横山奈緒「せやかて周防!」【ミリマスSS】 (60)

周防桃子「えっ?」

天海春香「あー! 奈緒ちゃんまた周防って言ってるー!」

奈緒「あ、イヤ、今のは…………せや、吸おう! 乳吸おか言うたんや!」

桃子「はぁ?」

春香「えー……ホントに?」

奈緒「ホンマやホンマ、周お……桃子、最近乳が育たんくて困っとるらしいからのォ……」

桃子「……ちょっと、何言ってんの?」

春香「なーんか怪しいなぁ……のり子ちゃん、どう思う?」

福田のり子「うーん……吸っても意味ないんじゃない?」

春香「そっち?」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1413375642

ガチャッ


松田亜利沙「出来たぞ桃子! 新しい発明品じゃ!」

桃子「何? 今日のこの感じ何なの?」

亜利沙「『ターボエンジン付きローラースケート』。犯人の追跡に便利じゃ!」

桃子「ターボ……はぁ!?」

亜利沙「ヘルメットも渡しておくぞ。公道を走るときは気をつけてくれ」

桃子「え、何それ」

亜利沙「あ、『ダンス力増強シューズ』も調整しておいたぞい」

桃子「それは普通のダンスシューズじゃないの?」

亜利沙「それから春香くん。頼まれたもの、作っておいたぞい」

春香「わっ、本当ですか!?」

亜利沙「『リボン型発信器』。確かに作動するはずじゃ」

春香「ありがとうございますっ! 早速着けますね!」

亜利沙「ほっほ、くれぐれも悪用するんじゃないぞ~!」

のり子「博士ー、うな重はないの?」

奈緒「そら発明やのうて料理や、出前でも取り」

桃子「……」



ガチャッ


P「おっ、みんな来てるな」

桃子「何やってんの、遅刻だよ?」

P「すまん、ちょっと営業先から電話があってな」

奈緒「私らのレッスン見ててええんか? 忙しいんとちゃう?」

P「んー、全体練習だからな……任せっきりは不安だし」

のり子「あはは、春香だと頼りないってさ」

春香「むー……」

P「ほら、早く行くぞ皆! 時間ちょっと押してるんだからな!」ガチャッ

春香「誰のせいですか! もう!」



亜利沙「桃子、他の発明品も渡しておくぞい」ガシャッ

桃子「……」

亜利沙「くれぐれも悪よ」

桃子「うるさいな!」

ブロロロロ…


奈緒「なあ、のり子はどこ行ったん?」

P「バイクで直接行くってさ」

奈緒「ほー……自由なやっちゃ」


春香「桃子ちゃん、酔い止め飲む?」

桃子「……いらない」

春香「そっか」

桃子「……」

奈緒「どうした周防、元気ないやん」

春香「周防?」ピクッ

奈緒「あーいや、なんでもないで、はは……」

桃子「……」


桃子(皆の様子が、おかしい)

桃子(奈緒さんの口調とか、なんかキャラが皆変になってるし)

桃子(亜利沙さんに至っては完全に別のキャラになってるし……)


桃子「……」ゴソゴソ


桃子(シューズとか『リストバンド型変声器』、ここまではまだ分かるよ? いや、おかしいけどさ)

桃子(『サイリウム型麻酔銃』って何? なんでわざわざ三色揃ってるの?)

桃子(『DRバッジ』なんてもうパクリのパクリじゃん……)


桃子「……」


桃子(Detective Ricotta――ね)



