高校3年の冬
In 学校
?教室?
クロエ「おっ」
クロエ「タケシタケシ!」
ちょんちょん
俺「どした」
クロエ「外!」
俺「そと?……うわー」
雪『よう…』
クロエ「雪!降ってマース!」
俺「ついに降ったか…」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1414517868
クロエ「タケシ、ターケーシー!」
椅子←ガタガタ
俺「元気だねクロエ。今度はどうしたの?」
クロエ「bonhomme de neige!つくりマショー!」
俺「ボノムドネージュ?なにそのカッコいい響き」
クロエ「あれ?知りマセンカ?」
俺「知らない」
クロエ「エト…。
onhomme de neige。人のカタチした人形のこと。
雪をかためて作ったモノデス」
俺「あぁ、雪だるまのことか」
クロエ「オー良かタ~。
ニホンにも似たようなモノあったデスネ」
俺「フランスにもあるんだな、雪だるま。
人間どこにいてもやることはだいたい一緒だなー」
クロエ「デスネー」
クロエ「タケシ!」
クロエ「ワタシ、雪だるま!作りタイ!」
俺「この雪の中を雪だるまか?…きついぞーきっと」
クロエ「でもきっとたのしいヨ?」
俺「でもなぁ…」
クロエ「ちょっとだけ!ちょっとだけでいいデスからー!」
俺「今日のクロエは無駄に元気ね」
クロエ「当然デス!
だって初雪デスヨ?今年サイショの雪はデスヨ!
テンション上がるの当然とゆーモノデス!」
俺「初雪言うても、これから毎週のように見ることになるんだぜ?
それに毎年見てるわけなんだし、別に盛り上がるほどのことでも…」
クロエ「は~。タケシは風情がないデスネ~」
クロエ「今降ってる雪は、今この時この瞬間にしか見れないんデスヨ?
せっかく四季のある国に生まれたのに、
1年にたった1回の季節を楽しもうとしないのはもったいないデス!」
俺「……まぁ、そうね」
クロエ「下におりてナニカ作りマショ?
きっと楽しいヨ?遊んでたら楽しくなるヨ?」
俺「………」
クロエ「……ダメ?」
俺「………」
俺「…ちょっとだけだからな」
クロエ「!(ぴょこんっ)
ありがとタケシ!それデハッ!」
スタッ!
俺「待て待て。今降ったばっかりだぞ。
さすがにまだ積もってないよ」
クロエ「あ。それもそカ」
俺「帰りに作ろうな」
クロエ「ハーイ!」
In 放課後
クロエ「タケシ、学校オワタ!」
俺「うむ」
クロエ「約束、覚えてル??」
俺「雪だるまな。ちゃんと覚えてるよ」
クロエ「さすがタケシ!
じゃ!はやく行きマショ!」
俺「ほいほい」
……
…
~昇降口~
俺「うわ、廊下ビショビショじゃん」
クロエ「昇降口の開いたドアから雪が吹き込んだみたいデスネー」
廊下『ツルツル』
俺「クロエ、滑りやすいから気をつけろよ」
クロエ「了解デス!」
スッテンコロリーン
ばたっ…
俺「………」
俺「フラグ回収早えぇ…」
クロエ「タ、タケシだいじょぶ!?」
俺「しかも転んだの俺だし…」
クロエ「た、立てマスカ?」
俺「ムリだ…」
クロエ「ええっ!打ち所悪カタデスカ!?」
俺「注意しておきながらその直後に自分で転ぶなんて…
しかもこんな公衆の面前…
俺にはもう立ち上がる気力なんて残ってねぇ…」
俺「自分が情けなくて…
立ち上がれねぇ…立ち上がれねぇよ…」
クロエ「せ、せんせー呼んできます!
タ、タケシはそこから動かないでっ!」
俺「え」
クロエ「せんせー!タケシが転んで怪我シマシター!
きゅ、きゅーきゅう車呼んでくだサーイっ!!」
俺「ま、まて!大事にするな!
立てる!立てるからほら!」
……
…
俺「お尻痛い…」
クロエ「タケシお尻だいじょぶ?マキロン使う?」
俺「マキロンはたぶんあんまり意味ないからいらない…」
クロエ「マキロンでも治せない怪我があるトハ…」
俺「マキロンは万能じゃないよ、クロエ」
俺「はぁー…それにしても…」
雪『…ようよう』
俺「降ってるねぇ…」
クロエ「デスネ!」
うきうき!うきうき!
クロエ「タケシ!雪たくさん積もってマス!」
俺「そうだねぇ」
うずうず!うずうず!
クロエ「タケシ!雪もほどよく水っぽい!
これなら雪かためやすいデスヨ!」
俺「そうだなぁ」
わくわく!わくわく!
