大和田くらいなら倒せるかもね」

苗木「それでも江ノ島さんに1勝もできないのが悔しすぎるよ……。どうにかして強くなれないかな」

江ノ島「そりゃもうこつこつと地道に練習してくしかないんじゃない?アンタって努力とかいう言葉が似合いそうだし」

苗木「……そうだな、よし!もう少し練習に付き合ってくれるかな、江ノ島さん」

江ノ島「やるからには手加減しないわよ」




江ノ島「はいはーい!足元がお留守でーす!」

苗木「ああっ!」

江ノ島「‘‘負け''る奴は……‘‘苗木''と‘‘踊''っちまったんだよ……」

苗木「!?」

江ノ島「飛び蹴りの先制攻撃よ!」

苗木「ちょっと待っ……!」

江ノ島「拳が奏でる宇宙のカタストロフィ……」

苗木「スケールまでどデカイだとっ!?」






江ノ島「結局1勝どころか体力半分も削れなかったわね」

苗木「やっぱり江ノ島さんは強すぎるよ……。そんな才能があるならいっそ超高校級のゲーマーって名乗ったら?」

江ノ島「嫌よ、アタシはこの位置が気に入ってんの。オシャレもデートも気軽にできるこの位置がね」

苗木「そっか。でも確かにギャルをやってない江ノ島さんなんて想像できないもんな。ボクにとってはギャルの代表といったら江ノ島さんだし」

江ノ島「あら、人ってのは意外と仮面を被ってるもんよ。もしかしたらアタシも苗木が知らないもう一つの顔を持ってるかもしれないわよ」

苗木「どんな形であれ江ノ島さんは江ノ島さんだよ。ボクが知らない顔を持っていたらそこまで理解してあげるだけさ」

江ノ島「なかなか面白いことを言うのね。苗木、今度はあっちの方いってみない?」

苗木「あっちか……前に来た時はクレーンゲームしかやってなかったっけ。うん、行こうか」




江ノ島「これよこれ。やっぱ二人でゲームセンターに来たらプリクラやんなきゃね!」

苗木「プリクラって……。ボクこういうのやったこと無いんだけど……」

江ノ島「アタシに任せなさーい。やっぱカップル仕様よね、ハート散りばめてラブラブな感じにしてっと……」

苗木「なんだろう、すごくいい予感がしない」

江ノ島「準備完了!さ、苗木こっち来てー!」

苗木「大丈夫なの……?」

江ノ島「爆発するわけじゃないんだからそんな警戒しなくていいの!ほら、もっと密着密着!」

苗木「ちょっとさすがに顔近くない!?」

江ノ島「これくらいがちょうどいいの。そら、撮るわよー」




江ノ島「うんうん、いい出来。早速ケータイに貼ろうっと」

苗木「こ、これはなかなかにピンクというかなんというか……言葉にできない……」

江ノ島「苗木もどっかに貼り付けといてね。しかしこの超高校級のギャルとプリクラ撮れるなんて1年分の運をお布施に与えたようなもんよ」

苗木「ボクこれからどれだけ酷い目に合うのさ!?」

江ノ島「あ、頭のアンテナにプリクラ貼っといてあげる」

苗木「やめて!アンテナだけは勘弁して!」






江ノ島「いやー、面白かった!苗木ってばどんだけアンテナに貼られるの嫌なのよ」

苗木「いやこれ髪の毛だから!粘着系のものを貼られると洗うの面倒なの!」

江ノ島「ホント苗木といると飽きないわねー。最後はデパートでしょ?早く行きましょ!」

苗木「ちょっと江ノ島さん、ちゃんと前向いて歩かないと危険だって」

江ノ島「大丈夫!これくらい平気だっ……て?」コケッ

江ノ島「きゃっ……!」

苗木「危ない!江ノ島さん!」ダッ

江ノ島「……ッ!あれ……?」

苗木「大丈夫?江ノ島さん。ダメじゃないか、ちゃんと前向いて歩かなきゃ」

江ノ島「あ……。アタシは、大丈夫」

苗木「良かった、キミにケガが無くて」

江ノ島「あ、ありがと……」





葉隠「ふいー、参ったべ。まさか依頼者が借金取りだったなんてよ。しかも赤シャツ」

葉隠「ここまで逃げちまえば奴らも追ってこれねえはずだ。んお?ありゃ苗木っちか?こんな往来で江ノ島っちなんか抱いちまって大胆になったべ!」

葉隠「ったく、ちったあ周りの視線も気にして欲しいもんだ。ありゃ完全に自分たちの世界に入っちまってる。道ゆく人の視線に気づいてねえのか?」

デパート

苗木「じゃあボクは向こうで買い物を済ませてくるよ」

江ノ島「うん、じゃあアタシはこっちね。買い物が終わったらここに戻ってきてよ」

苗木「分かったよ。それじゃ」タッタッタッ





江ノ島(まだ体に苗木のぬくもりが残ってる)

江ノ島(普段はチビの癖に何故かああいう時だけ大きく見える)

江ノ島(とっても頼れる人。とっても優しい人)

江ノ島(だからみんなそこに惹かれていく。あの十神や霧切、お姉ちゃんですら友人として接することができる)

江ノ島(……アタシは?)