――――

――

――回想――


桃子「ふぁあぁ……」

P「お疲れ、桃子。車で寝てていいぞ、毛布あるから」

桃子「…………別に、眠くないし」

P「今の欠伸は何だったんだ……」

桃子「それに、やらなきゃいけないこともあるしね」

P「宿題か? 算数なら教えられるぞ」

桃子「違うよ……」スッスッ

P「……なんだ? その動画」

桃子「レッスンの様子。亜利沙さんに撮ってもらってたの」

P「ほー……それで、桃子がアドバイスするわけだ」

桃子「まぁ、そうだね」

P「……」

P「……でも、別に今やらなくてもいいんじゃないか? 休むときは休むのも大事だぞ」

桃子「桃子がやんなくちゃいけないの。時間無いんだから」

P「そうは言ってもだな……」

桃子「いい? リコッタのメンバーの中で、桃子が一番先輩なの。経験があるの」

P「……」

桃子「だから、桃子が指導役なワケ。わかる?」

P「……桃子は大人だなあ」

桃子「何それ、皮肉?」

P「言葉通りの意味だよ。見た目は子供、頭脳は大人」

桃子「……何それ、コナン?」

P「コナンに少年探偵団っているだろ?」

桃子「……何の話?」

P「あれだって、別にコナンのワンマンチームってわけじゃない。皆で協力してやってるんだ」

桃子「……」

P「リコッタだって同じだよ」

桃子「……」

P「何も、自分1人で全部やることはない。動画観てアドバイスするなら、俺に頼んだっていい」

桃子「……」

P「皆が桃子を頼ってるように、桃子も皆を頼っていいんだ。それが――」

桃子「……」ガクッ

P「寝てるし」




P「…………ふむ」


――

――――

桃子(絶対あれだ……あれが原因としか考えられない……)

桃子(悪ふざけにしては凝りすぎてるし……ドッキリ?)

桃子(お兄ちゃんが『コナン擬似体験ドッキリ』みたいな謎の企画を通してきた……のかな)

桃子(……というか、何のドッキリ?)



P「もうすぐ着くぞー。春香、亜利沙を起こしてくれ」

春香「はーい」

奈緒「おっ、のり子もう着いとるやんけ!」

P「早っ!」



桃子「……」

桃子(……まぁ、あの発明品とか、かなり予算掛かってそうだし)

桃子(あんまり白けた態度で企画をフイにしちゃっても、お兄ちゃんが可哀想だよね)


桃子(――いいよ、お兄ちゃん。このドッキリ……カンペキに引っかかってあげる)

春香「この前は発声したから、今日は一回ダンスだけで通してみよっか。桃子ちゃん、いい?」

桃子「うん、いいよ」

春香「プロデューサーさん、拍取ってもらってもいいですか?」

P「分かった」




P「1、2、3、4、5、6、7、8!」パンパン

桃子「……」タンッタンッ

亜利沙「……わわっ!?」ドシャァ

奈緒「亜利沙!?」

春香「ちょっ、大丈夫!?」

亜利沙「あ、ハイ大丈夫で……ですじゃ」

桃子(キャラ作りも大変だね……)

桃子「亜利沙さん、ズレてる。ズレた状態で無理にやるから転ぶんだよ。落ち着いて」

亜利沙「う、は、ハイ……」

P「軽く捻っただけだから問題無さそうだけど、大事をとって少し休むか」プシュー

亜利沙「はい……」

のり子「亜利沙、ドンマイドンマイ!」

桃子「のり子さんは力入れすぎ。あれじゃ、本番でバテるよ」

のり子「うぐっ……」

桃子「奈緒さんも。歌いながら踊るってことを意識して」

奈緒「せやな……サンキュ、周防」

春香「わ、私は?」

桃子「春香さん……は、大丈夫」

桃子「……」

桃子(そういえば……ダンス力増強シューズって、どんな感じなんだろう)

桃子(ただの軽い靴だと思うけど……)ゴソゴソ

桃子(……スイッチがある)

桃子(使うべきなのかな……ドッキリ的には……)



春香「じゃあ、今のところから再開しよっか」

桃子(ここは、周りの目を気にしながら……とりあえず中で……)カチッ バチバチバチバチ

P「1、2、3、4!」パンパン

桃子「……」ダァン!!!

奈緒「周防!?」

桃子「!?!???」ゴォォォッ

P「桃子ッ!」ガシッ

桃子「え? え!? ……えぇ???」

P「落ち着け桃子、張り切りすぎだ」

桃子(確か今、ちょっとサイドステップ踏んだだけなような……)