クロエ「タケシ!タケシ!」
俺「よーしよしー、分かったから落ち着こうね」
クロエ(ぴたっ!)
俺「じゃあ作ろうか、雪だるま」
クロエ「ハイ!」
ざくざく、ざくざく…
ざくざく、ざくざく…
クロエ「ユキダルマ~ユキダルマ~♪」
ざくざく、ざくざく
俺「ふむ」
俺「クロエの言ってた雪だるまって、小さいやつのことだったのね」
ざくざく、ざくざく
俺「この大きさなら簡単だし楽でいいな」
クロエ「ハイ。あ、でも後で大きいのも作りますヨ?」
俺「あぁ、そっちの大変なやつも作るのね…」
ざくざく、ざくざく…
クロエ「あとアレも作りタイデスネ~。かま…ナントカ?」
俺「かまくら?」
クロエ「ソレソレ」
俺「雪だるまにかまくら…重労働やないか……」
……
…
ざくざく、ざくざく
クロエ「できた~」
俺「どれどれ」
クロエ「雪だるま!」
雪だるま(ちょこん)
俺「おぉ」
俺「小さくて可愛い」
クロエ「かわいい!」
俺「…よしっと、俺のも完成だ」
クロエ「オー!見せて見せて~」
俺「真打登場だぜ」
俺ダルマ(ドーン)
クロエ「オー……」
俺「どうどう?かわいい?」
クロエ「ハイ!」
クロエ「ドンマイですヨ!タケシ!」
俺「何が言いたいんだコラァ」
俺「適当な枝拾ってきた。これで顔作ろうぜ」
クロエ「いいデスネ~」
俺「どんな顔にするかなー」
じーーっ
俺「オードソックスに
ニッコリ笑顔なやつでいくか…ん?」
クロエ「………」
じーーっ
俺「さっきから、なんで俺の顔見つめてるの?」
クロエ「ワタシの雪だるま、タケシの顔にしてマス」
俺「……ほう。俺の顔、ね」
ざくざく、ざくざく
俺「枝だけで俺の精緻な顔が表現できるとは到底思えんがね。
まぁ、好きにするといいさ」
クロエ「できマシタ!」
俺「早いな」
クロエ「うーんこれは似てますネ~」
俺「どれどれ……って、おい!
枝三本しか使ってないじゃねーか!」
クロエ「目のところなんて特にクオリティ高いデスヨ」
俺「枝を横にピタッとくっつけただけじゃん!目細っ!
…くそ!俺もクロエの顔作ってやる!」
クロエ「望むところデース!」
俺「作るのは二十年後のクロエの姿。
いい感じに湾曲したこの枝を使って、細かいシワをリアルに表現する…」
クロエ「ええっ!それはなんかイヤ!やめてくだサイ!」
俺「適当な枝拾ってきた。これで顔作ろうぜ」
クロエ「いいデスネ~」
俺「どんな顔にするかなー」
じーーっ
俺「オードソックスに
ニッコリ笑顔なやつでいくか…ん?」
クロエ「………」
じーーっ
俺「さっきから、なんで俺の顔見つめてるの?」
クロエ「ワタシの雪だるま、タケシの顔にしてマス」
俺「……ほう。俺の顔、ね」
ざくざく、ざくざく
俺「枝だけで俺の精緻な顔が表現できるとは到底思えんがね。
まぁ、好きにするといいさ」
クロエ「できマシタ!」
俺「早いな」
クロエ「うーんこれは似てますネ~」
俺「どれどれ……って、おい!
枝三本しか使ってないじゃねーか!」
クロエ「目のところなんて特にクオリティ高いデスヨ」
俺「枝を横にピタッとくっつけただけじゃん!目細っ!
…くそ!俺もクロエの顔作ってやる!」
クロエ「望むところデース!」
俺「作るのは二十年後のクロエの姿。
いい感じに湾曲したこの枝を使って、細かいシワをリアルに表現する…」
クロエ「ええっ!それはなんかイヤ!やめてくだサイ!」
クロエ「タケシ、いいこと思いつきマシタ」
俺「ほう」
クロエ「ここの通りの両側、ぜーんぶこの子達で埋めつくしマショウ!