江ノ島(アタシは苗木に惹かれているの?アイツを一人の友人として見ることができるの?)

江ノ島(アイツはみんなの希望……。アタシはアタシだけの絶望……)

江ノ島(だからアタシとアイツは相容れない。希望を潰すのはいつだって絶望の役目。RPGで魔王が勇者を倒すが如くの規模でもいい、道端にいるアリを踏み潰す程度の規模でもいい)

江ノ島(アタシは苗木を潰す……!『真っ赤な絶望』とか関係ない、これはアタシだけの問題……)

江ノ島(その先にある物が絶望か虚無か……これだけはアタシにも分からない)

江ノ島(ここまで望みたくない絶望は初めて……。それだけ苗木の存在ってのは大きいのね)

江ノ島(さようなら……)





江ノ島「すみませーん!ここって包丁置いてますかー?」

江ノ島「あ、出来れば先っちょが鋭い奴でお願いしまーす!」

苗木「あ、江ノ島さん!買い物はすんだ?」

江ノ島「ええ、なんとかね」

苗木「この時間帯ならちょうどいいかな……。江ノ島さん、ちょっと来てほしい所があるんだ」

江ノ島「何よ、デパートで終わりじゃないの?」

苗木「そのデパートの屋上だよ」

屋上

江ノ島「誰もいない屋上に誘って何する気?ハッ、まさかアタシを襲う気なのね!キャー、苗木のケダモノー!」

苗木「そ、そんなことしないよ!……ここの屋上は夕方になると人がほとんどいなくなるんだ」

苗木「ここから見える夕日は最高でね、辛い時や悲しい時にはここの夕日を見て気分を落ち着かせているんだ。江ノ島さんにも見せたくてここに寄ったんだよ」

江ノ島「ふーん、まあ確かに綺麗よね。デートの終盤にはもってこいだわ」

苗木「江ノ島さん……。今だからこそボクはキミに伝えたいことがあるんだ」

江ノ島「…………」





苗木「江ノ島さん……。ボクはキミのことが好きなんだ!」





苗木「キミと過ごした日々でボクの気持ちはどんどんキミに傾いていった」

苗木「キミの笑顔や無邪気な姿はボクを楽しませてくれる!幸せな気持ちにしてくれるんだ!」

苗木「『真っ赤な絶望』が今日来ると聞いて心の整理をつけたかったんだ」

苗木「例えボクが絶望しても、この想いだけは届けなきゃいけないって……」

苗木「江ノ島さん……。どう、かな……」

江ノ島「…………」

江ノ島「うぷぷぷ……」

江ノ島「うぷぷぷぷぷぷ……ぶひゃひゃひゃひゃひゃ!」

苗木「江ノ島……さん……?」

江ノ島「ひー、ひー、笑いこらえんの疲れたわー。もう滑稽よ滑稽。とりあえず苗木、ごくろうさん」

苗木「え……?一体何が……」

江ノ島「あー、まだ自己紹介してなかったっけ?こんにちは?こんばんは?まあいいや、『超高校級の絶望』江ノ島盾子ちゃんでーす!」

苗木「絶望……?本当に何が起こってるんだよ……?」

江ノ島「ニブいなあ、ニブいニブい!アンタが今まで遊んでたギャルの盾子ちゃんは演技でー、ホントの正体はこのアタシ絶望の盾子ちゃんなのでしたー!」

苗木「演技……?嘘だ!そんなはずは……」

江ノ島「無いと言い切れないのがこの世界の怖いとこ!アタシはずーっと待ってたのよ、アンタが最高の絶望を味わえるポイントを!」

苗木「お前は一体何が目的なんだ!」

江ノ島「やあんこわいー。苗木ったらそんなにいきり立つ必要もないのよ?ちなみにアタシの目的はこの世の全てを絶望に飲み込むこと!それが産まれながら絶望という枷をはめられたアタシの宿命なの!」