奈緒「周防、お前エラい勢いでぶっ飛んでったで……」

春香「だ、大丈夫?」

桃子「う、うん……?」


のり子「えげつないね、ダンス力増強シューズ」

亜利沙「すまん桃子、出力の調整を間違ったかもしれん」

桃子「ダンスっていうかアクションの域だよ、亜利沙さん……」

亜利沙「また調整しておこう。それと、アリサ博士と呼んでくれんか」

桃子「……」

支援だよ

>>1
周防桃子(11) Vi
http://i.imgur.com/sK9sCTz.jpg
http://i.imgur.com/P8INy0g.jpg

天海春香(17) Vo
http://i.imgur.com/wOjuL97.jpg
http://i.imgur.com/lHq3q9B.jpg

横山奈緒(17) Da
http://i.imgur.com/yAc5iVA.jpg
http://i.imgur.com/vAkxAxm.jpg

福田のり子(18) Da
http://i.imgur.com/1yDbD9i.jpg
http://i.imgur.com/X25r2vv.jpg

>>2
松田亜利沙(16) Vo
http://i.imgur.com/E2sqAec.jpg
http://i.imgur.com/lfuaoiB.jpg

春香「えっと、色々ゴチャゴチャしたし、そろそろお昼だから……一旦休もっか」

桃子「え? さっき始めたばっかじゃ……」

春香「この後ずっとレッスンでしょ? まだ長いし、一旦気持ちを切り換えた方がいいかなって」

桃子「……わかった」

のり子「あ! アタシ、うな重の出前取っていい? 全員分!」

奈緒「なんで全員やねん! レッスン中にうな重要らんやろがい!」

P「あ、じゃあ俺の分も頼む」

春香「あ、私の分も!」

奈緒「要るんかい!」

桃子(のり子さん……元太?)

亜利沙「桃子、再調整が済んだぞい」

桃子「……」

亜利沙「威力を最強まで上げなければ、さっきみたいに吹っ飛ぶこともないはずじゃ」

桃子「……ねぇ」

亜利沙「む?」

桃子「もしかして、他の発明品にも何かデメリットがあったりするの?」

亜利沙「……」



ピーンポーン

のり子「あ、来た! 取ってくるね!」ダッ

春香「のり子ちゃん、素早いね……」

P「うな重も届くの早いな……」

亜利沙「デメリット……ふむ、無いと思うがのぉ」

桃子「さっきのはデメリットだと思うんだけど……」

亜利沙「あれは仕様じゃな……仕様というと、ワシの発明品は単二電池で動くものが多いぞ」

奈緒「なんでよりによって単二やねん、懐中電灯とちゃうねんで」

桃子「サイリウムはボタン電池じゃないの?」

亜利沙「単五じゃ」

奈緒「そんなんばっかやな!」

桃子(っていうか、一人称ワシなんだ)


P「……」

桃子「……」チラッ

桃子(お兄ちゃんの表情が、読めない)

桃子(……まぁ、どうせ撮れ高とか考えてるんだろうけど)


P「……」


桃子(奈緒さんたちのキャラの豹変にビックリ、謎の発明品にビックリ)

桃子(ここまでは順調のはず……次はどう来るの?)

桃子「……」


春香「……ねぇ、のり子ちゃん遅くない?」

奈緒「セールスやったんちゃうか? うなぎ屋やのうて」

春香「私、ちょっと見てくるね!」

奈緒「あっ、おい、春香!」

桃子(待って……このドッキリが、桃子をコナンの世界観に巻き込むものだとしたら)

桃子(次に起こるのは……!)



「きゃあああああああああああ!!!!!!」



奈緒「!?」

P「今の声は……春香か!?」

桃子「……ッ!」ダッ


桃子(次に起こるのは『事件』……ドッキリとはいえ、のり子さんが危ない!)

桃子「春香さん!」

春香「あ……あぁ……」

奈緒「オイ、どうした何があった!」

春香「の……のり子ちゃんが……」



のり子「……」



桃子「のり子さ……アレ?」

桃子(…………生きてる?)

P「これは……」

のり子「あ、アタシは……アタシは…………」





桃子(へたり込むのり子さんの周りには、グチャグチャに散乱していた。……うな重が)


桃子「……なにこれ」

桃子(てっきり、死体で見つかるものだと思ってたんだけど……)

桃子「……もう、2人して脅かさないでよ。急に叫ぶからビックリしたじゃん」

春香「……」

桃子「ほら、ボーッとしてないで片付けないと」


奈緒「触るなァ!!!」


桃子「!?」

奈緒「触ったらアカン……のり子、春香、あんたらもや」

桃子「ちょ、何言ってるの? うな重落としただけじゃ……」

P「いいや。これは立派な事件だ」

亜利沙「そのようじゃのう……」

桃子「えぇー……?」

せやかて周防!