そしたらきっとスゴク可愛くなると思いマス!」
俺「たしかに。可愛くなりそうだな」
クロエ「おお!それなら…」
俺「だが断る!」
クロエ「エー!なんでデスカー」
俺「めんどくさいから。疲れるから。寒いから」
クロエ「うぅ…できたらキットみんな喜ぶのに…」
俺「まぁ、それを見た時のみんなのリアクションというのは、
ちょっと見てみたいよね」
クロエ「おおっ!!それならっ」
俺「……だが断る!」
クロエ「もー!何回やるデスカそれ!」
俺「ごめんごめん。もうやらないよ」
クロエ「クロエ、大きい雪だるま作りたいのデスケド…」
俺「あぁ…さっきもそんなこと言ってたな…」
クロエ「……これもダメですか?」
じーっ
俺「…手伝うからそんな目で俺を見ないでくれ」
クロエ「オー!タケシありがと~っ!」
俺「公園行こうぜ。
この辺の雪は溶けた水と泥で汚くなってるし」
クロエ「ハーイ」
……
…
俺「うぅ…さぶさぶ…」
手をスリスリ
クロエ「?タケシ手どうかしたデスカ?」
俺「いやー…さっきので手がかじかんじゃってな」
クロエ「そういえばタケシ手袋も何もしないで雪さわってマシタネ…
手、ちょっと見せてくだサイ」
俺「ほれ」
クロエ「うわータケシの手真っ赤…痛そー…」
俺「見た目ほどは痛くはないよ。大丈夫」
ぎゅっ
クロエ「ワタシの手袋で包んだら、
少しは暖かくなりマセンカ?」
俺「気持ちはありがたいが、
クロエの手袋もさっきので濡れちゃってるしなぁ…」
クロエ「そデスカ…」
俺「モフモフしてて気持ち良くはあるんだけどな」
クロエ「それじゃ意味ないデスネー…んー」
クロエ「こすったらあったかくなるカモ?」
俺「どうだろ」
ナデナデ
クロエ「なった?」
俺「なってない」
クロエ「まだ摩擦が足りないデスネ」
ナデナデナデナデナデナデッッ!
クロエ「おりゃー!」
俺「痛い痛い!やめたげてっ!」
クロエ「あれ?ごめんなさいデース」
ナデナデ
クロエ「クロエの手は、あったかいんデスケドネー…」
俺「中と外じゃ材質違うからなぁ」
ナデナデ
ぎゅっ
俺「………」
クロエ「撫でてもあんまり意味ないデスカー…うーん」
ぎゅーっ
クロエ「うーん…どうしたものデスカネ」
俺「………」
俺「あのクロエ。そろそろ手を離そうか」
ポンっ
クロエ「あ!いいコト思いつきマシタ」
クロエ「タケシ!右腕借りマスネ?」
俺「え、うん」
ぐいっ
ぎゅっ
俺「むふんっ!?」
クロエ「クロエのコートのポッケ、貸してあげマス!」
俺「………」
クロエ「どうデスカ?」
ぎゅーっ
クロエ(ニコニコ)
俺(顔ちけぇっ!)
クロエ「どうどう?あったかい??」ニコニコ
俺(顔ちけぇっっ!!!!(二度目))
俺「あ、あったかい…で、ござる」ボソボソ
クロエ「えへへー!そうでしょー!
このコートモフモフしててあったかいデショ~!」
俺「う、うん」
クロエ「実はこのコートはフランスにいた頃から使ってるデス!
モフモフであったかいから、ニホンくる時一緒に持ってキマシタ!
ちょーお気に入りなのデス!」
俺「へ、へ~そうなんだー…」
クロエ(ニコニコ)
俺(ちけぇ!)
俺「うん。いいコートだ。
いいコートなんだけどさ…もうちょっと距離をだな…」
ススッ…
クロエ「あっ。タケシ、
そんなに離れたら手がはみでちゃいマス」
グイッ
ぎゅっ
俺「ひゃん///」
俺(このままじゃいかんっ。はっきり言わないと)
クロエ「でもこの体勢じゃ2人で雪だるま作れマセンネ」
クロエ「素手で大きい雪ダルマ作るの大変デスシ…
やっぱりどこかでタケシの手袋を…」
俺「ク、クロエ!」
クロエ「はい?」
俺「こ、この距離はさすがにまずいと思わないか?」
クロエ「へ?キョリが不味い??何が美味しくないデスカ?」
俺「と、とりあえず一旦腕を離れよう」
クロエ「……???タケシがそう言うなら、離れますケド」
ススッ
クロエ「これでいいデスカ?」
俺「う、うん」
俺(自分で言っておいてなんだけど)
俺(離れられたら離れられたでなんかさみしいな)
俺「………」
クロエ「???」
クロエ「タケシの行動はたまによくわからナイ時ありマス」
俺「すんません」
クロエ「あ」
俺「ん?遠くを見つめてどうした?」
クロエ「タケシ、ちょっと待っててもらえマス?」
俺「えっ、うん。別にいいけど」
タッタッタッ…
俺「どこ行く気だろ」
自動販売機『ガチャコン!』
タッタッタッ…
俺(なんか買ってきたみたいだな…)
クロエ「タケシ!はいこれ」
俺「うん。ありがとう」
俺「………」
俺「で、これなに?」
クロエ「見た通りデス。おしるこデスヨ」
俺「なぜお汁粉…」
クロエ「おしるこ、あったかい!