苗木「絶望に飲み込む?そんなことをしてなんの意味があるんだよ!」

江ノ島「ないわ。なんの意味もない。ただアンタたちが食事をするように、呼吸をするように、ただの日常に絶望があるだけ。たったそれだけでいいの」

苗木「そんな考え狂っている……!」

江ノ島「そんな人を好きになっちゃった苗木って女を見る目ないわねー。ってやかましいわ!アタシはいつだって完璧で飽きっぽいちょっとお茶目な女の子なのよ!」

江ノ島「そこで聞くけどさー。こんなアタシをみてもアンタはまだアタシを好きになれるわけ?」

苗木「ボ、ボクは……」

江ノ島「いやいや無理しなくていいのよ?嫌いならはっきり嫌いって言っちゃいなよyou!楽になれるよ〜。まあアンタが好きになったのってアタシの演技の部分なんだけどね!うぷぷぷぷぷ」








苗木「それは違うよ!」






江ノ島「ハァ?何が違うって言うのかな〜。詳しく教えてもらおうかしら」

苗木「江ノ島さん……キミがボクに近づいたのはボクを絶望させるためなんだよね」

江ノ島「ええそうよ。『真っ赤な絶望』というワードに惹かれちゃってね。苗木と仲良くなれば『真っ赤な絶望』で苗木を失った時の絶望も大きくなる」

江ノ島「だからこそ『真っ赤な絶望』には期待してたんだけどね〜。諸事情でアタシ自ら鉄槌を下すことにしたの」

苗木「キミにとってこの5日間は作戦の一環でしかなかったという訳だよね」

江ノ島「……そうだけど。さっさとしなさいよ、アタシ絶望的に飽きっぽいんだから待ち時間によってはこの包丁が火をふくわよ」スチャ

苗木「……ボクには断言できる。キミの5日間の行動は決して演技ではなかったと!」

苗木「だからこそ改めて宣言してやる!ボクは江ノ島盾子が好きだ!キミに裏表なんか無いんだ!」

江ノ島「なっ……!分かってんのアンタ!?アタシは絶望!あれは演技!アンタは偽りのアタシしか見てきてないの!」

苗木「ボクが一緒に過ごした江ノ島さんは偽りなんかじゃない!笑った顔も、焦った顔も、幸せそうな顔も、全部!演技なんかで出来るわけがないんだ!」

苗木「ボクはキミを知っている!キミがボクを絶望させることなどできない!それはキミが心のどこかで希望を欲しているからだ!」

江ノ島「ふっ……ざけんなああああああああぁぁぁぁ!!アンタにアタシの何が分かるのよ!?アタシが絶望であることが分かんなかった癖に!アタシを理解した気になって!それでいて希望を望んでいる?絵空事もほどほどにしろよ!」

江ノ島「分からない癖に!理解できない癖に!やっぱりアンタは潰すべき人間なのよ!」

苗木「分からないのなら……理解できないのなら……そうするように努力するだけだ!ボクはキミの最高の理解者になれるようにそばに居たい!」

江ノ島「なんなのよ……なんなのよアンタは……!なんでそこまでしてアタシの隣に立とうとするの!?アタシの隣にいることに価値なんてあるの!?」

江ノ島「分からない……!アタシの完璧な頭脳を持ってしても分からない!」

苗木「分からないだろうね……。それがボクの『希望』だからだ!」

江ノ島「また『希望』……?絶望の隣に立つ希望がどこにいるってのよ!」

苗木「ここにいるよ……!江ノ島さん……ボクは……」

江ノ島「聞きたくない!聞きたくない!アンタなんか……何もかも全部……飲み込まれてしまえばいいんだ!」



苗木「全力でキミを止める!」


苗木「うおおおおおおおお!」ダダッ

江ノ島「絶望の中に……希望など必要ない!」

江ノ島(苗木が近づいてくる……。ただガムシャラに何も考えずにアタシに向かって)

苗木「これが……」

江ノ島「絶望の中に……生きる希望など存在しない!」

江ノ島(今ならまだ刺せる。所詮は素人の動き、アタシに敵うようなヤツじゃない)

苗木「ボクの……」

江ノ島「明日に向かって絶望しろおおおおおおぉぉぉぉ!!」

江ノ島(……でも、体が拒む。アタシの中に生まれたわずかながらの『希望』がこれを拒む)

苗木「答えだ!」ダキッ

江ノ島「…………ぐッ!」

江ノ島(ああ……。ようやく理解した。アタシの『希望』……)