奈緒「とは言っても、状況を見るに……」

P「うな重を受け取ったのり子が焦って転んだ、って感じだな」

のり子「ちっ……違う! アタシじゃない!」

桃子「……」


奈緒「ま、一応現場は見とこか……うわっ、こら酷いな」

亜利沙「思いっきりひっくり返した感じじゃな……」

P「階段で躓いた、ってとこか」

桃子「……」


桃子「…………」



桃子「………………」




桃子(え? なに? これが事件?)

桃子(殺人事件ならまだしも、うな重落下事件って何? しょぼくない?)


P「春香、大丈夫か?」

春香「あ、ハイ……」

桃子「…………」

桃子(しかも、手すりのこの跡ピアノ線じゃん……現実で見ると思わなかったんだけど……)

桃子「……………………」

桃子(推理……? 推理するの? これを……?)



のり子「だから、アタシは……!」

奈緒「しつこいのォ、春香やったら一瞬で開き直るで?」

桃子「……」

桃子(ピアノ線の跡、下から三段目……ね)

亜利沙「ふむ……」

桃子「ねぇ、亜利……アリサ博士」ボソッ

亜利沙「む?」

桃子「さっきの、サイリウム型麻酔銃ってどう使うの?」

亜利沙「あれか? 発光部分で眠らせたい人に触れるだけじゃ。6~8時間は持つぞ、麻酔は」

桃子「銃じゃないじゃん、それ……」

亜利沙「便宜上仕方無いのじゃよ」

桃子「……リストバンド型変声器は?」

亜利沙「裏のダイヤルを回して喋るだけじゃ。リコッタの皆の声はプリセット登録されとるぞ」

桃子「何その親切設計」

P「決まりだな……うな重はのり子が落とした」

のり子「っ……」

桃子(発光させて、お兄ちゃんの足首辺りに……)

P「まぁ気にすんな。それぐらい、俺がいくらでも出してやるさ! ガッハッハッ――」パシュン

のり子「!?」

春香「プ、プロデューサーさん!?」

P「はれっ?………うにゃ……」ドサッ

桃子(とりあえず背中に隠れて、変声器を)カチカチ

奈緒「おい、どうしたんや急に?」

P(桃子)『いやぁ~悪い悪い。つい笑っちまったよ』



P『この事件の真相が、あまりにも呆気なくて……な』

桃子(こんな感じでいいかな……)



奈緒「どういうこっちゃ? 犯人はのり子で決まりなんとちゃうんか?」

P『違うな……犯人をのり子に仕立て上げたやつが、他にいる』

亜利沙「ほお……」

P『まず、のり子が転んだのは階段の下から三段目だ。手すりを見てみろ』

奈緒「ん? これは……ピアノ線か!」

P『真犯人が、レッスン場に来たときに仕掛けておいたんだ。そうだろ? 真犯人――いや』


P『――――春香!』


春香「!!」

奈緒「は、春香やと……!?」

春香「ちょ、ちょっと待って下さい! なんで私なんですか!」

P『今日ここへ来るとき、春香は一番後ろを歩いていた。そのときにピアノ線を仕掛け、のり子を見に行くついでに回収した……そう考えるのが自然だ』

春香「っ……大体! ピアノ線なんて仕掛けておいたら、うな重を受け取る前に転んじゃいますよ!」

亜利沙「それもそうじゃな……」

P『ところが、それが違うんだ。桃子!』

桃子「はーい! いっくよー……とうっ!」タンッ

亜利沙「と、跳んだ!?」

奈緒「……なるほど? 急いで受け取りに行って階段を飛び越えたら、行きは引っかからないっちゅーこっちゃ」

春香「……っ!!!」

春香「で、でも、証拠が無いじゃないですか! 私がやったっていう証拠が!」

P『証拠ならあるさ。……そのリボンだ』

奈緒「リボン?」

P『今日、春香は亜利沙に貰ったリボン型発信器を着けている。なら、普段のリボンはどこにある?』

春香「そ、それは……」

P『見せられないだろうな。ピアノ線が隠されているだろうし、何より汚れている』


P『手すりに付いていた埃と……春香、お前の欲望で…………な』


春香「…………っ」ガクッ

奈緒「春香……お前……」

春香「私……私………………っっっ」



桃子(うん……こんな感じでオッケー、かな)