これ持ってタラ、タケシあったかくナル思って」
俺「あぁ、なるほど」
クロエ「どうデスカ?」
ぬくぬく…
俺「うむ…存外あたたまるな。丁度いい暖かさだ」
クロエ「オー!良かタ~」
ぬくぬく…
俺「……ホントにあったかいな」
俺「ありがとな。色々気を使ってくれ」
クロエ「いえいえ。だいじょぶデスヨ~」
俺「ちょっと待ってろ。今お汁粉のお金を…」
クロエ「あ。そのお汁粉あとでクロエ飲みマスカラ、
ちゃんと返してくださいネ」
俺「あ…俺の手は飲むついでなのね」
~公園までの道すがら~
クロエ「タケシは手袋もマフラーも、コートもしないんデスネー」
俺「しない」
クロエ「寒くないデスカ?」
俺「寒いよ。超寒い」
クロエ「えっ。だったら何か着ればいいノニ」
俺「………だ、だって」モジモジ
クロエ「?」
俺「コ、コートって私服みたいじゃん。
クラスの女子にそういうとこ観られるのなんか恥ずかしいし…」
クロエ「…タケシ、思春期中学生みたいデス」
俺「う、うるせぇ」
クロエ「ん」
クロエ「アレ?」
俺「どうした?」
クロエ「タケシは女子に私服を見られるの恥ずかしいデスヨネ?」
俺「うん」
クロエ「でも…」
クロエ「ワタシがタケシの部屋に行く時、
タケシいつも私服デス。それは恥ずかしくならナイデスカ?」
俺「……ん?」
クロエ「ワタシ、女の子デスケド」
俺「……まぁ」
俺「クロエが相手なら……別に気にならないし?」
ピタッ
クロエ「それは、どユ意味デスカ」
俺「いや、深い意味はないんだ。深い意味は」
クロエ「そうデスカ」
俺「う、うん」
クロエ「………」
俺「………」
クロエ「………」
俺「………」
俺「…これは俺なりのツンデレリズムというか、なんというかだな。
とにかく違うんだ、クロエ」
クロエ「いきなりなんで言い訳してるデスカ、タケシ」
俺「俺が私服を見られても恥ずかしくならないのは
クロエは俺にとって空気のような存在というかだな、えっと」
クロエ「空気…デスカ」
俺「いや!空気というか酸素というか!
もはや生命維持においては必要不可欠な酸素のような存在というか…」
クロエ「…タケシの言ってるコト、よくわかりマセン。
クロエにもわかるように言ってホシーデス」
俺「それは……」
俺「………」
クロエ「……言わないデスカ?」
俺「えっと…」
クロエ「はぁ…もうイイデス。
タケシはそうやって一生ふざけていればイイデス」
スタスタ…
俺「あっ。ちょ、ちょっとっ」
スタスタ…
クロエ「………」
タケシ「………」
クロエ「タケシ」
俺「は、はい」
クロエ「コンビニ寄ってイイですか?」
俺「うっす。どうぞっす」
クロエ「その喋り方、やめてくだサイ」
俺「はい」
クロエ「敬語もダメ」
俺「……わかった」
~コンビ二~
店員「いらっしゃーあせぇー」
俺「………」
クロエ「………」
店員「いらっしゃーあせぇー」
俺「………」
俺(さっきまでは和気藹々としてたのに…)
俺(いきなり空気が重くなってしまった…)
俺「はぁ…」
俺(俺のせいだ…)
クロエ「………」
俺(そういえばクロエ、コンビ二で何買うつもりなんだろ)
ひょこっ←覗き込む音
俺(人参…雪だるまの鼻につかうのかな)
俺(他にも雪だるまの装飾を色々と買ってるみたいだな…)
俺(………)
俺(この空気のまま雪だるま作りするのは…嫌だな…)
俺(せっかく遊んでるのにもったいない…)
俺(どげんかせんといかんな…)
~公園~
俺(そして何もできないまま公園に…)
ざくざく…ざくざく…
クロエ「………」
俺(なんとか謝るきっかけを作らないと…)
俺「……雪玉作ってるんだよな?俺も手伝うよ」
クロエ「ダメです」
俺(ガハァッ…!)