江ノ島(アタシは……苗木のことが……)ドサッ





苗木「江ノ島さん……。ボクがキミの中で生きる『希望』になって……みせる……」









苗木「う、うーん……」

江ノ島「あ、苗木ー。目ェ覚めたー?」

苗木「あれ、ボクは何を……。ていうか何この状況!?」

江ノ島「やーねー、苗木ったらアタシに告白した後、一悶着起こして気を失っちゃったのよ。だからこうして膝枕してあげたってわけ!」

苗木「そっか……そうだったな、ボクは絶望と名乗る江ノ島さんを止めるために……」

苗木「……江ノ島さん。ありがとう」

江ノ島「もう聞き飽きたわその言葉。ここ数日間で何回言ってんのよ」

苗木「……でも、言わなきゃいけない気がしてさ。キミはボクが近づいてきた時、さっきまで気絶してた時まで刺すことはできたんだ。それをしなかったからだよ」

江ノ島「アタシって飽きっぽいから。まさか人を殺すこと(未遂)に飽きちゃうとは思わなかったわ」

苗木「ハハハ……。そういうことにしとこっか」

江ノ島「何よー。苗木にはアタシが刺さなかった他の理由があるって言いたいわけ?」

苗木「それは……告白の返事を聞いてからにしようかな」

江ノ島「何それ。アタシをおちょくってんの?」

苗木「ボクは江ノ島さんに気づかせたいだけだよ、江ノ島さんの本当の気持ちを」

江ノ島「なんか上から目線でムカつくー。いいわ教えてあげる、アタシの本当の気持ち」

江ノ島「目をつぶって……苗木」

スッ

苗木「…………!!」

江ノ島「ふふ、どうかしら苗木?この超高校級の……いや、たった一人の女子高生である江ノ島盾子ちゃんが一生アンタのそばにいてあげる!これにより苗木誠くんは一生不幸になるのでしたー!パチパチパチー!」

苗木「…………あ」

江ノ島「というわけでこれでアタシたちはめでたくカップル成立!ですがそんな中苗木くんは一つの不幸にあってしまうのでした!」

江ノ島「アタシはこれから帰りまーす!葉隠の占い外れちゃってざんねーん!というわけで苗木ー、まったあしたーっ!」

苗木「ちょっと江ノ島さん何を急に……。イテッ!せめて膝枕やめるタイミングは言って!」

江ノ島「バイビー!」タッタッタッ

苗木「いてて……。いくら何でも急すぎるよもう……」







江ノ島(……意外と恥ずかしいのね。キスって……)

江ノ島(苗木の顔見てるだけで恥ずかしくなってくるから思わず逃げ出しちまったよ!)

江ノ島(もう、せっかく希望絶望関係無しに苗木を好きになったのに〜!)

江ノ島「絶望的ィ!」






苗木(…………)

苗木(江ノ島さんは葉隠クンの占いが外れたと言ってた)

苗木(でも、ボクにはそうは思えない)

苗木(だってボクは見たんだ)





苗木(夕日をバックに照れて顔を真っ赤にした『江ノ島盾子』をね)





苗木「ボクもそろそろ帰るか……」

翌日・教室

苗木「ふあ〜あ。昨日はいろいろ大変だったなー。でも、もう『真っ赤な絶望』に怯える日々もこないし静かに過ごせそうだな」

江ノ島「誠ちゃ〜ん!今日の放課後空けといてねー!盾子ちゃんからの大切なオ・ネ・ガ・イ!」

苗木「いきなり静かじゃなくなったよ!ていうか何さ誠ちゃんって!?」

江ノ島「も〜、アタシたち付き合ってるんでしょ?だったら名前呼びだって普通よね?さあ呼んで!アタシを盾子ちゃんって呼んで!」

苗木「いや、さすがにここじゃちょっと……。こういうのって二人きりの時とかムードが大事なんじゃないの?」

江ノ島「ワーオ!みんな聞いた?誠からムードなんて言葉が出てくるんだもの!分かったわ!誠に免じて二人きりの時だけ名前呼びにしてあげる!」

苗木「江ノ島さん……。朝からテンション高いね……」

江ノ島「こうしないとアタシだってまだ恥ずかしくてしょうがないのよ……」ボソッ

苗木「なんか言った?」

江ノ島「【両親への挨拶はいつ行く?】って」

苗木「それだけは違うよ!」

江ノ島「じゃあ【子供は何人欲しいか】って」

苗木「それも違うよ!」

江ノ島「今日は【部屋】がいい?【保健室】がいい?それとも【体育館倉庫】?」

苗木「どれも違うよーーーっ!!」




こんな駄スレに付き合ってくれてありがとう
ただ苗ノ島を書きたかっただけなんだスレタイは正直適当に考えた
ケータイがいつ強制シャットダウンするかヒヤヒヤしながら書いたので誤字脱字などがあったらそういうことにしといてください
デレデレな盾子ちゃんも書きたいなと思いました

最後にホントにこんなスレ読んでくれてありがとうございます

html化してきます

乙なのさ

乙でした
にやにやさせてもらったわ
可愛い奴らめ


ニヤニヤが止まらなかった
苗ノ島もっと増えろ

乙ですぞ

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