のり子「片付け、こっちは終わったよー」

奈緒「おう。……すまんな、疑ってもうて」

のり子「いいよいいよ! 気付かずにすっ転んだアタシが悪いんだし!」

桃子「……」

桃子「…………」


桃子(冷静に考えると、全然オッケーじゃないよね)

桃子(なんなの? 桃子ノリノリで推理しちゃったんだけど。すっごい恥ずかしい)

桃子(それに、みんな麻酔銃とか変声器の存在知ってるじゃん……バレバレじゃん……)

桃子(いや、これはドッキリ……これは演技……桃子はプロ……桃子はアイドル……)ブツブツ



春香「私、うなぎ屋さんに容器返してくるね」

奈緒「今度は転ぶなよー?」

春香「はーい!」タッタッ

桃子(でも、腑に落ちないこともある)


亜利沙「桃子、さっきはいい推理じゃったな。録画しておいたぞい」

桃子「なんで?」

亜利沙「それはそれは可愛かったぞ……とうっ! のあたりとか♪」

桃子「素が出てるよ、亜利沙さん……」


桃子(このドッキリ……もう山場は越えたはずなのに、まだネタバラシが来ない)

桃子(理由は大体分かるけど……)チラッ

P「」

桃子(効きすぎでしょ、麻酔銃)


亜利沙「ムフフ……春香さんの生泣きと合わせて……あと半年は……」ブツブツ

桃子「ちょっと! キャラしっかり!」

奈緒「なあ、春香遅ないか?」

のり子「気のせいじゃない? 考えすぎだよ」

奈緒「また転んでんのとちゃうやろな……ちっと見てくるわ」

桃子「待って、桃子も行く」

桃子(正直、何があるか分からないし……)





奈緒「……居らんな。迷っとんのか?」

桃子(もう、コナンだったらCパート、オチの段のはず……そこでネタバラシ?)

奈緒「おーい、春香ー! 春香ーどこやー?」

桃子(いや、もしかして……まだ、終わってないんじゃ――)カツン


桃子「……!?」

奈緒「おい、どうしたんや周防?」

桃子「これ……」

奈緒「なっ……うな重の容器やないか!」

桃子「もしかしたら春香さんは……ここで……」

奈緒「攫われたっちゅうんか!?」

桃子「その可能性がある、ってだけだよ」

奈緒「っな……!」


桃子(なるほど……さっきの事件はやっぱり本筋じゃない、前編だったんだ)

桃子(うな重落下よりも緊張感のある、春香さんの誘拐! まだドッキリは――)

奈緒「――う……!」

桃子「えっ?」




奈緒「ちゃう……こんなの、予定にあらへん……!!」

のり子「プロデューサー! プロデューサーーーッ!!!」ギリギリギリギリ

P「」

のり子「……ダメだ、起きない」

亜利沙「に、二度と起きなくなっちゃいますよ……」


桃子「――ってことは、ドッキリだったっていうのは認めちゃうんだ?」

奈緒「ああ、周防にはバレとったやろけどな」

桃子(服部言葉が抜けてないよ、奈緒さん……)

桃子「元々はどういうオチをつける予定だったの?」

奈緒「……分からん、プロデューサーさんの指示があるっちゅう話やった」

桃子「……」

のり子「やっぱり、警察に……」

桃子「ダメだよ。警察沙汰になったらこのドッキリはお蔵入り……最悪、お兄ちゃんの首が飛ぶ」

奈緒「せやかて周防! 春香が危ないんやぞ!」

桃子「それに」


桃子「警察呼ぶよりも、桃子たちで追跡した方が早いもん」


奈緒「何やと……!?」

桃子「亜利沙さん、リボン型発信器ってスマホで受信できる?」

亜利沙「は、はい、多分」

桃子「分かった、ありがと」ガチャッ

奈緒「おい、何する気や」

桃子「何って……これで春香さんを追跡して、助けるんだよ」

亜利沙「む、無茶ですよ!」

桃子「そう思うなら、皆は待ってていいよ。このローラースケート、桃子のサイズだし」

のり子「桃子、1人で……」

桃子「……春香さん、まだ近いね。じゃ、そういうことだから」

奈緒「……ッ、ちょお待てぇ!」


バシュゥウウウウウウウン


のり子「うわ、速っ!」

奈緒「桃子………………ッ」

バシュゥウウウウウウウウウウウ!!!!