俺「…そうか、すまん」
ざくざく、ざくざく
俺「………」
クロエ「………」
俺(ど、どうしよう…どうやって仲直りしよう…)
クロエ「その手じゃ手伝わせまセン」
袋(がさごそ)
クロエ「これ着けてから、手伝ってくだサイ」
俺「これは…軍手?」
俺「これ雪だるまの装飾に使うんじゃなかったのか?」
クロエ「え?違いマスヨ」
クロエ「タケシのために買ったデス」
俺「そうだったのか」
クロエ「一枚じゃ薄いデス。
二枚買ってあるので重ねて使ってくだサイ」
俺「う、うん」
俺「……おぉ。意外とあったかい…」
クロエ「だいじょぶソウ?」
俺「大丈夫だ」
クロエ「よかったデス」
俺「………」
クロエ「………」
クロエ「さっきは…ごめんなさいデシタ」
俺「いや、悪いのは」
クロエ「いいえ。ワタシが悪いデス。」
俺「でも」
クロエ「…最近ワタシ、タケシの気持ちがよくわからないコトがよくあって…」
クロエ「それがワタシ、たまらなく嫌で…」
俺「………」
クロエ「さっきもタケシが何考えてるかよくわからナクテ、
すごくイライラしました。
だから、一人で勝手に怒ってしまいマシタ。」
クロエ「ごめんなサイ」
俺「………」
ざくざく、ざくざく
俺「さっきのはどう考えても俺が悪かった」
俺「すまん」
クロエ「そんな…」
俺「はっきり気持ちを言葉にするのが恥ずかしくてさ、
クロエが察してくれることを強要してた」
俺「ごめん」
クロエ「………」
ざくざく、ざくざく
俺「私服を見られてもクロエ相手だと恥ずかしくならないのはさ、」
俺「クロエなら俺がどんなに恥ずかしいことをしても、
どんだけ恥ずかしい格好してても、
笑って受け止めてくれるって俺が勝手に信頼してるから、勝手に期待してるからなんだ」
俺「その…クロエがどうでもいいとか、女として見てないからだとか、
そういうことでは絶対にないよ」
クロエ「………」
俺「………」
クロエ「………」
俺(あ、あれ?)
俺「……と、という感じなんだけど…ど、どうですかね」
クロエ「………」
クロエ「タケシは…」
俺「うん」
クロエ「………」
クロエ「あ」
俺「?」
クロエ「危ない」
俺「へ?」
どすんっ
俺「ごぶふっ!」
………
……
…
クロエ「雪だるま作ってるデスカ?大きいデスネ~」
ショタ「へへっ、学校から2人で転がしてきたんだぜー!」
女の子(コクン、コクン)
クロエ「二人ともスゴいですね!」
ショタ「へへっ」
女の子「////」
クロエ「これがニホンの雪だるまデスカ~。
頭は一つだけですけどお腹はどの辺りになるデスカ?」
ショタ「まだ完成じゃないよ!
これの上にもう一つ大きいやつを乗っけて完成だよ!」
女の子(コクン、コクン)
クロエ「なるほどー。
ワタシの知ってるのはもっと細長い感じなんですけど、
ニホンのとはちょっと違うデスネ~」
俺「………」
クロエ「あれ?それじゃあもう一つの雪玉はどこにあるデスカ?」
ショタ「これから作る!」
女の子「ま、まだつくってないの」
クロエ「オー!それならワタシ達の雪玉使いマショー!」
ショタ「お姉ちゃんの雪玉?
てなもまだ全然ちっちゃいじゃん。もっと大きくしないと!」
クロエ「それテハ、みんなで大きくしマショウ!」
ショタ「仕方ないなー。手伝ってやるよー」
女の子(コクンコクン!)
クロエ「タケシもそれでイイですよネ?」
俺「ん?あぁ、うん。いいんじゃないか?」
クロエ「ハイ!」ニコニコ
俺「………」
俺(どうして、こうなった…)
~回想~
クロエ「あ。危ない」
俺「へ?ぶふぉっ!?」
ドーンっ
ショタ「うおっ!!」
女の子「キャッ…」
俺「ぎゃー!首から雪入って冷めてええええ!
だれだこんなことしたのはァっ!」
ショタ「ご、ごめんなさい!雪玉転がしてて前が見えなくて…」
女の子「……ぶ、ぶつかってごめんなさい」ブルブル
俺「おや…」
クロエ「オー!もしかしてソレ、雪玉作ってるデスカ?」
………
……
…
俺「そして現在にいたる…」
ショタ「タケシ?なに独り言言ってんだ?」
俺「なんでもないよ。癖なんだ」
ショタ「ふーん。変なの」
俺「そして向こうの方では…」
……
…
クロエ「へぇ~あの男の子とは幼馴染なんデスカ~。いいデスネ~」
女の子「学校も、いつも一緒に行ってるの」
クロエ「仲良しさんナンデスネ!素晴らシイ!」
女の子(////)
…
……
俺「そして何故か俺はショタっ子とペア組んでるなう…」
ショタ「タケシ?さっきからちょっと変だぞ?
打ち所おかしかったか?」
俺「うるせーなんでもねーよー」
ショタ「?変なの」
ゴロゴロ…
俺「あ!待てショタっ子!」
ショタ「?」
俺「その先は泥だ!すたあああっぷううう!!」
ショタ「うわっ!やべっ!」
俺「ふんぬううつうっ!!」
キキキキーッ
ショタ「うお……ギリギリ…タケシGJ!」
俺「うーむ、この辺は泥で危ないな。
Uターンするぞ!」
ショタ「わかったー!」
ショタ「うぅ、手つめてー」
俺「あれ?少年ももしかして手袋つけない派?」
ショタ「いや、忘れただけ」
俺「なら俺の軍手を貸してやろう」
ショタ「いいの?」
俺「背に腹はかえられん。
二枚重ねだから安心して使ってくれ。ほれ」
ショタ「おぉ、ありがと」
俺「大事な軍手だから大切に扱えよ」
ショタ「………」
俺「どうした」
ショタ「外側の軍手じゃ濡れてるじゃん。
内側のちょうだいよー」
俺「これだからゆとりは…最近のゆとりは礼儀がなってないぜ」
ショタ「タケシだってゆとりじゃん。」
俺「あ、そういえばそうなるのか。」
ショタ「ていうかオレは一年間しかゆとり教育受けてないけど、
タケシは小中ずっとゆとり教育でしょ?
オレよりよっぽどゆとりになるんじゃない?」
俺「ぐぬぬ……正論…」
(お兄さん…小学生にいい負けてる…)
(見ちゃダメデス。ゆとりが移りマスヨ)
(ハーイ)
俺「どこかで酷いディスを受けてる気がするけど
多分気のせい…気のせい…」
クロエ「ヨシ!頭はこれくらいでいいデスカネ」
女の子(コクンコクン!)
クロエ「タケシー!そろそろ…あれ?」
ショタ「タケシー、
さっき言ってた不意打ちゴローニャくれよー」
俺「やらん。
俺の猫耳ゴロニャンは俺だけのものだ。自分で育てな」
ショタ「ヘドロウェーブゲンガーあげるからさー」
俺「この前配布されたやつだろ?あれはすでにもってるしな。
コツ教えてあげるから自分で頑張りなさい」
ショタ「えーケチー」
クロエ「なんかメチャクチャ馴染んでますね…」
俺「ん?どうしたクロエ」
クロエ「そろそろそっちの雪玉と合体させマセンカ?」
俺「うむ。そうだな」
せーのっ
ふんっ!
ゴゴゴ…
ゴゴゴ…
ズドン!
よし!
オー!
わお!
クロエ「完成~デース!」
パチパチ!
俺「コンビニで買った装飾のおかげで見栄えかなりいいなー」
クロエ「デスネ~」
ショタ「すげー!いつも作ってるやつより全然かっけー!」
女の子(コクンコクン!)
クロエ「ふふっ、あの子たちも喜んでるみたいで良かっタデス」
俺「そうだな」
ショタ「ツイッターにあげとこ」パシャッ
女の子「わ、わたしも」パシャッ
俺「おぉ…現代っ子…」
女の子「あっ」
女の子「ソウタくんっ、ソウタくんっ」
ショタ「ん?どうした?」
ゴニョゴニョ
ショタ「は?時間過ぎてるって?」
ショタ「…うわ!もうこんな時間かよ!」
女の子「はやく帰らないと…ママに怒られる…」
ショタ「門限オーバーしてんじゃん!母ちゃんカンカンだよ!
サキ!はやくウチに帰るぞ!」
女の子「う、うん」
俺「おー帰るのか?」
ショタ「うん!急にごめんな!」
クロエ「サキちゃん、気をつけて帰るデスヨ~」ナデナデ
女の子「うん。クロエお姉ちゃん、また遊んでね」ニコニコ
クロエ「………」
クロエ「もちろんデス!また遊びマショウ!」
ショタ「それじゃー、タケシ!お姉ちゃん!またなー!」
女の子「またね」(小さく手を振り振り
俺「おーまたなー」
クロエ「またねデース!」
………
………
俺「あっという間に過ぎ去って行ったなぁ…あの二人」
クロエ「そうデスネー…」
俺「………」
クロエ「………」
俺「なんかいきなり淋しくなっちゃったな」
クロエ「あはは、たしカニ」
俺「そういや、あの二人って兄妹だったんだね。
てっきり幼なじみかなんかだと思ってたわ」
クロエ「え?サキちゃんは幼馴染って言ってましたヨ?」
俺「そうなの?
でも、さっきの会話聞いた感じだと兄妹っぽくなかった?」
クロエ「たしカニ言われてみれば…どっちなんデスカネ」
俺「きっとギャルゲーみたいな複雑な背景があるに違いない」
俺「今度本人に聞いてみようぜ」
クロエ「今度…会えますかね。
住所も電話番号もわかりマセンガ…」
俺「………」
俺「またねって言われちゃったからな。
多分あれ、また会えることを疑いもせず完全に信じ切ってる目だぜ」
クロエ「……そうでしょうネ」
俺「そんなこと言われたらさ、やっぱ年上としては
約束を守らない訳にはいかないよ」
クロエ「ふふっ、デスネ!