桃子「速ぁあああああああああ!!!?!!?」

桃子(ターボエンジン付きローラースケート……思ったよりめっちゃ速い!?)

桃子「でも、これですぐに追いつけ……」

ガッタン!

桃子「きゃっ! 何、小石!?」

桃子(ローラースケートの経験があって良かった……)

桃子「……」チラッ

桃子(よし、もうすぐ犯人に)



バシュゥウウウゥゥゥ…ンンン

桃子「……………………え?」

桃子「うそ、故障? なんで……」


 『ワシの発明品は単二電池で動くものが多いぞ――』


桃子「ちょっと! 単二切れるの早すぎない!?」

桃子(やばい、このままだと犯人に逃げられ――)


ブォオオオオン キキーッ!

桃子「え?」

のり子「乗って! 早く!」

桃子「のり子さん……!」

ブォオオオオオオオオオン


のり子「次どっち!?」

桃子「左!」

のり子「オッケー! 右じゃなくてよかった!」

桃子「……ねぇ、のり子さん」

のり子「ん?」

桃子「どうして追いかけて来たの? 危ないのに……」

のり子「何言ってんの、桃子の方が危ないじゃん! 無免許でしょ!?」

桃子「それは……そうだけど」

のり子「それに、たまには桃子の力になってあげたいしね」

桃子「……ありがと」プルルルル

桃子(あれ、電話? この番号は……)

奈緒『ドアホーーーーーーー!!!』

桃子「!?」

奈緒『なに先走っとんねん! アホかぁ! 春香より先に死んでどうすんじゃボケェ!』

桃子「……奈緒さん、口調荒すぎ」

奈緒『今、亜利沙とタクシーで追っかけとるからな! ええか周防! 全部1人でやろうとすなよ!』

桃子「!」

亜利沙『だってありさたち、リコッタ探偵団じゃないですか♪』

桃子「…………ふふっ、初めて聞いたよ」





春香「…………」


「気分はどうだ……? 天海春香」

春香「……こういう犯人って、ほんとに真っ黒なんですね」

犯人「フン……」

春香「私を、どうする気ですか」

犯人「余裕だな。王子様が助けに来るとでも思ってんのか?」

春香「来ますよ。……私の、仲間が」

犯人「……ま、せいぜい気丈に振る舞ってくれ」




桃子「のり子さん、そこ! その軽トラ!」

のり子「オッケー!」


桃子(麻酔銃を用意して……)

桃子「あの、ごめんなさい」コンコン

男「ん?」

桃子「ちょーっと、お荷物見せてもらってもいいですかー?」パシュン

男「え、なn」ガクッ

桃子「よし。……のり子さん! 春香さんは!?」

のり子「……桃子、これ」

桃子「え?」



桃子「春香さんの、リボン型発信器…………だけ?」





犯人「ふ、ふは、ヒャハハハハハハハ!!!」

春香「……」

犯人「滑稽だなァ天海春香……リボンが無くなって、どんな気分だ?」

春香「……」

犯人「ケッ、すましやがって」

春香「……」


春香(プロデューサーさん、皆……)