なんとしても再会しなくテハ!」
俺「うむ。
まぁ、明日夕方公園うろついてればそのうち来るだろ
不意打ちゴローニャ育てるの手伝ってやらないとな」
ざくざく
俺「ん?何作ってるの?」
クロエ「雪だるま一人じゃさみしいと思って子供作ってるデス」
俺「ふむ」
ざくざく、ざくざく
俺「俺も手伝おう。」
クロエ「オ~ありがとデース」
ざくざく
親だるま(どーん)
子だるま(ちょこん)
俺「子供はいるのに嫁さんはいないんだな、こいつ」
クロエ「この小さい雪だるまをお嫁さんにしまスカ?」
俺「それただのロリコンや」
クロエ「あ、そうなっちゃいマスネ」
俺「だがそれもまた良し!!」
クロエ「いや、ダメですよ。犯罪デス」
俺「はい」
俺「………」
クロエ「………」
ざくざく、ざくざく…
夕暮れ『よーう……』
俺(暮れてきたなー…そろそろ帰るかー)
クロエ「タケシは……」
俺「え?うん。なんだ」
クロエ「タケシは高校卒業したら進学でしたヨネ」
俺「うん。都内の大学にな。
クロエも都内の大学に進学だったよな?」
ざくざく、ざくざく
クロエ「………」
俺「……あれ?違ったっけ?」
クロエ「い、いえ、ニホンの大学も受験しますヨ。」
俺「だよな。良かったー」
クロエ「でも…」
クロエ「第一志望は違いマス」
俺「えっ」
クロエ「第一志望はワタシの国の大学デス」
俺「………それは」
クロエ「………」
俺「…その話は、聞いてなかったな」
クロエ「言ってませんでしたから」
俺「………」
ざくざく、ざくざく
俺「まぁ、考えてみれば、
クロエは留学生なわけだし当然フランスの大学も射程範囲になるわなそりゃ」
俺「そうか。フランスかー。
ちなみに片道どれくらいかかるの?」
クロエ「12時間デス」
俺「………」
俺「遠いな…」
………
……
…
クロエ「あー」
クロエ「このままずーっと、冬が続いたらいいのにナー」
俺「ずっと冬はちょっとやだな。寒いし」
クロエ「そデスカ?ワタシはそっちの方がいいデスケドネ」
俺「ふーん」
クロエ「………」
クロエ「ワタシはずーっとこのままがイイデス」
クロエ「変わらずにいられるなら、ずっとこのままがイイデス」
俺「………」
ざくざく、ざくざく
クロエ「あはは…すみません、
ちょっと感傷的になってマスネ、ワタシ」
クロエ「ワタシがニホンで見られる雪は、
今年が最後かもしれないと思ったら、」
クロエ「なんだかデスネ」
クロエ「なんだか……」
クロエ「………」
俺「………」
俺「ずーっと冬ってのは無理だろうな。現実的に考えて」
クロエ「…デスネー」
俺「でも冬は毎年くるぞ。雪だって毎年鬱陶しいくらい降る。」
クロエ「はぁ」
俺「五年十年経っても、きっとそれは変わらない。
こんな風にさ、変わるものはあっても、
変わらないものって案外あるもんだと思うんだよね」
クロエ「………」
俺「これから俺たちの周りは色んなコトが変わっていくと思う。
それでも、変わらないものも必ずあるはずだ」
クロエ「変わらないもの、デスカ。
たしかに雪は毎年変わらずに降り続けマス。
…でも、雪と人の心は違いマスヨ。」
クロエ「人の気持ちなんてきっと簡単に変わってしまう。
会えない時間が続けば、人なんて
どんな思い出でもあっさり忘れてしまうものデス」
クロエ「タケシにとってのワタシが…
いつか、昔仲の良かった人になってしまうのは
スゴク、悲しい」
クロエ「………」
俺「だったら単純じゃん。
そうならないように会い続ければいいだけだよ」
クロエ「でも…」
俺「フランスなんて飛行機でたった12時間でいける場所だろ?