奈緒『春香がいなかったァ!?』

桃子「うん。多分、犯人がリボンだけ捨てたんだと思う」

奈緒『なっ……どうすんねん周防! そしたら春香は』

桃子「……大丈夫だよ」

奈緒『なんやと?』


桃子「だって桃子たち、リコッタ探偵団……でしょ?」


奈緒『……は、はぁ?』





犯人「ムカつくんだよなァ……てめーみたいなガキは」

春香「……」

犯人「ガキは大人を怒らせねえもんだ。 そう思わねえか? なァ!!」バン

春香「っ……」

犯人「大人の怖さってやつを、身に染みて覚えさせてや―――」





「キライなんだよねー、そういうの」





犯人「!?」

「年功序列っていうの? ちょっと早く生まれたからって、それがスゴいわけじゃないじゃん」

犯人「なんだ……てめえは……!?」



桃子「そう思わない? オジさん」



春香「桃子ちゃん…………!!」

のり子「春香、大丈夫!?」

亜利沙「大丈夫ですか!? ご尊顔に損傷ございませんか春香さんっっっっ!!!?」

奈緒「見たとこ、間に合ったみたいやな」

春香「みんな…………!!!」

犯人「な、なんだてめえら……どうしてここが……!」

桃子「これだよ」

犯人「……バ、バッジ?」

桃子「『DRバッジ』。発信器機能もついてるんだよ、コナン読者なら常識だよね?」

亜利沙「リコッタの皆が持ってるんですよ!」

犯人「なっ、な、何者だ…………!」




桃子「周防桃子。た……」




桃子「…………アイドルだよ」

奈緒「今探偵って言おうとしたやろ」

桃子「うるさい」

犯人「ふ、ふふ、そうか……アイドルか」

犯人「馬鹿野郎どもがァ!!」シャキン

「「!?」」

犯人「女子供が何人集まろうが関係ねぇ……全員ぶっ殺してやる!!」

桃子「……ふーん」カチッ バチバチバチバチ

犯人「てめぇからだ、クソガ――」

桃子「……」ダァン!!!

犯人「――キ!?」ヒュン

犯人(飛ん……!?)


桃子「バカなオジさんに、教えといてあげる」

犯人「なっ……テm」パシュン



桃子「アイドルって、結構ハードなんだよ?」



犯人「」ドサッ

桃子「……まぁ、普通のアイドルはこんなことしないけどね」




―――――

―――

――

桃子(――こうして、長い長いドッキリは、終わった)

桃子(『ドッキリ大成功』のプレートを持ったお兄ちゃんは、真っ先に犯人に向かっていった)


P「だ、大丈夫ですか?」

社長「うむ……しかし、ここまで動くと身体が痛いねぇ……」


桃子(コナンの犯人みたいに真っ黒な顔の……社長だった。何あの迫真の演技)




桃子(……まぁ、薄々勘付いてはいたけど、最後の最後までドッキリだったみたい)

桃子(『1人で背負い込むな』……それだけのために、ちょっとやりすぎじゃない?)

桃子(全部を知らされていたのは春香さんだけ。桃子だけじゃなく、リコッタの皆を騙してた……ってわけ)

桃子(なんていうか、終始変なドッキリだったけど――)



亜利沙「えぇ、発明品没収なんですか!?」

P「そりゃそうだろ、元々お前のじゃないし。何より危険だからな」

のり子「変声器ぐらいいいじゃん!」

P「だーめ! 悪用されたら困るのは俺だ!」

亜利沙「そんな殺生な!!」

P「お前一番悪用するじゃねえか!」

桃子「……バッジ」

P「え?」

桃子「DRバッジは、いいんじゃないの? ……ダメ?」

P「…………まぁ、それだけなら……」

のり子「ひゃっほーう!」

奈緒「確かに、お揃いのアイテムって感じやしな。可愛いとこあるやん、周防」

春香「ふふっ、奈緒ちゃんまた周防って言ってる」

奈緒「わあああ!? アカン、服部が抜けへん! 許してくれ桃子、桃子ぉぉおお!!!」ガシガシ

桃子「わっ、ちょっとやめてよ! もう……」





桃子(――これはこれで、いいのかな)


おわり

【おまけ】


P「ふー……」

P「しかし、桃子が楽しそうなのはいいんだが……疲れたな」

桃子「ずっと床で寝てたからじゃないの?」

P「ああ。正直、肩がカナリコッタ、なーんてな! ガッハッハ!」

桃子「は、ハハ……」



桃子(あ、なんかこれコナンのオチっぽい)



おわり

以上です。最後まで読んで下さった方、ありがとうございました。

正直すまんかった。
リコッタのメンバーを見た瞬間にやるしかないと思った。
桃子に指輪あげてくる

乙、だが阻止

阻止、何人わたせばきがすむんだ!
乙でした

乙っした



画像ニキも毎度お疲れさん

おつ!
じゃあオレは環に指輪を…

面白いで!流石やな工藤!

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