そんなもんどうとでもなるよ。」
俺「また一緒に雪ダルマ作ろうぜ。
今度はフランスで三段腹の雪だるまだ」
クロエ「………」
クロエ「でも問題はたくさんあります。
お金とか時間とか…」
俺「まぁ、色々問題が起こるかもしれないけどさ。」
俺「その時は俺が留学生になってそっちに行くし、
フランスの支店に出向させてもらえるような会社に就職してフランスに住んでもいい
いくらでも手はあるよ」
クロエ「…タケシ、それもしかしてプロポーズ?」
俺「は?どこが?」
クロエ「………」
俺「これから先、
何があるかなんてさっぱりわからないけど、
クロエに会いたいっていう気持ちだけは、
十年二十年経っても変わらない自信がある。
俺はただ、この気持ちに素直に従って行動するだけだよ」
クロエ「………」
クロエ「タケシって」
俺「うん?」
クロエ「ワタシのこと、好きなんデスカ?」
俺「いまそれを聞くのか…」
クロエ「どうなんデスカ?」
俺「………」
俺「………」
俺「………」
俺「……べ、別に。フツーだし…」
クロエ「………」じとーっ
俺「ま、まぁー。強いていうなら、
親友以上好きな人以下くらいかな」
クロエ「未満じゃなくて以下なんデスネ」
俺「え?なんだって?」
クロエ「以下の定義だと好きな人の可能性も
」
俺「え?なんだって?」
クロエ「………」
クロエ「………まぁ、今日のところはそれでデス」
クロエ「タケシ、ありがと」
俺「…おう」
俺「うわー、もう辺り真っ暗じゃん。
早く帰ろうぜ」
クロエ「あ!待ってくだサイ」
俺「うん?」
クロエ「………」じー…
俺「なにしてんの」
クロエ「…この雪景色を、頭の中に焼き付けておきたいデス」
俺「今週一杯は雪振るらしいぞ?明日やればよくね?」
クロエ(イラっ!)
クロエ「モー!タケシは黙っててくだサイ!気が散りマス!」
俺「ええっ、そんな怒ることないじゃんか」
クロエ「………」
クロエ「もしかしたら来年は、
この雪を見れないかもしれマセンカラ。
見れる時にしっかり見ておきたいんデス」
俺「あ、でもクロエがフランスの大学落ちたら来年も見れるぞ」
クロエ「冬の受験生に言う言葉デスカソレ…」
俺「ぶっちゃけ落ちてくれると超嬉しい。
つーかむしろ落ちろ。
多分俺今年は浪人するから一緒に浪人しようぜ」
クロエ「むちゃくちゃ言ってマスネ…」
俺「それでさ、
もし俺もクロエも浪人したら、
どっか部屋借りて一緒に浪人ルームシェアしようよ」
クロエ「タケシと2人で?」
俺「うん」
クロエ「それは…魅力的な提案デスネ」
俺「部屋でさ、コタツに入ってダラダラ2人で勉強しようよ」
クロエ「勉強できマスカネそれ」
俺「たぶん無理だろうな」
クロエ「コタツでミカンばっかり食べてそうデス」
俺「たしかに」
クロエ「ふふっ」
………
……
…
そして2人はなんやかんやで浪人。
その後、浪人生・予備校生向けの寮に入寮。
そこでタケシ達は予備校の先輩、ヤマモトと運命的な出会いを果たしたのであった…
おしまい
※ このSSシリーズは時系列がバラバラです。
時系列順に並べると、
【高校編】
「ニッポンの夕焼けキレイですネ~」
↓
「クロエってレズなの?」
↓
今作
【浪人生編】
「お煎餅おかわりー」
↓
「遊びキマシター」
タケシ年表
【高校編】
高校二年
タケシとクロエが初めて出会う
↓
高校三年
大学落ちて浪人
【浪人編】
タケシ、クロエは同じ予備校に入る。
タケシは一人の時間を作りたいからと言って駄々をこね、
予備校の寮に入寮。
経済的に負担をかけ過ぎてるのを気にして、週1、2でバイトを入れるタケシ。
典型的な二浪三浪パターン突入。
クロエは近所の別の女子寮に入る。
タケシの部屋に入り浸る
その後、
クロエは現役生向けの予備校の夏期講習で心実ちゃんと再会、
以後、心実とはそれをきっかけにまた交友が始まる
【大学生編】
結局、フランスの大学を蹴って
日本の大学に入学するクロエ。
タケシもなんとか大学に合格。
なんとなーくな関係のまま、同棲を始める二人。
タケシとクロエのただれた生活が始まる
タケシ乙
これからも嫁とのダラダラした日常を書いて行きたかったのですが、
それは頭の中だけに留めておくことにしました。
深夜で誰もいませんが、
タケシリーズ~クロエといっしょ!~は人知れず終わります。
ありがとうございました
たけクロシリーズ終わりなん?
さとうたけしって本名?
たけし乙
タケシ乙
クロエもタケシも可愛かったし、楽しかったわww
乙
最近このシリーズの更新が密かな楽しみだったから残念
違うので良いからまた書いてな
数少ない俺で面白いssだった
大好きだったよ寂しいな
おつかれさま
おつかれさま
しかし大学生編も見たかった
タケシ乙
お疲れ様、ヤマモトみたかったよ心実ちゃんももっと絡んだ話読みたかったな
タケシ乙
しかし時空列そうなってたのか
てっきり寮制の高校かと思ってた
初めて見たが面白かった。タケシ乙
名作
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません